(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1衝突壁部及び前記第2衝突壁部における前記シート状体が衝突する面は、前記第1衝突壁部及び前記第2衝突壁部の上端面に向かって前記第1衝突壁部と前記第2衝突壁部との間の幅を広くするようなテーパ部を有することを特徴とする請求項7記載の積層装置。
前記位置決め壁は、前記シート状体の両側縁に接触して前記シート状体の両側縁の位置を揃える複数の側壁部と、前記シート状体の底縁に接触して前記シート状体の底縁の位置を揃える底壁部とを有し、
前記積層台は、前記底壁部が下側に位置するように水平方向に対して傾斜しており、
前記第1衝突壁部及び前記第2衝突壁部は、前記複数の側壁部とそれぞれ一体化されていることを特徴とする請求項7または8記載の積層装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、積層のより高速化を図る上で、以下の課題が存在する。即ち、積層の高速化を図るためには、積層速度を上げる必要がある。特許文献1に記載の構成を前提にすると、電極(シート状体)の積層速度を上げるための対策としては、電極供給時における電極間の間隔を縮める、電極の供給速度を上げる、という2つの方法が考えられる。しかし、落下移動手段を滑走して移動する異なる電極が相互に干渉しないためには、電極間の間隔をある程度確保する必要がある。このため、電極間の間隔を短縮することは難しい。また、特許文献1に記載の装置では、電極が供給機構より落下して供給されるため、電極の供給速度を調整することができない。このとき、電極を単に落下させるのではなく、例えば電極に初速を与えて電極を供給することで、電極の供給速度を上げることは可能である。しかし、電極に付加した初速は、電極の落下速度と併せて、位置決め用の立壁への衝突時に衝撃となって電極に作用する。このため、電極の品質管理上、単なる供給速度のアップは好ましくない。
【0005】
本発明の目的は、シート状体の積層速度を向上させることができる積層装置、及び積層方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る積層装置は、シート状体を構成する第1シート及び第2シートが積層される積層台を有する積層部と、第1シートを積層部に向けて水平方向に搬送する第1搬送部と、積層部を挟んで第1搬送部と対向するように配置され、第2シートを積層部に向けて水平方向に搬送する第2搬送部と、積層台の上方に配置され、第1搬送部により搬送された第1シートを衝突させて積層部に落下させる第1衝突壁部と、第1衝突壁部と対向するように積層台の上方に配置され、第2搬送部により搬送された第2シートを衝突させて積層部に落下させる第2衝突壁部とを備えることを特徴とする。
【0007】
このような積層装置においては、第1搬送部により水平方向に搬送される第1シートが第1衝突壁部に衝突して積層部に落下すると共に、第2搬送部により水平方向に搬送される第2シートが第2衝突壁部に衝突して積層部に落下することにより、第1シート及び第2シートが積層部に順次積層される。このとき、第1シート及び第2シートが積層台の上方で同一の経路上に合流して積層方向に重なる状態となるため、第1シートと第2シートとの間隔を短くし、シート状体の積層速度を向上させることができる。また、搬送部が複数となることにより、1つの搬送部が搬送するシート状体の枚数が減少するため、シート状体の搬送速度(供給速度に相当)の上昇を抑えることができる。
【0008】
本発明の他の態様に係る積層装置は、シート状体を構成する第1シート及び第2シートが積層される積層台を有する積層部と、第1シートを積層部に向けて水平方向に搬送する第1搬送部と、積層部を挟んで第1搬送部と対向するように配置され、第2シートを積層部に向けて水平方向に搬送する第2搬送部と、第1搬送部から積層部に向かって第1搬送部の延長線上に位置すると共に、積層台と第2搬送部の搬送面との間に配置される第1衝突壁部と、第1衝突壁部と対向するように第2搬送部から積層部に向かって第2搬送部の延長線上に位置すると共に、積層台と第1搬送部の搬送面との間に配置される第2衝突壁部とを備えることを特徴とする。
【0009】
このような積層装置においては、第1搬送部により水平方向に搬送される第1シートが第1衝突壁部に衝突して積層部に落下すると共に、第2搬送部により水平方向に搬送される第2シートが第2衝突壁部に衝突して積層部に落下することにより、第1シート及び第2シートが積層部に順次積層される。このとき、第1シート及び第2シートが積層台の上方で同一の経路上に合流して積層方向に重なる状態となるため、第1シートと第2シートとの間隔を短くし、シート状体の積層速度を向上させることができる。また、搬送部が複数となることにより、1つの搬送部が搬送するシート状体の枚数が減少するため、シート状体の搬送速度(供給速度に相当)の上昇を抑えることができる。
【0010】
積層部は、積層台に立設され、シート状体を位置決めする位置決め壁を有し、第1衝突壁部及び第2衝突壁部は、位置決め壁と一体化されていてもよい。この場合には、積層部と第1衝突壁部及び第2衝突壁部とを一体で作れると共に、積層装置の部品点数が少なくなる。これにより、コストの削減を図ることができる。
【0011】
第1衝突壁部及び第2衝突壁部におけるシート状体が衝突する面は、第1衝突壁部及び第2衝突壁部の上端面に向かって第1衝突壁部と第2衝突壁部との間の幅を広くするようなテーパ部を有してもよい。この場合には、第1衝突壁部で衝突した第1シートと第2衝突壁部で衝突した第2シートとが積層部にスムーズに供給される。
【0012】
位置決め壁は、シート状体の両側縁に接触してシート状体の両側縁の位置を揃える複数の側壁部と、シート状体の底縁に接触してシート状体の底縁の位置を揃える底壁部とを有し、積層台は、底壁部が下側に位置するように水平方向に対して傾斜しており、第1衝突壁部及び第2衝突壁部は、複数の側壁部とそれぞれ一体化されていてもよい。この場合には、シート状体が積層部に供給されると、シート状体が積層台に沿って滑り落ち、シート状体の底縁が底壁部に接触して位置決めされる。シート状体が積層台に沿って滑り落ち、シート状体の底縁が底壁部に衝突すると、その時の速度に応じたシート状体のバウンドが生じる。シート状体の衝突時の速度が速いと、シート状体のバウンドが大きくなるため、シート状体の動作が収束するまでの時間が長くなり、その間次のシート状体を積層台に供給することができない。しかし、第1衝突壁部及び第2衝突壁部と側壁部とを一体化することにより、積層部に対するシート状体の落下距離を短くすることができる。従って、シート状体が底壁部と衝突する時の速度を下げて、シート状体のバウンドを小さく抑えることができる。
【0013】
積層装置は、積層部に積層済みのシート状体にエアーを吹き付けるエアーブローを更に備え、シート状体は、本体部と、本体部と一体化され、積層部に積層された状態において積層台からはみ出る突出部とを有し、エアーブローは、積層部に積層済みのシート状体の突出部にエアーを吹き付けて突出部を下方に曲げてもよい。
【0014】
積層部の高さ位置を第1搬送部及び第2搬送部の高さ位置に近づけると、積層部に対するシート状体の落下距離が短くなる。ただし、積層部の高さ位置を第1搬送部及び第2搬送部の高さ位置に近づけすぎると、第1搬送部及び第2搬送部により搬送されるシート状体を第1衝突壁部及び第2衝突壁部にそれぞれ衝突させるときに、当該シート状体が積層部に積層済みのシート状体の突出部に干渉することがある。そこで、第1搬送部及び第2搬送部により搬送されるシート状体を第1衝突壁部及び第2衝突壁部にそれぞれ衝突させるときに、積層部に積層済みのシート状体の突出部にエアーを吹き付けて当該突出部を下方に曲げることにより、第1搬送部及び第2搬送部により搬送されるシート状体が積層部に積層済みのシート状体の突出部に干渉することが防止される。これにより、積層部に積層済みのシート状体の突出部の損傷等を防止しつつ、積層部に対するシート状体の落下距離を短くすることができる。
【0015】
積層装置は、積層部の上方に配置されるカバーと、カバーを移動させる駆動部とを更に備え、シート状体は、本体部と、本体部と一体化された突出部とを有し、駆動部は、積層部に積層された状態のシート状体の突出部を覆う位置と積層部を退避する位置との間でカバーを移動させてもよい。
【0016】
積層部の高さ位置を第1搬送部及び第2搬送部の高さ位置に近づけると、積層部に対するシート状体の落下距離が短くなる。ただし、積層部の高さ位置を第1搬送部及び第2搬送部の高さ位置に近づけすぎると、第1搬送部及び第2搬送部により搬送されるシート状体を第1衝突壁部及び第2衝突壁部にそれぞれ衝突させるときに、当該シート状体が積層部に積層済みのシート状体の突出部に干渉することがある。そこで、第1搬送部及び第2搬送部により搬送されるシート状体を第1衝突壁部及び第2衝突壁部にそれぞれ衝突させるときに、積層部に積層済みのシート状体の突出部をカバーで覆うことにより、第1搬送部及び第2搬送部により搬送されるシート状体が積層部に積層済みのシート状体の突出部に干渉することが防止される。これにより、積層部に積層済みのシート状体の突出部の損傷等を防止しつつ、積層部に対するシート状体の落下距離を短くすることができる。
【0017】
第1衝突壁部及び第2衝突壁部におけるシート状体が衝突する面には、緩衝材が装着されていてもよい。この場合には、シート状体が第1衝突壁部及び第2衝突壁部に衝突したときの衝撃が緩和されるため、シート状体に与えられるダメージを軽減することができる。
【0018】
