(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術は、いずれも基本的にリピート再生の開始ポイントから所定時間分の音声データをメモリに格納しておくことで再生信号の途切れ、あるいはタイムラグが生じないようにするものであるが、ユーザがリピート要求の意思を示してから再生するか、あるいは再生を開始してからリピート要求の意思を示すか、そのタイミングは不定であるので、リピート要求の意思の有無によらずに常に所定時間分の音声データをメモリに格納しておかなければならない。また、リピート再生範囲がメモリの記憶容量を超える場合、メモリに記憶された音声データと、それ以外の新たな再生音声データとをノイズや無音が生じないように繋ぎ合わせる技術が必要となる。このような課題は、オーディオファイルのリピート再生のみならず、およそ実行すべきジョブ(処理)を切り替える場合に生じ得る。
【0009】
本発明の目的は、実行すべきジョブ(処理)を切り替える場合にタイムラグを解消し得る技術を提供することにあり、より具体的には、予め所定時間分の音声データをメモリに格納しておく必要がなく、かつ、途切れやタイムラグを生じさせることなく、オーディオファイルの所望の範囲をリピート再生できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ジョブを実行するための少なくとも第1のアプリケーション及び第2のアプリケーションを起動し、前記第1のアプリケーションで前記ジョブを実行中に前記第2のアプリケーションを待機状態とし、前記第1のアプリケーションでの前記ジョブの実行が終了したことに応じて、自動的に前記第2のアプリケーションの待機状態を解除して前記ジョブを実行する制御部を備える情報処理装置である。
【0011】
また、本発明は、オーディオファイルを再生するための少なくとも第1のプレーヤアプリケーション及び第2のプレーヤアプリケーションを起動し、前記第1のプレーヤアプリケーションで前記オーディオファイルを再生中に前記第2のプレーヤアプリケーションを待機状態とし、前記第1のプレーヤアプリケーションでの前記オーディオファイルの再生が終了したことに応じて、自動的に前記第2のプレーヤアプリケーションの待機状態を解除して前記オーディオファイルの再生を開始する制御部を備えるオーディオ装置である。
【0012】
本発明の1つの実施形態では、前記制御部は、前記第1のプレーヤアプリケーションで前記オーディオファイルの始点から再生を開始するとともに前記第2のプレーヤアプリケーションを前記始点において待機状態とし、前記第1のプレーヤアプリケーションでの前記オーディオファイルの終点までの再生が終了したことに応じて、自動的に前記第2のプレーヤアプリケーションの待機状態を解除して前記オーディオファイルの再生を開始し、かつ前記第1のプレーヤアプリケーションを前記始点において待機状態とし、前記第2のプレーヤアプリケーションでの前記オーディオファイルの終点までの再生が終了したことに応じて、自動的に前記第1のプレーヤアプリケーションの待機状態を解除して前記オーディオファイルの再生を開始する。
【0013】
本発明の他の実施形態では、前記制御部は、前記第1のプレーヤアプリケーションで前記オーディオファイルの任意の開始点から再生を開始するとともに前記第2のプレーヤアプリケーションを前記開始点において待機状態とし、前記第1のプレーヤアプリケーションでの前記オーディオファイルの任意の終了点までの再生が終了したことに応じて、自動的に前記第2のプレーヤアプリケーションの待機状態を解除して前記オーディオファイルの前記開始点からの再生を開始し、かつ前記第1のプレーヤアプリケーションを前記開始点において待機状態とし、前記第2のプレーヤアプリケーションでの前記オーディオファイルの前記終了点までの再生が終了したことに応じて、自動的に前記第1のプレーヤアプリケーションの待機状態を解除して前記オーディオファイルの前記開始点からの再生を開始する。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態では、前記制御部は、前記第1のプレーヤアプリケーションで前記オーディオファイルの任意の第1開始点から再生を開始するとともに前記第2のプレーヤアプリケーションを任意の第2開始点において待機状態とし、前記第1のプレーヤアプリケーションでの前記オーディオファイルの任意の第1終了点までの再生が終了したことに応じて、自動的に前記第2のプレーヤアプリケーションの待機状態を解除して前記オーディオファイルの前記第2開始点からの再生を開始し、かつ前記第1のプレーヤアプリケーションを前記第1開始点において待機状態とし、前記第2のプレーヤアプリケーションでの前記オーディオファイルの任意の第2終了点までの再生が終了したことに応じて、自動的に前記第1のプレーヤアプリケーションの待機状態を解除して前記オーディオファイルの前記第1開始点からの再生を開始する。
