(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押しボタン機構は、力が加えられたときに前記少なくとも1つのピン構造を前記ケーシングの前記内部まで伸長させ、前記力が解放されたときに前記少なくとも1つのピン構造を前記ケーシングの前記内部から後退させるべく構成される、請求項2に記載の吸入装置。
前記押しボタン機構は、ハウジングと、天板と、底部開口部とを備え、前記底部開口部は、前記ケーシングの前記内部に連通するべく構成される、請求項2に記載の吸入装置。
少なくとも1つの区画が前記細長い支持パネルの上面に設けられ、前記少なくとも1つのピン構造は、前記ケーシングの上部内面に設けられる、請求項1に記載の吸入装置。
少なくとも1つの区画が前記細長い支持パネルの下面に設けられ、前記少なくとも1つのピン構造は、前記ケーシングの下部内面に設けられる、請求項1に記載の吸入装置。
前記押しボタン機構は、ハウジングと、天板と、底部開口部とを備え、前記底部開口部は、前記ケーシングの前記内部に連通するべく構成される、請求項19に記載の吸入装置。
前記押しボタン機構は、そこに力が加えられると前記少なくとも1つのピン構造を前記ケーシングの前記内部まで伸長させ、前記力がそこから解放されると前記少なくとも1つのピン構造を前記ケーシングの前記内部から後退させるべく構成される、請求項19に記載の吸入装置。
空気が前記装置内を流れると、前記細長い支持パネルの前記部分的回転は、伸長された前記少なくとも1つのピン構造に前記カバー付き区画を打ち当てる、請求項21に記載の吸入装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の詳細な説明においては、本発明の完全な理解をもたらすために、多数の具体的な詳細が述べられている。ただし、本発明は、これら具体的な詳細なしに実施され得ることを当業者は理解されるであろう。また、本発明を曖昧にしないように、周知の方法、手順、構成要素は詳細には説明されていない。
【0026】
本発明は、投与形態にパッケージングされた純粋な、または配合された、微細化された微粒子を分散させるために、とりわけ、吸い込まれる空気の流動エネルギーを利用する。本発明は、新奇の吸入装置を提供する。本装置の動作原理モードは、装置内に配置されたブリスタ区画に収容された乾燥粉末薬物の放出を引き起こす、または容易にする、打ち付け動作を装置内で発生させることである。
【0027】
本発明の装置、キット、および/または方法は、動物および、一般には人間の、患者を含む、生体内の対象に乾燥粉末物質を分散させるために特に適し得る。乾燥粉末物質は、所望の調合または配合を形成する1種以上の有効医薬成分ならびに生体適合性添加剤を含み得る。
【0028】
本明細書で使用されている用語「乾燥粉末」は、「乾燥粉末調合物」と同じ意味で使用されており、乾燥粉末は1つまたは複数の(平均)微粒子サイズ範囲の構成要素または成分を1つまたは複数含み得ることを意味している。
【0029】
一部の実施形態において、乾燥粉末調合物の個々の定量投与可能量は、有効成分か無効成分かに拘らず、単一の成分または複数の成分で構成され得る。無効成分は、流動性を高めるために、または所望される全身標的へのエアロゾル化送達を容易にするために、追加される添加剤を含み得る。乾燥粉末薬物調合物は、可変の活性微粒子サイズを含むことができる。
【0030】
一部の実施形態において、乾燥粉末は、例えば薬物またはワクチンなど、何れの治療用薬剤でも含み得る。
【0031】
一部の実施形態において、吸入によって投与され得る、固体の、または固体担体に組み込まれ得る、何れか1つまたは複数の薬物が本発明の吸入具、キット、および/または方法に組み込まれると想到される。一部の実施形態において、当該薬物は、呼吸器疾患または状態の治療のための薬物であろう。一部の実施形態において、このような薬物は、気管支拡張剤、コルチステロイド、およびぜんそく予防用薬物を含み得る。食欲減退薬、抗鬱薬、降圧薬、抗腫瘍薬、抗コリン剤、ドーパミン作動薬、アミロイド斑治療、タンパク質およびプリオンタンパク質の誤った折り畳み、神経変性、麻薬性鎮痛薬、ベータアドレナリン遮断剤、プロストグランジン、交感神経興奮薬、トランキライザー、ステロイド、ビタミン、および/またはホルモンなどの他の薬物も使用され得る。例示的薬物として、サルブタモール、テルブタリン、リミテロール、フェンタニール、フェノテロール、ピルブテロール、レプロテロール、アドレナリン、イソプレナリン、オルシプレナリン、イプラトロピウム、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、ジソジウム・クロモグリケイト)および類似体、ネドクロミル・ナトリウム、エルゴタミン、サルメテロール、フルチカゾン、フォルモテロール、インスリン、アトロピン、プレドニゾロン、ベンズフェタミン、クロルフェンテルミン、アミトリプチリン、イミプラミン、クロリジン、アクチノマイシンC、ブロモクリプチン、ブプレノルフィン、プロプラノロール、ラシコルトン、ヒドロコルチゾン、フルオシノロン、トリアムシノロン、ジノプロスト、キシロメタゾリン、ジアゼパム、ロラゼパム、葉酸、ニコチンアミド、クレンブテロール、ビトルテロール、エチニルエストラジオール、およびレボノゲストレルが挙げられる。薬物は、遊離塩基として、薬学的に許容される1種以上の塩として、またはこれらの混合物として、調合され得る。
【0032】
乾燥粉末調合物は、所望の腑形剤を含むこともできる。腑形剤の例として、乳糖およびトレハロースが挙げられる。他の種類の腑形剤を用いることもできる。これら腑形剤として、米国食品医薬品局(FDA:United States Food and Drug Administration)によって抗凍結剤として承認された糖類(例えば、マンニトール)、または溶解度向上剤として承認された糖類(例えば、シクロデキストリン)、または他の通常安全と認識された(GRAS:generally recognized as safe)腑形剤が挙げられるが、これだけには限定されない。
【0033】
本発明の吸入具、キット、および/または方法によって治療または防止され得る病気、状態、または疾患の例として、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)、ウイルス性または細菌感染症、インフルエンザ、アレルギー、および他の呼吸器疾患、ならびに、糖尿病、他の関連するインスリン抵抗性疾患、および神経変性が挙げられるが、これだけには限定されない。乾燥粉末の吸入投与は、抗菌材、プロテアーゼ抑制薬、および核酸/オリジオヌクレオチドなどの局所的に作用する薬、ならびに全身薬剤、例えば、ロイプロリドのようなペプチドおよびインスリンなどのタンパク質など、を送達するために使用され得る。
【0034】
例えば、抗結核性化合物などの抗菌剤、糖尿病治療または他のインスリン抵抗性症候群のためのインスリンなどのタンパク質、前立腺がんおよび/または子宮内膜症の治療のためのロイプロリド酢酸塩などのペプチド、および嚢胞性線維症遺伝子治療用の核酸またはオグリゴヌクレオチドの送達を吸入具によって行い得る。例えば、ウォルフ(Wolff)等による「エアロゾル化した薬物の生成(Generation of AerosolizedDrugs)」、ジャーナル・オブ・エアロゾル・メディスン(J.Aerosol.Med.)、p.89−106(1994年)を参照されたい。引用によりその内容全体を本明細書に組み込むものとする「ASPB28−ヒトインスリンの投与方法(Method for Administering ASPB28−Human Insulin)」と題された米国特許出願公開第2001/0053761号、および「モノメリックインスリン類似体の投与方法(Method for Administering Monomelic Insulin Analogs)」と題された米国特許出願公開第2001/0007853号も参照されたい。