第2衝突壁部には、第1搬送部により搬送されて第1衝突壁部に衝突する第1シートを吸引する第1吸引部が形成され、第1衝突壁部には、第2搬送部により搬送されて第2衝突壁部に衝突する第2シートを吸引する第2吸引部が形成されてよい。この場合には、第1搬送部から第1シートが供給されたときに第1吸引部が第2衝突壁部側から第1シートを吸引することで、第1シートのうち第2衝突壁部側の領域を下方へ下げることができる。これによって、第2搬送部から搬送される第2シートの移動経路を早期に確保できる。また、第2搬送部から第2シートが供給されたときに第2吸引部が第1衝突壁部側から第2シートを吸引することで、第2シートのうち第1衝突壁部側の領域を下方へ下げることができる。これによって、第1搬送部から搬送される第1シートの移動経路を早期に確保できる。以上により、各搬送部から各シートを供給する際の時間間隔を短縮することができる。
【0019】
第1吸引部は斜め上方へ向かって傾斜しており、第1衝突壁部との衝突時における第1シートのうち、第2衝突壁部側の領域を吸引し、第2吸引部は斜め上方へ向かって傾斜しており、第2衝突壁部との衝突時における第2シートのうち、第1衝突壁部側の領域を吸引してよい。この場合には、第1吸引部は、第1シートのうちの第2衝突壁部側の領域をより早期に下方へ下げることができる。また、第2吸引部は、第2シートのうちの第1衝突壁部側の領域をより早期に下方へ下げることができる。
【0020】
第1搬送部からの第1シートの供給、及び第2搬送部からの第2シートの供給に応じて、第1吸引部と第2吸引部は交互に吸引を行ってよい。この場合には、第1シートが供給されている時は第1吸引部のみで吸引することで、第1シートの姿勢をより適切に制御できる。また、第2シートが供給されている時は第2吸引部のみで吸引することで、第2シートの姿勢をより適切に制御できる。
【0021】
第1吸引部は、第1搬送部の幅方向において、第1搬送部から供給される際の第1シートの中央側に配置され、第2吸引部は、第2搬送部の幅方向において、第2搬送部から供給される際の第2シートの中央側に配置されてよい。この場合には、第1吸引部は第1搬送部から供給される第1シートの幅方向の中央付近を吸引することができるため、第1シートの姿勢をより適切に制御できる。第2吸引部は第2搬送部から供給される第2シートの幅方向の中央付近を吸引することができるため、第2シートの姿勢をより適切に制御できる。
【0022】
第1シート及び第2シートは、矩形状の本体部の一辺から突出したタブを有する正極及び負極である電極であって、第1搬送部上には、一辺が第1搬送方向と平行となると共にタブが搬送方向上流側に位置するように電極が配置され、第2搬送部上には、一辺が第2搬送方向と平行となると共にタブが搬送方向上流側に位置するように第2電極を載置されてよい。この場合には、電極が積層部に積層された状態では、タブは搬送部側に位置することになる。このため、正極が積層部に供給されるときは、当該正極が積層部に積層済みの正極のタブのみに干渉し、負極が積層部に供給されるときは、当該負極が積層部に積層済みの負極のタブのみに干渉することになる。これにより、供給される電極が積層済みの電極のタブに干渉する回数を減らすことができる。
【0023】
積層台は、積層部に積層された電極のタブが上側を向くように水平方向に対して傾斜してよい。この場合には、積層部に積層された正極及び負極のタブが上側に位置するため、正極及び負極が積層部に供給される際のタブの向きによっては、供給される正極及び負極が積層済みの正極及び負極のタブの両方に干渉しやすくなる。しかし、一辺が搬送方向と平行となると共にタブが搬送方向上流側に位置するように電極を搬送部上に載置することにより、供給される電極が積層済みの電極のタブに干渉する回数を確実に減らすことができる。
【0024】
ここで、従来の電極積層方法としては、例えば特開2012−91372号公報に記載されている装置を使用して行う技術が知られている。特開2012−91372号公報に記載の装置は、電極である正極及び負極をそれぞれ供給する2つの供給機構と、これらの供給機構の下方に互いに直交するように配置されて、各供給機構からそれぞれ供給された正極及び負極を、重力を利用して所定の位置に落下移動させる2つの落下移動手段と、これらの落下移動手段の下方に配置されて、各落下移動手段の排出部からそれぞれ排出された正極及び負極を順次所定の位置に案内して積層させる案内積層手段とを備えている。案内積層手段は、積層体が載置される底壁と、この底壁に対して垂直に突設され、落下移動手段の排出部から排出されてきた電極の移動を停止させて位置決めする2つの立壁とを有している。正極及び負極を積層するときは、一方の立壁に対向する向きに正極を供給すると共に、他方の立壁に対向する向きに負極を供給する。案内積層手段に供給された正極及び負極は、底壁または積層済みの正極及び負極の上に落下した後、立壁に衝突して停止する。
【0025】
ところで、電極積層方法を適用する積層型の電極においては、特開2012−220326号公報のごとく、タブを有する電極の構造が知られている。即ち、正極は、正極活物質層が形成された矩形状の正極本体部と、この正極本体部の一辺から突出し、正極端子と接続される正極タブとを有している。負極は、負極活物質層が形成された矩形状の負極本体部と、この負極本体部の一辺から突出し、負極端子と接続される負極タブとを有している。これらの正極及び負極が積層されるときは、正極タブと負極タブとが互いに重ならないように正極及び負極が配置される。しかし、そのようなタブ付きの正極及び負極を、上記特許文献1のように積層するときに、一方の立壁に対向する向きに正極を供給すると共に他方の立壁に対向する向きに負極を供給すると、正極及び負極の何れかが積層済みの正極の正極タブ及び負極の負極タブの両方に干渉することがある。この場合には、供給される電極が積層済みの電極の同じタブに2回干渉することになる。電極のタブの強度は弱いため、供給される電極が積層済みの電極の同じタブに2回干渉すると、当該タブの曲がり、折れ及び損傷等が発生しやすくなる。
【0026】
そこで、本発明の一態様は、矩形状の本体部の一辺から突出したタブを有する正極及び負極である電極を、異なる搬送路を用いて搬送して積層する電極積層方法において、上面が搬送路を形成する搬送部上に、一辺が搬送方向と平行となると共にタブが搬送方向上流側に位置するように電極を載置する供給工程と、搬送部上に載置された電極を搬送方向下流側に向けて搬送する搬送工程と、搬送部に隣接し且つ搬送部の上面よりも低い位置に配置される積層部に、電極を搬送路の一端より落下させて積層する積層工程とを含むことを特徴とする。
【0027】
このような電極積層方法においては、一辺が搬送方向と平行となると共にタブが搬送方向上流側に位置するように電極を搬送部上に載置した状態で、電極を搬送方向下流側に向けて搬送することにより、電極が積層部に積層された状態では、タブは搬送部側に位置することになる。このため、正極が積層部に供給されるときは、当該正極が積層部に積層済みの正極のタブのみに干渉し、負極が積層部に供給されるときは、当該負極が積層部に積層済みの負極のタブのみに干渉することになる。これにより、供給される電極が積層済みの電極のタブに干渉する回数を減らすことができる。
【0028】
積層部は、電極が載置される積層台と、積層台に立設され、電極を位置決めする位置決め壁とを有し、積層台は、積層部に積層された電極のタブが上側を向くように水平方向に対して傾斜していてもよい。この場合には、積層部に積層された正極及び負極のタブが上側に位置するため、正極及び負極が積層部に供給される際のタブの向きによっては、供給される正極及び負極が積層済みの正極及び負極のタブの両方に干渉しやすくなる。しかし、一辺が搬送方向と平行となると共にタブが搬送方向上流側に位置するように電極を搬送部上に載置することにより、供給される電極が積層済みの電極のタブに干渉する回数を確実に減らすことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、シート状体の積層速度を向上させることができる積層装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
図1は、本発明の実施形態に係る積層装置を適用して製造される蓄電装置の内部構成を示す断面図である。
図2は、
図1のII−II線断面図である。各図において、蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
【0033】
蓄電装置1は、例えば略直方体形状をなすケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えばアルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、図示はしないが、ケース2内側の側面及び底面には絶縁フィルムが装着されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。
図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2内側の底面に接触している。なお、電極組立体3とケース2との間にスペーサを配置することで、電極組立体3とケース2との間に隙間を形成してもよい。
【0034】
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。セパレータ付き正極11及び負極9は、シート状体を構成している。セパレータ付き正極11は第1シートであり、負極9は第2シートである。
【0035】
セパレータ10は、
