【文献】
Fujitsu,Radio Bearer Handling and Challenges for 5G[online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #93b R2-162241,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_93bis/Docs/R2-162241.zip>,2016年 4月 2日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記PDCPレイヤ処理手段は、前記最後に受信した確認応答信号を含む複数の確認応答信号を前記RLCレイヤ処理手段に送信した後、前記記憶手段に記憶されている複数の確認応答信号を破棄する、請求項1に記載のユーザ装置。
前記PDCPレイヤ処理手段は、送信可能なデータとして、所定の個数の確認応答信号に対応するデータサイズ、又は、前記記憶手段に記憶された確認応答信号の総数のうち所定の比率の個数の確認応答信号に対応するデータサイズを、MACレイヤに通知する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のユーザ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。例えば、本実施の形態に係る移動通信システムはLTEに準拠した方式のシステムを想定しているが、本発明はLTEに限定されるわけではなく、他の方式にも適用可能である。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「LTE」は、3GPPのリリース8、又は9に対応する通信方式のみならず、3GPPのリリース10、11、12、13、又は14以降に対応する第5世代(5G)の通信方式も含む広い意味で使用する。
【0013】
なお、以下の説明ではTCPを用いた場合を例として処理手順を説明するが、これに限られない。本実施の形態は、セッション管理に用いられるプロトコルであれば、他のプロトコルに対しても適用することができる。
【0014】
<システム構成>
図1は、実施の形態に係る移動通信システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、実施の形態における移動通信システムは、ユーザ装置UEと、基地局10とを有する。
図1には1つのユーザ装置UEが図示されているが、図示の便宜上であり、複数のユーザ装置UEが含まれていてもよい。
【0015】
ユーザ装置UEは、無線を通じて基地局10等と通信を行う機能を有する。ユーザ装置UEは、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット、モバイルルータ、ウェアラブル端末、MTC(Machine Type Communication)端末などである。ユーザ装置UEは、通信機能を有する機器であれば、どのようなユーザ装置であってもよい。ユーザ装置UEは、プロセッサなどのCPU、ROM、RAM又はフラッシュメモリなどのメモリ装置、基地局10と通信するためのアンテナ、RF(Radio Frequency)装置などのハードウェアリソースにより構成される。ユーザ装置UEの各機能及び処理は、メモリ装置に格納されているデータやプログラムをプロセッサが処理又は実行することによって実現されてもよい。しかしながら、ユーザ装置UEは、上述したハードウェア構成に限定されず、他の何れか適切なハードウェア構成を有してもよい。
【0016】
基地局10は、ユーザ装置UE及びコアネットワークとの間で通信を行う。基地局10は、プロセッサなどのCPU、ROM、RAM又はフラッシュメモリなどのメモリ装置、ユーザ装置UE等と通信するためのアンテナ、隣接する基地局等と通信するための通信インタフェース装置などのハードウェアリソースにより構成される。基地局10の各機能及び処理は、メモリ装置に格納されているデータやプログラムをプロセッサが処理又は実行することによって実現されてもよい。しかしながら、基地局10は、上述したハードウェア構成に限定されず、他の何れか適切なハードウェア構成を有してもよい。
【0017】
<処理手順>
以下、図を用いて、本実施の形態に係る移動通信システムが行う処理手順について説明する。なお、以下の説明ではTCPを用いた場合を例として処理手順を説明するが、これに限られない。
【0018】
(各レイヤにおける処理手順について)
図2は、実施の形態に係るユーザ装置が行うTCP処理の一例を示す図である。
図2に示すように、ユーザ装置UEは、MAC(Media Access Control)処理を行うMACレイヤと、RLC(Radio Link Control)処理を行うRLCレイヤ、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)処理を行うPDCPレイヤと、TCP処理を行うTCPレイヤとを有する。なお、
図2において、ユーザ装置UEは、実施の形態に係る移動通信システムに接続されている所定のPDN(Packet Data Network)上に存在するサーバ(図示せず)との間でTCPコネクションを確立し、TCPを用いてサーバと通信している前提とする。
【0019】
まず、TCPレイヤは、サーバに向けて送信するTCP ACKパケット(以下、「ACKパケット」という)をPDCPレイヤに渡す。続いて、PDPPレイヤは、TCPレイヤから渡されたACKパケットを、RLCレイヤからの指示を受信するまでの間、一旦バッファに保持するようにする。
【0020】
ここで、MACレイヤは、上りリンクのデータを送信するために、上りリンク信号における無線リソースの割当て(UL(Uplink)グラント)を基地局10に要求する。基地局10からULグラントを受信すると、MACレイヤは、上りリンク信号のリソースが割り当てられたことをRLCレイヤに通知するために、RLCレイヤに送信機会通知を送信する。MACレイヤからRLCレイヤに送信される送信機会通知は、例えば、Notification of a transmission opportunityである。
【0021】
同様に、RLCレイヤは、上りリンク信号のリソースが割り当てられたことをPDCPレイヤに通知するために、PDCPレイヤに送信機会通知を送信する。RLCレイヤからPDCPレイヤに送信される送信機会通知は、例えば、Notification of a transmission opportunityである。
【0022】
