(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
(1)全体構成
冷媒管理システム100は、冷媒使用機器に使用されている冷媒の管理を行うシステムである。冷媒使用機器とは、冷媒を用いる蒸気圧縮式の冷凍サイクルを備える機器である。冷媒使用機器は、例えば、空気調和装置、空気清浄装置、ヒートポンプ式給湯装置、冷凍装置又は冷蔵装置である。冷媒使用機器に使用される冷媒は、例えば、R32、R452B、R410A、R454B、HFO系混合冷媒(例えば、HFO−1123とR32との混合冷媒)、CO
2又はCF
3I(単体もしくはその混合冷媒)である。
【0028】
冷媒管理システム100が行う冷媒の管理とは、冷媒循環サイクルで流通している冷媒を一元的に把握すること、又は、把握した冷媒の情報を各業者に提供することを意味する。
図1は、冷媒循環サイクルの模式図である。冷媒循環サイクルは、主として、生産段階、分配段階、据付段階、メンテナンス段階、回収段階、再生段階、及び、廃却段階から構成される。
図1では、冷媒の流れが矢印で示されている。冷媒は、ボンベ等の専用の容器、又は、冷媒使用機器に充填された状態で流通する。
図1には、冷媒が充填された容器R1、及び、冷媒が充填された冷媒使用機器R2の流れが示されている。
【0029】
生産段階では、冷媒製造業者によって冷媒が新規に生産される。分配段階では、新規に生産された冷媒が専用のボンベ等に充填されて出荷される。冷媒の出荷先は、例えば、冷媒使用機器の製造業者(以下、「機器製造業者」と呼ぶ。)、冷媒使用機器の据付業者、及び、冷媒使用機器のメンテナンス業者である。機器製造業者、据付業者及びメンテナンス業者は、同一の業者であってもよく、互いに異なる業者であってもよい。機器製造業者は、冷媒使用機器の製造時又は出荷時において、必要に応じて冷媒使用機器に冷媒を充填する。
【0030】
分配段階では、冷媒の分配業者によって、新規に生産された冷媒、又は、再生された冷媒が分配される。分配業者は、例えば、冷媒製造業者が製造した冷媒、又は、再生された冷媒を買い取り、機器製造業者、据付業者及びメンテナンス業者の少なくとも1つに販売する。分配業者は、冷媒の販売業者であってもよい。分配業者は、冷媒が充填された冷媒使用機器を分配する業者であってもよい。
【0031】
据付段階では、据付業者によって所定の設置場所に冷媒使用機器が据え付けられる。所定の設置場所は、例えば、冷媒使用機器の保有者が利用又は所有している建物等の物件である。据付業者は、冷媒使用機器の据付時において、必要に応じて、冷媒が充填されたボンベ等を用いて、冷媒使用機器及び冷媒配管に冷媒を充填する。
【0032】
メンテナンス段階では、メンテナンス業者によって、設置された冷媒使用機器の保守管理が行われる。具体的には、メンテナンス業者は、冷媒使用機器の点検作業又は修理作業等を行う。メンテナンス業者は、必要に応じて、冷媒が充填されたボンベ等を用いて、冷媒使用機器に充填されている冷媒の交換作業、又は、冷媒使用機器に冷媒を補充するための再充填作業を行う。冷媒の交換作業は、例えば、冷媒使用機器が設置された後、所定の期間が経過した時に行われる。冷媒の再充填作業は、例えば、冷媒使用機器に充填されている冷媒の量が不足していることが点検時に発覚した時に行われる。
【0033】
回収段階では、冷媒の回収業者によって、冷媒使用機器、又は、物件に据え付けられた冷媒使用機器及び冷媒配管に充填されている冷媒が回収される。回収業者は、冷媒使用機器の修理、移設又は廃棄等の際に、冷媒を回収する。冷媒の回収方法としては、冷媒配管に充填されている冷媒を冷媒使用機器内に集めて回収する方法、及び、冷媒使用機器と冷媒配管中の冷媒を専用のボンベ等に充填して回収する方法等がある。回収業者は、冷媒使用機器に充填されている冷媒を交換する時にも、冷媒使用機器から冷媒を取り出して回収する。
【0034】
再生段階では、冷媒の再生業者によって、回収業者が回収した冷媒の再生処理が行われる。冷媒の再生処理とは、例えば、回収された冷媒から不純物を取り除く処理、及び、回収された冷媒を原料にして冷媒を再生産する処理である。再生業者は、再生予定の冷媒が充填されたボンベ等を回収業者から引き取って、冷媒を再生する。再生された冷媒は、専用のボンベ等に充填される。
【0035】
廃却段階では、回収業者によって回収された冷媒の一部が廃却業者によって廃却される。冷媒の廃却とは、例えば、冷媒を化学的に破壊して人体・環境に悪影響を与えにくい物質に変換する作業、及び、使用されないように冷媒を保管する作業を意味する。廃却業者は、廃却予定の冷媒が充填された冷媒使用機器及びボンベ等を回収業者から引き取って、冷媒を廃却する。
【0036】
以下において、「業者」とは、特に断りがない限り、機器製造業者、冷媒製造業者、据付業者、メンテナンス業者、回収業者、再生業者、及び、分配業者を指すものとする。これらの業者の少なくとも一部が同一の業者であってもよい。例えば、機器製造業者、据付業者、メンテナンス業者及び回収業者が、同一の業者であってもよく、再生業者及び分配業者が、同一の業者であってもよい。本実施形態では、据付業者、メンテナンス業者及び回収業者は、同一の業者であるとする。各業者は、冷媒管理システム100にアクセスするために必要なログインIDが割り当てられている。互いに異なる複数の業者に同一のログインIDが割り当てられることはない。業者は、自身のログインIDを用いてログイン処理を行うことで冷媒管理システム100にアクセスすることができる。
【0037】
図2は、冷媒管理システム100のネットワーク構成を示す図である。
図3は、冷媒管理システム100の全体構成を示す模式図である。
図3に示される矢印は、冷媒管理システム100が取り扱うデータの流れを示す。
【0038】
冷媒管理システム100は、主として、複数の入力端末10a,10b,・・・と、1つの管理サーバ20と、1つの管理者用端末80と、これらを接続するネットワーク90とから構成される。ネットワーク90は、例えば、インターネットである。
【0039】
入力端末10a,10b,・・・は、業者によって使用及び管理されるクライアントコンピュータである。入力端末10a,10b,・・・は、例えば、スマートフォン又はタブレット等の携帯端末である。業者が法人等の団体である場合、入力端末10a,10b,・・・の実際の操作者は、メーカーのサービスマン等、その業者に所属している個人である。以下において、「業者」という用語は、入力端末10a,10b,・・・を実際に操作する者も意味する。業者は、冷媒循環サイクルで流通している冷媒に関する作業を行う際に、入力端末10a,10b,・・・を操作して、入力端末10a,10b,・・・に所定のデータを入力する。入力端末10a,10b,・・・は、業者によって入力されたデータを、ネットワーク90を介して管理サーバ20に送信する機能を有する。入力端末10a,10b,・・・は、必要に応じて、管理サーバ20から所定のデータを受信する機能を有する。冷媒管理システム100では、
図3に示されるように、第1業者C1、再生業者C4、分配業者C5、機器製造業者C6、冷媒製造業者C7及び廃却業者C9は、それぞれ、入力端末10a、入力端末10b、入力端末10c、入力端末10d、入力端末10e、入力端末10fを所有している。本実施形態では、第1業者C1は、据付業者、メンテナンス業者及び回収業者の全てを兼ねる業者である。再生業者C4、分配業者C5、機器製造業者C6、冷媒製造業者C7及び廃却業者C9は、互いに異なる業者であり、かつ、第1業者C1とは異なる業者である。
【0040】
管理サーバ20は、冷媒管理システム100の管理者Sによって管理されるサーバコンピュータである。管理サーバ20として、レンタルサーバ、又は、クラウドサービスを利用した仮想サーバ等が用いられてもよい。管理サーバ20は、入力端末10a,10b,・・・から受信したデータの蓄積・処理、ネットワーク90の中継及びネットワーク90の管理等の作業を行う。管理サーバ20は、ネットワーク90を介して、入力端末10a,10b,・・・との間で所定のデータを送受信する機能を有する。管理サーバ20は、
図2に示されるように、管理者用データ20a及びユーザ用データ20bを記憶している。管理者用データ20aとは、冷媒管理システム100の管理者Sのみが閲覧権限を有するデータである。ユーザ用データ20bとは、業者が閲覧権限を有するデータである。管理サーバ20は、業者ごとにユーザ用データ20bを記憶している。冷媒管理システム100にログインした業者は、自身の入力端末10a,10b,・・・を用いて、自身のユーザ用データ20bにアクセスすることができる。管理者Sは、全ての業者のユーザ用データ20bの閲覧権限を有する。
【0041】
管理者用端末80は、冷媒管理システム100の管理者Sによって使用されるコンピュータである。管理者Sは、管理者用端末80を用いて管理サーバ20にアクセスして、冷媒循環サイクルで流通している冷媒を管理する。例えば、管理者Sは、管理者用端末80を用いて管理サーバ20から所定のデータを取得して、冷媒管理システム100によって管理されている冷媒に関する情報及びサービスを業者に提供する。
【0042】
業者は、入力端末10a,10b,・・・を操作して、管理サーバ20に所定のデータを直接入力することができる。管理サーバ20は、業者が入力端末10a,10b,・・・を操作して管理サーバ20に入力したデータに基づいて、第1情報を取得して記憶することができる。業者が管理者Sを兼ねている場合、業者は、管理者用のログインIDと業者用のログインIDとの両方を有することになる。管理サーバ20は、業者が管理者用端末80を操作して管理サーバ20に入力したデータに基づいて、第1情報を取得して記憶することができる。管理サーバ20は、取得した第1情報に基づいて第2情報を生成して記憶することができる。第1情報及び第2情報の詳細は後述する。
【0043】
(2)詳細構成
図4は、入力端末10a,10b,・・・、管理者用端末80及び管理サーバ20のブロック図である。
【0044】
(2−1)入力端末
入力端末10a,10b,・・・は、主として、入力部11と、送信部12と、受信部13と、表示部14と、記憶部15と、制御部16とを備える。
