(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本例のせりシステムの概略システム構成図である。
【0017】
図示の例のせりシステムは、せり業務サーバ10、映像サーバ20、査定入力タブレット30と、各種端末(映像入力端末1、調整人操作端末2、せり人操作端末3、POS端末4)を有する。せり業務サーバ10は、ユーザデータDB(データベース)11、出品票データDB12を有する。映像サーバ20は車両画像DB21を有する。
【0018】
これら各DB(データベース)11,12,21について、簡単に説明するならば、出品票データDB12には出品票が格納される。出品票には、せりに出品される出品物(ここでは中古車両)に関する所定の情報が記載される。この例では所定の情報とは、例えば、出品番号、車両情報(車種;例えばメーカー名、車名、型式、年式、色など)、画像ファイル名、評価点等である。
【0019】
評価点に関しては、既に査定済みの車両のみデータが格納されており、未査定の車両に関してはデータ無しとなっている。また、実際の画像データは車両画像DB21に格納されており、上記画像ファイル名に該当する画像データは映像サーバ20から取得できる。
【0020】
また、調整人操作端末2、せり人操作端末3、POS端末4も既存の構成であり、簡単に説明するならば、せり人操作端末3は、せり人がせりの進行などを行うための端末装置、調整人操作端末2は調整人がせり中の価格の調整を行うための端末装置、POS端末4は応札用の端末装置である。
【0021】
また、特に図示しないが、これらの端末装置以外の他の端末装置があってもよく、例えば上記出品票データなどの、せりを行う為に必要となる各種データを入力するための端末装置等があってもよい。
【0022】
査定入力タブレット30と各端末1、2,3,4は、ネットワーク(複数のスイッチ5(スイッチングハブ)やルータ6や通信線7)を介して、せり業務サーバ10や映像サーバ20にアクセス可能となっており相互にデータ送受信可能となっている。図示の例では、査定入力タブレット30はルータ6(例えば無線Wi-Fiルータ)等を介してせり業務サーバ10や映像サーバ20にアクセス可能となっている。映像入力端末1は、スイッチ5等を介してせり業務サーバ10や映像サーバ20にアクセス可能となっている。せり業務サーバ10は通信線7を介して映像サーバ20と相互に通信可能となっている。
【0023】
また、既存の処理として、出品車両が撮影室に運ばれて、カメラ1aが接続された映像入力端末1によって、出品車両の画像撮影を行って、この画像を映像サーバ20に蓄積させる処理がある。カメラ1aによる撮影は、出品車両毎に、決められた部位全てについて行われる。例えば、前バンパー、後バンパー、ボンネット、窓、左ドア、右ドア、ホイール、タイヤ、シート等の各部位や、正面、全体等が撮影されて、これらの撮影画像が映像入力端末1からせり業務サーバ10に送信される。せり業務サーバ10は、出品車両の出品票に、この撮影画像のファイル名を登録する等の所定の登録処理を実行すると、この撮影画像を映像サーバ20へ転送して記憶させる。
【0024】
また、出品車両は上記撮影室での撮影後に、例えば検査室などに運ばれて、査定作業員による査定を受ける。本例では、各査定作業員がそれぞれ査定入力タブレット30を所持し、査定作業の際に査定入力タブレット30を使用する。査定入力タブレット30は、査定作業員に任意の検索条件を入力させて、この検索条件をせり業務サーバ10に送信する。せり業務サーバ10は、検索条件に合致する画像のファイル名を求めて、この画像を映像サーバ20から取得して査定入力タブレット30に返信する。査定入力タブレット30は、返信された画像を表示する。返信された画像すなわち検索条件に合致する画像は、例えば、査定対象車両に類似する車両の画像となる。査定作業員は、査定対象車両の対象部位(査定ポイント)の状態を視認しつつ画像と見比べることで、評価点を決定する。この様にすることで査定作業員毎の評価のバラツキを抑えることができる。詳しくは後述する。
【0025】
せり業務サーバ10は、調整人操作端末2、せり人操作端末3からのアクセスを受けつつ、せり業務に係わる各種既存の処理を実行するが、既存の処理については説明を省略する。つまり、調整人操作端末2、せり人操作端末3の処理と、せり業務サーバ10における既存の処理については、本手法に関係する処理以外は、説明を省略する。
【0026】
せり業務サーバ10は、上記の既存の処理機能に加えて、更に、本手法による査定作業支援機能を有している。この査定作業支援機能については後に詳しく説明するが、上記のように査定入力タブレット30に、検索条件に合致する画像(例えば、査定対象車両に類似する車両の画像など)を表示させる為の機能である。
【0027】
尚、本例では、上記のように、せり業務サーバ10が査定作業支援機能を有しているが、この例に限らず、映像サーバ20や不図示の別サーバが査定作業支援機能を有する構成であってもよい。また、1台のサーバ装置上に、せり業務サーバ10の機能と、映像サーバ20の既存の機能とを、搭載する構成であってもよい。
【0028】
本例では、各査定作業者がそれぞれ、査定作業中には査定入力タブレット30を所持している。そして、査定作業者は、任意のときに査定入力タブレット30を操作して、任意の検索条件に該当する画像を表示させる。査定入力タブレット30が上記操作に応じてせり業務サーバ10へ検索条件を送信すると、せり業務サーバ10が上記査定作業支援機能によって映像サーバ20から上記検索条件に該当する画像を抽出して査定入力タブレット30に返信する。
【0029】
査定作業者は、現在の査定対象車両における査定対象の部位を目視しながら、上記検索条件に該当する画像を表示して見比べることで、査定対象の部位の評価点を決定する。評価点の決定は、数値を入力してもよいが、任意の画像を選択するだけで、この選択画像に対応する点数が評価点となるようにしてもよい。
【0030】
査定入力タブレット30において、査定作業者は上記検索条件を任意に入力できる。検索条件は、例えば、現在の査定対象車両の識別情報(出品番号など)、チェック対象の部位を示す情報等である。そして、検索条件に該当する画像が送られてくると、この画像を表示する。この画像は、例えば一例としては、現在の査定対象車両の類似車両の画像であって上記チェック対象の部位に係わる画像である。
