特許第6844304号(P6844304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6844304需要予測モデル評価装置、需要予測モデル評価方法及び需要予測モデル評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6844304
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】需要予測モデル評価装置、需要予測モデル評価方法及び需要予測モデル評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20210308BHJP
【FI】
   G06Q30/02 310
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-31670(P2017-31670)
(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公開番号】特開2018-136806(P2018-136806A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】特許業務法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 恭子
【審査官】 貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−228463(JP,A)
【文献】 特開2008−52413(JP,A)
【文献】 特開2015−14826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要予測モデルを評価する需要予測モデル評価装置であって、
過去の在庫数管理期間のうちの基準期間における物品の実出庫数及び前記基準期間以降の評価期間における最終在庫実績値までの入力を受付ける第1受付部と、
前記基準期間における前記需要予測モデルによる前記物品の出庫予測値の入力を受付ける第2受付部と、
在庫数及び前記出庫予測値に基づいて単位期間サイクル毎に予測発注数を算出する予測発注数算出部と、
前記実出庫数及び前記予測発注数に基づいて前記単位期間サイクル毎に想定在庫数を算出する想定在庫数算出部と、
前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数及び前記最終在庫実績値に基づいて、前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数と前記最終在庫実績値との差分を算出する在庫評価部と、
前記差分を表示する表示部と、
を有することを特徴とする需要予測モデル評価装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記単位期間サイクル毎の前記想定在庫数を表示することを特徴とする請求項1に需要予測モデル評価装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記単位期間サイクル毎の対応する前記実出庫数を時系列的に表示することを特徴とする請求項1又は2に需要予測モデル評価装置。
【請求項4】
前記在庫評価部は、前記差分と前記物品の単価との積の合計を前記物品の全種類に亘って算出し、算出した金額を前記表示部が表示することを特徴とする請求項1乃至3に記載の需要予測モデル評価装置。
【請求項5】
需要予測モデルを評価する需要予測モデル評価方法であって、
コンピュータ装置が、過去の在庫数管理期間のうちの基準期間における物品の実出庫数及び前記基準期間以降の評価期間における最終在庫実績値までの入力を受付ける第1受付ステップと、
前記基準期間における前記需要予測モデルによる前記物品の出庫予測値の入力を受付ける第2受付ステップと、
在庫数及び前記出庫予測値に基づいて単位期間サイクル毎に予測発注数を算出する予測発注数算出ステップと、
前記実出庫数及び前記予測発注数に基づいて前記単位期間サイクル毎に想定在庫数を算出する想定在庫数算出ステップと、
前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数及び前記最終在庫実績値に基づいて、前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数と前記最終在庫実績値との差分を算出する在庫評価ステップと、
前記差分を表示する表示ステップと、を実行することを特徴とする需要予測モデル評価方法。
【請求項6】
需要予測モデルを評価する需要予測モデル評価プログラムであって、
コンピュータ装置に、過去の在庫数管理期間のうちの基準期間における物品の実出庫数及び前記基準期間以降の評価期間における最終在庫実績値までの入力を受付ける第1受付ステップと、