【0045】
入力部11は、業者による入力端末10a,10b,・・・の操作を受け付ける。送信部12は、ネットワーク90を介して管理サーバ20にデータを送信する。受信部13は、ネットワーク90を介して管理サーバ20からデータを受信する。受信部13が受信するデータは、例えば、管理サーバ20に記憶されている第1情報及び第2情報である。表示部14は、入力端末10a,10b,・・・のディスプレイに所定のデータを表示させる。表示部14によって表示されるデータは、例えば、業者が入力端末10を操作して管理サーバ20に入力したデータ、及び、管理サーバ20から受信したデータである。記憶部15は、管理サーバ20から受信したデータ等を記憶する。制御部16は、入力部11と、送信部12と、受信部13と、表示部14と、記憶部15とを制御する。
【0046】
(2−2)管理者用端末
管理者用端末80は、主として、入力部81と、送信部82と、受信部83と、表示部84と、記憶部85と、制御部86とを備える。
【0047】
入力部81は、管理者Sによる管理者用端末80の操作を受け付ける。送信部82は、ネットワーク90を介して管理サーバ20にデータを送信する。受信部83は、ネットワーク90を介して管理サーバ20からデータを受信する。受信部83が受信するデータは、例えば、管理サーバ20に記憶されている第1情報及び第2情報である。表示部84は、管理者用端末80のディスプレイに所定のデータを表示させる。表示部84によって表示されるデータは、例えば、管理者Sが管理者用端末80を操作して管理サーバ20に入力したデータ、及び、管理サーバ20から受信したデータである。記憶部85は、管理サーバ20から受信したデータ等を記憶する。制御部86は、入力部81と、送信部82と、受信部83と、表示部84と、記憶部85とを制御する。
【0048】
(2−3)管理サーバ
管理サーバ20は、主として、制御部26と、記憶部22と、送信部24と、受信部25とを備える。
【0049】
制御部26は、プログラムを読み込んで実行することができる、マイクロコントローラ及びCPU等である。制御部26は、主として、取得部21と生成部23と評価部27とを有する。取得部21、生成部23及び評価部27は、制御部26によって読み込まれて実行されるプログラムによって実現される機能に相当する。
【0050】
取得部21は、業者が入力端末10a,10b,・・・又は管理者用端末80を操作して管理サーバ20に入力したデータに基づいて、第1情報を取得する。取得部21は、冷媒使用機器の据付時、及び、冷媒使用機器のメンテナンス時の少なくとも1つの時点において、第1情報を取得する。言い換えると、取得部21は、
図1に示される冷媒循環サイクルの据付段階及びメンテナンス段階の少なくとも1つの段階において、第1情報を取得する。
【0051】
生成部23は、取得部21が取得した第1情報に基づいて、第2情報を生成する。
【0052】
評価部27は、記憶部22に記憶されている第1情報に基づいて、業者が業務対象としている冷媒使用機器30の数、及び、業者が業務対象としている冷媒使用機器30に使用されている冷媒の量の少なくとも一方に応じて業者を評価する。具体的には、評価部27は、第1情報に基づいて生成され記憶部22に記憶されている第2情報に含まれる、冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量、及び、冷媒使用機器30から回収された冷媒の量に基づいて業者を評価する。本実施形態において、評価とは、業者ごとに優劣を付けること、業者ごとにポイントを付与すること、業者ごとに良い又は悪いと判断すること、業者にサービスを提供してもよいか否かを判断すること、及び、業者にどのようなサービスを提供するかを判断すること、の少なくとも1つを意味する。
【0053】
評価部27は、業者に対する評価の結果に基づいて、冷媒使用機器30に使用される冷媒に関して業者に提供されるサービスを決定する。例えば、評価部27は、冷媒使用機器30から回収され再生された冷媒、及び、冷媒使用機器30に使用される冷媒であって新規に生産された冷媒の少なくとも一方に関して、業者に供給することができる量を算出する。この場合、業者に提供されるサービスは、冷媒の供給に関するサービスである。
【0054】
記憶部22は、HDD及びSSD等の補助記憶装置である。記憶部22は、取得部21が取得した第1情報、及び、第1情報から生成された第2情報を記憶する。記憶部22は、
図4に示されるように、機器情報データベースDB1と、冷媒情報データベースDB2と、アカウント情報データベースDB3と、アカウント管理データベースDB4と、イベント情報データベースDB5と、冷媒管理情報データベースDB6とから構成される。
【0055】
送信部24及び受信部25は、ネットワーク機器である。送信部24は、第1情報、又は、生成部23が生成した第2情報を管理者S又は業者に送信する。具体的には、例えば、送信部24は、管理者S又は業者が使用している端末等に第1情報又は第2情報を送信する。受信部25は、ネットワーク90を介して入力端末10a,10b,・・・及び管理者用端末80からデータを受信する。
【0056】
(2−4)管理サーバの詳細
(2−4−1)データベース
管理サーバ20が記憶部22内に有している各データベースについて説明する。
【0057】
図5は、機器情報データベースDB1を説明するための図である。機器情報データベースDB1は、冷媒管理システム100に登録されている冷媒使用機器30に関する情報を記憶している。機器情報データベースDB1の各レコードは、機器IDと、機種名と、機器製造業者IDと、冷媒種別と、冷媒既充填量と、能力情報とを少なくとも含む。機器情報データベースDB1の主キーとして、機器IDが用いられてもよい。
【0058】
機器IDとは、冷媒管理システム100に冷媒使用機器30を登録する際に、冷媒使用機器30に付与されるIDである。機器IDは、冷媒使用機器30の製造番号等であってもよい。機種名とは、冷媒使用機器30の機種を表す文字列である。機器製造業者IDとは、冷媒使用機器30を製造した機器製造業者C6に付与される業者IDである。冷媒種別とは、冷媒使用機器30に使用される冷媒の種類を表す文字列である。冷媒既充填量とは、冷媒使用機器30に予め充填されている冷媒の量である。冷媒の量は、冷媒の重量で表される。冷媒の量の単位は、キログラムである。能力情報とは、冷媒使用機器30の馬力である。
【0059】
機器情報データベースDB1が記憶している機器情報は、機器製造業者C6が機器製造時又は機器出荷時に管理サーバ20に登録する情報である。機器情報データベースDB1に登録されていない機器情報は、据付業者C1又はメンテナンス業者C2が管理サーバ20にアクセスして登録できるようになっている。
【0060】
本実施形態では、管理サーバ20は、機器情報データベースDB1を記憶部22内に有しているが、機器製造業者C6が保有するデータベースにネットワークを介してアクセスすることで機器情報を取得してもよい。
【0061】
冷媒情報データベースDB2は、冷媒管理システム100に登録されている冷媒の流通に利用されるボンベに関する情報を記憶している。冷媒情報データベースDB2の各レコードは、ボンベIDと、分配業者IDと、冷媒種別と、冷媒量とを少なくとも含む。
【0062】
アカウント情報データベースDB3は、冷媒管理システム100に登録されている各業者と管理者に関する情報を記憶している。アカウント情報データベースDB3の各レコードは、業者IDと、業者名と、業務内容と、ログインIDとを少なくとも含む。業者IDとは、冷媒管理システム100に第1業者C1等の業者を登録する際に、業者に付与されるIDである。業者が登録される際、既に登録されている業者に付与された業者IDと重複しないように、管理サーバ20は、業者に業者IDを付与して業者を登録する。業務内容とは、据付業務及びメンテナンス業務等の業務内容を表す文字列である。ログインIDとは、業者が管理サーバ20にアクセスする際に使用するIDである。ログインIDと業者IDとは関連付けられて、アカウント情報データベースDB3に記憶されている。
【0063】
アカウント管理データベースDB4は、冷媒管理システム100に登録されている各業者に対する権限付加情報を記憶している。具体的には、アカウント管理データベースDB4には、業務内容、記憶部22に記憶されている情報の閲覧権限、及び、管理サーバ20にアクセスして行える作業の権限に関する情報が業者ごとに保存されている。
図6は、業者ごとの業務内容を示すテーブルである。
図6には、各業者が行うことができる業務の種類が示されている。
図6において、分配業務、据付業務、メンテナンス業務、回収業務、再生業務、及び、廃却業務は、それぞれ、
図1の分配段階、据付段階、メンテナンス段階、回収段階、再生段階、及び、廃却段階において業者によって行われる業務を意味する。
【0064】
例えば、
図6において、業者IDが「CA006」である第1業者C1は、据付業務、メンテナンス業務及び回収業務を行うことができる。この場合、管理サーバ20は、第1業者C1が行うことができる業務の種類に基づいて、第1業者C1は、管理サーバ20に登録されている機器情報データベースDB1等にアクセスできることを決定する。そして、管理サーバ20は、第1業者C1からの要求に応じて、機器情報データベースDB1等から所定のデータを読み込んで、第1業者C1の入力端末10aに送信する。
【0065】
また、例えば、
図6において、業者IDが「GA019」である再生業者C4は、再生業務のみを行うことができる。この場合、管理サーバ20は、再生業者C4が行うことができる業務の種類に基づいて、再生業者C4は、管理サーバ20に登録されている機器情報データベースDB1等にアクセスできないことを決定する。
【0066】
