(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液晶ポリマー100重量部に対して、数平均繊維長(L)が1μm〜50μm、数平均繊維径(D)が0.05μm〜2.0μmであり、かつL/Dが3〜50である繊維状酸化チタンを1〜150重量部含有し、
ここで、該液晶ポリマーは芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される2種以上の化合物から構成される共重合体であり、
該芳香族ヒドロキシカルボン酸は4−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなる群から選択される1種以上の化合物であり、
該芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選択される1種以上の化合物であり、
ただし、該液晶ポリマーを構成する構造単位に含まれる芳香族基が2,6−ナフタレンジイル基を40モル%以上含む場合を除く、
以下の定義によるパーティクル数が1000個以下である、液晶ポリマー組成物。
パーティクル数:長さ64mm、幅13mm、厚み2mmの成形片を純水50mLを備えた円筒形ガラス容器に載置し、38kHz、100Wの出力にて10分間超音波照射した後、純水1mL中に含まれる粒子径が2μm以上である粒子の数。
液晶ポリマーが、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールからなる群から選択される2種以上の化合物から構成される共重合体である、請求項1に記載の液晶ポリマー組成物。
芳香族ジオールが、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニルおよび2,6−ジヒドロキシナフタレンからなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項1または請求項2に記載の液晶ポリマー組成物。
請求項6に記載の成形品が、コネクタ、スイッチ、リレー、コンデンサ、コイル、トランス、カメラモジュール、アンテナおよびチップアンテナからなる群より選択される電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る液晶ポリマーは、異方性溶融相を形成するポリエステルまたはポリエステルアミドであり、当該技術分野においてサーモトロピック液晶ポリエステル又はサーモトロピック液晶ポリエステルアミドと呼ばれるものであれば特に限定されない。
【0016】
異方性溶融相の性質は、直交偏光子を利用した慣用の偏光検査法により確認することができる。より具体的には、異方性溶融相の確認は、Leitz偏光顕微鏡を使用し、Leitzホットステージにのせた試料を窒素雰囲気下で40倍の倍率で観察することにより実施することができる。本発明の液晶ポリマーは光学的に異方性を示すもの、即ち、直交偏光子の間で検査したときに光を透過させるものである。試料が光学的に異方性であると、たとえ静止状態であっても偏光は透過する。
【0017】
本発明に係る液晶ポリマーに用いる重合性単量体としては、従来の液晶ポリマーに用いられる単量体、例えば芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これら化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0018】
重合性単量体として、1種以上が結合してなるオリゴマーを共重合に供してもよい。なお、本発明における、重合性単量体の量については、「重合性単量体」をオリゴマーとして用いる場合であっても、当該オリゴマーを構成する単量体ユニット毎にカウントするものとする。
【0019】
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、5−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、3’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸および4’−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸、およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、4−ヒドロキシ安息香酸または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を単独で、あるいは両者を組み合わせて用いることが、得られる液晶ポリマーの耐熱性や機械強度、融点を調節しやすいという点で、より好ましい。
【0020】
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシビフェニル、3,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’’−ジカルボキシターフェニル、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4−カルボキシフェノキシ)ブタン、ビス(4−カルボンキシフェニル)エタン、ビス(3−カルボキシフェニル)エーテルおよびビス(3−カルボキシフェニル)エタン、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸が好適に用いられ、特に得られる液晶ポリマーの耐熱性を効果的に高められる点で、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
【0021】
芳香族ジオールの具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェノールエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよび2,2’−ジヒドロキシビナフチル、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレンが好適に用いられ、特に重合時の反応性に優れる点において、ハイドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニルまたは2,6−ジヒドロキシナフタレンが好ましい。
