(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
抗体の重鎖可変ドメインが、HFR1、HVR−H1、HFR2、HVR−H2、HFR3、HVR−H3及びHFR4の順で作動可能に連結されている、HFR1〜HFR4の4つの重鎖フレームワーク領域及びHVR−H1〜HVR−H3の3つの超可変領域を含み、抗体の軽鎖可変ドメインが、LFR1、HVR−L1、LFR2、HVR−L2、LFR3、HVR−L3及びLFR4の順で作動可能に連結されている、LFR1〜LFR4の4つの軽鎖フレームワーク領域及びHVR−L1〜HVR−L3の3つの超可変領域を含み、HFR1〜HFR4の重鎖フレームワーク領域が:
i)それぞれ配列番号40、43、45及び48;
ii)それぞれ配列番号41、44、46及び49;又は
iii)それぞれ配列番号42、44、47及び49
のアミノ酸配列を有し、LFR1〜LFR4の軽鎖フレームワーク領域が:
iv)それぞれ配列番号50、52、55及び58;又は
v)それぞれ配列番号51、53、56及び59
のアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のヒト化抗CCR7抗体。
抗体の重鎖可変ドメインが配列番号61、62及び63のうちの少なくとも1つに少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、抗体の軽鎖可変ドメインが配列番号64及び65のうちの少なくとも1つに少なくとも95%配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載のヒト化抗CCR7抗体。
抗体の重鎖可変ドメインが配列番号61のアミノ酸配列を含み、抗体の軽鎖可変ドメインが配列番号64のアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のヒト化抗CCR7抗体。
炎症状態が、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、喘息、アレルギー性気管支炎、気道平滑筋過形成、線維性肺疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、アテローム性動脈硬化症、HIV感染及びAIDSにおける炎症状態からなる群から選択される、又は組織若しくは臓器移植が腎臓、心臓、皮膚、及び肺移植のうちの1つ又は複数である、請求項10に記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
用語「抗体」はその最も広い意味で使用され、具体的には、例えば、アンタゴニスト、中和抗体、完全長又は無傷のモノクローナル抗体、ポリエピトープ特異性を有する抗CCR7抗体組成物、ポリクローナル抗体、多価抗体、一本鎖抗CCR7抗体を含む単一抗CCR7モノクローナル抗体、並びに、断片が所望の生物及び/又は免疫活性を示しさえすれば、Fab、Fab’、F(ab’)
2及びFv断片、ダイアボディ、単一ドメイン抗体(sdAb)を含む抗CCR7抗体の断片(下参照)を網羅する。用語「免疫グロブリン」(Ig)は本明細書では抗体と互換的に使用される。抗体はヒト及び/又はヒト化でも可能である。
【0023】
用語「抗CCR7抗体」又は「CCR7に結合する抗体」とは、抗体がCCR7を標的にするのに診断薬及び/又は治療薬として有用であるのに十分な親和性でCCR7に結合することができる抗体のことである。無関係な非CCR7タンパク質への抗CCR7抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)又はELISAにより測定された場合、CCR7への抗体の結合の約10%未満であることが好ましい。ある特定の実施形態では、CCR7に結合する抗体は、≦1mM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦、0.1nMの解離定数(K
d)を有する。ある特定の実施形態では、抗CCR7抗体は、異なる種由来のCCR7間で保存されているCCR7のエピトープに結合する。
【0024】
「単離された抗体」とは、その自然環境の成分から同定され分離された及び/又は回収された抗体である。その自然環境の汚染成分は抗体の治療的使用を妨げると考えられる物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を含むことがある。好ましい実施形態では、抗体は(1)ローリー法で決定した場合、95重量%よりも多い抗体まで、最も好ましくは99重量%を超えるまで、(2)スピニングカップ配列決定装置の使用により少なくともN終端若しくは内部アミノ酸配列の残基を得るのに十分な程度にまで、又は(3)クーマシーブルー若しくは、好ましくは、銀染色を使用した還元若しくは非還元条件下でのSDS−PAGEによる均一性まで精製される。単離された抗体は、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分は存在しないことになるので、組換え型細胞内のインサイチュでの抗体を含む。しかし、通常では、単離された抗体は少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
【0025】
基本4鎖抗体単位は、2つの同一軽(L)鎖と2つの同一重(H)鎖で構成されたヘテロ四量体糖タンパク質である(IgM抗体は5つの基本ヘテロ四量体単位とJ鎖と呼ばれる追加のポリペプチドからなり、したがって、10の抗原結合部位を含有しており、分泌されたIgA抗体は重合化して2〜5つの基本4鎖単位とJ鎖を含む多価集合体を形成することが可能である)。IgGの場合、4鎖単位は一般に150000ダルトンである。それぞれのL鎖は1つの共有ジスルフィド結合によりH鎖に連結されており、2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つ又は複数のジスルフィド結合により互いに連結されている。それぞれのH及びL鎖は、規則的に間隔をあけた鎖内ジスルフィド架橋も有する。それぞれのH鎖はN終端に可変ドメイン(V
H)、続いてα及びγ鎖ごとに3つの定常ドメイン(C
H)をμ及びεアイソタイプでは4つのC
Hドメインを有する。それぞれのL鎖はN終端に可変ドメイン(V
L)、続いてそのもう一方の末端に定常ドメイン(C
L)を有する。V
LはV
Hと整列され、C
Lは重鎖の第1定常ドメイン(C
H1)と整列されている。特定のアミノ酸残基は軽鎖と重鎖可変ドメインの間に境界面を形成すると考えられている。V
HとV
Lが互いに対形成すると単一抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology、8th edition、Daniel P.Stites、Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(eds.)、Appleton & Lange、Norwalk、CT、1994年、page71 and Chapter6を参照されたい。
【0026】
任意の脊椎動物種由来のL鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つのはっきりと異なるタイプのうちの1つに割り当てることが可能である。その重鎖の定常ドメイン(C
H)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラスの又はアイソタイプに割り当てることが可能である。免疫グロブリンには5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと名付けられた重鎖を有する。γ及びαクラスは、C
H配列及び機能の比較的小さな違いに基づいてさらにサブクラスに分割され、例えば、ヒトは以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を発現する。
【0027】
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」とは、抗体の重又は軽鎖のアミノ終端ドメインのことである。重鎖の可変ドメインは「V
H」と呼ばれることがある。軽鎖の可変ドメインは「V
L」と呼ばれることがある。これらのドメインは一般に抗体の最も変わりやすい部分であり抗原結合部位を含有する。
【0028】
用語「可変」とは、可変ドメインのある特定のセグメントは抗体間で配列が大規模に異なるという事実のことである。Vドメインは抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対する特定の抗体の特異性を規定する。しかし、可変性は可変ドメインの110アミノ酸全長にわたり一様に分布しているのではない。それどころか、V領域は、それぞれが9〜12アミノ酸長である「超可変領域」(HVR)と呼ばれる極端に可変性の短い領域で分離された15〜30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変のストレッチからなる。天然の重及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれが4つのFRを含み、3つの超可変領域により連結されたβシート立体配置を主に取り、この超可変領域はループを形成してβシート構造を連結する、及びいくつかの場合は、βシート構造の一部を形成する。それぞれの鎖中の超可変領域はFRによりすぐそばに結合され、もう一方の鎖由来の超可変領域と抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991)参照)。定常ドメインは抗体を抗原に結合させることに直接関与していないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)への抗体の関与などの種々のエフェクター機能を示す。
【0029】
「無傷の」抗体とは、抗原結合部位並びにC
L及び少なくとも重鎖定常ドメイン、C
H1、C
H2及びC
H3を含む抗体である。定常ドメインは天然の配列定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列変異体でもよい。無傷の抗体は1つ又は複数のエフェクター機能を有するのが好ましい。
【0030】
本明細書での目的のための「裸の抗体」とは、細胞傷害性部分又は放射性標識にコンジュゲートされていない抗体のことである。
【0031】
「抗体断片」は無傷の抗体の一部、好ましくは、無傷の抗体の抗原結合又は可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、F(ab’)
2及びFv断片;ダイアボディ;リニア抗体(米国特許第5641870号、実施例2;Zapataら、Protein Eng.8(10):1057〜1062頁[1995]);一本鎖抗体分子;及び抗体断片から形成される多特異性抗体を含む。一実施形態では、抗体断片は無傷の抗体の抗原結合部位を含み、したがって、抗原に結合する能力を保持している。
【0032】
抗体のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、及び残余の「Fc」断片を生じ、その命名は容易に結晶化する能力を反映している。Fab断片は全L鎖の他にH鎖の可変領域ドメイン(V
H)、及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(C
H1)からなる。それぞれのFab断片は抗原結合に関しては一価である、すなわち、Fab断片は単一の抗原結合部位を有する。抗体をペプシン処理すると、二価の抗原結合活性を有する2つのジスルフィドに連結されたFab断片におよそ相当し、それでも抗原と架橋結合することができる、単一の大きなF(ab’)
2断片が得られる。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域由来の1つ又は複数のシステインを含むC
H1ドメインのカルボキシ終端に追加の数個の残基を有することでFab断片と異なっている。Fab’−SHは、本明細書では定常領域のシステイン残基(複数可)が遊離のチオール基を帯びているFab’の名称である。F(ab’)
2抗体断片は最初は、その間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学連結も知られている。
【0033】
Fc断片はジスルフィドにより結合されている両H鎖のカルボキシ終端部分を含む。抗体のエフェクター機能はFc領域の配列によって決定され、この領域はある特定タイプの細胞上で見出されるFc受容体(FcR)により認識される部分でもある。
【0034】
「Fv」は完全抗原認識及び結合部位を含有する最小抗体断片である。この断片は、緊密に非共有会合した1つの重と1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。一本鎖Fv(scFv)種では、1つの重と1つの軽鎖可変ドメインは、軽及び重鎖が2本鎖Fv種の構造に類似する「二量体」構造に会合することが可能であるように、柔軟なペプチドリンカーにより共有結合することが可能である。
これら2つのドメインのフォールディングから、抗原結合のためのアミノ酸残基を与え抗体に抗原結合特異性を授ける6つの超可変ループ(3つのループそれぞれがH及びL鎖由来である)が出てくる。しかし、単一可変ドメイン(又は抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でも抗原を認識し結合する能力を有するが、全結合部位よりも親和性は低い。
【0035】
「sFv」又は「scFv」とも略される「一本鎖Fv」は、連結されて単一ポリペプチド鎖になるV
HとV
L抗体ドメインを含む抗体断片である。sFvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーをV
HとV
Lドメインの間にさらに含むのが好ましい。sFvの概説は、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、vol.113、Rosenburg and Moore eds.、Springer−Verlag、New York、269〜315頁(1994)を参照されたい。
【0036】
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体のことであり、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、少量存在する可能性のある考えられる天然に存在する突然変異を除けば同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に向けられる。さらに、異なる決定基(エピトープ)に向けられる異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に向けられる。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は他の抗体に汚染されないで合成することができる点で有利である。修飾語句「モノクローナルの」は、いかなる特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈するべきではない。例えば、本発明に有用なモノクローナル抗体は、最初にKohlerら、Nature、256:495(1975)により記載されたハイブリドーマ法により調製してもよいし、又は細菌性、真核動物又は植物細胞において組換えDNA法(例えば、米国特許第4816567号参照)を使用して作成してもよい。「モノクローナル抗体」は、例えば、Clacksonら、Nature、352:624〜628頁(1991)及びMarksら、J.Mol.Biol.、222:581〜597頁(1991)に記載されている技法を使用してファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。
【0037】
本明細書のモノクローナル抗体は、重及び/又は軽鎖の一部が特定の種由来の又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一である又は相同であり、上記鎖(複数可)の残りが別の種由来の又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一である又は相同である「キメラ」抗体、並びに、所望の生物活性を示すのであればそのような抗体の断片を含む(米国特許第4816567号;及びMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851〜6855頁(1984)参照)。本明細書での目的のキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿、等)由来の可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化された」抗体を含む。
【0038】