PDCPレイヤは、RLCレイヤから送信機会通知を受信すると、ACKパケットをPDCP PDU(Protocol Data Unit)に格納してRLCレイヤに送信する。ここで、PDCPレイヤは、バッファに複数のACKパケットが存在する場合、TCPレイヤから最後に受信したACKパケットのみをPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信する。
【0023】
続いて、RLCレイヤは、ACKパケットを含むPDCP PDUからRLC PDUを生成してMACレイヤに送信する。MACレイヤは、ULグラントで指示された無線リソースを用いて、RLC PDUを基地局10に送信する。
【0024】
図2を用いて具体例を説明する。まず、TCPレイヤからの5つのACKパケット(P1〜P5)がTCPレイヤからPDCPレイヤに渡されたと仮定する。また、この状態で、MACレイヤからRLCレイヤに送信機会通知が送信され(S1)、更に、RLCレイヤからMACレイヤに送信機会通知が送信された(S2)と仮定する。
【0025】
この場合、送信機会通知を受信したPDCPレイヤは、5つのACKパケットのうち、最後に受信したACKパケット(すなわち、P5のACKパケット)のみをPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信する(S3)。また、RLCレイヤは、当該ACKパケットを含むPDCP PDUからRLC PDUを生成してMACレイヤに送信する(S4)。
【0026】
ここで、ACKパケットには確認応答番号が含まれている。確認応答番号とは、TCPの仕様で規定されているように、ユーザ装置UEがサーバから既に受信したTCPパケットのうち、欠損せずに受信出来た一連のTCPパケットのシーケンス番号に1を加えた数である。従って、P5のACKパケットに含まれている確認応答番号は、少なくともP1〜P4の4つのACKパケットに含まれている確認応答番号と等しいか又は大きい番号になる。
【0027】
つまり、サーバは、P5のACKパケットを受信することができれば、当該ACKパケットに含まれている確認応答番号までのTCPパケットが到達したことを把握することが可能である。すなわち、サーバは、P1〜P4までのACKパケットを受信する必要はない。そこで、PDCPレイヤは、送信機会通知を受信した場合、TCPレイヤから最後に受信したACKパケットのみをRLCレイヤに渡すようにする。これにより、ユーザ装置UEと基地局10との間で伝送される無線信号のデータ量を削減することが可能になる。
【0028】
また、PDCPレイヤは、TCPレイヤからSACK(Selective ACK)パケットを受信した場合、SACKパケットをACKパケットと同様に扱う。言い換えると、PDCPレイヤは、送信機会通知を受信した場合、TCPレイヤから最後に受信したACKパケット又はSACKパケットのみをRLCレイヤに渡すようにする。
【0029】
例えば、
図2において、P1〜P4がACKパケットであり、P5がSACKパケットであると仮定すると、PDCPレイヤは、ステップS3において、P5のSACKパケットをRLCレイヤに送信する。また、例えば、
図2において、P1がSACKパケットであり、P2〜P5がACKパケットであると仮定すると、PDCPレイヤは、ステップS3において、P5のACKパケットをRLCレイヤに送信する。
【0030】
なお、TCPの仕様で規定されているように、SACKには、前述の確認応答番号に加えて既に受信済みのTCPパケットのシーケンス番号が含まれている。SACKを用いることで、ユーザ装置UEは、確認応答番号以降のシーケンス番号のTCPパケットのうち、既に受信済みのTCPパケットのシーケンス番号をサーバに通知することができる。
【0031】
(PDCPレイヤにおける処理手順について)
図3は、実施の形態に係るユーザ装置が行うTCP処理の一例を示すフローチャートである。
図3を用いて、ユーザ装置UEのPDCPレイヤで行われる処理手順を具体的に説明する。なお、
図3において、ステップS10〜ステップS14までの処理手順は、PDCPレイヤがACK(SACK)パケットを受信する度に繰り返し行われる。
【0032】
ステップS10で、PDCPレイヤは、TCPレイヤからACK(SACK)パケットを受信する。
【0033】
ステップS11で、PDCPレイヤは、TCPレイヤから受信したACK(SACK)パケットをバッファに蓄積する。なお、PDCPレイヤは、TCPレイヤからACK(SACK)パケットを受信した順序を識別できるようにする。例えば、PDCPレイヤは、ACK(SACK)パケットに受信順序を示す情報を付与してバッファに蓄積してもよいし、ACK(SACK)パケットを受信したタイムスタンプ等を記録した情報を保持するようにしてもよい。
【0034】
ステップS12で、PDCPレイヤは、RLCレイヤから送信機会通知を受信した場合、ステップS13の処理手順に進む。送信機会通知を受信していない場合は、ステップS10の処理手順に進む。
【0035】
ステップS13で、PDCPレイヤは、バッファに蓄積されたACK(SACK)パケットのうち、最後に受信したACK(SACK)パケットを含むPDCP PDUをRLCレイヤに送信する。なお、ステップS11で、ACK(SACK)パケットに受信順序を示す情報を付与した場合、PDCPレイヤは、当該情報を削除したACK(SACK)パケットを含むPDCP PDUをRLCレイヤに送信するようにする。なお、ステップS13でRLCレイヤに送信されるPDCP PDUには、ACK(SACK)パケット以外に、基地局10に送信すべきデータ(例えば、上りリンクのユーザデータ等)も含まれ得る。
【0036】
なお、ステップS13で、PDCPレイヤは、バッファに蓄積されたACK(SACK)パケットのうち、確認応答番号が最も大きいACK(SACK)パケットを含むPDCP PDUをRLCレイヤに送信するようにしてもよい。PDCPレイヤは、バッファに格納されている各ACK(SACK)パケット内の確認応答番号を読み出す必要があるものの、万が一TCPレイヤからPDCPレイヤに送信されるACK(SACK)パケットの順序が入れ替わった場合であっても、確認応答番号が最も大きいACK(SACK)パケットを確実に基地局10に送信することが可能になる。
【0037】
ステップS14で、PDCPレイヤは、バッファに蓄積されているACK(SACK)パケットを全て破棄(削除)する。その後、ステップS10の処理手順に進む。
【0038】
(処理シーケンスについて)
