特許第6844804号(P6844804)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6844804
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】露光装置及び露光方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20210308BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   G03F7/20 501
   H01L21/68 P
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-195282(P2020-195282)
(22)【出願日】2020年11月25日
【審査請求日】2020年11月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500171707
【氏名又は名称】株式会社ブイ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐生 恭孝
(72)【発明者】
【氏名】結城 大悟
【審査官】 冨士 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−217276(JP,A)
【文献】 特開2010−153419(JP,A)
【文献】 特開2010−197415(JP,A)
【文献】 特開2016−111343(JP,A)
【文献】 特開2017−112259(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/092700(WO,A1)
【文献】 米国特許第05870271(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0053675(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20 − 7/24
9/00 − 9/02
H01L 21/027、21/30
21/67 −21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクを保持するマスクステージと、
基板を保持する基板ステージと、
前記マスクに対して露光光を照射する光源ユニットと、
を備え、前記マスクに前記露光光を照射して、該マスクに形成されたパターンを、該基板に露光転写する露光装置であって、
前記基板ステージは、
上面に開口する複数の吸着孔と、
該複数の吸着孔を囲うように配置されると共に、前記基板ステージの上面と同じ高さ又は低くなる位置で、先端が外側を向いて延出するリップシールを有する略環状のシール部と、
前記リップシールの下方に設けられ、前記リップシールが前記基板ステージの上面から上方に突出するように変形させるための気体を噴出する噴出孔と、
を有する、露光装置。
【請求項2】
前記リップシールは、その上面が前記基板ステージの上面と略面一となるように、その根元部から先端まで水平に延出する、請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記基板ステージは、前記噴出孔の外側に配置されると共に、前記シール部のリップシールと前記噴出孔との間で、先端が内側を向いて延出する補助リップシールを有する補助シール部をさらに備える、請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の露光装置を備えた露光方法であって、
前記噴出孔から気体を噴出して、前記リップシールを前記基板の裏面と接触させる工程と、
前記複数の吸着孔から気体を排出して、前記基板を前記基板ステージの上面に吸着保持させる工程と、
前記マスクに露光光を照射して、該マスクに形成されたパターンを該基板に露光転写する工程と、
を備える、露光方法。
【請求項5】
前記基板を前記基板ステージの上面に吸着保持させる工程において、前記噴出孔からの気体の噴出を停止する、請求項4に記載の露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及び露光方法に関し、特に、基板ステージが基板を吸着保持する露光装置及び露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ技術を用いて、半導体ウエハや、プリント配線基板、液晶基板等の基板に対して、マスクのパターンを基板に転写する露光装置において、一般に、基板は基板ステージに吸着によって保持されている。