非ヒト(例えば、齧歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体由来の最小配列を含有するキメラ抗体である。その大部分では、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の抗体特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種の超可変領域由来の残基(ドナー抗体)で置き換えられているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンの少数のフレームワーク領域(FR)残基は対応する非ヒト残基で置き換えられている。さらに、ヒト化抗体はレシピエント抗体にもドナー抗体にも見出せない残基を含むことがある。これらの改変は抗体性能をさらに洗練するために加えられる。一般に、ヒト化抗体は典型的には、超可変ループのすべて又は実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに一致し、FRのすべて又は実質的にすべてがヒト免疫グロブリン配列のFRである2つの可変ドメインを含むことになる。ヒト化抗体は任意選択で、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含む。さらなる詳細は、Jonesら、Nature 321:522〜525頁(1986);Riechmannら、Nature 332:323〜329頁(1988);and Presta、Curr.Op.Struct.Biol.2:593〜596頁(1992)を参照されたい。以下のレビュー論文及びそこに引用される参考文献:Vaswani and Hamilton、Ann.Allergy、Asthma and Immunol.、1:105〜115頁(1998);Harris、Biochem.Soc.Transactions、23:1035〜1038頁(1995);Hurle and Gross、Curr.Op.Biotech.、5:428〜433頁(1994)も参照されたい。
【0039】
用語「超可変領域」、「HVR」とは、本明細書で使用される場合、抗体可変ドメインのうち配列が高頻度可変性であり及び/又は抗原結合の原因となる構造的に規定されたループを形成する領域のことである。一般に、抗体は6つの超可変領域;VH中の3つ(H1、H2、H3)、及びVL中の3つ(L1、L2、L3)を含む。いくつかの超可変領域描写が使用されており本明細書に包含されている。超可変領域は、一般に「相補性決定領域」若しくは「CDR」由来のアミノ酸配列(例えば、Kabat番号付け方式に従って番号を付けた場合、VL中ではおよそ残基24〜34(L1)、50〜56(L2)及び89〜97(L3)並びにVH中ではおよそ31〜35(H1)、50〜65(H2)及び95〜102(H3);Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th Ed.Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991));及び/又は「超可変ループ」由来のアミノ酸残基(例えば、Chothia番号付け方式に従って番号付けをした場合、VL中では残基24〜34(L1)、50〜56(L2)及び89〜97(L3)、並びにVH中では26〜32(H1)、52〜56(H2)及び95〜101(H3);Chothia and Lesk、J.Mol.Biol.196:901〜917頁(1987));及び/又は「超可変ループ」/CDR由来のアミノ酸残基(例えば、IMGT番号付け方式に従って番号付けをした場合、VL中では残基27〜38(L1)、56〜65(L2)及び105〜120(L3)、並びにVH中では27〜38(H1)、56〜65(H2)及び105〜120(H3);Lefranc、M.P.ら、Nucl.Acids Res.27:209〜212頁(1999)、Ruiz、M.ら、Nucl.Acids Res.28:219〜221頁(2000))を含む。任意選択で、抗体は、Honneger、A.及びPlunkthun、A.J.に従って番号付けした場合、以下の点VL中の28、36(L1)、63、74〜75(L2)及び123(L3)、並びにVH中の28、36(H1)、63、74〜75(H2)及び123(H3)のうちの1つ又は複数に対称的挿入を有する(Mol.Biol.309:657〜670頁(2001))。本発明の抗体の超可変領域/CDRは好ましくは、IMGT番号付け方式に従って定義され番号付けされる。
【0040】
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
【0041】
「遮断」抗体又は「アンタゴニスト」抗体は、それが結合する抗原の生物活性を阻害する又は低下させる抗体である。好ましい遮断抗体又はアンタゴニスト抗体は抗原の生物活性を実質的に又は完全に阻害する。
【0042】
本明細書で使用される「アゴニスト抗体」は、目的のポリペプチドの機能的活性のうちの少なくとも1つを模倣する抗体である。
【0043】
「種依存性抗体」、例えば、哺乳動物抗ヒトIgE抗体は、第1の哺乳動物種由来の抗原に対して、第2の哺乳動物種由来のその抗原の相同体に対するよりも強い結合親和性を有する抗体である。通常、種依存性抗体はヒト抗原に「特異的に結合する」(すなわち、約1×10
−7M以下、好ましくは約1×10
−8M以下、最も好ましくは約1×10
−9M以下の結合親和性(K
d)値を有する)が、第2の非ヒト哺乳動物種由来の抗原の相同体に対して、ヒト抗原に対するその結合親和性の少なくとも約50分の1、又は少なくとも約500分の1、又は少なくとも約1000分の1である結合親和性を有する。種依存性抗体は上記の種々のタイプの抗体のいずれであることも可能であるが、好ましくは、ヒト化又はヒト抗体である。
【0044】
「結合親和性」とは一般に、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)の間の非共有結合相互作用の合計の強さのことである。別の方法で示されていなければ、本明細書で使用されるように、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)間の1対1相互作用を反映する内在的結合親和性のことである。分子XのそのパートナーYに対する親和性は一般に解離定数(K
d)により表すことが可能である。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当技術分野で公知の一般的方法により測定することが可能である。低親和性抗体は一般に抗原にゆっくり結合しすぐに解離する傾向があり、高親和性抗体は一般にもっと速く抗原に結合しもっと長く結合したままである傾向がある。結合親和性を測定する種々の方法が当技術分野では公知であり、そのうちのいずれでも本発明の目的のために使用することが可能である。特定の説明的実施形態が以下に記載されている。
【0045】
「K
d」又は「K
d値」は、固定化抗原CM5チップを約10〜50応答単位(RU)用いて25℃でBIAcore(商標)2000又はBIAcore(商標)3000(BIAcore、Inc.、Piscataway、NJ)を使用する表面プラズモン共鳴アッセイを使用することにより測定可能である。手短に言えば、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIAcore Inc.)をN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドハイドロクロライド(EDC)及びN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)を用いて、供給業者の説明書に従って活性化する。抗原は、5μl/分の流速での注射前に10mMの酢酸ナトリウム、pH4.8で5μg/ml(約0.2μM)に希釈して、おおよそ10応答単位(RU)の結合タンパク質を達成する。抗原の注射に続いて、1Mのエタノールアミンを注射して未反応基を遮断する。動態測定では、抗体又はFabの2倍連続希釈(0.78nM〜500nM)を25℃、おおよそ25μl/分の流速で0.05%のTween20を有するPBS(PBST)に注入する。会合速度(k
on)及び解離速度(k
off)は、会合及び解離センサーグラムの同時フィッティングにより単純な1対1対応ラングミュア結合モデル(BIAcore評価ソフトウェア3.2版)を使用して計算される。平衡解離定数(K
d)は比k
off/k
onとして計算される。例えば、Chen、Y.ら、(1999)J.Mol Biol 293:865〜881頁を参照されたい。上の表面プラズモン共鳴アッセイによりオンレート(on−rate)が10
6M
−1S
−1を超えた場合、スターレッドキュベット付のストップフロー装備分光光度計(Aviv Instruments)又は8000シリーズSLM−Aminco分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光光度計で測定される漸増濃度の抗原の存在下で、pH7.2、PBS中20nMの抗抗原抗体(Fab型)の25℃での蛍光放出強度(励起=295nm、放出=340nm、16nm通過幅)の増減を測定する蛍光消失技法を使用することによりオンレートを決定することが可能である。
【0046】
本発明に従った「オンレート」又は「会合の速度」又は「会合速度」又は「k
on」は、上記のBIAcore(商標)2000又はBIAcore(商標)3000(BIAcore、Inc.、Piscataway、NJ)を使用する上記の同じ表面プラズモン共鳴技法でも決定することが可能である。
【0047】
目的の抗原、例えば、腫瘍関連ポリペプチドCCR7抗原標的「に結合する」抗体は、抗体が抗原を発現している細胞又は組織を標的にするのに治療薬として有用であり、他のタンパク質とは著しく交差反応しないほど十分な親和性で抗原に結合する抗体である。そのような実施形態では、「非標的」タンパク質への抗体の結合の程度は、蛍光標示式細胞分取(FACS)分析又は放射性免疫沈降法(RIA)により決定される場合、特定の標的タンパク質への抗体の結合の約10%未満になる。標的分子への抗体の結合に関して、用語「特異的結合」又は特定のポリペプチド若しくは特定のポリペプチド標的上のエピトープ「に特異的に結合する」若しくは「に特異的である」とは、非特異的相互作用とは測定できるほど異なっている結合を意味する。特異的結合は、例えば、一般に結合活性を持たない類似の構造の分子である対照分子の結合と比べて、分子の結合を判定することにより測定することが可能である。例えば、特異的結合は、標的、例えば、過剰な非標識標的に類似している対照分子との競合により判定することが可能である。この場合、プローブへの標識標的の結合が過剰な非標識標的により競合的に阻害される場合には特異的結合が示される。本明細書で使用される用語「特異的結合」又は特定のポリペプチド若しくは特定のポリペプチド標的上のエピトープ「に特異的に結合する」若しくは「に特異的である」とは、少なくとも約10
−4M、代わりに少なくとも約10
−5M、代わりに少なくとも約10
−6M、代わりに少なくとも約10
−7M、代わりに少なくとも約10
−8M、代わりに少なくとも約10
−9M、代わりに少なくとも約10
−10M、代わりに少なくとも約10
−11M、代わりに少なくとも約10
−12M、又はそれよりも大きい標的に対するK
d(上記の通りに決定してもよい)を有する分子により示すことが可能である。一実施形態では、用語「特異的結合」とは、分子が特定のポリペプチド若しくは特定のポリペプチド上のエピトープに結合し、他のいかなるポリペプチド又はポリペプチドエピトープにも実質的に結合しない結合のことである。
【0048】
用語「エピトープ」とは、分子のうち、抗原結合タンパク質、例えば、抗体が結合する部分のことである。上記用語は、抗体などの抗原結合タンパク質に又はT細胞受容体に特異的に結合することができる任意の決定基を含む。エピトープは近接していても非近接でも可能である(例えば、ポリペプチド内で、ポリペプチド配列中では互いに近接していないが、分子という状況内では抗原結合タンパク質と結合しているアミノ酸残基)。ある特定の実施形態では、エピトープは、抗原結合タンパク質を生み出すのに使用されるエピトープに類似している三次元構造を含むが、抗原結合タンパク質を生み出すのに使用されるそのエピトープに見出されるアミノ酸残基を1つも又は一部しか含まないという点で、擬態性であってもよい。きわめて多くの場合、エピトープはタンパク質上に存在するが、いくつかの例では、核酸などの他の種類の分子上に存在していることがある。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリル、スルホニル又は硫酸基などの分子の化学的に活性な表面基を含んでもよいし、特定の三次元構造的特徴及び/又は特定の電荷特徴を有していてもよい。一般に、特定の標的抗原に特異的である抗体は、タンパク質及び/又は巨大分子の複雑な混合物中で標的抗原上のエピトープを優先的に認識する。
【0049】
抗体「エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然の配列Fc領域又はアミノ酸配列変異Fc領域)に起因しうる生物活性のことであり、抗体アイソタイプにより変化する。抗体エフェクター機能の例は:C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC);Fc受容体結合;抗体依存性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節;並びにB細胞活性化を含む。
【0050】
本明細書の用語「Fc領域」は、天然配列Fc領域及び変異Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC終端領域を定義するために使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変化することがあるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226位のアミノ酸残基から、又はPro230位からそのカルボキシル終端まで伸びると定義されている。Fc領域のC終端リシン(EU番号付け方式に従えば残基447)は、例えば、抗体の産生若しくは精製中に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組換え的に操作することにより、取り除かれることがある。したがって、無傷の抗体の組成物は、すべてのK447残基が取り除かれた抗体集団、K447残基が取り除かれていない抗体集団、及びK447残基のある抗体とK447残基のない抗体の混合物を有する抗体集団を含むことがある。
【0051】
「機能的Fc領域」は天然配列Fc領域の「エフェクター機能」を有する。例となる「エフェクター機能」は、C1q結合;CDC;Fc受容体結合;ADCC;食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下方調節、等を含む。そのようなエフェクター機能は一般に、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と結合する必要があり、例えば、本明細書の定義で開示される種々のアッセイを使用して評価することが可能である。
【0052】
「天然配列Fc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域は、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非A及びAアロタイプ);天然配列ヒトIgG2 Fc領域;天然配列ヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域並びにその天然に存在する変異体を含む。
【0053】
「変異Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸改変、好ましくは1つ又は複数のアミノ酸置換(複数可)のため、天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。変異Fc領域は、天然配列Fc領域と又は親ポリペプチドのFc領域と比べて少なくとも1つのアミノ酸置換を有するのが好ましく、例えば、天然配列Fc領域に又は親ポリペプチドのFc領域に約1から約10のアミノ酸置換、好ましくは約1から約5アミノ酸置換を有する。本明細書の変異Fc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域と及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、非常に好ましくは、それと少なくとも約90%相同性、さらに好ましくは、それと少なくとも約95%相同性を有する。
【0054】