実施の形態に係るユーザ装置UEは、本実施の形態におけるTCP処理(すなわち、
図2及び
図3に示すTCP処理)を必ず行うのではなく、基地局10の指示に基づいて行うようにしてもよい。また、所定の単位で本実施の形態におけるTCP処理を行うようにしてもよい。
【0039】
図4は、実施の形態に係る移動通信システムが行う処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【0040】
ステップS101で、ユーザ装置UEは、能力通知信号を基地局10に送信するようにしてもよい。能力通知信号には、ユーザ装置UE自身が本実施の形態におけるTCP処理を行う処理能力を有することを示す情報(以下、「能力情報」という)が含まれる。能力通知信号は、例えば、RRC信号(例えば、UE Capability Information)であってもよいし、MAC信号又は物理レイヤの信号であってもよい。
【0041】
なお、能力情報には、本実施の形態におけるTCP処理を同時に行うことができる具体的な無線ベアラ数(DRB(Data Radio Bearer)数)又は/及び論理チャネル数が含まれていてもよい。また、能力情報には、本実施の形態におけるTCP処理を同時に行うことができるTCPセッション数が含まれていてもよい。また、予め基地局10とユーザ装置UEとの間で特定のUEカテゴリを予め定めておき、能力情報に、当該特定のUEカテゴリが格納されるようにしてもよい。この場合、基地局10は、当該特定のUEカテゴリに基づいて、ユーザ装置UE自身の処理能力(無線ベアラ数、論理チャネル数、又はTCPセッション数)を把握することになる。
【0042】
なお、ユーザ装置UE、基地局10及びコアネットワークが、LTEのリリース13で規定されたControl plane CIoT EPS optimisationに対応している場合、ユーザ装置UEは、無線ベアラ(SRB(Signaling Radio Bearer))についても本実施の形態におけるTCP処理を動作させるようにしてもよい。この場合、能力情報には、本実施の形態におけるTCP処理を同時に行うことができる具体的な無線ベアラ数(DRB数、及び/又は、SRB数)又は/及び論理チャネル数が含まれていてもよい。Control plane CIoT EPS optimisationとは、SRBを介したユーザデータの送受信を許容することで、ユーザ装置UEと基地局10との間で、DRBを確立せずにユーザデータの送受信を可能にする技術である。
【0043】
ステップS102で、基地局10は、本実施の形態におけるTCP処理を動作させることをユーザ装置UEに指示するために、起動指示信号をユーザ装置UEに送信する。ここで、起動指示信号を基地局10からユーザ装置UEに送信する場合、以下のように複数の形態が考えられる。
【0044】
[形態その1:ユーザ装置UE単位]
基地局10は、本実施の形態におけるTCP処理を動作させることをユーザ装置UE単位で指示するようにしてもよい。なお、ユーザ装置UE単位で指示するとは、所定のユーザ装置UEに対して、本実施の形態におけるTCP処理を全ての無線ベアラ(DRB及び/又はSRB)で動作させるように指示することを意味する。この場合、起動指示信号は、RRC Connection Reconfiguration信号であってもよいし、所定のMAC CE(Control Element)であってもよい。また、当該RRC信号に含まれるRadioResourceConfigDedicated IE(InformationElement)に、本実施の形態におけるTCP処理を動作させるべきか否かを示すIEを含めるようにしてもよい。なお、基地局10は、ステップS101の処理手順で、ユーザ装置UEが本実施の形態におけるTCP処理を行う処理能力を有するとの通知を受けた場合に、当該起動指示信号を送信するようにしてもよい。
【0045】
ステップS103で、形態その1に係る起動指示信号を受信したユーザ装置UEは、全ての無線ベアラ(DRB及び/又はSRB)におけるPDCPレイヤのTCP処理において、本実施の形態におけるTCP処理を動作させるようにする。
【0046】
[形態その2:無線ベアラ単位]
基地局10は、ユーザ装置UEに対して、本実施の形態におけるTCP処理を動作させる1又は複数の無線ベアラを指示するようにしてもよい。この場合、起動指示信号は、RRC Connection Reconfiguration信号であってもよい。また、当該RRC信号に含まれるRadioResourceConfigDedicated IEにおいて、DRBごとに指定されるPDCP−Configに、本実施の形態におけるTCP処理を動作させるべきか否かを示すIEを含めるようにしてもよいし、SRBごとに本実施の形態におけるTCP処理を動作させるべきか否かを示すIEを含めるようにしてもよい。また、MAC CEに、本実施の形態におけるTCP処理を動作させる無線ベアラを一意に識別するID(例えば、SRB Identity、DRB Identiy)、又は、論理チャネルを一意に識別するLCID(Logical Channel ID)を含めるようにしてもよい。なお、基地局10は、ステップS101の処理手順でユーザ装置UEから通知された処理能力(無線ベアラ数又は論理チャネル数)の範囲内で、本実施の形態におけるTCP処理を動作させる1又は複数の無線ベアラを指示するようにしてもよい。
【0047】
ステップS103で、形態その2に係る起動指示信号を受信したユーザ装置UEは、指定された無線ベアラ(SRB、DRB)におけるPDCPレイヤのTCP処理において、本実施の形態におけるTCP処理を動作させるようにする。
【0048】
[形態その3:TCPセッション単位]
基地局10は、ユーザ装置UEに対して、本実施の形態におけるTCP処理を動作させる1又は複数のTCPセッションを指示するようにしてもよい。この場合、起動指示信号に、1又は複数のTCPセッションの各々を一意に特定する識別子(以下、「TCPセッションID」という)が含まれるようにしてもよい。また、起動指示信号は、RRC Connection Reconfiguration信号であってもよいし、MAC CEであってもよい。TCPセッションIDには、例えば、TCPパケットの送信元IPアドレス及びTCPポート、TCPパケットの送信元のIPアドレス及びTCPポートが含まれていてもよい。また、基地局10は、当該TCPセッションIDを、MME(Mobility Management Entity)から取得するようにしてもよい。
【0049】