【0022】
芳香族アミノカルボン酸の具体例としては、4−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸および6−アミノ−2−ナフトエ酸、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0023】
芳香族ヒドロキシアミンの具体例としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルエーテル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルメタン、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルスルフィドおよび2,2’−ジアミノビナフチル、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中でも、4−アミノフェノールが、得られる液晶ポリマーの耐熱性および機械強度のバランスをとりやすい点から好ましい。
【0024】
芳香族ジアミンの具体例としては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレンおよび1,8−ジアミノナフタレン、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体ならびにそれらのアシル化物などのアミド形成性誘導体が挙げられる。
【0025】
脂肪族ジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ならびにそれらのアシル化物が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレートや、ポリブチレンテレフタレートなどの脂肪族ジオールを含有するポリマーを、前記の芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよびそれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などと反応させてもよい。
【0026】
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、フマル酸、マレイン酸およびヘキサヒドロテレフタル酸が挙げられる。これらの中でも、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカン二酸が重合時の反応性に優れる点から好ましい。
【0027】
本発明に係る液晶ポリマーは、本発明の目的を損なわない範囲で、チオエステル結合を含むものであってもよい。このような結合を与える単量体としては、メルカプト芳香族カルボン酸、および芳香族ジチオールおよびヒドロキシ芳香族チオールなどが挙げられる。これらの単量体は、他の重合性単量体に対して10モル%以下であるのが好ましい。
【0028】
重合性単量体として、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸からなる群から選択される2種以上の化合物を併用することは、本発明の好ましい態様の一つである。上記態様には、重合性単量体として、2種以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸を用いる場合も包含される。
【0029】
また、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールを含む組合せがさらに好適に用いられ、1種以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸、1種以上の芳香族ジカルボン酸および1種以上の芳香族ジオールの混合物が高耐熱性を示す点から好ましい。
【0030】
本発明に係る液晶ポリマーに用いる、重合性単量体の具体例としては、例えば下記の組合わせからなる混合物が挙げられる。
1)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、
2)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
3)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
4)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル/ハイドロキノン、
5)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/ハイドロキノン、
6)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン、
7)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
8)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
9)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン、
10)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン/4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
11)4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
12)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン、
13)4−ヒドロキシ安息香酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン、
14)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン、
15)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン/4,4’−ジヒドロキシビフェニル、
16)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール、
