特許第6844915号(P6844915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6844915-食品材料の製造方法及び食品材料 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6844915
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】食品材料の製造方法及び食品材料
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/00 20060101AFI20210308BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20210308BHJP
   A23L 17/00 20160101ALI20210308BHJP
【FI】
   A23L3/00 101C
   A23L13/00 Z
   A23L17/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-537084(P2019-537084)
(86)(22)【出願日】2018年1月9日
(65)【公表番号】特表2020-505019(P2020-505019A)
(43)【公表日】2020年2月20日
(86)【国際出願番号】KR2018000426
(87)【国際公開番号】WO2018128525
(87)【国際公開日】20180712
【審査請求日】2019年7月11日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0002787
(32)【優先日】2017年1月9日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0002800
(32)【優先日】2018年1月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512088051
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CheilJedang Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ウォンイル
(72)【発明者】
【氏名】キム, スンチョル
(72)【発明者】
【氏名】ユン, サンウン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ナムジュ
(72)【発明者】
【氏名】リ, ジョンイル
(72)【発明者】
【氏名】カン, デイク
(72)【発明者】
【氏名】キム, テヒョン
【審査官】 飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5145471(JP,B2)
【文献】 国際公開第2013/015401(WO,A1)
【文献】 特開2007−006724(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/090564(WO,A1)
【文献】 特開2012−157291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/00
A23L 13/00
A23L 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉類及び海産物からなる群から選択された一つ以上の原料をリン酸塩及び澱粉を含む塩漬剤と混合して塩漬する塩漬段階;
前記塩漬段階後、低温及び高温の順次加熱を介した2段ブランチング、オイルブランチング及びスチームブランチングのうちいずれか一つ以上の方法で原料をブランチングするブランチング段階;及び
前記原料を110から130℃の温度で10から60分間加熱して殺菌する段階を含み、
前記塩漬剤は、複合リン酸塩及び澱粉が5:5〜2:8の重量の割合で含まれるものである、レトルト用食品材料の製造方法。
【請求項2】
前記塩漬段階は、原料重量に対して0.05〜1.5重量%(W/W)の塩漬剤で、3〜15℃の温度で1〜13時間の間塩漬する段階を含む、請求項1に記載のレトルト用食品材料の製造方法。
【請求項3】