「抗体依存性細胞傷害」又は「ADCC」とは、ある特定の細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFc受容体(FcR)に結合している分泌されたIgが、これらの細胞傷害性エフェクター細胞が抗原担持標的細胞に特異的に結合しそれに続いて細胞毒で標的細胞を死滅させることを可能にする細胞傷害性の形態のことである。抗体は細胞傷害性細胞を「武装させ」、そのような死滅には絶対に必要とされる。ADCCを媒介するための一次細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現し、単球はFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現する。造血細胞上のFcR発現はRavetch and Kinet、Annu.Rev.Immunol.9:457〜92頁(1991)の464頁、表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5500362号又は米国特許第5821337号に記載されるアッセイなどのin vitroADCCアッセイを実施してもよい。そのようなアッセイに有用なエフェクター細胞は、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。代わりに又はさらに、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynesら(USA)95:652〜656頁(1998)に開示されるモデルなどの動物モデルで、in vivoで評価してもよい。
【0055】
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記述する。好ましいFcRは天然配列ヒトFcRである。さらに、好ましいFcRはIgG抗体に結合する受容体(ガンマ受容体)であり、これらの受容体の対立遺伝子変異体及び選択的にスプライシングされた形態を含む、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含む。FcγRII受容体は、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害化受容体」)を含み、これらの受容体は主にその細胞質ドメインが異なる類似するアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAはその細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBはその細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの阻害化モチーフ(ITIM)を含有する(概説M.in Daeron、Annu.Rev.Immunol.15:203〜234頁(1997)参照)。FcRはRavetch and Kinet、Annu.Rev.Immunol.9:457〜492頁(1991);Capelら、Immunomethods 4:25〜34頁(1994);and de Haasら、J.Lab.Clin.Med.126:330〜41頁(1995)で概説されている。将来同定されることになるFcRを含む他のFcRは、本明細書の用語「FcR」により包含されている。上記用語は母系性IgGの胎児への移行の原因である新生児受容体、FcRnも含む(Guyerら、J.Immunol.117:587頁(1976)及びKimら、J.Immunol.24:249頁(1994))。
【0056】
in vivoでのヒトFcRnへの結合及びヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドの血清半減期は、例えば、ヒトFcRnを発現しているトランスジェニックマウス若しくはトランスフェクトされたヒト細胞株で、又は変異Fc領域を有するポリペプチドが投与される霊長類でアッセイすることが可能である。国際公開第2000/42072号(Presta)はFcRへの結合が改良された又は減少した抗体変異体を記載している。例えば、Shieldsら、J.Biol.Chem.9(2):6591〜6604頁(2001)も参照されたい。
【0057】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つ又は複数のFcRを発現しエフェクター機能を遂行する白血球である。細胞は少なくともFcγRIIIを発現しADCCエフェクター機能を遂行するのが好ましい。ADCCを媒介するヒト白血球の例は、末梢血単核球(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞及び好中球を含み;PBMC及びNK細胞が好まれる。エフェクター細胞は天然の供給源から、例えば、血液から単離することができる。
【0058】
「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」とは、補体の存在下での標的細胞の溶解のことである。古典的補体経路の活性化は、その同族抗原に結合している抗体(適切なサブクラスの)への補体系の第1の成分(C1q)の結合により開始される。補体活性化を評価するため、例えば、Gazzano−Santoroら、J.Immunol.Methods 202:163頁(1996)に記載されているCDCアッセイを実施してもよい。変化したFc領域アミノ酸配列(変異Fc領域を有する抗体)及び増加した又は減少したC1q結合能力を有する抗体変異体は、例えば、米国特許第6194551号及び国際公開第1999/51642号に記載されている。例えば、Idusogieら、J.Immunol.164:4178〜4184頁(2000)も参照されたい。C1q結合を増加させ、それによってCDC活性を増加させる1つのそのような置換はE333A置換であり、この置換は本発明の抗体において都合よく適用することが可能である。
【0059】
用語「Fc領域を含む抗体」とはFc領域を含む抗体のことである。Fc領域のC終端リシン(EU番号付け方式に従えば残基447)は、例えば、抗体の精製中に又は抗体をコードする核酸の組換え操作により取り除かれることがある。したがって、本発明に従ったFc領域を有する抗体を含む組成物は、K447を有する抗体、K447すべてが取り除かれている抗体、又はK447残基のある抗体とない抗体の混合物を含むことが可能である。
【0060】
「配列同一性」及び「配列類似性」は、2つの配列の長さに応じて、グローバル又はローカル整列アルゴリズムを使用して2つのアミノ酸配列又は2つのヌクレオチド配列の整列により判定することが可能である。長さが類似する配列は、好ましくは、全長にわたって配列を最適に整列させるグローバル整列アルゴリズム(例えば、Needleman and Wunsch)を使用して整列させ、長さがかなり異なる配列は、好ましくは、ローカル整列アルゴリズム(例えば、Smith Waterman)を使用して整列させる。次に、配列は、少なくともある特定の最小パーセントの配列同一性(下で定義されている)を共有する場合(例えば、デフォルトパラメータを使用するプログラムGAP又はBESTFITにより最適に整列された場合)「実質的に同一である」又は「実質的に類似している」と呼ばれることもある。GAPはNeedleman and Wunschグローバル整列アルゴリズムを使用してその全長(完全長)にわたり2つの配列を整列させる、マッチの数を最大にしてギャップの数を最小にする。グローバル整列は、長さが類似する2つの配列の場合に配列同一性を判定するのに使用するのが適切である。一般に、GAPデフォルトパラメータが使用され、ギャップクリエーションペナルティ=50(ヌクレオチド)/8(タンパク質)及びギャップエクステンションペナルティ=3(ヌクレオチド)/2(タンパク質)。ヌクレオチドでは、使用されるデフォルトスコアリングマトリックスはnwsgapdna及びタンパク質ではデフォルトスコアリングマトリックスはBlosum62である(Henikoff & Henikoff、1992年、PNAS 89、915〜919頁)。配列整列及びパーセント配列同一性を表すスコアーは、GCG Wisconsinパッケージ、10.3版、Accelrys Inc.、9685 Scranton Road、San Diego、CA 92121〜3752頁 USAより入手可能などのコンピュータプログラムを使用して、又は上記のGAPについてと同じパラメータを使用してEmbossWIN2.10.0版においてプログラム「needle」(グローバルNeedleman Wunschアルゴリズムを使用する)若しくは「water」(ローカルSmith Watermanアルゴリズムを使用する)などのオープンソースソフトウェアを使用して、又はデフォルト設定(「needle」についてと「water」についての両方で及びタンパク質についてとDNA整列についての両方で、デフォルトギャップオープニングペナルティは10.0及びデフォルトギャップエクステンションペナルティは0.5;デフォルトスコアリングマトリックスはタンパク質ではBlosum62及びDNAではDNAFull)を使用して決定してもよい。全長がかなり異なる配列の場合、Smith Watermanアルゴリズムを使用する整列などのローカル整列が好ましい。代わりに、パーセント類似性又は同一性は、FASTA、BLAST、等などのアルゴリズムを使用して、公開データベースを検索することにより判定してもよい。
【0061】
上記の整列プログラムのうちのいずれかを使用して2つのアミノ酸配列を整列させた後は、所与のアミノ酸配列B(代わりに所与のアミノ酸配列Bにとっての、との、又はに対するある特定の%アミノ酸配列同一性を有する又は含む所与のアミノ酸配列Aとして表すことが可能である)にとっての、との、又はに対する所与のアミノ酸配列Aの%アミノ酸配列同一性は以下の通り:100掛ける割合X/Y、Xは配列整列プログラムによるAとBのそのプログラム整列での同一マッチとしてスコアー化されるアミノ酸残基の数であり、YはBにおけるアミノ酸残基の総数である、に計算される。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、BにとってのAの%アミノ酸配列同一性はAにとってのBの%アミノ酸配列同一性と等しくならないことは認識されている。
【0062】
「核酸構築物」又は「核酸ベクター」は、本明細書では、組換えDNA技術の使用から生じる人工の核酸分子を意味すると理解されている。したがって、用語「核酸構築物」は天然に存在する核酸分子を含まないが、核酸構築物は天然に存在する核酸分子(の部分)を含んでいてもよい。用語「発現ベクター」又は「発現構築物」とは、そのような配列に適合する宿主細胞又は宿主生物において遺伝子の発現を引き起こすことができるヌクレオチド配列のことである。これらの発現ベクターは典型的には、少なくとも適切な転写調節配列及び任意選択で3’転写終結シグナルを含む。発現エンハンサーエレメントなどの、発現を引き起こすのに必要な又は役立つ追加の因子も存在していてよい。発現ベクターは適切な宿主細胞内に導入され、宿主細胞のin vitro細胞培養物においてコード配列の発現を引き起こすことができる。発現ベクターは、本発明の宿主細胞又は生物での複製に適している。
【0063】
本明細書で使用されるように、用語「プロモーター」又は「転写調節配列」とは、1つ又は複数のコード配列の転写を制御するように機能し、コード配列の転写開始部位の転写の方向に関して上流に位置しており、DNA依存性RNAポリメラーゼの結合部位、転写開始部位並びに転写因子結合部位、リプレッサー及びアクチベータータンパク質結合部位を含むがこれらに限定されない他の任意のDNA配列、並びにプロモーターからの転写の量を直接的に又は間接的に調節するようにふるまう当業者には公知であるヌクレオチドの他の任意の配列の存在により構造的に同定される核酸断片のことである。「構成的」プロモーターとは、大半の生理及び発生条件下、大半の組織で活性であるプロモーターである。「誘導性」プロモーターとは、例えば、化学誘導剤の適用により生理的に又は発生的に調節されるプロモーターである。
【0064】
本明細書で使用されるように、用語「作動可能に連結された」とは機能的関係でのポリヌクレオチドエレメントの連結のことである。核酸は、それが別の核酸配列と機能的関係に置かれている場合「作動可能に連結されている」。例えば、転写調節配列は、それがコード配列の転写に影響を与えるならば、コード配列に作動可能に連結されている。作動可能に連結されたとは、連結されているDNA配列が典型的には近接しており、2つのタンパク質コード領域を結合させることが必要な場合、近接していてリーディングフレーム内にあることを意味する。
【0065】
発明の詳細な説明
本発明の抗CCR7抗体
第1の態様では、本発明はCCR7に結合する抗原結合タンパク質を提供する。CCR7に結合する本発明の抗原結合タンパク質は、好ましくは、例えば、抗CCR7抗体、抗体断片、抗体誘導体、抗体変異タンパク質、及び抗体変異体を含む、本明細書で上に定義される最も広い意味での抗CCR7抗体である。本発明の抗CCR抗体は、好ましくは、単離された抗体である。本発明の抗CCR抗体は、霊長類CCR7に結合するのが好ましく、ヒトCCR7に結合するのがさらに好ましい。ヒトCCR7のアミノ酸配列はジェンバンク:EAW60669.1で入手可能である(配列番号75)。この配列のアミノ酸1〜24は、発現中に切断される膜移行シグナルペプチドを含む。ヒトCCR7のアミノ酸25〜59はN終端細胞外ドメインを構成し、このドメインはY
32位及びY
41位に硫酸化チロシン残基を含む。種々の対立遺伝子変異体は、ジェンバンク:EAW60669.1の配列と比べて1つ又は複数のアミノ酸置換を有するヒトCCR7で知られている。本発明での「ヒトCCR7」は、少なくとも変異体が細胞外ドメイン及びCCR7の機能を有する限り、これらの対立遺伝子変異体を含む。
【0066】
本発明の抗CCR7抗体は好ましくは、CCR7、好ましくはヒトCCR7のN終端細胞外ドメインに特異的に結合する。本発明の抗体は、好ましくは、Zが硫酸化チロシンであり、xが任意のアミノ酸であることが可能であり、Fが疎水性アミノ酸で置き換えることが可能である、アミン酸配列「ZxLFE」を含む又はからなるエピトープに特異的に結合する。したがって、本発明の抗体は好ましくは、ヒトCCR7のN終端細胞外ドメイン中の41〜45位にアミノ酸配列「ZTLFE」を含む又はからなるエピトープに特異的に結合する。抗体は、好ましくは、ヒトCCR7に特異的である。
【0067】
本発明の抗CCR7抗体は、好ましくは、ヒトCCR7に対して又は「ZTLFE」エピトープを含む合成抗原に対して、好ましくは本明細書の実施例に記載される合成抗原SYM1899に対して最小親和性を有する。したがって、本発明の抗CCR7抗体は、1×10
−8M、5×10
−9M、2×10
−9M、1.8×10
−9M、1×10
−9M、1×10
−10M若しくは1×10
−11M又はそれよりも低いK
dを有するのが好ましい。代わりに、抗体の最小親和性は、同じアッセイにおいて試験されるときは、基準抗CCR7抗体のK
dを参照することにより定義される。したがって、好ましくは、本発明の抗CCR7抗体はヒトCCR7に対して又は「ZTLFE」エピトープを含む合成抗原(好ましくは、本明細書の実施例に記載される合成抗原SYM1899)に対して、抗原に対する基準抗CCR7抗体のK
dの10、5、2、1.5、1.2、1.1又は1.05倍以下であるK
dを有し、基準抗CCR7抗体はマウス抗CCR7抗体であり、その重鎖可変ドメインのアミノ酸配列は配列番号1であり、その軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列は配列番号2である。基準のK
dの10倍以下であるK
dを有する抗体は、基準抗体の親和性の10分の1以上である親和性を有する抗体であることは本明細書では理解されている。したがって、基準抗体が1×10
−9MのK
dを有する場合、問題の抗体は1×10
−8M又はそれよりも低いK
dを有する。
【0068】
本発明の抗CCR7抗体は、好ましくは、ヒトCCR7に又は「ZTLFE」エピトープを含む合成抗原(好ましくは、本明細書の実施例に記載される合成抗原SYM1899;配列番号76)に、最大のk
off速度定数で結合する。したがって、本発明の抗CCR7抗体は、1×10
−3、1×10
−4若しくは1×10
−5s
−1又はそれよりも低いk
off速度定数を有するのが好ましい。代わりに、抗体の最大のk
off速度定数は、同じアッセイにおいて試験されるときは、基準抗CCR7抗体のk
off速度定数を参照することにより定義される。したがって、好ましくは、本発明の抗CCR7抗体は、ヒトCCR7に又は「ZTLFE」エピトープを含む合成抗原(好ましくは、本明細書の実施例に記載される合成抗原SYM1899)に、抗原に対する基準抗CCR7抗体のk
off速度定数の10、5、2、1.5、1.2、1.1又は1.05倍以下であるk
off速度定数で結合し、基準抗CCR7抗体はマウス抗CCR7抗体であり、その重鎖可変ドメインのアミノ酸配列は配列番号1であり、その軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列は配列番号2である。
【0069】
本発明の抗CCR7抗体は、好ましくは、CCL19及びCCL21から選択される少なくとも1つのCCR7リガンドによりCCR7依存性細胞内シグナル伝達及び/又はCCR7受容体内部移行を阻害する中和抗体である。抗CCR7抗体は、好ましくは、例えば、本明細書の実施例に記載されるアッセイにおいて決定することができるように、CCL19及びCCL21から選択される少なくとも1つのCCR7リガンドによるCCR7依存性細胞内シグナル伝達及び/又はCCR7受容体内部移行の阻害について、150、100、80、50、30、25、20、15、10、5又は3nM以下であるIC
50を有する。代わりに、抗体の最大IC
50は同じアッセイにおいて試験されるときは、基準抗CCR7抗体のIC
50を参照することにより定義される。したがって、好ましくは、本発明の抗CCR7抗体は、基準抗CCR7抗体のIC
50の10、5、2、1.5、1.2、1.1又は1.05倍以下であるIC
