(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
原紙シートが巻き取られた原反ロールから前記原紙シートを繰り出し、繰り出された前記原紙シートにエンボス加工を施してエンボスシートを形成し、当該エンボスシートをロール状に巻き取って巻取ロールを形成する、巻取ロール形成工程を含む衛生薄葉紙ロールの製造方法であって、
前記巻取ロール形成工程において、前記エンボスシートの巻取速度Vwと、前記エンボス加工の加工速度Veと、前記原紙シートの繰出速度Vuとを、下式(I)および(II)
巻取速度Vw÷加工速度Ve×100(%)<加工速度Ve÷繰出速度Vu×100(%)・・・式(I)
100%≦巻取速度Vw÷繰出速度Vu×100(%)≦110%・・・式(II)
が成り立つようにすることを特徴とする衛生薄葉紙ロールの製造方法。
前記巻取ロール形成工程において、複数の前記原反ロールを用い、前記複数の前記原反ロールのそれぞれから繰り出された前記原紙シートを重ね合わせてから、重ね合わされた当該複数の前記原紙シートに前記エンボス加工を施して積層シートの形態の前記エンボスシートを形成し、前記テンション付与手段による張力の付与は、前記積層シートの形態の前記エンボスシートに対して行うことを特徴とする請求項2に記載の衛生薄葉紙ロールの製造方法。
前記巻取ロール形成工程において、複数の前記原反ロールを用い、前記複数の前記原反ロールのそれぞれから繰り出された前記原紙シートに前記エンボス加工を施して当該複数の前記エンボスシートを形成し、
形成された前記複数の前記エンボスシートをロール状に巻き取って前記巻取ロールを形成するまでの間に、前記複数の前記エンボスシートを積層させて積層エンボスシートを形成し、前記積層エンボスシートに含まれる前記複数の前記エンボスシートを互いに接合させるための接合エンボス加工を前記積層エンボスシートに施し、
前記テンション付与手段による張力の付与は、前記接合エンボス加工が施された前記積層エンボスシートに対して行うことを特徴とする請求項2に記載の衛生薄葉紙ロールの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る、衛生薄葉紙ロールを製造するための方法について説明する。以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。以下の実施形態および図面は例示の目的で記載したものであり、本発明を限定するものではない。
【0014】
(第1の実施形態)
(衛生薄葉紙ロールの製造方法)
本発明の第1の実施形態に係る衛生薄葉紙ロールの製造方法は、原紙シートが巻き取られた原反ロールから原紙シートを繰り出し、繰り出された原紙シートにエンボス加工を施してエンボスシートを形成し、当該エンボスシートをロール状に巻き取って巻取ロールを形成する、巻取ロール形成工程を含み、当該巻取ロール形成工程において、エンボスシートの巻取速度とエンボス加工の加工速度との間の速度差を当該加工速度と原紙シートの繰出速度との間の速度差よりも小さくするものである。
【0015】
(原反ロール)
本実施形態に適用可能な原反ロールは、当技術分野において知られている製紙技術により製造することができる。例えば、原反ロールは、抄紙機を用いて原紙シートを形成しつつ、形成された原紙シートを巻芯に巻き取る工程によって得ることができる。抄紙機には、ツインワイヤフォーマ方式、円網フォーマ方式、サクションプレストフォーマ方式、クレセントフォーマ方式等の知られている抄紙機が用いられてもよい。
【0016】
(原紙シート)
原紙シートは、繊維原料であるパルプ成分を含むスラリーを抄紙することによって得られる。
【0017】
(パルプ成分)
パルプ成分としては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプが挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。パルプ成分は上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。これらパルプ成分は衛生用紙の品質に大きく影響するので、要求品質に合わせて所定の種類および配合割合で適宜配合される。
【0018】
(任意成分)
原紙シートには、要求品質および操業の安定のために、任意成分として様々な薬品が添加されていてもよい。任意成分としては、例えば、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、柔軟剤、嵩高剤、染料、香料、分散剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、歩留向上剤等を挙げることができる。乾燥紙力剤としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドエピクロロヒドリン、尿素、メラミン、熱架橋性ポリアクリルアミド等を挙げることができる。柔軟剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を挙げることができる。上記の任意成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0019】
