(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
数平均分子量が15000〜35000である水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)を含有する水酸基含有ポリエステル樹脂(A)、アミノ樹脂に含まれるトリアジン環又は尿素骨格1個あたり、1個以上のブチルエーテル基を有するアルキルエーテル化アミノ樹脂(B)及びブロックポリイソシアネート化合物(C1)を含有するポリイソシアネート化合物(C)を含有し、
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)の固形分総量に対し、成分(A1)、成分(B)及び成分(C)の固形分含有量が、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)50質量%以上、アミノ樹脂(B)1〜20質量%、ポリイソシアネート化合物(C)2〜30質量%であることを特徴とするフィルムラミネート金属缶用の接着剤。
ポリイソシアネート化合物(C)の固形分総量に対し、ブロックポリイソシアネート化合物(C1)の固形分含有量が、5〜95質量%である請求項1に記載のフィルムラミネート金属缶用の接着剤。
さらに、ガラス転移温度が50℃以上であるアクリル樹脂(D)を含有するフィルムラミネート金属缶用の接着剤であって、上記アクリル樹脂(D)が、該樹脂の構成モノマーとして、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートのうちの少なくとも1種(d1)を、該樹脂の構成モノマーの総量に対して20質量%以上含有するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルムラミネート金属缶用の接着剤。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のフィルムラミネート金属缶用の接着剤は、数平均分子量が15000〜35000である水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)を含有する水酸基含有ポリエステル樹脂(A)、アミノ樹脂に含まれるトリアジン環又は尿素骨格1個あたり、1個以上のブチルエーテル基を有するアルキルエーテル化アミノ樹脂(B)及びブロックポリイソシアネート化合物(C1)を含有するポリイソシアネート化合物(C)を含有する。
【0021】
本発明のフィルムラミネート金属缶用の接着剤(以下、単に「接着剤」と称することがある)について、以下、詳細に説明する。
【0022】
[フィルムラミネート金属缶用の接着剤]
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)は、公知の方法により、酸成分(a1)とアルコール成分(a2)のエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。
【0023】
酸成分(a1)
上記酸成分(a1)は、ポリエステル樹脂の製造に際して酸成分として通常使用される化合物を使用することができ、例えば、芳香族多塩基酸、芳香族モノカルボン酸、脂環式多塩基酸、脂肪族多塩基酸、脂肪族モノカルボン酸等の一塩基酸;及びこれらの酸の低級アルキルエステル化物等を使用することができる。
【0024】
上記芳香族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物及び該芳香族化合物のエステル化物であって、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;これら芳香族多価カルボン酸の無水物;等を挙げることができる。芳香族多塩基酸は、単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。
【0025】
上記芳香族モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、メチル安息香酸、エチル安息香酸、ブチル安息香酸等を挙げることができる。
【0026】
上記脂環式多塩基酸は、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個以上のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物及び該化合物のエステル化物である。該脂環式多塩基酸としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環式多価カルボン酸;これら脂環式多価カルボン酸の無水物;これら脂環式多価カルボン酸の低級アルキルエステル化物等を挙げることができる。脂環式多塩基酸は、単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。
【0027】
上記脂環式多塩基酸としては、特に、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物を好適に使用することができる。上記のうち、耐加水分解性の観点から、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物を特に好適に使用することができる。
【0028】
上記脂肪族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物であって、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;これら脂肪族多価カルボン酸の無水物;等を挙げることができる。脂肪族多塩基酸は、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
脂肪族多塩基酸としては、炭素数4〜18のアルキル鎖を有するジカルボン酸を使用することが好ましい。上記炭素数4〜18のアルキル鎖を有するジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸等を挙げることができ、なかでもドデカン二酸、オクタデカン二酸を好適に使用することができる。
【0030】
