(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のせん断力検知部材の前記押圧シートが外部から押圧されると共に、前記記録シートが、前記感圧シートの前記第1面に対して面方向に相対的に運動することにより、前記記録シートに形成された着色跡の画像を生成する画像化部と、
前記画像に含まれる所定の寸法以上の長さを有する着色跡に基づいて、せん断力を求める処理部と、
を備える解析装置。
請求項4に記載のせん断力検知部材の前記感圧シートが外部から押圧されると共に、前記記録シートが、前記感圧シートの前記第1面に対して面方向に相対的に運動することにより、前記記録シートに形成された着色跡の画像を生成する画像化部と、
前記画像に含まれる所定の寸法以上の長さを有する着色跡に基づいて、せん断力を求める処理部と、
を備える解析装置。
請求項1に記載のせん断力検知部材の前記押圧シートが外部から押圧されると共に、前記記録シートが、前記感圧シートの前記第1面に対して面方向に相対的に運動することにより、前記記録シートに形成された着色跡であって、所定の寸法以上の長さを有する着色跡に基づいて、せん断力を求めること、
を含むせん断力を求める方法。
請求項4に記載のせん断力検知部材の前記感圧シートが外部から押圧されると共に、前記記録シートが、前記感圧シートの前記第1面に対して面方向に相対的に運動することにより、前記記録シートに形成された着色跡であって、所定の寸法以上の長さを有する着色跡に基づいて、せん断力を求めること、
を含むせん断力を求める方法。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本明細書で開示するせん断力検知部材の好ましい一実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0025】
図1(A)は、本明細書に開示するせん断力検知部材の一実施形態を示す平面図であり、
図1(B)は
図1(A)のX−X線断面図である。
図2は、
図1(B)の要部を拡大して示す断面図である。
【0026】
本実施形態のせん断力検知部材10(以下、単に検知部材10ともいう)は、押圧シート11と、感圧シート12と、記録シート13を備える。押圧シート11は、複数の突起部11aを含む突起面11bを有する。押圧シート11は、突起面11bとは反対側の面である非突起面11cを有し、非突起面11c上には、接着層16が配置される。
【0027】
感圧シート12は、第1面12a及び第2面12bを有し、第2面12bを突起面11bと対向させて押圧シート11上に積層される。感圧シート12は、第2面12b側から第1面12aが押圧されることにより、第1面12aの押圧された位置と対向する記録シート13の部分を着色可能である。
【0028】
記録シート13は、感圧シート12の第1面12aと対向し、且つ第1面12aに対して面方向に相対的に運動可能に感圧シート12上に積層される。記録シート13は、感圧シート12の第1面12aと対向する記録面13aと、反対側の非記録面13bを有する。記録面13aは、感圧シート12が押圧シート11の突起部11aにより押圧されることにより、感圧シート12と接触した部分が、感圧シート12により着色される。記録シート13の非記録面13b上には、接着層17が配置される。なお、
図1(B)では、感圧シート12は、記録シート13に対して離間するように示されているが、せん断力を検知する時には、感圧シート12は、記録シート13と接するように配置される。
【0029】
検知部材10は、例えば、押圧シート11が接着層16を介して、人間の動作を補助する補助装置を装着する装着者に剥離可能に接着され、記録シート13が接着層17を介して、補助装置に剥離可能に接着される。記録シート13が、感圧シート12の第1面12aに対して面方向に相対的に運動することは、感圧シート12が、停止している記録シート13に対して相対的に移動する場合、及び、記録シート13が、停止している感圧シート12対して相対的に移動する場合を含む。
【0030】
検知部材10は、補助装置が装着者の動作を補助する時に、装着者と装置との接触面に働くせん断力を、感圧シート12と記録シート13との間の相対的な運動として検知する。具体的には、感圧シート12が、押圧シート11の突起部11aにより第2面12b側から第1面12aが押圧されることにより、第1面12aの押圧された位置と対向する記録シート13の記録面13aが線分状に着色される。記録面13aの線分状に着色された着色跡の面積に基づいて、せん断力の大きさを求めることができる。また、記録面13aの線分状に着色された着色跡の方向に基づいて、せん断力の向きを求めることができる。