また、基板には反りや凹凸が発生する場合があり、このような基板にも対応するため、弾性体のシール部材を基板ステージの外周部に設けたものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のワークステージでは、真空吸着孔が形成され、ワーク(基板)を吸着して保持するワーク吸着部と、該ワーク吸着部の周縁に環状に設けられたシール用弾性体を備え、シール用弾性体は、内側に開いた第1のリップシールと、外側に開いた第2のリップシールとを備え、第1のリップシールと第2のリップシールとの間に真空供給孔が設けられることが記載されている。そして、反りが大きなワークにおいても、第1のリップシールと第2のリップシールのいずれか一方が最初にワークと接触し、真空供給孔から気体を吸引して真空とし両シップシールとワークに囲まれた空間が減圧され、ワークを引き寄せることで、いずれか他方のリップシールもワークと接触する。これにより、樹脂製の基板の上に銅などの金属を張り付けるプリント基板のように、反りや変形が大きく生じやすいワークであっても、平面度良くワークを吸着保持することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−197415号公報
【特許文献2】特開2002−217276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のワークステージでは、第1のリップシールと第2のリップシールの先端は、取付状態においてワーク吸着部の上面よりも高い位置にあり、真空供給孔から気体を吸引することで、ワーク吸着部の上面と同じ高さとなるように変形させて、良好な平坦度を得ている。しかしながら、基板の周縁部の板厚が薄い場合には、真空供給孔から気体を吸引しても、リップシールとの接触により曲げが生じたままとなり、平面度を確保することは難しく、露光精度に影響を及ぼす場合があった。
【0006】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の周縁部の板厚が薄い場合であっても、平面度良く且つ確実に基板を吸着保持することができ、高精度な露光を実現できる露光装置及び露光方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) マスクを保持するマスクステージと、
基板を保持する基板ステージと、
前記マスクに対して露光光を照射する光源ユニットと、
を備え、前記マスクに前記露光光を照射して、該マスクに形成されたパターンを、該基板に露光転写する露光装置であって、
前記基板ステージは、
上面に開口する複数の吸着孔と、
該複数の吸着孔を囲うように配置されると共に、前記基板ステージの上面と同じ高さ又は低くなる位置で、先端が外側を向いて延出するリップシールを有する略環状のシール部と、
前記リップシールの下方に設けられ、前記リップシールが前記基板ステージの上面から上方に突出するように変形させるための気体を噴出する噴出孔と、
を有する、露光装置。
(2) (1)に記載の露光装置を備えた露光方法であって、
前記噴出孔から気体を噴出して、前記リップシールを前記基板の裏面と接触させる工程と、
前記複数の吸着孔から気体を排出して、前記基板を前記基板ステージの上面に吸着保持させる工程と、
前記マスクに露光光を照射して、該マスクに形成されたパターンを該基板に露光転写する工程と、
を備える、露光方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の露光装置及び露光方法によれば、基板の周縁部の板厚が薄い場合であっても、平面度良く且つ確実に基板を吸着保持することができ、高精度な露光を実現できる
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る投影露光装置の構成を模式的に示す説明図である。
図2】第1実施形態の基板ステージの部分上面図である。
図3図2のIII−III線に沿った断面図である。
図4】第1実施形態の基板ステージの基台の部分上面図である。
図5】第2実施形態の基板ステージの部分上面図である。
図6図5のVI−VI線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る露光装置及び露光方法の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の露光装置としての投影露光装置1は、光源ユニット10、マスクステージ16、補正光学系17、投影レンズ18、及び、基板ステージ19を備える。
【0012】