図3(a)に示されるように、平面視矩形状を呈している。セパレータ10の横寸法(図示X方向の寸法)は、セパレータ10の縦寸法(図示Y方向の寸法)よりも大きい。正極8は、平面視矩形状の正極本体部8aと、この正極本体部8aと一体化された正極タブ8bとを有している。正極本体部8aの横寸法は、正極本体部8aの縦寸法よりも大きい。正極タブ8bは、正極本体部8aの横方向(長手方向)の一端部近傍の縁から突出した突出部を構成している。そして、正極タブ8bは、セパレータ10を突き抜けている。正極タブ8bは、
図1に示されるように、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。
【0036】
負極9は、
図3(b)に示されるように、平面視矩形状の負極本体部9aと、この負極本体部9aと一体化された負極タブ9bとを有している。負極本体部9aの横寸法は、負極本体部9aの縦寸法よりも大きい。負極タブ9bは、負極本体部9aの横方向(長手方向)の一端部近傍の縁から突出した突出部を構成している。負極タブ9bは、
図1に示されるように、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。
【0037】
正極8は、
図2に示されるように、例えばアルミニウム箔からなる金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。正極活物質層15は、金属箔14における正極本体部8aの正極タブ8b側の縁部及び正極タブ8bを除いた領域に形成されている。なお、
図2では、便宜上正極タブ8bを省略している。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
【0038】
負極9は、
図2に示されるように、例えば銅箔からなる金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。負極活物質層17は、金属箔16における負極本体部9aの負極タブ9b側の縁部及び負極タブ9bを除いた領域に形成されている。なお、
図2では、便宜上負極タブ9bを省略している。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0039】
セパレータ10の形成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。
【0040】
以上のように構成された蓄電装置1を製造する際には、まずセパレータ付き正極11及び負極9を作製した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、積層体を得る。その後、積層体を構成するセパレータ付き正極11及び負極9を固定することで電極組立体3を得る。そして、正極8の正極タブ8bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9の負極タブ9bを導電部材13を介して負極端子5に接続した後、電極組立体3をケース2内に収容する。
【0041】
本実施形態の積層装置は、上記の積層体の形成に係る装置である。
図4は、本発明の第1実施形態に係る積層装置を示す正面図である。
図5は、
図4に示された積層装置の平面図であり、
図6は、
図4に示された積層装置の側断面図(
図5のVI−VI線概略断面図)である。
【0042】
各図において、本実施形態の積層装置20は、セパレータ付き正極11と負極9とを高速で交互に積層する装置である。積層装置20は、セパレータ付き正極11及び負極9を積層する積層部21と、この積層部21を挟んで互いに対向するように配置された搬送部22(第1搬送部)及び搬送部23(第2搬送部)と、積層部21の上方において互いに対向するように配置された衝突壁部24(第1衝突壁部)及び衝突壁部25(第2衝突壁部)とを備えている。
【0043】
積層部21は、セパレータ付き正極11及び負極9が積層される積層台26と、この積層台26に立設され、セパレータ付き正極11及び負極9を位置決めする位置決め壁27とを有している。
【0044】
位置決め壁27は、セパレータ付き正極11及び負極9の両側縁に接触してセパレータ付き正極11及び負極9の両側縁の位置を揃える1対(複数)の側壁部28と、セパレータ付き正極11及び負極9の底縁に接触してセパレータ付き正極11及び負極9の底縁の位置を揃える底壁部29とを有している。セパレータ付き正極11の底縁は、セパレータ付き正極11における正極タブ8bとは反対側の縁である。負極9の底縁は、負極9における負極タブ9bとは反対側の縁である。なお、側壁部28及び底壁部29は、図示の通り連続的に形成されていてもよいし、或いは間欠的に形成されていてもよい。
【0045】
積層台26は、底壁部29が下側に位置するように水平方向に対して所定の角度で傾斜している。セパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に積層された状態では、セパレータ付き正極11及び負極9の全体が積層台26の積層面に載置される。
【0046】
搬送部22は、セパレータ付き正極11を積層部21に向けて水平方向に搬送する。搬送部22は、セパレータ付き正極11が載置される搬送面22aを有している。搬送部23は、積層部21を挟んで搬送部22と対向するように配置され、負極9を積層部21に向けて水平方向に搬送する。搬送部23は、負極9が載置される搬送面23aを有している。搬送面22a,23aは、互いに面一となっている。なお、ここでいう水平方向は、完全な水平方向のみならず、水平方向に対して僅かに傾斜した方向も含んでいる。搬送部22,23は、ベルトコンベアである。搬送部22,23は、駆動プーリ30及び従動プーリ31に掛け渡されたベルト32を有している。駆動プーリ30は、モータ(図示せず)によって回転駆動される。なお、搬送部22,23としては、特にベルトコンベアに限られず、ローラコンベア等であってもよい。
【0047】
衝突壁部24,25は、位置決め壁27の各側壁部28とそれぞれ一体化されている。衝突壁部24,25は、各側壁部28上に配置されている。つまり、衝突壁部24,25は、積層台26の上方に配置されている。衝突壁部24,25の上端面は、略水平となるように面取りされていると共に、互いに面一となっている。衝突壁部24,25の上端面の高さ位置は、搬送部22の搬送面22a及び搬送部23の搬送面23aの搬出側端部の高さ位置よりも僅かに低い。
【0048】
衝突壁部24は、搬送部22から積層部21に向かって搬送部22の延長線上に位置すると共に、積層台26と搬送部23の搬送面23aとの間に配置されている。なお、搬送部22の延長線上とは、搬送部22の搬送面22aにより形成される搬送経路を、水平面における平面視上で延長した線上を意味する。衝突壁部24は、搬送部22により搬送されたセパレータ付き正極11の側縁を衝突させて、当該セパレータ付き正極11を積層部21に落下させる。衝突壁部25は、衝突壁部24と対向するように搬送部23から積層部21に向かって搬送部23の延長線上に位置すると共に、積層台26と搬送部22の搬送面22aとの間に配置されている。なお、搬送部23の延長線上とは、搬送部23の搬送面23aにより形成される搬送経路を、水平面における平面視上で延長した線上を意味する。衝突壁部25は、搬送部23により搬送された負極9の側縁を衝突させて、当該負極9を積層部21に落下させる。
【0049】
衝突壁部24の衝突面(セパレータ付き正極11の側縁が衝突する内側面)24a及び衝突壁部25の衝突面(負極9の側縁が衝突する内側面)25aは、衝突壁部24,25の上端面に向かって衝突壁部24,25間の幅を広くするようなテーパ部33,34をそれぞれ有している。
【0050】
積層部21及び衝突壁部24,25は、例えば樹脂材料で形成されている。衝突壁部24の衝突面24aのテーパ部33及び衝突壁部25の衝突面25aのテーパ部34には、セパレータ付き正極11及び負極9の側縁が衝突したときの衝撃を緩和するための緩衝材35がそれぞれ装着されている。
図3及び
図4では便宜上、緩衝材35は省略している。緩衝材35としては、例えばゴムまたはスポンジ等が用いられる。なお、特に図示はしないが、積層部21における位置決め壁27の底壁部29の内側底面にも、セパレータ付き正極11及び負極9の底縁が衝突したときの衝撃を緩和するための緩衝材が装着されていてもよい。
【0051】
以上のような積層装置20を使用して、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層する場合は、搬送部22,23を駆動させた状態で、セパレータ付き正極11を搬送部22の搬送面22aに所定のインターバルで順次載置すると共に、負極9を搬送部23の搬送面23aに所定のインターバルで順次載置する。
【0052】
このとき、セパレータ10の長手方向がセパレータ付き正極11の搬送方向と一致すると共に、正極タブ8bが積層部21に対して奥側に突出し且つ搬送部22の上流側に位置するように、セパレータ付き正極11を搬送部22に載置する(
図5参照)。また、負極本体部9aの長手方向が負極9の搬送方向と一致すると共に、負極タブ9bが積層部21に対して奥側に突出し且つ搬送部23の上流側に位置するように、負極9を搬送部23に載置する(
図5参照)。
【0053】
すると、搬送部22によりセパレータ付き正極11が積層部21に向けて所定のインターバルで順次搬送されると共に、搬送部23により負極9が積層部21に向けて所定のインターバルで順次搬送される。
【0054】