【0031】
類似車両とは、例えば、査定対象車両の車種と同一車種または類似車種の車両であるが、この例に限らない。但し、何れの場合でも、既に査定済みである(それ故、評価点が決まっている)車両であることが必要となる。
【0032】
また、上記「査定対象車両の車種や、同一または類似の車種」等における“車種”や“類似”の定義は、システム開発者等が任意に決めてよいものとし、ここでは特に明確に定義しないものとする。例えば一例としては、“車種”=車両情報(52、82、91)と考えてもよいが、この例に限らない。例えば一例としては、同一車種とは、車名とグレードと型式と年式とが全て一致する場合等と定義できるが、この例に限らず、例えば更に色まで一致する必要があっても構わないし、その逆に車名が一致すれば同一車種としても構わない。また、類似車種とは、例えば、車名とグレードと型式と年式の中の一部(例えば2つ以上)が一致する場合等と定義できるが、この例に限らない。
【0033】
尚、一例としては、査定済みの車両の画像には、評価点が付されているものとする。
そして、一例としては、検索条件には査定作業者が任意に設定した、査定対象車両の上記チェック対象の部位に関する仮評価点が含まれる。そして、査定対象車両の類似車両の上記チェック対象の部位と同一部位であってその評価点が上記仮評価点と同一である部位に係わる画像が、検索条件に合致する画像となる。この画像を見ることで、査定作業員は、自己の判断(仮評価点)が正しいか否かを確認できる。正しいと判断した場合には仮評価点を正式な評価点とする操作を行う。一方、正しくないと判断した場合には、仮評価点を再入力して、再度、この仮評価点を含む検索条件を送信させる。
【0034】
この例に限らず、他の例としては例えば、検索条件に該当する画像は、査定対象車両と同一車種または類似車種の上記チェック対象の部位に係わる各評価点に応じた画像(参考画像と呼ぶ)である。例えば1点〜10点の各点数に応じた10枚の参考画像が、査定入力タブレット30に返信される。査定入力タブレット30では、例えば、これら参考画像群を一覧表示すると共に、任意の参考画像を指定させることで、この参考画像に対応付けられている評価点を、チェック対象部位(査定ポイント)の評価点として設定する。尚、どの様な画像を上記参考画像とするかは、所定の人間(例えばベテランの査定作業員)が任意に決めるものであってよいが、例えば各評価点に応じた典型的な画像(大多数がその画像の状態であればその評価点を付けると思われるような画像)とすることが望ましい。
【0035】
上記何れの方法であっても、査定作業者が、査定対象車両の状態を目視して、検索条件に該当する画像と見比べることで、評価点が決まるようにしている。これによって、査定作業者毎の評価のバラツキを小さくすることが期待でき、以って査定評価結果の信頼性を向上させることが期待できる。
【0036】
本手法に係わる査定支援システムは、例えば、
図1のせりシステムの構成の一部によって実現され、例えば一例としては、せり業務サーバ10と映像サーバ20と査定入力タブレット30とによって実現される。尚、1台のサーバ装置上に、せり業務サーバ10と映像サーバ20の両方の機能が搭載された構成であっても構わない。
【0037】
図2、
図3に、本例の査定支援システムの実施例1の概略動作を示す。実施例1の詳細動作は、後にフローチャート図等を用いて説明する。また、本例の査定支援システムは、実施例1に限るものではなく、後述する実施例2であっても構わない。尚、
図2、
図3は、1つの処理を2分割して示している。
【0038】
図4、
図5、
図6に、査定入力タブレット30の表示例を示す。この表示例は、基本的には実施例1に応じたものであるが、後述する実施例2の場合にも
図6(b)を除いてほぼ同様の表示例となっても構わない。
【0039】
以下、実施例1について、
図4〜
図6の表示例を参照しつつ、
図2、
図3の概略動作について説明する。
【0040】
査定入力タブレット30を所持する査定作業員が、任意の査定対象車両の近くで査定入力タブレット30を起動すると、査定入力タブレット30には、まず、
図4(a)に示すログイン画面が表示される(
図2のステップS1)。
【0041】
査定作業員がログイン画面上で入力したユーザID、パスワードが、せり業務サーバ10に送信され、せり業務サーバ10においてユーザデータDB(データベース)11を参照したログイン認証処理が実行される(ステップS4)。ユーザデータDB11には、ユーザID、ユーザ名、パスワード等が登録されており、上記入力されたユーザID、パスワードと一致すれば、ログイン成功となる。
【0042】
せり業務サーバ10は、ログイン失敗した場合にはNG応答を返信し、ログイン成功した場合には現在の開催回をOK応答と共に返信する。査定入力タブレット30は、NG応答が返信された場合には所定のエラー処理を実行し、OK応答が返信された場合には、例えば
図4(b)に示す出品番号入力画面を表示する(ステップS2)。この画面上で査定作業員が査定対象車両の出品番号を入力すると、査定入力タブレット30は出品番号と上記開催回をせり業務サーバ10に送信する。
【0043】
尚、各出品車両には出品の際に任意の出品番号(識別番号)が与えられている。出品車両に関する各種情報は、基本的に、その出品番号に紐付いて出品票データDB12等に登録されている。また、各出品車両自体に、その出品番号が付けられており、視認で確認できる。また、出品番号は、同一の開催回においては重複しないように付与されるが、開催回が異なれば重複しても構わない。よって、「開催回+出品番号」によって出品車両を特定できる。
【0044】
せり業務サーバ10は、上記査定入力タブレット30から送信された開催回と出品番号を受信すると、これら開催回と出品番号を用いて出品票データDB12を検索することで、上記査定対象車両の出品票データが登録されているか否かをチェックする(ステップS5)。
【0045】
そして、登録されていない場合には、NG応答を査定入力タブレット30に返信し、これより査定入力タブレット30は所定のエラー処理を実行する。
【0046】