前記基準期間における前記需要予測モデルによる前記物品の出庫予測値の入力を受付ける第2受付ステップと、
在庫数及び前記出庫予測値に基づいて単位期間サイクル毎に予測発注数を算出する予測発注数算出ステップと、
前記実出庫数及び前記予測発注数に基づいて前記単位期間サイクル毎に想定在庫数を算出する想定在庫数算出ステップと、
前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数及び前記最終在庫実績値に基づいて、前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数と前記最終在庫実績値との差分を算出する在庫評価ステップと、
前記差分を表示する表示ステップと、を実行させることを特徴とする需要予測モデル評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構築済み需要予測モデルの実業務への有用性を評価する際に好適な需要予測モデルを評価するための需要予測モデル評価装置需要予測モデル評価方法及び需要予測モデル評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は需要予測モデル評価方法を開示している。この需要予測モデル評価方法においては、需要予測モデルの評価期間における需要実績値及び需要予測値に関して、製品の供給サイクル毎に該需要実績値及び該需要予測値との乖離値を算出し、該乖離値に応じて供給過剰コスト及び供給不足コストを算出し、それらを結果として提示している。この需要予測モデル評価方法においては、構築済予測モデルの実業務への有用性として、需要実績値と需要予測値との乖離値を理論在庫と見做して予測モデルの評価を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−228463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された需要予測モデル評価方法では、需要実績値と需要予測値との乖離値を理論在庫と見做している。故に、従来方法では供給過剰コスト及び供給不足コストは仮定の評価値であり、実際の在庫数の推移を示していない。よって、従来方法で、予測モデル評価期間の開始時点から終了時点までを対象に理論在庫の時系列推移図としてユーザーに提示されても、実際の在庫数がどのように推移するのか不明である。
【0005】
また、一般的に予測の精度算出に使用するMAD,RMSE,MAPE等で予測値と実需要の乖離(誤差数値)を予測対象毎に算出は可能だが、多数の予測対象の各々毎に誤差数値を確認するのは現実的ではないし、誤差数値が小さいからといってユーザーにとって分かり易い予測とは一概にいえない。
【0006】
さらに、従来の需要予測モデルシステムの導入後、たとえば実際の期間で在庫数量が漸次減少して行ったとしても、その漸次減少変化が、「需要予測値と在庫数に基づいて適切に発注の抑制ができていなかったが、たまたま需要増加により、在庫が減少したのか」、それとも「需要予測値と在庫数に基づいて適切に発注の抑制ができたことにより、在庫が減少したのか」、ユーザーにとっては分からず、需要予測モデルによる在庫圧縮効果が不明である。
【0007】
また、構築済み需要予測モデルの実働状態での該システムの評価について、システム導入前における在庫圧縮効果の算出が不可能である。よって、予測システム導入コストを、システム導入前にどのくらいの期間で回収できるのか概算できない問題がある。
【0008】
本発明は、以上の従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、需要予測モデルにより物品の予測在庫数がどのように推移するか確認できる需要予測モデル評価装置需要予測モデル評価方法及び需要予測モデル評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の需要予測モデル評価装置は、需要予測モデルを評価する需要予測モデル評価装置であって、過去の在庫数管理期間のうちの基準期間における物品の実出庫数及び前記基準期間以降の評価期間における最終在庫実績値までの入力を受付ける第1受付部と、前記基準期間における前記需要予測モデルによる前記物品の出庫予測値の入力を受付ける第2受付部と、在庫数及び前記出庫予測値に基づいて単位期間サイクル毎に予測発注数を算出する予測発注数算出部と、前記実出庫数及び前記予測発注数に基づいて前記単位期間サイクル毎に想定在庫数を算出する想定在庫数算出部と、前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数及び前記最終在庫実績値に基づいて、前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数と前記最終在庫実績値との差分を算出する