特許第6844947号(P6844947)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6844947容量性マイクロマシン製トランスデューサを用いた高密度焦点式超音波治療法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6844947
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】容量性マイクロマシン製トランスデューサを用いた高密度焦点式超音波治療法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
   A61B17/00 700
【請求項の数】11
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-505048(P2015-505048)
(86)(22)【出願日】2013年4月9日
(65)【公表番号】特表2015-513985(P2015-513985A)
(43)【公表日】2015年5月18日
(86)【国際出願番号】IB2013052814
(87)【国際公開番号】WO2013153509
(87)【国際公開日】20131017
【審査請求日】2016年4月6日
【審判番号】不服2018-4545(P2018-4545/J1)
【審判請求日】2018年4月4日
(31)【優先権主張番号】61/623,123
(32)【優先日】2012年4月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー,マックス オスカー
【合議体】
【審判長】 林 茂樹
【審判官】 内藤 真徳
【審判官】 莊司 英史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−177240(JP,A)
【文献】 特表2011−518583(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0058294(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00 - 18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置であって:
カテーテルと;
超音波処理ボリュームの中に超音波をフォーカスするために、超音波処理周波数が調整可能な複数の超音波トランスデューサを含む高強度フォーカス超音波システムであり、
前記複数の超音波トランスデューサは、側方視のための第1および第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイと、前記カテーテルの遠位端に配置された前方視のための容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイとを含み、前記容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイは2次元構造を備えており、
前記第1および第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイは、前記カテーテルの六角形状の断面に対応してリングを形成するように前記カテーテルの遠位端の周囲に異なる角度位置において配置され、相互に独立して動作するように構成される、
高強度フォーカス超音波システムと;
前記医療装置をコントロールするためのプロセッサと;
前記医療装置における前記プロセッサで実行可能なインストラクションを保存するためのメモリと;を含み、
前記インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、
患者の中のターゲット領域を記述した治療プランを受け取り、
前記治療プランを使用して、前記患者を通って前記ターゲット領域までの横断距離を決定し、前記横断距離は前記超音波トランスデューサから前記ターゲット領域までの超音波の横断を記述し、
前記ターゲット領域上へ前記超音波処理ボリュームをフォーカスするために前記横断距離を使用して、超音波処理周波数を決定し、
前記ターゲット領域について、超音波処理のための電気的ビーム操縦を実行することにより、前記超音波処理周波数において前記高強度フォーカス超音波システムを使用して超音波アブレーションを実行し、
記容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサの各々は、別々にコントロール可能な超音波処理周波数、振幅、および位相を有し、
前記インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、
前記容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサの各々に対する前記超音波処理周波数を決定し、前記容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサの振幅と位相を変化させることによって前記超音波処理のための電気的ビーム操縦を実行し、
前記ターゲット領域上へ前記超音波処理ボリュームをフォーカスするために前記横断距離を使用して、複数の超音波処理周波数を決定し、
前記超音波処理周波数は、前記ターゲット領域の深さに応じて、超音波エネルギの吸収を最適化するように適用されている、
医療装置。
【請求項2】
前記インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、
前記第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイに対する第1の超音波処理周波数、および、前記第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイに対する第2の超音波処理周波数を用いて、前記高強度フォーカス超音波システムを使用して前記ターゲット領域を超音波処理する、
請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
前記第1の超音波処理周波数と前記第2の超音波処理周波数は、高調波でないか、または、同一でない、
請求項2に記載の医療装置。
【請求項4】
前記医療装置は、さらに、
画像化ゾーンから磁気共鳴データを取得するための磁気共鳴画像化システムを含み、
前記ターゲット領域は前記画像化ゾーンの中に在り、
前記インストラクションが実行されると、さらに、前記プロセッサは、繰り返し、
前記磁気共鳴画像化システムを使用して前記磁気共鳴データを取得し、
磁気共鳴画像を再構成し、
前記磁気共鳴画像に従って、前記治療プランを変更する、
請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
前記磁気共鳴データは、熱磁気共鳴データを含み、
前記磁気共鳴画像は、サーモグラフィ磁気共鳴画像である、
請求項4に記載の医療装置。
【請求項6】
前記インストラクションが実行されると、さらに、前記プロセッサは、
前記磁気共鳴画像化システムを使用して、計画磁気共鳴データを取得し、
計画磁気共鳴画像を再構成し、
前記計画磁気共鳴画像に従って、前記治療プランを変更する、
請求項4または5に記載の医療装置。
【請求項7】
前記超音波処理周波数は、超音波シミュレーションモデルを使用して決定される、
請求項1乃至6いずれか一項に記載の医療装置。
【請求項8】
前記カテーテルは、さらに、
遠位端と近位端を有するシャフトであり、前記遠位端は、前記第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイと前記第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイを含む、シャフトと、
前記第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイと前記第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイに対して電力を供給するため、および、前記第1の超音波処理周波数と前記第2の超音波処理周波数をコントロールするための、前記近位端におけるコネクタと、
を含む、請求項1に記載の医療装置。
【請求項9】
前記第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイは第1の調整可能なフォーカスを有し、前記第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイは第2の調整可能なフォーカスを有し、
前記第1の調整可能なフォーカスは、電気的コントロールによって調整されるように少なくとも部分的に動作可能であり、
前記第2の調整可能なフォーカスは、電気的コントロールによって調整されるように少なくとも部分的に動作可能であり、
前記超音波処理ボリュームは、前記第1の調整可能なフォーカスと前記第2の調整可能なフォーカスの重ね合わせである、
請求項8に記載の医療装置。
【請求項10】
前記遠位端は、
側方視のための前記第1および第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイおよび前記前方視のための容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイに電力供給し、
側方視のための前記第1および第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイおよび前記前方視のための容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイの電気的コントロールを提供するための、
少なくとも一つの集積回路を含み、
前記カテーテルは、さらに、前記少なくとも一つの集積回路と前記コネクタとの間にデータバスを含む、
請求項9に記載の医療装置。
【請求項11】
医療装置をコントロールするプロセッサによる実行のためのマシンで実行可能なインストラクションを含むコンピュータプログラムであって、
前記医療装置は、カテーテルと、超音波処理ボリュームの中に超音波をフォーカスするために、超音波処理周波数が調整可能な複数の超音波トランスデューサを有する高強度フォーカス超音波システムとを含み、