【0035】
吸入具内で分散される一体化された乾燥粉末混合物の一般的な投与量は、患者のサイズ、全身標的、および特定の薬物に応じて変動するであろう。この吸入具によって送達可能な一般的な投与量は、10μg〜10mgである。更なる例示的乾燥粉末薬物として、アルブテロール、フルチカゾン、ベクロメタゾン、クロモリン、テルブタリン、フェノテロール、βアゴニスト(長時間作用型βアゴニストを含む)、サルメテロール、フォルモテロール、コルチコステロイド、およびグルココルチコイドが挙げられるが、これだけには限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態において、投与されるボーラスまたは用量は、従来の配合に比べ、高濃度で(有効成分の百分比を増やして)調合可能である。更に、乾燥粉末調合物は、従来の用量に比べ、より小さな投与可能用量として構成され得る。例えば、投与可能な乾燥粉末の各用量を従来の用量の約60〜70%未満のオーダーにし得る。いくつかの特定の実施形態において、本発明の乾燥粉末吸入具構成のいくつかの実施形態によって提供される積極的分散システムを用いると、成人投与量を約10μg〜10mgの間など、約15mg未満に減らし得る。有効成分(単数または複数)の濃度を約5〜10%の間にし得る。他の複数の実施形態において、有効成分の濃度を約10〜20%の間の範囲内、または20〜25%の間の範囲内、またはこれ以上、更には純粋な薬物のみの送達、にすることもできる。
【0037】
いくつかの特定の実施形態において、用量の調合中、特定の用量容器内の乾燥粉末は、有効な医薬成分(単数または複数)として、添加剤(腑形剤など)を実質的に加えずに、調合され得る。本明細書で使用されている「添加剤を実質的に加えずに」とは、乾燥粉末がほぼ純粋な有効調合物であり、他の非生物薬理学的有効成分の量が極めて僅かであることを意味する。用語「最小量」は、非有効成分が占める量が投与される乾燥粉末調合物の約10%未満、好ましくは約5%未満、であるように、非有効成分は存在し得るが、有効成分(単数または複数)に比べ、極めて少ない量で存在すること、および、いくつかの実施形態においては、非有効成分は極微量しか存在しないこと、を意味する。
【0038】
一部の実施形態においては、治療用薬剤を生物学的薬剤にすることができる。生物学的薬剤として、タンパク質、ポリペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、および核酸が挙げられるが、これだけには限定されない。一部の実施形態においては、タンパク質を抗体にでき、ポリクローナルまたはモノクローナルを使用できる。一部の実施形態においては、治療用薬剤を低分子量分子にできる。また、治療用薬剤は、種々の公知の医薬から選択可能である。種々の公知の医薬として、鎮痛剤、麻酔薬、中枢神経興奮剤、アドレナリン作動薬、抗アドレナリン作動薬、抗アドレナリン剤、アドレノコルチコイド、アドレナリン用作動薬、抗コリン剤、コリンエステラーゼ阻害剤、抗痙攣薬、アルキル化剤、アルカロイド、アロステリック阻害剤、アナボリック・ステロイド、制酸薬、下痢止め薬、解毒剤、抗葉酸剤、解熱剤、抗リウマチ薬、精神治療薬、神経遮断薬、抗炎症薬、アミロイド症に関連する病気およびプリオン(狂牛病)、アルツハイマー病およびパーキンソン病など、ペプチドおよびタンパク質の誤った折り畳みを治療する薬物、駆虫薬、抗不整脈薬、抗生物質、抗凝血剤、抗鬱剤、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、降圧薬、抗ムスカリン作用薬、抗抗酸菌薬、抗マラリア剤、防腐剤、抗新生物薬、抗原虫薬、抗免疫抑制剤、免疫刺激剤、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬、骨および骨格剤、収斂剤、ベータ‐アドレナリン受容体遮断薬、心血管作動薬、化学療法薬剤、コルチステロイド、咳止め薬、診断用薬、画像診断剤、利尿薬、ドーパミン作動薬、酵素および酵素補助因子、胃腸薬、成長因子、造血因子または血小板造血因子、止血薬、血液作用薬、ヘモグロビン変性剤、ホルモン、睡眠薬、免疫薬、抗脂質異常症薬および他の脂質調節剤、ムスカリン様作用薬、筋弛緩薬、副交感神経興奮薬、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、プロスタグランジン、放射性薬剤、鎮静剤、性ホルモン、抗アレルギー薬、興奮剤、ステロイド、交感神経作用薬、甲状腺薬、骨および骨格に作用する治療因子、血管拡張剤、ワクチン、ビタミン、およびキサンチンが挙げられるが、これだけには限定されない。抗新生物薬または抗がん剤として、パクリタキセルおよび派生化合物、およびアルカロイド、代謝拮抗物質、酵素阻害薬、アルキル化剤、および抗生物質から成る群から選択される他の抗新生物が挙げられるが、これだけには限定されない。
【0039】
例示的タンパク質として、治療用タンパク質またはペプチド、または担体タンパク質またはペプチドが挙げられる。これらタンパク質またはペプチドとして、GCSF、GMCSF、LHRH、VEGF、hGH、リゾチーム、アルファ−ラクトグロブリン、塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)、アスパラギナーゼ、tPA、ウロキン−VEGF、キモトリプシン、トリプシン、ストレプトキナーゼ、インターフェロン、カルボニック・アンヒドラーゼ、オボアルブミン、グルカゴン、ACTH、オキシトシン、ホスホリラーゼb、セクレチン、バソプレシン、レボチロキシン、ファターゼ、ベータ−ガラクトシダーゼ、副甲状腺ホルモン、カルシトニン、フィブリノゲン、ポリアミノ酸(例えば、DNAse、アルファ1抗トリプシン、ポリリシン、ポリアルギニン)、血管新生阻害剤またはプロ‐イムノグロブリン(例えば、抗体)、ソマトスタチンおよびその類似体、カゼイン、コラーゲン、大豆タンパク、およびサイトカイン(例えば、インターフェロン、インターロイキンなど)、イムノグロブリンが挙げられる。例示的ホルモンおよびホルモンモジュレータとして、プロインスリン、インスリンのC−ペプチド、インスリンおよびインスリンのC−ペプチドの混合物、ハイブリッド・インスリン共結晶、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、黄体形成ホルモン−放出ホルモン(LH−RH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、アミリン、オキシトシン、黄体形成ホルモン、(D−Tryp6)−LHRH、酢酸ナファレリン、ロイプロリド酢酸塩、卵胞刺激ホルモン、グルカゴン、プロスタグランジン、ステロイド、エストラジオール、デキサメタゾン、テストステロン、および生殖器に作用する他の因子およびこれらの派生物、類似体、および同族体が挙げられる。
【0040】
例示的造血因子または血小板造血因子として、とりわけ、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージ・コロニー刺激因子(GM−CSF)およびマクロファージ・コロニー刺激因子(M−CSF)、白血球増殖因子製剤、トロンボポエチン、血小板増殖刺激因子、巨核球増殖(刺激)因子、および第VIII因子が挙げられる。
【0041】