【0015】
本発明のさらに他の実施形態では、前記制御部は、前記第1のプレーヤアプリケーションで第1のオーディオファイルの任意の第1開始点から再生を開始するとともに前記第2のプレーヤアプリケーションを第2のオーディオファイルの任意の第2開始点において待機状態とし、前記第1のプレーヤアプリケーションでの前記第1のオーディオファイルの任意の第1終了点までの再生が終了したことに応じて、自動的に前記第2のプレーヤアプリケーションの待機状態を解除して前記第2のオーディオファイルの前記第2開始点からの再生を開始し、かつ前記第1のプレーヤアプリケーションを前記第1のオーディオファイルの前記第1開始点において待機状態とし、前記第2のプレーヤアプリケーションでの前記第2のオーディオファイルの任意の第2終了点までの再生が終了したことに応じて、自動的に前記第1のプレーヤアプリケーションの待機状態を解除して前記第1のオーディオファイルの前記第1開始点からの再生を開始する。
【0016】
本発明のさらに他の実施形態では、前記制御部は、ユーザからのリピート再生要求がない場合は、前記第1のプレーヤアプリケーションでの前記オーディオファイルの再生が終了したことに応じて、自動的に前記第2のプレーヤアプリケーションの待機状態を解除して停止状態とする。
【0017】
また、本発明は、コンピュータのプロセッサに、オーディオファイルを再生するための少なくとも第1のプレーヤアプリケーション及び第2のプレーヤアプリケーションを起動するステップと、前記第1のプレーヤアプリケーションで前記オーディオファイルを再生中に前記第2のプレーヤアプリケーションを待機状態とするステップと、前記第1のプレーヤアプリケーションでの前記オーディオファイルの再生が終了したことに応じて、自動的に前記第2のプレーヤアプリケーションの待機状態を解除して前記オーディオファイルの再生を開始するステップを実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、実行すべきジョブ(処理)を切り替える場合にタイムラグを解消できる。また、本発明によれば、予め所定時間分の音声データをメモリに格納しておく必要がなく、かつ、途切れやタイムラグを生じさせることなく、オーディオファイルの所望の範囲をリピート再生できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<構成>
以下、図面に基づき本発明の実施形態について、オーディオインターフェース装置とコンピュータを接続し、オーディオインターフェース装置から各種のオーディオ信号を取り込んでコンピュータに供給し、コンピュータで適宜編集等して録音する、あるいはインターネットを介して外部に出力する(インターネット生放送)技術において、リピート再生を行う場合を例にとり説明する。
【0021】
図1は、本実施形態のシステム構成図である。本実施形態のオーディオシステムは、パーソナルコンピュータ(PC)10とオーディオインターフェース装置14を備え、PC10とオーディオインターフェース装置14は、例えばUSBケーブル12で相互にデータ送受可能に接続される。
【0022】
PC10は、本実施形態におけるオーディオ装置として機能し、オーディオデータを入力、編集、出力するためのソフトウェアがインストールされ、当該ソフトウェアを用いてオーディオデータの入出力、編集、及び再生を行う。再生には、リピート再生が含まれる。
【0023】
オーディオインターフェース装置14は、アンプ、複数チャンネルのアナログ入力端子及びアナログ出力端子を備え、PC10との間でオーディオ信号及び各種制御信号を送受する。オーディオインターフェース装置14は、マイク入力端子16、内蔵マイク18、レベルメータ20、ヘッドホン出力調整ボタン28を備え、さらに、複数のボタンからなるポン(PON)出しスイッチ22、各種の効果音を生成するエフェクトスイッチ24、オンエアースイッチ26を備える。
【0024】
ポン出しスイッチ22は、「ポン出し1」、「ポン出し2」、及び「ポン出し3」の3つのポン出しスイッチから構成される。ユーザがポン出しスイッチ22を押下操作すると、オーディオインターフェース装置14は再生出力指示信号をPC10に供給し、PC10は、当該再生出力指示信号に応じてオーディオ信号を再生して出力する。PC10がインターネットに接続されており、PC10で再生したオーディオ信号をインターネットを介して外部に出力し得る場合(インターネット生放送)、オンエアースイッチ26がオンの状態で、ユーザがポン出しスイッチ22を操作することでオーディオ信号が再生されてインターネットに出力される。ポン出しスイッチ22を構成する3つのスイッチ、すなわち「ポン出し1」、「ポン出し2」、「ポン出し3」には、予め所望のオーディオファイルを割り当てることができ、ユーザはこれら3つのポン出しスイッチ「ポン出し1」、「ポン出し2」、「ポン出し3」のいずれかを押下操作することで、予め割り当てたオーディオファイルを再生して出力すべくPC10を制御することができる。