前記複数の超音波トランスデューサは、側方視のための第1および第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイと、前記カテーテルの遠位端に配置された前方視のための容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイとを含み、前記第1および第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイは、前記カテーテルの六角形状の断面に対応してリングを形成するように前記カテーテルの遠位端の周囲に異なる角度位置において配置され、相互に独立して動作するように構成され、
前記容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサの各々は、別々にコントロール可能な超音波処理周波数、振幅、および位相を有し、
前記インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、
患者の中のターゲット領域を記述した治療プランを受け取り、
前記治療プランを使用して、前記患者を通って前記ターゲット領域までの横断距離を決定し、前記横断距離は前記超音波トランスデューサから前記ターゲット領域までの超音波の横断を記述し、
前記ターゲット領域上へ前記超音波処理ボリュームをフォーカスするために前記横断距離を使用して、前記容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサの各々に対する超音波処理周波数を決定し、
前記ターゲット領域について、超音波処理のための電気的ビーム操縦を実行することにより、前記超音波処理周波数において前記高強度フォーカス超音波システムを使用して超音波アブレーションを実行し、
記容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサの各々に対する前記超音波処理周波数を決定し、前記容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサの振幅と位相を変化させることによって前記超音波処理のための電気的ビーム操縦を実行し、
前記ターゲット領域上へ前記超音波処理ボリュームをフォーカスするために前記横断距離を使用して、複数の超音波処理周波数を決定し、
前記超音波処理周波数は、前記ターゲット領域の深さに応じて、超音波エネルギの吸収を最適化するように適用されている、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高密度焦点式超音波治療法に関する。より特定的には、高密度焦点式超音波治療法のための容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
前立腺の高密度焦点式超音波治療(HIFU)アブレーションは、従来は、直腸経由プローブを用いて直腸壁を通じて行われてきた。代替的に、アブレーションは、また、尿道経由プローブを用いて尿道の壁を通じて行うこともできる。尿道経由のアプローチは、直腸経由のアプローチに比べて、いくつかの安全関連の利点を有している。尿道の場所が分かっているので(プローブは尿道の中にある)、不随時の排尿のリスクを増大し得る尿道への意図しない熱的なダメージを回避することがより容易である。さらに、直腸の壁の初めから終わりまで超音波処理をしないので、この敏感な構造物にダメージを与えるリスクが、また、著しく削減される。尿道経由アプローチの主な不利な点は、直腸経由のアプローチに比べて、トランスデューサのために利用可能な空間が、実質的に減少されることである。このことは、従来のピエゾセラミック製またはピエゾ複合材料製のトランスデューサを使用する場合に、基本的にカテーテルトランスデューサの設計を1次元のフェイズドアレイ型に限定してしまう。このことは、また、使用することが可能な超音波処理方法も限定してしまう。実用的な理由のために、従来のトランスデューサは、比較的に少ない数量の大きなエレメントを用いてうね(ridge)を立てられ、一列に配置されている。つまり、線形(1次元の)アレイである。
【0003】
国際出願第WO2002/32506号は、HIFU温度治療のための介在性のトランスデューサを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際出願第WO2002/32506号
【特許文献2】国際出願第WO2009/082740号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のピエゾセラミック製またはピエゾ複合材料製のトランスデューサを使用する場合に、基本的にカテーテルトランスデューサの設計を1次元のフェイズドアレイ型に限定してしまう。このことは、また、使用することが可能な超音波処理方法も限定してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、独立請求項において、医療装置、コンピュータプログラム製品、および、医療装置をコントロールする方法を提供する。従属請求項においては、実施例が提供される。
【0007】
ここにおいて使用される「容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサ(capacitive micromachined ultrasonic transducer)」(CMUT)は、マイクロマシン技術を使用して製造された容量性超音波トランスデューサを包含している。マイクロマシン技術は、薄膜製造技術であり、典型的には、集積回路の製造のために使用されるプロセスと同一または類似のものを使用して実行される。CMUIRは、それ自体が、国際出願第WO2009/082740号から知られている。
【0008】
磁気共鳴(MR)データは、ここにおいては、磁気共鳴画像スキャンの最中の磁気共鳴装置のアンテナによる、原子スピン(atomic spin)によって発せられたラジオ周波数信号の記録された測定であるとして定義される。磁気共鳴画像法(MRI)の画像は、ここにおいては、磁気共鳴画像データベースの中に含まれている原子データに係る再構成された2次元または3次元の視覚化であるとして定義される。この視覚化は、コンピュータを使用して実行することができる。
【0009】
熱磁気共鳴データは、ここにおいては、磁気共鳴画像スキャンの最中の磁気共鳴装置のアンテナによる、原子スピンによって発せられたラジオ周波数信号の記録された測定であるとして定義される、磁気共鳴温度測定のために使用することができる情報を含んでいる。磁気共鳴温度測定は、温度感受性のパラメータにおける変化を測定することで機能する。自己共鳴温度測定の最中に測定され得るパラメータの実施例は、以下のとおりである。プロトン共鳴周波数シフト、拡散係数、または、緩和時間(relaxation time)T1及び/又はT2における変化であり、磁気共鳴を使用して温度を測定するために使用され得る。プロトン共鳴周波数シフトは、温度依存性である。個々のプロトン、水素原子が経験する磁場は、周辺の分子構造に依存するからである。温度の上昇は、温度が水素結合に影響するため分子スクリーニングを減少させる。このことが、プロトン共振周波数の温度依存性をもたらしている。熱マップ、温度マップ、または、サーモグラフィ磁気共鳴画像を、熱磁気共鳴データから再構成することができる。
【0010】
プロトン密度は、平衡磁化の線形性に依存している。従って、プロトン密度重み付け画像を使用して温度変化を判断することができる。
【0011】
緩和時間T1、T2、およびT2スター(ときどきT2*と記載される)も、また、温度依存性である。T1、T2、およびT2スターの重み付け画像に係る再構成が、従って、熱または温度マップを再構成するために使用され得る。
【0012】
温度は、また、水溶液の中の分子のブラウン運動に影響する。従って、パルス拡散勾配スピンエコー(pulsed diffusion gradient spin echo)といった、拡散係数を測定することができるパルスシーケンスが、温度を測定するために使用され得る。
【0013】
磁気共鳴を使用して温度を測定する最も役に立つ方法のうちの一つは、水プロトンのプロトン共振周波数(PRF)シフトを測定することによるものである。プロトンの共振周波数は、温度依存性である。ボクセル(voxel)の中で温度が変化するので、周波数シフトは、水プロトンの測定された位相の変化を生じさせる。2つの位相画像間の温度変化が、従って、判断される。温度判断に係るこの方法は、他の方法に比べて比較的に速いということで利点を有している。PRF方法は、ここにおいて、他の方法よりも多く詳細が説明される。しかしながら、ここにおいて説明される方法および技術は、また、磁気共鳴画像方法を用いて温度測定を実行する他の方法に対しても適用できる。
【0014】
「コンピュータで読取り可能なストレージ媒体」は、ここにおいて使用されるように、コンピューティングデバイスのプロセッサによって実行可能なインストラクションを保管することができるあらゆる有形のストレージ媒体を含んでいる。コンピュータで読取り可能なストレージ媒体は、コンピュータで読取り可能な固定ストレージ媒体として参照されてよい。コンピュータで読取り可能なストレージ媒体は、また、固定のコンピュータで読取り可能な媒体として参照されてもよい。いくつかの実施例において、コンピュータで読取り可能なストレージ媒体は、また、コンピューティングデバイスのプロセッサによってアクセスし得るデータを保管することもできる。コンピュータで読取り可能なストレージ媒体の実施例は、これらに限定されるわけではないが、以下のものを含んでいる。フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ハードディスクドライブ、半導体ハードドライブ、フラッシュメモリ、USBサムドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、光ディスク、光磁気ディスク、および、プロセッサのレジスタファイル、である。光ディスクの実施例は、コンパクトディスク(CD)およびデジタル多目的ディスク(DVD)を含んでいる。例えば、CD−ROM、CD−RW、CD−R、DVD−ROM、DVD−RW、または、DVD−Rディスクである。コンピュータで読取り可能なストレージ媒体という用語は、また、ネットワークまたは通信リンクを介してコンピュータデバイスによってアクセスされ得る種々のタイプの記録媒体も参照する。例えば、データは、モデム、インターネット、または、ローカルエリアネットワークにわたり、リトリーブされてよい。
【0015】