骨および骨格に作用する例示的治療因子および骨粗鬆症を治療するための薬剤として、カルシウム、アレンドロン酸、骨GLaペプチド、副甲状腺ホルモンおよびその活性フラグメント、ヒストンH4関連の骨形成および増殖ペプチドおよびそれらのムテイン、派生物、および類似体が挙げられる。
【0042】
例示的酵素および酵素補助因子として、パンクレアーゼ、L−アスパラギナーゼ、ヒアルロニダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、tPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、パンクレアチン、コラーゲナーゼ、トリプシノーゲン、キモトリプシノゲン、プラスミノーゲン、ストレプトキナーゼ、アデニル・シクラーゼ、および活性酸素分解酵素(SOD)が挙げられる。
【0043】
例示的ワクチンとして、B型肝炎、インフルエンザ、MMR(麻疹、おたふく風邪、および風疹)、およびポリオワクチンなどが挙げられる。
【0044】
例示的成長因子として、神経成長因子(NGF、NGF−2/NT−3)、上皮細胞増殖因子(EGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、インスリン様成長因子(IGF)、形質転換成長因子(TGF)、血小板由来細胞成長因子(PDGF)、肝細胞増殖因子(HGF)などが挙げられる。
【0045】
心臓血管系に作用する例示的薬剤として、エンドセリン、エンドセリン抑制剤、エンドセリン拮抗薬、エンドセリン生成酵素阻害薬、バソプレシン、レニン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アンジオテンシンIII、アンジオテンシンI阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、抗不整脈ペプチドなど、血圧、動脈硬化などを制御する因子が挙げられる。
【0046】
中枢および末梢神経系に作用する例示的因子として、オピオイドペプチド(例えば、エンケファリン、エンドルフィン)、神経栄養因子(NTF)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、甲状腺ホルモン放出ホルモン(TRH)、TRHの塩および派生物、ニューロテンシンなどが挙げられる。
【0047】
パクリタキセル、マイトマイシンC、BCNU、およびドキソルビシンなどの例示的化学療法薬剤。
【0048】
呼吸器系に作用する例示的薬剤として、ぜんそく反応に関連する因子、例えば、アルブテロール、フルチカゾン、臭化イプラトロピウム、ベクロメタゾン、および他のベータ−アゴニストおよびステロイドが挙げられる。
【0049】
例示的ステロイドとして、ベクロメタゾン(ジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む)、フルチカゾン(プロピオン酸フルチカゾンを含む)、ブデソニド、エストラジオール、フルドロコルチゾン、フルシノニド、トリアムシノロン(トリアムシノロン・アセトニドを含む)、およびフルニゾリドが挙げられるが、これだけには限られない。例示的ベータ−アゴニストとして、キシナホ酸サルメテロール、フマル酸フォルモテロール、レボ−アルブテロール、バムブテロール、およびツロブテロールが挙げられるが、これだけには限定されない。
【0050】
例示的抗真菌薬として、イトラコナゾール、フルコナゾール、およびアンフォテリシンBが挙げられるが、これだけには限定されない。
【0051】
例えば、ステロイドとベータ−アゴニストの組み合わせ、例えば、プロピオン酸フルチカゾンおよびサルメテロール、ブデソニド、およびフォルモテロールなど、有効薬剤の多数の組み合わせが望まれ得る。
【0052】
本発明の吸入具は、ケーシング、例えば矩形または管状の箱または筐体など、を備えた乾燥粉末吸入装置である。いくつかの実施形態において、ケーシングは、細長い長手方向軸線を含み、第1の末端と、この第1の末端の反対側にある第2の末端とを更に含む。ケーシングは、ケーシングの第1の末端に位置する空気取入口と、ケーシングの第2の末端に位置する粉末送達ポートとを更に含み、前記粉末送達ポートは空気取入口の遠位に位置する。
【0053】
用語「ケーシング」は、とりわけ、本明細書に記載されているような装置のさまざまな要素を備えた容器を指す。ケーシングは、適切な材料であれば如何なる材料で作られてもよく、一部の実施形態においては、所望の構造に適合するべく加工され得る何れかのプラスチックまたは他の適切な合成材料を含み、本明細書に記載の要素を収容する、または備えることになる。一部の実施形態において、ケーシングは、ポリカーボネートまたはHDPEを備え得る。
【0054】
ケーシングは、このケーシングの両端に配置された2つの開口部を含む。このような開口部の一方は空気取入口であり、空気の流入および流出を容易にするために十分なサイズを有する。ケーシングの別の開口部は粉末送達ポートであり、ケーシングの空気取入口とは反対側の端部に位置付けられる。
【0055】
粉末送達ポートは開口部であり、通常、そのサイズは、総面積の点で、空気取入口のサイズより大きい。
【0056】
次に図
1を参照すると、空気取入口14は、ケーシング10の一方の
端部または末端に位置付けられ、粉末送達ポート54は、ケーシング10の反対側の端部または末端に位置付けられる。
【0057】
本発明のケーシングは、何れの手段によって用意されてもよく、例えば、気密に、且つ恒久的に、密封され得る、ケーシングの2つの半体を含むデザインを含み得る。または一部の実施形態において、ケーシングは、例えば、成形または他の従来手段によって用意されるような、一体部品でもよい。
【0058】
一部の実施形態において、本発明の吸入装置は、口からの吸入送達または鼻腔送達のために適している。1つの態様によると、および1つの実施形態において、粉末送達ポート54は、マウスピース12によって部分的に囲まれるか、またはマウスピース12に取り付けられ(例えば
図1、
図2、
図5、および
図9を参照)、または一部の実施形態において、送達ポート54は、ノーズピースによって部分的に囲まれるか、またはノーズピースに取り付けられ、口または鼻からの吸入送達を可能にする。
【0059】
一部の実施形態において、このような鼻または口からの送達の選択は、鼻咽腔および呼吸樹の他の領域における目標送達エリア、または送達される微粒子サイズ、または吸入粉末が投与される患者の年齢、またはこれらの組み合わせの考察を反映する。
【0060】
一部の実施形態において、空気取入口14は、空気取入口14を含むケーシング10の側面の水平(すなわち、長手方向)軸線、鉛直軸線、またはこれらの組み合わせに対して偏心配置される。例えば、
図4a〜dを参照すると、空気取入口14は、長手方向軸線に対して側面56の下半分に配置されていることに注目されたい。同様に、空気取入口14は、鉛直中心軸線に対して偏心配置される。
【0061】
図2を参照すると、本発明の乾燥粉末吸入装置のケーシング10は、ケーシング10の内部空隙に配置された細長い支持パネル16を更に含む。細長い支持パネル16は、細長い板に似ており、第1の末端と、この第1の末端の反対側の第2の末端とを含む。一部の実施形態において、第1の末端は空気取入口14の近位に位置し、第2の末端は粉末送達ポート54の近位に位置する。いくつかの実施形態においては、細長い支持パネル16がケーシング10の内部で、枢動軸18として示されている単一の軸線を中心に、部分的に回転、傾斜、または枢動するように、細長い支持パネル16はケーシング10の内部に取り付けられる、または配置される。