在庫評価部と、前記差分を表示する表示部と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の需要予測モデル評価方法は、需要予測モデルを評価する需要予測モデル評価方法であって、コンピュータ装置が、過去の在庫数管理期間のうちの基準期間における物品の実出庫数及び前記基準期間以降の評価期間における最終在庫実績値までの入力を受付ける第1受付ステップと、前記基準期間における前記需要予測モデルによる前記物品の出庫予測値の入力を受付ける第2受付ステップと、在庫数及び前記出庫予測値に基づいて単位期間サイクル毎に予測発注数を算出する予測発注数算出ステップと、前記実出庫数及び前記予測発注数に基づいて前記単位期間サイクル毎に想定在庫数を算出する想定在庫数算出ステップと、前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数及び前記最終在庫実績値に基づいて、前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数と前記最終在庫実績値との差分を算出する在庫評価ステップと、前記差分を表示する表示ステップと、を実行することを特徴とする。
本発明の需要予測モデル評価プログラムは、需要予測モデルを評価する需要予測モデル評価プログラムであって、コンピュータ装置に、過去の在庫数管理期間のうちの基準期間における物品の実出庫数及び前記基準期間以降の評価期間における最終在庫実績値までの入力を受付ける第1受付ステップと、前記基準期間における前記需要予測モデルによる前記物品の出庫予測値の入力を受付ける第2受付ステップと、在庫数及び前記出庫予測値に基づいて単位期間サイクル毎に予測発注数を算出する予測発注数算出ステップと、前記実出庫数及び前記予測発注数に基づいて前記単位期間サイクル毎に想定在庫数を算出する想定在庫数算出ステップと、前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数及び前記最終在庫実績値に基づいて、前記評価期間の終了時点の前記想定在庫数と前記最終在庫実績値との差分を算出する在庫評価ステップと、前記差分を表示する表示ステップと、を実行させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による実施例の需要予測モデル評価装置を含む需要予測モデル評価システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】本発明による実施例の需要予測モデル評価装置において、取得された記憶ファイルとして記憶部に格納されるデータのイメージの一例を示す複数の表である。
図3】本発明による実施例の需要予測モデル評価装置の動作を示すフローチャートである。
図4】本発明による実施例の需要予測モデル評価装置により、得られた予測在庫数と実在庫数の両者の推移を示した表(図4A)と、評価期間、対象製品数、導入効果金額及び在庫数増減の表示結果の一例(図4B)である。
図5図4Aの予測在庫数と実在庫数の両者の推移を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明による実施例の需要予測モデル評価装置及び需要予測モデル評価方法について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0013】
[需要予測モデル評価装置]
図1は、実施例の需要予測モデル評価装置100と当該装置に接続される無線の通信端末101と有線の通信端末101Aを含む需要予測モデル評価システム103の全体構成を示している。需要予測モデル評価装置100は、例えばコンピュータ装置109で実現することができる。
【0014】
図1の需要予測モデル評価装置100のハードウエア構成の一例は、コンピュータ装置109である。また、需要予測モデル評価装置100はハードウエアのネットワーク接続部(NIC:ネットワークインターフェースカード)119を含む。ネットワーク接続部は各種データを通信端末101、101Aへ送信し、通信端末101から各種データを受信する。通信端末101、101Aは、ユーザーが需要予測モデルを評価すべく使用する通信機能を有するPC(personal computer)やタブレット端末等であり、需要予測モデル評価装置100に対して、携帯電話網、インターネット網等を含む通信網IPを介して接続される。なお、本実施例では、2つ以上の多数の通信端末に接続されて、複数ユーザーが需要予測モデル評価装置100を使用することができる。さらに、これら通信端末101、101Aは、需要予測モデル評価装置100と同様に入力部でメール送信先アドレスを取得し、出力部にメール送信する機能を有している。
【0015】