(坪量)
原紙シートの坪量は、要求品質に合わせて、例えば、7〜30g/m
2とすることができる。例えば、原紙シートの坪量は、好ましくは9g/m
2以上とすることができ、および好ましくは17g/m
2以下とすることができる。坪量は、日本工業規格JIS P8124の規定に従って測定される。
【0020】
(エンボスシート)
エンボスシートは、原紙シートにその全面に亘ってエンボス加工を施すことによって形成されるシートである。本発明の実施形態において、エンボスシート13Lは、1枚の原紙シート11Lを用いて形成された単プライの形態のものであってもよく(
図3(b)参照)、2枚または3枚以上の複数の原紙シート11L,12Lを用いて形成された複数プライの形態ものであってもよい(
図3(a)および
図3(c)参照)。
【0021】
エンボスシート13Lが複数の原紙シート11L,12Lを用いて形成された複数プライの形態のものであるとき、エンボスシート13Lは、複数の原紙シート11L,12Lのそれぞれにその全面に亘ってエンボス加工を施してからそれらを重ね合わせて得られる積層シートであってもよく(
図3(a)参照)、複数の原紙シート11L,12Lを重ね合わせてからその全面に亘ってエンボス加工を施して得られる積層シートであってもよい(
図3(c)参照)。また、エンボスシートが積層シートである場合には、積層シートを構成する各シートの剥離を防止するために、積層シートに対して、一部、例えば、幅方向(CD方向)両側縁部にその構成シートを互いに接合するための接合エンボス加工がさらに施されていてもよい。
【0022】
エンボスシートが複数の原紙シートを用いて形成されているものであるとき、それぞれの原紙シートの種類(材質、物性等)は、要求品質等に応じて同一であってもよく異なっていてもよく、必ずしも全ての原紙シートの種類が同一である必要はない。
【0023】
(エンボス加工)
エンボス加工とは、原紙シートの両面のうちの一方の表面にエンボス凸部を、他方の表面にエンボス凸部の裏側で構成されるエンボス凹部を形成する加工をいう。エンボス加工は公知の方法で行うことができる。例えば、エンボス加工は、ほぼ相補的な形状の雄(凸)エンボスロールと雌(凹)エンボスロールとが噛み合う「マッチした」エンボスロールにより行われてもよく、または、雄(凸)エンボスロールと雌(凹)エンボスロールの形状が同一でなく、両者が噛み合った際にシートにせん断力を与える、いわゆる「マッチしていない」エンボスロールにより行われてもよく、または、雄(凸)エンボススチールロールとプレーンラバーロールとにより、行われてもよい。
【0024】
(巻取ロール)
本発明の実施形態において、巻取ロールは、1または複数の原反ロールに巻き取られている原紙シートを繰り出し、繰り出された原紙シートにエンボス加工を施してエンボスシートを形成し、形成されたエンボスシートを再びロール状に巻き取ることにより形成される。巻取ロールは、シート繰出機能と、エンボス加工機能と、シート巻取機能と、をこの順に備える、当技術分野において知られている任意の設備を用いて形成され得る。
【0025】
巻取ロールが複数の原反ロールを用いて形成される場合、当該複数の原反ロールの種類は、製造工程および/または最終製品の要求品質等に応じて、同一であっても異なるものであってもよい。巻取ロールから、衛生薄葉紙ロール製品が得られる。巻取ロールには必要に応じて寸法加工等の加工が施されていてもよく、巻取ロールそのものが衛生薄葉紙ロール製品であってもよい。
【0026】
(衛生薄葉紙ロール)
図1は、本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙ロールの製造方法により製造される衛生薄葉紙ロールの例を示す概略斜視図である。
【0027】
図1の例において、衛生薄葉紙ロールは、トイレットロール10である。トイレットロール10は、エンボスシート13が、円筒状の巻芯14に所定長だけ巻き回されたものである。本例において、エンボスシート13は、表面シート11(以下、「第1のシート」とも称する)と裏面シート12(以下、「第2のシート」とも称する)とを重ね合わせた2プライの積層シートの形態を有する。以下、本明細書において、エンボスシートが複数のシートを重ね合わせた複数プライの積層シートの形態である場合に、当該エンボスシートを特に「積層エンボスシート」とも称するものとする。
【0028】
第1のシート11には、その全面に亘って、第2のシート12との重ね合わせ面側に突出する多数の第1エンボス部11aが、反復パターンにて形成されている。同様に、第2のシート12には、その全面に亘って、第1のシート11との重ね合わせ面側に突出するように多数の第2エンボス部12aが、整列状態で所定間隔毎に形成されている。このように、第1エンボス部11aおよび第2エンボス部12aを第1のシート11と第2のシート12との重ね合わせ面側に突出させたことにより、第1のシート11および第2のシート12の表面の手触りを良好に保つことができる。第1のシート11および第2のシート12に形成される第1エンボス部11aおよび第2エンボス部12aのパターンは、必要に応じて、