【0031】
更に、検知部材10について、以下に詳述する。
【0032】
押圧シート11は、平面視して、円形状を有する。なお、押圧シート11の形状は、円形状に限定されるものではなく、矩形等の他の形状であってもよい。
【0033】
押圧シート11の突起面11bは、少なくとも1つの突起部11aを含む。せん断力の大きさは、突起部11aが感圧シート12を押圧して、記録シート13の記録面に形成される線分状の着色跡の面積に基づいて求められ、せん断力の向きは、複数の線分の平均的な方向に基づいて求められ得る。従って、押圧シート11の突起面11bは、複数の突起部11aを有することが、せん断力の大きさ及び向きを正確に検知する観点から好ましい。
【0034】
複数の突起部11aは、突起面11b上に均一に分散するように配置されることが、感圧シート12と記録シート13との間の相対的な運動を妨げない観点から好ましい。
【0035】
突起部11aの自由端の形状は、湾曲していることが、突起部11aより押圧される感圧シート12の部分と、記録シート13との間の摩擦力を低減する観点から好ましい。例えば、突起部11aの自由端が尖った形状であると、突起部11aより押圧される感圧シート12の部分が、記録シート13に引っかかって、感圧シート12と記録シート13との間の相対的な運動を妨げるおそれがある。
【0036】
突起部11aより押圧される感圧シート12と、記録シート13との間の摩擦力は、補助装置の装着者の動作を妨げない程度の大きさであることが好ましい。
【0037】
突起部11aの径は、100μm以上であることが好ましい。突起部11aの径が100μmよりも小さいと、突起部11aにより感圧シート12が押圧される面積が小さくなり、記録面13aに十分な濃さの着色跡が形成されないおそれがある。突起部11aの径は、突起部11aの自由端の断面を円形に換算した場合の直径を意味する。
【0038】
また、突起部11aの径は、3mm以下であることが好ましい。突起部11aの径が3mmよりも大きいと、突起部11aにより感圧シート12が押圧される力が小さくなり、記録面13aに十分な濃さの着色跡が形成されないおそれがある。
【0039】
押圧シート11の突起面11bは、同じ寸法の複数の突起部11aを有していてもよい。また、押圧シート11の突起面11bは、複数の寸法の突起部11aを有していてもよい。
【0040】
押圧シート11は、接着層16を介して、装着者の体の表面又は補助装置の装着面に密着して接着されるように、柔軟性を有することが好ましい。
【0041】
押圧シート11として、例えば、サンドペーパのような研磨布紙を用いることができる。100μm以上の径の突起部11aを有する研磨布紙として、150番以上の番定のものが挙げられる。また、押圧シート11として、複数の凸部を形成した樹脂シートを用いてもよい。
【0042】
感圧シート12は、平面視して、押圧シート11と同じ寸法の円形状を有する。なお、感圧シート12の形状は、円形状に限定されるものではなく、矩形等の他の形状であってもよい。
【0043】
感圧シート12は、第2面12bが押圧シート11の突起面11bに対して運動しないように、押圧シート11に対してテープ等の接着材を用いて固定されることが好ましい。
【0044】
感圧シート12として、例えば、カーボン感圧複写紙又はノーカーボン感圧複写紙を用いることができる。
【0045】
感圧シート12の第1面12aは、記録シート13の記録面13との間の相対的な運動を阻害しないように、潤滑性を有することが好ましい。このような観点から、感圧シート12として、第1面12aとしてカーボン層を有するカーボン感圧複写紙を用いることが好ましい。
【0046】
感圧シート12は、押圧シート11及び接着層16を介して、装着者の体の表面又は補助装置の装着面に密着して接着されるように、柔軟性を有することが好ましい。
【0047】
押圧シート11及び感圧シート12は、接着層16が剥離可能に接着される外部の接着面の形状に対応して変形可能であることが好ましい。
【0048】