「コンピュータメモリ」または「メモリ」は、コンピュータで読取り可能なストレージ媒体の一つの実施例である。コンピュータメモリは、プロセッサに対して直接的にアクセス可能なあらゆるメモリである。コンピュータメモリの実施例は、これらに限定されるわけではないが、RAMメモリ、レジスタ、および、レジスタファイル、を含んでいる。
【0016】
「コンピュータストレージ」または「ストレージ」は、コンピュータで読取り可能なストレージ媒体の一つの実施例である。コンピュータストレージは、あらゆる不揮発性のコンピュータで読取り可能なストレージ媒体であってよい。コンピュータストレージの実施例は、これらに限定されるわけではないが、以下のものを含んでいる。ハードディスクドライブ、USBサムドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、スマートカード、DVD、CD−ROM、および、半導体ハードドライブ、である。いくつかの実施例において、コンピュータストレージは、また、コンピュータメモリであってよく、または、その逆も同様である。「コンピュータストレージ」または「ストレージ」に対する参照は、おそらく複数のストレージであるものとして解釈されるべきである。ストレージは、例えば、同一のコンピュータシステムの中の複数のストレージであってよい。ストレージは、また、複数のコンピュータシステムまたはコンピューティングデバイスの中に分散された複数のストレージであってよい。
【0017】
「コンピュータ」は、ここにおいて使用されるように、プロセッサを含んでいるデバイスであり、デバイスを包含している。プロセッサは、プログラムまたはマシンで実行可能なインストラクションを実行することができる電子的コンポーネントである。「プロセッサ」を含んでいるコンピューティングデバイスに対する参照は、おそらく一つ以上のプロセッサを含んでいるものとして解釈されるべきである。コンピューティングデバイスという用語も、また、それぞれがプロセッサを含んでいるコンピューティングデバイスの集合またはネットワークをおそらく参照するものとして解釈されるべきである。多くのプログラムは、インストラクションが多くのプロセッサによって実行されるようにする。プロセッサは、同一のコンピューティングデバイスの中にあってよく、または、複数のコンピューティングデバイスにわたって分散されてもよい。
【0018】
「ユーザインターフェイス」は、ここにおいて使用されるように、ユーザまたはオペレータが、コンピュータまたはコンピュータシステムとインタラクションできるようにするインターフェイスである。ユーザインターフェイスは、オペレータに対して情報またはデータを提供し、及び/又は、オペレータから情報またはデータを受け取ることができる。ディスプレイまたはグラフィックユーザインターフェイス上のデータまたは情報の表示は、オペレータに対する情報提供の一つの実施例である。以下のものを通じてデータを受け取ることは、全てがオペレータから情報またはデータを受け取る実施例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、ポイントスティック、グラフィックタブレット、ジョイスティック、ゲームパッド、ウェブカム、ヘッドセット、ギアスティック、操縦ホイール、有線グローブ、ダンスパッド、リモートコントロール、および、加速度計、である。
【0019】
本発明の一つの態様において、医療装置が提供される。本医療装置は、超音波処理するボリュームの中に超音波をフォーカスするために、超音波処理周波数が調整可能な超音波トランスデューサを含む高強度フォーカス超音波システムを含む。前記超音波トランスデューサは、第1および第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイを含む。それぞれの容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサは、別々にコントロール可能な超音波周波数を有している。本医療装置は、さらに、前記医療装置をコントロールするためのプロセッサを含む。本医療装置は、さらに、マシンで実行可能なインストラクションを保管するためのメモリを含む。前記インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、患者の中のターゲット領域を記述した治療プランを受け取る。いくつかの実施例において、治療プランは、ターゲット領域を超音波処理するように高強度フォーカス超音波システムをコントロールするためにプロセッサが使用し得るインストラクションを含んでいる。他のいくつかの実施例において、治療プランは、ターゲット領域を超音波処理するように高強度フォーカス超音波システムをコントロールするためのそうしたインストラクションを生成するために使用され得るデータを含んでいる。
【0020】
インストラクションが実行されると、プロセッサは、さらに、前記治療プランを使用して、前記患者を通って前記ターゲット領域までの横断距離を決定する。前記横断距離は前記超音波トランスデューサから前記ターゲット領域までの超音波の横断を記述したものである。異なる実施例において、横断距離は、異なる形式であり、または、他のデータを結合してよい。例えば、いくつかの場合に、超音波トランスデューサを含むカテーテルが患者の中に配置される。この場合、横断距離は、患者の内部または外部表面からターゲット領域までの距離である。他の実施例においては、トランスデューサと患者との間にジェルパッド及び/又は水タンクといったものが存在し得る。インストラクションが実行されると、プロセッサは、さらに、前記ターゲット領域上へ超音波処理ボリュームをフォーカスするための横断距離を使用して、超音波処理周波数を決定する。いくつかの実施例において、ターゲット領域上へ超音波処理ボリュームをフォーカスすることは、周波数を選択することを含み、超音波エネルギのより大きな部分が、周辺組織よりもターゲット領域にデポジット(deposit)される。インストラクションが実行されると、プロセッサは、さらに、前記超音波処理周波数帯において前記高強度フォーカス超音波システムを使用して、前記ターゲット領域を超音波処理する。いくつかの実施例において、全ての容量性マイクロマシン製トランスデューサは、同一の超音波処理周波数において動作する。他の実施例においては、一部の容量性マイクロマシン製トランスデューサだけが所与の超音波処理周波数において動作し、一方、他のエレメントは別の周波数で動作する。
【0021】
この実施例は、容量性マイクロマシン製トランスデューサが、周波数範囲を可能にする非常に大きなバンド幅を有するので有益である。超音波の周波数は、患者の中においてどの深さでエネルギがデポジットされるかに影響する。従って、バンド幅の中で周波数を選択して、ターゲット領域にデポジットされるエネルギ量を最大化することができる。
【0022】
この実施例は、また、ターゲット領域と保護される領域との間の温度勾配を最大化できるので、有益である。保護される領域は、加熱することが望ましくない患者の部位、または、既定の安全な閾値以下に温度を維持する患者の部位である。
【0023】
別の実施例において、医療装置は、さらに、画像化ゾーンから磁気共鳴データを取得するための磁気共鳴画像化装置を含む。前記ターゲット領域は前記画像化ゾーンの中に在る。前記インストラクションが実行されると、さらに、前記プロセッサは、繰り返し、磁気共鳴画像化システムを使用して前記磁気共鳴データを取得し、磁気共鳴画像を再構成する。本方法は、さらに、前記磁気共鳴画像に従って、前記治療プランを変更するステップを含む。この実施例は、磁気共鳴画像化システムによって治療プランの調整とコントロールができるので有益である。磁気共鳴画像化システムは、クローズドループコントロールの一部であってよい。
【0024】
別の実施例において、前記磁気共鳴データは、熱磁気共鳴データを含む。前記磁気共鳴画像は、サーモグラフィ磁気共鳴画像である。
【0025】
この実施例は、磁気共鳴システムが、温度マップを得るために使用され得るサーモグラフィ磁気共鳴画像を測定しているので有益である。温度マップは、超音波処理の効果を直接的に検査するために使用され得る。
【0026】
別の実施例において、インストラクションが実行されると、さらに、前記プロセッサは、前記磁気共鳴画像化システムを使用して、計画磁気共鳴データを取得する。インストラクションが実行されると、さらに、前記プロセッサは、計画磁気共鳴画像を再構成する。インストラクションが実行されると、さらに、前記プロセッサは、前記計画磁気共鳴画像に従って、前記治療プランを変更する。計画磁気共鳴データは、超音波処理を実行する以前に取得された磁気共鳴データである。例えば、治療プランを変更または記録するために使用することができる。計画磁気共鳴画像は、治療プランの最初の計画または記録のために使用される磁気共鳴データである。患者は、治療プランが案出または作成されたときとは異なる位置にあってもよい。計画磁気共鳴画像を使用して治療プランを記録または変更することは、誤差を軽減することに役立つ。誤差は、超音波トランスデューサを用いて、または、加熱の結果として期待され又は変更されたものとは異なる組織パラメータを用いて、不十分に整列された患者の内部配置によるものである。
【0027】
別の実施例において、前記医療装置は、さらに、第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイとを含む。いくつかの実施例において、第1および第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサは、同一または異なる周波数において動作し得る。このことは、それぞれのトランスデューサからの超音波が、独立して超音波を方向付けるために使用し得るので有益である。異なる周波数が存在する場合、それらがハーモニクス(harmonics)でない限り、2つの容量性マイクロマシン製トランスデューサそれぞれからの超音波は、患者の上に独立して重ね合される。
【0028】
別の実施例において、それぞれの前記容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイは、個々にコントロール可能な超音波処理周波数を有している。インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、それぞれの前記容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイに対する前記超音波処理周波数を決定する。この実施例において、容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサは、第1及び/又は第2の容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサからの個々の容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサであってよい。