そして、搬送部22から搬出されたセパレータ付き正極11は、積層部21の真上を通過し、重力により若干落ちた状態で衝突壁部24のテーパ部33に衝突して積層部21に向けて落下し、積層部21に積層される。このとき、セパレータ付き正極11の両側縁が位置決め壁27の各側壁部28に接触して位置決めされると共に、セパレータ付き正極11の底縁が位置決め壁27の底壁部29に突き当たって位置決めされる。また、搬送部23から搬出された負極9は、積層部21の真上を通過し、重力により若干落ちた状態で衝突壁部25のテーパ部34に衝突して積層部21に向けて落下し、積層部21に積層される。このとき、負極9の両側縁が位置決め壁27の各側壁部28に接触して位置決めされると共に、負極9の底縁が位置決め壁27の底壁部29に突き当たって位置決めされる。これにより、セパレータ付き正極11と負極9とが交互に積層された積層体が得られる。
【0055】
セパレータ付き正極11が衝突壁部24に衝突して落下すると共に、負極9が衝突壁部25に衝突して落下するときは、セパレータ付き正極11及び負極9同士が積層方向に重なり合う(ラップする)ように移動することが可能である。そして、セパレータ付き正極11及び負極9同士のラップ状態に合わせて、搬送部22,23によるセパレータ付き正極11及び負極9の搬送速度及び搬送インターバルが決定される。このため、セパレータ付き正極11及び負極9が同一平面を順に滑走して移動する場合と比較して、積層部21へのセパレータ付き正極11及び負極9の供給インターバルが短くなる。
【0056】
セパレータ付き正極11及び負極9は、正極タブ8b及び負極タブ9bが上方を向いた状態で積層部21にそれぞれ積層される。このとき、正極タブ8bは搬送部22側に位置し、負極タブ9bは搬送部23側に位置する。
【0057】
ここで、比較例として、従来技術において初速を与えるように電極を搬送する搬送部を追加した積層装置を
図7及び
図8に示す。
図7は、比較例としての積層装置を示す側面図(一部断面を含む)である。
図8は、
図7に示された積層装置の正面図である。
【0058】
各図において、積層装置100は、搬送部101と、この搬送部101の下方に配置された積層部102と、搬送部101と積層部102との間に配置された滑走部103とを備えている。搬送部101は、セパレータ付き正極11及び負極9を水平方向に沿って搬送する。
【0059】
積層部102は、セパレータ付き正極11及び負極9が積層される積層台104と、この積層台104の上面に立設され、セパレータ付き正極11及び負極9を位置決めする位置決め壁105とを有している。位置決め壁105は、セパレータ付き正極11及び負極9の両側縁に接触してセパレータ付き正極11及び負極9の両側縁の位置を揃える1対の側壁部106と、セパレータ付き正極11及び負極9の底縁に接触してセパレータ付き正極11及び負極9の底縁の位置を揃える底壁部107とを有している。積層台104は、底壁部107が下側に位置するように水平方向に対して所定の角度で傾斜している。
【0060】
滑走部103は、滑走面を有する基部103aと、この基部103aの両側に立設され、セパレータ付き正極11及び負極9の両側縁に接触して、セパレータ付き正極11及び負極9の幅方向の案内を行う案内壁部103bとを有している。滑走部103は、搬送部101により搬送されたセパレータ付き正極11及び負極9を積層部102に向けて滑走させることで、セパレータ付き正極11及び負極9を積層部102に落下させる。
【0061】
このような積層装置100を用いてセパレータ付き正極11と負極9とを積層部102に交互に積層するときは、搬送部101によりセパレータ付き正極11及び負極9を交互に所定間隔を空けて搬送する。そして、搬送部101により搬送されたセパレータ付き正極11及び負極9は、滑走部103を滑走して積層部102に落下し、積層部102の積層台104に積層される。
【0062】
しかしながら、積層装置100を使用してセパレータ付き正極11及び負極9を積層する方式では、生産効率の向上のために、セパレータ付き正極11及び負極9の積層速度を上げて、所望の積層体を得ようとすると、以下の不具合が存在する。
【0063】
即ち、搬送部101、滑走部103及び積層部102が上下方向(高さ方向)に沿って配置されているため、搬送部101から積層部102の底壁部107までの高さ距離が長くなる。このため、搬送部101におけるセパレータ付き正極11及び負極9の搬送速度も加わり、積層部102においてセパレータ付き正極11及び負極9の落下速度が速くならざるを得ない。セパレータ付き正極11及び負極9の落下速度を下げるには、搬送部101によるセパレータ付き正極11及び負極9の搬送速度を下げることが考えられる。しかし、単にセパレータ付き正極11及び負極9の搬送速度を下げるだけでは、積層部102において所望の積層速度(例えば2枚/秒以上)を確保することができなくなる。所望の積層速度を確保しつつ、セパレータ付き正極11及び負極9の搬送速度を下げるには、セパレータ付き正極11と負極9との間の搬送インターバルを短くすることが考えられる。しかし、搬送部101及び滑走部103においてセパレータ付き正極11及び負極9の一部同士を重ねることはできない。さらに、セパレータ付き正極11及び負極9のような異なるシート状体を滑走部103にて滑走させる場合、両者の摩擦状態が異なることにより、両者の滑走時の速度が異なる場合がある。このため、単一のシート状体を滑走させる場合と比較しても、前後のシート状体同士を干渉させないためには、両者の間隔を更に開ける必要がある。従って、セパレータ付き正極11と負極9との間の搬送インターバルを短くすることには限界がある。よって、比較例では、積層部102においてセパレータ付き正極11及び負極9の落下速度を変更すること無く、積層速度の向上を図ることは困難である。
【0064】
また、積層部102において、落下してきたセパレータ付き正極11及び負極9は、積層部102の底壁部107との衝突によりバウンドする。セパレータ付き正極11及び負極9の落下速度が速くなると、セパレータ付き正極11及び負極9のバウンドが大きくなり、セパレータ付き正極11及び負極9が完全に停止して収束するまでの時間が長くなる。よって、所望の積層速度を得るために、セパレータ付き正極11及び負極9の搬送速度を速くしていくと、積層部102において電極が完全に停止して収束するまでの時間(動作収束時間)が、次の電極が積層部102に供給されて底壁部107に突き当たるまでの時間(次電極供給時間)を超えてしまうことがある。この場合には、例えば先に積層部102に供給されたセパレータ付き正極11が収束する前に、次の負極9が積層部102に供給され、負極9に挟まれたセパレータ付き正極11が底壁部107に当接しない状態で停止するおそれがある。その結果、セパレータ付き正極11及び負極9の積層ズレの発生につながる。従って、そのような積層ズレを防止するために、セパレータ付き正極11のバウンドが収束するまでの間、次の負極9を供給することができず、セパレータ付き正極11及び負極9の積層速度が制限される。
【0065】
また、積層部102においてセパレータ付き正極11及び負極9の落下速度を速くすると、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部102の底壁部107に当たるときの衝突エネルギーが高くなる。一般に正極8及び負極9は、帯状の電極材料より個片の電極を切り出して製造される。このため、正極8及び負極9の縁には、切断時に活物質粒子が剥離しやすい箇所が生じる。従って、衝突エネルギーが高くなると、電極より剥離する活物質粒子が増加して異物の増加となり、品質に悪影響を与える。
【0066】
これに対し本実施形態では、搬送部22により水平方向に搬送されるセパレータ付き正極11が衝突壁部24に衝突して積層部21に落下すると共に、搬送部23により水平方向に搬送される負極9が衝突壁部25に衝突して積層部21に落下することにより、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に順次積層される。このとき、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部21の積層台26の上方で同一の経路上に合流して積層方向に重なる状態となるため、セパレータ付き正極11と負極9との間隔を短くし、セパレータ付き正極11及び負極9の積層速度を向上させることができる。
【0067】
また、本実施形態では、位置決め壁27は、セパレータ付き正極11及び負極9の底縁に接触してセパレータ付き正極11及び負極9の底縁の位置を揃える底壁部29を有し、積層台26は、底壁部29が下側に位置するように水平方向に対して傾斜している。従って、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に供給されると、セパレータ付き正極11及び負極9が積層台26に沿って滑り落ち、セパレータ付き正極11及び負極9の底縁が底壁部29に接触して位置決めされる。
【0068】
このとき、衝突壁部24,25と位置決め壁27の側壁部28とが一体化されているので、積層台26の載置面から衝突壁部24,25までの高さ寸法を抑え、積層部21に対するセパレータ付き正極11及び負極9の落下距離を短くすることができる。特に、搬送部22,23が対向して配置されているので、複数の搬送部を上下に配置した場合と比較して、セパレータ付き正極11及び負極9の何れかの落下高さが高くなることもない。セパレータ付き正極11及び負極9の落下距離が短くなることで、積層部21においてセパレータ付き正極11及び負極9の落下速度が抑えられる。また、セパレータ付き正極11は衝突壁部24に衝突してから積層部21に落下し、負極9は衝突壁部25に衝突してから積層部21に落下するので、セパレータ付き正極11及び負極9の衝突直後には、セパレータ付き正極11及び負極9の落下初速がほぼゼロとなる。このため、積層部21においてセパレータ付き正極11及び負極9の落下速度が更に抑えられる。