【0062】
一部の実施形態において、ケーシング10、支持パネル16、またはこれらの組み合わせは、ほぼ矩形である。一部の実施形態において、ケーシング10、支持パネル16、またはこれらの組み合わせは、ほぼ立方形である。あるいは、一部の実施形態において、ケーシング10、支持パネル16、またはこれらの組み合わせは、ほぼ円柱状である。あるいは、一部の実施形態において、ケーシング10、支持パネル16、またはこれらの組み合わせは、ほぼ楕円形である。
【0063】
図3aおよび
図3bを参照すると、支持パネル16の長手方向軸線の向きは、ケーシング10の長手方向軸線に平行であることが好ましい。
【0064】
一部の実施形態において、本発明のケーシング10の一般的なサイズ範囲は、長さが5cmと15cmの間、高さおよび幅寸法が0.5cm〜2cmの範囲内である。支持パネル16の長さおよび幅は、このケーシング10の内法寸法により密着するべく設定される。ケーシング10のサイズは、装置に対する制限事項とはならないことに留意されたい。
【0065】
次に
図2、
図3a、および
図3bを参照すると、本発明の一部の実施形態において、細長い支持パネル16は、本明細書に記載されているようにケーシング10の内部に位置付けられたときに粉末送達ポート54の近く、支持パネル16の第2の末端の近位に位置する、少なくとも1つの区画19を備える。複数の代替実施形態において、区画19は、空気取入口14の近く、支持パネル16の第1の末端の近位に位置する。一部の実施形態において、支持パネル16は、アルミニウムまたは何か別の適した材料で形成され得る区画19と同じ材料を備える。あるいは、一部の実施形態において、支持パネル16は、区画19とは異なる材料を備える。一部の実施形態において、区画19は支持パネル16と構造的に一続きであり、例えば、薬剤を収容する凹みを有する。一部の実施形態において、区画19は支持パネル16に、接着、溶接、または別様に取り付けられる。
【0066】
一部の実施形態において、少なくとも1つの区画19は、適切な雰囲気において乾燥粉末薬剤が充填され、その後に、例えば、パッケージングの分野において公知の手段など、当該技術分野において公知の何れか適した手段によって密封される空隙である。一部の実施形態において、乾燥粉末区画19は、アルミニウム製または他の公知のブリスタパック型カバーなどのカバー60によって覆われて密封され、当該技術分野において公知のように密封される。区画19のカバー60は、粉末状薬剤を乾燥した、且つ汚染されていない、状態に保持する。いくつかの実施形態において、区画19内に収容された乾燥粉末52をそこから放出するために、カバー60は鋭い装置または物体によって穿刺または破裂可能である。
【0067】
いくつかの実施形態において、ケーシング10は、粉末送達ポート54の近く、ケーシングの第2の末端の近位に位置する、または空気取入口14の近く、ケーシングの第1の末端の近位に位置する、ケーシング10の内面に配置された少なくとも1つの鋭い、または尖った、装置70を含む。複数の好適な実施形態において、
図2、
図3a、および
図3bに示されているように、少なくとも1つの鋭い、または尖った、装置70は、針またはピン状構造70の領域である。この領域は、ケーシング10の長手方向軸線を横切る(すなわち、垂直)方向にケーシング10から延在する1つ以上のフィン、ピン、針、刃、または他の種類の鋭い、または尖った、針またはピン状構造を含み得る。複数の好適な実施形態において、針またはピン状構造70の領域は、ブリスタ密封区画19を穿刺または破裂するために適している。
【0068】
本発明の一部の実施形態においては、
図3aに示されているように、1つの針状構造70のみが存在する。他の複数の実施形態においては、
図3bに示されているように、2つ以上の(すなわち、複数の)針状構造70が存在する。本発明の他の複数の実施形態において、ケーシング10の、突出面などの、一領域は、一連の、または櫛状の、または針毛状の針状構造70を含む(例えば、
図3bを参照)。この実施形態において、支持パネル16が回転してカバー60が構造70に打ち当たったときに一連の針状構造70が一連の穿刺穴または細孔をカバー60の表面積のほぼ全体にわたって生じさせるように、複数の針状構造70から成る櫛の形状は、区画19の上方のカバー60の形状をほぼ再現または模倣し得る。
【0069】
複数の好適な実施形態において、カバー60は、アルミニウム材料、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム箔、アルミニウム被覆箔など、当該技術分野において公知の何れか適した材料から製作され得るが、カバー60は、区画19を密封する、且つ針またはピン状構造70によって容易に穿刺または破裂される、何れか適した材料から製作され得る。
【0070】
ケーシング10の内部に配置される支持パネル16は細長く、回転、傾斜、または枢動されたときに各末端がケーシング10の内面に突き当たる、または打ち当たる、ために十分な長さを有する。実際に、支持パネル16は、支持パネル16の長い軸線がケーシング10の長手方向軸線に平行に向けられるように、支持パネル16の第1の末端が空気取入口14の近位に位置し、前記支持パネル16の第2の末端が前記粉末送達ポート54の近位に位置するように、ケーシング10の内部に位置付けられる。複数の好適な実施形態において、装置を通る空気流(すなわち、使用者が息を吸んだときに空気取入口14から粉末送達ポート54に向かって流れる空気)は、前記支持パネル16の第2および/または第1の末端がケーシング10の内面に、すなわち、その上部および下部内面に、打ち当たるように、前記細長い支持パネル16を前記ケーシング10内で枢動軸18を中心に部分的に回転または枢動させる。
【0071】
本発明の装置の一実施形態の動作原理が
図4a〜dに示されている。粉末送達ポート54における吸入動作によって支持パネル16が枢動軸18を中心に前後に部分的に回転したときにケーシング10の内部で起こり得る支持パネル16のさまざまな状態が示されている。この吸入動作は、その端部にマウスピースを組み込むことによって容易にされ得る。
図4aは、支持パネルがケーシング10を通る空気流を阻止していない状態を示す。理論に束縛されるものではないが、空気取入口14の偏心配置により、空気取入口14と空気取入口14の近位に位置する支持パネル16の部分22との間のエリア20に乱気流が生じることが示されている。この態様によると、支持パネル16は乱気流によって傾けられ、
図4bおよび
図4cに示されている状態のどちらか一方の状態になる。次に
図4bを参照すると、空気取入口14の近位にある支持パネルの端部22が下がって空気取入口14の遠位にある支持パネルの端部24を持ち上げているので、装置を通る空気流が一部阻止されている。1つのメカニズムにおいて、(
図4bおよび
図4cに「A」として示されている)空気流は、「R」と印された矢印(
図4bおよび
図4c)によって示されている方向に支持パネル16を部分的に回転、傾斜、枢動、または揺動させる。その結果、支持パネル16を反対方向に部分的に回転させる、すなわち、
図4cに示されている形態に反転させる。このような部分的回転または反転は、循環(すなわち、反復)され得る。すなわち、空気流(A)は、支持パネル16をその以前の状態に反転させ得る。
【0072】
一部の実施形態において、ケーシング10の内部における支持パネル16のこのような部分的回転、揺動、または反転は、支持パネル16の側方拡張部の独特の嵌着部、例えば
図2の枢動軸18、により実現される。この側方拡張部は、適切な差し込み穴、例えば