【0029】
別の実施例においては、インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、前記横断距離を使用して、前記超音波処理ボリュームを前記ターゲット領域の中にフォーカスするための第1の超音波処理周波数を決定する。第1の超音波処理周波数は、第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイの超音波処理周波数として使用されてよい。この場合に、横断距離は、実際に、第1の横断距離であってよく、かつ、距離を表すか、または、第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイとターゲット領域との間の距離を記述するものであってよい。インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、さらに、前記横断距離を使用して、前記超音波処理ボリュームを前記ターゲット領域の中にフォーカスするための第2の超音波処理周波数を決定する。この場合、第2の超音波処理周波数は、第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイのために使用される超音波処理周波数であってよく、横断距離は、第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイとターゲット領域との間の距離を表すか、または、記述をするものであってよい。
【0030】
インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、前記第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイに対する前記第1の超音波処理周波数、および、前記第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイに対する前記第2の超音波処理周波数を使用している前記高強度フォーカス超音波システムを使用して、前記ターゲット領域を超音波処理する。上述の実施例に係る超音波処理周波数は、実際には、この実施例に関する第1の超音波処理周波数または第2の超音波処理周波数のいずれかであってよい。2つの容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイが異なる周波数において動作する場合に、それぞれによって生成される超音波が建設的には足し算されないか、または、お互いに破壊的であるので、この実施例は、有益である。これは、一方が他方のハーモニックであるか否かに依存し得る。これは、また、検討されたポイントのトランスデューサエレメントまでの距離にも依存し得る。ハーモニックでない場合は、所与の時点において建設的または破壊的な共鳴が生じ得るが、それは短い時間だけのことである。異なる周波数は、超音波強度において時間的なビートパターンを生じ得る。
【0031】
別の実施例において、前記超音波処理周波数は、超音波シミュレーションモデルを使用して決定される。例えば、シミュレーションのモデル化のための差分法、または、レイトレーシング(ray tracing)、または、他のいくつかのシミュレーション方法を実行するコンピュータコードが、周波数帯を決定するために使用されてよい。例えば、一つの領域において加熱を最大化または増大させる超音波周波数を選択するために、モデルが使用され得る。他の実施例において、モデルは、患者に係る一つの領域と別の領域との間の加熱における差異を最大化または増大させるために使用され得る。このことは、加熱することが望まれず、または、所定の温度以下に保持することが望ましい、患者に係る領域が存在する場合に、特に有益である。
【0032】
別の実施例において、前記医療装置は、さらに、カテーテルを含む。前記カテーテルは、前記超音波トランスデューサを含む。この実施例は、容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサが十分に小さく、カテーテルの中に配置され得るので、有益である。これにより、カテーテルは、超音波処理の電気的操作を行うことができ、超音波周波数も調整可能である。
【0033】
別の実施例において、前記カテーテルは、さらに、遠心端と近位端を有するシャフトを有している。前記遠心端は、前記第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイと前記第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイを含む。前記カテーテルは、さらに、前記第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイと前記第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイに対して電力を供給するため、および、前記第1の超音波処理周波数と第2の超音波処理周波数をコントロールするための、前記近位端におけるコネクタとを含む。この実施例は、独立してコントロールすることができる異なる容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイを有するカテーテルを提供するので、有益である。このことは、より正確または効果的な超音波処理を結果として生じ得る。
【0034】
別の実施例において、前記第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイは第1の調整可能なフォーカスを有し、かつ、前記第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイは第2の調整可能なフォーカスを有している。調整可能なフォーカスは、ここにおいて、フォーカスの電気的コントロールを包含している。個別のアレイが複数存在している。個々の容量性マイクロマシン製トランスデューサのそれぞれに対して、位相及び/又は振幅が個別にコントロールされ得る。容量性マイクロマシン製トランスデューサのそれぞれによって生成される超音波の建設的および破壊的な干渉により、超音波処理ボリュームがわずかにシフトされ、または、移動され得る。周波数の変更または調整の組合せにおいて、このことにより、超音波ボリュームのずっとより詳細なコントロールが可能である。第1の超音波周波数と第2の超音波周波数がハーモニクスでないか、または、同一でない場合、第1および第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイからの超音波が、異なるボリュームに向かって方向付けされ得る。この場合、前記超音波処理ボリュームは、第1および第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイからの超音波処理ボリュームの重ね合わせである。
【0035】
別の実施例において、前記遠心端には、前記第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイおよび前記第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイに電力供給し、かつ、前記第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイおよび前記第2の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイの電気的コントロールを提供する、ための少なくとも一つの集積回路を含む。前記カテーテルは、さらに、前記少なくとも一つの集積回路と前記コネクタとの間にデータバスを含む。データバスにより、コンピュータまたは他のシステムは、集積回路をコントロールすることができる。いくつかの実施例において、集積回路は、また、容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサのそれぞれの周波数も個別にコントロールされるようにできる。個々の容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサは、従って、種々の周波数において動作し得る。このことにより、トランスデューサを用いて、超音波処理のずっとより良いコントロールができる。
【0036】
本発明の別の態様においては、医療装置をコントロールするプロセッサによる実行のためのマシンで実行可能なインストラクションを含むコンピュータプログラムを提供する。前記医療装置は、超音波処理するボリュームの中に超音波をフォーカスするために、超音波処理周波数が調整可能な超音波トランスデューサを有する高強度フォーカス超音波システムを含む。前記超音波トランスデューサは、第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイを含む。インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、患者の中のターゲット領域を記述した治療プランを受け取る。インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、さらに、前記治療プランを使用して、前記患者を通って前記ターゲット領域までの横断距離を決定する。前記横断距離は前記超音波トランスデューサから前記ターゲット領域までの超音波の横断を記述したものである。インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、さらに、前記ターゲット領域上へ超音波処理ボリュームをフォーカスするための横断距離を使用して、超音波処理周波数を決定する。インストラクションが実行されると、前記プロセッサは、さらに、前記超音波処理周波数帯において前記高強度フォーカス超音波システムを使用して、前記ターゲット領域を超音波処理する。このコンピュータプログラムの利点は、以前に述べている。
【0037】