17)6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール、
18)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4−アミノフェノール、
19)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル/4−アミノフェノール、
20)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/エチレングリコール、
21)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール、
22)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/エチレングリコール、
23)4−ヒドロキシ安息香酸/6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール、
24)4−ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6−ナフタレンジカルボン酸/4,4’−ジヒドロキシビフェニル。
【0031】
以下、本発明に係る液晶ポリマーの製造方法について説明する。
【0032】
本発明に係る液晶ポリマーを製造する方法に特に制限はなく、重合性単量体を、エステル結合またはアミド結合を形成させる公知の縮重合方法、たとえば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などに供することにより液晶ポリマーを得ることができる。
【0033】
溶融アシドリシス法は、本発明に係る液晶ポリマーを製造するのに好ましい方法である。この方法は、最初に重合性単量体を加熱して反応物質の溶融溶液を形成し、次いで縮重合反応を続けて溶融ポリマーを得るものである。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(たとえば酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
【0034】
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で重合性単量体を反応させる方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
【0035】
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法のいずれの場合においても、液晶ポリマーを製造する際に使用される重合性単量体は、ヒドロキシル基および/またはアミノ基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。
【0036】
低級アシル基は炭素原子数2〜5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは前記重合性単量体の成分のアセチル化物を反応に用いる方法が挙げられる。
【0037】
重合性単量体の低級アシル化物は、別途アシル化して予め合成したものを用いてもよいし、液晶ポリマーの製造時に重合性単量体に無水酢酸等のアシル化剤を加えて反応系内で生成せしめることもできる。
【0038】
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれの場合においても、重合反応は、温度150〜400℃、好ましくは250〜370℃で、常圧および/または減圧下で行うのがよく、必要に応じて触媒を用いてもよい。
【0039】
触媒の具体例としては、ジアルキルスズオキシド(たとえばジブチルスズオキシド)、ジアリールスズオキシドなどの有機スズ化合物;二酸化チタンなどの金属酸化物;三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物;アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物;カルボン酸のアルカリおよびアルカリ土類金属塩(たとえば酢酸カリウム);ルイス酸(たとえば三フッ化硼素)、ハロゲン化水素(たとえば塩化水素)などの気体状酸触媒などが挙げられる。
【0040】
触媒を使用する場合、該触媒の量は重合性単量体全量に対し、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは2〜100ppmである。
【0041】
このようにして重縮合反応されて得られた本発明に係る液晶ポリマーは、通常、溶融状態で重合反応槽より抜き出された後に、ペレット状、フレーク状、または粉末状に加工される。
【0042】
ペレット状、フレーク状、または粉末状の液晶ポリマーは、分子量を高め耐熱性を向上させる目的などで、減圧下、真空下、または窒素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下において、実質的に固相状態で熱処理を行ってもよい。
【0043】
固相状態において行う熱処理の温度は、液晶ポリマーが溶融しない限り特に限定されないが、200〜350℃、好ましくは230〜320℃で行うのがよい。
【0044】
本発明の液晶ポリマー組成物におけるパーティクル数は、1000個以下であり、好ましい場合には800個以下であり、より好ましい場合には500個以下であり、特に好ましい場合には200個以下である。パーティクル数が1000個を超える場合には、電子部品の光学特性は不十分となる傾向にある。
パーティクル数とは、長さ64mm、幅13mm、厚み2mmの成形片を純水50mLを備えた円筒形ガラス容器に載置し、38kHz、100Wの出力にて10分間超音波照射した後、純水1mL中に含まれる粒子径が2μm以上である粒子の数をいう。
なお、粒子径が2μm以上である粒子の数とは、パーティクルカウンター(スペクトリス社製LiQuilaz−05)での測定に際し、粒子投影面の粒子径が2μm以上である粒子(パーティクル)の数を意味する。パーティクルには、本発明の液晶ポリマー組成物から構成される成形品から剥落した樹脂や充填材等の脱落物が含まれる。
【0045】