光源ユニット10は、光源部11、バンドパスフィルタ12、インテグレータレンズ13、コリメータレンズ14、及び平面鏡15を有する。光源部11は、例えば、複数のLED光源を二次元アレイ状に配列して構成され、露光光である紫外線を含む光を発光する。バンドパスフィルタ12は、紫外線(例えば、i線)以外の波長帯域の光をカットする。バンドパスフィルタ12を透過した光は、インテグレータレンズ13に入射される。インテグレータレンズ13は、入射した光の照度ムラを打ち消し、マスクMを均一な照度分布で照明するための光学系である。なお、インテグレータレンズ13の射出面には、開口絞りが配置されている。コリメータレンズ14は、インテグレータレンズ13から入射した光を平行光として出射する。そして、平行光とされた露光光は、平面鏡15で反射されて、マスクステージ16に保持されたマスクMに向けて出射される。マスクMを通過した露光光は、補正光学系17に入射される。
【0013】
マスクステージ16は、パターンが形成されたマスクMを、図示しないマスク駆動機構によって、露光光の光軸ELに直交する方向に移動可能に保持する。
【0014】
補正光学系17は、基板Wにおける歪みなどに応じて、基板W上に形成されるマスクMのパターン像を変形させるものであり、例えば、光軸方向に複数枚のガラス板を並列し、各ガラス板を適宜湾曲させたり回転させたりすることで補正する。なお、補正光学系17は、マスクステージ16と投影レンズ18との間の他、投影レンズ18に固定して設けられてもよく、或いは、投影レンズ18と基板ステージ19との間に配置されてもよい。
【0015】
投影レンズ18は、マスクMに形成されたパターンの像を適切に変倍して基板Wの表面に形成する。また、投影レンズ18は、露光光として紫外線(i線)を用いることから、紫外線(i線)に対して収差が最も小さくなるように設計されている。このようにして、マスクMを透過した露光光が投影レンズ18に入射され、マスクMのパターン像が感光材料が塗布された基板W上に露光転写される。
なお、露光光としては、i線(波長365nm)以外にも、h線(波長405nm)、g線(波長436nm)、各線の組み合わせ、またはその間の波長も利用することができる。
【0016】
基板ステージ19は、以下に詳述するように、基板Wを吸着保持する。基板ステージ19も、図示しない基板駆動機構によって、露光光の光軸ELに直交する方向に移動可能である。例えば、基板Wは複数の露光領域を備えており、露光領域を移動させながら、複数回の露光を行うステップ露光が行われる。なお、基板Wとしては、シリコンウエハやガラス基板やプリント配線基板等が挙げられる。
【0017】
図2図4に示すように、基板ステージ19は、基台20と、基台20の上方に配置され、複数の吸着孔31を有する吸着部30と、該複数の吸着孔31を囲うように吸着部30の外側に配置される略環状のシール部40と、シール部40のシールリップ43の下方で、基台20の周縁部上に上下に並んで配置され、互いに連通する噴出孔36、38がそれぞれ形成される噴出孔形成部材35、37と、を備える。
なお、本明細書において、外側とは、基板又は基板ステージにおいて、露光領域(吸着領域)から周縁部に向かう側を表し、内側とは、反対に周縁部から露光領域(吸着領域)に向かう側を表す。
【0018】
基台20の上面には、図4に示すように、複数の吸着孔31が形成される吸着領域よりも大きな矩形状の領域に亘って格子状に形成される第1の真空吸着溝21と、第1の真空吸着溝21の周囲に形成される環状の第2の真空吸着溝22と、が形成されている。真空吸着溝21は、平面上で互いに直交する方向にそれぞれ等間隔に並ぶ複数の矩形凸部23の周囲を囲うように形成されている。また、基台20には、第1の真空吸着溝21の下面に、第1の吸着孔24が上下に貫通するように形成されており、また、第2の真空吸着溝22の下面には、第2の吸着孔25が上下に貫通するように形成されている。さらに、第2の真空吸着溝22よりも外側の位置には、噴出孔26が上下に貫通するように形成されている。
【0019】
吸着部30は、第1の真空吸着溝21の上方を覆い、且つ、周縁部が第2の真空吸着溝22と部分的に重なるようにして基台20上に配置されている。また、吸着部30は、基板Wの形状に対応した大きさの吸着領域を形成し、該吸着領域には上面に開口すると共に、基台20の第1の真空吸着溝21と連通する複数の吸着孔31が形成されている。吸着部30の側面には、第2の真空吸着溝22と連続するように、上下方向に沿って連通溝32が形成されており、シール部40の内側面と協働して、吸着孔31を構成する。
【0020】
基台20の噴出孔26は、噴出孔形成部材35,37の噴出孔36,38と連通し、基板ステージ19としての噴出孔を構成している。なお、上側の噴出孔形成部材37の噴出孔38は、下側の噴出孔形成部材35の噴出孔36よりも小径とされてブロー孔を構成する。
【0021】
したがって、第1の吸着孔24及び第2の吸着孔25に接続された配管から図示しない真空装置により気体の排出が行われ、吸着孔31によって基板Wの吸着が行われる。また、噴出孔26には図示しない吐出装置が接続され、噴出孔26,36,38への気体の噴出が行われる。
【0022】