50を有し、基準抗CCR7抗体はマウス抗CCR7抗体であり、その重鎖可変ドメインのアミノ酸配列は配列番号1であり、その軽鎖可変ドメインのアミノ酸配列は配列番号2である。
【0070】
本発明の抗CCR7抗体は、好ましくは、例えば、本明細書の実施例に記載されるアッセイにおいて決定することができるように、実質的なアゴニスト効果なしで、さらに好ましくは検出可能なアゴニスト効果なしで、上記のCCR7依存性細胞内シグナル伝達CCR7を阻害する。
【0071】
本発明の抗CCR7抗体は、好ましくは、超可変領域HVR−H1、HVR−H2、HVR−H3、HVR−L1、HVR−L2及びHVR−L3を含み、
HVR−H1は配列:G−F/L−T/A/P−F−S/T/R−N/D/S−Y/F−Aを含み;
HVR−H2 H1は配列:I−S−S/D−G/R−G−S/T/F−Y/H/F−T/Pを含み;
HVR−H3 H1は配列:A/T/V/G−R−R/A−A/E/T−Y/G/T−R/V−Y/V−D/
*−GTG/
*−E/V/D/A/G/*−N/S/D/T−A/S/D−M/L/F−Y/Sを含み;
HVR−L1 H1は配列:Q/S−D/S−I/L/V−G/S/L−D/S/P/G/N−S/N−
*/Y/DGKTYを含み;
HVR−L2 H1は配列:A/S/T−T/I/V−Sを含み;
HVR−L3 H1は配列:L/W/Q−Q−Y/F/G/W−A/T/S−S/N/H−S/F/N−P−L/P/Q−Tを含み、「
*」はその位置にアミノ酸が存在できないことを示す。
【0072】
本発明の抗CCR7抗体は、HVR−H1が配列番号3〜10のうちの1つを含み;HVR−H2が配列番号11〜16のうちの1つを含み;HVR−H3が配列番号17〜23のうちの1つを含み;HVR−L1が配列番号24〜30のうちの1つを含み;HVR−L2が配列番号31〜33のうちの1つを含み;及びHVR−L3が配列番号34〜39のうちの1つを含む抗体であるのがさらに好ましい。
【0073】
本発明の抗CCR7抗体は、HVR−H1、HVR−H2、HVR−H3、HVR−L1、HVR−L2及びHVR−L3を含み、それぞれが、順番に、(i)配列番号3、11、17、24、32、及び34;(ii)配列番号4、12、18、25、31、及び35;(iii)配列番号5、12、18、26、31、及び35;(iv)配列番号6、13、19、27、31、及び36;(v)配列番号7、14、20、24、31、及び35;(vi)配列番号8、15、21、28、31及び37;(vii)配列番号9、16、22、29、33及び38;又は(viii)配列番号10、14、23、30、31及び39を含むのが最も好ましい。
【0074】
本発明の抗CCR7抗体はマウス抗体又はキメラ、例えば、マウス−ヒト抗体でも可能である。しかし、好ましくは、抗体はヒト化抗体である。本発明に従ったヒト化抗体は、好ましくは、抗体が投与される対象において抗体に対する免疫原性応答をほとんど又はまったく誘発しない。例えば、本発明に従ったヒト化抗体は、宿主対象において、例えば、配列番号1及び2の配列を含む最初のマウス抗体と比べて、かなり減少したレベルでヒト抗マウス抗体応答(HAMA)を誘発する及び/又は誘発すると予想される。ヒト化抗体は、最小のヒト抗マウス抗体応答(HAMA)を誘発する若しくは誘発しない及び/又はこれを誘発する若しくは誘発しないと予想されるのが好ましい。本発明の抗体は、臨床的に許容できるレベルである又はそれよりも低い抗マウス抗体応答を誘発するのが最も好ましい。
【0075】
非ヒト抗体をヒト化するための種々の方法が当技術分野では公知である。例えば、ヒト化抗体は、1つ又は複数のアミノ酸残基を非ヒトである供給源から導入させることが可能である。これらの非ヒトアミノ酸残基は「移入」残基と呼ばれることが多く、この残基は典型的には「移入」可変ドメインから取られる。ヒト化は本質的には、超可変領域配列をヒト抗体の対応する配列の代わりに用いることにより、Winter及び共同研究者(Jonesら(1986)Nature 321:522〜525頁;Riechmannら(1988)Nature 332:323〜327頁;Verhoeyenら(1988)Science 239:1534〜1536頁)の方法に従って実施することが可能である。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインよりかなり少ない部分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されているキメラ抗体(米国特許第4816567号)である。実際、ヒト化抗体は典型的には、いくつかの超可変領域残基及びおそらくいくつかのFR残基が齧歯類抗体由来の類似する部位由来の残基で置換されているヒト抗体である。
【0076】
ヒト化抗体を作成するのに使用されるヒト可変ドメインの選択は、軽でも重でも、抗原性を減少させるのに非常に重要である。いわゆる「最良適合」法に従って、齧歯類抗体の可変ドメインの配列は既知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリーに対してスクリーニングされる。次に、齧歯類の配列に最も近いヒト配列はヒト化抗体のためのヒトフレームワークとして受け入れられる(Simsら、1993年、J.Immunol.151:2296頁;Chothiaら、1987年、J.Mol.Biol.196:901頁)。別の方法は、軽又は重鎖の特定のサブグループのすべてのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用してもよい(Carterら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4285頁;Prestaら(1993)J.Immunol、151:2623頁)。
【0077】
抗体が抗原に対する高親和性及び他の都合の良い生物学的特性を保持したままヒト化されるのはさらに重要である。この目標を達成するため、1つの方法に従って、ヒト化抗体は、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用する親配列及び種々の概念的ヒト化産物の分析のプロセスにより調製される。三次元免疫グロブリンモデルは一般に入手可能であり当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の高可能性な三次元立体構造を図示し表示するコンピュータプログラムは入手可能である。これらの表示を検査すれば、候補免疫グロブリン配列の機能化での残基の可能性のある役割を分析すること、すなわち、その抗原に結合する候補免疫グロブリンの能力に影響を与える残基を分析することが可能になる。この方法で、FR残基は、標的抗原(複数可)に対する増加した親和性などの所望の抗体特徴が達成されるように、レシピエント及び移入配列から選択し組み合わせることが可能である。一般に、超可変領域残基は抗原結合に影響を与えることに直接及び最も実質的に関与している。
【0078】
本発明の好ましいヒト化抗体を作成するのに使用される好ましいヒト可変ドメインフレームワーク領域の選択では、軽でも重でも、BLAST検索アルゴリズムを使用して729抗体のマウスVHドメインとの比較のためにヒトIgG配列のオンラインデータベースを検索した。候補ヒト可変ドメインは上位200BLAST結果から選択された。これらの候補は、重要なフレームワーク残基を維持しているフレームワーク相同性及びキャノニカルループ構造の組合せに基づいて3候補まで絞り込まれた。
【0079】
本発明の抗CCR7抗体は、好ましくは、抗体の重鎖可変ドメインがHFR1、HVR−H1、HFR2、HVR−H2、HFR3、HVR−H3及びHFR4の順に作動可能に連結されている4つの重鎖フレームワーク領域、HFR1〜HFR4、及び3つの超可変領域HVR−H1〜HVR−H3を含み、抗体の軽鎖可変ドメインがLFR1、HVR−L1、LFR2、HVR−L2、LFR3、HVR−L3及びLFR4の順に作動可能に連結されている4つの軽鎖フレームワーク領域、LFR1〜LFR4、及び3つの超可変領域HVR−L1〜HVR−L3を含む、抗体である。本発明の抗体中の重鎖フレームワーク領域HFR1〜HFR4は:i)それぞれ配列番号40、43、45及び48(すなわち、VH1由来のFR);ii)それぞれ配列番号41、44、46及び49(すなわち、VH2由来のFR);又はiii)それぞれ配列番号42、44、47及び49(すなわち、VH3由来のFR)のアミノ酸配列を有するのが好ましい。本発明の抗体中の軽鎖フレームワーク領域LFR1〜LFR4は:iv)それぞれ配列番号50、52、55及び58(すなわち、VL1由来のFR);又はv)それぞれ配列番号51、53、56及び59(すなわち、VL2由来のFR)のアミノ酸配列を有するのが好ましい。
【0080】
本発明の抗CCR7抗体では、抗体の重鎖可変ドメインは、配列番号61、62及び63(VH1、2又は3)のうちの少なくとも1つに少なくとも95、96、97、98、99又は100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むのが好ましく、抗体の重鎖可変ドメインは、配列番号61に少なくとも95、96、97、98、99又は100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むのがさらに好ましい。
【0081】
本発明の抗CCR7抗体では、抗体の軽鎖可変ドメインは、配列番号64及び65(VK1又は2)のうちの少なくとも1つに少なくとも95、96、97、98、99又は100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むのが好ましく、抗体の軽鎖可変ドメインは、配列番号64に少なくとも95、96、97、98、99又は100%配列同一性を有するアミノ酸配列を含むのがさらに好ましい。
【0082】
本発明の特に好ましい抗CCR7抗体は、配列番号61のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメイン(すなわち、VH1可変ドメイン)及び配列番号64のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン(すなわち、VK1可変ドメイン)を含む。
【0083】
本発明の抗CCR7抗体のアミノ酸配列改変(複数可)が想定されている。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改良するのが望ましいことがある。抗体のアミノ酸配列変異体は、抗体コード核酸内に適切なヌクレオチド変化を導入することにより、又はペプチド合成により調製される。そのような改変は、例えば、アンタゴニストのアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又はこれへの挿入、及び/又はこれの置換を含む。最終構築物が所望の特徴を有するのであれば、最終構築物を達成するために欠失、挿入、及び置換のいかなる組合せでも行われる。アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数又は位置を変えるなどの、アンタゴニストの翻訳後工程を変更してもよい。
【0084】
アミノ酸配列挿入は、長さが1残基から100又はそれよりも多い残基を含有するポリペプチドまでに及ぶアミノ−及び/又はカルボキシ−終端融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。終端挿入の例は、N終端メチオニル残基を有するアンタゴニスト又は細胞傷害性ポリペプチドに融合されたアンタゴニストを含む。アンタゴニスト分子の他の挿入変異体は、酵素のアンタゴニストのN−又はC終端への融合物、又はアンタゴニストの血清半減期を増加させるポリペプチドを含む。
【0085】
別のタイプの変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体はアンタゴニスト分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基が異なる残基で置き換えられている。抗体アンタゴニストの置換変異誘発のための最も大きな目的の部位は、超可変領域を含むが、FR変化も想定されている。
【0086】
抗体の別のタイプのアミノ酸変異体はアンタゴニストの最初のグリコシル化パターンを変更する。変更するとは、アンタゴニスト中に見出される1つ若しくは複数の炭水化物部分を欠失する、及び/又はアンタゴニスト中には存在しない1つ若しくは複数のグリコシル化部位を加えることを意味する。ポリペプチドのグリコシル化は典型的には、N連結又はO連結である。N連結とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合のことである。Xがプロリンを除く任意のアミノ酸である、トリペプチド配列アスパラギン−X−セリン及びアスパラギン−X−スレオニンはアスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチド中にこれらトリペプチド配列のいずれかが存在すると潜在的なグリコシル化部位を生み出す。O連結グリコシル化とは、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンに単糖又は単糖誘導体Nアセチルガラクトサミン、ガラクトース、若しくはキシロースのうちの1つが結合することであるが、5−ヒドロキシプロリン又は5−ヒドロキシリシンを使用してもよい。抗体にグリコシル化部位を加えることは、抗体が上記トリペプチド配列のうちの1つ又は複数を含有する(N連結グリコシル化部位のために)ようにアミノ酸配列を変更することにより都合よく成し遂げられる。最初の抗体の配列に1つ又は複数のセリン又はスレオニン残基を付加する、又はこれらの残基で置換することにより変更を加えてもよい(O連結グリコシル化部位のために)。抗体のアミノ酸配列変異体をコードする核酸分子は当技術分野で公知の種々の方法により調製される。これらの方法は、天然の供給源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列変異体の場合に)又はオリゴヌクレオチド媒介(又は部位特異的)変異誘発、PCR変異誘発、及び以前調製された変異体若しくはアンタゴニストの非変異版のカセット変異誘発による調製を含むがこれらに限定されない。
【0087】
いくつかの実施形態では、本発明の抗CCR7抗体は軽鎖及び/又は重鎖抗体定常領域を含む。当技術分野で公知のいかなる抗体定常領域でも使用することが可能である。軽鎖定常領域は、例えば、カッパ−又はラムダ−タイプの軽鎖定常領域、例えば、ヒトカッパ−又はラムダ−タイプの軽鎖定常領域が可能である。重鎖定常領域は、例えば、アルファ−、デルタ−、エプシロン−、ガンマ−、又はミュータイプの重鎖定常領域、例えば、ヒトアルファ−、デルタ−、エプシロン−、ガンマ−、又はミュータイプの重鎖定常領域が可能である。したがって、本発明の抗CCR7抗体は、いかなるアイソタイプでも、すなわち、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgE定常領域、並びにIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4定常領域を含む定常領域を有することが可能である。一実施形態では、軽又は重鎖定常領域は天然に存在する定常領域の断片、誘導体、変異体、又は変異タンパク質である。目的の抗体から異なるサブクラス又はアイソタイプの抗体を導き出すための技法、すなわち、サブクラススイッチングは公知である。したがって、IgG抗体は、例えば、IgM抗体から導き出してもよく、逆の場合も同様である。そのような技法により、所与の抗体(親抗体)の抗原結合特性を有するが、親抗体のアイソタイプ又はサブクラスとは異なる抗体アイソタイプ又はサブクラスに関連する生物学的特性も示す新しい抗体の調製が可能になる。組換えDNA技法を用いてもよい。特定の抗体ポリペプチドをコードするクローン化されたDNA、例えば、所望のアイソタイプの抗体の定常ドメインをコードするDNAをそのような手順で用いてもよい。Lanttoら(2002年、Methods Mol.Bio1.178:303〜16頁)も参照されたい。したがって、本発明の抗CCR7抗体は、例えば、本明細書で開示され所望のアイソタイプを有する可変ドメイン配列のうちの1つ又は複数を含む抗体(例えば、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgE、及びIgD)、並びにそのFab又はF(ab’)
2断片を含む。さらに、IgG4が望ましい場合、IgG4抗体に異種性をもたらすことが可能なH鎖内ジスルフィド結合を形成する傾向を軽減するためにBloomら(1997年、Protein Science 6:407頁)に記載されるヒンジ領域中に点突然変異(CPSCP−>CPPCP)を導入するのも望ましいことがある。
【0088】
本発明の抗CCR7抗体は、好ましくは、C1q結合、補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合、抗体依存性細胞傷害及び食作用からなる群から選択される少なくとも1つのエフェクター機能を有する機能的Fc領域を含む。
【0089】