図1に例示されたもの以外の任意のパターンであってもよい。
【0029】
積層エンボスシート13の幅方向(CD方向)両側縁部には、その長手方向(MD方向)に沿って延在する接合用エンボス部11b,12bが、積層エンボスシート13の表裏両面から外側に突出しないように形成されている。接合用エンボス部11b,12bは、第1のシート11および第2のシート12を一体的に接合する接合領域を画成し、積層エンボスシート13の幅方向両側縁部からの第1および第2のシート11,12の剥離を抑制することができる。
【0030】
上述のように、
図1には、本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙ロールの製造方法を適用可能な衛生薄葉紙ロールとして、2プライの積層シートの形態のエンボスシートが巻き取られたトイレットロール10を例示した。
【0031】
しかしながら、本発明の実施形態を適用可能な衛生薄葉紙ロールの種類は
図1の例に限定されず、本発明の実施形態は、例えばキッチンロールのような任意の他のロール状に巻き取られた衛生薄葉紙の製造に適用することができる。また、本発明の実施形態は、例えば袋入りまたは箱詰めティシュペーパーのような紙束状の衛生薄葉紙製品を製造するために用いられる、シートがロール状に巻き取られた二次原反ロールの製造に適用することができる。
【0032】
また、本発明の実施形態に係る衛生薄葉紙ロールの製造方法によれば、
図1の例のような2プライの形態のエンボスシート13に限定されず、第1および第2のシート11,12に加えてさらに1以上のシートを含む3プライ以上の複数プライの形態や、第1のシート11または第2のシート12のいずれか一方からなる単プライの形態のエンボスシートが巻き取られた衛生薄葉紙ロールを形成することができる。
【0033】
(本発明の実施形態に適用可能な製造設備の例)
図2に、本発明の実施形態による衛生薄葉紙ロールの製造に適用可能な製造設備の例を模式的に示す。
図2は例示目的であって本発明を限定するものではない。
【0034】
図2の例では、
図1に示される2プライのトイレットロール10が製造されている。本例において、原反ロールスタンド20には、帯状をなす長尺の原紙シート11L(以下、「第1の原紙シート」とも称する)および帯状をなす長尺の原紙シート12L(以下、「第2の原紙シート」とも称する)がそれぞれ巻き取られた、第1のシート11用の原反ロール11R(以下、「第1の原反ロール」とも称する)および第2のシート12用の原反ロール12R(以下、「第2の原反ロール」とも称する)が配されている。これら第1および第2の原反ロール11R,12Rは、トイレットロール10の幅の数倍から二十数倍の幅を有する。
【0035】
第1の原反ロール11Rおよび第2の原反ロール12Rは、原反ロールスタンド20に対して回転可能に取り付けられており、原紙シート繰出装置(不図示)によって回転駆動されつつ第1の原紙シート11Lおよび第2の原紙シート12Lを繰り出すことができる。
【0036】
ここで、本発明の実施形態に係る「原紙シートの繰出速度」とは、原反ロールから原紙シートが繰り出される速度をいう。本例において、第1の原反ロール11Rおよび第2の原反ロール12Rから第1の原紙シート11Lおよび第2の原紙シート12Lを繰り出す速度11Vu,12Vuが、本実施形態に係る「原紙シートの繰出速度」に相当する。
【0037】
原紙シート繰出装置としては、第1および第2の原紙シート11L,12Lを所定の繰出速度11Vu,12Vuで繰出可能であるとともに、かかる繰出速度11Vu,12Vuを無段階で変更することのできる、任意の知られている装置を用いることができる。原紙シート繰出装置は、例えば、第1および第2の原反ロール11R,12Rの巻芯に通されたシャフトを回転駆動可能な駆動部による回転数の制御によって、第1および第2の原紙シート11L,12Lの繰出速度11Vu,12Vuを調整するものであってもよい。あるいはまた、原紙シート繰出装置は、第1および第2の原反ロール11R,12Rの外周に当接して原反ロール11R,12Rを回転駆動する回転駆動ベルトの回転駆動速度の制御によって、原紙シート11L、12Lの繰出速度11Vu,12Vuを調整するものであってもよい。繰出速度11Vu,12Vuの調整のための回転数や回転駆動速度の制御は、例えば駆動部に対する供給電圧や供給電流の変更により行うことができる。
【0038】
第1の原反ロール11Rおよび第2の原反ロール12Rから繰り出された第1の原紙シート11Lおよび第2の原紙シート12Lは、原反ロールスタンド20の下流側に配されたエンボス加工部25に搬送される。このエンボス加工部25の下流側には、さらに巻取部26および末端処理部27が順に配されている。