図1に示されるコンピュータ装置109において、CPU111は、ROM114及び/又はハードディスク装置やSSD(solid state drive)等により構成される記憶部116に格納されたプログラムに従い、RAM115を一次記憶用ワークメモリとして利用して、システム全体を制御する。さらに、CPU111は、マウス112a又はキーボード112を介して入力される利用者の指示に従い、記憶部116に格納されたプログラムに基づき、実施例に係る需要予測モデル評価方法を実行する。以上の構成要素はバスbusを介して互いに接続されている。コンピュータ装置109に接続されたLCD等のディスプレイ装置113には、CPU111が実行する後述する処理のための入力待ち受け画面、処理経過や処理結果、検索結果等が表示される。
【0016】
コンピュータ装置109の記憶部116には、需要予測モデル評価装置100として機能させる需要予測モデル評価プログラム117が記憶されている。なお、評価されるべき需要予測モデルプログラムが記憶部116にインストールされていてもよい。CPU111は、需要予測モデル評価プログラム117を記憶部116から読み出してRAM115(必要があれば記憶部116)に展開し、需要予測モデル評価プログラム117が有するプロセスを順次実行する。なお、需要予測モデル評価プログラム117は、コンピュータ装置109に、第1受付部120、第2受付部121、予測発注数算出部122、想定在庫数算出部123及び在庫評価部124として機能させるプログラムである。
【0017】
入力部としての第1受付部120と予測発注数算出部122は、評価対象期間(例えば過去の在庫数管理期間)のデータを取得し、これらを記憶ファイルとして記憶部116に格納する。ここで、データとは、出荷予測対象の製品ID、年月、出荷数:、在庫数:、未入荷残数:、単価(円)、安全在庫数:A、リードタイム:k(発注数調整期間を含む発注してから入手までの期間(一般的には、発注サイクルと調達リードタイムの合計))、予測値Y等を指す。
【0018】
需要予測モデルシステム導入前の場合、予測値以外のデータは、一般的には基幹データベースDBに格納されている情報であるので、例えば基幹データベースDBに通信網IPを介して接続して取得する。基幹データベースDBに接続が難しい場合、該当データをCSV形式にて他の媒体を介して取得してもよい。評価されるべき需要予測モデルプログラムにより、予測値は、時系列予測等を使用して算出される。
【0019】
図2は、取得して記憶ファイルとして記憶部に格納されるデータの表形式のイメージの一例を示す。なお、基幹データベースDB等から取得して必要な項目のデータが収集できれば、図2のような同一の表上に必要な項目が存在しなくてもよい。また、データ項目名は企業毎で異なるので該当するデータがあればよい。
【0020】
(データの説明)
図2に示すように、製品を発注してから入荷されるまでの期間を基準としたリードタイムが格納されている。リードタイムは、製品の輸送時間、生産制約時間(準備、製造、梱包時間を含む)、及び事務処理時間等、製品毎に製品を発注してから入荷されるまでの期間として設定されている。リードタイムは適宜の値を装置に入力して製品毎に格納するようにすればよい。なお、本実施例においては、単位期間(i)を月単位としているが、これに限らず、1日又は1時間等日単位又は時間単位で設定してもよい。
【0021】
在庫数は、前月在庫数、当月出荷数及び未入荷残数に基づいて算出され、単位期間毎(本実施例では一か月毎)に格納される。在庫数Zは、下記式で定義される。
Z[i]=Z[i−1]+M[i]−J[i]
式中、
i:単位期間数である。
J[i]:単位期間iの実際の出荷数(需要)である。
H[i]:単位期間iの実際の発注数量である。
M[i]=H[i−k]:単位期間iの未入荷残数(単位期間iからk期間(リードタイム)前の発注数量で未納入の製品の数)である。たとえば、現在5月[i]とすると、3月[i−2]に10個発注(H[i−2])して(H[i−2]=10)、5月に納入予定で、未着又は使用可能な状態になっていないM[i]がある場合はM[i]=10となる。従って、現在5月[i]の末日とすると、4月[i−1]の末日には未入荷残数(M[i])が存在している故に、M[i]が4月[i−1]の在庫数(Z[i−1])に加算され、5月[i]中の出荷数(J[i])が減算され、5月[i]の在庫数Z[i]となる。
【0022】
在庫の欠品を回避するためのデータである予測必要数量Rは、下記式で定義される。
R[i]=Y[i]+A[i]
式中、
i:単位期間数である。
Y[i]:単位期間iの出荷予測値(これは評価対象の予測モデルから得られる)である。
A[i]:単位期間iの安全在庫数(これは、需要変動等の不確定要素によって、欠品を或る程度防ぐための在庫であって、0以上が好ましい)である。
【0023】