【0069】
このように積層部21においてセパレータ付き正極11及び負極9の落下速度が抑えられるため、積層部21に落下したセパレータ付き正極11及び負極9のバウンドが低減される。従って、セパレータ付き正極11及び負極9の動作収束時間が短くなるため、電極が収束する前に次に積層部21に供給された電極とくっついて底壁部29に当接しない状態で停止するという現象が起きにくくなる。これにより、セパレータ付き正極11及び負極9の積層速度が制限されることが防止される。さらに、積層部21においてセパレータ付き正極11及び負極9の落下速度が抑えられるため、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に当たるときの衝突エネルギーが低減される。これにより、セパレータ付き正極11及び負極9に与えられるダメージを軽減することができる。
【0070】
さらに、搬送部22によりセパレータ付き正極11を積層部21に向けて水平方向に搬送すると共に、搬送部23により負極9を積層部21に向けて水平方向に搬送することにより、上記の積層装置100のように搬送部101によりセパレータ付き正極11及び負極9を順に積層部102に向けて搬送する場合と異なり、セパレータ付き正極11及び負極9の搬送速度を低下させても、積層部21へのセパレータ付き正極11及び負極の供給インターバルを短くすることで、積層部21において所望の積層速度を確保することができる。セパレータ付き正極11の搬送速度を低下させると、衝突壁部24へのセパレータ付き正極11の衝突によるバウンドが抑制されるため、衝突壁部24でのセパレータ付き正極11の滞留時間が減少する。負極9の搬送速度を低下させると、衝突壁部25への負極9の衝突によるバウンドが抑制されるため、衝突壁部25での負極9の滞留時間が減少する。
【0071】
また、本実施形態では、搬送部22,23と共に衝突壁部24,25が対向して配置されている。このため、セパレータ付き正極11及び負極9の搬送速度が上がり、セパレータ付き正極11及び負極9と衝突壁部24,25との衝突によってセパレータ付き正極11及び負極9の大きなバウンドが生じた場合にも、対向する衝突壁部24,25により、セパレータ付き正極11及び負極9の飛び出しが防止される。
【0072】
また、本実施形態では、衝突壁部24,25は位置決め壁27と一体化されている。従って、積層部21と衝突壁部24,25とを一体で作れると共に、積層装置20の部品点数が少なくなる。これにより、コストの削減を図ることができる。
【0073】
さらに、本実施形態では、衝突壁部24の衝突面24a及び衝突壁部25の衝突面25aは、衝突壁部24,25の上端面に向かって衝突壁部24,25間の幅を広くするようなテーパ部33,34をそれぞれ有している。これにより、衝突壁部24で衝突したセパレータ付き正極11と衝突壁部25で衝突した負極9とが積層部21にスムーズに供給される。
【0074】
また、本実施形態では、衝突壁部24の衝突面24a及び衝突壁部25の衝突面25aには、緩衝材35がそれぞれ装着されている。従って、セパレータ付き正極11が衝突壁部24に衝突したときの衝撃が緩和されると共に、負極9が衝突壁部25に衝突したときの衝撃が緩和されるため、セパレータ付き正極11及び負極9に与えられるダメージを一層軽減することができる。
【0075】
図9は、本発明の第2実施形態に係る積層装置を示す正面図であり、
図4に対応する図である。
図10は、
図9に示された積層装置の側断面図であり、
図6に対応する図である。
【0076】
各図において、本実施形態の積層装置20は、上記第1実施形態と同様に、積層部21と、搬送部22,23と、衝突壁部24,25とを備えている。積層部21の高さ位置は、上記第1実施形態における積層部21の高さ位置よりも高くなっている。つまり、積層部21の高さ位置は、上記第1実施形態における積層部21の高さ位置よりも搬送部22,23に近くなっている。このため、積層部21の高さ寸法は、上記第1実施形態における積層部21の高さ寸法よりも小さくなっている。本実施形態では、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に積層された状態では、正極タブ8b及び負極タブ9bの一部が積層台26の載置面からはみ出るように構成されている。積層部21における積層台26の載置面の先端部(上端部)には、面取り26aが形成されている。
【0077】
また、積層装置20は、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bにそれぞれエアーを吹き付ける2つのエアーブロー40を備えている。これらのエアーブロー40は、積層部21の上方に配置されている。エアーブロー40は、セパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bに上方からエアーを吹き付ける。エアーブロー40は、図示しないコントローラによって制御される。
【0078】
このような積層装置20を使用して、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層する場合は、上記第1実施形態と同様に、搬送部22によりセパレータ付き正極11を積層部21に向けて搬送すると共に、搬送部23により負極9を積層部21に向けて搬送する。そして、搬送部22から搬出されたセパレータ付き正極11は、衝突壁部24に衝突して積層部21に向けて落下し、積層部21に積層される。搬送部23から搬出された負極9は、衝突壁部25に衝突して積層部21に向けて落下し、積層部21に積層される。
【0079】
ここで、積層部21に積層されたセパレータ付き正極11及び負極9の積層数が多くなると、搬送部22から搬出されたセパレータ付き正極11が衝突壁部24に衝突するときに、当該セパレータ付き正極11が積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bに干渉したり、搬送部23から搬出された負極9が衝突壁部25に衝突するときに、当該負極9が積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bに干渉することがある。
【0080】
そこで、積層部21に積層されたセパレータ付き正極11及び負極9の積層数が所定数以上になったときは、搬送部22から搬出されたセパレータ付き正極11及び搬送部23から搬出された負極9が積層部21の真上を通過する直前に、エアーブロー40によって、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bにエアーを吹き付ける。すると、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bが積層台26からはみ出ている(上述)ため、
図11に示されるように、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bが下方に曲げられる。なお、
図11では、簡略化のために、積層部21を示しておらず、積層体として1つの負極9のみを示している。
【0081】
本実施形態においては、積層部21の高さ位置を搬送部22,23の高さ位置に近づけたので、積層部21に対するセパレータ付き正極11及び負極9の落下距離が短くなる。また、搬送部22,23により搬送されるセパレータ付き正極11及び負極9を衝突壁部24,25にそれぞれ衝突させるときに、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bにエアーを吹き付けて、正極タブ8b及び負極タブ9bを下方に曲げることにより、搬送部22,23により搬送されるセパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bに干渉することが防止される。これにより、積層部21に対するセパレータ付き正極11及び負極9の落下距離を短くしても、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bの損傷等を防止することができる。このように積層部21に対するセパレータ付き正極11及び負極9の落下距離が短くなるため、積層部21においてセパレータ付き正極11及び負極9の落下速度を更に抑えることができる。
【0082】
図12は、本発明の第2実施形態に係る積層装置の変形例を示す正面図であり、
図4に対応する図である。
図13は、
図12に示された積層装置の側断面図であり、
図6に対応する図である。
【0083】
各図において、本変形例の積層装置20は、上記第2実施形態におけるエアーブロー40に代えて、カバー45及び駆動部46を備えている。カバー45は、積層部21の上方に配置され、セパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bを覆う部材である。
【0084】
駆動部46は、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bを覆う保護位置と、積層部21を退避する退避位置との間でカバー45を移動させる。駆動部46は、カバー45を水平方向のみに移動させてもよいし、カバー45を水平方向及び垂直方向に移動させてもよい。駆動部46は、図示しないコントローラによって制御される。