【0039】
エンボス加工部25は、端的には、原紙シートに対してエンボス加工を施して、エンボスシートを形成するユニットである。
【0040】
図3(a)を参照して、本例におけるエンボス加工部25の詳細について説明する。
図3(a)は、
図2に示される製造設備のエンボス加工部25近傍の抽出拡大図である。エンボス加工部25は、案内ローラ30,31と、エンボスロールユニット28,29と、接合用エンボスロールユニット32と、テンションロール33と、これらが相隔てて取り付けられるフレーム34と、を備えている。
【0041】
案内ローラ30,31は、エンボスロールユニット28,29に挿通される第1および第2の原紙シート11L,12Lの搬送方向に関して、エンボスロールユニット28,29よりも上流側に配されている。第1および第2の原反ロール11R,12Rから繰り出された第1および第2の原紙シート11L,12Lは、案内ローラ30,31に巻き掛けられて、エンボスロールユニット28,29に向かうように案内される。案内ローラ30,31は、フレーム34に対して回転自在に取り付けられており、第1および第2の原紙シート11L,12Lの搬送に伴う摩擦力によって回転可能となっている。
【0042】
第1および第2のシート11,12を形成するために用いられる2組のエンボスロールユニット28,29は、エンボスロール28a,29aと、バックアップロール28b,29bと、を有する。エンボスロール28a,29aは、フレーム34に対して回転自在に取り付けられている。第1のシート11用のエンボスロール28aの外周面には、
図1に示される第1エンボス部11aのエンボスパターンに対応した凹凸部が形成されている。同様に、第2のシート12用のエンボスロール29aの外周面には、
図1に示される第2エンボス部12aのエンボスパターンに対応した凹凸部が形成されている。第1のシート11用のエンボスロール28aの真上には、第1のシート11用のバックアップロール28bがエンボスロール28aとの対向方向に沿って移動可能に配され、これらの間に第1の原紙シート11Lが挿通される。同様に、第2のシート12用のエンボスロール29aの真下には第2のシート12用のバックアップロール29bがエンボスロール29aとの対向方向に沿って移動可能に配され、これらの間に第2の原紙シート12Lが挿通される。
【0043】
バックアップロール28b,29bは、基端部が枢軸を中心としてフレーム34に揺動可能に取り付けられたロールホルダー(不図示)に対してそれぞれ回転自在に取り付けられている。これらロールホルダーの先端部は、一端がフレーム34にピン止めされた流体圧シリンダー(不図示)の他端部にそれぞれピン止めされている。従って、流体圧シリンダーのピストンロッドを引き戻すことにより、バックアップロール28b,29bがエンボスロール28a,29aの外周面に所定圧で押し当たる。この結果、これらの間を通過する第1および第2の原紙シート11L,12Lにエンボス加工が施される。
【0044】
接合用エンボスロールユニット32は、エンボスロールユニット28,29の下流側に配されており、上下に対向するエンボスホイール32aと受けロール32bとを有する。受けロール32bは、エンボスロール28a,29aと共に同期回転するようにフレーム34に対して回転自在に取り付けられている。エンボスホイール32aおよび受けロール32bの外周面には、
図1に示される接合用エンボス部11b,12bに対応したエンボスパターンが形成されている。受けロール32bの下方に位置するエンボスホイール32aは、基端がフレーム34にピン止めされた流体圧シリンダー41のピストンロッド41aの先端部に回転自在に取り付けられている。このエンボスホイール32aは、駆動回転する受けロール32bに対し、流体圧シリンダー41によって所定の押圧力で押し付けられる。
【0045】
なお、エンボスホイール32aおよび受けロール32bの取り付け構造を逆にすることも可能である。すなわち、エンボスホイール32aをフレーム34に回転自在に取り付けてエンボスロール28a,29aと共に同期回転させるようにしてもよい。この場合、受けロール32bを、上述したバックアップロール28b,29bと同様に流体圧シリンダー41によってエンボスホイール32aの外周面に押し付け、摩擦力によって連れ回りさせることができる。
【0046】
本例において、エンボスロール28a,29aならびに接合用エンボスロールユニット32の少なくとも凹凸部分は金属にて形成されているが、バックアップロール28b,29bの表面部分は、弾性変形可能な硬質合成ゴムなどの硬質なゴム状弾性体にて形成されている。
【0047】
テンションロール33は、エンボス加工部25において接合用エンボスロールユニット32の下流側に配されており、テンションアーム42によって回転自在に支持されている。テンションアーム42の基端部は、枢軸43を介してフレーム34に回転自在に取り付けられている。
【0048】
