(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
本実施の形態のデバイス管理装置1は、
図1を参照すると、インターネット等のネットワーク2に接続されたデバイス3(3A
1、3B
1)のデバイスデータを収集して管理する情報処理装置である。デバイス3は、例えば、複写機やMFP(Multifunction Peripheral / Printer / Product)等の画像形成装置である。なお、3A
1は、モデルAの稼働中のデバイスであることを示す。また、3B
1は、モデルAとは異なるモデルBの稼働中のデバイスであることを示す。
【0011】
デバイス管理装置1は、パーソナルコンピューター等の情報処理装置であり、制御部10と、液晶ディスプレイ等の表示部20と、キーボード等の入力部30と、記憶部40と、通信部50とを備えている。
【0012】
記憶部40は、半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段である。記憶部40は、ネットワーク2に接続され、稼働中のデバイス3(3A
1、3B
1)のデバイスデータを稼働中デバイスデータ41として記憶する。また、記憶部40は、稼働不能になったデバイス3(3A
0、3B
0)のデバイスデータを稼働不能デバイスデータ42として記憶する。なお、3A
0は、モデルAの稼働不能のデバイスであることを示す。また、3B
0は、モデルAとは異なるモデルBの稼働不能のデバイスであることを示す。また、稼働中デバイスデータ41及び稼働不能デバイスデータ42は、ネットワーク上のサーバーやクラウドに記憶させるようにしても良い。
【0013】
稼働中デバイスデータ41及び稼働不能デバイスデータ42は、
図2に示すように、項目として「固有情報」、「グループ」、「稼働日数」、「Fコール」、「Cコール」、「カウンター値」及び「状態フラグ」とを備えている。
図2に示す稼働中デバイスデータ41及び稼働不能デバイスデータ42は、202X年4月1日現在のものであり、1日毎の稼働中デバイスデータ41が、履歴データ43として蓄積される。なお、稼働不能デバイスデータ42は、抹消登録後は変化がないため、稼働中デバイスデータ41のみを履歴データ43として蓄積すれば良い。
【0014】
「固有情報」は、装置名、製造番号、IPアドレス等の1台のデバイス3を特定するための情報である。
【0015】
「グループ」は、デバイス3をグループ分けするための情報であり、本実施の形態では、「グループ」としてデバイス3のモデルが記憶される。「グループ」として製造工場や製造ライン等を記憶するようにしても良い。また、「固有情報」でグループ分けできる場合には、「グループ」の項目を省略しても良い。
【0016】
「稼働日数」、「Fコール」、「Cコール」及び「カウンター値」は、デバイス3の稼働履歴を示す情報である。「稼働日数」は、デバイス3の稼働が開始された日から現在までの日数である。「稼働日数」の代わりにデバイス3の稼働が開始された日を項目に登録するようにしても良い。「Fコール」及び「Cコール」は、デバイス3でエラーコールが発生した回数であり、「Fコール」は機械的な不具合が発生した時のエラーコード、「Cコール」はソフト的な不具合が発生した時のエラーコードをそれぞれ示す。「カウンター値」は、デバイスが行った印刷のトータル枚数である。
【0017】
「状態フラグ」は、「1」でデバイス3が稼働中であることを示し、「0」でデバイス3が稼働不能であることを示す。そして、「状態フラグ」が「1」のレコードが稼働中デバイスデータ41となり、「状態フラグ」が「0」のレコードが稼働不能デバイスデータ42となる。
【0018】
通信部50は、ネットワーク2に接続されたデバイス3や、デバイス3の管理者が所有する管理者端末4との間で各種データを送受信する機能を有する。
【0019】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の情報処理部である。ROMにはデバイス管理装置1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部10のCPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、装置全体の制御を行う。
【0020】
また、制御部10は、データ受付部11、類似判定部12、寿命算出部13、情報提供部14として機能する。
【0021】
