特許第6844582号(P6844582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6844582
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】ビス締め装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
   B23P19/06 M
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-86579(P2018-86579)
(22)【出願日】2018年4月27日
(65)【公開番号】特開2019-188564(P2019-188564A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2020年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194146
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】新葉 実
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕一
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−117563(JP,A)
【文献】 実開平05−008614(JP,U)
【文献】 実開昭55−129733(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0319570(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103206949(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00−21/00
B25J 1/00−21/02
B25B 23/00−23/18
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビス締めを実行するドライバと、基板を撮影する撮影部と、前記ドライバ及び前記撮影部を前後左右方向に移載させる移載ユニットとを備え、前記撮影部による撮影画像に基づいてビス締めするビス締め座標を特定し、前記移載ユニットによって前記ビス締め座標に前記ドライバを移動させて前記基板をフレームにビス締めするビス締め装置であって、
前記フレームのビス孔の奥行方向には、前記撮影画像において前記基板及び前記フレームと区別可能なマークが付与され、
前記撮影画像から前記マークを検出するマーク検出部と、
前記マーク検出部によって検出された前記マークの重心座標を算出する重心座標算出部と、
前記重心座標算出部によって算出された前記重心座標に基づいて前記ビス締め座標を特定するビス孔特定部と、を具備することを特徴とするビス締め装置。
【請求項2】
前記マーク検出部によって検出された前記マークの面積を算出する面積算出部と、
エラーを報知する報知部と、を具備し、
前記ビス孔特定部は、前記面積算出部によって算出された前記マークの面積が予め設定された面積閾値以上である場合、前記重心座標を前記ビス締め座標として特定し、前記面積算出部によって算出された前記マークの面積が予め設定された面積閾値未満である場合、報知部からエラーを出力させることを特徴とする請求項1記載のビス締め装置。
【請求項3】
前記ビス孔特定部は、前記移載ユニットによった前記撮影部の光軸を前記重心座標に移動させた後に、前記マーク検出部によって検出した前記マークの前記重心座標と、前記撮影部の光軸とが一致するまで、前記マーク検出部による前記マークの検出と、前記重心座標算出部による前記重心座標の算出とを繰り返し、前記撮影部の光軸と一致した前記重心座標を前記ビス締め座標として特定することを特徴とする請求項1又は2記載のビス締め装置。
【請求項4】
前記マーク検出部は、前記移載ユニットによって前記撮影部を所定のルートで移動させながら撮影した前記撮影画像から前記マークを検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のビス締め装置。
【請求項5】
前記ビス孔が貫通孔である場合、前記マークは、前記ビス孔の奥行方向に位置する前記フレームの表面に付与されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のビス締め装置。
【請求項6】
前記ビス孔が貫通孔でない場合、前記マークは、前記ビス孔の奥行方向に位置する底面に付与されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のビス締め装置。