一方、登録されている場合には、査定対象車両の車両情報(車種など)と共にOK応答を返信する。その際、査定対象車両の画像データを映像サーバ20の車両画像DB21から取得して返信するようにしてもよい。この例の場合には、せり業務サーバ10は開催回と出品番号等を映像サーバ20へ転送し、映像サーバ20はこの開催回と出品番号によって特定される出品車両の画像を検索して求めて、この画像をせり業務サーバ10に返信する(ステップS6)。せり業務サーバ10は、この画像を上記OK応答などと一緒に査定入力タブレット30へ返信する。
【0047】
査定入力タブレット30は、上記OK応答を受信すると、例えば
図5に示すような査定入力画面40を表示する(ステップS3)。
【0048】
図5に示す例では、査定入力画面40は、オークション情報41、車両情報42、出品票43、車両画像44、テンキー45の各データフィールドを有する。オークション情報41には査定対象車両の出品番号等が表示される。車両情報42には上記ステップS5で返信された査定対象車両の車両情報(車種など)が表示される。出品票43のフィールドには、車両展開図が表示される。
【0049】
車両画像44のフィールドには、図示のように初期状態では何も表示されないが、後に後述する検索条件に合致する画像(査定作業で参考となる画像)の一覧等が表示される。詳しくは後述する。テンキー45は0〜9の任意の数字を入力させるものであり、例えば任意の評価点が入力される。
【0050】
ここで、上記車両展開図について説明する。車両展開図は、例えば上記特許文献1等にも開示されている既存技術であり、以下、簡単に説明する。
【0051】
車両展開図は、出品票43の欄に図示するように、車両構造をボンネット、右ドア、左ドア、窓、バンパーなどの各部位に分けて平面上に展開して示したものである。査定作業員が、任意の部位の表示位置をタッチすると、この部位が査定ポイントとして指定されたことになる。一例としては、査定作業員が査定ポイントの指定後にテンキー45により任意の評価点を入力することで、査定ポイントに関する仮の評価点が決まるが、未だ確定はしない(よって、仮評価点と呼ぶ)。本手法では、その後に、上記のように車両画像44のフィールドに表示される、査定作業で参考となる画像に基づいて、評価点が確定されることになる。これについて一例を、
図3を参照して以下に説明する。
【0052】
図3は、上記
図2の処理の続きを示す図である。
図2のステップS3の処理によって査定入力タブレット30は例えば
図5のような査定入力画面40の初期状態が表示された状態となる。
【0053】
査定入力画面40上で査定作業員は、任意の査定ポイントを指定すると共に(車両展開図上の任意の部位の表示位置をタッチする)、査定対象車両のこの査定ポイントについて自己の判断に基づき決定した上記仮評価点を、テンキー45を操作して入力する。査定入力タブレット30は、査定作業員に、この様な入力操作を行わせて、入力内容(査定ポイント、仮評価点)を認識する(ステップS7)。
【0054】
尚、評価点の判断は、査定作業員が目の前の査定対象車両における査定ポイントの状態(キズ、色あせなど)を目視することで行う。これは、例えば
図8に示すような評価点数票に基づいて判断するものであってもよく、これは従来の判断方法と同様と見做して構わない。但し、本手法では、未だこの時点では、入力した評価点は確定とはならないので、“仮評価点”と呼ぶものとする。
【0055】
査定入力タブレット30は、上記ステップS7で入力された査定ポイント、仮評価点と、上記車両情報(査定対象車両の車種など)を検索条件として、せり業務サーバ10へ送信する。
【0056】
せり業務サーバ10は、上記検索条件に合致する画像データを映像サーバ20から抽出して、抽出した画像を査定入力タブレット30に返信する(ステップS8)。尚、
図3では、せり業務サーバ10の処理と映像サーバ20の処理とを区別せずに一纏めにしてステップS8として示している。検索条件に合致する画像データは、例えば、出品車両の中で既に査定作業完了している車両(従って、各部位の画像と、各部位の評価点が既に記憶されている)の中で、査定対象車両の類似車両に係わる査定ポイントの部位であってその評価点が仮評価点と同一である部位の画像である。
【0057】
査定入力タブレット30は、上記返信された画像データを車両画像44のフィールドに一覧表示する。これより例えば
図6(a)のような表示状態となる。ここでは、上記検索条件に合致する20枚の画像データが返信されてきて、これらを車両画像44のフィールドに一覧表示した例を示すものとする。
【0058】
尚、
図6(a)では8枚の画像のみ表示されているが、上記20枚の画像をスクロール表示させることができる。また、図示の例では仮評価点は8点であるので、20枚の画像は全てその評価点が8点であることになる。
【0059】
査定作業員は、目の前の査定対象車両における査定ポイントの状態(キズ、色あせなど)を目視しつつ20枚の画像と見比べて、似ているか否か等により、自己の評価判断(本例では8点)が正しいか否かを判断する。その際、任意の画像をタッチすることで、
図6(b)に示すように、その画像を拡大表示できるようにしてもよい。そして、例えば
図6(b)に示すように、仮評価点を正式に評価点として確定してよいか否かを「はい」「いいえ」ボタンで選択入力させる(ステップS9)。
【0060】
査定作業員は、自己の評価判断が正しいと思った場合には「はい」ボタンを選択入力し、これより上記の仮評価点が、査定対象車両の査定ポイントに係わる評価点として確定・設定されることになる。
【0061】
一方で、査定作業員は、自己の評価判断が正しくないと思った場合には「いいえ」ボタンを選択入力する。この場合、査定入力タブレット30は仮評価点を再入力させて、当該新たな仮評価点を含む上記検索条件をせり業務サーバ10に送信して、新たな仮評価点に応じた画像データ群を取得して一覧表示することになる。この処理は、査定作業員が「はい」ボタンを選択入力するまで繰り返されることになる。
【0062】
そして、査定作業員が「はい」ボタンを選択入力することで上記査定ポイントの評価点が確定したら、査定作業員に新たな査定ポイントを指定させる。新たな査定ポイントについても、上記と同様に、仮評価点の入力→仮評価点、査定ポイントを含む検索条件の送信→検索条件に合致する画像群の取得・一覧表示が行われる。これより、上記と同様、査定対象車両の類似車両の上記チェック対象の部位と同一部位であってその評価点が上記仮評価点と同一である部位に係わる画像が、一覧表示される。査定作業員は、これらの画像を参考にしながら、「はい」「いいえ」ボタン選択によって、新たな査定ポイントについても評価点を確定させる。