本発明では、パーティクル数の測定は、以下の通り行った。液晶ポリマー組成物のペレットを型締め圧15tの射出成形機(住友重機械工業株式会社製 MINIMAT M26/15)を用いて、#8000相当の鏡面仕上げを施した金型により、結晶融解温度(Tm)よりも20℃高いシリンダー温度および金型温度70℃で、長さ64mm、幅12.7mm、厚み2mmの短冊状曲げ試験片を作製した。この試験片を、純水50mLを備えた外径50mm、内径45mm、高さ100mmの円筒ガラス容器に、
図1の通りゲート部が水に浸からないように載置した後、円筒ガラス容器を、水1000mLを備えた縦140mm、横240mm、深さ100mmの超音波洗浄槽(株式会社エスエヌディ製US−102)に設置した。38kHz、100Wの出力で10分間超音波洗浄を行った後、純水1mL中に含まれる粒子径が2μm以上である粒子〔試験片から剥落した脱落物(パーティクル)〕の数を、パーティクルカウンター(スペクトリス社製LiQuilaz−05)を使用して3回測定し、平均値を測定結果とした。
【0046】
本発明における繊維状酸化チタンの数平均繊維長(L)については、1μm〜50μm、好ましくは2μm〜40μmであり、より好ましくは3μm〜30μmである。繊維状酸化チタンの数平均繊維長(L)が1μm未満であると機械強度が維持できず、50μm超であるとパーティクル発生の抑制効果が不十分となる傾向がある。
【0047】
繊維状酸化チタンの数平均繊維径(D)については、0.05μm〜2.0μmであり、好ましくは0.1μm〜1.5μmであり、より好ましくは0.1μm〜1.0μmである。繊維状酸化チタンの数平均繊維径(D)が0.05μm未満であると機械強度が維持できず、2.0μm超であるとパーティクル発生の抑制効果が不十分となる傾向がある。
【0048】
また、剛性とパーティクル発生抑制をバランスよく実現するためには、数平均繊維長(L)と数平均繊維径(D)の比L/Dが、3〜50であることが必要であり、好ましくは3.5〜40であり、より好ましくは4〜30である。L/Dが3未満であると機械強度が維持できず、50超であるとパーティクル発生の抑制効果が不十分となる傾向がある。
【0049】
なお、数平均繊維長(L)および数平均繊維径(D)の測定方法は、走査型電子顕微鏡(日立製作所製S2100A)を用いて、10000倍で写真撮影し、ランダムに500本サンプリングし、各繊維(粒子)の最長部の長さの数平均値を数平均繊維長、最短部の長さの数平均値を数平均繊維径とした。
【0050】
本発明に使用する繊維状酸化チタンとしては、針状酸化チタンおよび棒状酸化チタンが挙げられる。
【0051】
本発明に使用する繊維状酸化チタンの結晶構造は、特に限定されないが、ルチル型、アナターゼ型およびブルサイト型からなる群から選択される一種以上のものを用いることができ、超音波洗浄の際のパーティクル発生低減効果に優れる点でルチル型が好ましい。また、樹脂への分散を良くするためにマグネシウム、カルシウムなど他の金属酸化物がドープされたものであってもよい。
【0052】
本発明に使用する繊維状酸化チタンは、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミ系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
【0053】
本発明の液晶ポリマー組成物中における繊維状酸化チタンの含有量は、液晶ポリマー100重量部に対して1〜150重量部であり、2〜120重量部が好ましく、5〜110重量部がより好ましく、10〜80重量部が特に好ましい。含有量が1重量部未満であるとパーティクル発生の抑制効果が不十分であり、150重量部超であると流動性が不十分となるうえに、成形機のシリンダーや金型の磨耗が大きくなる傾向がある。
【0054】
液晶ポリマーに繊維状酸化チタンを含有させると、液晶ポリマーと繊維状酸化チタンとの界面の濡れ性が良いことから、パーティクル発生を低減すると考えられる。
【0055】
本発明の液晶ポリマー組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の添加剤、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩(ここで高級脂肪酸とは炭素原子数10〜25のものをいう)、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型改良剤;染料、顔料、カーボンブラックなどの着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤などから選ばれる1種または2種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの中でも、成型品について黒色が選好される点においてカーボンブラックが好ましい。
【0056】
これらの他の添加剤の液晶ポリマー組成物中における含有量は、液晶ポリマー100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜7重量部であるのがよい。これらの他の添加剤の含有量が液晶ポリマー100重量部に対して10重量部を超える場合には、成形加工性が低下したり、成形安定性が不十分となって成形品にブリスターが発生しやすくなる傾向がある。他の添加剤の含有量が0.1重量部を下回る場合、添加剤の機能を実現することができない。
【0057】
また、本発明の液晶ポリマー組成物を成形するに際し、上記他の添加剤のうち高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤などの外部滑剤効果を有するものについては、予め、液晶ポリマーおよび/または液晶ポリマー組成物のペレットの表面に付着せしめてもよい。
【0058】
また、本発明の液晶ポリマー組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、本発明の液晶ポリマーと同様の温度域で成形加工可能である他の樹脂成分を配合してもよい。他の樹脂成分としては、たとえばポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、およびその変性物、ならびにポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。他の樹脂成分は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。液晶ポリマー組成物が他の樹脂成分を含む場合、他の樹脂成分の含有量は特に限定されないが、液晶ポリマー100重量部に対して通常0.1〜30重量部、特に0.5〜10重量部であるのがよい。