本発明の抗CCR7抗体は、エフェクター機能を改良するために、例えば、抗体のADCC及び/又はCDCを増強するように、改変することが可能である。これは、抗体のFc領域に1つ又は複数のアミノ酸置換を導入することにより達成可能である。本発明の抗体のFc領域での好ましい置換は、例えば、Idusogieら、J.Immunol.164:4178〜4184頁(2000)に記載されているなどの、C1q結合を増加させ、それによって、CDC活性を増加させる置換である。C1q結合を増加させるFc領域での好ましい置換はE333A置換である。
【0090】
糖タンパク質、例えば、抗体のアミノ酸骨格に付加されているグリコシル基はいくつかの単糖又は単糖誘導体により形成され、異なる哺乳動物又は組織由来の細胞で産生される同じ抗体で異なることがある組成物を生じる。さらに、グリコシル基の異なる組成が抗体の抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を媒介する際の効力に影響を与えることがあり得ることが明らかにされている。したがって、異なる供給源由来の抗体のグリコシル化のパターンを研究することによりそうした特性を改良することが可能である。そのようなアプローチの例はNiwaら(2004年、Cancer Res、64(6):2127〜33頁)である。
【0091】
代わりに又はさらに、システイン残基(複数可)をFc領域に導入し、それによってこの領域での鎖内ジスルフィド結合形成を可能にすることができる。このようにして産生されるホモ二量体抗体は、改良された内部移行能力並びに/又は増加した補体媒介細胞死滅及び抗体依存性細胞傷害(ADCC)を有することができる。Caronら(1992年、J.Exp Med.176:1191〜1195頁)and Shopes、(1992年、Immunol.148:2918〜2922頁)を参照されたい。抗腫瘍活性が増強されたホモ二量体抗体は、Wolffら(1993年、Cancer Research 53:2560〜2565頁)に記載されるヘテロ二機能性架橋剤を使用して調製してもよい。代わりに、二重Fc領域を有する抗体を操作することが可能であり、それによって増強された補体溶解及びADCC能力を有することができる。Stevensonら(1989年、Anti−Cancer Drug Design 3:219〜230頁)を参照されたい。抗体の血清半減期を増加させるためには、例えば、米国特許第5739277号に記載されている通りに、サルベージ受容体結合エピトープを抗体(特に抗体断片)に組み込んでもよい。本明細書で使用されるように、用語「サルベージ受容体結合エピトープ」とは、IgG分子のin vivo血清半減期を増加させる原因であるIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4)のFc領域のエピトープのことである。
【0092】
本発明の好ましい抗CCR7抗体は、ヒトアロタイプGlm17,1の重鎖定常領域を含み(Jefferis and Lefranc(2009)MAbs 1巻 4号、1〜7頁参照)、この重鎖定常領域は配列番号79のアミノ酸配列を含む。本発明の抗体中のヒトアロタイプGlm17,1の重鎖定常領域はE333A置換を含むのがさらに好ましく、この重鎖定常領域は配列番号80のアミノ酸配列を含む。
【0093】
がんの細胞毒性化学療法又は放射線療法は、その療法が悪性細胞に対して選択性ではないために感受性正常細胞への毒性から生じる重篤な生命を危うくすることもある副作用により制限される。これらの問題を回避する1つの戦略は、治療薬を本発明の抗CCR7抗体などの抗体と連結することである。これにより、リガンド標的治療法への悪性細胞の曝露が増え、正常細胞の曝露が減る。Allen、Nature、2:750〜763頁(2002)を参照されたい。治療薬は免疫抑制剤、すなわち、本明細書で処置されている哺乳動物の免疫系を抑制する又は遮蔽するように作用する物質が可能である。これは、サイトカイン産生を抑制する、自己抗原発現を下方調節する若しくは抑制する、又はMHC抗原を遮蔽する物質を含むと考えられる。治療薬は、細胞傷害剤、すなわち、細胞の機能を阻害する若しくは妨げる及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質でも可能である。上記用語は、放射性同位元素、化学療法薬、すなわち、がんの処置に有用な化学化合物、及び小分子毒素又は細菌、真菌、植物若しくは動物起源の酵素的に活性な毒素などの毒素、又はその断片を含むことが意図されている。治療薬は、サイトカイン、ホルモン、成長因子、壊死因子、すなわち、細胞間介在物質として又は同じ細胞集団においてさえ別の細胞に作用する1つの細胞集団により放出されるタンパク質又はペプチドでも可能である。本明細書で使用されるように、用語サイトカインは、天然の供給源由来の又は組換え細胞培養物由来のタンパク質及びペプチド並びに天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物を含む。治療薬は、親薬物と比べて腫瘍細胞に対する細胞傷害性が低く酵素的に活性化される又はもっと活性な親形態に変換されることができる薬学的に活性な物質の前駆体又は誘導体形態のことであるプロドラッグでも可能である。
【0094】
抗体と1つ又は複数の小分子毒素のコンジュゲート
本発明の一好ましい実施形態では、本発明の抗CCR7抗体は1つ又は複数の毒素分子にコンジュゲートされている。使用することが可能である酵素的に活性な毒素及びその断片は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、αサルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ディアンチン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAP1、PAP11、及びPAP−S)、ニガウリ(momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ(sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、マイトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン類を含む。
【0095】
本発明は、核酸分解活性を備えた化合物(例えば、リボヌクレアーゼ又はデオキシリボヌクレアーゼ;DNaseなどのDNAエンドヌクレアーゼ)又は細胞構造又はオルガネラを損傷し、したがって、細胞を死滅する又は細胞の活力を減じることができる他の化合物にコンジュゲートされた抗体をさらに想定している。
【0096】
本発明の抗体は、プロドラッグを活性な抗がん薬に変換するプロドラッグ活性化剤にコンジュゲートされていてもよい。そのようなコンジュゲートの薬剤成分は、プロドラッグをそのもっと活性な細胞傷害形態に変換するような方法でプロドラッグに作用することができるいかなる薬剤でも含む。
【0097】
代わりに、本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部分に連結された本発明の抗CCR7抗体の少なくとも抗原結合領域を含む融合タンパク質は当技術分野で周知の組換えDNA技法を使用して構築することが可能である(例えば、Neubergerら、1984年、Nature、312:604〜608頁参照)。
【0098】
抗体と細胞傷害性薬剤のコンジュゲートは種々の二機能性タンパク質カップリング剤又はリンカーを使用して作ってもよい。リンカーは、細胞内での細胞傷害性薬物の放出を促進する「切断可能リンカー」でもよい。例えば、酸不安定性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカーを使用してもよい。代わりに、抗体及び細胞傷害性薬剤を含む融合タンパク質は、例えば、組換え技法又はペプチド合成により作ってもよい。
【0099】
本発明の抗体の産生及び精製
本発明の抗CCR7抗体はいくつかの従来の技法のいずれによっても調製することが可能である。本発明の抗CCR7抗体は通常、当技術分野で公知であるいかなる技法でも使用して、組換え発現系で産生される。例えば、Shukla and Thommes(2010年、「Recent advances in large−scale production of monoclonal antibodies and related proteins」、Trends in Biotechnol.28(5):253〜261頁)、Harlow and Lane(1988)「Antibodies:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY、and Sambrook and Russell(2001)「Molecular Cloning」:A Laboratory Manual (3rd edition)、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor Laboratory Press、NYを参照されたい。当技術分野で公知であるいかなる発現系でも使用して、本発明の組換えポリペプチドを作ることが可能である。一般に、宿主細胞は、所望のポリペプチドをコードするDNAを含む組換え発現ベクターで形質転換される。
【0100】
一態様では、したがって、本発明は、本発明の抗CCR7抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。1つのヌクレオチド配列は本発明の抗CCR7抗体の軽鎖の少なくとも可変ドメインを含むポリペプチドをコードし、別のヌクレオチド配列は本発明の抗CCR7抗体の重鎖の少なくとも可変ドメインを含むポリペプチドをコードする。好ましい核酸分子は、本発明の抗体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、例えば、プロモーター及びシグナル配列などの発現調節配列に作動可能に連結されている発現ベクターである。本発明の抗CCR7抗体ポリペプチドの発現のための好ましいシグナル配列は、例えば、重鎖シグナルペプチド:MGWTLVFLFLLSVTAGVHS(配列番号77)及び軽鎖シグナルペプチド:MVSSAQFLGLLLLCFQGTRC(配列番号78)を含む。
【0101】
別の態様では、本発明はこのセクションの上記核酸分子を含む細胞に関する。細胞は好ましくは、単離された細胞又は培養された細胞である。用いてもよい宿主細胞には、原核、酵母又は高等真核細胞がある。原核生物はグラム陰性又はグラム陽性生物、例えば、大腸菌(E.coli)又は桿菌を含む。高等真核細胞は昆虫細胞及び哺乳動物起源の確立した細胞株を含む。適切な哺乳動物宿主細胞株の例は、サル腎臓細胞のCOS−7株(Gluzmanら、1981年、Cell 23:175)、L細胞、293細胞、C127細胞、3T3細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、BHK細胞株、及びにMcMahanら、1991年、EMBO J.10:2821より記載されるアフリカミドリザル腎臓細胞株CVI由来のCVI/EBNA細胞株を含む。細菌、真菌、酵母、及び哺乳動物細胞宿主を用いて使用するための適切なクローニング及び発現ベクターはPouwelsら.(Cloning Vectors:A Laboratory Manual、Elsevier、New York、1985年)により記載されている。
【0102】
形質転換された細胞はポリペプチドの発現を促進する条件下で培養することが可能である。したがって、一態様では、本発明は、本発明の抗CCR7抗体を産生するための方法であって、ポリペプチドの発現に、及び、任意選択でポリペプチドを回収するのに貢献する条件下で、本明細書で定義される少なくとも1つの発現ベクターを含む細胞を培養するステップを含む方法に関する。
【0103】
本発明の抗CCR7抗体は、例えば、プロテインA−セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又は、例えば、ラクダ由来単一ドメイン(VHH)抗体断片に基づいて独特のアフィニティー精製溶液を提供するCaptureSelect(商標)リガンドを使用するアフィニティークロマトグラフィー(例えば、Eiflerら、2014年.Biotechnology Progress DOI:10.1002/btpr.1958を参照)を含む、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、Lowら、2007年、J.Chromatography B、848:48〜63頁;Shuklaら、2007年、J.Chromatography B、848:28〜39頁を参照)を含む、従来のタンパク質精製手順により回収することが可能である。本明細書で使用するために想定されているポリペプチドは、汚染内在性物質が実質的にないかなり均一な組換え抗CCR7抗体ペプチドを含む。
【0104】
本発明の抗体を含む組成物
他の態様では、本発明は、対象に投与するための、本発明の抗CCR7抗体、すなわち、CCR7受容体に結合する抗体、若しくはその抗原結合断片、又はその医薬誘導体若しくはプロドラッグを、薬学的に許容される担体、アジュバンド、若しくは溶媒と一緒に含む医薬組成物に関する。上記医薬組成物は、それを必要とする対象に有効量の組成物を投与することにより本明細書の下に記載される処置の方法で使用することが可能である。本明細書で使用される用語「対象」とは、哺乳動物として分類されるすべての動物のことであり、霊長類及びヒトを含むがこれらに限定されない。対象は好ましくは任意の年齢又は人種の男性又は女性ヒトである。
【0105】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される担体」とは、医薬品投与と適合するありとあらゆる溶剤、分散媒、コーティング剤、抗菌抗真菌剤、等張吸収遅延剤、及び同類の物を含むことが意図されている(例えば、「Handbook of Pharmaceutical Excipients」、Roweら eds.7th edition、2012年、www.pharmpress.comを参照)。薬学的に活性な物質のためのそのような媒体及び薬剤の使用は当技術分野では周知である。いかなる従来の媒体又は薬剤でも活性化合物と適合しない場合を除いて、組成物中でのその使用が想定されている。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は用いられる投与量及び濃度でレシピエントに無毒であり、ホスフェート、シトレート、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾールなどの);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む単糖、二糖、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;サクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例えば、亜鉛タンパク質複合体);並びに/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0106】
本発明の抗体は同じ製剤中にあってもよく、異なる製剤で投与されてもよい。投与は同時でも逐次でも可能であり、どちらの順番でも効果的であることがある。
【0107】
補助活性化合物も本発明の医薬組成物中に組み込むことが可能である。したがって、特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、処置中の特定の適応症のために必要に応じて1つを超える活性化合物、好ましくは、互いに悪い影響を与えない相補的活性を有する化合物を含有してもよい。例えば、化学療法薬、サイトカイン、鎮痛剤、又は免疫調節薬、例えば、免疫抑制薬若しくは免疫賦活薬をさらに供給するのが望ましいこともある。そのような他の活性薬剤の有効量は、とりわけ、医薬組成物中に存在する本発明の抗体の量、疾病若しくは障害又は処置のタイプ、等に依拠する。
【0108】
実施形態では、本発明の抗体は、留置剤及びマイクロカプセル化送達システム、例えば、リポソームを含む、放出制御製剤などの、身体からの急速な排除に対して上記化合物を保護する担体と一緒に調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの、生分解性、生体適合性ポリマーを使用することが可能である。そのような製剤の調製のための方法は当業者には明らかである。標的にされたリポソームを含む、リポソーム懸濁液も、薬学的に許容される担体として使用することが可能である。これらは、例えば、米国特許第4522811号、国際公開第2010/095940号に記載される、当業者に公知の方法に従って調製することが可能である。
【0109】
本発明の抗体(又はその断片)の投与経路は、経口でも、非経口でも、吸入によっても、局所的でも可能である。本明細書で使用される用語「非経口の」は、
静脈内、動脈内、リンパ内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸又は膣投与を含む。静脈内形態の非経口投与が好ましい。「全身投与」とは、経口、静脈内、腹腔内及び筋肉内投与を意味する。治療又は予防効果に必要な抗体の量は、当然のことながら、選択される抗体、処置中の状態の性質及び重症度並びに患者によって変化する。さらに、抗体は、例えば、抗体の減少用量でパルス注入により適切に投与してもよい。投与は注射により与えられるのが好ましく、一部、投与が短時間又は慢性かどうかに応じて、静脈内又は皮下注射が最も好ましい。