【0063】
そして、上記処理を繰り返すことで、全ての査定ポイントについて評価点を確定入力したら、この査定対象車両の査定は完了したことになり、次の査定対象車両の設置場所へ移動して、同様の査定作業を行うことになる。
【0064】
以上説明したように、本手法によれば、査定作業員は、査定対象車両における査定ポイントの状態(キズ、色あせなど)を目視しつつ、類似車両の同査定ポイントの同点数の画像と見比べることで、他の査定作業員の判断に近い評価点となることが期待でき、査定作業者毎の評価点のバラツキを小さくすることができ、以って査定評価結果の信頼性を向上させることができる。
【0065】
図7(a)〜(c)には、各DB(データベース)のデータ構成例を示す。
まず、出品票データDB12、車両画像DB21について、
図7(a)、
図7(c)に示す具体例を用いて説明する。
【0066】
出品票データDB12には例えば
図7(a)に示す出品票データテーブル50が格納される。
図7(c)は車両画像DB21のデータ構成例である。尚、
図7(a)、(c)は、出品票データDB12、車両画像DB21の格納データを概略的に示すものであり、全ての格納データを示すものではない。例えば、
図7(a)に関しては更に不図示の評価点なども記憶されており、詳細例は例えば後に
図11に示すものとする。
図7(c)に関しても車両画像DB21には図示のデータだけでなく、例えば不図示のデータ管理テーブル(たとえば各出品車両の出品番号に対応付けて、その出品車両の各種画像のファイル名や評価点等が格納されている)が更に記憶されていてもよい。
【0067】
出品票データテーブル50は、出品番号51、車両情報52、せりスタート予定価格53、車両画像名54等から成る。オークションに出品される車両にはオークションにおける任意の識別番号である出品番号が与えられる。また、この出品車両に関する所定の情報(車種;例えばメーカー名、車名、グレード、型式、年式、色など)が入力される。これらの情報が出品番号51、車両情報52の欄に格納される。更に、この出品車両の写真撮影が行われ、この画像ファイルに任意のファイル名が付されて車両画像DB21に格納されると共に(一例を
図7(c)に示す)、この画像ファイル名が車両画像名54の欄に格納される。
【0068】
図7(c)に示す例では、上記各画像のファイル名71に対応付けて画像データ72が格納されている。
【0069】
上記ステップS5の処理では、上記査定入力タブレット30から送信された出品番号が、出品票データテーブル50に登録されているか否かをチェックし、登録されていればOK応答をその車両情報52と共に返信する。あるいは更に、その車両画像名54の画像データ(例えば車両の正面の画像)を映像サーバ20から取得して返信する。つまり、査定入力タブレット30に対して、査定対象車両の車種や画像を返信する。但し、画像については返信しなくても構わない。
【0070】
また、
図7(b)に示すユーザデータDB11の具体例について説明しておく。
図示の例のユーザデータテーブル60は、ユーザID61、ユーザ名62、パスワード63、与信情報64等から成る。各登録ユーザにはユニークなユーザIDが与えられ、ユーザの名称等とユーザが任意に決めたパスワード等と共にユーザデータテーブル60のユーザID61、ユーザ名62、パスワード63に登録される。この登録作業は例えば人間が手作業で行うが、特に説明しない。また、与信情報64については特に説明しない。
【0071】
以下、実施例1、実施例2について説明する。
実施例1で主に利用するデータは、既に評価点が付けられた出品車両の車両情報等(出品票データ)と画像等である。一方、実施例2で主に利用するデータは、出品票データ等に基づいて作成されている、各点数に応じた典型的な画像(参考画像と呼ぶ)である。
【0072】
実施例1、実施例2の両方とも、査定入力タブレットで一覧表示される画像は、査定対象車両と同一車種または類似車種に係わる指定された部位(査定ポイント)の画像の中から、更に選別されたものであり、この点については以下の説明では前提であるものとして逐一述べない場合もあるものとする。
【0073】
そして、実施例1では、上記前提の元、査定作業員が指定した点数の画像のみが抽出されてサーバから査定入力タブレットへと送信されて査定入力タブレットで一覧表示される。つまり、査定作業員がまず点数を決めて、この点数で正しいのか否かを、同じ点数の他車両の画像と査定対象車両の状態とを比較視認して確認する。
【0074】
一方、実施例2では、上記前提の元、査定作業員は点数を指定せず、全ての点数に応じた参考画像が提供・表示される。査定作業員は、目視で査定対象車両の状態に最も似ている参考画像を判断して、この参考画像を指定することで、この参考画像の点数が査定対象車両の評価点となる。
【0075】
以下、実施例1、実施例2について、フローチャート図等を用いて具体例について詳細に説明する。
【0076】
(1)実施例1に関する説明
図9、
図10は、実施例1の処理フローチャート図である。尚、これは、例えば上記
図3の処理の詳細フローと見做してもよく、上記
図2の処理は既に実行済みと見做しても構わないが、この例に限らない。
【0077】
図9はタブレット30の処理、
図10(a)(b)はサーバ装置の処理を示す。
尚、以下の説明では、査定入力タブレット30を簡略化してタブレット30と記すものとする。
【0078】
尚、本説明では、「サーバ装置」とはせり業務サーバ10と映像サーバ20の2つを一纏めにしたものとし、当該2つのサーバを特に区別することなく説明するものとするが、実際には、せり業務サーバ10が、まず、タブレット30からの検索条件に該当する画像データのファイル名を特定し、このファイル名の画像データを映像サーバ20から取得して、タブレット30へ返信することになる。また、実際に「せり業務サーバ10」と「映像サーバ20」とが一台のサーバ装置上で実現される構成であっても構わない。
【0079】