上記脂肪族モノカルボン酸としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エライジン酸、ブラシジン酸、リノール酸、リノレン酸、ロジン酸等を挙げることができる。
【0031】
アルコール成分(a2)
アルコール成分(a2)は、ポリエステル樹脂の製造に際してアルコール成分として通常使用される、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを好適に使用することができる。上記多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール等を挙げることができる。
【0032】
上記芳香族ジオールは、一般に、1分子中に2個の水酸基を有する芳香族化合物である。該芳香族ジオールとしては、例えば、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のエステルジオール類;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。
【0033】
上記脂環族ジオールは、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造(主として4〜6員環)と2個の水酸基を有する化合物である。該脂環族ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の2価アルコール;これらの2価アルコールにε−カプロラクトン等のラクトン類を付加したポリラクトンジオール等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。
【0034】
上記脂肪族ジオールは、一般に、1分子中に2個の水酸基を有する脂肪族化合物である。該脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール類等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。
【0035】
前記、芳香族ジオール、脂環族ジオール及び脂肪族ジオール以外の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ソルビトール、マンニット等の3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトン等のラクトン類を付加させたポリラクトンポリオール類等を挙げることができる。これらのうち、特に、トリメチロールプロパン、トリグリセリン、ペンタエリスリトールが好ましい。
【0036】
また、必要に応じて、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル(商品名「カージュラE10」HEXION Specialty Chemicals社製)等のモノエポキシ化合物と酸とを反応させて得られたアルコール化合物等も使用することができる。
【0037】
本発明の接着剤に使用する水酸基含有ポリエステル樹脂(A)の製造は、特に限定されず、通常の方法に従って行なうことができる。例えば、前記酸成分(a1)とアルコール成分(a2)とを窒素気流中、150〜250℃で5〜10時間反応させて、エステル化反応又はエステル交換反応を行なうことにより製造することができる。上記エステル化反応又はエステル交換反応では、酸成分(a1)及びアルコール成分(a2)を一度に添加してもよいし、数回に分けて添加してもよい。
【0038】
また、はじめにカルボキシル基含有ポリエステル樹脂を合成した後、上記アルコール成分(a2)を用いて、該カルボキシル基含有ポリエステル樹脂中のカルボキシル基の一部をエステル化してもよい。さらに、はじめに水酸基含有ポリエステル樹脂を合成した後、酸無水物を反応させて、水酸基含有ポリエステル樹脂をハーフエステル化させてもよい。
前記エステル化又はエステル交換反応の際には、反応を促進させるために、触媒を用いることができる。触媒としては、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の公知の触媒を使用することができる。
【0039】
また、前記水酸基含有ポリエステル樹脂(A)は、該樹脂(A)の調製中、もしくはエステル化反応後又はエステル交換反応後に、脂肪酸、油脂、ポリイソシアネート化合物、モノエポキシ化合物等で変性することもできる。
【0040】
上記、脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;等を挙げることができる。
【0041】
また、油脂としては、例えば、ヤシ油、綿実油、麻実油、米ぬか油、魚油、トール油、大豆油、アマニ油、桐油、ナタネ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、サフラワー油等を挙げることができる。
【0042】
上記、ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;リジントリイソシアネート等の3価以上のポリイソシアネート等の有機ポリイソシアネートそれ自体、又はこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した各有機ジイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビゥレット型付加物等を挙げることができる。これらは、単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。
【0043】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)は、硬化性及び加工性等の観点から、数平均分子量5000〜35000であり、好ましくは8000〜32000、さらに好ましくは10000〜30000である。
【0044】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)は、加工性等の観点から、ガラス転移温度(Tg)は、好ましくは20〜100℃、さらに好ましくは25〜60℃である。
【0045】
本明細書において、樹脂の「平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。カラムは、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、検出器;RIの条件で行ったものである(※1)。