イベント情報データベースDB5は、冷媒管理システム100に登録されている各業者が行った業務の内容を記憶している。イベント情報データベースDB5の各レコードは、業務内容と、物件IDと、機器保有者IDと、機器IDと、機器設置場所と、冷媒追加充填量とを少なくとも含む。物件IDとは、対象業務を行った物件に付与されるIDである。機器保有者IDとは、冷媒使用機器30の保有者に付与されるIDである。機器IDとは、業務対象となった機器に付与されるIDである。機器設置場所とは、対象業務を行った物件の住所を表す文字列である。冷媒追加充填量とは、対象業務を行った際に機器又は冷媒配管に追加充填された冷媒の量である。
【0067】
冷媒管理情報データベースDB6は、第1情報及び第2情報を記憶している。
【0068】
(2−4−2)冷媒既充填量の取得方法
管理サーバ20の取得部21は、各業者の業務対象となる冷媒使用機器30に出荷時に充填されている冷媒量である冷媒既充填量を取得する。
図7に冷媒既充填量を取得する処理のフローチャートを示す。
図7には、ステップS11〜S20の処理が示されている。なお、冷媒既充填量を取得する処理は、各業者が管理サーバ20にアクセスし業務内容を登録するときと、管理サーバ20の生成部23が第2情報を生成するときに行われる。
【0069】
各業者が管理サーバ20にアクセスし業務内容の登録を開始すると、
図7のフローが開始される。ステップS11では、業者は、入力端末10a,10b,・・・を操作して、冷媒既充填量を取得する対象である冷媒使用機器30の機器IDを管理サーバ20に入力する。ステップS12〜S19は、管理サーバ20の取得部21によって行われる処理である。
【0070】
ステップS12では、ステップS11で入力された機器IDに対応する冷媒使用機器30の冷媒既充填量が機器情報データベースDB1に登録されているか否かが判定される。ステップS12において登録されていると判定された場合、ステップS13において、機器情報データベースDB1から、冷媒使用機器30の冷媒既充填量が取得される。ステップS12において登録されていないと判定された場合、ステップS14において、冷媒使用機器30の能力情報を含む入力データが入力されているか否か、又は、冷媒使用機器30の能力情報が機器情報データベースDB1に登録されているか否かが判定される。
【0071】
ステップS14において能力情報を含む入力データが入力されている、又は、能力情報が機器情報データベースDB1に登録されていると判定された場合、ステップS15において、入力データに含まれる能力情報、又は、登録されている能力情報に基づいて冷媒既充填量が予測され、予測値が冷媒既充填量として取得される。例えば、能力が8馬力の場合は冷媒既充填量が20kgであり、10馬力の場合は冷媒既充填量が21kgであり、12馬力の場合は冷媒既充填量が23kgであり、14馬力の場合は冷媒既充填量が24kgであると予測して、冷媒既充填量を取得する。ステップS14において能力情報を含む入力データが入力されていない、かつ、能力情報が機器情報データベースDB1に登録されていないと判定された場合、ステップS16において、冷媒使用機器30の冷媒既充填量が入力されているか否かが判定される。ステップS16において入力されていると判定された場合、ステップS17において、冷媒既充填量の入力値が妥当であるか否かが判定される。例えば、冷媒既充填量が所定の範囲内にあるか否かが判定される。所定の範囲とは、例えば上記の能力情報に基づいて予測された値に余裕を持たせた18kgから26kgの間としてもよい。ステップS17において入力値が妥当であると判定された場合、ステップS18において、入力値が冷媒既充填量として取得される。
【0072】
ステップS16において入力されていないと判定された場合、又は、ステップS17において入力値が妥当でないと判定された場合、ステップS19において、冷媒既充填量のデフォルト値が取得される。ステップS20では、管理サーバ20の記憶部22は、ステップS13,S15,S18,S19で取得された冷媒既充填量を冷媒使用機器30の冷媒既充填量として記憶する。
【0073】
(2−5)第1情報及び第2情報
管理サーバ20が取り扱うデータである第1情報及び第2情報について説明する。
【0074】
業者は、入力端末10a,10b,・・・を操作して管理サーバ20にアクセスし、管理サーバ20が作成した所定のフォーマットに必要なデータを入力する。第1情報は、業者が入力したデータに基づいて管理サーバ20が取得する情報である。
【0075】
第2情報は、冷媒使用機器30に使用されている冷媒の量である冷媒使用量と、第1情報として取得した業者の情報とを関連付けた情報である。「冷媒使用機器30に使用される冷媒」は、冷媒使用機器30に充填されて使用されている冷媒、及び、冷媒使用機器30に接続された冷媒配管に充填されている冷媒である。管理サーバ20の取得部21は、冷媒既充填量と冷媒追加充填量とを合計することで冷媒使用量を取得する。
【0076】
次に、第1業者C1、再生業者C4及び分配業者C5が、それぞれ、入力端末10a、入力端末10b及び入力端末10cを操作して管理サーバ20に入力したデータに基づいて、管理サーバ20が取得する第1情報の、及び、第1情報から生成される第2情報について説明する。
【0077】
以下において、説明を分かりやすくするために、必要に応じて、据付業者としての第1業者C1を据付業者C1と呼び、メンテナンス業者としての第1業者C1をメンテナンス業者C1と呼び、回収業者としての第1業者C1を回収業者C1と呼ぶ。
【0078】
(2−5−1)据付業者の入力によって管理サーバが取得する第1情報、及び、第1情報から生成される第2情報
図8は、据付業者C1の入力によって管理サーバ20が取得する第1情報から生成された第2情報T11、T12を説明するための図である。据付業者C1は、据付作業完了時に管理サーバ20に据付情報の入力を行う。第1業者C1は、管理サーバ20にログイン処理を行った後に、実施した業務の種類として据付業務を選択し、据付業者C1として、管理サーバ20に機器IDと、機器保有者IDと、物件IDと、機器設置場所情報と、冷媒追加充填量とを入力する。入力された各データは、それぞれ記憶部22のイベント情報データベースDB5に保存される。
【0079】
据付業者C1の入力によって管理サーバ20が取得する第1情報は、機器特定情報と、業者情報と、冷媒追加充填量情報とを少なくとも有する。機器特定情報とは、冷媒使用機器30を特定するための情報であり、本実施形態では機器IDである。業者情報とは、冷媒使用機器30に関する業務を行う業者に関する情報であり、本実施例では実施者IDに記載されている業者IDである。冷媒追加充填量情報とは、冷媒使用機器30又は冷媒使用機器30に接続される冷媒配管に追加で充填された冷媒の量である冷媒追加充填量に関する情報である。
【0080】
管理サーバ20は、据付業者C1が管理サーバ20にログインしたときに据付業者C1のログインIDからアカウント情報データベースDB3に保存されている業者IDを取得して、実施者IDとして記憶する。
【0081】
管理サーバ20は、据付業者C1が入力した機器IDから機種名と機器製造業者の情報を機器情報データベースDB1から取得する。さらに、管理サーバ20は、
図7の冷媒既充填量の取得フローに沿って、冷媒既充填量を取得する。
【0082】
管理サーバ20は、据付業者C1が据付情報を管理サーバ20に入力した後に据付情報の登録を決定すると、据付情報を登録した日付を実施年月日として取得する。
【0083】
なお、イベント情報データベースDB5に物件IDが登録されている場合は、管理サーバ20は物件IDから機器設置場所情報を取得することができるため、物件IDから機器設置場所情報を取得してもよい。
【0084】
管理サーバ20の生成部23は、据付業者C1の入力によって取得した第1情報に続いて冷媒既充填量等の情報を取得し、
図8に示されるように、第2情報T11、T12を生成して冷媒管理情報データベースDB6に保存する。
【0085】
図8に示される第2情報T12では、冷媒使用量と、第2情報T11に含まれる実施者IDとが関連付けられている。
図8には、第2情報T12として、さらに、第2情報T11に含まれる、実施年月日、機器ID、冷媒種別、冷媒既充填量及び冷媒追加充填量が示されている。
【0086】
(2−5−2)メンテナンス業者の入力によって管理サーバが取得する第1情報、及び、第1情報から生成される第2情報
図9は、メンテナンス業者C1の入力によって管理サーバ20が取得する第1情報から生成された第2情報T21、T22を説明するための図である。メンテナンス業者C1は、メンテナンス作業完了時に管理サーバ20にメンテナンス情報の入力を行う。第1業者C1は、ログイン処理を行った後に、実施した業務の種類としてメンテナンス業務を選択し、メンテナンス業者C1として、管理サーバ20に機器IDと、機器保有者IDと、物件IDと、冷媒追加充填量とを入力する。入力された各データは、それぞれ記憶部22のイベント情報データベースDB5に保存される。
【0087】
メンテナンス業者C1の入力によって管理サーバ20が取得する第1情報は、機器特定情報と、業者情報と、冷媒追加充填量情報とを少なくとも有する。
【0088】
管理サーバ20は、メンテナンス業者C1がメンテナンス情報を管理サーバ20に入力した後にメンテナンス情報の登録を決定すると、メンテナンス情報を登録した日付を実施年月日として取得する。
【0089】
管理サーバ20の生成部23は、据付作業時に作成された第2情報T11、T12と、メンテナンス作業時に入力されたメンテナンス情報とから取得される冷媒既充填量等の情報を取得して、
図9に示されるように、第2情報T21、T22を生成して冷媒管理データベースDB6に保存する。
【0090】
第2情報T22は、第2情報T21に基づいて管理サーバ20の生成部23が自動的に生成するデータである。メンテナンス業者C1は、入力端末10aを用いて管理サーバ20から第2情報T22を取得することができる。第2情報T22は、冷媒使用量と業者とを関連づけた情報を少なくとも有する。冷媒使用量とは、冷媒使用機器30にメンテナンス時に使用されている冷媒の量である。第2情報T22の場合、冷媒使用量とは、メンテナンス業者C1が冷媒使用機器30に冷媒を追加で充填した後において、冷媒使用機器30に充填されている冷媒の総量である。そのため、冷媒使用量は、据付作業完了時の冷媒使用量と同量となっている。メンテナンス作業時に冷媒の追加充填が発生しているということは、据付作業時からメンテナンス作業時までの間に冷媒使用機器内の冷媒が漏れていることになる。そのため、メンテナンス作業時に冷媒を追加充填しても、追加充填後の冷媒使用量は据付作業完了時と同量となっている。