図9に示すタブレット30の処理は、例えばタブレット30のディスプレイに上記査定入力画面40が表示された後に、開始されるが、この例に限らない。
【0080】
尚、逐一述べないが、以下に説明する
図9の処理は、当然、タブレット30のコンピュータが実行するものである。
【0081】
図9に示すタブレット30の処理例では、まず、査定作業員に任意の検索条件(査定対象車両の出品番号、査定ポイント(査定対象の部位)、点数(上記の仮評価点)など)を入力指定させ(ステップS11,S12)、この検索条件を「サーバ装置」に送信する(ステップS13)。その後、「サーバ装置」から返信データ(検索条件に合致する画像一覧)があると(ステップS14,YES)、この画像一覧を表示する(ステップS15)。この画像一覧表示の一例が上記
図6(a)である。
【0082】
検索条件に合致する画像とは、まず、上記の前提(査定対象車両と同一車種または類似車種に係わる指定された部位(査定ポイント)の画像)を満たすものである。そして、この前提の元、実施例1では更に、その評価点が上記指定された仮評価点と同じである画像である。検索条件として仮に査定ポイント=「バンパー」、点数(仮評価点)=「8点」が指定されていた場合には、上記の画像一覧は、査定対象車両の類似車両であってバンパーの評価点が8点である車両のバンパーの画像群となる。
【0083】
そして、査定作業員が、画像一覧から任意の画像を選択する毎に、この選択された画像を拡大表示すると共に、“現在査定中の車両と同じ点数の画像です。「8点」で宜しいでしょうか?”等のメッセージと共に「はい」「いいえ」ボタンを表示する(ステップS16)。この表示の一例が上記
図6(b)である。
【0084】
そして、「はい」が入力された場合(ステップS17,YES)、ステップS12で入力された仮評価点を、査定対象車両の査定ポイントの評価点として確定・設定する(ステップS19)。例えば、査定対象車両のバンパーの評価点を8点に確定・設定する。そして、ステップS12に戻り、別の査定ポイントと仮評価点を入力させる。別の査定ポイントに関しても、上記と同様に、類似車両の画像を表示して、査定作業員に視認により確認させて、評価点を確定させる。
【0085】
「いいえ」が入力された場合には(ステップS18,YES)、ステップS12に戻り、点数(仮評価点)を再入力させる。例えば、査定作業員は、8点の画像と見比べて査定対象車両の状態が相対的に悪いと判断した場合には、今度は点数=「7点」とし(査定ポイントはそのまま)、これより今度はバンパーの評価点が7点である出品車両のバンパーの画像群が一覧表示されることになる。
【0086】
一方で、「はい」「いいえ」のどちらも選択されなかった場合(例えば拡大画像をタッチ等)(ステップS17,S18がNO)、拡大画像を消して、ステップS16に戻り、再び画像一覧から任意の画像を選択させて拡大表示する。
【0087】
尚、
図9、
図10に示す例では、検索条件に査定対象車両の出品番号が含まれ、「サーバ装置」側でこの出品番号の出品車両の車種などを特定する処理を逐一行うが、勿論、この例に限るものではなく、上記
図2、
図3の処理であってもよい。図示しないが、
図9の処理を
図2、
図3の例に準じた処理とする場合には、ステップS11の処理の際に、入力された査定対象車両の出品番号を「サーバ装置」に送って出品車両の車種を取得する。これよりステップS13の処理では、検索条件として出品番号の代わりに車種が用いられることになる。また、この例の場合、「サーバ装置」では後述するステップS31の処理が必要なくなる。
【0088】
次に、以下、
図10(a)(b)の「サーバ装置」処理について説明する。
図10(a)は「サーバ装置」の全体処理、
図10(b)はステップS22の詳細フローである。
【0089】
図10(a)のように、「サーバ装置」では、上記ステップS13によりタブレット30から検索条件が送られてくる毎に(ステップS21,YES)、出品票データDB12を参照する等して、この検索条件に合致する画像のファイル名を求めて、求めたファイル名の画像データを抽出して、抽出した画像群をタブレット30に返信する(ステップS22)。
【0090】
ステップS22の処理の詳細例を、
図10(b)に示す。
また、上記出品票データDB12のデータ構成例を、
図11に示す。
【0091】
出品票データDB12には例えば
図11に示す出品票データテーブル80が格納される。
【0092】
図11に示す出品票データテーブル80は、出品番号81、車両情報82、セリスタート予想価格83、車両画像名84等から成る。開催回毎に、その開催回用の出品票データテーブル80が作成される。出品票データテーブル80の出品番号81と車両情報82には、出品車両の識別番号と車両情報(メーカ名、型式、年式、色など)が格納される。車両画像名84には、出品番号81の出品車両の各部位毎の画像ファイル名が格納されている。図示の例では、バンパー、窓、ホイール、右ドアなどの各部位毎に、その部位の画像が格納された画像ファイル名が、車両画像名84の欄に格納されている。また、査定済みの車両の場合には、画像ファイル名にその部位の評価点が付されている。図示の例では、例えば先頭レコードのバンパーの評価点は7点である。尚、図示の例では全てに評価点が付されているが、未査定の車両に関する画像ファイル名(不図示)には評価点は付されていない。
【0093】
以下、
図10(b)の処理について、
図11の具体例を用いながら説明する。
「サーバ装置」は、まず、検索条件における出品番号を用いて出品票データテーブル80を検索して該当レコードを求めてその車両情報82を抽出する。つまり、査定対象車両の車両情報(車種など)を取得する(ステップS31)。
【0094】
そして、出品票データテーブル80において、車両情報82が査定対象車両の車両情報と同一であるレコード(類似車両のレコード)から、検索条件に該当する車両画像名を全て抽出する(ステップS32,S33)。“検索条件に該当する車両画像名”とは、検索条件における査定ポイントの部位の画像であって、その評価点が検索条件における仮評価点と同一であるものである。
図11の例で仮に検索条件における査定ポイント=「窓」、点数=「9点」であった場合、図示の0001-b.jpgと0003-b.jpgが、抽出されることになる。