【0046】
また、本明細書において、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析(DSC)によるものである(※2)。
【0047】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)は、硬化性及び加工性の観点から、水酸基価1〜40mgKOH/gであり、好ましくは3〜30mgKOH/g、さらに好ましくは5〜20mgKOH/gである。
【0048】
また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A)の酸価は、加工性及び耐水性等の観点から、好ましくは20mgKOH/g以下、好ましくは1〜15mgKOH/g、さらに好ましくは3〜10mgKOH/gの範囲内であることが好適である。
【0049】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)は、耐水性の観点から、数平均分子量が15000〜35000、好ましくは、18000〜32000である水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)を50質量%以上、好ましくは60質量%以上含有するものである。
【0050】
また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)のガラス転移温度(Tg)は、耐ブロッキング性の観点から、好ましくは30℃以上、より好ましくは、35℃以上である。
【0051】
アミノ樹脂(B)
アミノ樹脂(B)は、主として、上記水酸基含有ポリエステル樹脂(A)の硬化剤として使用するものである。
【0052】
従来のポリイソシアネート化合物に硬化剤としてさらに、アミノ樹脂(B)を含有することにより、接着剤層及び印刷インキ層の組成によっても変化するが、接着剤層及び印刷インキ層両方の硬化性、及び接着剤層と印刷インキ層の相間付着性を向上させることができる。
【0053】
本発明の接着剤のアミノ樹脂(B)は、アミノ樹脂に含まれるトリアジン環又は尿素骨格1個あたり、1個以上のブチルエーテル基を有するアルキルエーテル化アミノ樹脂である。アミノ樹脂に含まれるトリアジン環又は尿素骨格1個あたり、平均1個以上のブチルエーテル基を含有する。
【0054】
アミノ樹脂(B)は、重量平均分子量が400〜6,000であるのが好ましく、500〜4,000であるのがより好ましく、600〜3,000であるのがさらに好ましい。
【0055】
アミノ樹脂(B)は、アミノ化合物、アルデヒド化合物及びアルコールを常法により反応させることにより合成することができる。
【0056】
アミノ化合物とアルデヒド化合物との反応によって得られる部分メチロール化アミノ樹脂又は完全メチロール化アミノ樹脂を、アルコールによって、部分的に又は完全にアルキルエーテル化することにより合成することもできる。
【0057】
アミノ化合物としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等を挙げることができる。
アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等を挙げることができる。
【0058】
アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エチル−1−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等を挙げることができる。
【0059】
アミノ樹脂(B)は、アミノ樹脂に含まれるトリアジン環又は尿素骨格1個あたり、ブチルエーテル基を1個以上有するように調整して合成することにより製造することができる。ブチルエーテル基を有するように用いられるアルコールとしては、例えば、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールを挙げることができる。
【0060】
アミノ樹脂(B)としては、メラミン樹脂を好適に使用することができる。ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂を好適に使用することができる。
【0061】
上記メラミン樹脂の市販品としては、例えばブチルエーテル化メラミン樹脂(三井化学社製ユーバン20SE−60、ユーバン225、大日本インキ化学工業社製スーパーベッカミンG840、スーパーベッカミンG821等)、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂(オルネックス社製サイメル235、サイメル202、サイメル238、サイメル254、サイメル272等)等を挙げることができる。
【0062】
アミノ樹脂(B)の硬化触媒として、必要に応じて、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸;該スルホン酸とアミンとの中和塩;リン酸エステル化合物とアミンとの中和塩等を使用することができる。
【0063】
ポリイソシアネート化合物(C)
ポリイソシアネート化合物(C)は、主として上記の水酸基含有ポリエステル樹脂(A)の硬化剤として使用するものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の環状脂肪族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等の3個以上のイソシアネ−ト基を有するポリイソシアネート化合物等の有機ポリイソシアネートそれ自体、又はこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記各有機ポリイソシアネート同士の環化重合体、更にはイソシアネート・ビウレット体等を挙げることができる。これらのうち、ヘキサメチレンジイソシアネートの環化重合体であるイソシアヌレート体を反応性及び反応速度の観点から好適に使用することができる。
【0064】
本発明の接着剤のポリイソシアネート化合物は、経済性及び取り扱いやすさのため1液型とする観点からブロックポリイソシアネート化合物(C1)を必須成分として含有する。
【0065】