【0025】
エフェクトスイッチ24は、オーディオ信号に対して所定の効果音を付加するためのスイッチである。所定の効果音は任意であるが、例えばリバーブ(残響音)を付加する処理である。
【0026】
オンエアースイッチ26は、PC10に対してインターネットを介しリアルタイムで出力することを指示するスイッチである。ユーザがオンエアースイッチ26をオン操作することで、例えばマイク入力端子16から入力されたオーディオ信号をPC10からインターネットに出力し、あるいは「ポン出し1」を操作することで「ポン出し1」に予め割り当てられたオーディオファイルを再生してインターネットに出力することができる。
【0027】
図2は、本実施形態におけるシステムの構成ブロック図を示す。
【0028】
PC10は、CPU50、ROM52、RAM54、メモリ56、ディスプレイ58、通信インターフェースI/F60、及びUSBコネクタ62を備える。なお、これ以外にも、マウスやキーボード等の公知の入出力インターフェースを備える。
【0029】
1又は複数のCPU50は、ROM52あるいはハードディスク等に記憶された処理プログラムを読み出し、RAM54をワーキングメモリとして用いて処理プログラムを実行することで本実施形態の各種機能を実現する。特に、CPU50は、オーディオファイルを再生する場合に、再生用ソフトウェアを起動して再生するが、オーディオファイルをリピート再生する場合に、複数の再生用ソフトウェアを同時に起動・制御することでリピート再生を実行する。
【0030】
メモリ56は、オーディオファイルその他のファイルを記憶する。オーディオファイルのフォーマットは任意であるが、例えばWAVやMP3である。その他のファイルも任意であり、文書データや画像データ、あるいは動画データであってもよい。
【0031】
ディスプレイ58は、CPU50からの制御指令に基づいて各種の情報を表示する。例えば、オーディオインターフェース装置14と連動させるべく、オーディオインターフェース装置14の各スイッチ、具体的にはポン出しスイッチ22、エフェクトスイッチ24、及びオンエアースイッチ26に対応する仮想スイッチを表示する。
【0032】
通信I/F60は、通信回線としてのインターネットと接続するためのインターフェースである。インターネットとの接続は、有線無線を問わない。
【0033】
USBコネクタ62は、オーディオインターフェース装置14とUSB接続するためのコネクタである。図では、オーディオインターフェース装置14側のUSBコネクタ49とUSBケーブル12を介して接続される様子を模式的に示す。
【0034】
CPU50は、ユーザ操作に応じ、ユーザ所望のオーディオファイルを予めポン出しスイッチ22の3つのスイッチにそれぞれ割り当てる。すなわち、CPU50は、ユーザ操作に応じ、メモリ56に記憶されているファイルのいずれかとポン出しスイッチ22のいずれかのスイッチとを関連付ける。例えば、メモリ56に記憶されている「AAA.wav」なるオーディオファイルを「ポン出し1」に関連付け、「BBB.wav」なるオーディオファイルを「ポン出し2」に関連付ける。なお、「関連付ける」とは、具体的には当該オーディオファイルのパスを「ポン出し1」に登録することを意味する。ユーザは、例えば、メモリ56に記憶されているファイル一覧をディスプレイ58に表示させ、ドラッグアンドドロップ操作等により所望のオーディオファイルアイコンをポン出しスイッチ22に対応する仮想スイッチにドロップすることで割り当てる(関連付ける)ことができる。
【0035】
CPU50は、さらに、割り当て状態を示すデータをUSB接続されたオーディオインターフェース装置14にも供給する。これにより、PC10とオーディオインターフェース装置14とで割り当て状態が共有される。
【0036】
オーディオインターフェース装置14は、上記のマイク入力端子16、内蔵マイク18、ポン出しスイッチ22、エフェクトスイッチ24、オンエアースイッチ26に加え、外部入力端子30、出力端子32、切替スイッチ19,47、アンプ34,40,46、アナログデジタル変換器(ADC)36,42、デジタルアナログ変換器(DAC)44、リバーブ付加器(REVERB)38、及びプロセッサ48を備える。
【0037】