前記2段ブランチングは、60〜90℃の水で2〜12分間1次ブランチングした後、95〜100℃の水で1〜10分間2次ブランチングするものである、請求項に記載のレトルト用食品材料の製造方法。
【請求項4】
前記オイルブランチングは、110〜150℃のオイルで20〜100秒間ブランチングするものである、請求項1に記載のレトルト用食品材料の製造方法。
【請求項5】
前記スチームブランチングは、85〜110℃のスチームで20〜100秒間加熱するものである、請求項1に記載のレトルト用食品材料の製造方法。
【請求項6】
前記肉類原料は、豚肉、牛肉、鶏肉、鴨肉、七面鶏肉及び羊肉の中から選択された一つ以上の肉類であり、
前記海産物原料は、イカ、タコ、テナガダコ、海老、蟹、あさりむき身及び鱈、明太魚、石持、鯖、鰆、秋刀魚のような魚類中に選択された一つ以上のものである、請求項1に記載のレトルト用食品材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、食品材料の製造方法及び食品材料に関する。
【背景技術】
【0002】
牛肉、豚肉、鶏肉などの肉類と海老、イカ、タコ、あさりむき身などの海産物は、加工食品分野において重要な食品材料として使用されている。
【0003】
しかし、このような食品材料等はレトルトのような高温高圧殺菌段階後に組織タンパク質の熱変性が起こるため保水力が減少する。保水力は、食品材料に細切り、圧着、熱処理などの物理的処理の際に、組織内の水分を失うことなく引き続き保有することができる能力をいうが、保水力が減少すると品質が損傷され、食感が低下される問題点が発生する。
【0004】
このような食感の低下は消費者選好度の下落につながるため、これを克服するために原料肉及び海産物を食品材料として使用するとき、少量でのみ使用するか小さな大きさで切って使用するような試みがあるが、これは短期的な解決策であるだけで、食品材料の加工時の保水力の低下の根本的な解決策とはならなかった。
【0005】
一方、食感の観点でだけでなく、加工容易性の観点でも保水力は重要であるが、通常、ハム、ソーセージなど肉類ベースの加工食品の生産時に、肉タンパク質内のそれ自体の水分以外に肉量の約25〜50%程度となる添加水の吸収や結合が追加的に必要であることから分かるように、食品材料の保水力は加工過程においても非常に重要であるとすることができ、保水力が低いとき、収率の減少による原価上昇の問題点も発生する。
【0006】
このような食品材料の保水力に影響を及ぼす要因は、原料の新鮮度、タンパク質含量、塩漬剤として使用される塩とリン酸塩の濃度及び熱処理温度、時間などであり得、具体的に韓国公開特許第2003−0000221号公報に開示されているように、現在食品材料の保水力の向上のために商業的に使用されている方法には、ソジウムトリポリホスフェートを含む塩漬溶液を用いる塩漬工法(ポリリン酸塩、ピロリン酸塩及びメタリン酸塩で構成された複合リン酸塩を用いた塩漬工法)が挙げられる。このような方法は、主にハム、畜肉及び魚肉ソーセージなどの肉加工用製品の製造時にのみ限定的に使用されているだけで、レトルトのような高圧/高温で加熱殺菌した食品材料の加熱及び貯蔵の際に硬いテクスチャーを改善するための保水力の向上に対する研究及び商業化の技術は少ない方であった。したがって、本出願の発明者らは高温加熱食品の製造過程にも適用可能な、保水力を維持することができる食品材料の製造方法に対する研究を重点的に行って商業的に適用可能な本出願の食品材料の製造方法を確立した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2003−0000221号公報(公開日2003.1.6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は、肉類及び海産物からなる群から選択された一つ以上の原料をリン酸塩及び澱粉を含む塩漬剤と混合して塩漬する塩漬段階、及び前記原料を110から130℃の温度で10から60分間加熱して殺菌する段階を含む食品材料の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本出願は、肉類及び海産物からなる群から選択された一つ以上の原料をリン酸塩及び澱粉を含む塩漬剤と混合して塩漬する塩漬段階、及び前記原料を110から130℃の温度で10から60分間加熱して殺菌する段階を含んで製造されていることを特徴とする食品材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本出願は、肉類及び海産物からなる群から選択された一つ以上の原料をリン酸塩及び澱粉を含む塩漬剤と混合して塩漬する塩漬段階、及び前記原料を110から130℃の温度で10から60分間加熱して殺菌する段階を含むレトルト用食品材料の製造方法を提供する。
