(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記従来の蓄電素子では、容器内において、電極体と集電体との接続部分の周辺にデッドスペースが発生する場合がある。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、電極体と集電体との接続部分周辺のデッドスペースを減らし、容器内に占める電極体の割合を大きく確保できる蓄電素子を提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、電極体と、前記電極体に接続された集電体と、前記電極体及び前記集電体を収容した容器とを備える蓄電素子であって、前記容器は、凹部を有し、前記電極体と接続している前記集電体の接続部分は、前記凹部に収容されており、前記電極体は、前記集電体と接続している接続部分を含むタブ部を有し、前記タブ部は、屈曲部を有する。
【0012】
これによれば、電極体と接続している集電体の接続部分が容器の凹部に収容されていることにより、当該接続部分周辺のデッドスペースが減り、容器内に占める電極体の割合を大きく確保できる。
【0013】
また、電極体がタブ部を有することにより、容易に、電極体と集電体との接続部分を容器の凹部に収容することができる。更に、屈曲部を有することにより、容器内のデッドスペースをさらに削減することができる。
【0014】
また、前記屈曲部は、前記凹部に収容されていてもよい。
【0015】
また、屈曲部が凹部に収容されていることにより、容器内のデッドスペースをさらに削減することができる。よって、容器内に占める電極体の割合をさらに大きく確保できる。
【0016】
また、前記タブ部は、前記集電体に平行に延設される前記電極体の接続部分と、当該接続部分から屈曲する前記屈曲部とを有することにしてもよい。
【0017】
また、前記集電体と接続している前記電極体の接続部分が、前記凹部に収容されていることにしてもよい。
【0018】
ここで、集電体と接続している電極体の接続部分は発電に寄与しない部分であるため、当該接続部分を凹部に収容することにより、容器内に占める発電に寄与する部分の割合を大きく確保できる。
【0019】
また、前記タブ部は、前記電極体を構成する積層された複数の極板から突出した部分が束ねられて形成され、前記凹部の内面に対向する位置に配置されていることにしてもよい。
【0020】
これによれば、タブ部が凹部の内面に対向する位置に配置されていることにより、タブ部の長さを短くできるため、容器内のデッドスペースをさらに削減することができる。
【0021】
また、さらに、前記凹部の内面を覆う絶縁部材を備えることにしてもよい。
【0022】
これによれば、凹部の内面が絶縁部材で覆われていることにより、凹部内に位置する電極体及び集電体と容器との絶縁を確保できる。
【0023】
また、前記絶縁部材は、さらに、前記凹部の周囲に位置する前記容器の内面を覆うことにしてもよい。
【0024】
これによれば、絶縁部材が凹部の周囲に位置する容器の内面を覆うことにより、電極体と容器との絶縁をより確実に確保できる。
【0025】
また、さらに、前記容器と前記集電体とを締結する締結部を備え、前記締結部の前記容器内方側の先端部分は、前記凹部内に配置されていることにしてもよい。
【0026】
これによれば、締結部の容器内方側の先端部分が凹部内に配置されていることにより、容器内における電極体の配置空間として利用できる割合をより大きくすることができる。
【0027】
また、前記容器は、容器本体と蓋体とを含み、前記凹部は、前記蓋体が外方に突出した部分の内方に形成されていることにしてもよい。
【0028】
このように、凹部が、蓋体が外方に突出した部分の内方に形成されていることにより、容器本体に形成されている場合と比べて、プレス加工等により容易に凹部を形成することができる。
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造方法及びその順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密には一致しない。
【0030】
(実施の形態)
まず、蓄電素子10の構成について、詳細に説明する。
【0031】
図1は、実施の形態に係る蓄電素子10の外観を模式的に示す斜視図である。また、
図2は、実施の形態に係る蓄電素子10の分解斜視図である。
【0032】
なお、
図1及び以降の図では、説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明している箇所があるが、実際の使用態様において、Z軸方向が上下方向になるとは限らない。
【0033】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。例えば、蓄電素子10は、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等に適用される。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0034】
図1に示すように、蓄電素子10は、容器100と、正極端子200と、負極端子300とを備えている。また、
図2に示すように、容器100内方には、正極集電体140と、負極集電体150と、複数の電極体400(本実施の形態では、2つの電極体401及び402)が収容されている。また、蓄電素子10はさらに、蓋体110の下側(Z軸方向マイナス側)に配置された下部絶縁部材120、130と、下部絶縁部材120、130に対向する位置で蓋体110の上側(Z軸方向プラス側)に配置された上部絶縁部材125、135とを備える。
【0035】
なお、上記の構成要素の他、電極体400と容器100の内壁との間に配置されるスペーサ、容器100内の圧力が上昇したときに当該圧力を開放するための安全弁、または、電極体400等を包み込む絶縁フィルムなどが配置されていてもよい。また、蓄電素子10の容器100の内部には電解液(非水電解質)などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。