図2の15、の内部に枢動可能に取り付けられる。一部の実施形態において、このようなケーシング10は、このような側方拡張部を挿入し得る、ケーシング10の側壁を貫通する丸穴またはスリットを更に備え得る。ケーシング10の内部に支持パネルを位置付けて支持パネル16の部分的回転を容易にするための支持パネル16の他の改造は、如何なるものであっても、本発明内で使用可能と考えられ得る。
【0073】
例えば、本発明の一部の実施形態においては、例えば、枢動軸18と支持パネル16の第1および第2の末端との間の距離が等しい(例えば、枢動軸18と第1の末端との間の支持パネル16の長さが枢動軸18と第2の末端との間の支持パネル16の長さにほぼ等しい)ように、枢動軸18の側方拡張部は支持パネル16の中間点(例えば、中心)に位置し得る。本発明の他の複数の実施形態において、枢動軸18の側方拡張部は、支持パネル16の中心になくてもよい(例えば、
図7c〜dおよび
図8c〜dを参照)。一部の実施形態においては、枢動軸18と第1の末端との間の支持パネル16の長さが枢動軸18と第2の末端との間の支持パネル16の長さより長くなるように、
図7c〜dおよび
図8c〜dに示されているように、枢動軸18は支持パネル16の第2の末端の近位に位置し得る。他の複数の実施形態においては、逆の場合もある。すなわち、枢動軸18は支持パネル16の第1の末端の近位に位置する。
【0074】
複数の好適な実施形態において、使用者の呼吸動作は、一般に、装置を通る空気流(すなわち、使用者が息を吸い込んだときに空気取入口14から粉末送達ポート54に向かって流れる空気)を引き起こし、前記細長い支持パネル16をケーシング10の内部で枢動軸18を中心に、1秒当たり数回、部分的に回転または枢動させて上下運動させ、これにより区画19をケーシング10に打ち付ける。複数の好適な実施形態においては、区画19とピン状構造70の領域とが位置合わせされているため、吸気中の支持パネル16の打ち付け動作は、区画19を覆うカバー60をケーシング10の内面に設けられたピン状構造70の領域に繰り返し打ち当てる。これにより、針状構造70がカバー60を穿刺する、または破裂させる。
図4dに示されているように、区画19を構造70に繰り返し打ち付けることによってカバー60を破裂させ、区画19内の乾燥粉末薬物または薬剤をそこから空気流の空間に放出させる。そこから乾燥粉末薬物または薬剤は使用者の喉および肺空間に吸入される。
【0075】
部分的回転の繰り返しによって空気取入口14から遠位にある乾燥粉末収容区画19がケーシング10の内面に設けられた1つ以上のピン状構造70に打ち付けられると、区画19内に収容されている粉末36が自由粉末52として空気流に出て来る。自由粉末52は、マウスピース12を有する粉末送達ポート54に向かって引き寄せられる。理論に束縛されるものではないが、この自由粉末52は出て来るとき、針状構造70の動作によって区画19のカバー60に作成された複数の穴または細孔のふるい作用の結果として、分散される。1つの実施形態において、直径が1〜5ミクロンの範囲内の乾燥粉末微粒子を実現するために、このような分散用の穴のサイズは、10ミクロンから70ミクロンの範囲内である。
【0076】
いくつかの実施形態において、当該領域のピン、フィン、刃、または針70は、カバー60を穿刺し、これにより複数の穴をカバー60に作成する、すなわち、カバー60を多孔質にする。
【0077】
いくつかの実施形態において、針状構造70は、乾燥粉末の微粒子の引き出しを可能にするために十分に大きなサイズの細孔をカバー60に作成するようなサイズを有する。一部の実施形態において、これら細孔は、約20〜50ミクロンの細孔サイズを有する。一部の実施形態において、これら細孔は、直径が約1〜5ミクロンの乾燥粉末薬物の放出用に理想的なサイズを有する。例えば、直径が3ミクロンの微粒子の場合、細孔のサイズは約6ミクロンと150ミクロンの間になり得る。あるいは、細孔サイズは、一部の実施形態においては約10ミクロンと80ミクロンの間、または一部の実施形態においては約20ミクロンと60ミクロンの間、になり得る。
【0078】
この態様による一部の実施形態において、本発明の吸入装置からの乾燥粉末の引き出しは、ケーシング10の内面に対する支持パネルの打ち付け動作、すなわち突き当てること、によってもたらされる。これにより、針またはピン状構造70によってカバー60に作成された穴または細孔から粉末が外に出る。
【0079】
他の複数の実施形態において、ケーシング10の内面は、針状構造70の領域を2つ以上含み得る。例えば、ケーシング10は、針状構造70の1つの領域をその上部内面に、および針状構造70の1つの領域をその下部内面に、含み得る。また、この実施形態において、吸入具はカバー付き区画19を2つ以上含み得る。この実施形態において、1つのカバー付き区画19は支持パネル16の上面に位置し、ケーシング10の上部内面に位置する針状構造70の領域に位置合わせされ、1つのカバー付き区画19は支持パネル16の底面に位置し、ケーシング10の底部内面に位置する針状構造70の領域に位置合わせされる。
【0080】
上記の各実施形態において、針状構造(単数または複数)70の1つ以上の領域はケーシング10の内面に位置し、1つ以上のカバー付き区画(単数または複数)19は支持パネル16上に位置する。
【0081】
他の複数の実施形態において、支持パネル16は針状構造70を含み得る。また、ケーシング10の内面は乾燥粉末区画19を含み得る。例えば、針状構造70の1つ以上の領域を支持パネル16に配置し、乾燥粉末区画19をケーシング10の内面に配置して針状構造70の当該領域に位置合わせすることが可能である。例えば、
図6aに示されているようないくつかの実施形態において、支持パネル16は、支持パネル16の上面から鉛直上方に突出して、ケーシング10の上部内面から鉛直下方に延在する
カバー付き区画19に位置合わせされた針状構造70の領域を含み得る。
【0082】
ただし、
図6bに示されているような他の複数の実施形態において、支持パネル16は、針状構造70の1つの領域を支持パネル16の上面に含み得る。また、支持パネル16は、針状構造70の1つの領域を支持パネル16の底面に含み得る。また、この実施形態において、吸入具は、2つ以上のカバー付き区画19を含み得る。すなわち、支持パネル16の底面に位置する針状構造70の領域に位置合わせされた、ケーシング10の底部内面に位置するカバー付き区画19と、支持パネル16の上面に位置する針状構造70の領域に位置合わせされた、ケーシング10の上部内面に位置する1つのカバー付き区画19とを含み得る。
【0083】
次に
図7a〜
図7bを参照すると、本発明のいくつかの実施形態において、区画19は第1の末端の近位、空気取入口14に近いケーシング10の内面に位置し、支持パネル16は、針状構造70の1つ以上の領域を支持パネル16の上面に含み得る。
図7aに示されているようないくつかの実施形態において、吸入具は、支持パネル16に向かって鉛直下方に延在する1つのカバー付き区画19をケーシング10の上部内面に含み得る。支持パネル16は、区画19およびカバー60に向かって鉛直上方に延在する少なくとも1つの針状構造70を支持パネル16の上面に含み得る。区画19がケーシング10の底部内面に位置し得ること、および少なくとも1つの針状構造70が支持パネル16の底面に位置し得ることも考えられる。
【0084】
次に
図7cおよび
図7dを参照すると、枢動軸18は、(
図7aおよび