マイク入力端子16及び内蔵マイク18から入力されたオーディオ信号は、切替スイッチ19で選択的に切り替えられ、アンプ34を介してADC36でデジタルオーディオ信号に変換される。デジタルオーディオ信号は、ユーザによるエフェクトスイッチ24の操作に応じてリバーブ付加器38で適宜リバーブが付加され、ステレオバスに出力される。また、外部入力端子(AUX IN)30から入力されたオーディオ信号は、アンプ40を介してADC42でデジタルオーディオ信号に変換され、ステレオバスに出力される。
【0038】
また、マイク入力端子16、内蔵マイク18、外部入力端子30から入力されたオーディオ信号、あるいはPC10から供給されたオーディオ信号は、ステレオバスを介してDAC44でアナログオーディオ信号に変換され、アンプ46からヘッドホン端子等の出力端子32から出力される。アンプ46のゲインはヘッドホン出力調整ボタン28で調整される。
【0039】
PC10と接続するためのUSBコネクタ49は、切替スイッチ47を介してステレオバスに接続される。切替スイッチ47は、オンエアースイッチ26と連動し、オンエアースイッチ26がオン操作されると接点がオンとなり、オーディオインターフェース装置14からPC10へのオーディオ信号の出力が開始される。他方、オンエアースイッチ26の操作とは無関係に、PC10からオーディオインターフェース装置14への制御信号はプロセッサ48に供給される。
【0040】
プロセッサ48は、オーディオインターフェース装置14の各部の動作を制御する。プロセッサ48は、ポン出しスイッチ22、エフェクトスイッチ24、オンエアースイッチ26からの操作信号に応じて動作を制御する。すなわち、ポン出しスイッチ22からの操作信号に応じてPC10に対して再生指示信号を出力する。ポン出しスイッチ22の「ポン出し1」が押下操作された場合には「ポン出し1」用の再生指示信号を出力し、「ポン出し2」が押下操作された場合には「ポン出し2」用の再生指示信号を出力し、「ポン出し3」が押下操作された場合には「ポン出し3」用の再生指示信号を出力する。再生指示信号には、ポン出しスイッチ22を押下操作したときの押圧力に応じたレベル信号も含まれる。このレベル信号は、再生出力する際の音量を制御する信号である。音量以外にも、押圧力に応じてエフェクトや音程を制御してもよい。PC10のCPU50は、これらの再生指示信号を受信すると、予め「ポン出し1」、「ポン出し2」、「ポン出し3」に割り当てられたオーディオファイルを再生し、押圧力に応じた音量レベルで出力する。また、エフェクトスイッチ24からの操作信号に応じてリバーブ付加器38を動作させてリバーブを付加する。また、オンエアースイッチ26からの操作信号に応じてPC10に対して信号出力開始(放送開始)指示信号あるいは信号出力停止(放送停止)指示信号を出力するとともに、切替スイッチ47をオンオフ制御する。
【0041】
<オーディオファイルの割り当て(アサイン)>
図3は、PC10上でユーザがポン出しスイッチ22に所望のオーディオファイルを割り当てる場合の模式図を示す。
【0042】
PC10のCPU50は、処理プログラムを実行することでディスプレイ58に
図3に示す画面を表示する。画面には、オーディオインターフェース装置14の物理的なポン出しスイッチ22を構成する3つのスイッチ「ポン出し1」、「ポン出し2」、「ポン出し3」のそれぞれに対応する仮想スイッチ78,80,82が表示され、また、オーディオインターフェース装置14の物理的なオンエアースイッチ26に対応する仮想スイッチ84が表示される。なお、仮想スイッチ78,80,82のそれぞれの右上のアイコン79,81,83は、割り当てたオーディオファイルをリピート再生することを指示するアイコンである。また、音量(トーク弱、トーク強、シング弱、シング強等)やリバーブ、効果(リバーブ以外の効果)を表示する表示部70,72,74が表示される。さらに、メモリ56に記憶されている各種ファイルの一覧76が表示される。なお、ファイル一覧76は、Windows(登録商標)のエクスプローラで表示した一覧でもよい。
【0043】
ユーザは、ファイル一覧76内に表示されたファイル群のうち、ポン出しスイッチ22に割り当てるファイルを選択し、ドラッグアンドドロップ操作を行って仮想スイッチ78〜82のいずれかに割り当てる。また、仮想スイッチ78〜82を押すことによってファイル選択画面(ファイル一覧76やエクスプローラのようなツリー画面等)を表示するようにしてもよい。
【0044】
例えば、オーディオファイル「AAA.wav」を「ポン出し1」に割り当てる場合、オーディオファイル「AAA.wav」を「ポン出し1」に対応する仮想スイッチ78にドラッグアンドドロップする。図において、矢印100は、オーディオファイル「AAA.wav」を仮想スイッチ78にドラッグアンドドロップする様子を示す。また、オーディオファイル「BBB.wav」を「ポン出し2」に割り当てる場合、オーディオファイル「BBB.wav」を「ポン出し2」に対応する仮想スイッチ80にドラッグアンドドロップする。図において、矢印200は、オーディオファイル「BBB.wav」を仮想スイッチ80にドラッグアンドドロップする様子を示す。