【0036】
容器100は、矩形筒状で底を備える本体111と、本体111の開口を閉塞する板状部材である蓋体110とで構成されている。また、容器100は、電極体400等を内部に収容後、蓋体110と本体111とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、蓋体110及び本体111の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0037】
容器100には外方に突出する凸部が設けられており、本実施の形態では、容器100の蓋体110に凸部112、113が設けられている。具体的には、凸部112、113は、正極端子200及び負極端子300の下方(Z軸方向マイナス側)に位置し、例えばプレス加工(絞り加工)によって板状部材の一部が突出することにより成形される部分(蓋板絞り部)である。つまり、蓋体110は、凸部112、113において外方に突出する、例えば肉厚が略一定の肉厚の部材である。ここで、「略一定」とは、完全に一定である必要はなく、概ね一定であればよい。
【0038】
このため、凸部112の内方(蓋体110の裏側)には、当該凸部112の突出による凹部114が形成されている。また、凸部113の内方についても同様に、凹部115が形成されている。
【0039】
このように構成された凹部114、115には、電極体400(電極体401、402)と集電体(正極集電体140、負極集電体150)との接続部分が収容される。具体的には、凹部114には、電極体400の正極と正極集電体140との接続部分(以降、「正極側の接続部分」と称する場合あり)が収容され、凹部115には、電極体400の負極と負極集電体150との接続部分(以降、「負極側の接続部分」と称する場合あり)が収容される。この詳細については後述する。
【0040】
下部絶縁部材120、130及び上部絶縁部材125、135は、容器100の蓋体110と、電極端子(正極端子200、負極端子300)及び集電体(正極集電体140、負極集電体150)とを電気的に絶縁する部材である。
【0041】
下部絶縁部材120は、正極集電体140と蓋体110とを電気的に絶縁する部材であり、下部絶縁部材130は、負極集電体150と蓋体110とを電気的に絶縁する部材である。下部絶縁部材120は、蓋体110に形成された凹部114の内面を覆うように配置され、さらに、当該凹部114の周囲に位置する蓋体110の内面を覆うように配置される。
【0042】
具体的には、下部絶縁部材120には、凹部114の内面を覆うように上方(Z軸方向プラス側)に突出する凸部が形成され、当該凸部の裏側には、正極側の接続部分が収容される凹部121が形成されている。このため、当該凹部121の少なくとも一部は、蓋体110に形成された凹部114の内方に位置することとなる。これにより、下部絶縁部材120に形成された凹部121に収容される正極側の接続部分は、蓋体110に形成された凹部114に収容されることとなる。
【0043】
下部絶縁部材130についても、下部絶縁部材120と同様に構成され、裏側(Z軸方向マイナス側)に負極側の接続部分が収容される凹部131が形成されている。そして、下部絶縁部材130は、負極側の構成(凹部115及び負極側の接続部分等)との位置関係が、下部絶縁部材120と正極側の構成(凹部114及び正極側の接続部分等)との位置関係と同様になるように、配置されている。
【0044】
上部絶縁部材125は、正極端子200と蓋体110とを電気的に絶縁する部材であり、上部絶縁部材135は、負極端子300と蓋体110とを電気的に絶縁する部材である。上部絶縁部材125の上下方向両側(Z軸方向両側)には凹部が形成されており、下側に形成された凹部に凸部112の少なくとも一部が収容され、上側に形成された凹部に正極端子200の少なくとも一部が収容される。このような構成により、正極端子200が容器100の外方に突出した部分(凸部112)に配置される場合であっても、正極端子200と容器100との絶縁をより確実に確保することができる。
【0045】
上部絶縁部材135についても、上部絶縁部材125と同様に構成され、負極側の構成(凸部113等)に関係して配置される。
【0046】
なお、下部絶縁部材120、130は、蓋体110の下側のパッキン(下パッキン)であり、上部絶縁部材125、135は、蓋体110の上側のパッキン(上パッキン)である。つまり、本実施の形態では、下部絶縁部材120、130及び上部絶縁部材125、135は、容器100と当該容器100を貫通する締結部210、310(後述する)との間を封止する機能も有している。また、下部絶縁部材120、130及び上部絶縁部材125、135は、例えばポリカーボネートやポリプロピレン(PP)等の絶縁性の樹脂により形成されているが、絶縁性を有する部材であればどのような材質で形成されていてもかまわない。
【0047】
正極端子200は、正極集電体140を介して、電極体400の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、負極集電体150を介して、電極体400の負極に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体400に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体400に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。また、正極端子200及び負極端子300は、電極体400の上方に配置された蓋体110に取り付けられている。なお、正極端子200及び負極端子300は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
【0048】
また、正極端子200には、容器100と正極集電体140とを締結する締結部210が設けられ、負極端子300には、容器100と負極集電体150とを締結する締結部310が設けられている。