ブロックポリイソシアネート化合物は、上記ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロック剤によってブロック化したものである。上記ブロック剤としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール等のフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム系;メタノール、エタノール、n−,i−又はt−ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール等のアルコール系;ホルムアミドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系;3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール系;等のブロック剤を使用することができる。上記ポリイソシアネート化合物と上記ブロック剤とを混合することによって容易に上記ポリイソシアネート化合物のフリーのイソシアネート基をブロック化することができる。
【0066】
ブロックポリイソシアネート化合物(C1)としては、ブロック剤がピラゾール化合物であるブロックポリイソシアネート化合物を反応速度の観点から好適に使用することができる。
【0067】
本発明の接着剤において、特に、反応性の観点から、ブロックポリイソシアネート化合物(C1)及びブロックポリイソシアネート化合物(C1)以外のポリイソシアネート化合物(C2)(つまり、イソシアネート基がブロック化されていない通常のポリイソシアネート化合物)を併用することが好ましい。この場合、ポットライフの点から、1液型ではなく2液型となる場合もある。
【0068】
ブロックポリイソシアネート化合物(C1)及びブロックポリイソシアネート化合物(C1)以外のポリイソシアネート化合物(C2)を併用する場合、ポリイソシアネート化合物(C)の固形分総量に対し、ブロックポリイソシアネート化合物(C1)の固形分含有量が、5〜95質量%、特に25〜90質量%、さらに特に45〜85質量%であり、ブロックポリイソシアネート化合物(C1)以外のポリイソシアネート化合物(C2)の固形分含有量が、5〜95質量%、特に10〜75質量%、さらに特に15〜55質量%であることが好ましい。
【0069】
また、ポリイソシアネート化合物(C)の硬化性を向上させるため硬化触媒を使用することもできる。硬化触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、2−エチルヘキサン酸鉛等の有機金属触媒等を使用することができる。
【0070】
本発明の接着剤において、アミノ樹脂(B)が、水酸基含有ポリエステル樹脂(A)の固形分総量に対し、1〜20質量%であり、特に3〜15質量%、さらに特に5〜10質量%の範囲内であることが硬化性の観点から好ましい。
【0071】
また、ポリイソシアネート化合物(C)が、水酸基含有ポリエステル樹脂(A)の固形分総量に対し、2〜30質量%であり、特に4〜22質量%、さらに特に7〜15質量%の範囲内であることが硬化性及び加工密着性の観点から好ましい。
【0072】
本発明の接着剤において、アミノ樹脂(B)及びポリイソシアネート化合物(C)の固形分総量に対し、アミノ樹脂(B)が、1〜99質量%、さらに特に5〜95質量%であり、ポリイソシアネート化合物(C)が、1〜99質量%、さらに特に5〜95質量%であることが好ましい。
【0073】
アクリル樹脂(D)
本発明の接着剤には、特に、耐ブロッキング性等向上の観点から、構成モノマーの総量に対して、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートのうちの少なくとも1種(d1)の総量が20質量%以上であり、ガラス転移温度が50℃以上であるアクリル樹脂(D)をさらに、好適に含有させることができる。
【0074】
アクリル樹脂(D)は、例えば、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートのうちの少なくとも1種(d1)、水酸基含有重合性不飽和モノマー(d2)及びその他の重合性不飽和モノマー(d3)からなるモノマー成分を構成成分として、合成することができる。
【0075】
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー(d2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物;上記多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物にε− カプロラクトンを開環重合した化合物、例えば、「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」、「プラクセルFM−5」(以上、いずれもダイセル化学株式会社製、商品名)等を挙げることができる。これらは1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0076】
その他の重合性不飽和モノマー(以下、「その他モノマー(d3)」と略称することがある)は、上記(d1)成分及び(d2)成分と共重合可能であって、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートのうちの少なくとも1種(d1)及び水酸基含有重合性不飽和モノマー(d2)以外の重合性不飽和モノマーである。
【0077】
その他モノマー(d3)としては、例えばスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜24個のアルキル(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドメチルエーテル、N−メチロールアクリルアミドブチルエーテル等の(メタ)アクリルアミド又はその誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、ベオバモノマー(シェル化学社製)、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等を挙げることができる。これらの化合物は、1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド又はメタアクリルアミドを意味する。