【0045】
なお、ドラッグアンドドロップによりいずれかのファイルが割り当てられると、CPU50は、当該割り当てが正常か否かを判定し、その結果をディスプレイ58に表示してもよい。
【0046】
次に、1又は複数のCPU50で実行されるオーディオファイルのリピート再生について説明する。
【0047】
<リピート再生>
図4は、CPU50で実行されるオーディオファイルを再生する再生ソフトウェアを模式的に示す。1又は複数のCPU50は、あるオーディオファイル(図では「AAA.wav」を例示する)を再生する際に、2つの再生ソフトウェア、具体的にはメディアプレーヤA及びメディアプレーヤBを起動する。メディアプレーヤAは第1のプレーヤアプリケーションとして機能し、メディアプレーヤBは第2のプレーヤアプリケーションとして機能する。メディアプレーヤA及びメディアプレーヤBは、同種類のソフトウェアである。1個のCPU50の場合にはこれらのメディアプレーヤA,Bを時分割で並列処理し、複数のCPU50の場合には各CPUでメディアプレーヤA,Bを個別に処理してもよい。CPU50は、例えばメディアプレーヤAをメインプレーヤとし、メディアプレーヤBをサブプレーヤとして動作させる。オーディオファイルの再生時には、メディアプレーヤAでまず再生し、メディアプレーヤBは、再生前処理を完了し、再生開始位置にて待機状態としておく。そして、リピート再生しない場合にはそのまま終了する。他方、リピート再生する場合、CPU50は、オーディオファイルの再生後にメディアプレーヤAを終了させ、これとともに待機状態としたメディアプレーヤBの待機状態を解除してメディアプレーヤBでオーディオファイルを再生する。すなわち、単一のオーディオプレーヤで繰り返しオーディオファイルを再生するのではなく、2つのオーディオファイルA,Bで交互に再生することでリピート再生を実行する。
【0048】
図5は、メディアプレーヤA,Bの実行状態を模式的に示す。
図5(a)はメディアプレーヤA、
図5(b)はメディアプレーヤBの実行状態をそれぞれ示す。
【0049】
ユーザがポン出しスイッチ22のいずれかを押下操作することにより再生開始指示を受けると、CPU50は、メディアプレーヤA,Bをともに起動し、所定の開始処理を実行する。すなわち、メディアプレーヤAのみならず、メディアプレーヤBもメディアプレーヤAに連動させて自動的に起動する。そして、開始処理の終了後、メディアプレーヤAでオーディオファイルの始点からの再生を開始するが、メディアプレーヤBは開始処理の終了後、始点からの再生の待機状態とする。
【0050】
メディアプレーヤAでのオーディオファイルの再生中も、メディアプレーヤBについては待機状態をそのまま維持する。
【0051】
メディアプレーヤAでオーディオファイルの終点に達し、その再生が終了すると、メディアプレーヤAの終了処理を実行する。他方、このタイミングでメディアプレーヤBの待機状態を解除して、メディアプレーヤBで当該オーディオファイルの始点からの再生を開始する。
【0052】
メディアプレーヤBでのオーディオファイルの再生中は、メディアプレーヤAについては再び開始処理を実行し始点からの再生の待機状態とする。
【0053】
メディアプレーヤBでオーディオファイルの終点に達し、その再生が終了すると、メディアプレーヤBの終了処理を実行する。他方、このタイミングでメディアプレーヤAの待機状態を解除して、メディアプレーヤAで当該オーディオファイルの始点からの再生を開始する。
【0054】
以上の処理を繰り返し実行し、メディアプレーヤA,Bで交互にオーディオファイルを再生することで、オーディオファイルのリピート再生を実行する。
【0055】
図6は、CPU50の処理フローチャートを示す。
【0056】
CPU50は、ユーザからの指示に応じてメディアプレーヤAでオーディオファイルを再生し、メディアプレーヤBを当該オーディオファイルの始点で待機状態とする(S101)。ここで、待機状態とは、ポーズ(pause)状態あるいは一時停止状態を意味し、その状態から直ちに再生状態に移行できることを意味する。
【0057】
次に、CPU50は、メディアプレーヤAでの再生が終了したか否かを判定する(S102)。つまり、オーディオファイルの終点に達したか否かを判定する。オーディオファイルの終点に達していない場合には、引き続きメディアプレーヤAでの再生を行い、メディアプレーヤBはオーディオファイルの始点での待機状態を維持する。
【0058】