本発明の別の態様においては、高強度フォーカス超音波システムを含む医療装置をコントロールする方法を提供する。前記高強度フォーカス超音波システムは、超音波処理するボリュームの中に超音波をフォーカスするために、超音波処理周波数が調整可能な超音波トランスデューサを含む。前記超音波トランスデューサは、第1の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイを含む。前記方法は、患者の中のターゲット領域を記述した治療プランを受け取るステップを含む。前記方法は、さらに、前記治療プランを使用して、前記患者を通って前記ターゲット領域までの横断距離を決定するステップを含む。前記横断距離は、前記超音波トランスデューサから前記ターゲット領域までの超音波の横断を記述したものである。前記方法は、さらに、前記ターゲット領域上へ超音波処理ボリュームをフォーカスするための横断距離を使用して、超音波処理周波数を決定するステップを含む。前記方法は、さらに、前記超音波処理周波数帯を使用する前記高強度フォーカス超音波システムを使用して、前記ターゲット領域を超音波処理するステップとを含む。この方法の利点は、以前に述べている。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以降の本発明に係る好適な実施例は、実施例としてだけ、そして、図面に関して説明される。
図1図1は、容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイの2つの実施例を示している。
図2図2は、本発明の一つの実施例に従った、カテーテルを示している。
図3図3は、本発明のさらなる実施例に従った、カテーテルを示している。
図4図4は、本発明のさらなる実施例に従った、カテーテルの使用を示している。
図5図5は、本発明のさらなる実施例に従った、カテーテルを示している。
図6図6は、本発明のさらなる実施例に従った、カテーテルを示している。
図7図7は、本発明の一つの実施例に従った、フローチャートを示している。
図8図8は、本発明のさらなる実施例に従った、フローチャートを示している。
図9図9は、本発明の一つの実施例に従った、医療装置を示している。
図10図10は、本発明のさらなる実施例に従った、医療装置を示している。
図11図11は、吸収超音波エネルギをミリ単位での深さの関数として示している。
図12図12は、3つの異なる場所における吸収超音波エネルギを周波数の関数として示している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
これらの図面において類似の番号が付けられたエレメントは、均等なエレメントであるか同一の機能を実行するかのいずれかである。以前に説明されたエレメントは、その機能が均等である場合には、後の図面において説明されることを必ずしも要しない。
【0040】
図1では、容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサに係る2つのアレイの実施例402、404が示されている。容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイ102は、第1の電気的接続108と第2の電気的接続110を有している。アレイ201は、従来の圧電素子(piezoelectric element)が動作する方法で単一のトランスデューサエレメントとして機能するように配線されている。作画112は、アレイ102の拡大図を示している。個々の容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサ114を視認することができる。トランスデューサ114それぞれは、第1の電気的接続108と第2の電気的接続110に接続されていることが視認され得る。この実施例において結果として生じるアレイ102は、超音波処理周波数に対する広い帯域を有する。しかしながら、個々の容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサに係る個々の電子性、位相および振幅、コントロールは可能ではない。帯域は、主に個々のエレメント114のサイズによって決定される。エレメント膜の厚さも同様である。
【0041】
容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイ104は、線形アレイ(linear array)として配置されている。トランスデューサのそれぞれの列に対して一組の第1の電気的接続116と第2の電気的接続118が存在している。作画120は、アレイ104の詳細な拡大図である。個々の容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサ122は、第1の電気的接続116と第2の電気的接続118に接続されているものとして示されている。接続124と126は、第1の電気的接続116と第2の電気的接続118の組から選択される。線形アレイを形成する容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイは、グループとしてコントロールされる。超音波処理の周波数、振幅、および、位相は、アレイ全体に対して決定される。他の実施例も、また構成され得る。例えば、個々の容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサに対して超音波処理周波数、振幅、及び/又は、位相がコントロール可能なアレイを構成することが可能である。
【0042】
図2は、本発明の一つの実施例に従ったカテーテルの遠心端200を示している。この実施例においては、前方視リングアレイ202が存在している。穴208を囲んで容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイが存在する。リングアレイ202の後方には、側方視アレイ204のパネルが在る。アレイ204は、カテーテルのシャフトの周りにリングを形成している。この図面に示されているのは、種々の電気的接続206である。前方視リングアレイ202は、3次元画像を提供するといったことのために使用され得る。側方視アレイ204は、超音波アブレーションとモニタリングのために使用され得る。個々の容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサは、超音波アブレーションの最中にビーム操縦のために使用され得る。それぞれのアレイ204に提供される超音波の周波数は、独立してコントロールすることができる。この実施例の利点は、カテーテルを機械的に回転させる必要が無いか、または、最小であることを含んでいる。穴208は、追加の器具、または、水洗浄のために使用されてよい。図2に示される実施例は、複数の方向でフォーカスすることができ、そうしたことにより、プローブ周りの全360°の前立腺アブレーションを同時に、または、最小の回転を用いて実行することができる。このことは、より少ない治療時間を結果として生じ、従って、コストも削減する。
【0043】
大きなブロックアレイまたは線形アレイにおける容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサの配線に加えて、個々のマイクロマシン製超音波トランスデューサも、また、それ固有のソースによって個々に駆動されてよい。
【0044】
図3は、フォーカスが機械的に調整されるカテーテル300を示している。カテーテルは、容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイ302を有している。この実施例におけるアレイは、フレキシブルであっても、リジッドであってもよい。示されているのは、アレイ302それぞれの間のフレキシブルエレメント303である。ライン304は、アレイ302によって生成される超音波の一般的なパス(path)である。超音波304は、ターゲット領域306において集中される。全てのアレイ302は、カテーテル300のシャフト310の遠心端308上に配置されている。遠心端308は屈曲している。このことは、アレイ302の集合に対して、ターゲット領域306の中に超音波を集中させる。そうした構成は、機械的に調整することができる。例えば、カテーテルの中にチューブ312を配置することができ、シャフト310に対して強固に又は半強固に取り付けられる。チューブ312の中にはケーブル314があってよい。ケーブルは、チューブ312を通じてカテーテル300の遠心端308まで延びている。遠心端308は、例えば、ばね性材料を有するか又は与圧されている。このことにより、遠心端308の自然な曲率を生じている。ケーブルが316の方向に引かれるか又は移動される場合、このことはケーブル314を短くし、それにより遠心端308は直線状にされる。このことは、カテーテル300のフォーカスを変更する。ケーブル314も、また、リンクを操作するために使用され得る。カテーテルを能動的に操縦又はガイドするために、いくつかの実施例においては、このカテーテルの機械的な調整が使用され得る。別の言葉で言えば、遠心端の位置を機械的に調整するために、フォーカスタマに対する機械的な調整が使用され得る。機械的なフォーカスに加えて、個々のアレイ302は、また、アレイ302それぞれの超音波処理周波数のコントロールに加えた電気的位相または振幅もコントロールし得る。
【0045】
実施例として図3を使用すると、304とラベル付けされたラインは、また、容量性マイクロマシン製トランスデューサ302間の横断距離を表している。この場合、プローブの遠心端308は曲がっており、容量性マイクロマシン製トランスデューサ302のそれぞれは、超音波フォーカス306から概ね同じ距離に在る。他の実施例において、横断距離304は、容量性マイクロマシン製トランスデューサ302のそれぞれに対して違ってもよい。手術の最中に、ターゲット領域、または、このケースではフォーカス306を記述した治療プランが受け取られる。次に、横断距離(traversal distance)304が、治療プランを使用して、患者からターゲット領域に対して決定される。横断距離は、超音波トランスデューサからターゲット領域までの超音波の横断を記述したものである。複数の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイの場合に、横断距離は、実際に、複数の距離であってよい。次に、ターゲット領域上へ超音波処理ボリュームをフォーカスするための超音波処理周波数が、横断距離を使用して決定される。複数の容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイの場合には、容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイのそれぞれに対して計算された独立の周波数が存在してよい。最終的に、容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイは、決定された超音波処理周波数において動作する。