図7bに示されているように)支持パネル16の中間点ではなく、第2の末端の近位、薬物送達ポート54の近くにも位置し得る。この実施形態において、枢動軸18と第1の末端との間の支持パネル16の長さは、枢動軸18と第2の末端との間の支持パネル16の長さより長い。これにより、空気取入口14に近い方の支持パネル16の長さがより長くなるので、空気が使用者によって吸い込まれるとき、支持パネル16をより有効に回転させることができる。
【0085】
次に
図8aを参照すると、カバー60を有する区画19は、第1の末端の近位、空気取入口14に近い支持パネル16の上面に位置し得る。また、少なくとも1つの針状構造70が第1の末端の近位、空気取入口14に近いケーシング10の上部内面に位置する。この実施形態においては、カバー60によって覆われた区画19が支持パネル16の上面に設けられ、ケーシング10の上部内面から鉛直下方に延在する少なくとも1つの針状構造70に位置合わせされる。
図8aに示されているように、枢動軸18は、支持パネル16の中間点、またはほぼ中心点、に位置する。
【0086】
次に
図8bを参照すると、カバー60によって覆われた区画19は、第1の末端の近位、空気取入口14に近い支持パネル16の上面および底面にそれぞれ位置し得る。この実施形態において、少なくとも1つの針状構造70は、ケーシング10の上部および底部内面にそれぞれ位置し、支持パネル16の上面または底面に位置する対応するカバー付き区画19にそれぞれ位置合わせされる。
図8bに示されているように、枢動軸18は支持パネル16の中間点、またはほぼ中心点、に位置する。
【0087】
次に
図8cを参照すると、カバー60を有する区画19は、第1の末端の近位、空気取入口14に近い支持パネル16の上面にも位置し得る。また、少なくとも1つの針状構造70が第1の末端の近位、空気取入口14に近いケーシング10の上部内面に位置し得る。この実施形態において、カバー60によって覆われた区画19は支持パネル16の上面に設けられ、ケーシング10の上部内面から鉛直下方に延在する少なくとも1つの針状構造70に位置合わせされる。
図8cに示されているように、枢動軸18は支持パネル16の第2の末端の近位に位置し得る。これにより、枢動軸18と第1の末端との間の支持パネル16の長さがより長くなり、枢動軸18と第2の末端との間の支持パネル16の長さがより短くなる。枢動軸18と第1の末端との間の支持パネル16の長さが長くなるほど、空気が使用者によって吸い込まれるとき、支持パネル16をより有効に回転させることができる。
【0088】
次に
図8dを参照すると、カバー60によって覆われた区画19は、第1の末端の近位、空気取入口14に近い支持パネル16の上面および底面にそれぞれ位置し得る。この実施形態において、少なくとも1つの針状構造はケーシング10の上部および底部内面にそれぞれ位置し、支持パネル16の上面または底面に配置された対応するカバー付き区画19にそれぞれ位置合わせされる。
図8dに示されているように、枢動軸18は支持パネル16の第2の末端の近位に位置し得る。これにより、枢動軸18と第1の末端との間の支持パネル16の長さがより長くなり、枢動軸18と第2の末端との間の支持パネル16の長さがより短くなる。枢動軸18と第1の末端との間の支持パネル16の長さが長くなるほど、空気が使用者によって吸い込まれるとき、支持パネル16をより有効に回転させることができる。
【0089】
図9は、本発明のいくつかの態様による吸入装置の一代替実施形態を示す。
図9に示されている吸入装置の実施形態は、とりわけ、ケーシング10と、ケーシング10の1つの末端に位置付けられた空気取入口と、ケーシング10の別の末端に位置付けられた、マウスピース12に取り付けられた、またはマウスピース12によって部分的に囲まれた、粉末送達ポート54と、枢動軸18および乾燥粉末区画19を有する細長い支持パネル16と、針状構造(単数または複数)70の少なくとも1つの領域とを含むという点で、上記の吸入装置の各実施形態と同様である。
【0090】
図9には特に示されていないが、空気取入口14は、空気取入口14を含むケーシング10の側面の水平(すなわち、長手方向)軸線、鉛直軸線、またはこれらの組み合わせに対して偏心配置され得る(
図4a〜dを参照)。同様に、空気取入口14は鉛直中心軸線から偏心配置され得る。
【0091】
支持パネル16は、ケーシング10の内部空隙に位置する。支持パネル16は細長い板に似ているが、他の形状も考えられる。支持パネル16は、第1の末端と、この第1の末端の反対側の第2の末端とを含む。一部の実施形態において、第1の末端は空気取入口14の近位に位置し、第2の末端は粉末送達ポート54の近位に位置する。いくつかの実施形態において、細長い支持パネル16は、枢動軸18として示されている単一の軸線を中心にケーシング10内で支持パネル16が部分的に回転、傾斜、または枢動するように、ケーシング10の内部に取り付けられる、または配置される。
【0092】
図9に示されている実施形態において、枢動軸18は、少なくとも2つの側方拡張部を含み、支持パネル16の中間点に、またはほぼ中心に、位置する。ただし、とりわけ、
図7c〜dおよび
図8c〜dを参照して説明したように、枢動軸18は、支持パネル16の長手方向軸線に沿った如何なる点にも位置し得る。例えば、一部の実施形態において、枢動軸18は、支持パネル16の第2の末端の近位に位置し得る。これにより、枢動軸18と第1の末端との間の支持パネル16の長さがより長くなり、枢動軸18と第2の末端との間の支持パネル16の長さがより短くなる。枢動軸18は第1の末端の近位にも位置し得ることが考えられる。
【0093】
図9に示されている実施形態において、細長い支持パネル16は、本明細書に記載されているようにケーシング10の内部に位置付けられたときに支持パネル16の第1の末端の近位、空気取入口14の近くに位置する、少なくとも1つの区画19を備える。乾燥粉末区画19を空気取入口14の近くに(例えば、薬物送達ポート54およびマウスピース12から離して)位置付けると、乾燥粉末治療用薬剤が移動すべき距離が増し、これにより、乾燥粉末が吸入具の内部空隙を横切って口および肺に入るときの乾燥粉末を加速させることができる。複数の代替実施形態において、区画19は、支持パネル16の第2の末端の近位、薬物送達ポート54の近くに位置し得る。
【0094】
一部の実施形態において、区画19は構造的に支持パネル16と一続きであり、例えば、支持パネル16は、薬剤を収容するための区画19を形成する凹部を有する。一部の実施形態において、区画19は支持パネル16に接着、溶接、または別様に取り付けられる。複数の好適な実施形態において、区画19はアルミニウム製または他の公知のブリスタパック型カバーなどのカバー60によって覆われて密封され、当該技術分野において公知のように、および前述のように、密封される。いくつかの実施形態において、区画19内に収容された乾燥粉末薬物または薬剤をそこから放出させるために、カバー60は鋭い装置または物体(例えば、針状構造(単数または複数)70)によって穿刺または破裂可能である。
【0095】
いくつかの実施形態において、ケーシング10は、その内面に配置された鋭い、または尖った、装置70を、ケーシング10の第1の末端の近位、空気取入口14の近くに、またはケーシング10の第2の末端の近位、薬物送達ポート54の近くに、少なくとも1つ含む。複数の好適な実施形態においては、
図9に示されているように、および前述のように、少なくとも1つの鋭い、または尖った、装置70は、針またはピン状構造70の領域である。この領域は、ケーシング10の長手方向軸線を横切る方向に(例えば、直角に)延在する1つ以上のフィン、ピン、針、刃、または他の種類の鋭い、または尖った、針またはピン状構造を含み得る。複数の好適な実施形態において、針またはピン状構造70の領域は、区画19を密封するカバー60を穿刺する、または破裂させる、ために適している。