【0091】
図9に示される第2情報T22では、冷媒使用量と、第2情報T21に含まれる実施者IDとが関連付けられている。
図9には、第2情報T22として、さらに、第2情報T21に含まれる、実施年月日、機器ID、冷媒種別、及び、冷媒既充填量が示されている。
図9には、第2情報T22として、総冷媒追加充填量が示されている。冷媒総追加充填量は、据付作業時に追加充填された冷媒量と、メンテナンス作業時に追加充填された冷媒量との総量である。総冷媒追加充填量は、メンテナンス情報として入力された機器IDに対して過去になされた作業履歴をイベント情報DB5から取得して、過去の作業時に追加充填された冷媒量に基づいて算出される。
【0092】
本実施形態のように据付業者とメンテナンス業者とが同一業者の場合、管理サーバ20へのログイン時に管理サーバ20が同一業者であることを認識し、実施した業務の種類としてメンテナンス業務をメンテナンス業者が選択した際に、管理サーバ20がメンテナンス対象機器又は物件をメンテナンス業者に選択させるようにしてもよい。その場合、機器ID及び物件IDは、管理サーバ20がイベント情報DB5から自ら取得することができるため、メンテナンス業者は冷媒追加充填量の入力のみ行えばよいこともある。なお、メンテナンス業者C1は、メンテナンス内容を管理サーバに登録してもよい。メンテナンス内容とは、メンテナンス業者C1が実施した、冷媒使用機器30の保守管理作業の具体的な内容である。メンテナンス内容は、例えば、冷媒使用機器30から冷媒が漏れ出たことが発覚した場合に冷媒が漏れている箇所を修復する作業、冷媒使用機器30に充填されている冷媒の量が不足していることが発覚した場合に冷媒を補充する作業、及び、冷媒使用機器30に充填されている冷媒の少なくとも一部を交換する作業である。
【0093】
(2−5−3)回収業者の入力によって管理サーバが取得する第1情報
図10は、回収業者C1の入力によって管理サーバ20が取得する第1情報T31を説明するための図である。回収業者C1は、回収作業完了時に管理サーバ20に冷媒回収情報の入力を行う。第1業者C1は、ログイン処理を行った後に、実施する業務の種類として回収業務を選択し、回収業者C1として、管理サーバ20に機器IDと、機器保有者IDと、物件IDと、冷媒回収量とを入力する。入力された各データは、それぞれ記憶部22のイベント情報データベースDB5に保存される。回収業者C1は、ボンベ製造業者C8から回収用ボンベ50を受け取る。回収用ボンベ50とは、回収業者C1が冷媒使用機器30から回収した冷媒を充填するための容器である。回収業者C1がボンベ製造業者C8から回収用ボンベ50を受け取った時点において、回収用ボンベ50には冷媒が充填されていない。
【0094】
回収業者C1の入力によって管理サーバ20が取得する第1情報T31は、機器特定情報と、業者情報と、冷媒回収量情報とを少なくとも有する。冷媒回収量情報とは、回収する冷媒使用機器30に充填された冷媒の量と、冷媒使用機器30が接続された冷媒配管から回収された冷媒の量との総量である冷媒回収量を含む情報である。回収された冷媒は、回収用ボンベ50に充填され、冷媒が充填された回収用ボンベ50と冷媒使用機器30とは、再生業者C4又は冷媒廃棄業者C9に引き渡される。
【0095】
管理サーバ20は、回収業者C1が回収情報管理サーバ20に入力した後に冷媒回収情報の登録を決定すると、冷媒回収情報を登録した日付を実施年月日として取得する。
【0096】
管理サーバ20は、据付作業時又はメンテナンス作業時に作成した第2情報T11、T12、T21、T22と、回収作業時に回収業者C1が入力した回収情報から冷媒回収量等の情報を取得し、
図10に示されるように、第1情報T31を生成し冷媒管理データベースDB6に保存する。
【0097】
本実施形態のように、据付業者とメンテナンス業者と回収業者とが同一業者の場合、管理サーバ20へのログイン時に管理サーバ20が同一業者であることを認識し、実施した業務の種類として回収業務を回収業者が選択した際に、管理サーバ20が回収対象機器又は物件を回収業者に選択させるようにしてもよい。その場合、機器ID及び物件IDは、管理サーバ20がイベント情報DB5から自ら取得することができるため、回収業者は冷媒回収量の入力のみ行えばよいこともある。
【0098】
(2−5−4)再生業者の入力によって管理サーバが取得する第1情報
図11は、再生業者C4の入力によって管理サーバ20が取得する第1情報T41を説明するための図である。再生業者C4は、再生作業完了時に管理サーバ20に再生情報の入力を行う。再生業者C4は、回収業者C1から冷媒使用機器30又は回収用ボンベ50を受け取る。再生業者C4は、冷媒使用機器30又は回収用ボンベ50から、回収業者C1によって回収された冷媒を全て取り出して、取り出された冷媒の再生処理を行った後、冷媒用容器60に再生された冷媒を充填する。冷媒用容器60とは、再生された冷媒が充填される専用の容器である。冷媒用容器60は、例えば、大型のボンベ、又は、タンクローリーである。再生業者C4は、再生された冷媒が充填された冷媒用容器60を、分配業者C5に引き渡す。
【0099】
図11に示されるように、再生業者C4の入力によって管理サーバ20が取得する第1情報T41は、少なくとも、冷媒回収情報と、冷媒再生情報とを有する。冷媒回収情報とは、再生業者C4によって再生される前の冷媒に関する情報である。冷媒再生情報とは、再生業者C4によって再生された後の冷媒に関する情報である。
【0100】
冷媒回収情報は、回収業者C1の業者IDである実施者IDと、冷媒種別と、再生前冷媒量とを少なくとも有する。冷媒種別は、回収用ボンベ50又は冷媒使用機器30に充填されていた冷媒の種別である。冷媒回収量は、回収業者C1によって回収された冷媒の量である。冷媒回収情報は、回収業者C1ごと、及び、冷媒種別ごとのデータを有する。なお、回収された冷媒使用機器30に充填されている冷媒量については正確でない可能性があるため、再生業者C4が冷媒使用機器30から実際に回収した冷媒の量を再生前冷媒量とする。
【0101】
冷媒再生情報は、再生業者C4の業者IDである実施者IDと、冷媒種別と、冷媒再生量と、実施年月日とを少なくとも有する。冷媒種別は、再生業者C4によって再生された冷媒の種別である。冷媒再生量は、再生業者C4によって再生された冷媒の量である。冷媒再生情報は、冷媒種別ごとのデータを有する。冷媒再生量は、再生前冷媒量より少ない。例えば、冷媒再生量は、再生前冷媒量の約90%である。
【0102】
管理サーバ20は、再生業者C4が冷媒再生情報を管理サーバ20に入力した後に冷媒再生情報の登録を決定すると、冷媒再生情報を登録した日付を実施年月日として取得する。
【0103】
本実施形態のように回収業者と再生業者とが異なる場合に、再生業者C4が管理サーバ20へログインした後、管理サーバ20は、機器ID、ボンベID及び物件ID等を再生業者C4に第2情報として提供してもよい。管理サーバ20は、再生業者C4に提供した第2情報と、再生作業時に入力された冷媒再生量等の情報を取得し、
図11に示されるように、第1情報T41を生成して冷媒管理データベースDB6に保存する。
【0104】
(2−5−5)分配業者の入力によって管理サーバが取得する第1情報
図12は、分配業者C5の入力によって管理サーバ20が取得する第1情報T51を説明するための図である。分配業者C5は、分配作業完了時に管理サーバ20に分配情報の入力を行う。分配業者C5は、冷媒製造業者C7又は再生業者C4から冷媒用容器60を受け取る。分配業者C5が受け取る冷媒用容器60には、冷媒製造業者C7が製造した冷媒、又は、再生業者C4が再生した冷媒が充填されている。分配業者C5は、冷媒用容器60に充填された冷媒を、冷媒ボンベ40又は再生用ボンベ70に充填する。分配業者C5は、必要に応じて、第1業者C1(据付業者C1又はメンテナンス業者C1)に、冷媒が充填された冷媒ボンベ40又は再生用ボンベ70を分配する。
【0105】
図12に示されるように、分配業者C5の入力によって管理サーバ20が取得する第1情報T51は、少なくとも、冷媒出荷情報と、冷媒分配情報とを有する。冷媒出荷情報とは、分配業者C5が冷媒ボンベ40又は再生用ボンベ70に充填して出荷した冷媒に関する情報である。冷媒分配情報とは、分配業者C5が第1業者C1に分配した冷媒に関する情報である。
【0106】
冷媒出荷情報は、分配業者C5の業者IDである実施者IDと、冷媒種別と、冷媒出荷量とを少なくとも有する。冷媒種別は、分配業者C5によって出荷された冷媒の種別である。冷媒出荷量は、分配業者C5によって出荷された冷媒の量である。冷媒出荷情報は、冷媒種別ごとのデータを有する。
【0107】
冷媒分配情報は、分配業者C5の業者IDである実施者IDと、分配先IDと、冷媒種別と、冷媒分配量と、実施年月日とを少なくとも有する。分配先IDは、冷媒が分配された第1業者C1の業者IDである。冷媒種別は、分配業者C5によって分配された冷媒の種別である。冷媒分配量は、分配業者C5によって分配された冷媒の量である。冷媒分配情報は、分配先IDごと、及び、冷媒種別ごとのデータを有する。管理サーバ20は、分配業者C5が冷媒分配情報を管理サーバ20に入力した後に冷媒分配情報の登録を決定すると、冷媒分配情報を登録した日付を実施年月日として取得する。
【0108】
管理サーバ20は、分配業者C5が入力した情報と、管理サーバ20が登録した実施年月日等の情報を取得し、
図12に示されるように、第1情報T51を生成して冷媒管理データベースDB6に保存する。
【0109】
(2−6)管理者のみが閲覧権限を有する第2情報