【0049】
締結部210は、正極端子200から下方に延設された部材(リベット)であり、正極集電体140の貫通孔140aに挿入されてかしめられる。具体的には、締結部210は、上部絶縁部材125の貫通孔125a、蓋体110の貫通孔112a、下部絶縁部材120の貫通孔120a、及び、正極集電体140の貫通孔140aに挿入されてかしめられる。これにより、正極端子200と正極集電体140とが電気的に接続され、正極集電体140は、正極端子200、上部絶縁部材125及び下部絶縁部材120とともに、蓋体110に固定される。
【0050】
締結部310は、負極端子300から下方に延設された部材(リベット)であり、負極集電体150の貫通孔150aに挿入されてかしめられる。具体的には、締結部310は、上部絶縁部材135の貫通孔135a、蓋体110の貫通孔113a、下部絶縁部材130の貫通孔130a、及び、負極集電体150の貫通孔150aに挿入されてかしめられる。これにより、負極端子300と負極集電体150とが電気的に接続され、負極集電体150は、負極端子300、上部絶縁部材135及び下部絶縁部材130とともに、蓋体110に固定される。
【0051】
ここで、締結部210は、正極端子200との一体物として形成されていてもよく、正極端子200とは別部品として作成された締結部210が、かしめまたは溶接などの手法によって正極端子200に固定されていてもかまわない。締結部310と負極端子300との関係についても同様である。
【0052】
正極集電体140は、電極体400と容器100との間に配置され、電極体400と正極端子200とを接続する、導電性と剛性とを備えた部材である。具体的には、正極集電体140は、電極体400の正極側のタブ部410(後述する)と蓋体110との間に配置され、タブ部410と溶接などによって接合される。より具体的には、正極集電体140は、タブ部410と接合された状態で、蓋体110に形成された凹部114に収容されている。なお、正極集電体140は、正極の正極集電箔(正極基材層)と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
【0053】
負極集電体150は、電極体400と容器100との間に配置され、電極体400と負極端子300とを接続する、導電性と剛性とを備えた部材である。具体的には、負極集電体150は、電極体400の負極側のタブ部420(後述する)と蓋体110との間に配置され、タブ部420と溶接などによって接合される。より具体的には、負極集電体150は、タブ部410と接合された状態で、蓋体110に形成された凹部115に収容されている。なお、負極集電体150は、負極の負極集電箔(負極基材層)と同様、銅または銅合金などで形成されている。
【0054】
次に、電極体400(電極体401、402)の構成について、さらに、
図3及び
図4を用いて説明する。なお、本実施の形態では、電極体401と電極体402とは、ほぼ同様の構成を有している。このため、以下では、電極体400の構成として、主として電極体402の構成について説明し、電極体401の構成については簡略化して説明する。
【0055】
図3は、実施の形態に係る各電極体400の構成を示す斜視図である。
図4は、実施の形態において、容器100内に収容された複数の電極体400(電極体401及び電極体402)の構成を示す斜視図である。
【0056】
なお、
図3は、電極体400の巻回状態を一部展開した図であり、タブ部410、420の各々が寄せ集められる前の状態が示されている。また、
図4は、複数の電極体400が並べられて、タブ部410、420の各々が寄せ集められた後の状態が示されている。また、これらの図では、電極体400のタブ部410、420について屈曲状態を展開した状態が示されている。
【0057】
電極体400は、電気を蓄えることができる発電要素であり、
図3に示すように、正極450と負極460とセパレータ470とを備え、当該正極450、負極460及びセパレータ470がY軸方向に積層されて形成されている。具体的には、電極体400は、正極450、負極460及びセパレータ470が巻回されて形成された巻回型の電極体であり、正極集電体140及び負極集電体150と電気的に接続される。
【0058】
正極450は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる長尺帯状の金属箔である正極基材層の表面に、正極活物質層が形成された電極板である。なお、正極活物質層に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、正極活物質として、LiMPO
4、LiMSiO
4、LiMBO
3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO
2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種または2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
【0059】
負極460は、銅や銅合金などからなる長尺帯状の金属箔である負極基材層の表面に、負極活物質層が形成された電極板である。なお、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、負極活物質として、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li
4Ti
5O
12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
【0060】
セパレータ470は、樹脂からなる微多孔性のシートである。なお、蓄電素子10に用いられるセパレータ470は、特に従来用いられてきたものと異なるところはなく、蓄電素子10の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。また、容器100に封入される電解液(非水電解質)としても、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