【0059】
さらには、本発明の液晶ポリマー組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、他の無機または有機の、繊維状、板状または粒状の充填材、たとえばガラス繊維、ミルドガラス、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウムウイスカ、ホウ酸アルミニウムウイスカ、ウォラストナイト、タルク、マイカ、グラファイト、炭酸カルシウム、ドロマイト、クレイ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、硫酸バリウム、および粒状酸化チタン等の非繊維状酸化チタンなどを、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。これらの中でも、ガラス繊維、ミルドガラスもしくは粒状酸化チタンが物性とコストのバランスが優れている点で好ましい。
【0060】
本発明の液晶ポリマー組成物が無機または有機充填材を含有する場合、液晶ポリマー組成物中の無機または有機充填材の含有量は、液晶ポリマー100重量部に対して、通常0.1〜100重量部であるのが好ましい。
【0061】
これらの繊維状酸化チタン、その他の添加剤、他の樹脂成分、他の充填材などは、液晶ポリマーに添加され、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、液晶ポリマーの結晶融解温度近傍ないし結晶融解温度+20℃で溶融混練して液晶ポリマー組成物とすることができる。
【0062】
このようにして得られた、本発明の液晶ポリマー組成物は、射出成形機、押出機などを用いる公知の成形方法によって、射出成形品、フィルム、シート、および不織布などの成形品に加工される。
【0063】
本発明の液晶ポリマー組成物は、パーティクル発生が抑制されるため、超音波洗浄等が必要である精密機器の電子部品の製造に用いられる材料として好適に使用される。
【0064】
このような、本発明の液晶ポリマー組成物が使用される電子部品としては、コネクタ、スイッチ、リレー、コンデンサ、コイル、トランス、アンテナ、チップアンテナおよびカメラモジュールからなる群から選択される部品が挙げられる。
【0065】
特に、超音波洗浄を必要とする電子部品、例えばカメラモジュール等を構成する光学電子部品や、他の部材との摺動を伴う摺動部材用電子部品、例えばコネクタ、スイッチ、リレー、カメラモジュールからなる群から選択されるものを構成する部品の製造に好適に使用される。
【0066】
これらの中でも、本発明の液晶ポリマーは、成形品表面のフィブリル化に起因する光学特性の低下を阻止することから、カメラモジュールを構成する光学電子部品の製造に特に好適に使用される。カメラモジュールを構成する光学電子部品としては、レンズバレル部(レンズが載る部分)、マウントホルダー部(バレルを装着し、基板に固定する部分)、CMOS(イメージセンサー)の枠、シャッター、シャッタープレート、シャッターボビン部、絞りのリング、ストッパー(レンズを押さえる部分)などが挙げられる。
【0067】
本発明のパーティクル発生の抑制方法は、液晶ポリマー組成物から構成される成形品表面におけるパーティクル発生の抑制方法であり、液晶ポリマー100重量部に対して、数平均繊維長(L)が1μm〜50μm、数平均繊維径(D)が0.1μm〜1.0μmであり、かつL/Dが3〜50である繊維状酸化チタンを1〜150重量部配合することを特徴とするパーティクル発生の抑制方法である。
【0068】
本発明のパーティクル発生の抑制方法では、液晶ポリマー100重量部に対して上述の繊維状酸化チタンを1〜150重量部を配合する。繊維状酸化チタンの配合量が1重量部未満であるとパーティクル発生の抑制効果が不十分であり、150重量部超であると液晶ポリマー組成物の流動性が不十分となるうえに、成形機のシリンダーや金型の磨耗が大きくなる傾向がある。繊維状酸化チタンの配合量は、液晶ポリマー100重量部に対して2〜120重量部が好ましく、5〜110重量部がより好ましく、10〜80重量部が特に好ましい。
【0069】
本発明のパーティクル発生の抑制方法において用いる液晶ポリマーは、液晶ポリマーを構成する重合性単量体および製造方法などについて上述の本発明の液晶ポリマー組成物において説明したものと同様であってよい。
【0070】
本発明のパーティクル発生の抑制方法において用いる繊維状酸化チタンは、数平均繊維長(L)、数平均繊維径(D)、L/Dおよび結晶構造について、上述の本発明の液晶ポリマー組成物において説明した繊維状酸化チタンのものと同様であってよい。また、繊維状酸化チタンは、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミ系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理してもよい。
【0071】
液晶ポリマーには、繊維状酸化チタンの他に、上述のその他の添加剤、他の樹脂成分、他の充填材などを配合することができる。配合する方法としては、バンバリーミキサー、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、液晶ポリマーの結晶融解温度近傍ないし結晶融解温度+20℃で溶融混練して液晶ポリマー組成物とする方法が挙げられる。このようにして得られた液晶ポリマー組成物は、射出成形機、押出機などを用いる公知の成形方法によって、射出成形品、フィルム、シート、および不織布などの成形品に加工される。
【0072】
本発明のパーティクル発生の抑制方法によれば、液晶ポリマー組成物の成形品を輸送する場合や、成形品を摺動部材用電子部品として用いる場合、成形品を超音波洗浄する場合等に振動や擦れが生じても成形品表面からパーティクルの発生を抑制することができる。
【0073】