【0110】
したがって、特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、適切な単位用量形態での無菌溶液、懸濁液又は凍結乾燥製剤などの非経口投与に適した形態でもよい。注射可能な使用に適した医薬組成物は、無菌注射溶液又は分散液の即時調製のための無菌水溶液(水溶性の場合)又は分散液及び無菌粉末を含む。静脈内投与では、適切な担体は生理食塩水、静菌水、CremophorEM(BASF、Parsippany、N.J.)又はリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。あらゆる場合に、組成物は無菌でなければならず、容易な注射器使用可能性が存在する程度に流動性であるべきである。組成物は製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、薬学的に許容されるポリオール様グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール、及びその適切な混合物を含有する溶剤又は分散媒が可能である。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用により、分散の場合には必要な粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用により維持することが可能である。微生物の作用の予防は、種々の抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール、並びに同類の物により達成することが可能である。多くの場合、等張剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール又は塩化ナトリウムを組成物中に含むのが好ましい。
【0111】
注射用組成物の長期吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含むことによりもたらすことが可能である。
【0112】
無菌注射溶液は、活性化合物(例えば、ポリペプチド又は抗体)を必要な量で適切な溶剤に、適宜、上に列挙されている成分のうちの1つ又は組合せと共に取込み、続いて濾過無菌化することにより調製することが可能である。一般に、分散液は、基本的な分散媒及び上に列挙されている成分から必要な他の成分を含有する無菌溶媒中に活性化合物を取り込むことにより調製される。無菌注射溶液の調製のための無菌粉末の場合は、好ましい調製法は真空乾燥及び凍結乾燥であり、これにより活性成分とその既に無菌濾過されている溶液からの任意の追加の望ましい成分の粉末が得られる。
【0113】
特定の実施形態では、上記医薬組成物は静脈内(IV)又は皮下(SC)を介して投与される。充填剤、緩衝剤又は界面活性剤などの適切な賦形剤を使用することが可能である。当技術分野では周知であり、例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」(Ed.Allen、L.V.22nd edition、2012年、www.pharmpress.com)を含む種々の出典にさらに詳細に記載されているように、言及された製剤は、非経口投与組成物を調製するための標準法を使用して調製される。
【0114】
容易な投与及び投与量の均一性のために、医薬組成物、すなわち、非経口組成物を単位剤形で処方するのが特に有利である。本明細書で使用される単位剤形とは、対象が処置を受けるための単位投与量として適した物理的に別々の単位のことであり;それぞれの単位は必要な医薬担体と共同して所望の治療効果をもたらすように計算され予め決められた量の活性化合物(本発明の抗体)を含有する。本発明の単位剤形の規格は、活性化合物の独特の特徴及び達成されることになる特定の治療効果及び個体の処置のためのそのような活性化合物を配合する技術に固有の制限により規定され、これに直接依拠している。
【0115】
一般に、本発明の抗体の効果的投与量は、選択される化合物の相対的効力、処置中の障害の重症度及び患者の体重に依拠することになる。しかし、活性化合物は典型的には、1日に1回又は複数回、例えば、1日に1、2、3又は4回投与され、典型的な全1日量は0.001〜1000mg/kg体重/日、好ましくは約0.01〜約100mg/kg体重/日、最も好ましくは約0.05〜10mg/kg体重/日の範囲である。
【0116】
患者への抗体の投与は別として、本出願は遺伝子治療による抗体の投与を想定している。国際特許第96/07321号は、細胞内抗体を産生するための遺伝子治療の使用に関する。
【0117】
医薬組成物は、投与の説明書と一緒に容器、パック、又はディスペンサーに含めることが可能である。
【0118】
本発明の抗体及び医薬組成物を他の薬物と一緒に使用して併用療法を提供してもよい。他の薬物は同じ組成物の一部を形成しても、同時間又は異なる時間での投与のために別々の組成物として提供してもよい。
【0119】
本発明の抗体の使用
本発明の抗体及び医薬組成物は広範囲の疾患、状態、及び適応症の処置に有用になる。処置することが可能な疾患のタイプの例は、がん状態、炎症状態、組織又は臓器移植から生じる状態及び合併症、並びに線維症から生じる又はこれに関連する状態及び合併症を含む。
【0120】
本発明の抗体及び医薬組成物はがんに関連する障害又は疾病を処置するために、特に前記がんがCCR7受容体を発現している腫瘍細胞を特徴とするがんを処置するために、より詳細にはCCR7受容体を発現している腫瘍細胞を死滅させる又はこのアポトーシスを誘導するために適切に使用することが可能である。その腫瘍細胞がCCR7受容体を発現し、本発明に従った処置に感受性である説明的で非限定的がんは、慢性リンパ性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、大細胞型B細胞性リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、B細胞性急性リンパ性白血病、ホジキン病、成人T細胞白血病/リンパ腫、菌状息肉腫、慢性骨髄増殖性症候群の急性転化、骨髄異形成症候群の急性転化、乳がん、非小細胞肺がん、メラノーマ、胃がん又は頭頸部の扁平上皮癌及び結腸癌を含む。好ましい実施形態では、本発明に従った処置に感受性であるがんは、乳がん、非小細胞肺がん、メラノーマ、胃がん又は頭頸部の扁平上皮癌及び結腸癌を含む。非常に好ましい実施形態では、本発明に従った処置に感受性であるがんは、濾胞性リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫、バーキットリンパ腫、慢性骨髄増殖性症候群の急性転化及び骨髄異形成症候群の急性転化を含む。さらに非常に好ましい実施形態では、本発明に従って処置されるがんはCLL及びMCLを含む。
【0121】
特定の実施形態では、本発明の抗体は本明細書に記載される医学的状態の他の処置、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗ホルモン薬、種々の症状に対する治療薬、例えば、鎮痛剤、利尿薬、抗利尿剤、抗ウイルス剤、抗生物質、サイトカイン、栄養補助剤、貧血治療薬、血液凝固治療薬、骨治療薬、精神医学及び心理的治療薬、並びに同類のものを含む、化学療法、放射線療法、免疫療法、又は手術法と組み合わせてもよい。
【0122】
自家骨髄又は幹細胞移植をもたらすために抗CCR7抗体を用いた処置の後で上記患者から骨髄又は末梢血幹細胞を収穫してもよい。
【0123】
本発明の抗体の投与に先立って、がん性B細胞の表面でのCCR7又は他の標的タンパク質の発現を上方調節するために患者をサイトカインで処置するのも有用なことがある。サイトカインは、免疫エフェクター機能を刺激するために枯渇性抗体又は放射標識抗体の投与と同時に又はこれに先立って又はこの後に投与してもよい。
【0124】
一実施形態では、化学療法レジメンは本明細書に開示される治療を補完するのに使用してもよく、上記放射標識抗体の投与と同時に又はいかなる順でも逐次施してもよい。化学療法レジメンは、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン(ヒドロキシルダウノルビシンとも呼ばれる)、ビンクリスチン(オンコビンとも呼ばれる)及びプレドニゾン)、ICE(イダルビシン、シタラビン及びエトポシド)、ミトザントロン(Mitozantrone)、シタラビン、DVP(ダウノルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾン)、ATRA(すべてのトランス型レチノイン酸)、イダルビシン、ホエルツァー化学療法レジメン、ラ化学療法レジメン、ABVD(ブレオマイシン、ダカルバジン、ドキソルビシン及びビンクリスチン)、CEOP(シクロホスファミド、エピルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾロン)、2−CdA(2−クロロデオキシアデノシン)、FLAG&IDA(フルダラビン、シタラビン、フィルガストリム及びイダルビシン)、(それに続くG−CSF(顆粒球コロニー刺激因子)処置と一緒に又はなしで)、VAD(ビンクリスチン、ドキソルビシン及びデキサメタゾン)、M&P(メルファラン及びプレドニゾン)、C(シクロホスファミド)毎週、ABCM(アドリアマイシン、ブレオマイシン、シクロホスファミド及びマイトマイシン−C)、MOPP(メクロレタミン、ビンクリスチン、プレドニゾン及びプロカルバジン)及びDHAP(デキサメタゾン、シタラビン及びシスプラチン)からなる群から選択してもよい。好ましい化学療法レジメンはCHOPである。
【0125】
したがって、別の態様では、本開示は、がん、詳細にはその腫瘍細胞がCCR7受容体を発現するがんを処置するための方法であって、上記処置を必要とする対象に治療有効量の本発明の抗体、すなわち、CCR7受容体に結合する抗体若しくはその抗原結合断片、又は本発明の医薬組成物を投与することを含む方法に関する。特定の実施形態では、上記がんはCCR7受容体を発現している腫瘍細胞を特徴とするがんである。本発明に従って処置される説明的非限定的がんは、CLL、MCL、濾胞性リンパ腫、大細胞型B細胞性リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、B細胞性急性リンパ性白血病、ホジキン病、成人T細胞白血病/リンパ腫、菌状息肉腫、慢性骨髄増殖性症候群の急性転化、骨髄異形成症候群の急性転化、乳がん、非小細胞肺がん、メラノーマ、胃がん又は頭頸部の扁平上皮癌及び結腸癌を含む。好ましい実施形態では、本発明に従って処置されるがんは、乳がん、非小細胞肺がん、メラノーマ、胃がん又は頭頸部の扁平上皮癌及び結腸癌を含む。非常に好ましい実施形態では、本発明に従って処置されるがんは、濾胞性リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫、バーキットリンパ腫、慢性骨髄増殖性症候群の急性転化及び骨髄異形成症候群の急性転化を含む。さらに非常に好ましい実施形態では、本発明に従って処置されるがんはCLL及びMCLを含む。
【0126】
他の態様では、本発明は、CCR7受容体を発現している腫瘍細胞を死滅させるための又はそのアポトーシスを誘導するためのin vitro方法であって、上記細胞を本発明の抗体、すなわち、CCR7受容体に結合する抗体、又はその抗原結合断片に接触させることを含む方法に関する。特定の実施形態では、上記腫瘍細胞は、CLL及びMCL細胞などの、CCR7受容体を発現している腫瘍細胞である。
【0127】
「CCR7ポリペプチドを発現している腫瘍細胞の成長を阻害する」抗体又は「成長阻害」抗体とは、適切なポリペプチドを発現している又は過剰発現しているがん細胞の測定可能な成長阻害をもたらす抗体のことである。CCR7ポリペプチドはがん細胞の表面で発現される膜貫通型ポリペプチドである。好ましい成長阻害抗CCR7抗体は、適切な対照、典型的には試験されている抗体で処置されない腫瘍細胞である対照と比べて、CCR7発現腫瘍細胞の成長を20%よりも多く、好ましくは約20%〜約50%、さらに好ましくは50%よりも多く(例えば、約50%〜約100%)阻害する。一実施形態では、成長阻害は、細胞培養物中約0.1〜30mg/ml又は約0.5nM〜200nMの抗体濃度で測定することが可能であり、成長阻害は抗体に腫瘍細胞を曝露して1〜10日後に判定される。in vivoでの腫瘍細胞の成長阻害は、CCR7を発現している腫瘍細胞についての欧州特許第2474557号に記載されているなどの種々の方法で判定することが可能である。約1mg/kg〜約100mg/kg体重での抗CCR7抗体の投与により、抗体の最初の投与から約5日〜3ヶ月以内に、好ましくは約5〜30日以内に腫瘍サイズ又は腫瘍細胞増殖が減少する場合は、抗体はin vivoで成長阻害性である。
【0128】
「アポトーシスを誘導する」抗体は、アネキシンVの結合、DNAの断片化、細胞縮み、小胞体の拡大、細胞断片化、及び/又は膜小胞(アポトーシス小体と呼ばれる)の形成により判定されるプログラム細胞死を誘導する抗体である。細胞は通常、CCR7ポリペプチドを過剰発現する細胞である。細胞は腫瘍細胞、例えば、B細胞、T細胞、好塩基球、好酸球、好中球、単球、血小板又は赤血球などの造血細胞であるのが好ましい。アポトーシスに関連する細胞事象を評価するための種々の方法が利用可能である。例えば、ホスファチジルセリン(PS)転位はアネキシン結合により測定可能であり;DNA断片化はDNAラダリングを通じて評価可能であり、核/クロマチン凝縮はDNA断片化と共に低二倍体の細胞のいかなる増加によっても評価可能である。アポトーシスを誘導する抗体は、アネキシン結合アッセイにおいて未処置の細胞と比べてアネキシン結合の誘導が約2〜50倍が好ましく、約5〜50倍が好ましく、最も好ましくは約10〜50倍になる抗体である。
【0129】
「細胞死を誘導する」抗体は、生細胞を生育不能にさせる抗体である。上記細胞はCCR7ポリペプチドを発現する細胞であり、CCR7ポリペプチドを特異的に発現する又は過剰発現する細胞型である。細胞は特定の細胞型のがん性細胞でも正常細胞でもよい。CCR7ポリペプチドは、がん細胞の表面で発現される膜貫通型ポリペプチドでも、又はがん細胞により産生され分泌されるポリペプチドでもよい。細胞はがん細胞、例えば、B細胞又はT細胞でもよい。in vitroでの細胞死は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)又は補体依存性細胞傷害(CDC)により誘導される細胞死を区別するため、補体及び免疫エフェクター細胞の非存在下で決定してもよい。したがって、細胞死についてのアッセイは熱不活化血清を使用して(すなわち、補体の非存在下で)及び免疫エフェクター細胞の非存在下で実施してもよい。抗体が細胞死を誘導できるかどうかを判定するため、ヨウ化プロピジウム(PI)、トリパンブルー(Mooreら、Cytotechnology 17:1〜11頁(1995)を参照)又は7AADの取込みにより評価される膜統合性の消失を非処置細胞と比べて評価することが可能である。好ましい細胞死誘導抗体はBT474細胞でPI取込みアッセイにおいてPI取込みを誘導する抗体である。
【0130】
CCR7受容体を発現しており本発明の方法での処置に感受性の腫瘍細胞に関する情報、抗体、投与レジメン及び投与量はすでに言及済みである。特定の実施形態では、CCR7受容体を発現しており上記方法での処置に感受性の腫瘍細胞はCLL又はMCL細胞である。
【0131】
あらゆる場合に、言い回し「治療有効量」とは、既に定義されているがんを処置するのに効果的な量を意味し;上記量は所望の応答をもたらす、又は、例えば、転移の症状若しくは徴候若しくは原発腫瘍進行、サイズ、若しくは成長を寛解するのに十分な量であることが可能である。特定の対象に対する治療有効量は、処置を受けている状態、対象の健康全般、投与の方法、経路、及び用量並びに副作用の重症度などの要因に応じて変化することがある。効果は定量化の少なくとも約10%の変化をもたらすのが好ましく、少なくとも20%、30%、50%、70%、又は90%でも、又はそれよりも多いのが好ましい。組み合わせた場合、治療有効量は成分の組合せに比例し、効果は個々の成分単独に限定されない。治療有効量は症状を典型的には少なくとも約10%;通常は少なくとも約20%;好ましくは少なくとも約30%;又はさらに好ましくは少なくとも約50%調節する。代わりに、遊走の調節とは、種々の細胞型の遊走又は輸送が影響を受けることを意味する。そうしたことにより、例えば、影響を受けている細胞の数の統計的に有意で数量化できる変化が生じる。これは、時期又は標的領域内で引き付けられている標的細胞の数の減少のことがある。原発腫瘍進行、サイズ、播種又は成長の速度をモニターしてもよい。
【0132】
抗CCR7抗体及びそのような抗体を含む本発明の組成物を使用して、炎症状態並びに組織又は臓器移植から生じる状態及び合併症を処置することも可能である。
【0133】