下側の噴出孔形成部材35の内側には、段差部35aが形成されており、段差部35aの上面と、上側の噴出孔形成部材37の下面との間に、シール部40の外側に突出する凸縁部42aを挟持することで、シール部40が基板ステージ19に保持される。
【0023】
シール部40は、矩形状の吸着領域の各辺に配置された4つのシール片41によって構成される。
【0024】
各シール片41は、上記凸縁部42aを有する長尺の基部42と、該基部42の上部から外側に屈曲するリップシール43と、を備える。基部42は、吸着部30の外側面と、上側の噴出孔形成部材37の内側面とに挟持されて水平方向にも保持されている。また、基部42の上部は、リップシール43の根元部まで吸着部30の外側面と接触する一方、上側の噴出孔形成部材37の内側面からは離間している。
【0025】
リップシール43は、その上面が吸着部30の上面と面一になるようにその根元部から先端まで水平に延出している。即ち、シール片41は、リップシール43の上面が基板ステージ19の上面と面一となるように、噴出孔形成部材35,37に挟持されて、基板ステージ19に取付けられる。
【0026】
各シール片41のリップシール43の長手方向両端縁は、隣り合うシール片41のリップシール43と平行に近接又は接触するように長手方向に対して略45°傾斜して形成されている(図2参照)。したがって、4つのシール片41が、基板ステージ19に取付けられることで、略環状のシール部40が構成される。
【0027】
このように構成された投影露光装置1では、露光動作が行われる際、基板Wが基板ステージ19の上に載置されると、噴出孔26,36,38から気体を噴出して、リップシール43を吸着部30の上面(基板ステージ19の上面)から上方に突出するように変形させ、基板Wの裏面と接触させる。これにより、基板Wの反りや変形の有無に関わらず、基板Wの周縁部から空気が漏れるのが防止される。
【0028】
したがって、基板Wと、吸着部30の上面と、リップシール43とによって形成される空間が密封された状態で、複数の吸着孔31を介して該空間内の気体を排出することで、基板Wを基板ステージ19に吸引して、基板Wを基板ステージ19の上面に吸着保持させる。
【0029】
また、この間に、噴出孔26,36,38からの気体の噴出を停止することで、リップシール43は、取付状態である、吸着部30の上面と面一な状態となるので、基板Wの周縁部の曲げが除去され、基板Wは全体に亘って良好な平坦度が与えられる。即ち、基板Wの周縁部の板厚が薄い場合であっても、良好な平面度が得られる。
【0030】
この状態で、マスクMに露光光を照射して、該マスクMに形成されたパターンを該基板Wに露光転写する。したがって、平面度良く吸着保持された基板Wに対して、高精度な露光を実現できる。
【0031】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る露光装置について、図5及び図6を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一又は相当する部分については、同一符号を付して説明を省略或いは簡略化する。
【0032】
第2実施形態では、基板ステージ19は、噴出孔26,36,38の外側に配置されると共に、シール部40のリップシール43と噴出孔38との間で、先端が内側を向いて延出する補助リップシール53を有する略環状の補助シール部50をさらに備える。
【0033】
補助シール部50も、シール部40と同様に、矩形状の吸着領域の各辺に配置された4つの補助シール片51によって構成される。
【0034】
補助シール片51は、各辺に沿ってそれぞれ延びる基部52及び補助リップシール53を有して断面L字状に形成される。補助シール片51は、基部52が噴出孔形成部材35,37の外側面と、基台20に取付けられた保持部材60との間に挟持されることで、基板ステージ19に保持される。補助リップシール53は、シール部40のリップシール43よりも低い位置で、且つ、下面が噴出孔38と対向している。
【0035】
これにより、噴出孔26,36,38から気体が噴出された際に、補助リップシール53によって気体を内側に指向させることができ、気体が直接外側へ漏れることが抑制され、シール部40のリップシール43をより確実に持ち上げることができる。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0036】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、シール部40のリップシール43の高さは、上記実施形態のように、基板ステージ19の上面(吸着部30の上面)と同じ高さであることが望ましいが、基板ステージ19の上面よりも低く形成されてもよい。この場合、リップシール43の高さが基板ステージ19の上面と同じ高さとなるように、噴出孔26,36,38から気体を噴出させていてもよい。