【0078】
アクリル樹脂(D)を構成するモノマーの配合割合は、構成モノマーの総量に対して、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレートのうちの少なくとも1種(d1)が、20質量%以上、特に20〜60質量%、さらに特に30〜50質量%の範囲内であることが、耐ブロッキング性の観点から好ましく、水酸基含有重合性不飽和モノマー(d2)及びその他のモノマー(d3)の総量は、80質量%以下、好ましくは40〜80質量%、さらに好ましくは50〜70質量%の範囲である。
【0079】
上記モノマー成分を重合してアクリル樹脂(D)を得るための重合方法は、特に限定されず、それ自体既知の重合方法、例えばラジカル重合開始剤の存在下において、塊状重合法、溶液重合法、塊状重合後に懸濁重合を行う塊状−懸濁二段重合法等により合成することができ、なかでも溶液重合法を好適に使用することができる。
【0080】
上記ラジカル重合開始剤としては、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジtert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジtert−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジtert−ヘキシルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジtert−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジクミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類;クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類;tert−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物系重合開始剤並びに2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系重合開始剤を挙げることができる。
【0081】
前記溶液重合法による重合方法としては、具体的には例えば、前記モノマーの混合物を有機溶媒に溶解もしくは分散せしめ、上記ラジカル重合開始剤の存在下で、通常、80℃〜200℃程度の温度で撹拌しながら加熱する方法を挙げることができる。反応時間は通常1〜24時間程度が適当である。
【0082】
上記有機溶媒としては、ヘプタン、トルエン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;n−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系;スワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500(以上、いずれもコスモ石油社製)、SHELLSOL A(シェルゾールA、シェル化学社製)等の芳香族石油系溶剤等を挙げることができる。これらの有機溶剤は1種で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0083】
アクリル樹脂(D)のガラス転移温度(前記注2参照)は、30℃以上、特に30〜80℃、さらに特に35〜70℃の範囲内にあることが耐ブロッキング性及びフィルム面の外観の観点から好適である。
【0084】
アクリル樹脂(D)は、重量平均分子量(前記注1参照)が2000〜20000、特に5000〜15000の範囲内であることが、フィルム面の外観の観点から好ましい。
アクリル樹脂(D)の水酸基価は、40〜140mgKOH/g、特に60〜130mgKOH/g、さらに特に80〜120mgKOH/gの範囲内にあることがラミネート強度の観点から好ましい。
【0085】
本発明の接着剤がアクリル樹脂(D)を含有する場合、アクリル樹脂(D)の量は水酸基含有ポリエステル樹脂(A)の固形分総量に対し、0.1〜10質量%、特に0.5〜7質量%、さらに特に0.7〜5質量%の範囲内であることが耐ブロッキング性の観点から好ましい。
【0086】
また、本発明の接着剤は、必要に応じて、着色顔料、添加剤(ブロッキング防止剤、潤滑性付与剤、消泡剤等)、有機溶剤等を含有することができる。
上記着色顔料としては、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、キナクリドン、ペリレン、フタロシアニン等を挙げることができる。
【0087】
上記ブロッキング防止剤としては、体質顔料(例えば、シリカ微粉末、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー等)、有機微粒子(ナイロン微粒子、ポリオレフィン微粒子、アクリル樹脂微粒子、シリコーンゴム微粒子、ウレタン樹脂微粒子、フェノール樹脂微粒子、ポリ四弗化エチレン微粒子等)等を挙げることができる。
【0088】
上記潤滑性付与剤は、接着剤表面に潤滑性を付与するものであり、接着剤を塗布した積層フィルムをコイル状に円滑に巻き取るため、また、該コイルを解くときの接着剤層表面の傷付きを防止するため等の目的で含有させることができる。潤滑性付与剤としては、例えば、脂肪酸エステルワックス;ポリエチレンワックス等のポリオレフィンワックス;ラノリン、蜜蝋等の動物系ワックス;カルナウバワックス、水蝋等の植物系ワックス;マイクロクリスタリンワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックス等のワックスを挙げることができる。
【0089】
また、本発明の接着剤は、必要に応じて、重合性不飽和二重結合を有するオリゴマーを添加して、活性エネルギー線硬化性を付与することもできる。上記重合性不飽和二重結合を有するオリゴマーの市販品としては、例えば、アロニックスM−305(東亜合成社製)、EICA(第一工業製薬社製)、ライトアクリレートTMP−6EO−3A(共栄社製)等を挙げることができる。
【0090】