管理サーバ20は、冷媒管理情報データベースDB6に保存された第1情報及び第2情報に基づいて、各業者が取り扱う冷媒量に関する第2情報T92を生成する。管理サーバ20は、生成した第2情報T92を、記憶部22の冷媒管理情報データベースDB6に登録する。業者は、入力端末10a,10b,・・・を用いて、管理サーバ20に記憶されている第2情報T92を確認することができる。業者が確認することができる第2情報は、業者が閲覧権限を有する第2情報であり、例えば、業者が管理サーバ20に入力したデータに基づいて管理サーバ20が取得した第1情報から生成された第2情報T11、T12、T21、T22、・・・である。管理者Sは、管理者用端末80を用いて、管理サーバ20に記憶されている全ての第2情報を確認することができる。管理サーバ20は、
図8,9に示される第2情報の他に、取得した第1情報に基づいて、管理者Sのみが閲覧権限を有する第2情報T92を生成する。
【0110】
図13は、管理者Sのみが閲覧権限を有する各業者が取り扱う冷媒量に関する第2情報T92の一例を説明するための図である。
図13に示される第2情報T92は、冷媒管理システム100全体において、業者に関する情報と、当該業者の業務対象となる冷媒使用機器30に使用されている冷媒に関する情報とを関連付けた情報である。
【0111】
第2情報T92に含まれる「業者に関する情報」とは、
図13に示される「業者ID」に相当する。これは、第1業者C1等の業者のIDである。「業者ID」は、具体的には、
図8〜12に示される実施者IDである。
図13において、「CA006」及び「CA015」は、据付業務とメンテナンス業務と回収業務とを行う第1業者C1の業者IDである。「GA019」は、再生業者C4の業者IDである。「HA019」は、分配業者C5の業者IDである。
【0112】
第2情報T92には「冷媒使用機器30に使用されている冷媒に関する情報」として、
図13に示されるように、冷媒種別、冷媒保有量、冷媒使用量、冷媒回収予定量、冷媒回収量、冷媒再生量、冷媒廃却量、冷媒分配予定量及び冷媒分配量が含まれている。冷媒種別は、冷媒循環サイクルで流通している冷媒の種類を表す名称である。冷媒種別以外の情報は、冷媒循環サイクルで流通している冷媒の量に関する。
【0113】
冷媒保有量は、業者が保有している冷媒の総量である。
【0114】
冷媒使用量は、冷媒保有量のうち、業者が冷媒使用機器30に使用している冷媒の総量である。業者が冷媒使用機器30に使用している冷媒とは、冷媒使用機器30、及び、冷媒使用機器30に接続される冷媒配管に充填されている冷媒である。業者が据付業者C1又はメンテナンス業者C1である場合、冷媒使用量は、業務対象となる全ての冷媒使用機器30、及び、冷媒使用機器30に接続される冷媒配管に充填されている冷媒の総量である。冷媒使用量は、冷媒保有量から、業者が冷媒ボンベ40及び再生用ボンベ70内に保有している冷媒量を引いた値である。冷媒使用量は、例えば、
図8,9に示される第2情報T11、T12、T21、T22、・・・に含まれる「冷媒使用量」に基づいて算出される。
【0115】
冷媒回収予定量は、据付業者C1又はメンテナンス業者C1の冷媒使用量のうち、回収業者C1によって所定期間内に冷媒使用機器30から回収される見込みがある冷媒の総量である。取得部21は、第1情報に基づいて冷媒回収予定量を取得する。冷媒回収予定量は、例えば、据付時又は使用開始時から所定の期間が経過した冷媒使用機器30に充填されている冷媒の総量である。所定の期間は、使用されている冷媒の種類、及び、冷媒使用機器30の機種等に基づいて設定される。例えば、据付業務の実施日から15年が経過した冷媒使用機器30、及び、当該冷媒使用機器30に接続されている冷媒配管に充填されている冷媒が、回収予定の冷媒として取り扱われる。
【0116】
具体的には、取得部21は、第1情報に含まれる第3情報に基づいて冷媒回収予定量を取得する。第3情報は、実施年月日に関する情報である。ここで、実施年月日とは、作業日又は作業月である。作業日とは、据付情報及びメンテナンス情報の少なくとも一方が登録された日である。作業月とは、据付情報及びメンテナンス情報の少なくとも一方が登録された月である。
【0117】
冷媒回収量は、回収業者C1によって冷媒使用機器30から回収された冷媒の総量である。冷媒回収量は、例えば、
図11に示される第1情報T41に含まれる「再生前冷媒量」及び、
図10に示される第1情報T31に含まれる冷媒回収量に基づいて算出される。
【0118】
本実施形態では、据付業者C1、メンテナンス業者C1及び回収業者C1は、同一の第1業者C1である。そのため、業者が第1業者C1である場合、第2情報T92は、冷媒の量に関する情報として、冷媒使用量及び冷媒回収予定量の他に冷媒回収量も含む。
【0119】
冷媒再生量は、再生業者C4によって再生された冷媒の総量である。冷媒再生量は、例えば、
図11に示される第1情報T41に含まれる「冷媒再生量」に基づいて算出される。
【0120】
冷媒廃却量は、再生業者C4によって再生されずに廃却された冷媒の総量である。
【0121】
冷媒分配予定量は、分配業者C5から分配される予定の冷媒の総量である。冷媒分配予定量は、例えば、据付業者C1及びメンテナンス業者C1から分配業者C5に、冷媒の分配に関する申請があった場合に、その申請の内容に基づいて算出される。申請の内容とは、例えば、過去に分配された冷媒の量、冷媒の最近の分配年月日、及び、冷媒の分配を申請する理由である。
【0122】
冷媒分配量は、分配業者C5から据付業者C1又はメンテナンス業者C1に分配された冷媒の総量である。冷媒分配量は、例えば、
図12に示される第1情報T51に含まれる「冷媒分配量」に基づいて算出される。
【0123】
第2情報T92に含まれている冷媒の量は、冷媒使用機器30ごとの量であってもよい。この場合、第2情報T92は、冷媒使用機器30の機器IDと、当該冷媒使用機器30に使用されている冷媒使用量とを関連付けた情報であってもよい。
【0124】
このように、第2情報T92は、冷媒使用機器30に関する業務を行う業者に関する情報と、当該業者の業務対象である冷媒使用機器30に使用されている冷媒の量とを関連付けた情報、かつ、冷媒使用機器30に関する情報と、当該冷媒使用機器30に使用されている冷媒の量とを関連付けた情報である。
【0125】
(2−7)業者の評価
評価部27は、機器特定情報と業者情報とを有する第1情報に基づいて、業者が業務対象としている冷媒使用機器30の数、及び、業者が業務対象としている冷媒使用機器30に使用されている冷媒の量である冷媒使用量の少なくとも一方に応じて業者を評価する。評価部27は、第1情報に基づいて、冷媒使用量と業者とを関連づけた第2情報を生成し、第2情報に基づいて業者を評価する。
【0126】
具体的には、評価部27は、
図13に示される第2情報T92に含まれる、冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量、及び、冷媒使用機器30から回収された冷媒の量に基づいて業者を評価する。冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量とは、業者が現在所有しており、かつ、回収の目途が立っている冷媒の量であり、
図13に示される「冷媒回収予定量」に相当する。冷媒使用機器30から回収された冷媒の量とは、業者から実際に回収された冷媒の量であり、
図13に示される「冷媒回収量」に相当する。評価部27は、例えば、第2情報T92に含まれる冷媒回収予定量、冷媒回収量及び冷媒分配量に基づいて業者を評価する。
【0127】
(2−8)業者に提供されるサービス
評価部27は、さらに、
図13に示される第2情報T92に基づいて、冷媒使用機器30に使用される冷媒に関して業者に提供されるサービスを決定する。評価部27によって決定されるサービスは、例えば、業者に冷媒を供給するサービスである。
【0128】
具体的には、評価部27は、第2情報T92を用いて、各業者に対する冷媒供給可能量を算出する。冷媒供給可能量とは、業者に供給することができる冷媒の量である。供給の対象となる冷媒は、冷媒使用機器30から回収され再生された冷媒、及び、新規に生産された冷媒の少なくとも一方である。例えば、評価部27が、各業者に対して優先順位を付与することで業者を評価する場合、評価部27は、優先順位が高いほど冷媒供給可能量が多くなるように、各業者に対する冷媒供給可能量を算出する。冷媒が供給される業者は、例えば、据付業者C1及びメンテナンス業者C1である。
【0129】
評価部27は、例えば、冷媒回収予定量及び冷媒回収量に基づいて冷媒供給可能量を算出する。具体的には、評価部27は、第2情報T92に含まれる冷媒回収予定量と冷媒回収量との合計量、及び、第2情報T92に含まれる冷媒分配量に基づいて、各業者に対する冷媒供給可能量を算出する。冷媒分配量は、業者に対して供給した冷媒の量である。
【0130】
次に、評価部27は、各業者に対して算出された冷媒供給可能量に関する情報を、例えば、分配業者C5に提供する。分配業者C5は、管理サーバ20の評価部27が算出した冷媒供給可能量に関する情報に基づいて、各業者に分配する冷媒の量を算出して、業者に冷媒を供給する。
【0131】
(3)効果
冷媒管理システム100は、冷媒を使用する業者を評価するためのシステムである。冷媒管理システム100では、管理サーバ20は、業者が入力した情報から取得した第1情報に基づいて、冷媒使用機器30に使用されている冷媒の量と業者の情報とを関連付けた第2情報を生成し、第2情報に基づいて、業者を評価することができる。そのため、管理サーバ20を備える冷媒管理システム100は、業者の評価結果に応じて、冷媒使用機器30に使用される冷媒を業者に適切に供給することができる。
【0132】
(4)特徴
(4−1)
本実施形態の冷媒管理システム100では、管理サーバ20の取得部21は、冷媒使用機器30の据付時、及び、冷媒使用機器30のメンテナンス時の少なくとも1つの時点において、第1情報を取得する。第1情報は、機器特定情報と、業者情報とを少なくとも有する。管理サーバ20の評価部27は、第1情報に基づいて、業者が業務対象としている冷媒使用機器30の数、及び、業者が業務対象としている冷媒使用機器30に使用されている冷媒の量である冷媒使用量の少なくとも一方に応じて業者を評価する。これにより、冷媒管理システム100は、業者の評価結果に応じて、冷媒使用機器30に使用される冷媒を業者に適切に供給することができる。