オーディオファイルの終点に達してメディアプレーヤAでの再生が終了した場合、次に、CPU50は、ユーザからのリピート要求があるか否かを判定する(S103)。
【0059】
リピート要求のタイミングを問わず(オーディオファイルの再生開始前かあるいは再生中かを問わず)、リピート要求がなければそのまま処理を終了する。すなわち、メディアプレーヤAについては終了処理を実行して停止し、メディアプレーヤBについても待機状態から終了処理を実行して停止する。
【0060】
他方、リピート要求がある場合には、CPU50は、メディアプレーヤBの待機状態を解除し(S104)、メディアプレーヤBでオーディオファイルの再生を開始する(S105)。また、メディアプレーヤAについてはオーディオファイルの始点で待機状態とする(S106)。メディアプレーヤBでの再生が終了した場合には、再びメディアプレーヤAで再生し、メディアプレーヤBは始点で待機状態とする。
【0061】
なお、CPU50は、メディアプレーヤA,Bの2つのソフトウェアでオーディオファイルを再生していることをユーザに報知する必要はなく、例えばメディアプレーヤAで再生している旨のみをディスプレイ58に表示すればよい。この場合、メディアプレーヤBはバックグラウンドでオーディオファイルを再生しているといえる。
【0062】
本実施形態では、2つのメディアプレーヤA,Bで交互にオーディオファイルを再生するので、リピート再生の有無にかかわらず予め所定時間分の音声データをメモリに記憶しておく必要がない。また、一方のメディアプレーヤでの再生が終了したタイミングで他方のメディアプレーヤの待機状態を解除して直ちに再生を開始するので、途切れやタイムラグが生じることなく、かつ、複雑な音声データ繋ぎ合わせ処理を行う必要もなく、リピート再生が可能となる。
【0063】
上記の例では、オーディオファイルの始点から終点までをリピート再生する場合について説明したが、オーディオファイルの任意の開始点から任意の終了点までの区間をリピート再生してもよい。
【0064】
図7は、この場合のリピート再生を模式的に示す。ユーザは、オーディオファイル(例えば「AAA.wav」)の始点Sと終点Eとの間の任意の開始点P1と任意の終了点P2の間の区間P1−P2をリピート再生区間に指定する。CPU50は、開始点P1及び終了点P2をメモリに記憶し、開始点P1から一方のメディアプレーヤでの再生を開始するとともに他方のメディアプレーヤを待機状態とし、一方のメディアプレーヤでの再生が終了点P2で終了したタイミングで他方のメディアプレーヤの待機状態を解除して直ちに開始点P1から再生を開始することでリピート再生する。
【0065】
図8は、この場合のCPU50の処理フローチャートを示す。
【0066】
CPU50は、ユーザからの指示に応じて開始点P1からメディアプレーヤAでオーディオファイルを再生し、メディアプレーヤBを当該オーディオファイルの開始点P1で待機状態とする(S201)。
【0067】
次に、CPU50は、メディアプレーヤAでの再生が終了したか否かを判定する(S202)。つまり、オーディオファイルの終了点P2に達したか否かを判定する。オーディオファイルの終了点P2に達していない場合には、引き続きメディアプレーヤAでの再生を行い、メディアプレーヤBはオーディオファイルの開始点P1での待機状態を維持する。
【0068】
オーディオファイルの終了点P2に達してメディアプレーヤAでの再生が終了した場合、次に、CPU50は、ユーザからのリピート要求があるか否かを判定する(S203)。
【0069】
リピート要求のタイミングを問わず(オーディオファイルの再生開始前かあるいは再生中かを問わず)、リピート要求がなければそのまま処理を終了する。すなわち、メディアプレーヤAについては終了処理を実行して停止し、メディアプレーヤBについても待機状態から終了処理を実行して停止する。
【0070】
他方、リピート要求がある場合には、CPU50は、メディアプレーヤBの待機状態を解除し(S204)、メディアプレーヤBで開始点P1からオーディオファイルの再生を開始する(S205)。また、メディアプレーヤAについてはオーディオファイルの開始点P1で待機状態とする(S206)。メディアプレーヤBでの再生が終了した場合には、再びメディアプレーヤAで再生し、メディアプレーヤBは開始点P1で待機状態とする。
【0071】
本実施形態では、1つ又は複数のCPU50で2つのメディアプレーヤA,Bを起動して実行する場合について示したが、これに限定されず、CPU50の処理能力及びメモリ容量に応じて3つあるいは必要に応じてそれ以上のメディアプレーヤを起動して実行してもよい。
【0072】
図9は、3つのメディアプレーヤA,B,Cを起動して実行する場合を示す。
図9(a)はメディアプレーヤA、