【0061】
電極体400は、正極450と負極460との間にセパレータ470が挟み込まれるように層状に配置されたものが巻回されて形成されている。正極450は、巻回軸方向の一端において外方に突出する複数の突出部411を有し、負極460も同様に、巻回軸方向の一端において外方に突出する複数の突出部421を有する。ここで、複数の突出部411及び複数の突出部421は、活物質が塗工されず基材層が露出した(活物質層が形成されていない)部分(活物質層非形成部)である。
【0062】
なお、巻回軸とは、正極450及び負極460等を巻回する際の中心軸となる仮想的な軸であり、本実施の形態では、電極体400の中心を通るZ軸方向に平行な直線である。
【0063】
複数の突出部411と複数の突出部421とは、巻回軸方向の同一側の端に配置され、正極450及び負極460が積層されることにより、電極体400の所定の位置で積層される。具体的には、複数の突出部411は、正極450が巻回によって積層されることにより、巻回軸方向の一端において周方向の所定の位置で積層される。また、複数の突出部421は、負極460が巻回によって積層されることにより、巻回軸方向の一端において、複数の突出部411が積層される位置とは異なる周方向の所定の位置で積層される。
【0064】
ここで、本実施の形態では、2つの電極体400(電極体401、402)が並んで配置されている。このため、各電極体400の複数の突出部411、421を束ねる際の作業性向上の観点、または、複数の突出部411、421の長さを短くする観点等から、電極体401と電極体402とは、突出部411、421同士が近くなるように配置されている。具体的には、電極体401では、巻回軸に対してY軸方向プラス側に突出部411、421が形成され、電極体402では、巻回軸に対してY軸方向マイナス側に突出部411、421が形成されている。
【0065】
このような配置により、電極体401の複数の突出部411と電極体402の複数の突出部411とが積層して配置される。電極体401の複数の突出部421及び電極体402の複数の突出部421の関係についても同様である。
【0066】
積層された複数の突出部411は、積層方向の中央に向かって寄せ集められて積層方向で互いに密着することにより、正極側のタブ部410を形成する。つまり、当該タブ部410は、電極体400を構成する積層された複数の正極450から突出した部分(突出部411)が束ねられて形成されている。
【0067】
同様に、複数の突出部421は、積層方向の中央に向かって寄せ集められて積層方向で互いに密着することにより、負極側のタブ部420を形成する。つまり、当該タブ部420は、電極体400を構成する積層された複数の負極460から突出した部分(突出部421)が束ねられて形成されている。
【0068】
このように、電極体401、402は、外方に突出するタブ部410、420を有する。
【0069】
タブ部410は、接続部分A1において正極集電体140と溶接等によって接続され、当該接続部分A1が凹部114に収容されるように配置される。タブ部420は、接続部分A2において負極集電体150と溶接等によって接続され、当該接続部分A2が凹部115に収容されるように配置される。具体的には、タブ部410は、
図4に示す仮想的な回動軸F1で当該タブ部410の根本側がY軸方向マイナス側に屈曲され、さらに、同図に示す仮想的な回動軸F2で当該タブ部410の先端側がY軸方向プラス側に屈曲される。タブ部420についても同様である。
【0070】
このような構成により、電極体401、402は、タブ部410によって正極集電体140と接続され、タブ部420によって負極集電体150と接続される。
【0071】
ここで、タブ部410は、基材層が露出した部分である突出部411が積層されることで形成されているため、発電に寄与しない部分となる。同様に、タブ部420は、基材層が露出した部分である突出部421が積層されることで形成されているため、発電に寄与しない部分となる。一方、電極体400のタブ部410、420と異なる部分は、基材層に活物質が塗工された部分が積層されることで形成されているため、発電に寄与する部分となる。以降、当該部分を発電部分430と称する。
【0072】
なお、蓄電素子10が備える電極体400の個数は特に限定されず、1つでもよく、また3つ以上であってもかまわない。ただし、蓄電素子10が複数の電極体400を備える場合、同一体積(容積)の容器100に単数の電極体400を収容する場合に比べ、容器100のコーナー部のデッドスペースを減らすことができる。このため、容器100の容積に占める電極体の割合を大きく確保できるため、蓄電素子10の容量の増加が図られる。
【0073】
次に、本実施の形態に係る蓄電素子10における電極体400と正極集電体140及び負極集電体150との接続部分の配置について、
図5〜
図7を用いて詳細に説明する。なお、本実施の形態では、正極側の接続部分と負極側の接続部分とは同様に配置されている。このため、以下では、主として負極側に関する構成について説明し、正極側の部材に関する事項については簡略化して説明する。
【0074】
図5は、本実施の形態において、凹部115の内方及びその周辺の構造を示す斜視図である。
図6は、本実施の形態に係る蓄電素子10の第1の断面図である。
図7は、本実施の形態に係る蓄電素子10の第2の断面図である。具体的には、
図5は、締結部310によるかしめを仮想的に解放して蓋体110及びその周囲の部材と本体111及びその周囲の部材とを分離した状態の斜視図であり、
図6は、YZ平面で切断した蓄電素子10の凹部115及びその周辺の断面図であり、
図7は、XZ平面で切断した蓄電素子10の凹部115及びその周辺の断面図である。
【0075】
なお、
図5では、本体111については省略して図示し、