テンションロール33は、エンボス加工部25から巻取部26に送出されるエンボスシート13Lに当接し、これに対して一定の張力を付与することができるように構成されている。テンションロール33による張力の付与により、エンボスシート13Lの安定的な搬送が可能になる。
【0049】
案内ローラ30,31、エンボスロールユニット28,29、接合用エンボスロールユニット32、テンションロール33、および各枢軸の回転軸線は、相互に平行に設定されている。エンボスロールユニット28,29は、不図示の駆動源によってエンボスロール28a,29aの周速28Ve,29Veを所定の速度に制御可能であるとともに、かかる周速を無段階に変更可能であるように構成されている。
【0050】
ここで、本発明の実施形態に係る「エンボス加工の加工速度」とは、原紙シート対して施されるエンボス加工の処理速度をいう。本例において、エンボスロール28a,29aの周速28Ve,29Veが、本実施形態に係る「エンボス加工の加工速度」Veに相当する。
【0051】
エンボスロールユニット28,29の駆動源は、可変速モーター、つまりサーボモーターのような原動機であってもよく、供給電圧または供給電流を調整することにより、その回転速度を無段階で変更することができる。エンボスロール28a,29aおよび受けロール32bには、これらを同期回転させるための不図示の動力伝達機構が組み付けられている。エンボスホイール32aやバックアップロール28b,29bなどは、第1および第2の原紙シート11L,12Lの搬送に伴う摩擦力によって従動回転するようになっている。
【0052】
上述のエンボス加工部25において、第1および第2の原反ロール11R,12Rから繰り出された第1および第2の原紙シート11L,12Lは、エンボスロールユニット28,29にてエンボス加工が施され、それぞれ第1および第2エンボス部11a,12a(
図1参照)が形成される。これにより、第1および第2の原紙シート11L,12Lに張りとしなやかさとが与えられる。次いで、エンボス加工が施され第1および第2エンボス部11a,12aが形成された第1および第2の原紙シート11L,12Lは、接合用エンボスロールユニット32のエンボスホイール32aと受けロール32bとの間を通過する際に、相互に重ね合わされるとともに、接合用エンボス部11b,12b(
図1参照)が形成され、積層状態で一体的に接合される。この結果、エンボスシート13Lが形成される。
【0053】
図2を再度参照して、エンボス加工部25により形成されたエンボスシート13Lは、その下流側に配された巻取部26に送出される。
【0054】
巻取部26は、エンボス加工部25から送出されるエンボスシート13Lの先端部を、軸方向に長尺の巻芯に接着剤を介して巻き付けてエンボスシート13Lを巻芯に所定長さだけ巻き取り、その後、不図示の切断手段により切断して、幅広の、すなわちCD方向の寸法が大きいトイレットロール10Lを形成する。この幅広トイレットロール10Lが、本実施形態に係る「巻取ロール」に相当する。
【0055】
ここで、本発明の実施形態に係る「エンボスシートの巻取速度」とは、エンボスシートが巻取ロールの形態に巻き取られる速度をいう。本例において、エンボスシート13Lが巻芯に巻き取られる速度Vwが、本実施形態に係る「エンボスシートの巻取速度」に相当する。
【0056】
エンボスシート13Lの巻き取りには、エンボスシート13Lを所定の巻取速度Vwで巻き取り可能であるとともに、かかる巻取速度Vwを無段階で変更することのできる、任意の知られているシート巻取装置を用いることができる。シート巻取装置は、例えば、幅広トイレットロール10Lの巻芯に通されたシャフトを回転駆動可能な駆動部による回転数の制御によって、エンボスシート13Lの巻取速度Vwを調整するものであってもよい。あるいはまた、シート巻取装置は、幅広トイレットロール10Lの外周に当接して幅広トイレットロール10Lを回転駆動する回転駆動ロールの回転駆動速度の制御によって、エンボスシート13Lの巻取速度Vwを調整するものであってもよい。巻取速度Vwの調整のための回転数や回転駆動速度の制御は、駆動部に対する供給電圧や供給電流の変更により行うことができる。
【0057】
なお、本例においては、上述の巻取部26におけるエンボスシート13Lの所定長さ毎の切断に先立ち、エンボスシート13Lの幅方向に横切る破断用ミシン目を、エンボスシート13Lの長手方向(MD方向)に沿って、一定間隔毎に形成するようにしている。破断用ミシン目の形成には、知られている任意のミシン目形成手段を用いることができる。しかしながら、かかる破断用ミシン目の形成は、本発明の実施形態において、任意選択的であり、必須ではない。
【0058】
末端処理部27は、巻取部26から排出される幅広トイレットロール10Lの巻き終わり部分となる所定長さ毎の切断により生じたエンボスシート13Lの末端部を、幅広トイレットロール10Lの表面に糊付けし、幅広トイレットロール10Lが巻きほぐれないようにする。
【0059】
幅広トイレットロール10Lは、次いで、末端処理部27から不図示の切断部に搬出され、製品スペック等に応じた所定幅に切断されて個々のトイレットロール10となる。