【0046】
図4は、前立腺402を治療するために使用される本発明の一つの実施例に従ったカテーテル400を示している。カテーテル400は、前立腺を通じて膀胱404の中に挿入されている。この実施例において、カテーテル400の遠心端406は、容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイ407を有している。遠心端406を曲げるメカニカルアクチュエータ408が存在している。メカニカルアクチュエータ408をコントロールするためのケーブル410が存在する、図4に示された実施例は、有利なものであるとして示され得る。カテーテル400が膀胱の中に挿入され、次に、前立腺402が超音波処理できるように、メカニカルアクチュエータ408を使用して、容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイ407を位置決めするからである。この実施例の利点は、カテーテル400により、膀胱から前立腺の超音波処理ができることである。膀胱における追加の機械的な自由度は、カテーテルの位置決めを促進し、効果的に前立腺のいくつかの領域に到達し、それにより、健康な組織の損傷のリスクを削減している。
【0047】
図5は、本発明の一つの実施例に504と近位端506を伴うシャフト502を有している。遠心端504には、複数の容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイ508が存在している。アレイ508のそれぞれは、近位端506におけるコネクタ512に対する自身の電気的接続を有している。電気が供給されると、アレイ508は、シャフト502に隣接した又は横にあるターゲット領域514に超音波エネルギをデポジット(deposit)する。
【0048】
図6は、本発明の一つの実施例に従って、カテーテル600のさらなる実施例を示している。図6に示される実施例は、図5に示されたものと非常に類似しているが、いくつかの機能が追加されてきている。この実施例において、アレイ508のそれぞれは、コネクタ512に直接的に接続される代わりに、集積回路602に対して接続されている。集積回路602は、データバス510’によってコネクタ512に接続される。データバスは、電力とデータ接続の両方を提供するように機能している。データバス510’を介して集積回路602は、個々のアレイ508をどのように駆動するかのインストラクションを受け取る。集積回路602は、また、遠心端504の先端において圧力または流れセンサ604に接続されているように示されている。集積回路602は、また、アレイ508の中に取り付けられた温度センサ606に接続されているものとして示されている。実施例に応じて、アレイ508と集積回路602は、アブレーションのために、及び/又は、診断上の超音波処理を実行するために使用され得る。コネクタ512には、また、流体冷却インレット608も在る。流体冷却インレット608は、チューブ610に接続されている。チューブは、遠心端を冷却するために、冷却流体を遠心端に搬送するように適合されている。遠心端504の先端には、アウトレット612が在る。遠心端504は、シール614を用いて分離されており、チューブの中に入ってくる冷却水または冷却流体をアウトレット612を通じて追い出される。他の実施例においては、コネクタ512に、戻りチューブおよび流体冷却アウトレットが存在し得る。
【0049】
図7は、本発明の一つの実施例に従った方法を説明するフローチャートを示している。最初に、ステップ700において、治療プランが受け取られる。治療プランは、患者の中のターゲット領域を記述している。次に、ステップ702において、治療プランを使用して、横断距離が決定される。横断距離は、超音波トランスデューサからターゲット領域閾値発生回路への超音波の横断を記述している。次に、ステップ704において、超音波ボリュームをターゲット領域の上にフォーカスするために、横断距離を使用して、超音波処理周波数が決定される。最後に、ステップ706において、高強度フォーカス超音波システムを使用して、超音波処理周波数においてターゲット領域が超音波処理される。
【0050】
図8は、本発明のさらなる実施例に従った方法を説明するフローチャートを示している。最初に、ステップ800において、治療プランが受け取られる。再び、治療プランは、患者の中のターゲット領域を記述している。次に、ステップ802において、治療プランを使用して、横断距離が決定される。横断距離は、超音波トランスデューサからターゲット領域閾値発生回路への超音波の横断を記述している。次に、ステップ804において、超音波ボリュームをターゲット領域の上にフォーカスするために、横断距離を使用して、超音波処理周波数が決定される。次に、ステップ806において、高強度フォーカス超音波システムを使用して、超音波処理周波数においてターゲット領域が超音波処理される。ステップ808は、判断ボックスであり、質問は超音波処理が終了したかである。超音波処理が終了した場合に、本方法は、ステップ810に進み、終了する。超音波処理が終了していない場合、本方法は、ステップ812に進む。ステップ812において、磁気共鳴データが取得される。これは、磁気共鳴画像化システムを使用して獲得することができる。次に、ステップ814において、磁気共鳴データを使用して、磁気共鳴画像が再構成される。いくつかの実施例において、磁気共鳴データは、磁気共鳴データを含んでいる。この場合には、磁気共鳴画像は、温度マップを含んでよい。次に、ステップ816において、磁気共鳴画像に従って、治療プランが変更される。例えば、治療の最中に患者が移動した場合、または、患者の所定の部位が熱過ぎるか又は十分に加熱されていない場合、治療プランは、調整され、または、変更され得る。本方法は、次に、ステップ802に戻り、再び、治療プランを使用して、横断距離が決定される。本方法は、このように、ステップ808において超音波処理が終了したことが決定されるまで、繰り返し続き、本方法は、ステップ810で終了する。
【0051】
図9は、本発明の一つの実施例に従った医療装置900を示している。この図に示されるように、カテーテル904を挿入された患者が存在している。カテーテル904は、ターゲット領域908の近傍に遠心端906を有している。カテーテル904は、以前の実施例において説明されたタイプのものであってよい。カテーテル904は、カテーテルインターフェイス910に接続されている。カテーテルインターフェイス910は、カテーテル904に対してコントロールと電力供給機能を提供する。高強度フォーカス超音波システム911は、カテーテル904とカテーテルインターフェイス910との組み合わせである。他のタイプの高強度フォーカス超音波システムも、また、実施されてよい。例えば、容量性マイクロマシン製トランスデューサアレイによって囲まれたカップのような構造体の中に挿入された乳房を治療するために使用されるアレイも、また、本発明に従った一つの実施例である。同様に、容量性マイクロマシン製トランスデューサから大きな超音波トランスデューサが作り出されてもよく、子宮筋腫を加熱するために使用されるものと類似のシステムにおいて使用されてよい。
【0052】
この実施例において、カテーテルインターフェイス910は、コンピュータ912のハードウェアインターフェイス914に接続されている。コンピュータ912は、さらに、ハードウェアインターフェイスとユーザインターフェイス918とも通信するプロセッサ916、コンピュータストレージ920、および、コンピュータメモリ922を含んでいる。プロセッサ916は、ハードウェアインターフェイス914を介してカテーテルインターフェイス910の動作および機能をコントロールすることができる。
【0053】
コンピュータストレージは、治療プラン924を含んでいるものとして示されている。コンピュータストレージは、さらに、治療プラン924を使用して計算された横断距離926を含んでいるものとして示されている。コンピュータストレージ920は、さらに、横断距離926を使用して計算された超音波処理周波数928を含んでいるものとして示されている。
【0054】
コンピュータメモリ922は、横断距離計算モジュール930を含んでいるものとして示されている。横断距離計算モジュール930は、コンピュータで実行可能なインストラクションを含み、プロセッサは、治療プラン924を使用して横断距離926を計算することができる。コンピュータメモリ922は、さらに、超音波処理周波数決定モジュール932を含んでいるものとして示されている。超音波処理周波数決定モジュール932は、さらに、マシンで実行可能なインストラクションを含み、横断距離926を使用して超音波処理周波数924を計算することができる。コンピュータメモリ922は、さらに、高強度フォーカス超音波システムコントロールモジュール934を含んでいるものとして示されている。高強度フォーカス超音波システムコントロールモジュール934は、コンピュータで実行可能なコードを含み、プロセッサは、治療プラン924を使用して、カテーテルインターフェイス910をコントロールできるようにするコマンドを生成することができる。
【0055】
そうした医療装置900を使用することにおいて、手術者は、カテーテル904を患者902の中に挿入することができる。カテーテル904のフォーカスが調整可能なので、プロセッサ916は、ターゲット領域908がカテーテル904によって加熱されるように、カテーテルインターフェイス910に対してコマンドを送付することができる。ターゲット領域は、カテーテル904によってコントロール可能に加熱され、コンピュータシステム912によって自動的にコントロールされている。
【0056】
図10は、本発明のさらなる実施例に従った医療装置1000を示している。図10に示された医療装置1000は、追加的に磁気共鳴画像化システム1001が存在することの他は図9に示した医療装置と同様である。
【0057】