【0133】
(4−2)
本実施形態の冷媒管理システム100では、管理サーバ20の生成部23は、第1情報に基づいて、冷媒使用量と業者とを関連づけた第2情報を生成し、評価部27は、第2情報に基づいて業者を評価する。これにより、冷媒管理システム100は、例えば、各業者が業務対象としている冷媒使用機器30の冷媒使用量に応じて、各業者に供給することができる冷媒の量を適切に算出することができる。
【0134】
(4−3)
本実施形態の冷媒管理システム100では、生成部23は、冷媒使用量に基づいて算出された冷媒回収予定量と業者とを関連づけた情報を第2情報として生成し、評価部27は、第2情報の冷媒回収予定量に基づいて業者を評価する。これにより、冷媒管理システム100は、据付業者及びメンテナンス業者が業務対象としている冷媒使用機器30から回収される見込みがある冷媒の量に応じて、各業者に供給することができる冷媒の量を適切に算出することができる。
【0135】
(4−4)
本実施形態の冷媒管理システム100では、取得部21は、据付情報及びメンテナンス情報の少なくとも一方が登録された作業日又は作業月を含む第3情報に基づいて冷媒回収予定量を取得する。例えば、取得部21は、第3情報に含まれる作業日又は作業月から所定期間が経過した冷媒使用機器30に使用されている冷媒の量に基づいて冷媒回収予定量を取得する。そのため、冷媒管理システム100は、所定期間内に冷媒使用機器30から回収される冷媒の量の適切な予測値として冷媒回収予定量を用いることができる。
【0136】
(4−5)
本実施形態の冷媒管理システム100では、取得部21は、冷媒使用機器30から回収された冷媒の量である冷媒回収量を取得し、評価部27は、冷媒回収量と冷媒回収予定量とに基づいて業者を評価する。評価部27は、各業者に供給することができる冷媒の量を算出する。
【0137】
この場合、第2情報は、例えば、
図13に示されるように、冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量(冷媒回収予定量)、及び、冷媒使用機器30から回収された冷媒の量(冷媒回収量)を含む。そのため、評価部27は、例えば、第2情報に基づいて、冷媒管理システム100が供給可能な冷媒の量の範囲内で、各業者に供給することができる冷媒の量を適切に算出するための基準となる評価をすることができる。従って、冷媒管理システム100は、冷媒を必要とする業者に冷媒を適切に供給することができる。
【0138】
(4−6)
本実施形態の冷媒管理システム100では、管理サーバ20の記憶部22は、機器特定情報と関連づけて冷媒既充填量を記憶しているので、取得部21は、取得した第1情報の機器特定情報に基づいて、記憶している冷媒既充填量を取得することができる。
【0139】
(4−7)
本実施形態の冷媒管理システム100では、取得部21は、取得した第1情報の機器特定情報に基づいて冷媒使用機器30の能力に関する能力情報を取得し、取得した能力情報に基づいて冷媒既充填量を取得することができる。そのため、冷媒管理システム100は、冷媒使用機器30の冷媒既充填量が管理サーバ20に登録されていない場合でも、管理サーバ20に予め登録されている能力情報に基づいて冷媒既充填量の予測値を取得することができる。
【0140】
(4−8)
本実施形態の冷媒管理システム100では、取得部21は、冷媒使用機器30の能力に関する能力情報を含む入力データを取得し、入力データに含まれる能力情報に基づいて冷媒既充填量を取得することができる。そのため、冷媒管理システム100は、冷媒使用機器30の冷媒既充填量が管理サーバ20に登録されていない場合でも、業者によって管理サーバ20に入力された能力情報に基づいて冷媒既充填量の予測値を取得することができる。
【0141】
(4−9)
冷媒管理システム100では、評価部27は、
図13に示される第2情報T92に基づいて優先順位を各業者に付与し、優先順位に基づいて各業者に対する冷媒供給可能量を算出することができる。
【0142】
これにより、冷媒管理システム100は、再生された冷媒の供給を、冷媒の回収に関わった業者が優先的に受けられるようにすることができる。言い換えると、冷媒の回収量が多いほど、又は、将来的に回収される見込みがある冷媒の量が多いほど、業者は優先的に冷媒の供給を受けることができる。そのため、業者は、冷媒の回収に積極的に関わることで、優先的に冷媒の供給を受けることができる。この場合、業者は、自身の業務で使用している冷媒使用機器30から冷媒が回収される前であっても、優先的に冷媒の供給を受けることができる。
【0143】
従って、冷媒管理システム100は、冷媒の回収に積極的に関わるように業者に働きかけることができるので、市場に流通している冷媒の回収量及び再生量を増加させることができる。その結果、冷媒管理システム100は、市場において新規に生産する必要がある冷媒の量を抑えることができる。
【0144】
(4−10)
環境保護の観点から流通可能な冷媒の総量が制限又は段階的に削減されている市場では、冷媒の需要が増加すると、冷媒の入手が困難になったり、冷媒の価格が高騰したりするおそれがある。このような場合、例えば、冷媒使用機器に関する業務を行う業者は、冷媒価格の上昇による経済的な課題、及び、冷媒の安定的な入手の見通しが立たないことによる事業的な課題を抱えることになる。
【0145】
冷媒管理システム100では、評価部27は、冷媒供給可能量を算出することにより、例えば、適切な量の冷媒を業者に供給したり新規に生産したりすることができる。従って、冷媒使用機器に関する業務を行う業者は、冷媒価格の上昇による経済的な課題、及び、冷媒の安定的な入手の見通しが立たないことによる事業的な課題によって生じる問題を効率的に回避することができる。
【0146】
(4−11)
冷媒管理システム100では、取得部21は、冷媒使用機器30に関する業務を行う業者が入力したデータに基づいて第1情報を取得する。業者とは、具体的には、
図1に示されるように、第1業者C1、再生業者C4及び分配業者C5である。これらの業者は、所定のデータを管理サーバ20に入力するための入力端末10a,10b,・・・を所有している。そのため、業者は、冷媒使用機器30に使用される冷媒に関する業務を行う現場において、業務の実行中、又は、業務の完了直後に、入力端末10a,10b,・・・を用いて所定のデータを管理サーバ20に入力することができる。
【0147】
(4−12)
冷媒管理システム100では、取得部21が第1情報を取得するために、業者は、業務に関する情報を全て管理サーバ20に入力する必要がないので、入力端末10a,10b,・・・の操作に必要な時間を短縮でき、入力ミスを抑制することができる。
【0148】
(5)変形例
(5−1)変形例A
図1に示される再生段階では、冷媒の再生業者によって、回収業者によって回収された冷媒の再生処理が行われる。しかし、回収された冷媒が再生できない場合には、回収業者又は再生業者によって、回収された冷媒の少なくとも一部が廃却されてもよい。回収業者又は再生業者以外の専門の業者によって、回収された冷媒の少なくとも一部が廃却されてもよい。回収された冷媒が再生できない場合とは、例えば、汚染及び変質等により冷媒が物理的又は化学的に再生できない場合、又は、冷媒の再生処理にかかるコストが大きく再利用の目的で冷媒を再生することが現実的ではない場合である。
【0149】
この場合、冷媒を廃却する業務を行う廃却業者C9は、所定の情報を管理サーバ20に入力してもよい。所定の情報とは、業務対象である冷媒使用機器30の機器ID等である。
図14は、廃却業者C9の入力によって取得部21が取得する第1情報T61を説明するための図である。廃却業者C9は、回収業者C1及び再生業者C4とは異なる業者であるとする。
【0150】
廃却業者C9は、例えば、回収業者C1から回収用ボンベ50を受け取る。回収業者C1から受け取った回収用ボンベ50には、再生することができないために廃却される予定の冷媒が充填されている。この場合、回収業者C1は、冷媒使用機器30から回収した冷媒が充填された回収用ボンベ50を、再生業者C4に引き渡すための回収用ボンベ50と、廃却業者C9に引き渡すための回収用ボンベ50とに予め分類しておく。
【0151】
図14に示されるように、廃却業者C9の入力によって取得部21が取得する第1情報T61は、少なくとも、冷媒回収情報と、冷媒廃却情報とを有する。冷媒回収情報とは、廃却業者C9によって廃却される前の冷媒に関する情報である。冷媒廃却情報とは、廃却業者C9によって廃却された後の冷媒に関する情報である。
【0152】
冷媒回収情報は、回収業者C1の業者IDである実施者IDと、冷媒種別と、冷媒回収量とを少なくとも有する。冷媒種別は、回収業者C1によって回収された冷媒の種別である。冷媒回収量は、回収業者C1によって回収された冷媒の量である。冷媒回収情報は、回収業者C1ごと、及び、冷媒種別ごとのデータを有する。
【0153】
冷媒廃却情報は、廃却業者C9の業者IDである実施者IDと、冷媒種別と、冷媒廃却量と、実施年月日とを少なくとも有する。
【0154】
(5−2)変形例B
実施形態では、据付業者、メンテナンス業者及び回収業者は、同一の第1業者C1である。しかし、据付業者、メンテナンス業者及び回収業者は、互いに異なる業者であってもよい。その場合、それぞれの業者に業務に関する全ての情報を入力させるようにしてもよく、上記の実施例と同様に管理サーバ20のデータベースに既に登録されている情報をそれぞれの業者に提供することで入力を簡素化してもよい。
【0155】
図15は、本変形例における、管理者Sのみが閲覧権限を有する第2情報を説明するための図である。
図15において、「CA006」は、据付業者の業者IDであり、「DA009」は、メンテナンス業者の業者IDであり、「FA012」は、回収業者の業者IDであり、「GA019」は、再生業者の業者IDであり、「HA019」は、分配業者の業者IDである。
【0156】
本変形例では、据付業者及びメンテナンス業者は、冷媒使用機器30から冷媒を回収する業務を行わない。そのため、