【請求項7】
前記マークは、前記撮影部の光軸と、前記ビス孔の中心軸とが一致した状態で、前記撮影画像内での面積が最大となり、前記撮影部の光軸と、前記ビス孔の中心軸Bとがずれるほど、前記撮影画像内での面積が小さくなるように付与されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のビス締め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラによって検出したビス孔にビス締めを行うビス締め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビス締め装置によって板金等のフレームに基板をビス締めする際には、ビス孔の座標位置データを自動機に登録しておき、基板は位置が決められた箇所に設置されており、座標位置データ通りにビス締めを行っている。
【0003】
また、ビス孔の座標位置データを自動ビス締め装置に登録しておき、カメラにてフレームのビス螺着孔と基板の通し孔との重なり領域(以下、孔重なり領域と称す)を撮影し、孔重なり領域の正規の位置からのずれ量を検出する技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−237729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、決められた箇所に設置された基板に、座標位置データ通りにビス締めを行う場合には、基板を決められた位置に設置する必要があり、作業に時間が要する。また、カメラによる撮影によって重なり部分の正規の位置からのずれ量を検出する場合には、基板を決められた位置に設置する必要はないが、カメラで検出されたビス孔に対して、正確な位置でビス締めを行うことができないという問題点があった。すなわち、カメラとビス孔とが正対していない場合、基板やフレームの厚さがあるため、実際の孔重なり領域とカメラによって撮影された孔重なり領域とは、その形状及び位置が異なる。従って、カメラによって撮影された孔重なり領域に基づいてずれ量を検出した場合、ネジ締め位置が実際の孔重なり領域からずれてしまう。
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、撮影部によって検出されたビス孔に対して、正確な位置でビス締めを行うことができるビス締め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のビス締め装置は、ビス締めを実行するドライバと、基板を撮影する撮影部と、前記ドライバ及び前記撮影部を前後左右方向に移載させる移載ユニットとを備え、前記撮影部による撮影画像に基づいてビス締めするビス締め座標を特定し、前記移載ユニットによって前記ビス締め座標に前記ドライバを移動させて前記基板をフレームにビス締めするビス締め装置であって、前記フレームのビス孔の奥行方向には、前記撮影画像において前記基板及び前記フレームと区別可能なマークが付与され、前記撮影画像から前記マークを検出するマーク検出部と、前記マーク検出部によって検出された前記マークの重心座標を算出する重心座標算出部と、前記重心座標算出部によって算出された前記重心座標に基づいて前記ビス締め座標を特定するビス孔特定部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ビス孔の中心軸の近傍をビス締め座標として特定することができ、撮影部によって検出されたビス孔に対して、正確な位置でビス締めを行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るビス締め装置の実施の形態の概略構成を示す斜視図である。
図2】板金で構成されたフレームへのマークの付与例を示す図である。
図3】樹脂で構成されたフレームへのマークの付与例を示す図である。
図4図1に示すビス締め装置の概略構成を示すブロック図である。
図5図1に示すビス締め装置によるビス孔特定動作を説明するフロチャートである。
図6図1に示すビス締め装置によるビス孔特定動作を説明する説明図である。
図7図1に示すビス締め装置によるビス孔特定動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同様の機能を示す構成には、同一の符号を付してある。
【0011】
本実施の形態のビス締め装置1は、図1を参照すると、基板3を板金等のフレーム2にビス締めする装置である。ビス締め装置1は、ビスに係合可能なビットを回転および昇降自在に備えビス締めを実行するドライバ4と、ビス締めを実行する基板3を撮影するカメラ5と、ドライバ4及びカメラ5を前後左右方向に移載させる移載ユニット6とを備えている。