【0060】
一方、巻取部26において、エンボスシート13Lの所定長さ毎の切断により生じたエンボスシート13Lの先端部(すなわち、第1および第2の原反ロール11R,12R側のエンボスシート13Lの端部)は、巻取部26に配される新たな軸方向に長尺の巻芯に接着剤を介して巻き付けられ、再び所定長さだけエンボスシート13Lがこの軸方向に長尺の巻芯に巻き取られるようになっている。
【0061】
(ドロー調整)
図2および
図3を参照して、本実施形態による、第1および第2の原反ロール11R,12Rと巻取ロール10Lとの間の速度差の制御によるドロー調整について詳述する。
【0062】
図2および
図3(a)に示される例では、第1および第2の原反ロール11R,12Rから2プライの幅広トイレットロール10Lを形成する工程(すなわち巻取ロール形成工程)において、第1および第2の原反ロール11R,12Rのそれぞれと、巻取部26で巻き取られている幅広トイレットロール10L(以下、「巻取ロール10L」と称する)と、の間でドロー調整が行われる。
【0063】
第1の原反ロール11Rと巻取ロール10Lとの間におけるドロー調整と、第2の原反ロール12Rと巻取ロール10Lとの間におけるドロー調整とは、同様の方法でそれぞれ行うことができる。第1の原反ロール11Rから第1の原紙シート11Lを繰り出す繰出速度11Vuと、第2の原反ロール12Rから第2の原紙シート12Lを繰り出す繰出速度12Vuは、ドロー調整の目的である断紙や皺寄り防止の効果を奏する限り、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0064】
2つの原反ロール(第1および第2の原反ロール11R,12R)に関して、それぞれから繰り出された原紙シート11L,12Lがエンボス加工後にエンボスシート13Lとして巻き取られる巻取ロール10Lは共通であり、したがって、その巻取速度Vwも共通である。
【0065】
以下、説明の容易のため、第1および第2の原反ロール11R,12Rを「原反ロールR」、原反ロールRから繰り出される第1および第2の原紙シート11L,12Lを「原紙シートS」、原紙シートSの繰出速度11Vu,12Vuを「繰出速度Vu」と総称して、両原反ロール11R,12Rに関する速度制御によるドロー調整を一括的に説明する。
【0066】
なお、かかるドロー調整の説明は、
図3(a)に示される例に限定されず、
図3(b)に示されるような本実施形態の変形例、すなわち、単一の原反ロール11Rを用いて単プライのエンボスシート13Lが巻き取られた巻取ロール10Lを形成する例にも、適用することができる。また、かかるドロー調整の説明は、用いられる原反ロールRが3以上の複数である場合(すなわち、3プライ以上の複数プライのエンボスシート13Lが巻き取られた巻取ロール10Lを形成する場合)(不図示)にも、同様に適用することができる。
【0067】
本実施形態に係る衛生薄葉紙ロールの製造方法は、巻取ロール形成工程において、エンボスシート13Lの巻取速度Vwとエンボス加工の加工速度Veとの間の速度差を、当該加工速度Veと原紙シートSの繰出速度Vuとの間の速度差よりも小さくすることで、ドロー調整を行うものである。
【0068】
巻取速度Vwと加工速度Veとの間の速度差は、式Vw÷Ve×100(%)によって表すことができる。また、加工速度Veと繰出速度Vuとの間の速度差は、式Ve÷Vu×100(%)によって表すことができる。
【0069】
本実施形態では、下式(I)が成り立つような条件でドロー調整を行う。
【0070】
巻取速度Vw÷加工速度Ve×100(%)<加工速度Ve÷繰出速度Vu×100(%)・・・式(I)
【0071】
なお、このとき、式Vw÷Vu×100(%)によって表される巻取速度Vwと繰出速度Vuとの間の速度差は、100%以上110%以下となるようにすることが好ましく、101%以上108%以下となるようにすることがより好ましい。かかる速度差が100%未満であると、原紙シートSやエンボスシート13Lに十分な張力を掛けることができず、原紙シートSやエンボスシート13Lの弛みや皺寄りに繋がるおそれがある。かかる速度差が110%を超えると、原紙シートSやエンボスシート13Lに、過剰な張力による断紙が生じやすくなる。
【0073】
本実施形態では、巻取ロール形成工程において、エンボスシート13Lの巻取速度Vwとエンボス加工の加工速度Veとの間の速度差を、当該加工速度Veと原紙シートSの繰出速度Vuとの間の速度差よりも小さくすることで、ドロー調整を行う。
【0074】
これによると、エンボス加工を施すエンボス加工部25の上流側と下流側とで、すなわち、エンボス加工が施される前の段階とエンボス加工が施された後の段階とで、ドロー調整の条件を異ならせて、原紙シートSやエンボスシート13Lに掛かる張力を調節することができる。
【0075】
ドロー調整の条件は、エンボス加工による紙質の変化等に応じて設定することができる。例えば、エンボス加工によって繊維が破壊されて引張強度が低下したエンボスシート13Lに掛かる張力が、エンボス加工が施される前の原紙シートSに掛かる張力よりも低くなるように、速度差を制御することができる。