データ受付部11は、入力部30や管理者端末4からデバイス3の設置登録を受け付けると、稼働中デバイスデータ41として「状態フラグ」を「1」した新たなレコードを生成する。なお、設置登録において、データ受付部11は、「固有情報」、「グループ」と共に、IPアドレス等のデバイス3との通信に必要な情報を受け付ける。また、新たなレコードを生成時には、通常、「稼働日数」は「1」に、「Fコール」、「Cコール」及び「カウンター値」は「0」に設定されるが、稼働履歴が既にある場合には、初期値を設定しても良い。
【0022】
データ受付部11は、1日毎に所定のタイミングで稼働中デバイスデータ41を履歴データ43として記憶部40に蓄積すると共に、稼働中デバイスデータ41の全レコードにおいて「稼働日数」の値をインクリメントする。
【0023】
デバイス3は、エラーコールが発生すると、エラーコールの発生をデバイス管理装置1に通知する。データ受付部11は、エラーコールの発生が通知されると、エラーコールの種類に応じて当該デバイス3の稼働中デバイスデータ41における「Fコール」もしくは「Cコール」の値をインクリメントする。なお、デバイス3で「Fコール」及び「Cコール」の発生回数を記憶しておき、データ受付部11がデバイス3から「Fコール」及び「Cコール」の発生回数を所定のタイミングで取得して、稼働中デバイスデータ41を更新するようにしても良い。また、データ受付部11は、デバイス3から「カウンター値」を所定のタイミングで取得して稼働中デバイスデータ41を更新する。
【0024】
デバイス3が故障して修復できなくなり、稼働不能になると、管理者は、入力部30や管理者端末4で抹消登録を実行する。データ受付部11は、抹消登録を受け付けると、当該デバイス3の稼働中デバイスデータ41における「状態フラグ」を「0」して、稼働不能デバイスデータ42のレコードに書き換える。また、データ受付部11は、抹消登録を受け付けると、抹消登録を行うデバイス3と通信を行い、通信ができた場合には、「稼働日数」、「Fコール」、「Cコール」及び「カウンター値」を最新の値に更新する。
【0025】
類似判定部12は、稼働中のデバイス3中の1台もしくは複数台を対象デバイスとする。そして、類似判定部12は、稼働中デバイスデータ41及び稼働不能デバイスデータ42に基づいて、対象デバイスと、同じグループ(モデル)中で、最も近いもしくは最も類似する稼働不能のデバイス3を類似デバイスとして特定する。
【0026】
寿命算出部13は、類似判定部12によって特定された類似デバイスの稼働不能デバイスデータ42における「稼働日数」を対象デバイスの寿命として予測する。
【0027】
情報提供部14は、管理者端末4から稼働中のデバイス3中の1台もしくは複数台を対象デバイスとして指定した情報提供依頼を受け付けると、対象デバイスの寿命を管理者端末4に通知する。
【0028】
次に、対象デバイスの寿命を予測する寿命予測動作について
図3を参照して詳細に説明する。
管理者端末4から稼働中のデバイス3中の1台もしくは複数台を対象デバイスとして指定した情報提供依頼を通信部50経由で受信すると(ステップS101)、制御部10は情報提供部14として機能し、類似判定部12に対象デバイスの寿命予測指示を出力する(ステップS102)。
【0029】
類似判定部12は、寿命予測指示を受け付けると、稼働不能デバイスデータ42に基づいて、対象デバイスと同じグループ(モデル)の稼働不能のデバイス3を特定する(ステップS103)。例えば、
図4に示すように、対象デバイスがモデルAのデバイス3A
1である場合、ステップS103において、稼働不能デバイスデータ42の中から対象デバイスと同じモデルAの稼働不能のデバイス3A
0が特定される。
【0030】
次に、類似判定部12は、ステップS103で特定した稼働不能のデバイス3のそれぞれについて、対象デバイスと「稼働日」が同じ履歴データ43を抽出する(ステップS104)。例えば、
図4に示すように、対象デバイスの「稼働日」が100日である場合、ステップS103で特定された稼働不能のデバイス3A
0のそれぞれについて、「稼働日」が100日である履歴データ43が抽出される。
【0031】
次に、類似判定部12は、対象デバイスの稼働中デバイスデータ41と、ステップS104で抽出した履歴データ43とに基づいて、ステップS103で特定した稼働不能のデバイス3中で、対象デバイスと最も近いもしくは最も類似する稼働不能のデバイス3を類似デバイスとして特定する(ステップS105)。
【0032】
類似判定部12は、稼働中デバイスデータ41の対象デバイスのレコードと、ステップS104で抽出した稼働中デバイスデータ41の各レコードとをそれぞれ比較することで「Fコール」、「Cコール」及び「カウンター値」からなる3次元空間における距離(例えば、標準ユークリッド距離やチェビシェフ距離)もしくは類似度(例えば、ピアソンの相関係数や偏差パターン類似度)をそれぞれ算出し、最も距離が近い稼働不能のデバイス3もしくは最も類似度が高い稼働不能のデバイス3を類似デバイスとして特定する。