【0012】
図2を参照すると、基板3をビス締めするフレーム2において、ビス孔21の奥行方向にマークMが付与されている。図2に示すように、フレーム2が板金で構成され、ビス孔21が貫通孔である場合、マークMは、ビス孔21の奥行方向に位置するフレーム2の面に付与すると良い。マークMは、基板3の色や模様と区別可能な色や模様で付与されている。これにより、カメラ5による撮影画像において、マークMは、基板3及びフレーム2と色や模様で区別可能である。マークMは、刻印によって形成しても、マーカーによる塗布で形成しても良い。
【0013】
マークMは、例えば、ビス孔21と略同一径の円形で、中心軸Bがビス孔21と一致するように付与する。これにより、マークMは、図2(a)に示すように、カメラ5の光軸Aと、フレーム2のビス孔21の中心軸Bとが一致した状態で、カメラ5による撮影画像内での面積が最大となる。そして、マークMは、図2(b)(c)に示すように、カメラ5の光軸Aと、フレーム2のビス孔21の中心軸Bとがずれるほど、カメラ5による撮影画像内での面積が小さくなる。
【0014】
図3に示すように、フレーム2が樹脂で構成され、ビス孔21が貫通孔でない場合、マークMは、ビス孔21の奥行方向に位置する底面に付与すると良い。マークMは、ビス孔21に塗料等を流し込むことで形成することができる。この場合も、マークMは、図3(a)に示すように、カメラ5の光軸Aと、フレーム2のビス孔21の中心軸Bとが一致した状態で、カメラ5による撮影画像内での面積が最大となる。そして、マークMは、図3(b)(c)に示すように、カメラ5の光軸Aと、フレーム2のビス孔21の中心軸Bとがずれるほど、カメラ5による撮影画像内での面積が小さくなる。
【0015】
ドライバ4は、ビットを回転させるモーター等の回転駆動部と、ビットを昇降させるシリンダ等の昇降駆動部とを備えている。なお、ドライバ4の構成は、ビス締めを行う機能を備えていれば特に制限はない。
【0016】
カメラ5は、上方から基板3の所定の領域を撮影するCCDカメラ等の撮影手段である。
【0017】
移載ユニット6は、ドライバ及びカメラ5が固定された第1移動部61と、第1移動部を61を図1に示すX方向に移動可能に支持する第2移動部62と、第2移動部62を図1に示すY方向に移動可能に支持する固定部63とを備えている。また、移載ユニット6には、第1移動部61をX方向に移動させる図示しない駆動部と、第2移動部62をY方向に移動させる図示しない駆動部とが備えられている。これにより、第1移動部61、すなわちドライバ及びカメラ5を基板3上の任意の座標に移載可能に構成されている。
【0018】
図4を参照すると、ビス締め装置1は、ドライバ4、カメラ5及び移載ユニット6に接続された制御部7を備えている。また。制御部7には、記憶部8と、報知部9とが接続されている。
【0019】
記憶部8は、半導体メモリ等の記憶手段であり、基板3の通し孔31(フレーム2のビス孔21)の位置が孔位置情報81として記憶されている。
【0020】
報知部9は、液晶ディスプレイ等の表示手段やスピーカ等の音声出力手段であり、ユーザーにエラーを報知する。
【0021】
制御部7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータ等の演算処理回路である。ROMにはビス締め装置1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。制御部7は、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、制御プログラムをRAMに展開させることで、ビス孔特定部71、ユニット制御部72、マーク検出部73、マーク算出部74及びドライバ制御部75として機能してビス締め装置1の制御を行う。
【0022】
次に、ビス締め装置1におけるビス孔特定動作について図5乃至図7を参照して詳細に説明する。
制御部7は、ビス締めを指示されると、ビス孔特定部71として機能する。ビス孔特定部71は、記憶部8に記憶されている孔位置情報81に基づいて、ビス締めを行っていない基板3の通し孔31(フレーム2のビス孔21)のいずれか一つを選択する(ステップS101)。
【0023】
次に、制御部7は、移載ユニット6の移動を制御するユニット制御部72として機能し、ステップS101で選択された通し孔31(ビス孔21)にカメラ5を移動させる(ステップS102)。なお、孔位置情報81には、通し孔31(ビス孔21)の中心軸Bの座標が設定されており、ユニット制御部72は、通し孔31(ビス孔21)の中心軸Bとカメラ5の光軸Aとが一致するように、カメラ5を移動させる。
【0024】