【0076】
したがって、本実施形態によれば、エンボス加工の前後のいずれの段階においても、原紙シートSやエンボスシート13Lに適当な張力を付与して原紙シートSやエンボスシート13Lの弛みや紙切れを防止することができる。
【0077】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。特段の記載のない限り、第1の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
【0078】
第2の実施形態に係る衛生薄葉紙ロールの製造方法は、第1の実施形態で説明した巻取ロール形成工程において、エンボス加工の加工速度Veを、原反ロールRからの原紙シートSの繰出速度Vuよりも速くし、かつエンボスシート13Lの巻取速度Vwと同一またはそれよりも速くするとともに、エンボスシート13Lをロール状に巻き取るまでの間にテンション付与手段によりエンボスシート13Lに対して原紙シートSに掛かる張力よりも弱い張力が当該エンボスシート13Lに掛かるように張力を付与するものである。
【0079】
すなわち、第2の実施形態では、下式(II)および(III)が成り立つような条件で、速度差制御を行う。
【0080】
加工速度Ve÷繰出速度Vu×100(%)>100(%)・・・式(II)
【0081】
巻取速度Vw÷加工速度Ve×100(%)≦100(%)・・・式(III)
【0082】
式(III)が成り立つような条件で速度差制御を行う場合、すなわち下流側の巻取速度Vwが上流側の加工速度Veと同一以下の速度となるようにする場合、エンボス加工部25と巻取ロール10Lとの間でエンボスシート13Lに十分な張力が掛からずに、エンボスシート13Lに弛みや皺寄りが生じるおそれがある。
【0083】
そこで、本実施形態では、テンション付与手段によって、エンボス加工部25から巻取部26に送出されるエンボスシート13Lに対して、エンボス加工部25におけるエンボスロールユニット28,29のニップ(接合エンボス加工を施す場合は、接合用エンボスロールユニット32のニップ)と巻取ロール10Lとの間でエンボスシート13Lに弛みが生じないような、一定の張力を付与する。また、エンボス加工前後における紙質の変化(エンボス加工による繊維の破壊による脆弱化)を考慮して、エンボスシート13Lに対して付与する一定の張力は、原反ロールRとエンボス加工部25との間の原紙シートSに掛かる張力よりも弱い張力とする。
【0084】
エンボスシート13Lに張力を付与する手段としては、
図3に示されるように、エンボス加工部25に、テンションロール33が配されている。テンションロール33は、エンボス加工部25から巻取部26に送出されるエンボスシート13Lに当接しこれに対して一定の張力を付与することができるように構成されている。テンションロール33は、本発明の実施形態に係る「テンション付与手段」に相当するが、本発明の実施形態において、テンション付与手段の種類に特に限定はない。テンション付与手段は、例えば、重さを利用したウェイトダンサやバネを利用したスプリングダンサのようなダンサロールであってもよく、ダンサロールは、空気圧を利用したエアシリンダなどで加圧可能に構成されていてもよい。
【0085】
テンション付与手段によってエンボスシート13Lに付与する張力の大きさを設定するにあたり、原反ロールRとエンボス加工部25との間の原紙シートSに掛かる張力は、知られている任意の張力検出器によって検出することができる。検出された原紙シートに掛かる張力の大きさに応じて、エンボスシート13Lに付与する張力を適宜設定することができる。
【0086】
テンション付与手段によってエンボスシート13Lに付与する張力は、テンション付与手段の種類に応じて、重さ、バネ、空気圧などによって制御することができる。
【0087】
(作用効果)
本実施形態では、エンボス加工を施すエンボス加工部25の上流側、すなわちエンボス加工が施される前の段階においては、エンボス加工速度と原紙シートSの繰出速度との間の速度差により、原紙シートSに張力を付与する。また、エンボス加工を施すエンボス加工部25の下流側、すなわちエンボス加工が施された後の段階においては、テンション付与手段により、エンボスシート13Lに対して、原紙シートSに付与される張力よりも弱い張力を付与する。
【0088】
本実施形態によれば、原紙シートSやエンボスシート13Lに、エンボス加工前後での紙質の変化に対応して適当な張力を付与することができ、原紙シートSやエンボスシート13Lの弛みや紙切れを防止することができる。
【0089】
(エンボス加工の変形例)
次に、
図3(a)から
図3(c)を参照して、本発明の実施形態に係るエンボス加工の変形例を説明する。特段の記載のない限り、第1および第2の実施形態に適用可能な構成は、本実施形態に適用可能である。
【0090】
図3(a)から
図3(c)は、