【0096】
ただし、針またはピン状構造70をケーシングの内部空隙に常に露出させておくと、吸入装置の動作を妨げ得ることが考えられる。例えば、これらの針は、吸気中、細長い支持パネルのその軸線を中心とした自由回転を妨げ得る。別の例において、これらの針は、乾燥粉末区画からの乾燥粉末の放出を妨げ得る。また、カバー付き区画19からの薬物または薬剤の放出時に振動干渉が起こり得る。その理由は、針が同じ伸長位置に留まり、細長い支持パネル16の振動ごとに針が薬物区画カバー60に接触し続けるからである。したがって、本発明のいくつかの実施形態において、吸入の直前に薬物区画19のカバー60を穿刺するために使用者が針またはピン状構造70を伸長させ、その後に後退させるように、針はケーシングの内部空隙内へ伸長し、更にケーシングの内部空隙から後退するべく構成されることが望ましい。これにより、針は乾燥粉末区画を穿刺するべく動作し得るにも拘らず、それに伴う問題を回避する。
【0097】
図9に示されているような一部の実施形態において、針またはピン状構造70を作動させるために、ケーシング10は少なくとも1つの押しボタン100を含む。ただし、ケーシング10が2つ以上の(例えば複数の)押しボタン100を含み得ることも考えられる。押しボタン100については、以下に
図10a〜bを参照してより詳細に説明する。
【0098】
複数の好適な実施形態において、物体、特に1つ以上の針またはピン状構造70、が押しボタン100からケーシング10の内部空隙に、およびこの逆に、妨げられずに進むように、押しボタン100はケーシング10の内部空隙に連通するべく構成される。以下により詳細に説明するように、一部の実施形態において、針状構造70の領域は、押しボタン100からケーシング10の内部空隙内まで妨げられずに進み得る。いくつかの実施形態においては、押しボタン100を圧縮すると針状構造の領域が内部空隙内まで伸長し、押しボタン100を解放すると針状構造の領域が内部空隙から後退するように、押しボタン100は、当該技術分野において公知のように、ばねを含むことなどによって、構築され得る。
【0099】
図9に示されているように、本発明のいくつかの実施形態は、2つの押しボタン100を含み得るが、これに限定されるものではない。これら実施形態において、ケーシング10は、(
図9に示されているように)その第1の外面に位置する第1の押しボタンと、第1の外面の反対側の第2の外面に位置する第2の押しボタンとを含み得る。1つの実施形態において、例えば、ケーシング10の上面に位置する第1の押しボタン100および、例えばケーシング10の底面に位置する、第2の押しボタン100は、どちらも針状構造70を含み、両押しボタン100は区画19を穿刺するべく動作する。
【0100】
別の実施形態において、例えばケーシング10の上面に位置する、第1の押しボタン100のみが1つ以上の針またはピン状構造70を含み、例えばケーシング10の底面に位置する、第2の押しボタン100は針状構造を含まない。勿論、1つ以上の針またはピン状構造70を含む第1の押しボタン100はケーシング10の底面に位置し得る、また、針状構造70を含まないに第2の押しボタン100はケーシング10の上面に位置し得る。(これら実施形態において、押しボタン100が位置付けられるケーシング10上の場所は、薬物または薬剤を収容する区画19が位置付けられる支持パネル16の表面上の場所に対向させる必要があることを理解されたい。)この実施形態においては、第1の押しボタン100のみが区画19を穿刺するべく動作する一方、第2の押しボタン100は支持ボタンとして構成される。
【0101】
一部の実施形態においては、押しボタン(単数または複数)100を構造的にケーシング10の構造と一続きにし得る。他の複数の実施形態において、押しボタン(単数または複数)100は、ケーシング10の外面に埋め込み、接着、溶接、または別様に取り付けられ得る。ケーシング10の外面以外の取り付け箇所も考えられる。複数の好適な実施形態において、吸気中、支持パネル16の打ち付け動作によって乾燥粉末区画19を覆うカバー60がほぼ押しボタン100のエリアに打ち当たるように、押しボタン100は支持パネル16上のエリア19に位置合わせされる。
【0102】
次に、本発明のいくつかの実施形態の複数の態様による押しボタン100のいくつかの視点からの図である
図10aおよび
図10bを参照する。
図10aは、押下されていない形態(左側)および押下された形態(右側)の押しボタン100の上面図である。
図10bは、押下されていない形態(左側)および押下された形態(右側)の押しボタン100の底面図である。大半の実施形態において、押しボタン100は、ハウジング101と、天板102と、(例えば、内蔵)ばね機構(図示せず)とを含む。
【0103】
押しボタン100のハウジング101は、何れか所望の形状(例えば、円筒形)でよく、外周面と、内周面と、上部開口部と、底部開口部とを含み得る。更には、高さと幅とを有し、これにより、容積を取り囲む。複数の好適な実施形態において、物体がハウジング101から開口部103を通ってケーシング10の内部空隙内に、およびこの逆に、妨げられずに通過し得るように、ハウジング101の底部開口部103は、ケーシング10の内部空隙に連通するべく構成される。例えば、針状構造70の領域は、押しボタン100からケーシング10の内部空隙内まで妨げられずに通過し得る。
【0104】
複数の好適な実施形態において、押しボタン100のハウジング101の容積は、押しボタン100が押下されていない状態のとき(
図10aおよび
図10bの左側を参照)針状構造70の少なくとも1つの領域を(部分的にまたは完全に)包囲する、または取り囲む、ために十分である。一部の実施形態において、押しボタン100が押下されていない状態のとき、針状構造70はその全体がハウジング101の内部に閉じ込められ、針状構造70のどの部分もケーシング10の内部空隙まで伸長していない。他の複数の実施形態においては、押しボタン100が押下されていない状態のとき、針状構造70の少なくとも一部がハウジング101を出てケーシング10の内部空隙まで伸長する。複数の好適な実施形態においては、吸気中、支持パネル16の打ち付け動作が乾燥粉末区画19を針状構造70の領域に打ち当て、乾燥粉末区画19を覆っているカバー60を針状構造70が穿刺する、または破裂させる、ように、ハウジング101は、そこに収容された針状構造70の少なくとも1つの領域と共に、支持パネル16の表面の乾燥粉末区画19に位置合わせされる。
【0105】
いくつかの実施形態において、押しボタン100の天板102は、上面と底面とを含み、ハウジング101の内周面内に嵌合するために十分なサイズを有する。複数の好適な実施形態において、天板102はほぼ平坦であり得るが、天板102がほぼ平坦でない複数の代替実施形態も考えられる。使用者が天板102の上面を押して天板102をハウジング101内に押下し得るように、天板102は押下可能なボタンとして構成され得る。その後、天板102を押下されていない位置に戻すために、使用者は天板102を解放し得る。
【0106】
複数の好適な実施形態において、押しボタン100は、押下されたときに針状構造70の少なくとも1つの領域をそこから伸長させ、解放されたときに針状構造70の少なくとも1つの領域をその内部に後退させるべく構成された(例えば、内蔵)ばね機構を含む。天板102の押下可能性を容易にする、または助ける、ために、ばね機構はハウジング101の内側、天板102の底面に取り付けられ得る。例えば、いくつかの実施形態において、ばね機構は外周エリアに取り付けられ得る、また、針状構造70の領域は天板102の底面の中心エリアに取り付けられ得る。