【0011】
前記原料は、鶏肉、鴨肉、豚肉、牛肉及び羊肉の中から選択された一つ以上の肉類、及びイカ、タコ、テナガダコ、海老、蟹、あさりむき身及び魚の中から選択された一つ以上の海産物中に選択された一つ以上であってよいが、これに限定されない。
【0012】
本出願は、リン酸塩及び澱粉を全て含む塩漬剤を使用して、リン酸塩及び澱粉それぞれを処理した食品材料に比べての保水力、すなわち肉汁含有量が高いだけでなく、高温加熱時にも硬度が高くなることを顕著に改善することにより、柔らかい食感を有するレトルト用食品材料を製造することができる。
【0013】
具体的に前記リン酸塩は、食品材料の保水力を維持し収率が向上するので、高温加熱(レトルト)時にもテクスチャー及び収率が向上するという効果がある。具体的に、前記リン酸塩はポリリン酸塩、ピロリン酸塩及びメタリン酸塩、グリセロリン酸塩、リン酸アルミニウムなどの中から選択された一つ以上を含んでよく、また前記澱粉と甘味料は食品材料の保水力を高めて食品材料のタンパク質内の水分の分離により発生する組織硬化の現象を最小化するという効果があり、特に澱粉は糊化による食品材料内の保水力を維持する効果があるもので、前記澱粉は米澱粉、小麦澱粉、コーンスターチ、甘藷澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、難消化性デキストリン、難消化性マルトデキストリン、変性澱粉などの中から選択された一つ以上を含んでよい。
【0014】
前記リン酸塩は、原料重量に比べて0.01から0.9重量%(W/W)、具体的には0.02から0.87重量%(W/W)、より具体的には0.03から0.85重量%(W/W)、最も具体的には0.05から0.8重量%(W/W)で使用されてよい。また、前記澱粉は、原料重量に比べて0.05から2.0重量%(W/W)、具体的には0.07から1.8重量%(W/W)、より具体的には0.08から1.7重量%(W/W)、最も具体的には0.1から1.5重量%(W/W)0.05から0.8重量%(W/W)で使用されてよい。
【0015】
前記塩漬段階は、原料重量に比べて0.05〜1.5重量%(W/W)の塩漬剤にて3〜15℃温度で1〜13時間の間、具体的には原料重量に比べて0.07〜1.3重量%(W/W)の塩漬剤にて4〜13℃温度で1時間20分〜12時間40分間、より具体的には原料重量に比べて0.09〜1.1重量%(W/W)の塩漬剤にて4.5〜11℃温度で1時間40分〜12時間20分間、最も具体的には0.1〜1.0重量%(W/W)の塩漬剤にて5〜10℃温度で2〜12時間の間行われてよい。また、塩漬段階は、公知の塩漬方法を使用してよいが、インジェクションまたは真空タンブリングの塩漬を介して塩漬してよい。
【0016】
また、前記塩漬剤は、複合リン酸塩及び澱粉が5:5〜2:8、具体的には5:5〜3:7、より具体的には3:7の重量の割合で含まれるものであってよい。前記範囲で硬度が低い水準に維持されるだけでなく、高い保水率を有する食品材料を製造することができる。
【0017】
前記塩漬剤は、必要に応じて他の添加剤をさらに含むことができ、具体的に前記塩漬剤は重曹、甘味料及びオイルなどをさらに含むことができる。具体的に前記重曹は、タンパク質分解機作を介して食品材料の組織を軟化させる効果があるもので、重炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウムの中から選択された一つ以上であってよい。前記甘味料は、公知の甘味料(例えば、二糖類、単糖類、オリゴ糖類、糖アルコール、高甘味料、及び液状糖)を制限なく含んでよく、前記二糖類はトレハロースを含んでよく、前記オイルは、食品材料の加熱及び貯蔵時に柔らかい食感を維持する効果があるもので、具体的に大豆油(soybean oil)、オリーブ油(olive oil)、パーム油(palm oil)、コーン油(corn oil)、パームオレイン油(palm olein oil)、パームステアリン油(palm stearin oil)、ヤシ油(coconut oil)、キャノーラ油(canola oil)及びひまわり油(sunflower oil)、並びにこれらの硬化油の中から選択された一つ以上を含んでよい。