本発明の接着剤は、1液型である場合には、水酸基含有ポリエステル樹脂(A)、アミノ樹脂(B)、及びポリイソシアネート化合物(C)、必要に応じてさらに、アクリル樹脂(D)、着色顔料、添加剤及び有機溶剤等を加えて十分に混合することにより製造することができる。
【0091】
また、本発明の接着剤が2液型である場合には、水酸基含有ポリエステル樹脂(A)、アミノ樹脂(B)、及びブロックポリイソシアネート化合物(C1)、必要に応じてさらに、アクリル樹脂(D)、着色顔料、添加剤及び有機溶剤等を加えて十分に混合してこれを主剤とし、使用直前に、該主剤に、ブロックポリイソシアネート化合物(C1)以外のポリイソシアネート化合物(C2)を硬化剤として加えて混合することにより製造することができる。
【0092】
本発明の接着剤は、ザーンカップNo.3で、通常14〜24秒、好ましくは15〜20秒にして塗布することができる。接着剤の塗布時における固形分濃度は、ザーンカップNo.3で10〜22秒の粘度(測定温度20℃)で、10質量%以上であることが好ましい。
【0093】
フィルムラミネート金属缶の製造方法
本発明の接着剤を用いたフィルムラミネート金属缶の製造は、例えば、下記工程1〜3により行うことができる。
工程1.ポリエステルフィルムに接着剤を塗布する。
工程2.金属板へ該ポリエステルフィルムをラミネートする。
工程3.ポリエステルフィルムがラミネートされた金属板を、フィルムラミネート金属缶に成型加工する。
【0095】
工程1.ポリエステルフィルムに接着剤を塗布する。:
上記ポリエステルフィルム上への接着剤の塗布は、ロールコータ方式、ダイコータ方式、グラビア方式、グラビアオフセット方式、スプレー塗装方式等の公知の塗装手段により行なうことができる。また、乾燥は通常、塗布液中の溶剤を揮散させる程度で行なわれ、ポリエステルフィルムをコイル状に巻き取ってもブロッキングを起こさないように通常、50〜180℃程度の温度で行なうことができる。接着剤の塗布量は、乾燥皮膜重量として、色ムラ防止、隠蔽性等の点から、0.2〜20g/m
2、好ましくは0.5〜16g/m
2の範囲内とすることができる。上記ポリエステルフィルムとしては、加工性や付着性の面から、エステル反復単位の75〜100%がエチレンテレフタレート単位からなるものを好適に使用することができる。
【0096】
エチレンテレフタレート単位以外のエステル反復単位としては、エチレンフタレート、エチレンイソフタレート、エチレンアジペート等を挙げることができる。ポリエステルフィルムとしては、インキや接着剤との付着性を向上させるために、その表面にコロナ放電処理等の表面処理が施されたものを好適に使用することができる。ポリエステルフィルムの膜厚は、特に限定されないが、通常、5〜30μm程度であることが好ましい。
【0097】
ポリエステルフィルムはインキ層を有していてもよい。該インキ層は、フィルム上に、例えばグラビア印刷法等によりインキを印刷し、必要に応じて、加熱、活性エネルギー線照射等によって溶剤の除去や硬化を行うことによって形成することができる。
【0098】
ラミネート用フィルムは、上記フィルム上(フィルムがインキ層を有する場合は、通常、インキ層面上)に、接着剤を塗布、乾燥して表面粘着性のない接着剤層を形成することによって製造することができる。この乾燥された接着剤層を有するフィルムは通常、コイル状に巻き取られ、次工程での製造に供される。
【0099】
また、本発明の接着剤は、具体的には例えば、該接着剤をポリエステルフィルム(透明、厚さ10.5μm)に9g/1m
2となるように塗布し、得られる接着剤層の光線透過率が29%以下、好ましくは5〜28%、さらに好ましくは10〜28%となるように調整することにより、白色度が良好な接着剤層を得ることができる。なお上記において、光線透過率は、ヘイズメーターHM−150(株式会社村上色彩研究所製、商品名)を使用して、JISK7361−1に従って測定を行った。
【0100】
工程2.金属板へ該ポリエステルフィルムをラミネートする。:
次いで、工程1で得られたポリエステルフィルムのコイルを解いて、金属板にラミネートすることにより、ポリエステルフィルムラミネート金属板を得ることができる。上記のラミネートに使用される金属板としては、例えば、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、鉄−亜鉛合金メッキ鋼板、亜鉛−アルミニウム合金メッキ鋼板、ニッケル−亜鉛合金メッキ鋼板、ニッケル−錫合金メッキ鋼板、ブリキ、クロムメッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、ターンメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、ステンレススチール、ティンフリースチール、アルミニウム板、銅板、チタン板等の金属板素材;これらの金属板素材に化成処理、例えば、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化膜処理等を行った化成処理金属板を挙げることができる。また、金属板は、上記金属板素材、化成処理金属板又はプライマー塗装金属板等の平板状の金属板が、例えば缶胴等に成型加工された加工金属板であってもよい。
【0101】
前記接着剤層を有するラミネート用フィルムを上記金属板の表面に、ラミネートする条件は、ラミネート用フィルムが劣化せず、フィルムと金属板とが十分に接着され、良好な外観のフィルムラミネート金属板が得られる限り特に限定されない。
【0102】
ラミネート条件の一例として、例えば、加熱ロールを用いる方法や金属板を予熱する方法等により熱圧着時の金属板の温度を約120〜200℃とし短時間(通常2秒間以下)で、金属板とラミネート用フィルムとを熱圧着してラミネートする方法を挙げることができる。平板状の金属板を用いる場合には、平板状の金属板の片面又は両面に、ラミネート用フィルムを加熱ラミネートすることができる。
【0103】
また、上記加熱ラミネート後に、例えば、缶内面塗料の焼付け時における加熱等によって、さらに接着剤層を熱硬化させることもできる。該熱硬化は、熱硬化しラミネート用フィルムが劣化しない条件、例えば、金属板の最高到達温度が180〜230℃、焼付け時間が30〜120秒間で行うことが好ましい。
【0104】
工程3.ポリエステルフィルムがラミネートされた金属板を、フィルムラミネート金属缶に成型加工する。:
フィルムラミネート金属缶は、上記フィルムラミネート金属板を切断し、成形加工することにより製造することができる。また、前記ラミネート用フィルムを、成形された缶に直接ラミネートすることによってもフィルムラミネート金属缶を得ることができる。フィルムラミネート金属缶は、例えば、飲料缶、食缶、雑缶、5ガロン缶等として使用することができる。
【0105】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、これらにより限定されるものではない。各例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準である。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づくものである。
【実施例】
【0106】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A)溶液の製造例
製造例1 ポリエステル樹脂A−1溶液の製造
加熱装置、攪拌装置、温度計、還流冷却器、水分離器を備えた4つ口フラスコに、以下
の「モノマー1」を仕込んだ。次に、常法に従い、生成した縮合水を水分離器を用いて留去してエステル化反応を行い、さらに、生成物に無水トリメリット酸0.12部を付加した後、トルエン及びメチルエチルケトンを適量配合して固形分40質量%のポリエステル樹脂A−1溶液を得た。得られたポリエステル樹脂A−1溶液の樹脂固形分は、水酸基価は6mgKOH/g、酸価は6mgKOH/g、ガラス転移温度は42℃、数平均分子量は18,000であった。
【0107】
「モノマー1」
イソフタル酸 30.0部
1,3−シクロヘキサンジカルボン酸 60.0部
アジピン酸 10.0部
1,4−シクロヘキサンジメタノール 50.0部
エチレングリコール 10.0部
1,6−ヘキサンジオール 20.0部
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール 10.0部
トリメチロールプロパン 10.0部
製造例2〜8 ポリエステル樹脂A−2〜A−8溶液の製造
製造例1において、表1に示す配合とする以外は、同様の操作を行い固形分40質量%の各ポリエステル樹脂A−2溶液〜A−8溶液を得た。
【0108】
【表1】
【0109】
なお、水酸基含有ポリエステル樹脂(A1)に該当するポリエステル樹脂は、上記表1のうち、ポリエステル樹脂A−1、A−2、A−4、A−6の4つである。
【0110】
アミノ樹脂(B)溶液の製造例
製造例9
温度計、攪拌機、還流冷却管及び溶剤副生成物回収装置を備えた反応器にパラホルムアルデヒド(ホルムアルデヒド92%含有)196部、メラミン126部、メタノール224部、n−ブタノール370部を加え、攪拌を行いながら燐酸の10%水溶液を加え反応液のPHを5.0に調整した。還流温度まで過熱し溶解させた。その後、加熱し反応液の温度を70℃に保ち4時間反応を継続した後、トリエチルアミンを加え系内のpHを7.0に調整した。減圧下で系内の温度を70℃以下に保ちながら樹脂の不揮発分が70%になるように過剰のメタノールとn−ブタノールを系外へ除去することにより、アミノ樹脂(X)の溶液を得た。C13NMRによって求めた、得られたアミノ樹脂(X)のn−ブトキシ基の含有量は、トリアジン環1個当たり約1.3個であった。アミノ樹脂(X)はアミノ樹脂(B)に該当するアミノ樹脂である。
【0111】
製造例10
温度計、攪拌機、還流冷却管及び溶剤副生成物回収装置を備えた反応器にパラホルムアルデヒド(ホルムアルデヒド92%含有)196部、メラミン126部、メタノール224部、n−ブタノール222部を加え、攪拌を行いながら燐酸の10%水溶液を加え反応液のPHを5.0に調整した。還流温度まで過熱し溶解させた。その後、加熱し反応液の温度を70℃に保ち4時間反応を継続した後、トリエチルアミンを加え系内のpHを7.0に調整した。減圧下で系内の温度を70℃以下に保ちながら樹脂の不揮発分が70%になるように過剰のメタノールとn−ブタノールを系外へ除去することにより、アミノ樹脂(Y)の溶液を得た。C13NMRによって求めた、得られたアミノ樹脂(Y)のn−ブトキシ基の含有量は、トリアジン環1個当たり約0.8個であった。アミノ樹脂(Y)はアミノ樹脂(B)に該当しないアミノ樹脂である。
【0112】
アクリル樹脂(D)溶液の製造例
製造例11
撹拌装置、温度計、還流冷却器、サーモスタット及び滴下用ポンプを備えた反応容器に、キシレン60部を仕込み、撹拌しながら125℃まで昇温し、以下に示す「モノマーと重合開始剤」を、滴下用ポンプを利用して3時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、同温度で2時間熟成して反応を終了し、樹脂固形分60質量%のアクリル樹脂D溶液を得た。得られたアクリル樹脂D溶液の樹脂固形分は、重量平均分子量は約9,000、水酸基価は78mgKOH/g、ガラス転移温度は70℃であった。
【0113】
「モノマーと重合開始剤」
イソボルニルアクリレート 35部
2−エチルヘキシルメタクリレート 15部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 18部
スチレン 20部
t−ブチルメタクリレート 12部
t―ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート 6.5部
フィルムラミネート金属缶用接着剤の製造
実施例1 接着剤No.1の製造例
製造例1で得た固形分40質量%のポリエステル樹脂A−1溶液100部(固形分)及びタイペークCR−95(注1)140部を撹拌混合した。次いで、サイメル235(注5)10部(固形分)、TRIXENE BI 7951(注9)6部(固形分)、及びスミジュールN3300(注12)4部(固形分)を添加して撹拌混合し、トルエン及びメチルエチルケトンを適量配合して固形分45質量%の接着剤No.1を得た。
【0114】
実施例2〜27 接着剤No.2〜No.27の製造例
実施例1において表2に示す組成とする以外は実施例1と同様にして、各接着剤No.2〜No.27を製造した。
【0115】
【表2】
【0116】
【表3】
【0117】
(注1)タイペークCR−95:商品名、石原産業社製、ルチル型二酸化チタン