【0107】
これにより、使用者は、下向きの力を天板102の上面に加えることによって押しボタン100を押下してばね機構を圧縮させ、針状構造70の領域を下向きに移動させ得る。針状構造70の領域の下向きの動きは、針状構造70の領域をケーシング10の内部空隙に露出させ得る(
図10aおよび
図10bの右側を参照)。使用者は、押しボタン100の天板102の上面に対する下向きの力を解放することによって、ばね機構を伸長させ、針状構造70の領域を押しボタン100内に上向きに後退させ得る。針状構造70の領域の上向きの動きは、針状構造70の領域をケーシング10の内部空隙から後退させ得る(
図10aおよび
図10bの左側を参照)。
【0108】
例えば、いくつかの実施形態においては、これに限定されるものではないが、本発明の吸入装置のケーシング10は、約0.6〜0.8cmの幅を長手方向軸線に垂直に有し得る。ハウジング101は、約0.5cmの高さをケーシング10の幅に平行に有し得る。ばね機構は、ハウジング101の容積内に収容され得る。ばね機構も約0.5cmの高さを有し得る。また、針状構造70の領域の各針(例えば、ピン、鋲、その他)は、約0.5cmの高さを有し得る。操作時、使用者は、ばね機構を約0.5cmから約0.2cmに圧縮し得る。これにより、各針の約0.3cmがケーシング10の内部空隙に露出される。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態は、吸入可能な治療用薬剤を患者に投与する方法を含み得る。本方法は、空気取入口と、この空気取入口の反対側の送達ポートと、内部空隙内に配置された、治療用薬剤を収容する少なくとも1つのカバー付き区画を有する細長い支持パネルと、少なくとも1つの押しボタン機構を備えた少なくとも1つの針構造とを有するケーシングを含む治療用薬剤吸入装置を用意するステップと、少なくとも1つの押しボタンを操作(例えば、押下および/または圧縮)して少なくとも1つの針構造によってカバー付き区画を穿刺することによって、少なくとも1つの針をケーシングの内部に伸長させて少なくとも1つの区画のカバーに貫通させる一方で、空気をケーシング内に引き込んで細長い支持パネルをケーシング内で単一の軸線を中心に部分的に回転させ、これにより、ケーシングを通って流れる空気流に治療用薬剤を放出させるステップとを含む。
【0110】
本発明のこの実施形態による方法は、少なくとも1つの押しボタンを解放し、これにより、少なくとも1つの針をケーシングの内部から後退させるステップを更に含む。カバー付き区画は、空気取入口の近くに、または薬物送達ポートの近くに、位置し得るが、カバー付き区画を穿刺させるために、カバー付き区画は少なくとも1つの針に必ず位置合わせされる。したがって、(複数の好適な実施形態においては、少なくとも1つの針を収容する)押しボタンは、一般に、カバー付き区画に位置合わせして配置されるが、複数の代替実施形態も考えられる。いくつかの実施形態において、および前述のように、単一の軸線は、細長い支持パネルのほぼ中間点(例えば、中心)に、または空気取入口に近い位置に、または薬物送達ポートに近い位置に、位置し得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの針は、複数の針を備えた領域である。
【0111】
前述のように、装置を通る空気流は、支持パネル16を2つの状態の間で繰り返し回転させる。この回転が発生するたびに、空気取入口14の遠位または近位に針またはピン状構造70を備えた支持パネルの端部24は、乾燥粉末収容区画19を収容しているケーシング10の内面26を叩き、カバー60に位置合わせされた針またはピン状構造70によって乾燥粉末区画19を穿刺または破裂させ、これにより、区画19内の乾燥粉末薬物を区画19から徐々に放出させる。
【0112】
本発明の吸入具、キット、および/または方法は、とりわけ、2種以上の吸入乾燥粉末薬物を別個に貯蔵し、これらを同時に送達するために極めて適している。
【0113】
化学的見地から、2種以上の薬物を同じ物理的区画内に一緒に貯蔵することは、問題があり得る。その理由は、特に2つの薬物のpHが互いに異なる場合、両者が相互作用し得るからである。規制上の観点から、このような相互作用が長期間にわたって発生しないことを証明する必要があり得る。これは、規制当局の承認プロセスにかなりの費用を追加し得る。
【0114】
一部の実施形態において、本発明のこの態様によると、2種以上の薬物の貯蔵など、吸入具業界における技術的課題は、化学的および規制上の両理由により問題になり得るが、本発明のいくつかの実施形態によって回避される。
【0115】
本発明の組立体は、一部の実施形態において、乾燥粉末をそれぞれ含む1つ以上の区画を備え得る。一部の実施形態において、組立体が複数の区画を備える場合、各区画は、同じまたは異なる乾燥粉末を含み得る。
【0116】
一部の実施形態において、支持パネルは、乾燥粉末を収容する2つまたは3つの区画を備える。本発明のこの態様によると、および一部の実施形態において、2つまたは3つの区画は、2種または3種の異なる乾燥粉末を含む。
【0117】
一部の実施形態において、支持パネルは、少なくとも1つまたは2つの仕切りを含む区画を備える。これら仕切りは複数の独立した室を区画内に作成する。本発明のこの態様によると、および一部の実施形態において、これら独立した室はそれぞれ異なる乾燥粉末を収容し得る。
【0118】
一部の実施形態において、支持パネル16が2つ以上の室または区画19を備える場合、支持パネル16は、2つの室または区画19の間の領域において突出面に打ち当たり得る。または一部の実施形態において、各室または区画が突出面を含む領域において内面に打ち当たるように、内面は、複数の突出面を備え得る。
【0119】
例えば、いくつかの実施形態において、支持パネル16の表面の各ブリスタ区画19は、針状構造70の対応する領域、または針状構造70の櫛状領域、に位置合わせされる。
【0120】
一部の実施形態において、本発明は、吸入具からの乾燥粉末の投与方法を提供する。本方法は、支持パネルをケーシング内で単一の軸線を中心に部分的に回転させてカバー付き区画19を1つ以上の針またはピン状構造70に打ち当て、これによりカバー60を穿刺し、区画19から乾燥粉末を放出させて空気流に載せ、乾燥粉末を吸入具から定量吐出させるために、本明細書に記載の何れか単一の実施形態、または組み合わされた複数の実施形態、を含む乾燥粉末吸入装置を通る空気流をもたらすステップを含む。
図2は、本発明の装置の一実施形態の動作原理モードによって乾燥粉末が本発明の吸入具から定量吐出される一実施形態を示す。これは、本発明の方法の一態様を表す。
【0121】
いくつかの実施形態において、本発明の吸入装置は、所望の乾燥粉末薬剤が所望の投与量だけ予め装填された単回使用型装置でもよい。
【0122】
一部の実施形態において、この態様によると、吸入装置の使用前、または使用と使用の間、本発明の吸入装置のブリスタ区画内への適切な乾燥粉末の封じ込めを保証するために注意する必要がある。
【0123】
本発明は上記の例示的実施形態の詳細に限定されず、本発明は、その精神または本質的な属性から逸脱せずに、他の独自の形態で具現化され得ることが当業者には明らかであろう。
【0124】
したがって、本明細書に示されている実施形態は、あらゆる点で説明用のものであって、本発明の範囲を制限するものではないと見なされるものとし、その適切な同等物も本発明の一部と見なされることを当業者は理解されるであろう。