図9(b)はメディアプレーヤB、
図9(c)はメディアプレーヤCの実行状態をそれぞれ示す。
【0073】
ユーザからの再生開始指示を受けると、CPU50は、メディアプレーヤA,B,Cを起動し、所定の開始処理を実行する。そして、開始処理の終了後、メディアプレーヤAでオーディオファイルの始点からの再生を開始するが、メディアプレーヤB,Cは開始処理の終了後、始点からの再生の待機状態とする。
【0074】
メディアプレーヤAでのオーディオファイルの再生中も、メディアプレーヤB,Cについては待機状態をそのまま維持する。
【0075】
メディアプレーヤAでオーディオファイルの終点に達し、その再生が終了すると、メディアプレーヤAの終了処理を実行する。他方、このタイミングでメディアプレーヤBの待機状態を解除して、メディアプレーヤBで当該オーディオファイルの始点からの再生を開始する。メディアプレーヤCは待機状態のまま維持する。
【0076】
メディアプレーヤBでオーディオファイルの終点に達し、その再生が終了すると、メディアプレーヤBの終了処理を実行する。他方、このタイミングでメディアプレーヤCの待機状態を解除して、メディアプレーヤCで当該オーディオファイルの始点からの再生を開始する。
【0077】
このように、メディアプレーヤA,B,Cで交互に再生することによっても、リピート再生が可能である。メディアプレーヤAの再生中に、メディアプレーヤB,Cが待機するポイントを互いに異ならせてもよい。
【0078】
図10は、さらに別のリピート再生を模式的に示す。ユーザは、オーディオファイル(例えば「AAA.wav」)の始点Sと終点Eとの間の任意の第1の開始点P1と任意の第1の終了点P2の間の区間P1−P2、及び第2の開始点P3と第2の終了点P4をリピート再生区間に指定する。すなわち、まずは区間P1−P2を再生し、その後にP2からP3までスキップして区間P3−P4を再生し、P1―P2の再生とその後のP3−P4の再生を繰り返すようなリピート再生である。
【0079】
CPU50は、ユーザからの指示に応じて第1開始点P1からメディアプレーヤAでオーディオファイルを再生し、メディアプレーヤBを当該オーディオファイルの第2開始点P3で待機状態とする。
【0080】
次に、CPU50は、メディアプレーヤAでの再生が第1終了点P2に達した場合、メディアプレーヤAでの再生を終了し、これとともに、メディアプレーヤBの待機状態を解除してメディアプレーヤBで第2開始点P3からオーディオファイルの再生を開始する。また、メディアプレーヤAについてはオーディオファイルの第1開始点P1で待機状態とする。メディアプレーヤBでの再生が第2終了点P4に達した場合には、メディアプレーヤAの待機状態を解除して第1開始点P1から再生を開始し、メディアプレーヤBについては第2開始点P3で待機状態とする。
【0081】
すなわち、
区間P1−P2:メディアプレーヤAで再生
区間P3−P4:メディアプレーヤBで再生
するようにし、メディアプレーヤA,Bを交互に再生状態とすることで途切れなくリピート再生できる。
【0082】
図11は、さらに別のリピート再生を模式的に示す。ユーザは、オーディオファイル(例えば「AAA.wav」)の始点Sと終点Eとの間の任意の第1の開始点P1と任意の第1の終了点P2の間の区間P1−P2を指定するとともに、別のオーディオファイル(例えば「BBB.wav」)の始点Sと終点Eとの間の任意の第2の開始点P3と第2の終了点P4を指定し、これらの区間P1−P2,P3−P4をリピート再生区間に指定する。すなわち、まずはオーディオファイル「AAA.wav」の区間P1−P2を再生し、その後にオーディオファイル「BBB.wav」の区間P3−P4を再生し、P1―P2の再生とその後のP3−P4の再生を繰り返すようなリピート再生である。
【0083】
CPU50は、ユーザからの指示に応じてオーディオファイル「AAA.wav」の第1開始点P1からメディアプレーヤAでオーディオファイルを再生し、メディアプレーヤBをオーディオファイル「BBB.wav」の第2開始点P3で待機状態とする。
【0084】
次に、CPU50は、メディアプレーヤAでの再生が第1終了点P2に達した場合、メディアプレーヤAでの再生を終了し、これとともに、メディアプレーヤBの待機状態を解除してメディアプレーヤBで第2開始点P3からオーディオファイル「BBB.wav」の再生を開始する。また、メディアプレーヤAについてはオーディオファイル「AAA.wav」の第1開始点P1で待機状態とする。メディアプレーヤBでの再生が第2終了点P4に達した場合には、メディアプレーヤAの待機状態を解除してオーディオファイル「AAA.wav」の第1開始点P1から再生を開始し、メディアプレーヤBについてはオーディオファイル「BBB.wav」の第2開始点P3で待機状態とする。