なお、基地局10は、ステップS101の処理手順でユーザ装置UEから通知された処理能力(TCPセッション数)の範囲内で、本実施の形態におけるTCP処理を動作させる1又は複数のTCPセッションを指示するようにしてもよい。
【0050】
ステップS103で、形態その3に係る起動指示信号を受信したユーザ装置UEは、PDCPレイヤにおいて指定されたTCPセッションに係るTCP通信を行う際に、本実施の形態におけるTCP処理を動作させるようにする。
【0051】
<処理手順(変形例)>
以上説明した処理手順において、PDCPレイヤは、バッファに複数のACK(SACK)パケットが存在する場合、TCPレイヤから最後に受信したACK(SACK)パケットのみをPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信するようにした。しかしながら、例えばコアネットワークとサーバ間の伝送路が不安定である場合など、当該ACK(SACK)パケットがサーバに到達するまでの間に欠損する可能性が考えられる。ACK(SACK)パケットを受信することができなかったサーバは下りユーザデータの再送等を行うことになり、下りユーザデータの遅延が生じるのみならず、無線リソースが無駄に消費されるといった問題などを引き起こす可能性がある。そこで、本変形例では、PDCPレイヤは、バッファに複数のACK(SACK)パケットが存在する場合、TCPレイヤから最後に受信したACK(SACK)パケットを含む複数のACK(SACK)パケットをPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信する。
【0052】
以下、本実施の形態に係る移動通信システムが行う処理手順(変形例)について説明する。また、これまでに説明した処理手順を、本変形例と区別するために基本例と呼ぶ。基本例で説明したシステム構成及び処理手順について、以下の説明で特に言及しない点については本変形例にも適用される。
【0053】
(各レイヤにおける処理手順について)
TCPレイヤ及びRLCレイヤが行う処理手順は基本例と同一であるため説明は省略する。PDCPレイヤは、RLCレイヤから送信機会通知を受信すると、ACKパケットをPDCP PDU(Protocol Data Unit)に格納してRLCレイヤに送信する。ここで、PDCPレイヤは、バッファに複数のACK(SACK)パケットが存在する場合、TCPレイヤから最後に受信したACK(SACK)パケットを含む複数のACKパケットをPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信する。
【0054】
図5を用いて具体例を説明する。
図5のステップS5及びステップS6は、
図2のステップS1及びステップS2と同一であるため説明は省略する。送信機会通知を受信したPDCPレイヤは、5つのACK(SACK)パケットのうち、最後に受信したACK(SACK)パケット(すなわち、P5のACK(SACK)パケット)を含む複数のACK(SACK)パケットをPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信する(S7)。RLCレイヤは、当該複数のACKパケットを含むPDCP PDUから、RLC PDUを生成してMACレイヤに送信する(S8)。
【0055】
(PDCPレイヤにおける処理手順について)
図6を用いて、ユーザ装置UEのPDCPレイヤで行われる処理手順(変形例)を具体的に説明する。なお、
図6において、ステップS20〜ステップS24までの処理手順は、PDCPレイヤがACK(SACK)パケットを受信する度に繰り返し行われる。ステップS20、ステップS21、ステップS22及びステップS24の処理手順はそれぞれ、
図3のステップS10、ステップS11、ステップS12及びステップS14と同一であるため説明は省略する。
【0056】
ステップS23で、PDCPレイヤは、バッファに蓄積されたACK(SACK)パケットのうち、最後に受信したACK(SACK)パケットを含む複数のACK(SACK)パケットをPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信する。PDCPレイヤは、TCPレイヤから受信した順とは逆の順(
図5の例では、P5、P4、P3、P2、P1の順)に、複数のACKパケット(例えば、P5及びP4のACK(SACK)パケットなど)をPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信するようにしてもよい。また、これに限定されず、バッファに蓄積されたACK(SACK)パケットのうち、任意の複数のACK(SACK)パケットをPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信するようにしてもよい。
【0057】
なお、ステップS23で、PDCPレイヤは、バッファに蓄積されたACK(SACK)パケットのうち、確認応答番号が最も大きいACK(SACK)パケットを含む複数のACK(SACK)パケットをPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信するようにしてもよい。また、PDCPレイヤは、バッファに蓄積されたACK(SACK)パケットのうち、確認応答番号が大きい順に複数のACK(SACK)パケットをPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信するようにしてもよい。
【0058】
(補足事項)
本変形例において、PDCPレイヤがPDCP PDUに格納するACK(SACK)パケットの数(送信すべきACK(SACK)パケットの数)は、標準仕様等で予め定められていてもよいし、基地局10から指示されてもよい。後者の場合、基地局10は、PDCP PDUに格納すべきACK(SACK)パケットの数を、
図4のステップS102の処理手順における起動指示に含めることでユーザ装置UEに指示するようにしてもよいし、報知情報(ブロードキャスト情報)又はRRCシグナリングを用いてユーザ装置UEに指示するようにしてもよい。もし、PDCP PDUに格納すべきACK(SACK)パケットの数が1である場合、ユーザ装置UEは基本例で説明した動作を行うことになる。
【0059】