CCR7活性は、クローン病及び潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)に関係付けられる。クローン病は、腸の細菌叢に対する過度に活性なTH1媒介免疫応答を反映すると考えられている慢性衰弱性炎症性腸疾患である。クローン病の病変は腸のどこにでも、時に胃腸管の他の場所に現われることがある。一方、潰瘍性大腸炎病変は通常、結腸に現われる。その病変の性質も異なっているが、その疾患は臨床的に区別するのが時に困難なほど十分に類似している。例えば、米国特許第6558661号を参照されたい。本明細書に記載される抗体及び組成物を使用して、IBD患者を処置し、及び/又はIBDの1つ若しくは複数の症状若しくは合併症を減少する、予防する、若しくは取り除くことが可能である。
【0134】
CCR7活性の阻害は組織又は臓器移植拒絶と関係付けられてきた(Loら、25 2011年、Transplantation 91:70〜77頁;Liuら、2011年、Eur J Immunol 41:611〜23頁;Yulingら、Am J Transplant 8:1401〜12頁)。本明細書に記載される抗体及び組成物を使用して、組織又は臓器移植レシピエント、例えば、腎臓、心臓、皮膚、若しくは肺移植レシピエントを処置し、及び/又は移植手術の1つ若しくは複数の合併症を減少する、予防する、若しくは取り除くことが可能である。
【0135】
CCR7活性は喘息、アレルギー性気管支炎、気管支平滑筋過形成、及び線維性肺疾患と関係付けられてきた(Gompertsら、2007年、J Leukoc Biol.82:449〜56;Kawakamiら、2012年、Cell Immunol 2575:24〜32頁;Saundersら、2009年、Clin Exp Allergy 39:1684〜92頁)。明細書に記載される抗体及び組成物を使用して、喘息、アレルギー性気管支炎、気管支平滑筋過形成、若しくは線維性肺疾患を抱えた患者を処置し、及び/又はこれらの疾患の1つ若しくは複数の症状若しくは合併症を減少する、予防する、若しくは取り除くことが可能である。
【0136】
CCR7活性は関節リウマチと関係付けられてきた(Moschovakisら、2012年、Eur J Immunol.42:1949〜55頁)。明細書に記載される抗体及び組成物を使用して、関節リウマチを抱えた患者を処置し、及び/又は関節リウマチの1つ若しくは複数の症状若しくは合併症を減少する、予防する、若しくは取り除くことが可能である。
【0137】
CCR7活性は多発性硬化症と関係付けられてきた(Aungら、2010年、J Neuroimmunol.226:158〜64頁)。明細書に記載される抗体及び組成物を使用して、多発性硬化症を抱えた患者を処置し、及び/又は多発性硬化症の1つ若しくは複数の症状若しくは合併症を減少する、予防する、若しくは取り除くことが可能である。
【0138】
CCR7活性は乾癬と関係付けられてきた(Fanら、2008年、Indian J Dermatol Venereol Leprol.74(5):550頁;Boseら、2013年、Am J Pathol、183(2):413〜421頁)。明細書に記載される抗体及び組成物を使用して、乾癬を抱えた患者を処置し、及び/又は乾癬の1つ若しくは複数の症状若しくは合併症を減少する、予防する、若しくは取り除くことが可能である。
【0139】
CCR7活性はアテローム性動脈硬化症と関係付けられてきた(Luchtefeldら、2010年、Circulation 10 122:1621〜28頁)。明細書に記載される抗体及び組成物を使用して、アテローム性動脈硬化症を抱えた患者を処置し、及び/又はアテローム性動脈硬化症の1つ若しくは複数の症状若しくは合併症を減少する、予防する、若しくは取り除くことが可能である。
【0140】
CCR7活性はHIV感染と関係付けられてきた(Evansら、2012年、Cytokine Growth Factor Rev.23:151〜57頁)。明細書に記載される抗体及び組成物を使用して、AIDSを有する患者を含む、HIVに感染した患者、又はHIVに罹患する若しくはAIDSを発症するリスクのある患者を処置し、及び/又はHIV若しくはAIDSの1つ若しくは複数の症状若しくは合併症を減少する、予防する、若しくは取り除くことが可能である。
【0141】
本発明の抗CCR7抗体及びそのような抗体を含む組成物は、線維症、好ましくは組織線維症の治療のためにさらに使用することが可能である。組織線維症の例は、肝線維症、腎線維症、肺線維症、皮膚線維症、心血管線維症、胃腸管線維症及び他の線維症疾患からなる群から選択される線維症を含む。肝線維症の例は、肝硬変、虚血性再灌流、肝臓移植後障害、壊死性肝炎、B型肝炎、C型肝炎、原発性胆汁性肝硬変、及び原発性硬化性胆管炎からなる群から選択される肝線維症を含む。肝硬変に関しては、アルコールによる誘導、薬物による誘導、及び化学誘導による誘導からなる群から選択される少なくとも1つにより引き起こされる肝硬変が挙げられる。腎線維症の例は、増殖性糸球体腎炎、硬化性糸球体腎炎、腎性線維化性皮膚炎、糖尿病性腎症、腎尿細管間質性線維症、及び巣状分節性糸球体硬化症からなる群から選択される腎線維症を含む。肺線維症の例は、肺間質性線維症、薬物誘発サルコイドーシス、肺線維症、特発性肺線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、びまん性肺胞外傷(diffuse pulmonary alveolar injury disease)、肺高血圧症、及び新生児気管支肺異形成症からなる群から選択される肺線維症を含む。皮膚線維症の例は、強皮症、ケロイド瘢痕、乾癬、肥厚性瘢痕、及び偽性強皮症(pseudo scleroderma)からなる群から選択される皮膚線維症を含む。心血管線維症の例は、アテローム性動脈硬化症、冠動脈再狭窄、うっ血性心筋症、心不全、心臓移植、及び心筋線維症からなる群から選択される心血管線維症を含む。胃腸管線維症の例は、コラーゲン大腸炎、絨毛萎縮、陰窩過形成(crypt hyperplasia)、ポリープ形成、クローン病の線維症、胃潰瘍治癒、及び腹部癒着手術後傷跡からなる群から選択される胃腸管線維症を含む。線維症は、骨関連線維性疾患から生じる状態を有することがあり、リウマチ様パンヌス形成のこともある。
【0142】
上に記載される上記治療法のいずれもそのような治療を必要とする、例えば、哺乳動物、好ましくは、霊長類、最も好ましくはヒトを含む、いかなる対象に適用してもよい。
【0143】
本文書では及びその特許請求の範囲では、動詞「含む(to comprise)」及びその活用は非限定的な意味で使用されて、この語に続く項目が含まれるが、具体的に言及していない項目は排除されないことを意味する。さらに、不定冠詞「1つ(a)」又は「1つ(an)」による要素への言及は、文脈がその要素のうちの1つ及び1つだけが存在することを明白に要求していなければ、その要素のうちの1つよりも多くが存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞「1つ(a)」又は「1つ(an)」は通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0144】
本明細書に引用されるすべての特許及び文献参照はこれにより参照によってその全体を組み込む。
【0145】
以下の実施例は説明目的でのみ提供され、決して本発明の範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0146】
実施例1 マウス抗CCR7mAbの産生
正常マウス(すなわち、マウス免疫系を備えたマウス)を、ヒトCCR7 N終端細胞外ドメイン由来のアミノ酸配列を含む又は発現している抗原で免疫化した。マウスモノクローナル抗体は標準ハイブリドーマ技術を使用して得た。
【0147】
CCR7 N終端ドメインのY
41での硫酸化を欠く抗原を使用する最初の試みにより、CCL19−又はCCL21−依存性CCR7シグナル伝達を中和できない抗体が産生された。Y
41の硫酸化を含む抗原での免疫化により、CCL19−又はCCL21−依存性CCR7シグナル伝達を中和することができる一連のマウスモノクローナル抗体が産生された。8つの選択されたマウス抗ヒトCCR7モノクローナル抗体について、配列が決定された。これら8つのモノクローナル抗体の超可変領域のアミノ酸配列は表1に収載されている。
【0148】
729マウス抗体の重及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号1及び2に与えられている。
【表1】
【0149】
実施例2 マウス抗CCR7mAbの評価
2.1 エピトープマッピング
モノクローナル抗体のエピトープマッピング(
図1)は、以前公表されたプロトコルに従って実施された(Slootstraら、1996年 Mol Divers、1:87〜96頁;Timmermanら、2007年、J Mol Recognit、20:283〜99年)。手短に言えば、それぞれのペプチドへの抗体の結合はELISAベースのPEPSCANで試験される。ペプチドアレイは、例えば、遮断液(PBS/1%Tween中4%ウマ血清、5%卵白アルブミン(w/v))に希釈した1mg/mlからなる一次抗体液と一緒にインキュベートする。洗浄後、ペプチドは、25℃で1時間、1000倍希釈の抗体ペルオキシダーゼコンジュゲートと一緒にインキュベートする。洗浄後、ペルオキシダーゼ基質溶液(0.5mg/ml 2,2’−アジノ−ジ−3−エチルベンズチアゾリンスルホネート(ABTS)及び0.05Mのクエン酸緩衝液pH4中0.006%H
2O
2)を添加した。室温での1時間インキュベーション後、発色現像を測定した。発色現像は電荷結合素子(CCD)−カメラと画像処理システムで定量化した。
【0150】
2.2 抗CCR7mAbはCCR7依存性細胞内シグナル伝達を阻害する
得られた抗CCR7モノクローナル抗体(表2)は、確立した標準βアレスチン動員アッセイ(PathHunter(商標)、DiscoverX、Fremont、CA、USA;Southernら、2013年、J Biomol Screen.18(5):599〜609頁)により決定した場合、ヒトCCR7過剰発現チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞においてCCL19及びCCL21媒介細胞内シグナル伝達を阻害する。
【表2】
【0151】
2.3 抗CCR7mAbは細胞遊走を阻害する
マウスmAb730は、リガンドCCL19及びCCL21により誘導されて内因的にヒトCCR7受容体を発現している、ヒトT細胞リンパ腫細胞の遊走(走化性)を阻害し、IC
50はそれぞれ15nM及び6nMである(
図2)。
【0152】
細胞遊走アッセイは、8μmポアサイズのインサート(Costar、Cambridge、MA、USA)を用いたトランスウェルダブルチャンバーを使用して実施した。下のチャンバーは、0.5%のBSAを補充したHamF12培養液に希釈したリガンド(CCL19又はCCL21)を含有した。CCR7内因性発現細胞(T細胞リンパ腫(HuT−78)は抗CCR7モノクローナル抗体と一緒に前インキュベートし、インサート内に置かれ、チャンバーアセンブリー(chamber assembly)を37℃でインキュベートした。下のチャンバーの膜横断遊走細胞の量は、細胞溶解後、DNA染色により決定した(CyQuant GR dye solution、Life Technologies Ltd、UK)。
【0153】
2.4 抗CCR7mAbはアゴニスト効果なしでCCR7シグナル伝達を遮断する
高濃度(267nM)で試験すると、確立した標準βアレスチン動員アッセイ(PathHunter(商標)、DiscoverX、Fremont、CA、USA;Southernら、2013年、J Biomol Screen.18(5):599〜609頁)により決定した場合、mAb729及び730を含む上の表2に収載されるマウス抗ヒトCCR7結合モノクローナル抗体はどれも、ヒトCCR7過剰発現チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において検出可能な細胞内アゴニスト効果を誘導しなかった(データは示してない)。IgG2aは負の対照として使用され、CCR7に対する天然リガンドであるCCL21は正の対照として使用された。
【0154】
2.5 親和性測定
2.5.1 Biacore親和性測定
同定されたモノクローナル抗体の親和性は、標準条件下Biacore測定により決定された。モノクローナル抗体は適切なセンサー表面に固定化され、ヒトCCR7のN終端由来の残基19〜49を含む硫酸化抗原SYM1899((pyroGlu)DEVTDDZIGDNTTVDZTLFESLCSKKDVRNK;配列番号76);Zは硫酸化されたチロシンを示す)の溶液をセンサー表面に通した。SYM1899に対するマウスmAb729の得られた親和性値(K
d)は0.7nMであった。
【0155】
2.5.2 フローサイトメトリー親和性測定
ヒトCCR7発現CHO細胞(10
6細胞/ml)は4℃で24時間、3倍希釈系列(範囲20nM〜0.11pM)でマウスmAb726〜735と一緒に前インキュベートされた。結合抗体の量は、フィコエリトリン(PE)で標識された二次マウス特異的抗体を用いて染色し、続いてフローサイトメトリーにより検出することにより決定された。EC
50値(表3)は、S字結合曲線から最小及び最大プラトー値の50%で決定された。
【表3】
【0156】
2.6 抗CCR7mAbは正常細胞上では安全である
CDCアッセイでは、正常無処置ヒトT細胞(
図3)は、効果的な濃度(範囲33〜0.5nM)での抗CCR7モノクローナル抗体mAb729−2Aを用いた処置に対して安全である。CDCアッセイはCuesta−Mateosら.(2015年、Cancer Immunol Immunother.DOI:10.1007/s00262−015−1670−z)により記載された通りに実施した。
【0157】
2.7 抗CCR7mAbはCD20抵抗性CLL患者腫瘍細胞を死滅させる
細胞分裂阻害薬及び抗CD20モノクローナル抗体療法に無応答であり抗CD20療法抵抗性だと見なされている患者由来のCD20抵抗性CLL腫瘍B細胞は、補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイにおいてmAb729−2A(IC
50 0.15nM)により十分に死滅する(
図4)。CDCアッセイはCuesta−Mateosら.(2015年、上記)により記載される通りに実施した。
【0158】
実施例3. ヒト化
3.1 ヒト化Abの設計及び構築
マウスモノクローナル抗体抗ヒトCCR7 MAb729がヒト化のために選択された。IMGT及びKabat由来の抗体番号付け方式を使用して、mAb729中でCDRが同定された(上の表1参照)。これら2つの番号付け方式は、マウス抗体の異なる残基をCDRに属すると同定し、組合せIMGT/Kabat CDR配列はCDRループ立体構造の最適保持のために使用された。本明細書で使用されるマウスmAb729のヒト化変異体のコードはmAb650である。
【0159】
マウス重鎖では、最も近いヒト生殖系列遺伝子V領域はホモサピエンス(Homo sapiens)IGHV3−21(配列番号73)である。マウス軽鎖では、最も近いヒト生殖系列遺伝子V領域はホモサピエンスIGKV1−39(配列番号74)である。
【0160】
重鎖のヒト化のために、ヒトIgG配列のオンラインデータベースが、マウスVHドメインとの比較のためにBLAST検索アルゴリズムを使用して検索され、候補ヒト可変ドメインが上位200BLAST結果から選択された。これらの候補は、重要なフレームワーク残基を維持するフレームワーク相同性と基準ループ構造の組合せに基づいて3候補に絞り込まれ、それぞれCAG17616(配列番号67)、AAL67510(配列番号68)及びACS96226(配列番号69)であった。マウス抗ヒトCCR7 MAb729 VHのCDRをこれらの受容体フレームワークに移植すると、ヒト化変異体VH1、VH2及びVH3になり、それぞれ配列番号61、62及び63に描かれるヒト化重鎖可変ドメインアミノ酸配列を有する。表4は、IMGT番号付けに従った3つのヒト化重鎖可変ドメイン中のフレームワーク領域のアミノ酸配列を収載している。
【表4】
【0161】
軽鎖のヒト化のため、ヒトIgG配列のオンラインデータベースが、マウスVLドメインとの比較のためにBLAST検索アルゴリズムを使用して検索され、候補ヒト可変ドメインが上位200BLAST結果から選択された。これらの候補は、重要なフレームワーク残基を維持するフレームワーク相同性と基準ループ構造の組合せに基づいて3候補に絞り込まれ、それぞれABI74066(配列番号70)、ABA26122(配列番号71)及びABU90653(配列番号72)であった。マウス抗ヒトCCR7 MAb729 VHのCDRをこれらの受容体フレームワークに移植すると、ヒト化変異体VK1、VK2及びVK3になり、それぞれ配列番号64、65及び66のヒト化軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を有する。表5は、IMGT番号付けに従った3つのヒト化軽鎖可変ドメイン中のフレームワーク領域のアミノ酸配列を収載している。
【表5】
【0162】
最初のVK3変異体はN連結グリコシル化モチーフ(NXS/T、Xはプロリンを除く任意のアミノ酸)を含有していた。このN連結グリコシル化モチーフは72位のアスパラギン残基をセリン残基に変更することにより取り除かれた。アスパラギンはマウスVL中のこの位置の残基であるセリンに変異された。一部のヒト抗体もこの位置にセリンを含有している。VK3変異体中のこのN連結グリコシル化モチーフ以外に、その他のヒト化変異体の配列中に存在しているさらなるN連結グリコシル化モチーフは見つからなかった。