図6では、電極体400を構成する正極450及びセパレータ470については省略して図示している。また、タブ部420は、負極460において活物質が塗工されず基材層が露出した部分となるため、負極460の他の部分よりも薄い膜厚で図示している。また、電極体401の巻回軸W11及び電極体402の巻回軸W12を破線で示している。
【0076】
これらの図に示すように、タブ部420は、凹部115の内面に対向する位置に配置されている。つまり、タブ部420は、電極体400の凹部115の内面に対向する位置で突出している。具体的には、タブ部420は、凹部115の直下(Z軸方向マイナス側)に配置され、Z軸方向に見てタブ部420全体が凹部115内に配置されている。
【0077】
ここで、本実施の形態では、凹部115の内面が下部絶縁部材130で覆われているため、タブ部420は、下部絶縁部材130に形成された凹部131の内面にも対向することとなる。
【0078】
また、これらの図に示すように、下部絶縁部材130は、凹部115の内面を覆い、さらに、凹部115の周囲に位置する蓋体110の内面を覆うように配置されている。具体的には、下部絶縁部材130は、凹部115の深さ方向から見て(Z軸方向プラス側から見て)、凹部115の外方へ張り出すように形成されている。つまり、下部絶縁部材130は、凹部115の周囲における蓋体110の内面を覆う平板部を有する。
【0079】
図5に示すように、負極側の接続部分は、負極集電体150が締結部310によってかしめられることにより、凹部115に収容されている。本実施の形態では、負極集電体150全体が凹部115に収容されていることで、負極側の接続部分も凹部115に収容されている。なお、負極集電体150は、少なくともタブ部420との接続部分において凹部115に収容されていればよく、凹部115に収容されずに外部に配置される部分を有していてもよい。
【0080】
このように負極側の接続部分が凹部115に収容されることにより、タブ部420は、負極集電体150との接続部分A2(
図4参照)が凹部115に収容されることとなる。本実施の形態では、接続部分A2はタブ部420の先端部分420aに位置する。このため、タブ部420の先端部分420aは、凹部115に収容されている。
【0081】
ここで、タブ部420の長さは、当該タブ部420と負極集電体150とを接続する際の作業性向上の観点から、適度な長さを確保することが好ましい。一方、タブ部420の長さを必要以上に長くすることは、負極460の電極板の幅(巻回軸方向の大きさ)の増大につながるため、量産効率を低下させる要因となり得る。このため、タブ部420が先端部分420aにおいて負極集電体150と接続されることにより、量産効率の低下を抑制しつつ、タブ部420と負極集電体150とを接続する際の作業性を向上できる。
【0082】
また、タブ部420は、屈曲した状態で、当該タブ部420と負極集電体150との接続部分が凹部115に収容されている。上述したように、タブ部420の長さは、負極集電体150との接続の作業性確保の観点から、適度な長さを確保することが好ましい。よって、このような長さを有するタブ部420を屈曲せずに凹部115に収容した場合、凹部115に収容されないタブ部420の部分が増加する。このことは、タブ部420周囲における容器100内のデッドスペースの増加につながる。このため、タブ部420が屈曲して負極集電体150と接続することにより、タブ部420と負極集電体150との接続の際の作業性を向上しつつ、容器100内のデッドスペースを減らすことができる。
【0083】
また、
図6に示すように、タブ部420は、凹部115の内方で屈曲している。つまり、タブ部420は、凹部115に収容されている屈曲部420bを有する。具体的には、屈曲部420bは、当該屈曲部420bの少なくとも一部が凹部115の開口面Pよりも凹部115の深い位置(Z軸方向プラス側)に配置されている。なお、開口面Pは、凹部115の端縁を含むXY平面に平行な平面である。
【0084】
屈曲部420bは、例えば、タブ部420が仮想的な回動軸F2(
図4参照)で屈曲されたことにより形成された部分である。このため、当該屈曲部420bでは、タブ部420が概ね180°屈曲されている。言い換えると、タブ部420は、屈曲部420bで折り返されている。
【0085】
つまり、タブ部420は、負極集電体150に平行(本実施の形態ではXY平面と平行)に延設される電極体400の接続部分A2(
図4参照)と、当該接続部分A2から屈曲する屈曲部420bとを有する。具体的には、屈曲部420bは、接続部分A2の屈曲部420bに向かう方向から異なる方向に屈曲している。本実施の形態では、屈曲部420bは、接続部分A2と平行な方向に屈曲し、詳細には、Y軸方向マイナス側に向かう方向からY軸方向プラス側に向かう方向に屈曲している。
【0086】
なお、屈曲部420bにおけるタブ部420の屈曲角は、180°に限定されず、タブ部420の長さ、または、電極体400と負極集電体150との位置関係等に応じて、任意の角度となり得る。
【0087】
また、接続部分A2が負極集電体150と平行であるとは、負極集電体150全体に対して平行である場合だけでなく、負極集電体150のタブ部420との接続部分のみに対して平行である場合も含む。例えば、負極集電体150が平板状でなく段差状またはねじれた形状である場合、接続部分A2は、負極集電体150の上記接続部分と平行であればよく、負極集電体150の他の部分と平行でなくてもかまわない。
【0088】
また、
図7に示すように、締結部310の先端部分310aは、凹部115内に配置されている。本実施の形態では、締結部310は、下部絶縁部材130に形成された凹部131の底面に開口する貫通孔130a(
図2参照)に挿入されてかしめられている。このため、当該先端部分310aは、蓋体110に形成された凹部115の内方に位置することとなる。
【0089】
以上、本実施の形態に係る蓄電素子10について説明した。以下、このような蓄電素子10が奏する効果について、本発明に至った経緯も含めて説明する。なお、以下では、負極側の構成(凹部115、負極集電体150及びタブ部420等)についての効果を説明するが、正極側の構成(凹部114、正極集電体140及びタブ部410等)の効果についても同様である。