また、本変形例において、ユーザ装置UEは以下のように動作してもよい。まず、ユーザ装置UEのPDCPレイヤは、基地局10から指示された「PDCP PDUに格納すべきACK(SACK)パケットの数」(又は、「PDCP PDUに格納すべきACK(SACK)パケットの数」に相当するデータサイズ)を、BSRの根拠となるデータサイズを示す"送信可能なデータ(data available for transmission)"としてMACレイヤに通知する。続いて、MACレイヤは、通知された「PDCP PDUに格納すべきACK(SACK)パケットの数」のACK(SACK)パケットを格納可能なバッファサイズのBSR(Buffer Status Report)を基地局10に通知する。なお、基地局10に送信すべき上りリンクのユーザデータが存在する場合、MACレイヤは、当該ユーザデータ及びACK(SACK)パケットを格納可能なバッファサイズのBSRを基地局10に通知するようにしてもよい。続いて、基地局10は、通知されたBSRに相当するUL無線リソースの割当てを行い、割当てた無線リソースを示すULグラントをユーザ装置UEに送信する。ユーザ装置UEのMACレイヤは、ULグラントを受信すると、送信機会通知をRLCレイヤに通知する(
図5のS5)。続いて、RLCレイヤは、送信機会通知をPDCPレイヤに通知する(
図5のS6)。続いて、PDCPレイヤは、最後に受信したACK(SACK)パケットを含む複数のACK(SACK)パケットをPDCP PDUに格納してRLCレイヤに送信する(
図5のS7)。
【0060】
以上、処理手順(変形例)について説明した。処理手順(変形例)によれは、ユーザ装置UEから送信された複数のACK(SACK)パケットのうち一部が欠損した場合であっても、残りのACK(SACK)パケットはサーバに到達することになる。従って、下りユーザデータの送信遅延が生じる可能性を抑制することが可能になるとともに、無線リソースが無駄に消費される可能性を抑制することが可能になる。
【0061】
<基本例及び変形例に関する処理手順の補足事項>
仮に、MACレイヤが、PDCPレイヤのバッファに蓄積されている全てのTCP ACKを格納可能なバッファサイズのBSRを基地局10に通知した場合、基本例及び変形例では1又は複数のTCP ACKのみが基地局10に送信されることから、ULグラントで割当てられた上りリンクの無線リソースが無駄になる可能性がある。このような問題が生じることを防止するために、PDCPレイヤからMACレイヤに通知される、BSRの根拠となるデータサイズを示す"送信可能なデータ(data available for transmission)"を、以下のいずれかとして定義してもよい。
・1個のTCP ACKに対応するデータサイズを、少なくとも"送信可能なデータ(data available for transmission)"とする。
・所定の個数のTCP ACKに対応するデータサイズを、少なくとも"送信可能なデータ(data available for transmission)"とする。なお、所定の個数は、予め標準仕様で定められていてもよいし、報知情報(ブロードキャスト情報)又はRRCシグナリングを用いて基地局10からユーザ装置UEに予め設定されるようにしてもよい。
・PDCPレイヤのバッファに蓄積されているTCP ACKの総数のうち、所定の比率の個数のTCP ACKに対応するデータサイズを、少なくとも"送信可能なデータ(data available for transmission)"とする。なお、所定の比率は、予め標準仕様で定められていてもよいし、報知情報(ブロードキャスト情報)又はRRCシグナリングを用いて基地局10からユーザ装置UEに予め設定されるようにしてもよい。例えば、所定の比率が1/2であり、かつ、PDCPレイヤのバッファに10個のTCP ACKが蓄積されている場合、PDCPレイヤは、5個のTCP ACKに対応するデータサイズを、少なくとも"送信可能なデータ(data available for transmission)"としてMACレイヤに通知する。その後、PDCPレイヤは、基地局10に送信されなかったTCP ACK(PDCPレイヤのバッファに蓄積されたタイミングが古いTCP ACK又はTCP ACK番号が古いTCP ACK)を破棄する。
【0062】
<機能構成>
続いて、以上説明した処理手順を行うユーザ装置UE及び基地局10の機能構成の一例について説明する。なお、ユーザ装置UE及び基地局10は、基本例及び変形例の両方を実行可能であってもよいし、片方のみを実行可能であってもよい。
【0063】
(基地局)
図5は、実施の形態に係る基地局の機能構成の一例を示す図である。
図5に示すように、基地局10は、信号送信部11と、信号受信部12と、能力記憶部13と、指示部14とを有する。なお、
図5は、基地局10において本発明の実施の形態に特に関連する機能部のみを示すものであり、少なくともLTEに準拠した動作を行うための図示しない機能も有するものである。また、
図5に示す機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。
【0064】
信号送信部11は、基地局10から送信されるべき上位のレイヤの信号から、物理レイヤの各種信号を生成し、無線送信する機能を含む。
【0065】
信号受信部12は、ユーザ装置UEから各種の信号を無線受信し、受信した物理レイヤの信号からより上位のレイヤの信号を取得する機能を含む。また、信号受信部12は、ユーザ装置UEから能力情報を受信して能力記憶部13に格納する。
【0066】
能力記憶部13は、信号受信部12で受信した能力情報を、ユーザ装置UEごとにメモリに記憶する。
【0067】
指示部14は、本実施の形態におけるTCP処理を動作させるようにユーザ装置UEに指示する。なお、指示部14は、能力記憶部13に記憶されている能力情報に基づいて、ユーザ装置UEの処理能力の範囲内で、本実施の形態におけるTCP処理を動作させるようにユーザ装置UEに指示するようにしてもよい。また指示部14は、ユーザ装置UE単位で、無線ベアラ単位で、又はTCPセッション単位で、本実施の形態におけるTCP処理を動作させるようにユーザ装置UEに指示するようにしてもよい。
【0068】
また、指示部14は、ユーザ装置UEから送信すべき確認応答信号の数を、ユーザ装置UEに指示する。
【0069】
(ユーザ装置)
図6は、実施の形態に係るユーザ装置の機能構成の一例を示す図である。
図6に示すように、ユーザ装置UEは、信号送信部21と、信号受信部22と、能力通知部23と、MAC処理部24と、RLC処理部25と、PDCP処理部26と、セッション管理プロトコル処理部27とを有する。なお、
図6は、ユーザ装置UEにおいて本発明の実施の形態に特に関連する機能部のみを示すものであり、少なくともLTEに準拠した動作を行うための図示しない機能も有するものである。また、