図15に示されるように、据付業者又はメンテナンス業者に関する情報は、冷媒使用量及び冷媒回収予定量を含み、冷媒回収量を含まない。回収業者に関する情報は、冷媒回収量のみを含む。
【0157】
また、機器製造業者、冷媒製造業者、分配業者、据付業者、メンテナンス業者、回収業者、再生業者及び廃却業者のいずれかの業者が、同一の業者であってもよく、又は、それぞれが異なる業者であってもよい。例えば、機器製造業者と冷媒製造業者と分配業者と据付業者とが同一業者であってもよく、据付業者と回収業者と再生業者と廃却業者とが同一業者であってもよい。言い換えると、上記のどの業者が同一の業者であるかは特に限定されない。
【0158】
(5−3)変形例C
冷媒管理システム100では、生成部23によって生成され、管理者Sのみが閲覧権限を有する第2情報は、
図13に示されるように、冷媒使用機器30に関する業務を行う業者に関する情報と、業者の業務対象となる冷媒使用機器30に使用されている冷媒とを関連付けた情報である。
【0159】
しかし、管理者Sのみが閲覧権限を有する第2情報は、冷媒使用機器30に関する情報と、冷媒使用機器30に使用されている冷媒とを関連付けた情報であってもよい。この場合、管理者Sのみが閲覧権限を有する第2情報は、
図16に示されるように、冷媒使用機器30に関する情報の一例として冷媒使用機器30が設置されている物件の物件IDと、その物件に設置されている冷媒使用機器30の冷媒の量に関する情報とが関連付けられている情報でもよい。
図16では、冷媒使用機器30の冷媒の量に関する情報として、冷媒種別と、冷媒量とが示されている。ここで、冷媒量とは、例えば、対応する物件に設置されている冷媒使用機器30、及び、当該冷媒使用機器30に接続された冷媒配管に充填されている冷媒の量である。
【0160】
また、管理者Sのみが閲覧権限を有する第2情報は、
図17に示されるように、冷媒使用機器30に関する情報の一例として冷媒使用機器30の保有者の機器保有者IDと、その保有者が保有する冷媒使用機器30の冷媒の量に関する情報とが関連付けられている情報でもよい。
図17では、冷媒使用機器30の冷媒の量に関する情報として、冷媒種別と、冷媒量とが示されている。
【0161】
冷媒使用機器30に関する情報は、上記に限定されることなく、例えば、機器ID、機器製造業者ID、機器保有者ID及び機器設置場所情報の少なくとも1つであってよい。
【0162】
管理者Sのみが閲覧権限を有する第2情報は、冷媒使用機器30に関する業務を行う業者に関する情報と、業者の業務対象となる冷媒使用機器30に使用されている冷媒とを関連付けた情報、及び、冷媒使用機器30に関する情報と、冷媒使用機器30に使用されている冷媒とを関連付けた情報の両方を含んでもよい。
【0163】
(5−4)変形例D
冷媒管理システム100では、管理サーバ20は、冷媒管理システム100の管理者Sによって管理される。ここで、管理者Sは、入力端末10a,10b,・・・を使用する業者と同じであってもよい。例えば、実施形態において、管理者Sは、第1業者C1に所属していてもよい。
【0164】
(5−5)変形例E
実施形態では、管理サーバ20の取得部21は、冷媒使用機器30の機器IDを用いて機器情報データベースDB1にアクセスすることで、当該冷媒使用機器30の冷媒既充填量を取得することができ、冷媒既充填量が機器情報データベースDB1に登録されていない場合は、能力情報から予測して冷媒使用機器30の冷媒既充填量を取得する。
【0165】
本変形例では、ステップS16において冷媒使用機器30の冷媒既充填量が入力される場合において、業者が入力端末10a,10b,・・・を操作して冷媒既充填量を管理サーバ20に直接入力してもよい。また、業者が入力端末10a,10b,・・・を操作して、冷媒既充填量に関する複数の選択肢から適切な冷媒既充填量を選択してもよい。
【0166】
また、取得部21は、冷媒使用機器30の機種名又は機器IDから冷媒使用機器30の能力を推定し、推定した能力から冷媒既充填量を取得してもよい。また、取得部21は、冷媒使用機器30の能力情報を業者に入力させるように促し、入力された能力情報から冷媒既充填量を取得してもよい。
【0167】
(5−6)変形例F
実施形態では、業者が管理サーバ20にログインした後、業者は管理サーバ20に業務に関する情報を直接入力している。しかし、業者が自身の端末等に入力した情報が、管理サーバ20に送信されることで管理サーバ20に情報が入力されてもよい。
【0168】
(5−7)変形例G
実施形態では、据付業者が据付情報を入力した後に、メンテナンス業者及び回収業者がそれぞれメンテナンス情報及び回収情報を入力するが、据付情報が存在しない冷媒使用機器又は物件のメンテナンス情報をメンテナンス業者が管理サーバ20に登録してもよい。
【0169】
(5−8)変形例H
冷媒管理システム100では、評価部27は、
図13に示される第2情報T92に基づいて、業者を評価する。第2情報T92は、冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量、及び、冷媒使用機器30から回収された冷媒の量を含む。しかし、第2情報T92は、冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量の代わりに、業者の業務対象となる冷媒使用機器30の使用開始時に関する情報を含んでもよい。この場合、評価部27は、冷媒使用機器30の使用開始時に関する情報に基づいて、冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量を取得してもよい。使用開始時に関する情報とは、例えば、冷媒使用機器30の使用開始時において、冷媒使用機器30、及び、冷媒使用機器30に接続される冷媒配管に充填されている冷媒の量である。
【0170】
図13に示される第2情報T92は、業者を評価するために用いられる他の情報をさらに含んでもよい。例えば、第2情報T92は、業者を評価するためのパラメータとして、冷媒供給量、冷媒再生量、機器保有台数等の情報をさらに含んでもよい。冷媒供給量とは、分配業者C5から各業者が供給された冷媒の量である。冷媒再生量とは、業者の業務対象となる冷媒使用機器30から回収され再生された冷媒の量である。機器保有台数とは、業者が業務対象としている冷媒使用機器30の数である。
【0171】
本変形例では、評価部27は、例えば、第2情報T92に含まれる冷媒回収量と冷媒供給量と冷媒回収予定量とに基づいて業者を評価し、業者に対して供給することができる冷媒の量を算出してもよい。この場合、評価部27は、例えば、冷媒供給量が多い業者、言い換えると、分配業者C5から既に供給された冷媒の量が多い業者に対して、新たに供給される冷媒の量を減らすことができる。
【0172】
また、本変形例では、評価部27は、例えば、第2情報T92に含まれる冷媒再生量と冷媒使用量とに基づいて業者を評価し、業者に対して供給することができる冷媒の量を算出してもよい。この場合、評価部27は、例えば、冷媒再生量が多い業者、言い換えると、過去に回収及び再生された冷媒の量が多い業者に対して、新たに供給される冷媒の量を増やすことができる。
【0173】
(5−9)変形例I
冷媒管理システム100では、評価部27は、
図13に示される第2情報T92に基づいて、業者を評価する。第2情報T92は、冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量(冷媒回収予定量)、及び、冷媒使用機器30から回収された冷媒の量(冷媒回収量)等を含む。評価部27は、例えば、第2情報T92に基づいて優先順位を業者に付与し、優先順位に基づいて業者を評価する。この場合、優先順位は、第2情報T92以外の情報に基づいて付与されてもよい。
【0174】
業者は、自身の業務で使用する冷媒使用機器30に関する情報を、入力端末10a,10b,・・・を操作して管理サーバ20に入力する。評価部27は、冷媒使用機器30に関する情報を入力した業者の優先順位を高くする処理を行ってもよい。業者が業務で使用している冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量は、当該業者が新規の冷媒使用機器30を管理サーバ20に登録することで増加する。これにより、評価部27は、冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量(冷媒回収予定量)が多い業者に高い優先順位を付与することができ、かつ、業務で使用する冷媒使用機器30に関する情報等を管理サーバ20に登録するように業者に働きかけることができる。
【0175】
評価部27は、必要に応じて、当該業者の優先順位を低くする処理を行ってもよい。例えば、分配業者C5によって業者に冷媒が供給された後、評価部27は、冷媒の供給量に応じて、冷媒が供給された業者の優先順位を低くする処理を行ってもよい。これにより、優先順位が低い業者に冷媒が供給されにくい状態が維持されて複数の業者間で冷媒が適切に分配されない等の問題の発生が抑制される。
【0176】
(5−10)変形例J
冷媒管理システム100では、評価部27は、例えば、
図13に示される第2情報T92に基づいて業者に優先順位を付与して、優先順位に基づいて業者に対する冷媒供給可能量を算出する。
【0177】
しかし、評価部27は、業者に優先順位を付与する代わりに、第2情報T92に基づいて評価対象の業者をランク付けして、ランクに基づいて業者に対する冷媒供給可能量を算出してもよい。また、評価部27は、業者に優先順位を付与する代わりに、第2情報T92に基づいて評価対象の業者にポイントを付与して、ポイントに基づいて業者に対する冷媒供給可能量を算出してもよい。
【0178】
次に、具体例として、評価部27が業者を評価するために第2情報T92に基づいて業者に付与するポイント(以下、「評価ポイント」と呼ぶ。)について説明する。
【0179】
評価ポイントは、冷媒の回収に関わった業者、及び、冷媒の回収に関わる見込みがある業者に対して付与される。言い換えると、業者は、冷媒の回収に積極的に関わるほど、高い評価ポイントが付与される。業者に付与された評価ポイントが高いほど、当該業者に優先的に冷媒が供給される。