【0085】
なお、
図11において、さらにオーディオファイル「AAA.wav」について、ユーザが区間P1−P2とは別の区間P5−P6を指定し、
P1−P2→P3−P4→P5−P6→P1−P2→・・・
のようなリピート再生を指定した場合、メディアプレーヤAで区間P1−P2を再生し、メディアプレーヤBで区間P3−P4を再生し、メディアプレーヤCで区間P5−P6を再生してもよい。すなわち、メディアプレーヤAで区間P1−P2を再生中はメディアプレーヤBについては開始点P3で待機状態とするとともにメディアプレーヤCについては開始点P5で待機状態とし、メディアプレーヤAで区間P1−P2の再生が終了したタイミングでメディアプレーヤBの待機状態を解除して区間P3−P4の再生を開始し、メディアプレーヤBで区間P3−P4の再生が終了したタイミングでメディアプレーヤCの待機状態を解除して区間P5―P6の再生を開始し、メディアプレーヤCで区間P5−P6の再生が終了したタイミングでメディアプレーヤAの待機状態を解除して区間P1−P2の再生を開始する。
【0086】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。以下に、変形例について説明する。
【0087】
<変形例1>
実施形態では、オーディオインターフェース装置14と接続されるPC10としてオーディオ装置を説明したが、これに限らず、内蔵あるいは外部から供給されたオーディオファイルを再生する任意のオーディオ装置に適用することができる。また、実施形態における「メディアプレーヤ」は、オーディオファイルを再生し得る任意のソフトウェアあるいはプログラムモジュールでよく、PC10のオペレーティングシステム(OS)が提供するサウンドドライバを呼び出すことでオーディオファイルを再生すればよい。
【0088】
<変形例2>
実施形態では、ポン出しスイッチ22のそれぞれに対応させて複数(例えば2つ)のメディアプレーヤを起動しているが、特定のポン出しスイッチ22のみで複数のメディアプレーヤを起動してもよい。あるいは、ユーザが指定したポン出しスイッチ22のみで複数のメディアプレーヤを起動してもよい。
【0089】
<変形例3>
実施形態では、一方のメディアプレーヤで再生中に他方のメディアプレーヤを所望の位置で待機状態とし、一方のメディアプレーヤの再生終了と同時に他方のメディアプレーヤの待機状態を解除して直ちに(途切れあるいはタイムラグ無く)再生を開始しているが、タイマーなどを用いて意図的に他方のメディアプレーヤの待機状態解除タイミングを調整することで、意図的にタイムラグを導入することも可能である。この場合のタイムラグは、システム構成上必然的に生じるタイムラグではなく、ユーザが増減調整可能なタイムラグであることに留意すべきである。
【0090】
<変形例4>
実施形態では、オーディオファイルのリピート再生について説明したが、CPU50で実行すべき任意の処理をジョブとし、当該ジョブを実行するソフトウェアをアプリケーション(アプリ)とした場合に、あるジョブを実行する際に同種のアプリを複数起動しておき、一方のアプリでジョブを実行中は他方のアプリを当該ジョブの任意の点において待機状態としておき、一方のアプリのジョブ実行の終了タイミングで他方のアプリの待機状態を解除して直ちに当該他方のアプリでジョブを開始する場合にも適用し得る。あるいは、連続して実行される可能性の高い第1のアプリと第2のアプリが存在する場合に、第1のアプリの起動のタイミングで同時に第2のアプリもバックグラウンドで起動し、待機状態に維持して第1のアプリの実行が終了したタイミングで第2のアプリの待機状態を解除してもよい。これにより、複数のアプリ間の切換におけるタイムラグを解消し得る。この場合、実施形態におけるメディアプレーヤAは、オーディオファイルを再生する第1のプレーヤアプリケーション、メディアプレーヤBは、オーディオファイルを再生する第2のプレーヤアプリケーションといえる。コンピュータにおける「マルチタスク」は公知であるが、第1のアプリの実行が終了したタイミングで自動的に(ユーザが意識することなく)、第2のアプリの待機状態が解除されて第2のアプリによる実行が開始される点が異なる。
【0091】
<変形例5>
実施形態では、
図10に示すように、区間P1−P2を再生し、その後にP2からP3までスキップして区間P3−P4を再生し、その後に再び区間P1−P2を繰り返し再生するリピート再生を説明したが、単に、区間P1−P2を再生し、その後にP2からP3までスキップして区間P3−P4を再生して終了する場合にも同様に適用し得ることは言うまでもない。
図11の場合についても同様である。すなわち、本発明は、リピート再生、スキップ再生、リピート再生とスキップ再生の組合せのいずれにも適用し得る。