磁気共鳴画像化システム1001は、磁石1002を含んでいる。磁石1002は、円筒タイプの超伝導磁石である。磁石は、超電導コイルを伴う液体窒素冷却の低温槽を有している。永久磁石または抵抗性磁石を使用することもできる。異なるタイプの磁石を使用することも可能であり、例えば、円筒分割磁石とオープン磁石と呼ばれる磁石の両方を使用することもできる。円筒分割磁石は、低温槽が2つのセクションに分割されて磁石のイソプレイン(iso−plane)にアクセスすることができることを除いて、標準的な円筒磁石と同様である。そうした磁石は、例えば、荷電粒子ビーム治療に関連して使用され得る。オープン磁石は、2つの磁石セクションを有している。間に患者を受け入れるのに十分なスペースを伴って一方が他方の上にあり、2つのセクション領域の配置は、ヘルムホルツコイル(Helmholtz coil)のものと同様である。患者の制限がより少ないので、オープン磁石は評判が良い。円筒磁石の低温槽の内側には、超電導コイルの集合が存在している。円筒磁石のボアの中には、磁気共鳴画像化を実行するのに十分に強くて均一な磁場である画像化ゾーン1005が存在している。
【0058】
磁石のボア1003の中には、磁場勾配コイル1004が存在しており、磁場勾配コイル電源1006によって電流供給される。磁場勾配コイル1004は、磁気共鳴データの取得の最中に、磁石1002の画像化ゾーン1005の中での磁気スピンを空間的にエンコードするために使用される。磁場勾配コイル1004は、代表的なものであることが意図されている。典型的な磁場勾配コイルは、3つの直交する空間方向における空間的なエンコードのために、3つの分離したコイルセットを含んでいる。磁場勾配コイル1004に供給される電流は、時間の関数としてコントロールされ、ランプまたはパルス形状であってよい。
【0059】
磁石のボア1003の中には、画像化ゾーン1005が存在しており、磁場は、磁気共鳴画像化を実行するため十分に均一である。画像化ゾーン1005に隣接してアンテナ1008が存在する。アンテナ1008は、トランシーバ1010に接続されている。ラジオ周波数アンテナ1008は、画像化ゾーン1005の中で磁気スピンの向きを操作するためのものであり、画像化ゾーンの中におけるスピンからのラジオ伝送を受信するためのものでもある。ラジオ周波数アンテナは、複数のコイルエレメントを含んでいる。ラジオ周波数アンテナは、チャネルとしても参照されてよい。ラジオ周波数コイルは、ラジオ周波数トランシーバ1010に接続されている。ラジオ周波数コイルとラジオ周波数帯トランシーバ1010は、別個の送信および受信コイルと別個の送信器及び受信器と置き換えられてよい。ラジオ周波数アンテナは、また、専用の送信アンテナおよび専用の受信アンテナを表すようにも意図されている。同様に、トランシーバ1010も、また、別個の送信器及び受信器を表してよい。
【0060】
患者902は、患者サポート1012の上に載っているように見えている。図9のように、カテーテル904が、患者902の中に挿入されている。トランシーバ1010、勾配コイル電源1006、および、カテーテルインターフェイス904は、全てがコンピュータシステム912のハードウェアインターフェイスの接続されているように示されている。図10におけるコンピュータシステム912は、図9におけるコンピュータシステムと同等なものである。コンピュータメモリ922の中に保管されている種々のソフトウェアコンポーネントおよびコンピュータストレージ920のコンテンツは、2つの図面において同等である。
【0061】
コンピュータストレージ920は、パルスシーケンス1020を追加的に含んでいるように示されている。パルスシーケンス1020は、一式のコマンドであり、磁気共鳴画像化システム1001をコントロールするため、または、磁気共鳴画像化システム1001をコントロールするためのコマンドを生成するため、のいずれかで使用され得る。コンピュータストレージ920は、パルスシーケンス1020を使用して取得された磁気共鳴データ1021を追加的に含んでいるように示されている。コンピュータストレージ920は、また、パルスシーケンス1020を使用して取得された熱磁気共鳴データ1022を含んでいるように示されている。コンピュータストレージ920は、磁気共鳴データ1021を使用して再構成された磁気共鳴画像1024を含んでいるように示されている。コンピュータストレージ920は、さらに、熱磁気共鳴データ1022を使用して再構成された熱磁気共鳴画像1026を含んでいるように示されている。コンピュータストレージ920は、さらに、計画磁気共鳴データ1028を含んでいるように示されている。コンピュータストレージ920は、さらに、計画磁気共鳴データ1028を使用して再構成された計画熱磁気共鳴画像1030を含んでいるように示されている。
【0062】
コンピュータメモリ922は、磁気共鳴画像化システムコントロールモジュール1032を含んでいるように示されている。磁気共鳴画像化システムコントロールモジュール1032は、コンピュータで実行可能なコードを含んでおり、プロセッサ916は、パルスシーケンス1020を使用して、磁気共鳴画像化システム1001の動作と機能をコントロールするためのコマンドを生成することができる。コンピュータメモリ922は、さらに、画像再構成モジュール1034を含んでいる。画像再構成モジュール1034は、コンピュータで実行可能なコードを含んでおり、プロセッサ916は、磁気共鳴データ1021から磁気共鳴画像1024を再構成することができる。磁気共鳴画像化システムコントロールモジュール1032は、また、計画磁気共鳴データ1028から計画磁気共鳴画像1030を生成または再構成するためにも使用され得る。コンピュータメモリ922は、さらに、熱マッピングモジュール1036を含んでいるように示されている。熱マッピングモジュール1036は、コンピュータで実行可能なコードを含んでおり、プロセッサ916は、熱磁気共鳴データ1022からサーモグラフィ磁気共鳴画像1026を再構成することができる。
【0063】
コンピュータメモリ922は、さらに、治療プラン変更モジュール1038を含んでいる。治療プラン変更モジュール1038により、プロセッサ916は、磁気共鳴画像1024、熱磁気共鳴画像1026、及び/又は、計画磁気共鳴画像130を使用して、治療プラン924を変更することができる。コンピュータメモリ922は、さらに、画像登録モジュール1024を含んでいるように示されている。、画像登録モジュール1024は、コンピュータで実行可能なコードを含んでおり、磁気共鳴画像1024、熱磁気共鳴画像1026、及び/又は、計画磁気共鳴画像130を患者1002と供に登録するためにプロセッサ916によって使用され得る。画像登録モジュール1040は、例えば、治療プラン変更モジュール1038によって使用され得る。コンピュータメモリ922は、また、超音波シミュレーションモジュール1042を含んでいるように示されている。超音波シミュレーションモジュール1042は、コンピュータで実行可能なコードを含んでおり、プロセッサ916は、カテーテル906によって生成される超音波の効果をシミュレーションすることができる。超音波シミュレーションモジュール1042は、治療プラン変更モジュール1038と関連して使用され得る。
【0064】
従来的には、ピエゾセラミック製またはピエゾ複合材料製のトランスデューサが、経尿道HIFUにおいて使用されてきた。このことは、尿道の中の制限された利用可能な空間のために、1次元(1D)位相アレイだけが可能であることを、多かれ少なかれ意味している。CMUT技術の使用により、このことは、もはや当てはまらなくなり、2次元(2D)アレイが尿道の中に容易にフィットすることができ、高度に操縦可能なアレイも存在する。このことは、より洗練された超音波処理方法の使用を可能にし、かつ、より洗練されたフィードバック方法の使用も可能にしている。いくつかの実用的な制限を伴ってビームの操縦と軌道が可能になる。そして、周波数は、さらに、素早く、かつ、電子部品の変更が要求されることなく連続的な周波数帯を通じて変更することができる。従って、以前は可能でなかった前立腺アブレーションのために、より複雑なフィードバックアルゴリズムを考案できる。さらに、カテーテルの断面が、例えば六角形状であれば、同時にいくつかの半径方向において超音波処理を行い、コントローラできる。
【0065】
容量性マイクロマシン製トランスデューサ(CMUT)は、最近、尿道経由の前立腺HIFUアブレーションに対して明るい見込みを示している。CMUTを達成することが可能な周波数帯は、典型的にはピエゾトランスデューサに対するものよりも高く、大きな範囲の浸透深さが必要とされるアプリケーションに対してCMUTをより適合するものとしている。これらのCMUTは、また、尿道経由のHIFUアブレーションを行う新たな方法ができるようにする可能性の新たな範囲も提供している。
【0066】
1次元フェイズドアレイは、典型的には圧電アレイを使用して構成されたものとして、非常に粗いフィードバックコントロールしかできず、フェイズドアレイに沿って、エレメントごとに出力が変化し得る。2次元フェイズドアレイピエゾトランスデューサは、今度は、尿道の空間の中にフィットするのが難しい。CMUT2次元アレイは、エレメントの振幅がより小さく、尿道の中にフィットすることができ、他のいくつかの利点も有し得るものである。
【0067】
尿道経由のCMUTを用いて前立腺の中でビーム操作を行うことができる。このことにより、今度は、コントロールアルゴリズムを、従来から外部トランスデューサを使用したHIFU治療だけに適用されている尿道経由の前立腺のために使用することができる。例えば、温度及び/又は熱照射量を前立腺の異なる部位においてコントロールすることができる。避ける領域を定義して、次に、どの領域をアプリケーションするか(一般的に全腺治療の場合には前立腺の残りの部分)を定義することによる。異なるバージョンの2次元または3次元PIDコントローラを、例えば、使用することができ、または、目標温度と比較して最も温度が違う現在加熱されているボリュームの中のそうした領域を加熱することによるものでもよい。後者のアプローチは、また、次の温度アップデートが取得される以前に加えることができるエネルギを考慮することも必要である。方法それ自体は、むしろ既によく知られたものであり、フィードバックコントロールの他の方法も使用することができる。
【0068】
CMUTにより、典型的にかなり広いトランスデューサの周波数帯の中で自由に周波数を選択することもできる。ピエゾ基盤のトランスデューサは、せいぜい少し(例えば、最も一般的には1つまたは2つ)の個別の周波数しか選択することができない。このことにより、さらに別のパラメータを変更することができる。局所的に吸収された超音波エネルギに対する等式は、単一の組織における平面波(planar wave)に対して、吸収を通じた損失だけを仮定する(つまり、減衰係数を吸収係数と同等とする)と、以下のようである。
【数1】
ここで、pは組織表面における圧力であり、fは超音波の周波数であり、xは組織内の移動距離である。そして、等式において、δは密度、cは光速度、αは組織の吸収(減衰に等しい)である。