【0180】
業者に付与される評価ポイントは、例えば、当該業者の冷媒回収量及び冷媒回収予定量に基づいて決定される。冷媒回収量は、業者が回収業者C1である場合に用いられる。冷媒回収量とは、具体的には、回収業者C1が自身の業務対象である冷媒使用機器30から回収した冷媒の総量である。回収業者C1の冷媒回収量が多いほど、当該業者が冷媒の回収に積極的に関わっていることを意味するので、当該業者により高い評価ポイントが付与される。
【0181】
冷媒回収予定量とは、業者が据付業者C1又はメンテナンス業者C1である場合に用いられる。冷媒回収予定量とは、具体的には、自身の業務対象である冷媒使用機器30が使用している冷媒の総量のうち、回収業者C1によって回収される見込みがある冷媒の量である。冷媒回収予定量は、例えば、据付時又は使用開始時から所定の期間が経過した冷媒使用機器30に充填されている冷媒の総量である。所定の期間は、使用されている冷媒の種類、及び、冷媒使用機器30の機種等に基づいて設定される。据付業者C1又はメンテナンス業者C1の冷媒回収予定量が多いほど、当該業者が冷媒の回収に積極的に関わっていることを意味するので、当該業者により高い評価ポイントが付与される。
【0182】
評価部27は、業者ごとの冷媒回収量及び冷媒回収予定量を集計して、各業者に評価ポイントを付与してもよい。
【0183】
図18は、業者に付与された評価ポイントと、評価ポイントに応じて算出される冷媒供給可能量との関係を表すグラフである。
図18には、2本の線L1,L2が示されている。各線L1,L2は、それぞれ、評価部27が評価ポイントに応じて冷媒供給可能量を算出する方法を表す。
図18に示されるように、評価ポイントが高いほど、冷媒供給可能量が多くなる。
【0184】
評価部27は、
図18の線L1に示されるように、業者に付与された評価ポイントと冷媒供給可能量とが比例関係になるように、冷媒供給可能量を算出してもよい。評価部27は、
図18の線L2に示されるように、業者に付与された評価ポイントが高くなるほど冷媒供給可能量の上昇率が高くなるように、冷媒供給可能量を算出してもよい。
【0185】
本変形例は、変形例Hを適用することができる。言い換えると、業者に付与される評価ポイントは、冷媒回収量又は冷媒回収予定量に加えて、別の基準に基づいて付与されてもよい。
【0186】
例えば、業者が、自身の業務で使用する新規の冷媒使用機器30に関する情報を入力端末10に入力して管理サーバ20に送信及び登録した場合に、評価部27は、当該業者の評価ポイントを高くする処理を行ってもよい。業者が業務で使用している冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量は、当該業者が新規の冷媒使用機器30を管理サーバ20に登録することで増加する。これにより、評価部27は、冷媒使用機器30から回収が見込める冷媒の量(冷媒回収予定量)が多い業者に高い評価ポイントを付与することができ、かつ、業務で使用する冷媒使用機器30に関する情報等を管理サーバ20に登録するように業者に働きかけることができる。
【0187】
評価部27は、必要に応じて、当該業者の評価ポイントを低くする処理を行ってもよい。例えば、分配業者C5によって業者に冷媒が供給された後、評価部27は、冷媒の供給量に応じて、冷媒が供給された業者の評価ポイントを低くする処理を行ってもよい。これにより、評価ポイントが低い業者に冷媒が供給されにくい状態が維持されて、複数の業者間で冷媒が適切に分配されない等の問題の発生が抑制される。
【0188】
(5−11)変形例K
記憶部22は、
図13に示される第2情報T92を記憶する。しかし、記憶部22は、さらに、冷媒使用機器30に使用される冷媒に関して業者に提供されるサービスであって、実施されたサービスに関する情報を記憶してもよい。例えば、サービスが冷媒の供給に関する場合、記憶部22は、さらに、サービスとして各業者に供給された冷媒の量に関する情報を記憶してもよい。
【0189】
(5−12)変形例L
評価部27は、
図13に示される第2情報T92に含まれる冷媒回収予定量と冷媒回収量との合計量、及び、第2情報T92に含まれる冷媒分配量に基づいて、各業者に対する冷媒供給可能量を算出する。冷媒使用機器30に使用されている冷媒は、全て回収されるわけではなく、また、回収された冷媒が全て再生されるわけではない。そのため、冷媒供給可能量は、冷媒回収予定量と冷媒回収量との合計量よりも少ない。そのため、一例として、冷媒供給可能量は、次の式に基づいて算出されてもよい。
冷媒供給可能量=(冷媒回収量×a)+(冷媒回収予定量×b)+冷媒再生量
【0190】
上記の式において、係数a,bは、0以上1未満の数値であり、冷媒管理システム100の管理者によって適宜に設定される。例えば、係数aが0.9である場合、回収業者C1によって回収された冷媒の90%が、将来的に再生されて供給可能となることを意味する。係数bが0.3である場合、冷媒使用機器30が使用している冷媒の30%が、将来的に回収及び再生されて供給可能となることを意味する。係数a,bは、冷媒の種類によって異なる値が設定されてもよい。上記の式では、冷媒再生量の全量が供給可能であるとしている。
【0191】
冷媒供給可能量を算出するために、冷媒回収量、冷媒回収予定量及び冷媒再生量以外の情報が用いられてもよい。例えば、将来的に利用が停止されたり廃棄されたりする冷媒使用機器30に使用されている冷媒に関する情報等をさらに用いて、冷媒供給可能量が算出されてもよい。また、業者に対して既に供給された冷媒の量である冷媒供給量をさらに用いて、冷媒供給可能量が算出されてもよい。この場合、例えば、冷媒供給量が多い業者ほど、当該業者の冷媒供給可能量が少なくなるように、冷媒供給可能量が算出されてもよい。
【0192】
(5−13)変形例M
評価部27は、
図13に示される第2情報T92に含まれる冷媒回収予定量及び冷媒回収量に基づいて冷媒供給可能量を算出する。しかし、評価部27は、さらに、業者の冷媒再生の実績、及び、業者が保有している冷媒の量等、他の要素を考慮して、冷媒供給可能量を算出してもよい。次に、冷媒供給可能量を算出する方法の一例について説明する。
【0193】
図19は、冷媒供給可能量Sを算出する処理のフローチャートである。
図19には、ステップS21〜S25の処理が示されている。
図19に示される処理は、業者ごとに行われ、業者ごとに冷媒供給可能量Sが算出される。業者は、冷媒が供給される対象である業者であり、据付業者C1及びメンテナンス業者C1である。
【0194】
ステップS21では、各業者の回収可能冷媒量Aが算出される。回収可能冷媒量Aとは、業者の業務対称である冷媒使用機器30であって、冷媒回収対象である全ての冷媒使用機器30に充填されている冷媒の量の合計である。冷媒回収対象である冷媒使用機器30とは、据付年月日から所定の利用期間が経過した冷媒使用機器30、及び、所定日には据付年月日から所定の利用期間が経過している冷媒使用機器30である。所定の利用期間は、冷媒使用機器30の機種によって異なり、例えば、10年である。所定日とは、例えば、現在から1年後である。冷媒使用機器30に充填されている冷媒の量とは、具体的には、第2情報T22に含まれる冷媒使用量であり、冷媒既充填量と総冷媒追加充填量との合計である。
【0195】
ステップS22では、回収可能冷媒量Aに基づいて、各業者の冷媒再生予測量Pが算出される。冷媒再生予測量Pとは、回収可能冷媒量Aのうち、所定日までに再生されると予測される冷媒の量である。冷媒再生予測量Pは、以下の式で算出される。
冷媒再生予測量P=回収可能冷媒量A×再生実績率r
再生実績率r=直近再生量W/直近充填量R
【0196】
直近充填量Rとは、直近の所定期間内に冷媒が回収された全ての冷媒使用機器30に充填されていた冷媒の量である。直近再生量Wとは、直近充填量Rのうち、直近の所定期間内に回収されて再生された冷媒の量である。直近の所定期間とは、例えば、過去1年以内の期間である。
【0197】
ステップS23では、冷媒管理システム100に登録されている全ての業者の冷媒再生予測量Pの合計値である総冷媒再生予測量SPが算出される。
【0198】
ステップS24では、総冷媒再生予測量SPに基づいて、各業者の冷媒供給可能量Sが算出される。冷媒供給可能量Sは、以下の式で算出される。
【0199】
冷媒供給可能量S=(総冷媒再生予測量SP+冷媒ストック量α)×取り分率p
冷媒ストック量αとは、例えば、分配業者C5が備蓄している冷媒であって、業者への供給が可能な冷媒の量である。取り分率pとは、業者ごとに決定される。取り分率pが高いほど、供給される冷媒の量が多い。取り分率pは、様様なパラメータに基づいて決定される。例えば、取り分率pは、冷媒回収予定量、冷媒回収量、冷媒再生量、冷媒供給量、上述の再生実績率、業者の業種、及び、販売比率に基づいて決定されてもよい。冷媒供給量とは、直近の所定期間内に業者に供給された冷媒の量である。販売比率とは、例えば、業者の業務対象である全ての冷媒使用機器30のうち、所定の機器製造業者が製造した冷媒使用機器30が占める割合である。取り分率pは、各業者に付与された上述の優先順位及び評価ポイント等によって決定されてもよい。
【0200】
(5−14)変形例N
実施形態では、実施年月日は、作業日又は作業月である。実施形態では、作業日又は作業月は、据付情報及びメンテナンス情報の少なくとも一方が登録された日又は月である。しかし、作業日は、据付業者C1が実際の据付作業を行った日、及び、メンテナンス業者C1が実際のメンテナンス作業を行った日の少なくとも一方であってもよく、作業月は、据付業者C1が実際の据付作業を行った月、及び、メンテナンス業者C1が実際のメンテナンス作業を行った月の少なくとも一方であってもよい。この場合、管理サーバ20は、据付業者C1及びメンテナンス業者C1に作業日又は作業月を入力させてもよい。
【0201】
(6)むすび
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。