記録シート13は、感圧シート12と対向して配置される検知領域15を含む記録面13aを有する。感圧シート12は、検知領域15と対向するように配置される。感圧シート12は、検知領域15の中央と対向するように配置されることがより好ましい。検知領域15には、押圧シート11の突起部11aにより押圧された感圧シート12が、記録シート13に対して相対的に運動することにより線分状の着色跡が形成される。
【0049】
記録シート13の記録面13aは、押圧シート11の突起部11aにより押圧された感圧シート12が、記録シート13に対して相対的に運動することを妨げるような凹凸を有さないことが好ましい。
【0050】
記録シート13上には、せん断力の検知領域15を示す3つのマーカ14a〜14cが配置される。3つのマーカ14a〜14cは、同じ形状を有する。
【0051】
検知領域15は、3つのマーカ14a〜14cに囲まれた領域である。
【0052】
3つのマーカ14a〜14cは、大きな正方形の枠と、この枠の内部に配置される小さい正方形を有する。3つのマーカ14a〜14cは、例えば、コピー用紙である記録シート13に印刷されて形成される。
【0053】
検知領域15は、マーカ14aの右下の頂点と、マーカ14bの左下の頂点と、マーカ14cの右上の頂点とを、3つの頂点とする正方形の領域として規定され得る。また、詳しくは後述するが、3つのマーカ14a〜14cは、検知領域15の着色跡を解析する時に、検知領域15の2次元座標系を決定するためにも使用される。
【0054】
記録シート13は、接着層17を介して、装着者の体の表面又は補助装置の装着面に密着して接着されるように、柔軟性を有することが好ましい。記録シート13は、接着層17が剥離可能に接着される外部の接着面の形状に対応して変形可能であることが好ましい。
【0055】
記録シート13の形成材料として、しわが形成され難く、感圧シートにより着色可能であり、表面が滑らかなシート材を用いることが好ましい。記録シート13として、例えば、コピー用紙、布、プラスチックフィルム、ゴムシート等を用いることができる。
【0056】
接着層16は、装着者又は補助装置に対して、押圧シート11を剥離可能に接着する。接着層16は、装着者の体の表面又は補助装置の装着面に密着して接着されるように、柔軟性を有することが好ましい。
【0057】
接着層17は、装着者又は補助装置に対して、記録シート13を剥離可能に接着する。接着層17は、装着者の体の表面又は補助装置の装着面に密着して接着されるように、柔軟性を有することが好ましい。
【0058】
検知部材10は、押圧シート11が、接着層16を介して装着者に剥離可能に接着されることが、押圧シート11の突起部11aが装着者の体に当接しないようにする観点から好ましい。この場合、記録シート13は、接着層17を介して補助装置に剥離可能に接着される。
【0059】
図3は、せん断力が検知された記録シートを示す図である。
【0060】
押圧シート11と記録シート13とが外部から押圧された状態で、押圧シート11と一体となった感圧シート12が、記録シート13に対して相対的に運動することにより、記録シート13の検知領域15に点状又は線分状の着色跡が形成される。
【0061】
線分状の着色跡は、突起部11aにより押圧された感圧シート12の第1面12aの部分が、記録シート13の記録面13aに押しつけられた状態で、相対的に運動することにより形成される。検知部材10は、線分状の着色跡を形成することより、せん断力を検知する。
【0062】
点状の着色跡は、突起部11aにより押圧された感圧シート12の第1面12aの部分が、記録シート13の記録面13aに押しつけられることにより形成される。検知部材10は、記録シート13に点状の着色跡を形成することにより、圧力を検知する。
【0063】
次に、せん断力を検知たし検知部材10の記録シート13に形成された線分状の着色跡に基づいて、せん断力の大きさ及びせん断力の向きを求める解析装置を以下に説明する。
【0064】
図4は、記録シートに形成された着色跡を解析してせん断力を求める解析装置を示す図である。
【0065】
解析装置20は、処理部21と、メモリ22と、表示部23と、入力インターフェース24と、スキャナ(画像化部)25を有する。
【0066】
処理部21は、一つ又は複数の中央演算回路と、レジスタと、キャッシュメモリと、インタフェース等の周辺回路とを有する。処理部21は、メモリ22に予め記憶されている所定のコンピュータプログラムに従って、解析装置20の各ハードウェア構成要素の制御及び各種処理を行い、処理中に生じるデータを一時的に保存するためにメモリ22を利用する。
【0067】