【0095】
そして、抽出された車両画像名の画像データを取得して、タブレット30に返信する(ステップS34)。
図1の構成例では、せり業務サーバ10がステップS31,S32,S33の処理を実行し、更にステップS34において、抽出された車両画像名の画像データを映像サーバ20から取得することになる。
【0096】
以上説明した処理により、実施例1の査定支援システムによれば、査定対象車両の類似車両に係わる査定ポイントの部位であってその評価点が仮評価点と同一である部位の画像が抽出されて、タブレット30で一覧表示される。これより、査定作業員は、自己の判断で決めた点数(仮評価点)が正しいのか否かを、同じ点数の他車両の画像と査定対象車両の状態とを比較視認して確認することができる。つまり、類似車両に関する他の査定作業員の判断を参考にして、最終的な評価点を決定することができる。従って、査定作業者毎の評価点のバラツキを小さくすることができ、以って査定評価結果の信頼性を向上させることができる。
【0097】
(2)実施例2に関する説明
図12、
図13は、実施例2の処理フローチャート図である。尚、これは、例えば上記
図3の処理の詳細フローと見做してもよく、上記
図2の処理は既に実行済みと見做しても構わないが、この例に限らない。
【0098】
図12はタブレット30の処理、
図13(a)(b)は「サーバ装置」の処理を示す。尚、
図10の場合と同様、「サーバ装置」とは、せり業務サーバ10と映像サーバ20の2つを一纏めにしたものとする。
【0099】
図12、
図13に示す実施例2の処理の場合には、上記出品票データテーブル80以外に、
図14に示す点数参考データテーブル90が予め人間によって任意に作成されて出品票データDB12に格納されているものとする。点数参考データテーブル90は、例えば一例としては、出品票データテーブル80に基づいて作成されている。
【0100】
例えば、出品票データテーブル80には、過去に出品された多数の出品車両のデータが蓄積されており、様々な車種の様々な状態の画像データが蓄積されていることが想定される。また、上記の通り、各部位の画像にはその部位の評価点が付与されている。よって、これらを利用すれば、様々な車種について、それぞれ、各部位について全ての評価点にそれぞれ対応する画像が得られることが期待できる。この様な画像を、各評価点に応じた参考画像と呼ぶものとする。任意の車種の任意の部位の任意の評価点について、対応する画像が複数ある場合には、例えば担当者がその中でその点数として最も適切と思われる典型的な内容を示す画像を、参考画像として選択するものとするが、この例に限らない。例えば、このようにして、
図14に示すような点数参考データテーブル90が作成される。
【0101】
図14は、点数参考データテーブル90のデータ構成例を示す図である。
図示の例では、点数参考データテーブル90は、車両情報91、部位名92、チェック分類93、車両画像名(参考画像)94から成る。車両情報91は、車種などを示す情報(メーカー名、型式、グレード、年式、グレード、色など)であり、ここでは簡単の為に同一車種(GT型、12年式、赤色)のみ示すと共に、査定対象車両の車種も“GT型、12年式、赤色”であるものとして説明するが、実際には様々な車種の情報が点数参考データテーブル90に登録されている。
【0102】
尚、色は、車種には含まれないかもしれないが、ここでは色も車種の情報の1つであるものとして扱うものとする。
【0103】
部位名92は、車両の各部位の名称であり、窓、ドア、ボンネット、バンパー等となる。チェック分類93は、査定の際の減点の理由(キズ、凹み、色あせ、汚れなど)である。
【0104】
車両画像名(参考画像)94には、車両情報91の車種の部位名92の部位に関する、チェック分類93に係わる各評価点に応じた画像データのファイル名が、格納される(尚、以下、参考画像94と記す場合もあるものとする)。これは、例えば上述したように、既に査定済みの各出品車両の画像データ群の中から人間が任意に選んだ画像ファイル名が、参考画像94に格納される。この様な画像を参考画像と呼ぶものとする。ここでは、評価点が1点〜10点の10段階であるものとし、参考画像94には1点〜10点の各評価点に応じた10個の参考画像のファイル名が、格納されるものとする。
【0105】
また、ここでは、実際の画像データファイルは映像サーバ20の車両画像DB21に格納されているものとするが、この例に限らない。
【0106】
図示の例では、例えば先頭レコードの場合、車両情報91(車種など)が“GT型,12年式,赤色”、部位名92が“左ドア”、チェック分類93が“キズ”に関して、図示の“0001-a.jpg, 0001-b.jpg,・・・,0001-j.jpg”(1点〜10点の各点数に応じた参考画像のファイル名)が、参考画像94に格納されている。“0001-a.jpgは、車種などが“GT型,12年式,赤色”の車両であって、左ドアの評価点はキズが原因で1点である車両に関する左ドアの画像である。0001-b.jpgは、車種などが“GT型,12年式,赤色”の車両であって、左ドアの評価点はキズが原因で2点である車両に関する左ドアの画像である。
【0107】
尚、
図14に示す例は一例であり、この例に限らない。例えば、チェック分類93が無いデータ構成であっても構わない。この例では、参考画像94には、任意の車種の任意の部位に係わる各評価点に応じた典型的な画像のファイル名が、キズ、凹み、汚れ等が区別されることなく混在して格納されることになる。
【0108】
以下、まず、
図12のタブレット30の処理について説明する。
図12の処理例では、タブレット30は、まず、査定作業員に任意の検索条件(査定対象車両の出品番号、査定ポイントなど)を入力指定させ(ステップS41,S42)、この検索条件を「サーバ装置」に送信する(ステップS43)。尚、実施例1とは異なり、検索条件には点数(仮評価点)は含まれない。
【0109】
その後、「サーバ装置」からの返信データ(検索条件に該当する画像の一覧)があると(ステップS44,YES)、この画像一覧を表示する(ステップS45)。仮に査定ポイント=「バンパー」が指定されていた場合には、この画像一覧は、査定対象車両と同一車種または類似車種のバンパーの1点〜10点の各点数に応じた各画像となる。
【0110】