【0090】
一般的に、電極体と集電体との接続部分では、電極体を構成する積層された複数の極板が寄せ集められた状態で接続される。このため、蓄電素子の容器の当該接続部分の周囲は、電極体が配置されないデッドスペースとなる。このようなデッドスペースは、蓄電素子の発電に寄与しないため、蓄電素子の高容量化の妨げとなる。また、電極体と集電体との接続部分では、当該電極体と当該集電体との電気的及び構造的な接続を確保するために、電極体を構成する極板に活物質を塗工せず基材層を露出する。このため、電極体と集電体との接続部分は、蓄電素子の発電に寄与しない部分となる。
【0091】
そこで、本実施の形態によれば、電極体400と負極集電体150との接続部分(本実施の形態では、負極側接続部分)が容器100の凹部115に収容されていることにより、当該接続部分周辺のデッドスペースが減り、容器100内に占める電極体400の割合を大きく確保できる。また、電極体400と負極集電体150との接続部分が容器100の凹部115に収容されていることにより、容器100内に占める蓄電素子10の発電に寄与しない部分の割合を小さくできる。言い換えると、容器100内に占める発電に寄与する部分(本実施の形態では、発電部分430)の割合を大きく確保できる。したがって、本実施の形態によれば、蓄電素子10の高容量化が図られる。
【0092】
なお、「凹部115に収容される」とは、凹部115によって囲まれる空間に配置されることを指し、例えば、開口面Pよりも深い位置に配置されていることを指す。
【0093】
また、本実施の形態によれば、電極体400は、外方に突出し、電極体400と負極集電体150との接続部分を含むタブ部420を有する。これにより、容易に、電極体400と負極集電体150との接続部分を容器100の凹部115に収容することができる。
【0094】
また、電極体400がタブ部420によって負極集電体150に接続されることにより、タブ部420を有さない電極体と比べて、電極体400の発電に寄与しない部分を小さくできる。言い換えると、容器100内に占める発電に寄与する部分の割合を大きく確保できる。したがって、蓄電素子10のさらなる高容量化が図られる。
【0095】
また、本実施の形態によれば、タブ部420が凹部115に収容されている屈曲部420bを有することにより、容器100内のデッドスペースをさらに削減することができる。よって、容器100内に占める電極体400の割合をさらに大きく確保できる。
【0096】
また、本実施の形態によれば、タブ部420が凹部115の内面に対向する位置に配置されていることにより、タブ部420の長さを短くできるため、容器100内のデッドスペースをさらに削減することができる。具体的には、タブ部420と負極集電体150との接続部分は凹部115に収容されているため、タブ部420が凹部115の内面に対向する位置(例えば、凹部115の直下を除く位置)とは異なる位置で突出する場合、タブ部420の長さが長くなる。よって、容器100内のデッドスペースが大きくなる。そこで、タブ部420が凹部115の内面に対向する位置に配置されることにより、タブ部420が凹部115の内面に対向する位置で突出するため、容器100内のデッドスペースをさらに削減することができる。よって、容器100内に占める電極体400の割合をさらに大きく確保できる。
【0097】
また、本実施の形態によれば、凹部115の内面が絶縁部材(本実施の形態では下部絶縁部材130)で覆われていることにより、凹部115内に位置する電極体400及び負極集電体150と容器100との絶縁を確保できる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、当該絶縁部材がさらに、凹部115の周囲に位置する容器100(本実施の形態では蓋体110)の内面を覆うことにより、電極体400と容器100との絶縁をより確実に確保できる。具体的には、電極体400には厚みがあるため、電極体400を構成する積層された複数の極板は、電極体400と負極集電体150との接続部分に向かって寄せ集められて当該負極集電体150と接続される。このため、電極体400は、負極集電体150との接続部分から遠ざかるほど積層方向に広がる形状を有する。よって、凹部115の周囲では、電極体400が凹部115の開口よりも大きく広がって配置される場合がある。そこで、凹部115の周囲に位置する容器100の内面を覆うように絶縁部材が配置されていることにより、電極体400と容器100との絶縁をより確実に確保できる。
【0099】
また、本実施の形態によれば、締結部310の容器100内方側の先端部分310aが凹部115内に配置されていることにより、容器100内における電極体400の配置空間として利用できる割合をより大きくすることができる。例えば、当該先端部分310aの全てが凹部115内に配置されている場合、容器100内の空間のうち凹部115を除く空間全体を電極体400の配置空間として利用できる。よって、容器100内に占める電極体400の割合をより大きく確保できる。
【0100】
なお、本実施の形態に係る蓄電素子10は、例えば、以下に例示する製造方法によって製造される。
【0101】
すなわち、
図4に示すタブ部410の接続部分A1において当該タブ部410と正極集電体140とを接続し、タブ部420の接続部分A2において当該タブ部420と負極集電体150とを接続する。ここで、タブ部410と正極集電体140との接続手法については、特に限定されず、超音波溶接もしくは抵抗溶接等の溶接、または、機械的かしめなどの機械的な接合を採用することが可能である。タブ部420と負極集電体150との接続手法についても、同様である。
【0102】
次に、正極集電体140の貫通孔140aに締結部210を挿入してかしめることにより、正極集電体140と蓋体110とを締結する。同様に、負極集電体150の貫通孔150aに締結部310を挿入してかしめることにより、負極集電体150と蓋体110とを締結する。