基準期間は、評価対象の予測モデルからの出荷予測値に基づくシミュレーションの基準になる期間である。本実施例では予測対象製品の中でk期間(リードタイム)が最も長いmax(k)を基準期間と設定している。基準期間はこれに限られず、評価対象期間(過去の在庫数管理期間)より短い期間に設定してもよい。
【0024】
本実施例では、図1の第1受付部120が評価対象期間のうちの基準期間における物品の実出荷数及び基準期間以降の評価期間における最終在庫実績値までの入力を受付け、第2受付部121が基準期間における需要予測モデルによる物品の出荷予測値の入力を受付けるように、構成されている。
【0025】
[需要予測モデル評価方法]
図3は本実施例の需要予測モデル評価方法による需要予測モデル評価装置の動作を示すフローチャートである。第1受付部120と第2受付部121が取得したデータを使って、評価対象の予測モデルからの出荷予測値を使って発注した場合の在庫数量を算出し、現実の在庫数量と比較する。
【0026】
まず、第1受付部120が製品ID、年月、出荷数、在庫数、未入荷残数、単価、安全在庫数及びリードタイムのデータや上記基準期間における物品の実出荷数及び評価期間における最終在庫実績値までの入力を受け付けて、それらを記憶部116に格納する(ステップS1)。次に、第2受付部121が上記の出荷予測値及び予測必要数量のデータを受け付けて記憶部に格納する(ステップS2)。
【0027】
次に、製品ID分ループとして、製品IDの初期値I=1とし、対象製品数I=9000まで以下の評価期間ループ処理を繰り返し処理(インクリメント1)する(ステップS3)。そして、評価期間ループとして、評価期間数の初期値i=1とし、評価期間数i=N+max(k)まで以下の処理を繰り返し処理(インクリメント1)する(ステップS4)。ここで、Nは予測モデル効果を評価する評価期間数であり、max(k)はk期間(リードタイム)が最も長い期間である。本実施例では、max(k)を基準期間としている。
【0028】
次に、予測必要数量、予測時点の在庫及び未入荷残数に基づいて予測発注数Hoを算出し、結果を記憶部に格納する(ステップS5)。予測発注数Hoは、下記式で定義される。
Ho=R[i]−(Z’[i−1]+M[i])
式中、
i:単位期間数である。
R[i]:単位期間iの予測必要数量(=Y[i]+A[i])である。
Z’[i−1]:予測の単位期間iの前月末在庫数量である。
M[i]=H[i−k]:単位期間iの実際の未入荷残数(単位期間iからk期間(リードタイム)前の発注数量で未納入の製品の数)である。
【0029】
なお、最初の予測発注数Hoは、評価開始前のサイクルの在庫実績値(基準期間内の単位期間における在庫数)及び出荷予測値に基づいて算出され、次回以降の予測発注数は、1サイクル前の想定在庫数(後述する)及び出荷予測値に基づいて算出される。
【0030】
次に、予測発注数Hoがゼロ以上か否か判別する(ステップS6)。
【0031】
次に、予測発注数Hoがゼロ以上であれば(ステップS7)、予測発注数H’をHoに設定する。すなわち、
予測値を使った必要数量R>(前月末在庫数量Z’+未入荷残数M)の場合、
これらの差分を予測発注数H’とする。
【0032】
また、予測発注数Hoがゼロに満たない場合(ステップS7)、予測発注数H’をゼロに設定する(ステップS8)。以上のステップS5〜ステップS8が予測発注数算出部122に相当し、これが、実際の未入荷残数及び出荷予測値に基づいて単位期間サイクル毎に予測発注数を算出する。
【0033】
次に、予測発注数H’を使った場合の未入荷残数をM’[i]をH’[i−k]と設定する(ステップS9)。
【0034】
次に、予測発注数H’を使った場合の想定在庫数Z’[i]を算出する(ステップS10)。予測の在庫数Z’[i]は、下記式で定義される。
Z’[i]=Z’[i−1]+M’[i]−J[i]
式中、
i:単位期間数である。
Z’[i−1]:予測の単位期間iの前月末在庫数量である。
M’[i]=H’[i−k]:単位期間iの予測の未入荷残数(単位期間iからk期間(リードタイム)前の発注数量で未納入の製品の数)である。
J[i]:単位期間iの実際の出荷数(需要)である。
【0035】
以上のステップS9〜ステップS10が想定在庫数算出部123に相当し、これが、実出荷数及び予測発注数に基づいて単位期間サイクル毎に想定在庫数を算出する。
【0036】
次に、以上の評価期間ループが、評価期間数の初期値i=1とし、評価期間数i=N+max(k)まで繰り返された後(ステップS11)、当該評価期間ループが終わる。
【0037】
そして、評価期間の終了時点の想定在庫数及び最終在庫実績値に基づいて最終想定在庫数と最終在庫実績値との差分を算出する(ステップS12)。下記式で当該差分Dを算出する。
D=Z’[N+max(k)]−Z[N+max(k)]
式中、
Z’[N+max(k)]:評価期間N+max(k)における予測の在庫数である。
Z[N+max(k)]:評価期間N+max(k)における実際の在庫数である。