【0018】
前記重曹は、原料重量に比べて0.01から0.9重量%(W/W)、具体的には0.02から0.87重量%(W/W)、より具体的には0.03から0.85重量%(W/W)、最も具体的には0.05から0.8重量%(W/W)で使用されてよい。前記甘味料は、原料重量に比べて0.05から2.0重量%(W/W)、0.07から1.8重量%(W/W)、より具体的には0.08から1.7重量%(W/W)、最も具体的には0.1から1.5重量%(W/W)で使用されてよい。また、前記オイルは、原料重量に比べて0.05から2.0重量%(W/W)、0.07から1.8量%(W/W)、より具体的には0.08から1.7重量%(W/W)、最も具体的には0.1から1.5重量%(W/W)で使用されてよい。
【0019】
前記塩漬段階を含む食品材料の製造方法は、従来の製造方法に比べて食品材料の保水力を維持することができるので、原料の食感を改善することができ、加工容易性の増加により製品の収率が向上し得るとの効果がある。
【0020】
なお、本出願の製造方法は、前記塩漬段階後、低温及び高温の順次加熱を介した2段ブランチング、オイルブランチング及びスチームブランチングのうちいずれか一つ以上の方法で原料をブランチングするブランチング段階をさらに含むことができる。
【0021】
具体的に2段ブランチングの場合、従来のブランチングが熱水で長時間加熱することにより、肉、海産物に強いテクスチャーを発生させる問題があるのに比べ、前記2段ブランチングは、低温から高温に温度を2段に分けてブランチングすることになるので、肉、海産物の組織の収縮速度を最大限遅らせるようになる。よって、タンパク組織の収縮が徐々に起こり、食感と収率が向上する。また、オイルブランチングの場合、高温で瞬間加熱するようになるので、表面タンパク質の硬化が早い時間内に起こり、肉汁の保存により柔らかい食感の具現が可能であり、スチームブランチングの場合、従来のブランチングより高温で早い時間内に加熱が可能なので、肉汁の保有によるジューシー食感の側面などで有利な点が多い。
【0022】
具体的に、前記2段ブランチングは、60〜90℃の水で2〜12分間1次ブランチングした後、90〜110℃の水で30秒〜12分間、具体的には70〜80℃の水で3〜10分間1次ブランチングした後、95〜100℃の水で1〜10分間2次ブランチングしてよい。より具体的に、前記2段ブランチングは、水重量に比べて0.05〜0.8重量%(W/W)、具体的に0.1〜0.5重量%(W/W)の重曹を添加してブランチングするものであってよい。
【0023】
また、前記オイルブランチングは、とうもろこし油、大豆油及びぶどう油のうち選択された一つ以上のオイルを使用して110〜150℃で20〜100秒間、具体的にはとうもろこし油を使用して120〜140℃で30〜90秒間ブランチングするものであってよい。
【0024】
また、スチームブランチングは、85〜110℃のスチームで20〜100秒間、具体的には90〜105℃のスチームで30〜90秒間加熱するものであってよい。
【0025】
具体的に前記オイル、スチームブランチングが前記温度範囲で行われる場合、内部の肉汁(水分)の損失を減少させる肉表面タンパク質の瞬間熱変性による表面コーティングの効果が充分に維持され、機械的硬度の改善効果に優れ、表面熱変性の効果があるが、高温により肉表面の褐変が発生して品質が低下されることを防止することができる。また、表面タンパク質の瞬間熱変性の効果があるとともに、内部まで完全に加熱されるので、肉汁が損失される現象を最小化して食感を改善することができる。
【0026】
前記ブランチング段階後、原料の中心温度が50〜65℃に達するまで冷却させる段階を含むことができる。
【0027】
一方、前記ブランチング段階後、空気中に放冷及び冷水シャワー式冷却の中から選択された一つ以上の冷却方法をさらに含むことができる。
【0028】