【0163】
実施例4. ヒト化抗CCR7mAbの評価
4.1 免疫原SYM1899への結合
免疫原SYM1899への抗体650変異体の結合を評価するELISAでは、硫酸化ペプチドはヒトCCR7のN終端(残基19〜49;配列番号76)に由来していた。100ng/ウェルのSYM1899はコーティング緩衝液中で96ウェルMaxisorpプレート上に固定化した。コーティング緩衝液は取り除き、200μl/ウェルの遮断液(3%w/vセミスキムミルク粉末、PBS)を添加し、室温で2時間撹拌した。プレートはPBS−T(0.001%v/vTween20)で6回洗浄した。抗体650変異体はPBS中1μg/mlまで希釈し、PBS中連続1対1希釈を濃度0.0078μg/mlまで行った。それぞれの抗体希釈液の3通りのウェル当たり100μlを、PBSの負の対照に加えてプレートに添加し、撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。プレートはPBS−Tで6回洗浄した。100μl/ウェルのヤギ抗ヒトHRP(Fc特異的)(PBS中1対60000)を添加し、プレートは撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。プレートはPBS−Tで6回、PBS中1回洗浄した。100μl/ウェルのTMB基質溶液を添加し37℃で10分間インキュベートした。ウェル当たり50μlの1M HClを添加し、プレートは直ちにBioliseプレート読取り装置上450nmで読み取った。
【表6】
【0164】
mAb650のヒト化は成功し、いくつかの潜在的候補変異体が同定された。LC3軽鎖変異体を含む3つの抗体650変異体はすべてSYM1899には十分に結合せず、K
dは100よりも高かった。
【0165】
HC1 LC1は1.78の最も良いK
dを生じ、驚くべきことに、2.14のK
dを有するキメラHC0 LC0よりもはるかに良くSYM1899と結合する唯一の構築物であった。
【0166】
4.2 抗体650変異体1−1、2−1及び3−1はCLL細胞においてADCCを媒介する
同じ軽鎖変異体を含む3つのヒト化抗ヒトCCR7 IgG1mAb(LC1、すなわち、重鎖
*軽鎖:1
*1=HC1 LC1;2
*1=HC2 LC1;及び3.1=HC3 LC1)及びキメラ抗ヒトCCR7mAb(Fabマウス/Fcヒト:0
*0=HC0 LC0)は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)アッセイ(n=2)により決定した場合、慢性リンパ性白血病患者由来の悪性T細胞の50〜60%を死滅させた(
図5)。アレムツズマブ(ALEM)及びリツキサン(RTX)は正の対照として使用し、mAb IGG1は負の対照として使用した。ADCCアッセイはSomovilla−Crespoら(2013年、J.of Hematol.&Oncol.6:89頁)により記載されている通りに実施した。
【0167】
4.3 ヒト化抗CCR7 mAb650はCCR7受容体内部移行を阻害する
抗CCR7 mAb650−H1L1のアンタゴニスト活性は、本質的には下記の通り、確立した活性内部移行アッセイ(PathHunter(商標)、DiscoverX、Fremont、CA、USA)により決定された場合、CCL19誘導CCR7受容体内部移行の阻害により実証される(IC
50 0.4155μg/ml=2.8nM;試験された範囲:267〜0.014nM)(
図6)。
【0168】
活性内部移行アッセイ設計:GPCRエンドサイトーシス
EFC技術を使用して、DiscoverRx社は受容体内部移行を研究するためのいくつかの方法を開発した。PathHunter(登録商標)活性化GPCR内部移行アッセイはアレスチン媒介GPCR内部移行の定量的測定を提供し、生細胞中の細胞膜由来の非標識アレスチン結合GPCRの動きをモニターすることを可能にする。
【0169】
アンタゴニスト決定では、細胞はアンタゴニストと一緒に前インキュベートされ、続いてEC80濃度でアゴニストチャレンジを行った。試料ストックの中間希釈を実施してアッセイ緩衝液中5×試料を作成した。5μLの5×試料を細胞に添加し、37℃又は室温で30分間インキュベートした。溶媒濃度は1%であった。アッセイ緩衝液中6×EC80アゴニストを5μl、細胞に添加し、37℃若しくは室温で90若しくは180分間(EA−アレスチン/EA−エンドソーム)又は37℃で16時間(EA−膜)インキュベートした。
【0170】
シグナル検出
アッセイシグナルは、12.5又は15μL(50%v/v)のPathHunter検出試薬カクテルの単回添加、続いて室温で1時間のインキュベーションを通じて発生させた。化学発光シグナル検出のためにPerkinElmer Envision(商標)装置を用いて、シグナル発生に続いてマイクロプレートを読み取った。
【0171】
データ解析
複合活性はCBISデータ解析スイート(ChemInnovation、CA)を使用して解析した。アンタゴニストモードアッセイでは、パーセント阻害は以下の式:%阻害=100%×(1−(試験試料の平均RLU−溶媒対照の平均RLU)/(EC80対照の平均RLU−溶媒対照の平均RLU))を使用して計算した。
【0172】
4.3 ヒト化抗CCR7mAb650はβアレスチン経路のCCR7依存性細胞内シグナル伝達を阻害する
CCR7のCCL19誘導細胞内シグナル伝達は、本質的には下記の通り、確立したβアレスチン動員アッセイ(PathHunter(商標)、DiscoverX、Fremont、CA、USA)により決定された場合、mAb650−H1L1、マウスmAb729のヒト化版により効果的に阻害される(IC
50 9.5622μg/ml=63.7nM;試験された範囲:267〜0.014nM)(
図7)。
アレスチン経路
【0173】
PathHunter(登録商標)βアレスチンアッセイは、機能的リポーターとしてβガラクトシダーゼ(β−Gal)を用いた酵素断片補完(Enzyme Fragment Complementation)(EFC)と呼ばれるDiscoverRx社が開発した技術を使用して同種非画像化アッセイフォーマットにおいてGPCRの活性化をモニターする。
【0174】
アッセイ設計
アンタゴニスト調節フォーマット:アンタゴニスト決定では、細胞はアンタゴニストと一緒に前インキュベートされ、続いてEC80濃度でアゴニストチャレンジを行った。試料ストックの中間希釈を実施してアッセイ緩衝液中5×試料を作成した。5μLの5×試料を細胞に添加し、37℃又は室温で30分間インキュベートした。溶媒濃度は1%であった。アッセイ緩衝液中6×EC80アゴニストを5μl、細胞に添加し、37℃又は室温で90又は180分間インキュベートした。
【0175】
シグナル検出
アッセイシグナルは、12.5又は15μL(50%v/v)のPathHunter検出試薬カクテルの単回添加、続いて室温で1時間のインキュベーションを通じて発生させた。化学発光シグナル検出のためにPerkinElmer Envision(商標)装置を用いて、シグナル発生に続いてマイクロプレートを読み取った。
【0176】
データ解析
複合活性はCBISデータ解析スイート(ChemInnovation、CA)を使用して解析した。アンタゴニストモードアッセイでは、パーセント阻害は以下の式:%阻害=100%×(1−(試験試料の平均RLU−溶媒対照の平均RLU)/(EC80対照の平均RLU−溶媒対照の平均RLU))を使用して計算した。
【0177】
4.4 ヒト化抗CCR7mAb650はCCR7依存性細胞内cAMPシグナル伝達を阻害する
mAb650−H1L1は、本質的には下記の通り、確立したcAMP二次メッセンジャー経路アッセイ(PathHunter(商標)、DiscoverX、Fremont、CA、USA)により決定された場合、CCL19誘導CCR7依存性細胞内cAMPシグナル伝達を阻害する(IC
50 1.609μg/ml=10.7nM;試験された範囲:267〜0.014nM)(
図8)。
【0178】
cAMP二次メッセンジャー経路
DiscoverRx社は、cAMPを通じて内因的にシグナルを送るタグされていないGPCRを安定的に発現している細胞株のパネルを開発していた。Hit Hunter(登録商標)cAMPアッセイは、機能的エンドポイントとしてβガラクトシダーゼ(β−Gal)を用いた酵素断片補完(EFC)と呼ばれるDiscoverRx社が開発した技術を使用して同種非画像化アッセイフォーマットにおいてGi及びGs二次メッセンジャーシグナル伝達を介してGPCRの活性化をモニターする。
【0179】
アッセイ設計:GPCR cAMP調節
インバースアゴニストフォーマット
インバースアゴニスト決定では、細胞はEC20フォルスコリンの存在下で試料と一緒に前インキュベートした。培養液は細胞から吸引し、15μLの2対1HBSS/10mM HEPES:cAMP XS+Ab試薬で置き換えた。試料ストックの中間希釈を実施して、4×EC20フォルスコリンを含有するアッセイ緩衝液中4×試料を作成した。4.5μLの4×試料を細胞に添加し、37℃又は室温で30又は60分間インキュベートした。最終アッセイ溶媒濃度は1%であった。
【0180】
シグナル検出
適切な複合インキュベーション後、アッセイシグナルは、20μLのcAMP XS+ED/CL溶解カクテルと一緒の1時間のインキュベーション、続いて20μLのcAMP XS+EA試薬と一緒の室温で3時間のインキュベーションを通じて発生させた。化学発光シグナル検出のためにPerkinElmer Envision(商標)装置を用いて、シグナル発生に続いてマイクロプレートを読み取った。
【0181】
データ解析
複合活性はCBISデータ解析スイート(ChemInnovation、CA)を使用して解析した。Giインバースアゴニストモードアッセイでは、パーセント活性は以下の式:%インバースアゴニスト活性=100%×((試験試料の平均RLU−EC20フォルスコリンの平均RLU)/(フォルスコリン正の対照の平均RLU−EC20対照の平均RLU))を使用して計算する。
【0182】
実施例5. ヒト化抗CCR7抗体のアロタイプ転換及びCDC増強されたFc突然変異体
5.1 アロタイプ転換されCDC増強された突然変異体の設計
ヒト化抗CCR7mAb650変異体1−1、2−1及び3−1の最初のアロタイプ(コードについては上記4.2参照)は十分に強いCDCエフェクター機能を生じなかった。したがって、3つの変異体1−1、2−1及び3−1のアロタイプはヒトアロタイプG1m17,1に転換されて変異体11−17、21−17、31−17を与え、それぞれが配列番号79に描かれている重鎖定常領域を有していた。CDCエフェクター機能をさらに増強するため、これら3つの変異体の重鎖定常領域はE333A置換(Idusogieら、2000年、J. Immunol.164:4178〜4184頁により記載されている)を導入することによりさらに改変されて、変異体11−AE、21−AE、31−AEを与え、それぞれが配列番号80に描かれている重鎖定常領域を有していた。さらに、11−17抗体の重鎖のHVR−H3(CDR3)アミノ酸配列を配列番号81のアミノ酸配列に変更することにより、対照抗体「11−x」を構築し、この抗体はCCR7を認識し結合する能力を完全に消失させた。抗体は500ml培養液体積中CHO細胞において一過性に発現され、精製され下記のさらなる試験のために、「0−0」とも呼ばれるキメラHC0 LC0抗体(上参照)と共に使用された。
【0183】
5.2 アロタイプ転換されCDC増強された突然変異体ヒト化抗体CCR7抗体の性能
次に、抗体11−17、21−17、31−17、11−AE、21−AE、31−AE、11−x及びキメラAb 0−0の性能を種々のアッセイで試験した。
【0184】
1.膜発現されるCCR7への抗体の結合は、3つの異なる慢性リンパ性白血病(CLL)試料上で及び3つの異なるT細胞前リンパ球性白血病(TPLL)試料上でのフローサイトメトリーによる蛍光活性化セルソーティング(FACS)により決定された(データは示していない)。適切な対照(ヒトアイソタイプ対照)は、比MFI(試料)/MFI(対照)から得られる陽性細胞のパーセント及び/又は相対的蛍光強度中央値(RMFI)を容易に計算するために含めた。CLL試料上では、抗体11−AE、11−17、31−17、31−AEが最も性能がよくキメラ0−0抗体よりも性能が優れてさえいた。TPLL試料上では、抗体11−AE及び11−17が最も性能がよかった。抗体11−AE、11−17、31−17、31−AEは2人の健康なドナー(HD)から得たT細胞では類似のFACSプロファイルを示したが、これらの抗体は好中球、単球又はNK細胞には結合しなかった(データは示していない)。
【0185】
2.抗体は、3つの異なるCLL試料及び1つのTPLL試料上での補体依存性細胞傷害(CDC)を媒介するその能力について試験された(データは示していない)。CDCアッセイは本質的にCuesta−Mateosら.(2015年、上記)により記載される通りに実施した。抗体11−17、11−AE及び31−AEは、試料番号1及び番号3の新たに単離されたCLL細胞においてCDCを媒介するのに最も良い応答を示した。抗体11−17及び11−AEは、試料番号2のCLL細胞上でCDCを媒介するのに応答を示した。抗体11−17、11−AE、21−AE及び31−AEは、試料番号1のTPLL細胞上でCDCを媒介するのに応答を示した。
【0186】
FACSプロファイル及びCDCの媒介における抗体の性能に関する上記結果に基づいて、抗体11−AE、11−17、31−17及び31−AEがさらに試験するために選択された。
【0187】
3.4つの選択された抗体のうち、11−AE及び11−17は4番目のCLL試料上で最もよいCDCプロファイルを示した(データは示していない)。
【0188】
4.4つの選択された抗体はADCCを媒介するその能力についてさらに試験した。ADCCアッセイは以下の通りに実施した。
【0189】
A)標的細胞:患者由来の単離されたPBMC又は悪性細胞は、培養液(RPMI+0.1%BSA)のみと一緒に、又は最終濃度10μg/mlで試験される抗体の存在下で培養液と一緒に37℃で30分間インキュベートされた。使用する試料に応じて、アイソタイプ対照(IC)及び/又は抗CD52(アレムツズマブ)及び/又は抗CD20(リツキシマブ)及び/又は抗CCR7抗体が試験された。未結合抗体は、2mlのRPMI+0.1%BSAを添加し1800rpmで2分間細胞を回転させることにより2度洗い流した。
【0190】
B)エフェクター細胞:ヒト又はマウスPBLは、フィコール密度勾配遠心分離により得た。NK細胞及び単球の割合は、CD16−PE及びCD14−APCに対する抗体を使用して上記のFACSにより決定した。
【0191】
C)標的細胞とエフェクター細胞を識別するため、PBLはカルセイン−UV細胞トラッカー(Invivogen)を用いて製造業者のプロトコルに従って標識した。手短に言えば、1μLの5mM細胞トラッカー溶液をPBS中それぞれmLの細胞懸濁液に添加し(1×10
6細胞/mL)、最終作業濃度5μMとした。試料は、光から保護しつつ37℃で20分間インキュベートした。次に、最初の染色体積の5倍の培養液を細胞に添加し5分間インキュベートし(このステップは溶液中に残るいかなる遊離の色素を取り除く)、細胞は1800rpmで2分間遠心分離によりペレット化した。
【0192】
D)標的細胞は、RPMI+10%FBS中10
4細胞/ウェルで96ウェル丸底プレートに蒔かれた。次に、カルセイン−UV標識PBLを、異なるエフェクター対標的比(E対T)でエフェクター細胞として(細胞溶解のエフェクターとして)使用した。4時間のインキュベーション後、標的細胞はいくつかの特異的マーカーで染色され、細胞生存率は7AAD染色により決定された。それぞれの試料はフローサイトメトリーで分析された。ADCCにより死滅した標的細胞のパーセントは:%溶解=100×(ER−SR)/(MR−SR)により決定された。ER、SR、及びMRは実験的、自然な及び最大細胞死を表す。データは媒体対照に正規化された。
【0193】
4つの選択された抗体はすべて、2つの異なるCLL試料上で単離されたPBLを使用してADCCを媒介するのにアレムツズマブ及びリツキシマブよりも性能がよかった(データは示していない)。
【0194】
5.4つの選択された抗体はすべて、アレムツズマブ抵抗性CLL試料上で単離されたPBLを使用してADCCを媒介することができた(データは示していない)。
【0195】
6.フローサイトメトリー親和性プロファイル(FCAP)は、4つの選択された抗体がすべてCLL及びTPLL細胞上で類似する結合プロファイルを有するが、11重鎖組合せを有する抗体は31重鎖組合せを有する抗体よりもわずかに高い親和性を有していることを示した(データは示していない)。
【0196】
7.CLLとTPLL試料の両方で、4つの選択された抗体はすべてCCL19への遊走を遮断するが、抗体31−AEはCCL21への遊走を遮断するのに有効性がわずかに低い(データは示していない)。
【0197】
表7は上記結果の概要を提示しており、個々のアロタイプ転換されCDC増強された突然変異体ヒト化抗CCR7抗体変異体は上記アッセイにおけるその相対的性能に従ってランク付けされている。11−xは、FACSにより分析した場合、膜発現されたCCR7へのいかなる結合も示さず、CDCもADCCも媒介しなかった。
【表7】