(注2)GX−40A:商品名、旭化成メタルズ社製、ノンリーフィングアルミ
(注3)ユーバン20SE−60:商品名、三井化学社製、ブチルエーテル化メラミン樹脂
(注4)サイメル202:商品名、オルネックス社製、メチルブチル混合エーテル化メラミン樹脂
(注5)サイメル235:商品名、オルネックス社製、メチルブチル混合エーテル化メラミン樹脂
(注6)サイメルVX805:商品名、オルネックス社製、メチルイソブチル混合エーテル化メラミン樹脂
(注7)ユーバン10R:三井化学社製、ブチルエーテル化尿素樹脂
(注8)BX−4000:三和ケミカル社製、メチルブチル混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂
なお、(注3)〜(注8)のアミノ樹脂はすべて、アミノ樹脂に含まれるトリアジン環又は尿素骨格1個あたり、1個以上のブチルエーテル基を含有し、アミノ樹脂(B)に該当するアミノ樹脂である。
【0118】
(注9)TRIXENE BI 7951:商品名、Baxenden社製、ヘキサメチレンジイソシアネートのジメチルピラゾールブロック体
(注10)TRIXENE BI 7960:商品名、Baxenden社製、イソホロンジイソシアネートのジメチルピラゾールブロック体
(注11)K6000:商品名、旭化成社製、のヘキサメチレンジイソシアネートの活性メチレン化合物ブロック体
(注12)スミジュールN3300:商品名、住化バイエルウレタン社製、ヌレート変性ヘキサメチレンジイソシアネート
(注13)タケネートD−165N:商品名、三井化学社製、ビュレット変性ヘキサメチレンジイソシアネート
(注14)スミジュールHT:商品名、住化コベストロウレタン社製、アダクト変性ヘキサメチレンジイソシアネート
(注15)タケネートD−140N:商品名、三井化学社製、アダクト変性イソホロンジイソシアネート
比較例1〜13
実施例1において、表3に示す組成とする以外は、実施例1と同様にして、各接着剤No.28〜No.40を製造した。
【0119】
【表4】
【0120】
(注16)サイメル303:商品名、オルネックス社製、メチルエーテル化メラミン樹脂
(注17)サイメル325:商品名、オルネックス社製、メチルエーテル化メラミン樹脂
(注18)サイメル327:商品名、オルネックス社製、メチルエーテル化メラミン樹脂
なお、(注16)〜(注18)のアミノ樹脂はすべて、ブチルエーテル基を含有せず、アミノ樹脂(B)に該当しないアミノ樹脂である。
【0121】
各接着剤No.1〜40の粘度につき、以下の方法で試験及び評価を行なった。
【0122】
(注19)粘度:
各接着剤の粘度をザーンカップNo.3(測定温度20℃)にて評価した。
◎:固形分48%で16秒以下である
○:固形分45%で16秒以下である
△:固形分40%で16秒未満である
×:固形分40%で16秒以上である
各接着剤No.1〜40につき、以下の方法で各試験板を作成し、各性能試験に供した。
【0123】
PETラミネート金属板(単独膜)の作成
上記実施例及び比較例で得た各接着剤につき、以下の手順で「PETラミネート金属板(単独膜)」を作成した。
【0124】
PETフィルム(厚さ10.5μm、幅200mm)の片面に、各フィルムラミネート金属缶用の接着剤を乾燥塗膜重量が9g/m
2となるように塗装し、有機溶剤を蒸発乾燥してラミネート用フィルムを得た。得られた各ラミネートフィルムを25℃で72時間以上養生した後、塗膜層面を160℃に予熱したティンフリースチール板と重ね、160℃の熱ロールを用いて圧力30kg/cm
2、速度50m/分にて加熱ラミネートし、各「PETラミネート金属板(単独膜)」を得た。
【0125】
PETラミネート金属板(インキ積層膜)の作成
PETフィルムをインキ層を有するPETフィルムとする以外は、PETラミネート金属板(単膜)の作成と同様にして各「PETラミネート金属板(インキ積層膜)」を得た。
【0126】
さらに、水酸基含有ポリエステル樹脂(A)、アミノ樹脂(B)、及びポリイソシアネート化合物(C1)の混合物を40℃で1ヶ月間貯蔵し、使用直前にポリイソシアネート化合物(C2)を加えて混合して得られた各接着剤(貯蔵後)についても、上記と同様の手順で作成して各「PETラミネート金属板(インキ積層膜・貯蔵後)」を得た。
【0127】
試験方法
(注20)接着性(単独膜):
「PETラミネート金属板(単独膜)」の裏側からエリクセン試験機を用いてハット加工を行った試験片について、125℃で30分間のレトルト処理を施し、PETフィルムの接着状態を下記基準により評価した。
◎は、12mm高さでPETフィルムが剥離しない
○は、9mm高さでPETフィルムが剥離しない
△は、6mm高さでPETフィルムが剥離しない
×は、6mm高さでPETフィルムが剥離する
(注21)接着性(インキ積層膜):
「PETラミネート金属板(インキ積層膜)」の裏側からエリクセン試験機を用いてハット加工を行った試験片について、125℃で30分間のレトルト処理を施し、PETフィルムの接着状態を下記基準により評価した。
◎は、12mm高さでPETフィルムが剥離しない
○は、9mm高さでPETフィルムが剥離しない
△は、6mm高さでPETフィルムが剥離しない
×は、6mm高さでPETフィルムが剥離する
(注22)耐ブロッキング性:
「PETラミネート金属板(単独膜)」の接着剤層表面に、別のPETフィルムを被せて、10kg/cm
2の圧力をかけて、温度25℃、湿度60%RHの室内にて3日間保存した。この貯蔵ラミネートフィルムを30mm幅に切って、上記別のPETフィルムを乾燥塗膜面から引張速度500mm/分で180度剥離する際の剥離強度(g/30mm)を測定し、下記基準にて評価した。
◎:剥離強度が10g/30mm未満
〇:剥離強度が10g/30mm以上で20g/30mm未満
△:剥離強度が20g/30mm以上で50g/30mm未満
×:剥離強度が50g/30mm以上
(注23)貯蔵後の接着性(インキ積層膜):
「PETラミネート金属板(インキ積層膜・貯蔵後)」の裏側からエリクセン試験機を用いてハット加工を行った試験片について、125℃で30分間のレトルト処理を施し、PETフィルムの接着状態を下記基準により評価した。
◎は、12mm高さでPETフィルムが剥離しない
○は、9mm高さでPETフィルムが剥離しない
△は、6mm高さでPETフィルムが剥離しない
×は、6mm高さでPETフィルムが剥離する