【0085】
このような積層装置20において、積層部21に積層されたセパレータ付き正極11及び負極9の積層数が所定数以上になったときは、搬送部22から搬出されたセパレータ付き正極11及び搬送部23から搬出された負極9が積層部21の真上を通過する直前に、駆動部46によりカバー45を退避位置から保護位置に移動させる。これにより、
図14(a)及び
図15(a)に示されるように、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bがカバー45によって覆われる。なお、
図14及び
図15では、簡略化のために積層部21を示していない。また、
図14では、積層体として1つの負極9のみを示している。
【0086】
セパレータ付き正極11及び負極9が積層部21の真上を通過した後、
図14(b)及び
図15(b)に示されるように、駆動部46によりカバー45を保護位置から退避位置に移動させる。すると、搬送部22から搬出されたセパレータ付き正極11は、衝突壁部24に衝突して積層部21に向けて落下し、積層部21に積層される。搬送部23から搬出された負極9は、衝突壁部25に衝突して積層部21に向けて落下し、積層部21に積層される。
【0087】
本変形例においては、搬送部22,23により搬送されるセパレータ付き正極11及び負極9を衝突壁部24,25にそれぞれ衝突させるときに、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bをカバー45で覆うことにより、搬送部22,23により搬送されるセパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bに干渉することが防止される。これにより、上記第2実施形態と同様に、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bの損傷等を防止しつつ、積層部21に対するセパレータ付き正極11及び負極9の落下距離を短くし、積層部21においてセパレータ付き正極11及び負極9の落下速度を更に抑えることができる。
【0088】
図17は、変形例に係る積層装置を示す正面図である。
図18は、
図17の衝突壁部付近の構成を示す拡大図である。
図19は、
図12に示された積層装置の側断面図であり、
図6に対応する図である。
【0089】
各図において、本変形例の積層装置20は、上記第1実施形態における衝突壁部に吸引部が形成されている。具体的に、衝突壁部25には、搬送部22により搬送されて衝突壁部24に衝突するセパレータ付き正極11を吸引する吸引部61が形成される。衝突壁部24には、搬送部23により搬送されて衝突壁部25に衝突する負極9を吸引する吸引部62が形成される。吸引部61は、衝突壁部25を所定方向へ貫通する孔を形成することによって構成される。吸引部62は、衝突壁部24を所定方向へ貫通する孔を形成することによって構成される。なお、吸引部61,62の外側の端部は、図示されない真空ポンプ等の吸引手段と接続されている。
【0090】
図18に示すように、吸引部61は、積層部21の内側に対して斜め上方へ向かって傾斜している。従って、吸引部61は、斜め下方へ向かうエアの流れを形成できる。衝突壁部24との衝突時におけるセパレータ付き正極11のうち、衝突壁部25側の領域(すなわち、進行方向における後端側の領域)を吸引する。例えば、衝突壁部24,25間の中心線CL1を設定し、中心線CL1と衝突面25aとの間の中心線CL2を設定し、吸引部61の中心線CL4を設定する。また、衝突壁部25と衝突壁部24との間の開口部の上端の位置を開口位置STとする。この場合、吸引部61の中心線CL4は、中心線CL1よりも衝突壁部25側の位置にて開口位置STと交差する。これにより、少なくともセパレータ付き正極11が開口位置STに到達した状態では、吸引部61は、セパレータ付き正極11の衝突壁部25側の領域を吸引することができる。さらに、吸引部61の中心線CL4は、中心線CL2よりも衝突壁部25側の位置にて開口位置STと交差してよい。これによって、吸引部61は、セパレータ付き正極11のさらに衝突壁部25側の端部付近を吸引することができる。
【0091】
吸引部61は衝突壁部25のうちの上端側の位置に形成されている。吸引部61は、積層体よりも上側であって、テーパ部34よりも下側に配置されてよい。さらに、吸引部61は、セパレータ付き正極11が衝突壁部24と衝突する位置よりも下側に配置されてよい。従って、衝突壁部24との衝突直後におけるセパレータ付き正極11を吸引して下方へ僅かに下げた後は、当該セパレータ付き正極11に吸引力が作用しないようにすることができる。これにより、積層後の電極のタブ等に負圧の影響が発生することを抑制できる。
【0092】
吸引部62は、積層部21の内側に対して斜め上方へ向かって傾斜している。従って、吸引部62は、斜め下方へ向かうエアの流れを形成できる。吸引部62は、衝突壁部25との衝突時における負極9のうち、衝突壁部24側の領域(すなわち、進行方向における後端側の領域)を吸引する。例えば、中心線CL1と衝突面24aとの間の中心線CL3を設定し、吸引部62の中心線CL5を設定する。この場合、吸引部62の中心線CL5は、中心線CL1よりも衝突壁部24側の位置にて開口位置STと交差する。これにより、少なくとも負極9が開口位置STに到達した状態では、吸引部62は、負極9の衝突壁部24側の領域を吸引することができる。さらに、吸引部62の中心線CL5は、中心線CL3よりも衝突壁部24側の位置にて開口位置STと交差してよい。これによって、吸引部62は、負極9のさらに衝突壁部24側の端部付近を吸引することができる。
【0093】
吸引部62は衝突壁部24のうちの上端側の位置に形成されている。吸引部62は、積層体よりも上側であって、テーパ部33よりも下側に配置されてよい。さらに、吸引部62は、負極9が衝突壁部25と衝突する位置よりも下側に配置されてよい。従って、衝突壁部25との衝突直後における負極9を吸引して下方へ僅かに下げた後は、当該負極9に吸引力が作用しないようにすることができる。これにより、積層後の電極のタブ等に負圧の影響が発生することを抑制できる。
【0094】
図19に示すように、吸引部61は、搬送部22の幅方向に延びる形状を有している。これにより、セパレータ付き正極11に作用する吸引部61の吸引力を分散させることができる。吸引部61は、搬送部22の幅方向において、搬送部22から供給される際のセパレータ付き正極11の中央側に配置されてよい。例えば、搬送部22から落下する直前のセパレータ付き正極11の幅方向における中心線CL7を設定した場合、吸引部61は、衝突壁部25内において、中心線CL7寄りの位置に配置される。例えば、吸引部61の幅方向における中心線が、セパレータ付き正極11の端部よりも、中心線CL7寄りの位置に配置されてよい。なお、吸引部61の開口部は幅方向に延びる長方形状をなしている。ただし、吸引部61の開口部の形状は特に限定されず、円形であってもよく、複数の開口部が幅方向に複数個並ぶような構成であってもよい。なお、吸引部62についても、吸引部61と同趣旨の構成が成り立つ。すなわち、吸引部62は、搬送部23の幅方向において、搬送部23から供給される際の負極9の中央側に配置されてよい。
【0095】
以上のように、衝突壁部25には、搬送部22により搬送されて衝突壁部24に衝突するセパレータ付き正極11を吸引する吸引部61が形成される。衝突壁部24には、搬送部23により搬送されて衝突壁部25に衝突する負極9を吸引する吸引部62が形成される。この場合には、搬送部22からセパレータ付き正極11が供給されたときに吸引部61が衝突壁部25側からセパレータ付き正極11を吸引することで、セパレータ付き正極11のうち衝突壁部25側の領域を下方へ下げることができる。これによって、搬送部23から搬送される負極9の移動経路を早期に確保できる。また、搬送部23から負極9が供給されたときに吸引部62が衝突壁部24側から負極9を吸引することで、負極9のうち衝突壁部24側の領域を下方へ下げることができる。これによって、搬送部22から搬送されるセパレータ付き正極11の移動経路を早期に確保できる。以上により、各搬送部から各電極を供給する際の時間間隔を短縮することができる。
【0096】
吸引部61は斜め上方へ向かって傾斜しており、衝突壁部24との衝突時におけるセパレータ付き正極11のうち、衝突壁部25側の領域を吸引する。吸引部62は斜め上方へ向かって傾斜しており、衝突壁部25との衝突時における負極9のうち、衝突壁部24側の領域を吸引してよい。この場合には、吸引部61は、セパレータ付き正極11のうちの衝突壁部25側の領域をより早期に下方へ下げることができる。また、吸引部62は、負極9のうちの衝突壁部24側の領域をより早期に下方へ下げることができる。
【0097】
搬送部22からのセパレータ付き正極11の供給、及び搬送部23からの負極9の供給に応じて、吸引部61と吸引部62は交互に吸引を行ってよい。この場合には、セパレータ付き正極11が供給されている時は吸引部61のみで吸引することで、セパレータ付き正極11の姿勢をより適切に制御できる。すなわち、吸引部61のみで吸引することで、セパレータ付き正極11の姿勢を水平に近づけることができる。また、負極9が供給されている時は吸引部62のみで吸引することで、負極9の姿勢をより適切に制御できる。すなわち、吸引部62のみで吸引することで、負極9の姿勢を水平に近づけることができる。なお、吸引部61,62は、各電極の供給状況に関わらず、吸引を連続的に継続してもよい。この場合は、吸引部61,62の制御が容易となる。