図2に示される製造設備のエンボス加工部25の近傍の抽出拡大図であり、衛生薄葉紙ロールの製造に用いられる原反ロール(不図示)の数または原紙シートの通紙経路がそれぞれ異なっている。
【0091】
(第1の変形例)
図3(a)に示される変形例は、複数の原反ロールを用いて巻取ロールを形成する、複数プライの衛生薄葉紙ロールを製造する方法の実施形態であり、特には、複数の原紙シートのそれぞれに対してエンボス加工を施してからそれらを重ね合わせて積層シートの形態とする、いわゆるダブルエンボスの加工例である。
【0092】
図3(a)を参照して、本例では、2つの原反ロール11R,12R(不図示)を用い、2つの原反ロールのそれぞれから繰り出された原紙シート11L,12Lにエンボス加工を施して2枚のエンボスシートを形成し、その後、形成された2枚のエンボスシートをエンボス加工部25の下流に位置する不図示の巻取部26においてロール状に巻き取って巻取ロールを形成するまでの間に、2枚のエンボスシートを積層させて積層エンボスシート13Lを形成する。
【0093】
本変形例では、積層エンボスシート13Lを構成する各エンボスシートの剥離を防止するために、積層エンボスシート13Lに対して、接合用エンボスロールユニット32によって、主に縁部近傍に施される接合用エンボス加工(いわゆるエッジエンボス)をさらに施す。
【0094】
本変形例では、テンションロール33による張力の付与は、接合用エンボスロールユニット32によって接合エンボス加工が施された後の積層エンボスシート13Lに対して行う。
【0095】
(第2の変形例)
図3(b)に示される第2の変形例は、単一の原反ロール11R(不図示)を用いて巻取ロール10L(不図示)を形成する、単プライの衛生薄葉紙ロールを製造する方法の実施形態である。
【0096】
図に示される製造設備のエンボス加工部25には、接合用エンボスロールユニット32が設けられているが、本変形例は単プライであるため、複数プライを構成する各シートの剥離を防止するための接合エンボス加工の必要がない。したがって、原反ロール11Rから繰り出された原紙シート11Lは、エンボスロールユニット28のニップ間でエンボス加工が施された後は、接合用エンボスロールユニット32においてエンボスホイール32aとは接触せずに受けロール32bのみと接触するように巻き掛けられて、接合エンボス加工が施されることなく、下流側に搬送される。
【0097】
(第3の変形例)
図3(c)に示される第3の変形例は、複数の原反ロールを用いて巻取ロールを形成する、複数プライの衛生薄葉紙ロールを製造する方法の実施形態であり、特には、重ね合わせた状態の複数の原紙シートに対して共通するエンボス加工を施す、いわゆるシングルエンボスの加工例である。
【0098】
図3(c)を参照して、本例では、2つの原反ロール11R,12R(不図示)を用い、2つの原反ロールのそれぞれから繰り出された原紙シート11L,12Lを案内ローラ30に巻き掛けつつ重ね合わせ、重ね合わされた2枚の原紙シート11L,12Lを、エンボスロールユニット28のニップ間に挿通させてエンボス加工を施して、積層シートの形態のエンボスシート13Lを形成する。
【0099】
本変形例では、積層シートの形態のエンボスシート13Lを構成する原紙シート11L,12Lに対して共通のエンボス加工が施されているため、両原紙シート11L,12Lは剥離しにくい傾向にある。そのため、本変形例において、接合用エンボスロールユニット32による接合エンボス加工は、必須ではなく、必要に応じて施される。
【0100】
本実施例では、テンションロール33による張力の付与は、積層シートの形態のエンボスシート13Lに対して行う。接合エンボス加工が行われる場合は、接合エンボス加工が施された後の積層シートの形態のエンボスシート13Lに対して、かかる張力付与を行う。
【0102】
本発明は、トイレットロールのみでなく、キッチンロール(ロール状のキッチンペーパー)のような他の衛生薄葉紙ロールの製造にも適用され得る。本発明の実施形態を、2プライのキッチンロールの製造に適用する場合、エンボス加工部に、例えば、雄(凸)エンボスロールの外周とのニップ間で、雄(凸)エンボスロールに巻き掛けられエンボス加工が施されている原紙シートの凸部にグルーを付着させるようなグルーラバーロールをさらに設け、グルーで接着された2プライの積層エンボスシートを形成するようにしてもよい。
【0103】
本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
【解決手段】原紙シート11L、12Lが巻き取られた原反ロール11R、12Rから原紙シートを繰り出し、繰り出された原紙シートにエンボス加工を施してエンボスシートを形成し、当該エンボスシートをロール状に巻き取って巻取ロールを形成する、巻取ロール形成工程を含む衛生薄葉紙ロールの製造方法であって、巻取ロール形成工程において、エンボスシートの巻取速度とエンボス加工の加工速度との間の速度差を当該加工速度と原紙シートの繰出速度との間の速度差よりも小さくする衛生薄葉紙ロールの製造方法。