【0033】
なお、本実施の形態では、類似判定を行う項目を、デバイス3の劣化に相関する「Fコール」、「Cコール」及び「カウンター値」からなる3次元とした。しかし、これに限定されるものではない。デバイス3の劣化に相関する項目としては、他に「非純正部品の使用回数」や「環境の積算温度」等が考えられる。従って、デバイス3の劣化に相関する項目の中から複数の項目を選択し、選択した項目の多次元空間における距離もしくは類似度を算出すると良い。
【0034】
次に、寿命算出部13は、類似判定部12によって特定された類似デバイスの稼働不能デバイスデータ42における「稼働日数」を対象デバイスの寿命として予測する(ステップS106)。例えば、
図4に示すように、ステップS105で「固有番号:AAA0003」の可動不能のデバイス3A
0が類似デバイスとして特定された場合、類似デバイスの稼働不能デバイスデータ42の「稼働日数」は730日であり、730日が対象デバイス3A
1の寿命として予測される。
【0035】
また、寿命算出部13は、類似デバイスの稼働不能デバイスデータ42における「稼働日数」から対象デバイスの稼働中デバイスデータ41における「稼働日数」を減算した値を残り稼働日数として算出する(ステップS107)。例えば、対象デバイス3A
1の寿命が730日と予測された場合、730日から対象デバイス3A
1の「稼働日数」である100日を減算して630日が残り稼働日数として算出される。
【0036】
なお、寿命算出部13は、類似判定部12によって特定された類似デバイスの稼働不能デバイスデータ42における「カウンター値」を対象デバイスの寿命として特定し、類似デバイスの稼働不能デバイスデータ42における「カウンター値」から対象デバイスの稼働中デバイスデータ41における「カウンター値」を減算した値を残り印刷枚数として算出しても良い。
【0037】
情報提供部14は、情報提供依頼への回答として、ステップS106で予想した対象デバイスの寿命と、ステップS107で算出した残り稼働日数とを管理者端末4を通知して(ステップS108)、動作を終了させる。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、デバイス3の情報を収集して管理するデバイス管理装置1であって、稼働中のデバイス3の情報を稼働中デバイスデータ41として記憶すると共に、稼働不能のデバイス3の情報を稼働不能デバイスデータ42として記憶する記憶部40と、稼働中デバイスデータ41及び稼働不能デバイスデータ42に基づいて、対象デバイスとして指定された稼働中のデバイス3と最も近いもしくは最も類似する稼働不能のデバイス3を類似デバイスとして特定する類似判定部12と、類似デバイスの稼働不能デバイスデータ42から対象デバイスの寿命として予測する寿命算出部13とを備えている。
この構成により、指定された稼働中のデバイス3と最も近いもしくは最も類似する稼働不能のデバイス3の情報から寿命を予測するため、対象デバイスの寿命を正確に予測することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態において、類似判定部12は、対象デバイスと同じモデルの中から類似デバイスを特定する。
この構成により、対象デバイスの寿命をより正確に予測することができる。
【0040】
さらに、本実施の形態において、記憶部40には、1日毎の稼働中デバイスデータ41が履歴データ43として記憶され、類似判定部12は、対象デバイスと同じ稼働日の履歴データ43に基づいて、類似デバイスとして特定する。
この構成により、対象デバイスと最も近いもしくは最も類似する類似デバイスを正確に特定することができる。
【0041】
さらに、本実施の形態において、稼働中デバイスデータ41及び稼働不能デバイスデータ42には、デバイス3の情報としてデバイス3の劣化に相関する複数の項目が記憶され、類似判定部12は、デバイス3の劣化に相関する複数の項目の多次元空間における距離もしくは類似度を算出することで、類似デバイスとして特定する。
この構成により、寿命の予測に適した類似デバイスを精度よく特定することができる。
【0042】
さらに、本実施の形態において、稼働中デバイスデータ41及び稼働不能デバイスデータ42には、稼働中であるか稼働不能であるかを示す状態フラグが設定されており、稼働中デバイスデータ41の状態フラグを書き替えることで、稼働不能デバイスデータ42として登録される。
この構成により、稼働不能デバイスデータ42を簡単に収集することができる。
【0043】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。