【0098】
吸引部61は、搬送部22の幅方向において、搬送部22から供給される際のセパレータ付き正極11の中央側に配置される。吸引部62は、搬送部23の幅方向において、搬送部23から供給される際の負極9の中央側に配置されている。この場合には、吸引部61は搬送部22から供給されるセパレータ付き正極11の幅方向の中央付近を吸引することができるため、セパレータ付き正極11の姿勢をより適切に制御できる。吸引部62は搬送部23から供給される負極9の幅方向の中央付近を吸引することができるため、負極9の姿勢をより適切に制御できる。
【0099】
なお、上述の
図17〜
図19の変形例の説明では、
図4に示す実施形態の積層装置に対して吸引部を追加した例について説明したが、他の変形例に係る積層装置に吸引部を追加してもよい。
【0100】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、積層部21の位置が固定されているが、特にその形態には限られず、積層部21を移動可能としてもよい。
【0101】
図16は、移動可能な積層部21を備えた積層装置20を示す正面図である。
図16において、積層装置20は、前後方向(図示表裏方向)に延びるガイドレール50と、積層部21をガイドレール50に沿って前後方向に移動可能に支持する支持部51と、この支持部51をガイドレール50に沿って移動させる駆動部52とを更に備えている。
【0102】
このような積層装置20において、セパレータ付き正極11及び負極9が交互に積層されてなる積層体が所定の高さ寸法になったら、積層部21から積層体を取り出す必要がある。そこで、積層部21から積層体を取り出すときは、駆動部52によって積層部21をガイドレール50に沿って手前側(前側)に所定位置まで移動させる。また、積層部21においてセパレータ付き正極11及び負極9の積層が進むにつれて、積層体の高さ寸法が増大する。そこで、積層体の高さ寸法が増大しても、セパレータ付き正極11及び負極9の積層高さ位置が一定となるように、駆動部52によって積層部21をガイドレール50に沿って奥側(後側)に所定距離ずつ移動させる。
【0103】
例えば、
図20に示すように、平面視において、搬送部22,23が積層部21に対して所定角度傾斜していてもよい。
図20に示す例では、搬送部22,23は、積層台26から遠ざかるに従って積層台26の下方側へ向かうように傾斜している。なお、平面視において、衝突壁部24,25の衝突面24a,25aは、搬送部22,23の供給側における端面と略平行をなしていてよい。
【0104】
例えば、
図21に示すように、正面視において、搬送部22,23が積層部21から斜め上方へ傾斜して延びていてよい。搬送部22,23の供給側の端部が衝突壁部24,25の上端部よりも上側に配置されている。これにより、搬送部22,23は斜め上方から積層部21へ供給されるため、空中搬送時間が短縮される。これにより、積層時間を短縮することができる。なお、
図21の形態のように、搬送部22,23が水平方向に対して傾斜していても、傾斜角度が浅いため、電極は鉛直方向の速度成分より水平方向の速度成分が大きい。従って、このような状況も、電極を「水平方向へ搬送する」ものとする。
【0105】
次に、
図22〜
図26を参照して、搬送部上における電極のタブの配置について説明する。
図22は、本発明の一実施形態に係る電極積層方法に使用される積層装置を示す正面図である。
図23は、
図22に示された積層装置の平面図であり、
図24は、
図22に示された積層装置の側部断面図である。
【0106】
各図において、本実施形態の積層装置20は、セパレータ付き正極11と負極9とを高速で交互に積層する装置である。積層装置20は、セパレータ付き正極11及び負極9を積層する積層部21と、この積層部21を挟んで互いに対向するように配置された正極搬送部22及び負極搬送部23とを備えている。
【0107】
積層部21は、正極搬送部22及び負極搬送部23に隣接し且つ正極搬送部22及び負極搬送部23の上面よりも低い位置に配置されている。積層部21は、セパレータ付き正極11及び負極9が載置される積層台26と、この積層台26に立設され、セパレータ付き正極11及び負極9を位置決めする位置決め壁27とを有している。積層台26は、底壁部29が下側に位置するように水平方向に対して所定の角度で傾斜している。
【0108】
位置決め壁27は、セパレータ付き正極11及び負極9の両側縁に接触してセパレータ付き正極11及び負極9の両側縁の位置を揃える1対の側壁部28と、セパレータ付き正極11及び負極9の底縁に接触してセパレータ付き正極11及び負極9の底縁の位置を揃える底壁部29とを有している。セパレータ付き正極11の底縁は、セパレータ付き正極11における正極タブ8bとは反対側の縁である。負極9の底縁は、負極9における負極タブ9bとは反対側の縁である。
【0109】
正極搬送部22は、セパレータ付き正極11を積層部21に向けて水平方向に搬送する。正極搬送部22の上面は、セパレータ付き正極11が載置される搬送面22aを形成している。負極搬送部23は、積層部21を挟んで正極搬送部22と対向するように配置され、負極9を積層部21に向けて水平方向に搬送する。負極搬送部23の上面は、負極9が載置される搬送面23aを形成している。ここでいう水平方向は、完全な水平方向のみならず、水平方向に対して僅かに傾斜した方向も含んでいる。正極搬送部22及び負極搬送部23は、ベルトコンベアである。正極搬送部22及び負極搬送部23は、駆動プーリ30及び従動プーリ31に掛け渡されたベルト32を有している。駆動プーリ30は、モータ(図示せず)によって回転駆動される。なお、正極搬送部22及び負極搬送部23としては、特にベルトコンベアに限られず、ローラコンベア等であってもよい。
【0110】
セパレータ付き正極11と負極9とを積層部21に交互に積層する場合は、まず負極9を負極搬送部23上に所定のインターバルで順次載置すると共に、セパレータ付き正極11を正極搬送部22上に所定のインターバルで順次載置する(供給工程)。
【0111】
このとき、負極9の負極本体部9aにおける負極タブ9bの基端となる一辺が負極搬送部23の搬送方向と平行となると共に、負極タブ9bが積層部21に対して奥側(後側)に突出し且つ負極タブ9bが負極搬送部23の搬送方向上流側に位置するように、負極搬送部23上に負極9を載置する(
図23参照)。セパレータ付き正極11の正極本体部8aにおける正極タブ8bの基端となる一辺が正極搬送部22の搬送方向と平行となると共に、正極タブ8bが積層部21に対して奥側(負極タブ9bの突出方向と同じ方向)に突出し且つ正極タブ8bが正極搬送部22の搬送方向上流側に位置するように、正極搬送部22上にセパレータ付き正極11を載置する(
図23参照)。なお、積層部21に対して奥側は、負極9及びセパレータ付き正極11の搬送方向に対して垂直な方向である。
【0112】
そのように負極9を負極搬送部23上に載置すると共に、セパレータ付き正極11を正極搬送部22上に載置した状態で、負極9及びセパレータ付き正極11を搬送方向下流側(積層部21側)に向けて搬送する(搬送工程)。負極9の搬送及びセパレータ付き正極11の搬送は、交互に実施される。
【0113】
そして、負極9を搬送面23aの一端より落下させて積層部21に積層すると共に、セパレータ付き正極11を搬送面22aの一端より落下させて積層部21に積層する(積層工程)。
【0114】
このとき、負極9の両側縁が位置決め壁27の各側壁部28に接触して位置決めされると共に、負極9の底縁が位置決め壁27の底壁部29に突き当たって位置決めされる。セパレータ付き正極11の両側縁が位置決め壁27の各側壁部28に接触して位置決めされると共に、セパレータ付き正極11の底縁が位置決め壁27の底壁部29に突き当たって位置決めされる。これにより、負極9とセパレータ付き正極11とが交互に積層された積層体が得られる。
【0115】
負極9及びセパレータ付き正極11は、負極タブ9b及び正極タブ8bが上方を向いた状態で積層部21にそれぞれ積層される。このとき、負極タブ9bは負極搬送部23側に位置し、正極タブ8bは正極搬送部22側に位置する。
【0116】
図25は、比較例としての電極積層方法において積層部に電極を供給する方式を示す概略平面図である。本方式では、負極タブ9bが積層部21に対して奥側(後側)に突出し且つ負極搬送部23の搬送方向下流側に位置するように、負極9を負極搬送部23上に載置すると共に、正極タブ8bが積層部21に対して奥側に突出し且つ正極搬送部22の搬送方向下流側に位置するように、セパレータ付き正極11を正極搬送部22上に載置する。なお、
図25では、積層部21、正極搬送部22及び負極搬送部23を省略しているが、正極搬送部22によるセパレータ付き正極11の搬送方向及び負極搬送部23による負極9の搬送方向は、上記実施形態とは逆方向となっている。
【0117】
しかし、そのような方式では、以下の不具合が発生する。即ち、負極9及びセパレータ付き正極11は、例えば搬送速度の影響を受け、積層部21において形成途中の積層体上に落下した後、滑走し、各側壁部28に接触することがある。また、積層部21への負極9及びセパレータ付き正極11の積層数が多くなり、負極9及びセパレータ付き正極11の落下時の落差が小さくなっても、同様の挙動をする。このような場合に特に、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に供給される際に、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bに干渉しやすくなる。具体的には、セパレータ付き正極11が正極搬送部22から搬出されたときに、当該セパレータ付き正極11の正極タブ8bが積層部21に積層済みの負極9の負極タブ9b及びセパレータ付き正極11の正極タブ8bに順次干渉することがある(