【0069】
この関係は、図11にプロットされている。図11は、吸収超音波エネルギ1102をミリ単位での深さ1100の関数として示している。これらは、減衰上での吸収の線形な依存性を仮定して算出された値である。3つの値がプロットされている。5MHzにおける吸収1104、10MHzにおける吸収1108、および、20MHzにおける吸収1108である。深さが浅いところでは、最高の20MHz周波数1108が最も良い吸収を有しており、一方、中間の深さのところでは、10MHz1106の方が優れており、15mmより深いところでは、5MHz周波数1104が最も良い。この実施例においては、5Np/MHz/mのアルファ(α)が仮定されている。
【0070】
所定の深さxに対して、USエネルギの吸収量を最大にする最適な周波数が存在する。周波数は、以下の等式によって与えられる。
【数2】
吸収は、周波数に対して線形に変化するという仮定を未だに使用している。この仮定が全体としては維持されないとしても、吸収を最大化するための周波数は存在し、より長い浸透深さが所望であれば周波数はより低くなる。
【0071】
図12は、周波数の関数として所与の目標深さにおける吸収を示している。図12は、3つの異なる場所における吸収超音波エネルギを周波数1200の関数として示している。1204とラベル付けされた曲線は5mmにおけるものであり、1206とラベル付けされた曲線は10mmにおけるものであり、そして、20mmにおける曲線は1208である。この実施例において、5mm1204における最大吸収は20MHzにあるように見え、10mm1206における最大吸収は10MHz、20mm1208における最大吸収は5MHzにある。この実施例においても、5Np/MHz/mのアルファ(α)が仮定されている。
【0072】
例えば、前立腺被膜に近い場合には、必ずしも、最大の吸収を提供する周波数が望ましいとうこともない。そうした場合、吸収エネルギにおいてより早い低下(drop−off)を提供する周波数の方が望ましいことがある。被膜および前立腺の直接的に外側にある潜在的に敏感なあらゆる組織を、加熱し過ぎることから守るためである。再び、線形な関係を仮定すると、所定の距離での吸収における最大低下(吸収の導関数の最大値)が、最大の吸収を提供する周波数の2倍の周波数において得られる。
【0073】
最後に、一つ以上の半径方向がCMUTエレメントによってカバーされている場合には、いくつかの方向において同時に加熱が行われる。それぞれの過熱2次元アレイによって加熱された前立腺部分は、例えば六角形状断面の場合には8カ所、上述のように、取得されたMR画像に応じて、2次元または3次元において個々にコントロールされ得る。
【0074】
本発明の実施例は、周波数がコントロール変数のうちの一つであるようにするコントロールアルゴリズムを含んでいる。従来のピエゾトランスデューサは、使用できる別個の周波数を少ししか有していないが、一方、CMUTは、選択できる広域の連続的な周波数帯を有している。スイッチング周波数は、新たな周波数帯において最大の出力圧力に達するために、少しの超音波(US)サイクルを典型的に必要とする。この持続時間は、エレメントの位相が電気的操作の最中に変化する場合に類似している。図11図12は、使用する周波数帯を変更することにより、吸収における実質的な改善がなされ得ることを示している。前立腺被膜に近い場合には、必ずしも、最大の吸収が望ましいとうこともない。そうした場合、吸収エネルギにおいてより早い低下を提供する周波数の方が望ましいことがある。被膜を加熱し過ぎることから守るためである。神経束に近いときも同様に適用され得る。最大の低下速度を提供する周波数は最大の吸収を提供する周波数より高いので、最良の周波数は、2つの周波数の間に存在し得る。音響および温度シミュレーションも、また、使用されるべき最良の周波数の見積りを提供することを助成している。
【0075】
超音波処理周波数を変更することは、短い浸透深さに対して、および、2次元アレイの小さな寸法によって一方向における操作が制限される場合にも、特に価値がある。このことは、尿道経由の前立腺アブレーション及び/又は超音波処理の温熱療法(hyperthermia)に対しても当てはまる。これらは、従って、こうした見識から利益を得る可能性が高いアプリケーションである。
【0076】
本発明の実施例は、尿道経由のHIFUアブレーションに適用することができる。尿道経由の前立腺アブレーションは、また、侵入型カテーテルベースのHIFUアプリケーションであり得るので、有益である。超音波処理によって温熱療法が誘起されるアプリケーションは、ちょうどアブレーションのアプリケーションと同じくらい有益である。HIFUアブレーションは、加熱によって直接的に組織を死滅させるために使用される。一方、HIFU誘起の温熱療法は、放射線治療に対して組織を敏感にするために使用することができ、局所的な薬剤の配送、および、例えば局所的な遺伝子治療及び/又圧搾のために使用され得る。
【0077】
本発明は、図面または前出の記載において、その詳細が説明され記述されてきたが、そうした説明および記載は、説明的または例示的なものであり、制限的なものではないと考えられるべきである。つまり、本発明は、開示された実施例に限定されるものではない。
【0078】
図面、明細書、および添付の特許請求の範囲を研究すれば、クレームされた本発明の実施において、当業者によって、開示された実施例に対する他の変形が理解され、もたらされ得る。請求項において、用語「含む(“comprising“」は、他のエレメントまたはステップの存在を排除するものではなく、不定冠詞「一つの(”a“または”an“)」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサまたは他のユニットは、請求項で述べられる数個のアイテムに係る機能を満たし得る。特定の手段が、お互いに異なる従属請求項の中で引用されているという事実だけでは、これらの手段の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。コンピュータープログラムは、光記録媒体もしくはハードウェアと供に、またはハードウェアの一部として提供される半導体媒体といった、好適な媒体上に記録され、配布され得る。しかし、インターネット、または他の有線もしくは無線の電子通信システムを介するといった、他の形式においても配布され得る。請求項におけるいかなる参照番号も、発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0079】
102 容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイ
104 容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイ
108 第1の電気的接続
110 第2の電気的接続
112 アレイ102の拡大図
114 容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサ
116 一組の第1の電気的接続セット
118 一組の第2の電気的接続セット
120 アレイ104の拡大図
122 容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサ
124 第1の電気的接続
126 第2の電気的接続
200 カテーテルの遠心端
202 前方視リングアレイ
204 側方視リングアレイ
205 シャフト
206 電気的接続
208 穴
300 カテーテル
302 容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイ
303 フレキシブルエレメント
304 超音波のパス
306 ターゲット領域
308 遠心端
310 シャフト
312 チューブ
314 ケーブル
316 ケーブル移動方向
400 カテーテル
402 前立腺
404 膀胱
406 遠心端
407 容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイ
408 メカニカルアクチュエータ
410 ケーブル
500 カテーテル
502 シャフト
504 遠心端
506 近位端
508 容量性マイクロマシン製超音波トランスデューサアレイ
510 電気的接続
510’ データバスと電力供給
512 コネクタ
514 ターゲット領域
600 カテーテル
602 プロセッサ
604 流れ又は圧力センサ
606 温度センサ
608 流体冷却インレット
610 チューブ
612 アウトレット
614 シール
900 医療装置
902 患者
904 カテーテル
906 遠心端
908 ターゲット領域
910 カテーテルインターフェイス
911 高強度フォーカス超音波システム
912 コンピュータ
914 ハードウェアインターフェイス
916 プロセッサ
918 ユーザインターフェイス
920 コンピュータストレージ
922 コンピュータメモリ
924 治療プラン
926 横断距離
928 超音波処理周波数
930 横断距離計算モジュール
932 超音波処理周波数決定モジュール
934 高強度フォーカス超音波システムコントロールモジュール
1000 医療装置
1001 磁気共鳴画像化システム
1002 磁石
1003 磁石のボア
1004 磁場勾配コイル
1005 画像化ゾーン
1006 磁場勾配コイル電源
1008 アンテナ
1010 トランシーバ
1012 患者サポート
1020 パルスシーケンス
1021 磁気共鳴データ
1022 熱磁気共鳴データ
1024 磁気共鳴画像
1026 サーモグラフィ磁気共鳴画像
1028 計画磁気共鳴データ
1030 計画磁気共鳴画像
1032 磁気共鳴画像化システムコントロールモジュール
1034 画像再構成モジュール
1036 熱マッピングモジュール
1038 治療プラン変更モジュール
1040 画像登録モジュール
1042 超音波シミュレーションモジュール
1100 深さ(ミリ)
1102 吸収エネルギ
1104 5MHzに対する浸透深さの関数としての吸収
1106 10MHzに対する浸透深さの関数としての吸収
1108 20MHzに対する浸透深さの関数としての吸収
1200 周波数 MHz
1202 吸収エネルギ
1204 5mmにおける周波数の関数としての吸収
1206 10mmにおける周波数の関数としての吸収
1208 20mmにおける周波数の関数としての吸収
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12