図6に示す機能構成は一例に過ぎない。本実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。
【0070】
信号送信部21は、ユーザ装置UEから送信されるべき上位のレイヤの信号から、物理レイヤの各種信号を生成し、無線送信する機能を含む。
【0071】
信号受信部22は、基地局10から各種の信号を無線受信し、受信した物理レイヤの信号からより上位のレイヤの信号を取得する機能を含む。
【0072】
能力通知部23は、バッファに格納されている複数の確認応答のうち、最後に受信した確認応答(又は最後に受信した確認応答を含む複数の確認応答)を送信する能力を有することを示す能力情報を基地局10に通知する。
【0073】
MAC処理部24は、MACレイヤに関する各種処理を行う。また、基地局10からULグラントを受信すると、上りリンク信号の送信が可能であることをRLC処理部25に通知するために、RLC処理部25に送信機会通知を送信する。
【0074】
RLC処理部25は、基地局10との間でRLC PDUの送受信を行い、RLCレイヤに関する各種処理を行う。また、MAC処理部24から送信機会通知を受信すると、上りリンク信号の送信が可能であることをPDCP処理部26に通知するために、送信機会通知をPDCP処理部26に送信する。
【0075】
PDCP処理部26は、メモリを用いて実現されるバッファを有する。また、PDCP処理部26は、セッション管理プロトコル処理部27から受信した確認応答(ACKパケット又はSACKパケット)をバッファに格納する。また、PDCP処理部26は、基本例に従って動作する場合、RLC処理部25から送信機会通知が通知された場合に、バッファに格納されている確認応答のうち、最後に受信した確認応答を含むPDCP PDUをRLC処理部25に送信する。また、PDCP処理部26は、変形例に従って動作する場合、RLC処理部25から送信機会通知が通知された場合に、バッファに格納されている確認応答のうち、最後に受信した確認応答を含む複数の確認応答を含むPDCP PDUをRLC処理部25に送信する。
【0076】
また、PDCP処理部26は、基本例及び変形例に従って動作する場合、RLC処理部25から送信機会通知が通知された場合に、バッファに格納されている確認応答のうち、"少なくとも最後に受信した確認応答を含む1以上の確認応答"を含むPDCP PDUをRLC処理部25に送信するようにしてもよい。また、PDCP処理部26は、RLC処理部25から送信機会通知が通知された場合に、バッファに格納されている確認応答のうち、"受信した順とは逆の順に1以上(又は複数)の確認応答"を含むPDCP PDUをRLC処理部25に送信するようにしてもよい。
【0077】
また、PDCP処理部26は、基本例に従って動作する場合、バッファに格納されている確認応答のうち、確認応答番号が最も大きい確認応答を含むPDCP PDUをRLC処理部25に送信するようにしてもよい。また、PDCP処理部26は、変形例に従って動作する場合、RLC処理部25から送信機会通知が通知された場合に、バッファに格納されている確認応答のうち、"確認応答番号が最も大きい確認応答を含む複数の確認応答"を含むPDCP PDUをRLC処理部25に送信するようにしてもよい。
【0078】
また、PDCP処理部26は、基本例及び変形例に従って動作する場合、RLC処理部25から送信機会通知が通知された場合に、バッファに格納されている確認応答のうち、"少なくとも確認応答番号が最も大きい確認応答を含む1以上の確認応答"を含むPDCP PDUをRLC処理部25に送信するようにしてもよい。また、PDCP処理部26は、RLC処理部25から送信機会通知が通知された場合に、バッファに格納されている確認応答のうち、"確認応答番号が大きい順に1以上(又は複数)の確認応答"を含むPDCP PDUをRLC処理部25に送信するようにしてもよい。
【0079】
また、PDCP処理部26は、例えば基地局10からの指示に基づき、当該処理を行うのか否かを切替えるようにしてもよい。また、PDCP処理部26は、例えば基地局10からの指示に基づき、無線ベアラ(DRB)単位又はTCPセッション単位で、当該処理を行うのか否かを切替えるようにしてもよい。また、PDCP処理部26は、基地局10から指示された数の確認応答を、PDCP PDUに含めるようにしてもよい。
【0080】
また、PDCP処理部26は、送信可能なデータとして、所定の個数(1又は複数)の確認応答信号に対応するデータサイズ、又は、前記記憶手段に記憶された確認応答信号の総数のうち所定の比率の個数の確認応答信号に対応するデータサイズを、MACレイヤに通知するようにしてもよい。
【0081】
セッション管理プロトコル処理部27は、例えばTCPパケットの送受信における各種処理(セッション管理等)及びIPパケットの送受信における各種処理を行う。
【0082】
<ハードウェア構成>
上記実施の形態の説明に用いたブロック図(
図7及び
図8)は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0083】
例えば、本発明の一実施の形態における基地局10、ユーザ装置UEなどは、本発明の通信方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図9は、実施の形態に係る基地局及びユーザ装置のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の基地局10及びユーザ装置UEは、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0084】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。基地局10及びユーザ装置UEのハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0085】
基地局10及びユーザ装置UEにおける各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
【0086】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、基地局10の信号送信部11と、信号受信部12と、能力記憶部13と、指示部14と、ユーザ装置UEの信号送信部21と、信号受信部22と、能力通知部23と、MAC処理部24と、RLC処理部25と、PDCP処理部26と、セッション管理プロトコル処理部27とは、プロセッサ1001で実現されてもよい。