【0103】
その後、タブ部410、420を、
図4に示す回動軸F1、F2で2回屈曲することにより、本実施の形態に係る蓄電素子10が製造される。
【0104】
なお、容器100に収容される電極体の個数、及び、構成等は、上記実施の形態と異なる態様であってもかまわない。そこで、以下、実施の形態における電極体に関する各種の変形例について、
図8及び
図9を用いて説明する。
【0105】
(変形例1)
上記実施の形態では、蓄電素子10が2つの電極体400(電極体401、402)を備えるとしたが、本変形例では、蓄電素子が1つの電極体を備える。
【0106】
図8は、実施の形態の変形例1に係る蓄電素子の断面図である。具体的には、同図は、
図6と同じYZ平面で切断した当該蓄電素子の凹部115及びその周辺の断面図である。なお、同図では、電極体400Aを構成する正極及びセパレータについては省略して図示している。また、タブ部420Aは、負極460において活物質が塗工されず基材層が露出した部分となるため、負極460の他の部分よりも薄い膜厚で図示している。また、同図では、電極体400Aの巻回軸W21を破線で示している。
【0107】
同図に示す電極体400Aは、巻回軸W21を軸として正極及び負極460等が巻回によって積層されることにより形成されている。タブ部420Aは、積層された負極460の各層の突出部421が積層されることにより形成されるため、電極体400Aの巻回軸W21の片側から突出部421が寄せ集められることとなる。
【0108】
また、上記実施の形態におけるタブ部420は、2回屈曲された状態で負極集電体150と接続されたが、本変形例におけるタブ部420Aは、1回屈曲された状態で負極集電体150と接続されている。
【0109】
ここで、本変形例において、屈曲部420Abでは、タブ部420Aが概ね90°屈曲されている。
【0110】
つまり、タブ部420Aは、負極集電体150に平行(本実施の形態ではXY平面と平行)に延設される電極体400の接続部分と、当該接続部分から屈曲する屈曲部420Abとを有する。具体的には、屈曲部420Abは、当該接続部分の屈曲部420Abに向かう方向から異なる方向に屈曲し、詳細には、Y軸方向マイナス側に向かう方向からZ軸方向マイナス側に向かう方向に屈曲している。
【0111】
このようにタブ部420Aが1回屈曲された状態で負極集電体150と接続されることにより、タブ部420Aの長さを短くすることができる。このため、負極460の電極板の幅(巻回軸方向の大きさ)を小さくできるので、量産効率の向上が図られる。
【0112】
また、タブ部420Aと負極集電体150との接続部分は、実施の形態と同様に、容器100(本変形例では蓋体110)に形成された凹部115に収容されている。このため、本変形例のように、容器100内に1つの電極体400Aが収容された構成であっても、上記実施の形態と同様に、タブ部420Aと負極集電体150との接続部分周辺のデッドスペースが減り、容器100内に占める電極体400Aの割合を大きく確保できる。
【0113】
(変形例2)
また、上記実施の形態及び変形例1では、巻回型の電極体を備えるとしたが、本変形例では、平板状の極板が積層された電極体を備える。
【0114】
図9は、実施の形態の変形例2に係る蓄電素子の断面図である。具体的には、同図は、
図6と同じYZ平面で切断した当該蓄電素子の凹部115及びその周辺の断面図である。なお、同図では、電極体400Bを構成する正極及びセパレータについては省略して図示している。また、タブ部420Bは、負極460Bにおいて活物質が塗工されず基材層が露出した部分となるため、負極460の他の部分よりも薄い膜厚で図示している。
【0115】
同図に示す電極体400Bは、上記実施の形態及び変形例1における電極体400と異なり、いずれも平板状に形成された正極及び負極460B等が複数枚積層されることに形成されている。タブ部420Bは、積層された負極460の各層の突出部421が積層されることにより形成されるため、本変形例では、電極体400Bの各層から突出部421が寄せ集められることとなる。
【0116】
また、タブ部420Bと負極集電体150との接続部分は、実施の形態と同様に、容器100(本変形例では蓋体110)に形成された凹部115に収容されている。このため、本変形例のように、容器100内に積層型の電極体400Bが収容された構成であっても、上記実施の形態と同様に、タブ部420Bと負極集電体150との接続部分周辺のデッドスペースが減り、容器100内に占める電極体400Bの割合を大きく確保できる。
【0117】
ただし、積層型の電極体400Bでは、巻回型の電極体と比べて、タブ部が占める体積が大きくなる。このため、タブ部の省スペース化の観点からは、巻回型の電極体を用いる構成が好ましい。
【0118】
(その他の変形例)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。
【0119】
つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0120】
例えば、電極体の形状は、巻回型又は積層型に限らず、長尺帯状の極板を山折りと谷折りとの繰り返しによって蛇腹状に積層した形状であってもかまわない。
【0121】
また、正極側のタブ部と負極側のタブ部との位置関係は特に限定されず、例えば、巻回型の電極体において巻回軸方向の互いに反対側に配置されていてもかまわないし、積層型の電極体において積層方向に見て電極体の異なる方向に配置されていてもかまわない。
【0122】
また、電極体はタブ部を有する形状に限らず、例えば、巻回型の電極体であって、巻回軸方向の一端に設けられた正極の活物質層非形成部に正極集電体が接続され、当該巻回軸方向の他端に設けられた負極の活物質層非形成部に負極集電体が接続されていてもかまわない。このような構成であっても、容器100に形成された凹部114、115に正極側の接続部分及び負極側の接続部分を収容することにより、正極側の接続部分及び負極側の接続部分周辺のデッドスペースが減り、容器100内に占める電極体の割合を大きく確保できる。