次に、制御部7は、マーク検出部73として機能し、カメラ5による撮影画像からマークMを検出する(ステップS103)。マークMは、刻印やマーカー等によって基板3及びフレーム2と区別可能に形成されているため、画像解析によって簡単に検出することができる。
【0025】
次に、マーク検出部73は、ステップS103でマークMを検出できたか否かを判断する(ステップS104)。なお、本実施の形態において、基板3及びフレーム2の位置決めには、高い精度を必要せず、概略で良い。従って、基板3及びフレーム2の位置によってはマークMが検出されない場合があり、ステップS104でマークMを検出できなかった場合、マーク検出部73は、基板3及びフレーム2の位置がずれ過ぎていることを通知する位置ずれラーを報知部9によって出力し(ステップS116)、ビス孔特定動作を終了させる。
【0026】
なお、本実施の形態では、孔位置情報81に基づいて、カメラ5を移動させるようにしたが、移載ユニット6によってカメラ5を所定のルートで移動させながら撮影し、その撮影画像からマークMを検出するようにしても良い。この場合には、孔位置情報81を予め用意する必要がない。
【0027】
ステップS104でマークMを検出できた場合、マーク検出部73は、ステップS103で検出されたマークMの重心座標Cを検出する(ステップS105)。図6(a)には、マーク検出部73によってマークMの重心座標Cが検出された例が示されている。
【0028】
次に、ビス孔特定部71は、ユニット制御部72によってステップS105で検出された重心座標Cと光軸Aが一致するようにカメラ5を移動させる(ステップS106)。図6(b)には、マークMの重心座標Cにカメラ5が移動された例が示されている。
【0029】
そして、マーク検出部73は、カメラ5による撮影画像からマークMを検出し(ステップS107)、マーク検出部73は、ステップS107で検出されたマークMの重心座標Cを検出する(ステップS108)。
【0030】
次に、マーク検出部73は、ステップS108で検出されたマークMの重心座標Cとカメラ5の光軸Aとが一致するか否かを判断する(ステップS109)。
【0031】
ステップS109でマークMの重心座標Cとカメラ5の光軸Aとが一致しない場合、ステップS106に戻り、ステップS109でマークMの重心座標Cとカメラ5の光軸Aとが一致するまでステップS106〜S108を繰り返す。なお、実際の制御において、ステップS109の一致の判断は、ビス締めの精度において問題のない範囲で行うと良く、マークMの重心座標Cとカメラ5の光軸Aとが所定距離以内であれば一致と判断される。
【0032】
図6(b)には、マーク検出部73によってマークMの重心座標Cが検出された例が示されており、マークMの重心座標Cとカメラ5の光軸Aとが一致としない場合、図6(c)に示すように、マークMの重心座標Cとカメラ5の光軸Aとが一致するまで、ステップS106〜S108を繰り返す。
【0033】
そして、図6(c)に示すように、基板3の通し孔31とフレーム2のビス孔21とが一致している場合、すなわち通し孔31の真上から見てビス孔21の全体が見える場合、マークMの重心座標Cとカメラ5の光軸Aとが一致することで、カメラ5の光軸Aとビス孔21の中心軸Bとが一致する。
【0034】
なお、図7(a)に示すように、基板3の通し孔31とフレーム2のビス孔21とがずれている場合、すなわち通し孔31の真上から見てビス孔21の一部が欠けている場合、マークMの重心座標Cとカメラ5の光軸Aとが一致しても、カメラ5の光軸Aとビス孔21の中心軸Bとが一致しない。そして、図7(b)、(c)に示すように、基板3の通し孔31とフレーム2のビス孔21とのずれが大きいほど、撮影画像におけるマークMの面積が小さくなり、カメラ5の光軸Aとビス孔21の中心軸Bとのずれ量が大きくなる。
【0035】
そこで、ステップS109でマークMの重心座標Cとカメラ5の光軸Aとが一致すると、マーク算出部74は、マークMの面積を算出し(ステップS110)、ビス孔特定部71は、マークMの面積が予め設定された面積閾値以上か否かを判断する(ステップS111)。そして、ステップS111でマークMの面積が予め設定された閾面積値以上であれば、カメラ5の光軸Aとビス孔21の中心軸Bとのずれ量が所定の値以下であることを意味する。従って、ビス孔特定部71は、カメラ5の光軸Aの座標をビス締め座標として特定する(ステップS112)。
【0036】
次に、ビス孔特定部71は、ユニット制御部72によってステップS112で特定したビス締め座標にドライバ4を移動させ(ステップS113)、ドライバ制御部75によってビス締めを実行させる(ステップS114)。
【0037】