【0038】
以上のステップS12が在庫評価部124に相当し、これが、評価期間の終了時点の想定在庫数及び最終在庫実績値に基づいて、最終想定在庫数と最終在庫実績値との差分を算出している。
【0039】
次に、前記最終想定在庫数と最終在庫実績値との差分Dに基づいて予測効果(金額)を算出する(ステップS13)。すなわち、当該差分Dと対象製品の単価との積(Ttl)の予測効果(金額)を算出する。
【0040】
次に、以上の製品ID分ループが、製品IDの初期値I=1とし、対象製品数I=9000まで繰り返された後(ステップS14)、当該評価期間ループが終わる。
【0041】
次に、対象製品に亘る予測効果(合計数量、合計金額)を算出し、結果を記憶部に格納する(ステップS15)。本実施例では、製品毎の実在庫数が正の値であることを前提として予測される在庫削減効果を算出しているが、製品毎の実在庫数が負の値、つまり在庫不足数がある場合に、予測される在庫不足解消効果として算出することも可能である。また、製品毎の実在庫数が正の値と負の値とが混在している場合には、それぞれ製品毎の実在庫数が正の値のもの製品と負の値の製品とに分けて予測効果を算出することにより、予測される在庫削減効果と予測される在庫不足解消効果をそれぞれ確認することができる。
【0042】
以上の本実施例によれば、表示部であるディスプレイ装置113に、ステップS10の単位期間サイクル毎の想定在庫数を表示させたり、同時に対応する実出荷数を時系列的に表示させたり、ステップS10の差分と物品の単価との積の合計を物品の全種類に亘って算出した金額を表示させたり、することができる。このように、本実施例によれば、出荷予測値をつかって発注した場合の在庫推移と現実の在庫を比較した結果の現実の在庫数と在庫金額を表示できる。例えば、図4は本発明による実施例の需要予測モデル評価装置により、予測在庫数と実在庫数が共に300であり、基準期間をmax(k)=3として、評価期間をN=12と設定した場合の予測在庫数と実在庫数の両者の推移を示した表(図4A)と、評価期間、対象製品数、導入効果金額及び在庫数増減の表示結果の一例(図4B)である。さらに、図5図4Aの予測在庫数と実在庫数の両者の推移を示したグラフである。
【0043】
本発明によれば、出荷実績値と出荷予測値との乖離地を理論在庫と仮定して評価するのではなく、出荷予測値と実際の在庫数、算出在庫数、(必要であれば入荷残数)を用いて毎月の発注数量を決めることで毎月の在庫数量が評価期間の間(たとえば12か月間)に、どのように推移するのかシミュレーションで正確に確認できる。さらに、評価期間分の在庫数量と単価との積を合計することで予測対象分すべての在庫差分額を算出し効果額を確認できる。なお、実施例において、小売業等のように商品を販売するために市場に出す「出荷」について説明しているが、これには本発明は限定されない。本発明にて扱える物品は、保守対象製品(例えば、ATM)等の交換部品又は修理部品のような販売目的以外の物品も含み、本発明は、「出荷」をも含む物品等の「出庫」についても、「出庫実績値」、「出庫数」、「出庫予測値」等を用いて応用可能である。
【0044】
また、発明によれば、需要予測に必要な既存の情報を使って、需要予測システム導入前に効果算出が概算でき、これにより、需要予測システム導入前に、かかるコストをどのくらいで回収可能か概算可能になる。たとえば、3年で投資額を回収したいとなると、1年分の予測効果×3で概算できる。
【0045】
また、発明によれば、需要予測モデル評価装置100はメールの送受信機能を有しているので、予測対象製品が多数で、評価期間が長い場合、結果算出までに時間がかかることがあるけれど、自動で結果を関係者にメール送付することで、手動で評価結果を送付する手間を省ける。
【0046】
[応用例]
上記の実施例では、Z:実際の在庫数とZ’:予測値を使って発注した結果の在庫を比較することで予測システム導入効果を算出したが、システム導入後、Z:実際の在庫数を従来手法で発注した場合の在庫数、とすると、従来手法と予測結果との比較でシステム導入効果が定期的に算出可能になる。
【0047】
[変形例]
出力部のメール送信機能を、AppServerにDeployする機能に変更すれば、Webブラウザより所定のURLを参照することにより、URLを知るすべての関係者が結果参照可能となる。評価期間を変えて算出したものをすべて格納しておくと期間をずらした評価結果を複数見比べることが可能となる。たとえば2013年度、2014年度、2015年度とすると年度毎で見比べ可能となる。
【符号の説明】
【0048】
100 需要予測モデル評価装置
111 CPU
115 RAM
116 記憶部
117 需要予測モデル評価プログラム
120 第1受付部
121 第2受付部
122 予測発注数算出部
123 想定在庫数算出部
124 在庫評価部
図1
図2
図3
図4
図5