メモリ22は、ランダムアクセスメモリ(RAM)若しくはリードオンリーメモリ(ROM)等の半導体メモリ、又は磁気ディスク若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを有していてもよい。また、メモリ22は、非一時的な記憶媒体22aに記憶されたコンピュータプログラムを、読み出し可能なドライブ(図示せず)を有していてもよい。
【0068】
表示部23は、処理部21に制御されて、解析装置20の動作に伴う各種の情報を画面上に表示可能である。表示部23として、例えば、液晶ディスプレイを用いることができる。
【0069】
入力インターフェース24は、解析装置20のユーザにより操作されて、操作を入力可能である。入力インターフェース24として、例えばキーボード又はマウスを用いることができる。
【0070】
スキャナ25は、記録シート13の記録面13aの画像を形成する。スキャナ25により形成された記録面13aの画像は、メモリ22に記憶される。
【0071】
次に、解析装置20の動作を、
図5に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
【0072】
まず、ステップS501において、処理部21は、スキャナ25を用いて、せん断力を検知した検知部材10における記録シート13の記録面13aのグレースケールの画像を生成する。
【0073】
次に、ステップS503において、処理部21は、記録面13aの画像を二値化する。二値化の閾値は、記録面のマーカを明確に識別できるように決定することが好ましい。
【0074】
次に、ステップS505において、処理部21は、記録面13aの二値化された画像から3つのマーカを検出する。処理部21は、例えば、テンプレートマッチングを用いて、3つのマーカを検出する。
【0075】
次に、ステップS507において、処理部21は、検出された3つのマーカに基づいて、記録面13aの二値化された画像から検知領域を検出する。
【0076】
図6は、検知領域を検出する処理を説明する図である。
【0077】
図6は、記録シート13の記録面13aの画像613を示す。画像613は、3つのマーカの画像614a〜614cと、検知領域内に形成された記録面の着色跡の画像を有する。
【0078】
処理部21は、検出された3つのマーカの画像614a〜614cの内、他の2つのマーカの画像からの距離が最も短いマーカの画像614aを求める。そして、処理部21は、マーカの画像614aの右下の隅の位置を原点Oとして決定する。
【0079】
そして、処理部21は、左手系の座標を形成するように2次元直交座標を決定する。具体的には、処理部21は、原点Oと、マーカの画像614bの左下の隅の位置とを結ぶ線分をX軸とし、原点Oと、マーカの画像614cの右上の隅の位置とを結ぶ線分をY軸として決定する。
【0080】
そして、処理部21は、原点OとX軸とY軸とに囲まれた正方形の領域を検知領域の画像615として検出する。
【0081】
次に、ステップS509において、処理部21は、検知領域の画像615を二値化した後、画像615を形成する各画素の明暗を反転する。二値化の閾値は、線分状の着色跡の濃さに基づいて、適宜決定され得る。ここで、処理部21は、画素の明暗を反転する前の二値化された検知領域の画像615を、メモリ22に記憶しておく、この記憶された画像は、後のステップS513において使用される。
【0082】
次に、ステップS511において、処理部21は、検知領域の画像615における明画素の面積率を求める。具体的には、処理部21は、明画素の総数を求めて、求めた明画素の総数を検知領域の画像615を形成する画素数で割ることにより、明画素の面積率を求める。明画素の面積率は、装着者と装置との接触面に働くせん断力の大きさに対応すると考えられる。即ち、明画素の面積率は、装着者と装置との接触面に働くせん断力の大きさの指標となり得る。
【0083】
次に、ステップS513において、処理部21は、メモリ22に記憶されている二値化された検知領域の画像615を読み出して、エッジ抽出を行う。処理部21は、例えば、Canny法を用いて、検知領域の画像615内のエッジを抽出する。
【0084】