前記殺菌する段階は、塩漬段階を経た原料をレトルト殺菌、例えば110から130℃、具体的に115から125℃、より具体的に121℃の温度で10から60分、具体的に20から40分、より具体的に30分間加熱することである。前記殺菌する段階は、製造された食品材料の微生物安定性を改善し、製造、流通及び保管などにおいて食品材料の品質を維持できるようにするものであって、従来のレトルト殺菌の場合、殺菌以後には食品材料の品質、特に硬度が高くなり水分損失率が高いので、食感の低下が多く起こる。しかし、本出願は、前記のような塩漬段階及びブランチング段階を介してレトルト工程を経るとしても、原料の食感が維持されながらも微生物の安定性が高い食品材料を製造することができる。
【0029】
また、本出願の他の一態様は、肉類及び海産物からなる群から選択された一つ以上の原料をリン酸塩及び澱粉を含む塩漬剤と混合して塩漬する塩漬段階、及び前記原料を110から130℃の温度で10から60分間加熱して殺菌する段階を含んで製造されていることを特徴とするレトルト用食品材料である。
【0030】
前記製造方法に関する事項は、レトルト用食品材料に同一に適用され得る。
【0031】
前記食品材料の場合、高温加熱の製造過程に適用されても保水力を維持し、加熱による組織の収縮が緩和されたものであって、高温加熱の製造過程に適用されて加工容易性及び食感が改善される効果がある。
【発明の効果】
【0032】
本出願に係る食品材料の製造方法によれば、従来の食品材料の製造方法に比べて、高温加熱食品の製造過程に適用することができ、高温加熱食品の製造過程においても食品材料の保水力を維持し、加熱による組織の収縮を緩和して製品の食感が改善され得、加工容易性の増加により製品の収率が向上し得るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】塩漬条件による食品材料の硬度及び水分損失率を示した図である。
図2】ブランチング段階による食品材料の硬度及び水分損失率を示した図である。
図3】ブランチング条件による食品材料の硬度及び水分損失率を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本出願の理解を助けるために好ましい実施形態を提供する。しかし、下記の実施形態は、本出願をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本出願が下記の実施形態によって制限されるものではない。
【0035】
<実施例>
製造例1:食品添加物の塩漬及びブランチングの新工法を適用した食感改善原料肉及び海産物の前処理方法
本出願の食品添加物の塩漬及びブランチングの新工法を適用した食感改善加熱肉及び海産物の代表的な製造工程を説明する。
(1)原料選別、洗浄及び切断工程
牛肉、豚肉、鶏肉などの畜肉、家禽肉及び海老、イカ、テナガダコなどの甲殻類、軟体類原物の表面に付いている埃、異物などの汚染物質を除去するために、先ずきれいな水で洗浄した後、切断して原料として準備した。
(2)塩漬工程
選別、洗浄及び切断が終わった原料に、総重量に対して0.1〜1.0%(w/w)の複合リン酸塩、重曹、変性澱粉、トレハロース及び食用油を、目標食感の水準を考慮してそれぞれまたは複合して添加し、5℃の冷蔵状態で12時間保管した。
(3)ブランチング工程(2段ブランチング、オイルブランチング、スチームブランチング)
塩漬が終わった原料にブランチング工程(2段ブランチング、オイルブランチング、スチームブランチングの加熱)を行って高温加熱後にも組織が軟化し得るタンパク質の状態を組成した。
【0036】
2段ブランチングを適用する場合、原料を水または水重量に比べて0.3%(w/w)の重曹を添加した溶液に入れて、75℃の水で7分加熱した後、95℃で3分の間加熱する低温及び高温の順次加熱条件を適用した。
【0037】
オイルブランチングを適用する場合、130℃内外の食用油に原料を入れて60秒程度ブランチング加熱を行った。
【0038】
スチームブランチングを適用する場合、原料を100℃のスチームで90秒間加熱した。
【0039】
ブランチング処理後には、原料の中心温度が55℃内外に達するまで冷水シャワーをして冷却させる工程を適用した。
【0040】
(4)包装及び加熱殺菌(レトルトなど)