次に、ビス孔特定部71は、ビス締めを行っていない残りの通し孔31(ビス孔21)があるか否かを判断し(ステップS115)、残りの通し孔31(ビス孔21)がある場合には、ステップS101に戻り、残りの通し孔31(ビス孔21)がある場合には、ビス孔特定動作を終了させる。
【0038】
ステップS111でマークMの面積が予め設定された閾面積値未満の場合、カメラ5の光軸Aとビス孔21の中心軸Bとのずれ量が所定の値よりも大きいことを意味する。従って、ビス孔特定部71は、基板3及びフレーム2の位置がずれ過ぎていることを通知する位置ずれエラーを報知部9によって出力し(ステップS116)、ビス孔特定動作を終了させる。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ビス締めを実行するドライバ4、基板3を撮影する撮影部であるカメラ5と、ドライバ4及びカメラ5を前後左右方向に移載させる移載ユニット6とを備え、カメラ5による撮影画像に基づいてビス締めするビス締め座標を特定し、移載ユニット6によってビス締め座標にドライバ4を移動させて基板3をフレーム2にビス締めするビス締め装置1であって、フレーム2のビス孔21の奥行方向には、撮影画像において基板3及びフレーム2と区別可能なマークMが付与され、撮影画像からマークMを検出するマーク検出部と、マーク検出部73によって検出されたマークMの重心座標を算出する重心座標算出部(マーク算出部74)と、マーク算出部74によって算出された重心座標に基づいてビス締め座標を特定するビス孔特定部とを具備することを特徴とする。
この構成により、ビス孔21の中心軸Bの近傍をビス締め座標として特定することができ、カメラ5によって検出されたビス孔21に対して、正確な位置でビス締めを行うことができる。
【0040】
さらに、本実施の形態において、マーク検出部73によって検出されたマークMの面積を算出する面積算出部(マーク算出部74)と、エラーを報知する報知部9と、を具備し、ビス孔特定部71は、マーク算出部74によって算出されたマークMの面積が予め設定された面積閾値以上である場合、重心座標をビス締め座標として特定し、マーク算出部74によって算出されたマークMの面積が予め設定された面積閾値未満である場合、報知部9からエラーを出力させる。
この構成により、基板3の通し孔31とフレーム2のビス孔21とのずれに応じて、ビス締めを実行するか否かを判断することができる。
【0041】
さらに、本実施の形態において、ビス孔特定部71は、移載ユニット6によったカメラ5の光軸を重心座標に移動させた後に、マーク検出部73によって検出したマークMの重心座標と、カメラ5の光軸とが一致するまで、マーク検出部73によるマークMの検出とマーク算出部74による重心座標の算出とを繰り返し、カメラ5の光軸と一致した重心座標をビス締め座標として特定する。
この構成により、ビス孔21の中心軸Bとほぼ一致するビス締め座標を特定することができる。
【0042】
さらに、本実施の形態において、マーク検出部73は、移載ユニット6によってカメラ5を所定のルートで移動させながら撮影した撮影画像からマークMを検出する。
この構成により、通し孔31(ビス孔21)の中心軸Bの座標が設定された孔位置情報81を予め用意する必要がない。
【0043】
さらに、本実施の形態において、ビス孔21が貫通孔である場合、マークMは、ビス孔21の奥行方向に位置するフレーム2の表面に付与される。
この構成により、貫通孔であるビス孔21の奥行方向に簡単にマークMを付与することができる。
【0044】
さらに、本実施の形態において、ビス孔21が貫通孔でない場合、マークMは、ビス孔の奥行方向に位置する底面に付与される。
この構成により、貫通孔でないビス孔21の奥行方向に簡単にマークMを付与することができる。
【0045】
さらに、本実施の形態において、マークMは、カメラ5の光軸Aと、ビス孔21の中心軸Bとが一致した状態で、撮影画像内での面積が最大となり、カメラ5の光軸Aと、ビス孔21の中心軸Bとがずれるほど、撮影画像内での面積が小さくなるように付与されている。
この構成により、基板3の通し孔31とフレーム2のビス孔21とのずれに応じて、ビス締めを実行するか否かを正確に判断することができる。
【0046】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。
【符号の説明】
【0047】
1 ビス締め装置
2 フレーム
3 基板
4 ドライバ
5 カメラ
6 移載ユニット
7 制御部
8 記憶部
9 報知部
61 第1移動部
62 第2移動部
63 固定部
81 孔位置情報
71 ビス孔特定部
72 ユニット制御部
73 マーク検出部
74 マーク算出部
75 ドライバ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7