そして、査定作業員が、画像一覧から任意の画像を選択指定する毎に、この画像を拡大表示すると共に“この画像が最も似ていますか?”のメッセージと「はい」「いいえ」ボタンを表示する(ステップS46)。そして、「はい」が選択されたら(ステップS47,YES)、この拡大画像の画像が確定指定されたものと判定して、この拡大画像の評価点を、査定対象車両の上記査定ポイントの評価点として決定・設定する(ステップS48)。
【0111】
一方、「いいえ」が選択された場合には(ステップS47,NO)、拡大表示を消してステップS46に戻り、再び任意の画像を選択指定させる。
【0112】
ステップS48の処理が実行された場合には、ステップS42に戻り、他の査定ポイントを指定させる。他の査定ポイントに関しても、上記と同様、1点〜10点の参考画像を表示させて、査定対象車両の査定ポイントの状態に最も似ている参考画像を選択・指定させることで、査定ポイントの評価点が決定・設定される。
【0113】
尚、
図12、
図13に示す例では、検索条件に査定対象車両の出品番号が含まれ、「サーバ装置」側でこの出品番号の出品車両の車種を特定する処理を逐一行うが、勿論、この例に限るものではない。図示しないが、例えば、ステップS41の処理の際に、入力された査定対象車両の出品番号を「サーバ装置」に送って出品車両の車種を取得する。これよりステップS43の処理では、検索条件として出品番号の代わりに車種が用いられることになる。また、この例の場合、「サーバ装置」では後述するステップS61の処理が必要なくなる。
【0114】
次に、以下、
図13(a)(b)の「サーバ装置」処理について説明する。
図13(a)は「サーバ装置」の全体処理、
図13(b)はステップS52の詳細フローである。
【0115】
図13(a)のように、「サーバ装置」では、上記ステップS43によりタブレット30から検索条件が送られてくる毎に(ステップS51,YES)、点数参考データテーブル90を参照する等して、この検索条件に合致する参考画像のファイル名を求めて、求めたファイル名の参考画像データ(評価点付き)を抽出して、抽出した参考画像群(評価点付き)をタブレット30に返信する(ステップS52)。
【0116】
以下、
図13(b)の処理について、
図14の点数参考データテーブル90の具体例を用いながら説明する。
【0117】
図13(b)の処理例において、まず、ステップS61の処理は上記ステップS31と同一であり、その説明は省略する。
【0118】
次に、ステップS61で得た車両情報(車種など)と、検索条件の査定ポイントとを用いて、点数参考データテーブル90を検索して、査定対象車両と同一車種または類似車種で、部位名92が査定ポイントと同一であるレコードの車両画像名(参考画像)94を全て抽出する(ステップS62)。そして、抽出した車両画像名の画像データ(評価点付き)を全て取得して(
図1の構成例では映像サーバ20から取得する)、要求元のタブレット30に返信する(ステップS63)。
【0119】
仮に、査定対象車両の車種が“GT型,12年式,赤色”であり、且つ、仮に査定ポイントとして「左ドア」が指定された場合には、「サーバ」は、図示の「部位名」22が”左ドア”である4つのレコードの車両画像名94(参考画像ファイル名)を全て抽出して、取得した参考画像ファイル名の画像データ(評価点付き)を取得して、取得した画像データ群を検索結果としてタブレット30に返信する。
【0120】
タブレット30は、上記返信された画像データ群を上記車両画像44のフィールドに一覧表示する。本例では、この画像一覧は、査定対象車両と同一車種または類似車種に係わる左ドアに関する1点〜10点の各評価点に応じた画像群となる。
【0121】
査定作業員は、各画像を順次拡大表示させて、査定対象車両の左ドアの状態に最も近い状態の画像を見つけると、この画像を確定指定する。タブレット30は、確定指定された画像の評価点を、査定対象車両の左ドアの評価点として設定する。例えば
図14に示す0001-b.jpgの画像が確定指定されたならば、査定対象車両の左ドアの評価点は2点となる。
【0122】
この様にして、査定作業員は、査定対象車両の各部位の評価点を判断する必要はなく、査定対象車掌の査定ポイントの状態を視認しつつ各参考画像を見比べて、最も似ている参考画像を選択するだけで、適切な評価点が設定されるようになる。
【0123】
*変形例1
実施例2は、上記
図12〜
図14に示す一例に限るものではなく、例えばステップS47がYESの場合に“更に他の画像も指定しますか?”のメッセージ表示し、「はい」「いいえ」ボタンを表示して選択させるようにしてもよい。そして、「はい」の場合にはステップS46に戻ることで、複数の画像を確定指定できるようにしてもよい。
【0124】
そして、この様にして確定指定された参考画像が複数ある場合、これら複数の参考画像に対応する複数の評価点に基づいて、総合点を求めて、この総合点を査定対象車両の査定ポイントの評価点として確定・設定するようにしてもよい。
【0125】
この例を実現する具体的方法として、例えば、
図15に示す総合点判定テーブル100を用いる例が考えられるが、この例に限らない。
【0126】
図15は、総合点判定テーブル100のデータ構成例を示す図である。
総合点判定テーブル100には、複数の各チェック分類(図示の例ではキズ101、色あせ102、凹み103を示すが、この例に限らない)の任意の評価点の組み合わせに応じた総合点104が格納されている。
【0127】
そして、例えば、査定作業員が、査定対象車両の任意の査定ポイントに関して上記のように表示される複数の参考画像の中から、キズに係わる点数が9点の画像と、色あせに係わる点数が7点の画像とを選択・指定した場合には、タブレット30は、例えば
図15に示す総合点判定テーブル100を参照することで、対応する総合点104は6点であるので、上記任意の査定ポイントの評価点を6点に決定・設定する。
【0128】
*変形例2
実施例2は、上記
図12〜
図14に示す一例に限るものではなく、例えばタブレット30において検索条件として更にチェック分類を入力・指定させるようにしてもよい。査定作業員が査定対象車両の査定ポイントの状態を視認して、限定要素が仮にキズだけであれば、キズに係わる画像だけが表示されればよいと考えられる。