次に、ステップS515において、処理部21は、エッジ抽出された画像に基づいて、所定の寸法以上の長さを有する直線部分(線分)を検出する。処理部21は、例えば、ハフ変換(確率的ハフ変換)を用いて、エッジ抽出された画像内の直線部分を求め、所定の画素数以上の長さを有する直線部分を検出する。所定の画素数として、例えば、検知領域の画像615の縦方向(又は横方向)の画素数に対する所定の割合(例えば、10%)とすることができる。この所定の画素数を小さくすることにより、せん断力に対する感度を上げることができる。
【0085】
所定の寸法以上の長さを有する直線部分(線分)を検出することにより、装着者と装置との接触面に働くせん断力による記録シート13への着色跡を、圧力により形成される点状の着色跡に対して、識別することができる。
【0086】
次に、ステップS517において、処理部21は、検出された線分に基づいて、平均ベクトルの向き及び長さを求める。具体的には、処理部21は、2次元座標上に検出された各線分の向き及び長さの平均値を算出して、平均ベクトルの向き及び長さとする。
【0087】
図7は、検出された線分及び平均ベクトルを示す図である。
【0088】
記録紙シート13の記録面13aには、複数の線分状の着色跡が形成されており、これらの着色跡は、線分として検出される。
図7では、複数の線分の向き及び長さの平均値に基づいて求められた平均ベクトルが、複数の線分と共に示されている。
【0089】
平均ベクトルの長さは、装着者と装置との接触面に働くせん断力により生じた、装着者と装置との間の相対的な移動量と考えることができる。即ち、平均ベクトルの長さは、相対的な移動量の指標となり得る。また、上述したように、明画素の面積率は、装着者と装置との接触面に働くせん断力の大きさに対応すると考えられる。
【0090】
従って、あらかじめ、せん断力の大きさ及び移動量と、明画素の面積率及び平均ベクトルの長さとの関係を求めておくことにより、検知部材10により得られた線分状の着色跡に基づいて、装着者と装置との接触面に働くせん断力を推定することができる。
【0091】
そこで、せん断力の大きさ及び移動量と、明画素の面積率及び平均ベクトルの長さとの関係を求める測定を以下のように行った。
【0092】
図8は、せん断力検知部材を用いて、せん断力を測定することを説明する図である。
【0093】
押圧シート11として、150番のサンドペーパを用いた。感圧シート12として、カーボン感圧複写紙を用いた。押圧シート11及び感圧シート12の形状は、平面視して、直径20mmの円形である。押圧シート11及び感圧シート12は、両シートの周縁を接着テープで接着して、一体に固定した。
【0094】
記録シート13として、コピー用紙を用いた。検知領域15は、60mm×60mmの正方形となるように、3つのマーカ14a〜14cを記録面13aに印刷した。
【0095】
記録シート13を、接着層17を用いて、測定台30上に剥離可能に接着した。接着層17として、両面テープを用いた。
【0096】
押圧シート11と一体に固定された感圧シート12は、記録シート13の検知領域15と対向するように記録面13a上に配置された。
【0097】
押圧シート11は、接着層16を用いて、押し板32に剥離可能に接着した。押し板32の形状は、平面視して直径20mmの円形である。
【0098】
押し板32上には、重り31が配置された。重り31の質量は、0.4kg重、0.8kg重、1.6kg重の3水準を用意した。
【0099】
感圧シート12の端部を、プッシュプルゲージ33と結合した。
【0100】
重り31の0.4kg重、0.8kg重、1.6kg重の各水準の重さにおいて、押圧シート11と一体に固定された感圧シート12を、プッシュプルゲージ33を用いて一定の力で引っ張って、記録シート13の記録面13aを移動させた。押圧シート11と一体に固定された感圧シート12の移動量は、5mm、10mm、15mm、20mm、25mm、30mmの6水準とした。
【0101】
プッシュプルゲージ33を用いて、押圧シート11と一体に固定された感圧シート12を引っ張る力は、重り31の0.4kg重、0.8kg重、1.6kg重のそれぞれに対して、3N、5N、10Nであった。これらの引っ張る力は、感圧シート12と、記録シート13との接触面に平行なせん断力となる。
【0102】
測定結果を、
図9(A)及び
図9(B)に示す。
【0103】
図9(A)は、正規化された面積率の測定結果を示す図である。正規化された面積率は、明画素の面積率を、押し板32の面積で割った値である。正規化された面積率は、各条件で10回の測定を行った平均値である。
【0104】
図9(B)は、平均ベクトルの大きさを示す図である。平均ベクトルの大きさの単位はmmである。平均ベクトルの大きさは、各条件で10回の測定を行った平均値である。