図25参照)。また、負極9が負極搬送部23から搬出されたときに、当該負極9の負極タブ9bが積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bに順次干渉することがある。
【0118】
この場合には、積層部21に供給されるセパレータ付き正極11及び負極9が、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bの何れにも干渉することになる。つまり、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bには、積層部21に供給されるセパレータ付き正極11及び負極9が2回ずつ干渉する。正極タブ8b及び負極タブ9bの強度は弱いため、積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bにセパレータ付き正極11及び負極9が2回ずつ干渉すると、正極タブ8b及び負極タブ9bの曲がり、折れ及び損傷等が発生しやすくなる。
【0119】
これに対し本実施形態では、正極タブ8bが正極搬送部22によるセパレータ付き正極11の搬送方向に対して垂直な方向に突出すると共に正極タブ8bが正極搬送部22の搬送方向上流側に位置するようにセパレータ付き正極11を正極搬送部22上に載置した状態で、正極搬送部22によりセパレータ付き正極11を積層部21に向けて搬送する。また、負極タブ9bが正極タブ8bの突出方向と同じ方向に突出すると共に負極タブ9bが負極搬送部23の搬送方向上流側に位置するように負極9を負極搬送部23上に載置した状態で、負極搬送部23により負極9を積層部21に向けて搬送する。このため、積層部21へのセパレータ付き正極11及び負極9の積層数が多くなることで、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に供給される際に、セパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bに干渉しやすくなる場合でも、干渉回数を最小限に抑えることができる。
【0120】
具体的には、セパレータ付き正極11が正極搬送部22から搬出されたときには、
図26に示すように、当該セパレータ付き正極11の正極タブ8bが積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8bのみに干渉する。また、負極9が負極搬送部23から搬出されたときには、図示はしないが、当該負極9の負極タブ9bが積層部21に積層済みの負極9の負極タブ9bのみに干渉する。つまり、積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bには、積層部21に供給されるセパレータ付き正極11及び負極9が1回ずつ干渉するだけである。これにより、供給されるセパレータ付き正極11及び負極9が積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bに干渉する回数を減らすことができる。その結果、正極タブ8b及び負極タブ9bの曲がり、折れ及び損傷等を低減することが可能となる。
【0121】
また、セパレータ付き正極11及び負極9は交互に積層部21に積層されるので、
図25に示されるようにセパレータ付き正極11及び負極9を供給する方式では、積層部21に供給されるセパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bの何れにも干渉しやすくなる。しかし、セパレータ付き正極11を正極搬送部22上に上記のように載置すると共に、負極9を負極搬送部23上に上記のように配置することにより、供給されるセパレータ付き正極11及び負極9が積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bに干渉する回数を確実に減らすことができる。
【0122】
さらに、積層台26は、積層部21に積層されたセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bが上側を向くように水平方向に対して傾斜している。従って、積層部21に積層されたセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bが上側に位置するため、
図25に示されるようにセパレータ付き正極11及び負極9を供給する方式では、積層部21に供給されるセパレータ付き正極11及び負極9が積層部21に積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bの何れにも干渉しやすくなる。しかし、セパレータ付き正極11を正極搬送部22上に上記のように載置すると共に、負極9を負極搬送部23上に上記のように載置することにより、供給されるセパレータ付き正極11及び負極9が積層済みのセパレータ付き正極11の正極タブ8b及び負極9の負極タブ9bに干渉する回数を確実に減らすことができる。
【0123】
また、上記実施形態では、衝突壁部24,25が積層部21の位置決め壁27と一体的に形成されているが、特にそれには限られず、衝突壁部24,25が積層部21とは別の部品で構成されていてもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、積層部21の積層台26が水平方向に対して傾斜しているが、セパレータ付き正極11及び負極9を位置決めする位置決め壁27が積層台26に立設されていれば、積層台26は水平方向に対して傾斜していなくてもよい。
【0125】
さらに、上記実施形態では、積層部21において、正極8が袋状のセパレータ10に包まれた状態であるセパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層しているが、特にそれには限られず、積層部21において、正極と負極が袋状のセパレータに包まれた状態であるセパレータ付き負極とを交互に積層してもよい。このとき、搬送部22により正極を搬送し、搬送部23によりセパレータ付き負極を搬送する。
【0126】
また、積層部21において、セパレータ付き正極11と負極9とが予め積層されてなるシート状の電極ユニットを順次積層してもよい。このとき、搬送部22,23により同じ電極ユニットをそれぞれ搬送する。この場合には、3つの搬送部により同じ電極ユニットをそれぞれ搬送してもよい。
【0127】
図27及び
図28を参照して、正極8、セパレータ110、及び負極9が予め積層されてなる電極ユニットを順次積層する場合の具体例について説明する。
図27に示すように、横方向に配列された正極8と負極9の積層体に対して、各積層体を跨ぐように延びる帯状のセパレータ110を積層させる。そして、下から順にセパレータ110、正極8、セパレータ110及び負極9の順で積層させた後に、セパレータ110を隣り合う正極8及び負極9の積層体同士の間で切断することで、電極ユニット150を形成する。
【0128】
詳細には、まず、帯状のセパレータ110を配置したのち、当該帯状のセパレータ10の上面に、互いに離間する複数の正極8を配置する。このとき、正極8の正極タブ8bは、セパレータ110の幅方向の一方の縁部から延びるように配置される。次に、複数の正極8の上面に帯状のセパレータ110が配置される。次に、帯状のセパレータ110の上面に、互いに離間する複数の負極9を配置する。負極9は、既に積層された正極8と対向するように配置される。また、負極9の負極タブ9bは、セパレータ110の幅方向の一方の縁部から延びるように配置される。このとき、
図27の最も左側に示すように、帯状のセパレータ110の幅方向の縁部に沿うような溶着ラインWLにて、セパレータ110同士が接合される。溶着ラインWLは、正極8及び負極9を幅方向に挟むような位置に形成される。従って、正極8は、両方のセパレータ110に厚さ方向に挟まれるようにして保持される。一方、負極9は、負極タブ9bの位置にてセパレータ110の縁部と溶着ラインWLにて溶着される。これによって、負極9とセパレータとが接合される。最後に、帯状のセパレータ110は、正極8及び負極9が設けられていない位置にて、切断ラインVLに沿って切断される。これによって、セパレータ110、正極8、セパレータ110、及び負極9によって構成された電極ユニット150が形成される。
【0129】
上述のように構成された電極ユニット150は、
図28に示すように、搬送部22,23上に配置される。このような電極ユニット150を搬送することで、積層部21で積層を行った時点では、セパレータ110、正極8、セパレータ110及び負極9の順序に係る積層が完了している。従って、正極8及び負極9を単独で搬送・積層する場合に比して、積層を短時間で行うことができる。
【0130】
さらに、上記実施形態では、蓄電装置1がリチウムイオン二次電池であるが、本発明は、特にリチウムイオン二次電池には限られず、例えばニッケル水素電池等の他の二次電池、電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタ等の蓄電装置における電極の積層にも適用可能である。また、本発明は、特に電極には限られず、シート状体を順次積層する積層装置であれば、適用可能である。