本発明のパーティクル発生の抑制方法によれば、上述の本発明の液晶ポリマー組成物に関する説明において定義したパーティクル数(長さ64mm、幅13mm、厚み2mmの成形片を純水50mLを備えた円筒形ガラス容器に載置し、38kHz、100Wの出力にて10分間超音波照射した後、純水1mL中に含まれる粒子径が2μm以上である粒子の数)は、1000個以下であり、好ましい場合には800個以下であり、より好ましい場合には500個以下であり、特に好ましい場合には200個以下である。
【実施例】
【0074】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例中の結晶融解温度、溶融粘度、曲げ強度およびパーティクル発生数の測定、評価は以下に記載の方法で行った。
【0075】
〈結晶融解温度〉
示差走査熱量計としてセイコーインスツルメンツ株式会社製Exstar6000を用いて、試料を室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)を測定した後、Tm1より50℃高い温度で10分間保持する。次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却し、さらに再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を結晶融解温度(Tm)とした。
【0076】
〈溶融粘度〉
溶融粘度測定装置(東洋精機(株)製キャピログラフ1D)により、1.0mmφ×10mmのキャピラリーを用いて、剪断速度1000sec
−1の条件下、試料の結晶融解温度(Tm)+20℃での溶融粘度をそれぞれ測定した。
【0077】
〈曲げ強度〉
射出成形機(日精樹脂工業株式会社製UH−1000−110)を用いて結晶融解温度(Tm)よりも20℃高いシリンダー温度、金型温度70℃で射出成形し、長さ127mm、幅12.7mm、厚み3.2mmの短冊状曲げ試験片を作成した。曲げ試験は、ASTM D790に準拠して行った。
【0078】
〈パーティクル発生数〉
得られた樹脂組成物のペレットを型締め圧15tの射出成形機(住友重機械工業株式会社製 MINIMAT M26/15)を用いて、#8000相当の鏡面仕上げを施した金型により、結晶融解温度(Tm)よりも20℃高いシリンダー温度および金型温度70℃で、長さ64mm、幅12.7mm、厚み2mmの短冊状曲げ試験片を作製し、パーティクル数測定の試験片とした。
純水50mLを備えた外径50mm、内径45mm、高さ100mmの円筒ガラス容器に、
図1の通り各試験片1個をゲート部が水に浸からないように載置した後、円筒ガラス容器を、水1000mLを備えた縦140mm、横240mm、深さ100mmの超音波洗浄槽(株式会社エスエヌディ製US−102)に設置した。
38kHz、100Wの出力で10分間超音波洗浄を行った後、純水1mL中に含まれる粒子径が2μm以上である粒子〔試験片から剥落した脱落物(パーティクル)〕の数を、パーティクルカウンター(スペクトリス社製LiQuilaz−05)を使用して3回測定し、平均値を測定結果とした。
【0079】
実施例および比較例において下記の略号は以下の化合物を表す。
POB:4−ヒドロキシ安息香酸
BON6:6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸
BP:4,4’−ジヒドロキシビフェニル
HQ:ハイドロキノン
TPA:テレフタル酸
NDA:2,6−ナフタレンジカルボン酸
【0080】
[合成例1(LCP−1)]
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、POB:641.9g(71.5モル%)、BON6:30.6g(2.5モル%)、HQ:93.0g(13モル%)およびNDA182.7g(13モル%)を仕込み、さらに全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
【0081】
窒素ガス雰囲気下に室温〜145℃まで1時間かけて昇温し、145℃で30分保持した。次いで、副生する酢酸を留出させつつ345℃まで7時間かけて昇温した後、80分かけて10mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリエステル樹脂のペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。得られたペレットの結晶融解温度(Tm)は321℃であった。
【0082】
[合成例2(LCP−2)]
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、POB:323.2g(36モル%)、BON6:48.9g(4モル%)、BP:169.4g(14モル%)、HQ:114.5g(16モル%)およびTPA:323.9g(30モル%)を仕込み、さらに全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
【0083】
窒素ガス雰囲気下に室温〜145℃まで1時間かけて昇温し、145℃で30分保持した。次いで、副生する酢酸を留出させつつ350℃まで7時間かけて昇温した後、80分かけて5mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリエステル樹脂のペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。得られたペレットの結晶融解温度(Tm)は335℃であった。
【0084】
[合成例3(LCP−3)]
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、POB:655.4g(73モル%)およびBON6:330.2g(27モル%)を仕込み、さらに全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.02倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
【0085】