【0123】
また、正極側の接続部分及び負極側の接続部分の少なくとも一方が容器100の凹部に収容されていればよく、例えば、正極側及び負極側のいずれか一方の接続部分が当該凹部に収容されていてもかまわない。
【0124】
また、蓄電素子10を構成する各構成は、以下のように構成されていてもかまわない。なお、以下では、負極側の構成について説明するが、正極側の構成についても同様である。
【0125】
すなわち、タブ部は容器100の凹部115に収容される屈曲部を有さなくてもかまわない。例えば、当該凹部115内で90°ねじれて形成された負極集電体150とタブ部とが接続されることにより、タブ部は凹部115内で屈曲していなくてもかまわない。このような構成によれば、タブ部を屈曲することなく負極集電体150と接続できるため、タブ部の長さを短くすることができる。
【0126】
また、タブ部は、容器100に形成された凹部115の内面に対向する位置とは異なる位置に配置されていてもかまわない。例えば、タブ部は、凹部115の内面に対向する位置とは異なる位置で束ねられて、この位置から凹部115内まで延設されることにより当該凹部115内で負極集電体150と接続されてもかまわない。
【0127】
また、タブ部は、電極体を構成する複数の極板から突出した部分、及び、当該突出した部分に対して溶接等によって接続されたリード板を有し、このリード板が屈曲していてもかまわない。なお、例えば、リード板と負極集電体150とは、一体に形成された一体物であってもかまわない。
【0128】
また、下部絶縁部材130は、容器100に形成された凹部115の周囲に位置する容器100の内面を覆わずに、例えば、凹部115の内面のみを覆っていてもかまわない。また、下部絶縁部材130は、当該凹部115の内面全てを覆っていなくてもよく、当該内面の一部のみを覆っていてもよく、例えば、負極集電体150と凹部115の内面との間のみに配置されていてもかまわない。
【0129】
また、締結部310は、容器100内方側の先端部分310aが凹部115内に配置されていなくてもかまわない。
【0130】
また、負極集電体150を構成する部材の個数は特に限定されず、例えば1つの金属部材によって構成されていてもかまわないし、複数の金属部材によって構成されていてもかまわない。例えば、負極集電体150は、締結部310によって締結される部分を形成する部材、及び、電極体に接続される接続部分を形成するリード板の2つの部材で構成されていてもかまわない。
【0131】
また、負極集電体と負極端子とは、別体に限らず、
図10に示すように、少なくとも一部が一体に形成された一体物であってもかまわない。
図10は、その他の変形例に係る蓄電素子の断面図である。
【0132】
同図に示す負極端子300Cは、
図7に示した負極端子300に比べて、負極集電体150Cと一体に形成された締結部310Cと、平板状の平板部320Cとを有する。
【0133】
締結部310Cは、負極集電体150Cから上方に延設された部材(リベット)であり、平板部320Cの貫通孔320Caに挿入されてかしめられる。これにより、平板部320Cと負極集電体150Cとが電気的に接続され、平板部320Cは、負極集電体150C、下部絶縁部材130及び上部絶縁部材135とともに、蓋体110に固定される。
【0134】
このように構成された蓄電素子であっても、上記実施の形態及びその変形例と同様に、タブ部420と負極集電体150Cとの接続部分周辺のデッドスペースが減り、容器100内に占める電極体400の割合を大きく確保できる。
【0135】
また、凹部115は、蓋体110が外方に突出した部分の内方に形成されていなくてもよい。すなわち、蓋体110は、内側(内表面)を凹ませつつ外側(外表面)を平坦にするようにプレス加工等されることにより、内側に形成された凹部を有してもよい。
【0136】
また、上記実施の形態及びその変形例では、電極体と接続している負極集電体150の接続部分(以下、「負極集電体の接続部分」と称する)、及び、負極集電体150と接続している電極体の接続部分(以下、「電極体の接続部分」と称する)のいずれも、凹部115に収容されているとした。しかし、負極集電体の接続部分が凹部115に収容されていればよく、電極体の接続部分は当該凹部115に収容されていなくてもかまわない。このような構成であっても、上記実施の形態及びその変形例と同様に、負極集電体の接続部周辺のデッドスペースが減り、容器100内に占める電極体の割合を大きく確保できる。
【0137】
例えば、上記実施の形態では、タブ部420が接続部分A2において負極集電体150と接続され、当該接続部分A2が位置するタブ部420の先端部分420aが凹部115に収容されていた。つまり、タブ部420における負極集電体150との接続部分である先端部分420aは、凹部115に収容されていた。しかし、負極集電体の接続部分(負極集電体150において接続部分A2と接続される部分)が凹部115に収容されていればよく、先端部分420aは凹部115に収容されていなくてもかまわない。つまり、タブ部420は凹部115に収容されていなくてもかまわない。
【0138】
また、負極集電体150は、負極集電体の接続部分が凹部115に収容されていればよく、当該接続部分と異なる部分が凹部115に収容されていなくてもかまわない。また、負極集電体150は、負極集電体の接続部分の少なくとも一部が凹部115に収容されていればよく、他部が凹部115に収容されていなくてもかまわない。
【0139】
なお、負極集電体の接続部分とは、負極集電体150の一部であって電極体と接合等により接続される部分として定義される。また、電極体の接続部分とは、電極体の一部であって負極集電体150と接合等により接続される部分として定義される。
【0140】
また、上記実施の形態及びその変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。また、上記実施の形態及びその変形例の部分的な構成を、適宜組み合わせてなる構成であってもよい。