【0037】
また、基板ステージの構成は、本実施形態のものに限定されるものでなく、複数の吸着孔が上面に開口し、基板ステージの上面と同じ高さ又は低くなる位置で、先端が外側を向いて延出するリップシールを有する略環状のシール部が該複数の吸着孔を囲うように配置され、且つ、リップシールを基板ステージの上面から上方に突出するように変形させるための気体を噴出する噴出孔がリップシールの下方に設けられるものであれば、他の構成であってもよい。
【0038】
また、本発明の露光装置は、上記実施形態の投影露光装置に限定されず、例えば、近接露光装置や密着露光装置に適用されてもよい。
【0039】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) マスクを保持するマスクステージと、
基板を保持する基板ステージと、
前記マスクに対して露光光を照射する光源ユニットと、
を備え、前記マスクに前記露光光を照射して、該マスクに形成されたパターンを、該基板に露光転写する露光装置であって、
前記基板ステージは、
上面に開口する複数の吸着孔と、
該複数の吸着孔を囲うように配置されると共に、前記基板ステージの上面と同じ高さ又は低くなる位置で、先端が外側を向いて延出するリップシールを有する略環状のシール部と、
前記リップシールの下方に設けられ、前記リップシールが前記基板ステージの上面から上方に突出するように変形させるための気体を噴出する噴出孔と、
を有する、露光装置。
この構成によれば、基板の周縁部の板厚が薄い場合であっても、平面度良く且つ確実に基板を吸着保持することができ、高精度な露光を実現できる。
【0040】
(2) 前記リップシールは、その上面が前記基板ステージの上面と略面一となるように、その根元部から先端まで水平に延出する、(1)に記載の露光装置。
この構成によれば、基板が基板ステージに載置された状態での、リップシールによる基板の周縁部の変形を防止することができ、より平坦度良く基板を吸着保持することができる。
【0041】
(3) 前記基板ステージは、前記噴出孔の外側に配置されると共に、前記シール部のリップシールと前記噴出孔との間で、先端が内側を向いて延出する補助リップシールを有する補助シール部をさらに備える、(1)又は(2)に記載の露光装置。
この構成によれば、気体が直接外側へ漏れることが抑制され、シール部のリップシールをより確実に持ち上げることができる。
【0042】
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の露光装置を備えた露光方法であって、
前記噴出孔から気体を噴出して、前記リップシールを前記基板の裏面と接触させる工程と、
前記複数の吸着孔から気体を排出して、前記基板を前記基板ステージの上面に吸着保持させる工程と、
前記マスクに露光光を照射して、該マスクに形成されたパターンを該基板に露光転写する工程と、
を備える、露光方法。
この構成によれば、基板の周縁部の板厚が薄い場合であっても、平面度良く且つ確実に基板を吸着保持することができ、高精度な露光を実現できる。
【0043】
(5) 前記基板を前記基板ステージの上面に吸着保持させる工程において、前記噴出孔からの気体の噴出を停止する、(4)に記載の露光方法。
この構成によれば、リップシールは、取付状態の姿勢となり、より平坦度良く基板を吸着保持することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 投影露光装置
10 光源ユニット
16 マスクステージ
18 投影レンズ
19 基板ステージ
20 基台
26,36,38 噴出孔
30 吸着部
31 吸着孔
40 シール部
43 リップシール
50 補助シール部
53 補助リップシール
M マスク
W 基板
【要約】      (修正有)
【課題】基板の周縁部の板厚が薄い場合であっても、平面度良く且つ確実に基板を吸着保持することができ、高精度な露光を実現できる露光装置及び露光方法を提供する。
【解決手段】露光装置は、マスクを保持するマスクステージと、基板Wを保持する基板ステージ19と、マスクに対して露光光を照射する光源ユニットと、を備え、マスクに露光光を照射して、該マスクに形成されたパターンを、該基板Wに露光転写する。基板ステージ19は、上面に開口する複数の吸着孔31と、該複数の吸着孔31を囲うように配置されると共に、基板ステージ19の上面と同じ高さ又は低くなる位置で、先端が外側を向いて延出するリップシール43を有する略環状のシール部40と、リップシール43の下方に設けられ、リップシール43が基板ステージ19の上面から上方に突出するように変形させるための気体を噴出する噴出孔26,36,38と、を有する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6