【0087】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール又はデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、基地局10の信号送信部11と、信号受信部12と、能力記憶部13と、指示部14と、ユーザ装置UEの信号送信部21と、信号受信部22と、能力通知部23と、MAC処理部24と、RLC処理部25と、PDCP処理部26と、セッション管理プロトコル処理部27とは、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよく、他の機能ブロックについても同様に実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0088】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0089】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0090】
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。例えば、基地局10の信号送信部11、及び、信号受信部12、ユーザ装置UEの信号送信部21、及び、信号受信部22は、通信装置1004で実現されてもよい。
【0091】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0092】
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0093】
また、基地局10及びユーザ装置UEは、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0094】
<まとめ>
以上、説明したように、本実施の形態によれば、基地局とユーザ装置とを有する移動通信システムにおいて、前記基地局と通信するユーザ装置であって、前期基地局に送信される複数の確認応答信号を受信して記憶する記憶手段を有するPDCPレイヤ処理手段と、上りリンク信号の送信が可能であることを示す信号送信許可信号を前記PDCPレイヤ処理手段に送信するRLCレイヤ処理手段と、を有し、前記PDCPレイヤ処理手段は、前記信号送信許可信号を受信した場合、前記記憶手段に記憶される複数の確認応答信号のうち、最後に受信した確認応答信号を含む複数の確認応答信号を前記RLCレイヤ処理手段に送信するユーザ装置が提供される。このユーザ装置UEにより、ユーザ装置と基地局との間で伝送される無線信号のデータ量を削減することが可能な技術が提供される。
【0095】
また、前記PDCPレイヤ処理手段は、前記最後に受信した確認応答信号を含む複数の確認応答信号を前記RLCレイヤ処理手段に送信した後、前記記憶手段に記憶されている複数の確認応答信号を破棄するようにしてもよい。この構成により、ユーザ装置UEのメモリ内に不要な確認応答信号が蓄積されることを防止でき、メモリリソースを効率的に利用することが可能になる。
【0096】
また、前期PDCPレイヤ処理手段は、前記基地局から指示された場合に、前記記憶手段に記憶される複数の確認応答信号のうち、最後に受信した確認応答信号を含む複数の確認応答信号を前記RLCレイヤ処理手段に送信する処理を行うようにしてもよい。この構成により、ユーザ装置UEは、基地局10からの指示に従って、本実施の形態におけるTCP処理を動作させることが可能になる。
【0097】
また、前期PDCPレイヤ処理手段は、前記基地局から指示された無線ベアラ、又は通信セッションに対して、前記記憶手段に記憶される複数の確認応答信号のうち、最後に受信した確認応答信号を含む複数の確認応答信号を前記RLCレイヤ処理手段に送信する処理を行うようにしてもよい。この構成により、ユーザ装置UEは、無線ベアラ単位、又は通信セッション単位に、本実施の形態におけるTCP処理を動作させることができる。また、この構成により、ユーザ装置UE自身の処理能力と、削減される無線信号のデータ量とのバランスとを考慮しつつ、本実施の形態におけるTCP処理を動作させることが可能になる。
【0098】
また、前記PDCPレイヤ処理手段は、最後に受信した確認応答信号を含む複数の確認応答信号として前記基地局から指示された数の確認応答信号を、前記RLCレイヤ処理手段に送信する処理を行うようにしてもよい。この構成により、基地局10は、ユーザ装置UEに対して送信させる確認応答信号の数を任意に指示することができる。
【0099】
また、前記PDCPレイヤ処理手段は、送信可能なデータとして、所定の個数の確認応答信号に対応するデータサイズ、又は、前記記憶手段に記憶された確認応答信号の総数のうち、所定の比率の個数の確認応答信号に対応するデータサイズを、MACレイヤに通知するようにしてもよい。この構成により、上りリンクの無線リソースが無駄になる可能性を抑制することが可能になる。
【0100】
また、前期PDCPレイヤ処理手段が、前記記憶手段に記憶される複数の確認応答信号のうち、最後に受信した確認応答信号を含む複数の確認応答信号を前記RLCレイヤ処理手段に送信する処理を行う処理能力を示す能力情報を前記基地局に通知する通知手段を有するようにしてもよい。この構成により、ユーザ装置UEは、基地局10に対して、自身の処理能力を超えない範囲で、本実施の形態におけるTCP処理を動作させる無線ベアラ数、又は通信セッション数を指示させることが可能になる。
【0101】
また、本実施の形態によれば、基地局とユーザ装置とを有する移動通信システムにおいて、前記ユーザ装置と通信する基地局であって、前記ユーザ装置のPDCPレイヤにおいて、複数の確認応答信号のうち、最後に受信した確認応答信号を含む複数の確認応答信号をRLCレイヤに送信する処理を行う処理能力を示す能力情報を受信する受信手段と、前期能力情報に基づいて、前期ユーザ装置のPDCPレイヤで、前記複数の確認応答信号のうち、最後に受信した確認応答信号を含む複数の確認応答信号をRLCレイヤに送信する処理を行うように前記ユーザ装置に指示する、指示手段と、を有する基地局が提供される。この基地局10により、ユーザ装置と基地局との間で伝送される無線信号のデータ量を削減することが可能な技術が提供される。
【0102】