窒素ガス雰囲気下に室温〜145℃まで1時間で昇温し、145℃にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去させつつ320℃まで 時間かけて昇温した後、80分かけて10mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリエステル樹脂のペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。得られたペレットの結晶融解温度(Tm)は279℃であった。
【0086】
[合成例4(LCP−4)]
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、BON6:660.4g(54モル%)、BP:260.2g(21.5モル%)、HQ:10.7g(1.5モル%)およびTPA248.3g(23モル%)を仕込み、さらに全モノマーの水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
【0087】
窒素ガス雰囲気下に室温〜145℃まで1時間かけて昇温し、145℃で30分保持した。次いで、副生する酢酸を留出させつつ345℃まで7時間かけて昇温した後、80分かけて10mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリエステル樹脂のペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。得られたペレットの結晶融解温度(Tm)は340℃であった。
【0088】
以下の実施例および比較例で使用した充填材を示す。
繊維状酸化チタン−1:石原産業(株)社製、針状酸化チタン「FTL−400」(数平均繊維長(L)=10.1μm、数平均繊維径(D)=0.5μm、L/D=20)
繊維状酸化チタン−2:石原産業(株)社製、棒状酸化チタン「PFR404」(数平均繊維長(L)=2.41μm、数平均繊維径(D)=0.54μm、L/D=4.5)
粒状酸化チタン:石原産業(株)社製、粒状酸化チタン「CR−60」、数平均粒子径 0.2μm)
タルク:富士タルク(株)社製、「DS−34」(数平均粒径23μm)
ガラス繊維:日東紡績(株)社製、PF70E−001(数平均繊維長(L)=58μm、数平均繊維径(D)=10.4μm)
カーボンブラック:三菱化学(株)製、三菱カーボンブラック #950
オレフィン系共重合体:住友化学(株)社製、ボンドファーストBF−2C
表1〜4に記載の各配合量は、LCP100重量部に対する重量部とする。
【0089】
実施例1
熱風乾燥器中で130℃にて6時間乾燥したLCP−1を100重量部に対して、繊維状酸化チタン−1を5.4重量部、カーボンブラックを3.3重量部配合して得られた混合物を、シリンダーの最高温度360℃に設定した2軸押出機((株)池貝社製PCM−30)を用い溶融混練して目的の液晶ポリマー組成物のペレットを得た。得られたペレットを用い、前記の試験方法にて、各物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0090】
比較例1
LCP−1を単独で用いて、前記の試験方法にて各物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0091】
実施例2〜5及び比較例2〜8
実施例1と同様にLCP−1、繊維状酸化チタン−1、繊維状酸化チタン−2、粒状酸化チタン、タルク、ガラス繊維、カーボンブラック、オレフィン系共重合体を、表1に記載した組成としたこと以外は、実施例1と同様の設備、操作方法により、それぞれの液晶ポリマー組成物のペレットを製造した。得られたペレットを用い、実施例1と同様にして、前記の試験方法にて、各物性の測定を行った。結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
実施例6
熱風乾燥器中で130℃にて6時間乾燥したLCP−2を100重量部に対して、繊維状酸化チタン−1を44.8重量部およびカーボンブラックを4.5重量部配合して得られた混合物を、シリンダーの最高温度360℃に設定した2軸押出機((株)池貝社製PCM−30)を用い溶融混練して目的の液晶ポリマー組成物のペレットを得た。得られたペレットを用い、前記の試験方法にて、各物性の測定を行った。結果を表2に示す。
【0094】
比較例9
LCP−2を単独で用いて、前記の試験方法にて、各物性の測定を行った。結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
実施例7
熱風乾燥器中で130℃にて6時間乾燥したLCP−3を100重量部に対して、繊維状酸化チタン−1を5.4重量部、カーボンブラックを3.3重量部配合して得られた混合物を、シリンダーの最高温度300℃に設定した2軸押出機((株)池貝社製PCM−30)を用い溶融混練して目的の液晶ポリマー組成物のペレットを得た。得られたペレットを用い、前記の試験方法にて、各物性の測定を行った。結果を表3に示す。
【0097】
比較例10
LCP−3を単独で用いて、前記の試験方法にて、各物性の測定を行った。結果を表3に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
実施例8
(参考例)
熱風乾燥器中で130℃にて6時間乾燥したLCP−4を100重量部に対して、繊維状酸化チタン−2を44.8重量部、カーボンブラックを4.5重量部配合して得られた混合物を、シリンダーの最高温度360℃に設定した2軸押出機((株)池貝社製PCM−30)を用い溶融混練して目的の液晶ポリマー組成物のペレットを得た。得られたペレットを用い、前期の試験方法にて、各物性の測定を行った。結果を表4に示す。
【0100】
比較例11
LCP−4を単独で用いて、前記の試験方法にて、各物性の測定を行った。結果を表4に示す。
【0101】
【表4】
【0102】
表1〜4に示したように、本発明の液晶ポリマー組成物(実施例1〜8)は、粒子径2μm以上のパーティクル数が1000個未満であって、曲げ強度が良好なものであった。それに対し、比較例1〜11のように、本発明の範囲から外れる場合は、パーティクル発生または曲げ強度の少なくとも一方について好ましくない結果となった。
【0103】
また、本発明の液晶ポリマー組成物(実施例1〜8)については、LCP−1〜4を単独で用いた場合(比較例1、9、10および11)よりも粒子径2μm以上のパーティクル数が少なく、本発明のパーティクル発生抑制効果が良好であることが示された。