【0129】
この例では、仮に、査定対象車両の車種が“GT型,12年式,赤色”であり、且つ、仮に査定ポイントとして「左ドア」、チェック分類として「キズ」が指定された場合には、「サーバ」は、図示の「部位名」22が”左ドア”で且つチェック分類93が“キズ”であるレコードすなわち先頭レコードを、該当レコードとする。そして、該当レコードの車両画像名94(参考画像ファイル名)を全て抽出して、取得した参考画像ファイル名の画像データを取得して、取得した画像データ群を検索結果としてタブレット30に返信する。このように、査定作業員が“査定ポイント”&“チェック分類”を検索条件に指定するようにしてもよい。
【0130】
図16は、本例の査定支援システムの機能ブロック図である。
図示の例の査定支援システムは、サーバ装置210と端末220を有する。サーバ装置210と端末220とは、ネットワーク200を介して、データ送受信可能となっている。尚、端末220の一例が上記査定入力タブレット30であり、サーバ装置210の一例が上記せり業務サーバ10及び映像サーバ20であるが、これらの例に限らない。
【0131】
サーバ装置210は、車両情報記憶部211、検索実行部212等を有する。
車両情報記憶部211には、各車両の画像が格納される。車両情報記憶部211の一例が上記出品票データDB12と車両画像DB21であるが、この例に限らない。
【0132】
端末220は、検索条件入力部221、表示部222と、評価点確定部223または評価点決定部224の何れか一方を有する。
【0133】
検索条件入力部221は、査定対象車両に係わる任意の検索条件を入力させ、該検索条件をサーバ装置210へ送信する。
【0134】
検索実行部212は、車両情報記憶部211に格納される画像の中から、上記検索条件に合致する画像を求めて、端末220に返信する。
【0135】
表示部222は、上記返信された画像を表示する。
査定作業員は、この画像表示を参照して、査定対象車両の評価点を決定する。
【0136】
以上説明したサーバ装置210と端末220の機能に関して、例えば一例としては、上記検索条件には上記査定対象車両に関する所定の情報と仮評価点が含まれ、上記各画像には評価点が対応付けられており、上記検索条件に合致する画像は、上記査定対象車両の類似車両の画像であって、その評価点が上記仮評価点と同一である画像である。
【0137】
更に一例としては、上記査定対象車両に関する所定の情報は、該査定対象車両の車種であり、上記査定対象車両の類似車両は、該査定対象車両と同一車種または類似車種の車両である。
【0138】
また、一例としては、端末220は、上記表示部222による上記画像表示後に、上記仮評価点を評価点として確定させるか否かを選択させる上記評価点確定部223を更に有する。
【0139】
更に具体例としては、上記車両情報記憶部211には、上記各出品車両の各部位毎の評価点と画像が記憶され、上記検索条件には上記査定対象車両における査定対象の部位とその仮評価点とが含まれ、上記検索条件に合致する画像は、上記査定対象の部位と同一の部位であってその評価点が上記仮評価点と同一である部位の画像である。
【0140】
あるいは、サーバ装置210と端末220の機能に関して、他の一例としては、上記検索条件には上記査定対象車両に関する所定の情報が含まれ、上記各画像には評価点が対応付けられており、上記検索条件に合致する画像は、上記査定対象車両の類似車両に関する各評価点それぞれに対応する各画像である。
【0141】
そして、上記他の一例の場合、例えば、上記端末220の表示部222は、上記各評価点に応じた各画像を一覧表示し、上記端末220は、該表示された各画像の中から任意の画像を選択させ、該選択された画像の評価点を上記査定対象車両の評価点に決定する上記評価点決定部224を更に有する。
【0142】
また、上記他の一例の場合、例えば、上記査定対象車両に関する所定の情報は、該査定対象車両の車種であり、上記査定対象車両の類似車両は、該査定対象車両と同一車種または類似車種の車両である。
【0143】
また、上記他の一例の場合、更に具体例としては例えば、上記車両情報記憶部211は、車種毎にその各部位毎の各評価点に応じた画像が記憶されており、上記検索条件には上記査定対象車両の車種と査定対象の部位とが含まれ、上記検索条件に合致する画像は、上記査定対象車両と同一の車種の上記査定対象の部位に係わる各評価点それぞれに対応する各画像である。そして、この具体例の場合、更に、上記端末220の上記表示部222は、上記査定対象の部位に係わる各評価点それぞれに対応する各画像を一覧表示し、上記評価点決定部224は、該一覧表示された各画像の中から任意の画像を選択させ、該選択された画像の評価点を上記査定対象車両の上記査定対象の部位に係わる評価点に決定するものであってもよい。
【0144】
図17に、上記サーバ装置210や端末220やせり業務サーバ10や映像サーバ20や査定入力タブレット30等のコンピュータ230のハードウェア構成例を示す。
【0145】
図示の例のコンピュータ230は、CPU231、記憶部(HDD、ROM等)232、RAM233、通信I/F234、表示部235、入力部236等が、バス237に接続されて成る構成である。尚、サーバ装置210やせり業務サーバ10や映像サーバ20の場合、表示部235、入力部236は、必ずしも必要ない。端末220や査定入力タブレット30の場合、表示部235はディスプレイであり、入力部236はタッチパネルである。
【0146】
コンピュータ230は、ネットワーク200に接続された通信I/F(インタフェース)234を介して、他のコンピュータ(不図示)と通信可能となっている。
【0147】
CPU231は、演算プロセッサの一例である。記憶部232には予め所定のアプリケーションプログラムが記憶されている。また、記憶部232には任意のデータ(例えば各種データベース11,12,21等)が記憶される。
【0148】
CPU231が、上記アプリケーションプログラムを実行することで、上述したサーバ装置210や端末220やせり業務サーバ10や映像サーバ20や査定入力タブレット30等の各種処理機能(
図2、
図3、
図9、
図10(a)(b)、
図12、
図13(a)(b)の処理、
図16に示す各種機能部の処理機能など)が実現される。