また、本実施の形態によれば、基地局とユーザ装置とを有する移動通信システムにおいて、前記基地局と通信するユーザ装置が行う通信方法であって、前期基地局に送信される複数の確認応答信号を受信してPDCPレイヤの記憶手段に記憶するステップと、上りリンク信号の送信が可能であることを示す信号送信許可信号をRLCレイヤから前記PDCPレイヤに送信するステップと、前期PDCPレイヤが前記信号送信許可信号を受信した場合、前記記憶手段に記憶される複数の確認応答信号のうち、最後に受信した確認応答信号を含む複数の確認応答信号を前記RLCレイヤに送信するステップと、を有する通信方法が提供される。この通信方法により、ユーザ装置と基地局との間で伝送される無線信号のデータ量を削減することが可能な技術が提供される。
【0103】
また、上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0104】
<実施形態の補足>
以上、本実施の形態は、セッション管理に用いられるプロトコルであれば他のプロトコルに対しても適用することができる。例えば、ユーザ装置UEとサーバとの間で、TCPに代えてQUIC(Quick UDP Internet Connection)を用いた通信が行われる場合においても適用することができる。この場合、例えばセッション管理プロトコル処理部27は、QUICを用いてセッション管理を行う。また、PDCP処理部26は、QUICの確認応答をバッファに格納しておき、RLC処理部25からの送信機会通知が通知された場合に、バッファに蓄積されているQUICの確認応答のうち、最後に受信したQUICの確認応答を含むPDCP PDUをRLC処理部25に送信する。
【0105】
本実施の形態で説明する各装置(ユーザ装置UE/基地局10)の構成は、CPUとメモリを備える当該装置において、プログラムがCPU(プロセッサ)により実行されることで実現される構成であってもよいし、本実施の形態で説明する処理のロジックを備えたハードウェア回路等のハードウェアで実現される構成であってもよいし、プログラムとハードウェアが混在していてもよい。
【0106】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、開示される発明はそのような実施形態に限定されず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。上記の説明における項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。機能ブロック図における機能部又は処理部の境界は必ずしも物理的な部品の境界に対応するとは限らない。複数の機能部の動作が物理的には1つの部品で行われてもよいし、あるいは1つの機能部の動作が物理的には複数の部品により行われてもよい。実施の形態で述べたシーケンス及びフローチャートは、矛盾の無い限り順序を入れ替えてもよい。処理説明の便宜上、ユーザ装置UE及び基地局10は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明の実施の形態に従ってユーザ装置UEが有するプロセッサにより動作するソフトウェア及び本発明の実施の形態に従って基地局10が有するプロセッサにより動作するソフトウェアはそれぞれ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に保存されてもよい。
【0107】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【0108】
情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0109】
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、I報知情報(ブロードキャスト情報)又はRRCシグナリングを用いてユーザ装置UEに指示するようにしてもよい。MT−Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0110】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0111】
本明細書において基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つまたは複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局および/または基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MMEまたはS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)によって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MMEおよびS-GW)であってもよい。
【0112】
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。
【0113】
ユーザ装置UEは、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0114】
基地局10は、当業者によって、NB(NodeB)、eNB(enhanced NodeB)、ベースステーション(Base Station)、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0115】
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
【0116】
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0117】
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0118】
本開示の全体において、例えば、英語でのa, an, 及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0119】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0120】
なお、実施の形態において、PDCP処理部26は、PRCPレイヤ処理手段の一例である。RLC処理部25は、RLCレイヤ処理手段の一例である。バッファは、記憶手段の一例である。送信機会通知は、信号送信許可信号の一例である。能力通知部23は、通知手段の一例である。信号受信部12は、受信手段の一例である。指示部14は、指示手段の一例である。