【0105】
そして、正規化された面積率A’及び平均ベクトルの大きさLと、せん断力τ及び移動量δとの関係を、回帰分析により求めた。求められた関係を、下記式(1)に示す。
【0107】
正規化された面積率A’は、せん断力τ及び移動量δのそれぞれの影響を同程度受けている。一方、平均ベクトルの大きさLは、主に、移動量δの影響を受けている。正規化された面積率A’の推定誤差は平均10%であり、平均ベクトルの大きさLの推定誤差は、平均6%であった。
【0108】
式(1)の逆関係を求めることにより、せん断力τ及び移動量δと、正規化された面積率A’及び平均ベクトルの大きさLとの関係が得られる。
【0109】
そして、検知部材10により得られた線分状の着色跡に基づいて求められた明画素の面積率及び平均ベクトルの長さと、式(1)の逆関係を用いることにより、せん断力τ及び移動量δを求めることができる。例えば、解析装置20を用いて、検知部材10により得られた線分状の着色跡に基づいて求められた明画素の面積率及び平均ベクトルの長さと、式(1)の逆関係とに基づいて、せん断力τ及び移動量δを求めるようにしてもよい。
【0110】
上述した本実施形態のせん断力検知部材によれば、補助装置を装着する装着者と装置との接触面に生じるせん断力を容易に検知できる。
【0111】
また、本実施形態のせん断力検知部材は、押圧シートと、感圧シートと、記録シートとにより形成される簡易な構成であるので、検知部材を製造することも容易である。
【0112】
更に、上述した本実施形態の解析装置によれば、補助装置を装着する装着者と装置との接触面に生じるせん断力の大きさ及び向きを求めることができる。
【0113】
本発明では、上述した実施形態のせん断力検知部材及びせん断力を求める方法は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【0114】
例えば、せん断力検知部材は、
図10に示すようなものであってもよい。
【0115】
図10は、せん断力検知部材の他の例を示す図である。
【0116】
せん断力検知部材40は、感圧シート41及び記録シート44を備える。感圧シート41は、複数の凸部41aを含む第1面41bと、第2面41cとを有する。感圧シート41は、第2面41c側から第1面41bが押圧されることにより、凸部41aと対向する記録シート44の部分を着色可能である。
【0117】
記録シート44は、第1面41bと対向し、且つ第1面41bに対して面方向に相対的に運動可能に感圧シート41上に積層される。記録シート44が、感圧シート41の第1面41bに対して面方向に相対的に運動することは、感圧シート41が、停止している記録シート44に対して移動する場合、及び、記録シート44が、停止している感圧シート41対して移動する場合を含む。
【0118】
感圧シート41は、複数の突起部42aを含む突起面42bと、第2面41cを有する基材シート42を有する。凸部41aは、突起部42a上に着色層43が配置されて形成されている。また、凸部41aは、第2面41c側から突起部42aが押圧されることにより、着色層43と対向する部分(記録シート44)を着色可能である。感圧シート41の第1面41bは、基材シート42の突起面42bを覆う着色層43により形成される。
図10に示す例では、着色層43は、突起面42b上の突起部42a以外の部分にも配置されているが、着色層43は、突起面42b上の突起部42a以外の部分には配置されていてくもてよい。
【0119】
なお、
図10では、感圧シート41は、記録シート44に対して離間するように示されているが、せん断力を検知する時には、感圧シート41は、記録シート44と接するように配置される。
【0120】
せん断力検知部材40は、例えば、感圧シート41が接着層45を介して、人間の動作を補助する補助装置を装着する装着者に剥離可能に接着され、記録シート44が接着層46を介して、補助装置に剥離可能に接着される。
【0121】
せん断力検知部材40の他の構成については、上述したせん断力検知部材10の説明が適宜適用される。
【0122】
また、解析装置20は、せん断力検知部材40の感圧シート41が、外部から押圧されながら、記録シート44が、感圧シート41の第1面41bに対して面方向に相対的に運動することにより、記録シート44に形成された線分状の着色跡の画像に基づいて、せん断力の大きさ及び向きを求めてもよい。