塩漬及びブランチングが完了した原料は、メニューによって野菜などの他の具の原料と韓食風、洋風、和食風及び中華風などの多様なソースと混合して加熱料理した後、用途に応じて高温に対する耐熱性及び光、酸素遮断性と柔軟性のあるポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンなどで構成されている多層包装材質のレトルト専用耐熱性パウチまたはトレー包装材に、完成品の重量が200〜500gとなるようにそれぞれ包装した後、90〜121℃の温度で10〜60分間加熱殺菌処理して冷蔵または常温流通が可能な加工食品として製造した。
【0041】
実験例1:塩漬段階の効果の確認
本出願の塩漬段階が肉、海産物原料にどのような効果を与えるのか確認するため、製造例1の製造方法を従い、ただし、塩漬条件を表1に記載された条件で塩漬を非遂行/遂行し、製造された食品材料の機械的硬度及び水分損失率を表1及び図1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
表1及び図1で確認されるように、全ての原料等で塩漬段階を含まずにレトルトを経た食品原料に比べ、本出願の塩漬段階を含む場合には、機械的硬度が減少され水分損失率が減るので、食感が改善されることが確認できる。特に、塩漬をリン酸塩のみで行うより澱粉を混合して使用する場合、機械的硬度及び水分損失率がさらに改善され、レトルト処理前の機械的硬度及び水分損失率と類似の水準の食感を達成するので、大量生産のためのレトルトの殺菌時にも原料の食感を維持することができることを確認した。
【0044】
また、リン酸塩30%+澱粉70%を混合して塩漬する場合、機械的硬度は約63%、水分損失率は約64%減少してリン酸塩30%+澱粉70%を混合して塩漬剤として使用した塩漬段階が最も優れた食感改善の効果があることが確認できた。
【0045】
実験例2:ブランチング段階の効果の確認
(1)ブランチングの効果の確認
本出願のブランチング段階が、肉、海産物原料にどのような効果があるのかを確認するため、製造例1の製造方法を従い、ただし、表2に記載された条件でブランチング段階を非遂行/遂行し、製造された食品材料の機械的硬度及び水分損失率を表2及び図2に示した。
【0046】
【表2】
【0047】
表2及び図2で確認されるように、全ての原料等でブランチングを処理せずにレトルトを経た食品原料に比べて、ブランチングを処理する場合、機械的硬度及び水分損失率が減少され、食感が改善されることが確認できた。特に、既存のブランチングに比べて本出願の2段ブランチング及び表面ブランチング(スチーム、オイル)を処理する場合、機械的硬度及び水分損失率が減少され、食感がさらに改善されることが確認できた。
【0048】
(2)最適のブランチング条件の確認
前記実験を介して本出願のブランチング段階に食感改善の効果があることを確認しており、最も効果が優れたブランチング条件(温度及び時間)を確認するために、製造例1の製造方法を従い、ただし、ブランチング条件を表3に記載された条件でブランチングを行って、製造された食品材料の機械的硬度及び水分損失率を表3及び図3に示した。
【0049】
【表3】
【0050】
前記表3及び図3で確認されるように、柔らかい肉食感に係る低い機械的硬度、及び肉汁保有量に係る水分損失率の最小化を介して最適の食感を有するためには、2段ブランチングの場合に75℃で7分処理した後、95℃で3分、スチームブランチングの場合に100℃、30秒、オイルブランチングの場合に130℃で30秒間行うのが好ましいことを確認した。
【0051】
実験例3:本出願の製造方法の効果の確認
前記本出願の塩漬段階及びブランチング段階を介した本出願の製造方法の食感改善の効果を確認するために、製造例1の製造方法に基づいて下記表4の条件で塩漬及びブランチングを行い、製造された食品材料の機械的硬度及び水分損失率を表4に示した。
【0052】
【表4】
【0053】
表4で確認されるように、全ての食品原料で塩漬及びブランチングを処理せずにレトルトを経た食品材料に比べて、塩漬及びブランチングを経た食品材料の場合、機械的硬度及び水分損失率が減少して食感改善の効果があることを確認した。
【0054】
しかし、本出願の塩漬(リン酸塩30%+澱粉70%)+表面ブランチング(オイル)を経た食品材料は、機械的硬度が約73%減少され、水分損失率は約76%減少して、顕著に柔らかい食感が具現されたことを確認した。
図1
図2
図3