特許第6844991号(P6844991)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6844991
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】ジッパーを有する伸縮性衣類の製法
(51)【国際特許分類】
   A41H 37/06 20060101AFI20210308BHJP
   A41D 1/06 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   A41H37/06
   A41D1/06 502F
   A41D1/06 501D
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-215493(P2016-215493)
(22)【出願日】2016年11月2日
(65)【公開番号】特開2017-106149(P2017-106149A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2019年9月25日
(31)【優先権主張番号】15193820.6
(32)【優先日】2015年11月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507343327
【氏名又は名称】サンコ テキスタイル イスレットメレリ サン ベ ティク エーエス
【氏名又は名称原語表記】SANKO TEKSTIL ISLETMELERI SAN. VE TIC. A.S.
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】セルカン メルツ
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−037580(JP,A)
【文献】 特開昭63−294804(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0174388(US,A1)
【文献】 特開2000−303298(JP,A)
【文献】 米国特許第03490110(US,A)
【文献】 特開平02−277866(JP,A)
【文献】 特公昭48−031335(JP,B1)
【文献】 特開昭61−203903(JP,A)
【文献】 特開2008−043432(JP,A)
【文献】 特開昭53−017451(JP,A)
【文献】 特開2004−216100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H 37/00−37/10
A41D 1/00− 1/22
A41D 3/00− 3/08
A41D 10/00
A41D 11/00
A41D 13/00−13/12
A41D 15/00−15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離可能な部分及び前記分離可能な部分に縫い付けられた少なくともジッパーを含んでなる衣類を製造する方法であって、
a)弾性的に伸長可能なジッパーを準備する工程、ここで、前記ジッパーは、その初期非伸長状態では、最終の衣類におけるジッパーについて要求される長さL1を有しており、
b)分離可能な部分を有する衣類を準備する工程、ここで、前記衣類は、洗濯されると、初期の長さの少なくとも5%の収縮を受ける生地でなり、生地の洗濯後の収縮は、ジッパーの洗濯後の収縮とは異なり
c)前記ジッパーを伸長させて、初期の非伸長状態の長さL1よりも大きい引っ張られた状態の長さとする工程、
d)前記衣類を収縮させる前に、伸長させて、引っ張られた状態のジッパーを、前記衣類の分離可能な部分に縫い付ける工程、及び
e)前記衣類を洗濯して、前記衣類の生地を収縮させる工程
を含んでなり、前記収縮させる工程の後、前記ジッパーは、実質的に初期非伸長状態にあり、長さL1を有することを特徴とする衣類の製法。
【請求項2】
分離可能な部分は長さL2を有し、ジッパーを、長手方向において、長さL1から長さL2に伸長させる請求項1に記載の製法。
【請求項3】
伸長させて、引っ張られた状態のジッパーを分離可能な部分に縫い付けた後、前記ジッパーへの張力を開放して、弾性ジッパーを初期長さL1に収縮させ、衣類の洗濯、収縮工程の前に、前記衣類は、ジッパーに沿って、波状の外観を呈する請求項1に記載の製法。
【請求項4】
ッパーを、収縮工程前に衣類の分離可能な部分に縫い付けられる前記ジッパーについて要求される長さに相当する伸長された状態で、衣類の分離可能な部分に縫い付ける請求項1に記載の製法。
【請求項5】
伸長された状態のジッパーの長さが、前記ジッパーの非伸長状態の長さL1の少なくとも110%である請求項に記載の製法。
【請求項6】
ジッパーを、少なくとも長手方向に沿って伸長させる請求項に記載の製法。
【請求項7】
ジッパーを、収縮工程の後に閉止する請求項1に記載の製法。
【請求項8】
分離可能な部分及び前記分離可能な部分に縫い付けられた少なくともジッパーを含んでなる衣類であって、前記ジッパーは、その非伸長状態の長さの少なくとも110%に相当する状態に、その長さ方向に弾性的に伸長可能であること、及び前記衣類において、生地に縫い付けられたジッパーの長さ及び分離可能な部分の長さは、ジッパーの引っ張られていない状態の長さに相当するものであることを特徴とする衣類。
【請求項9】
ジッパーが金属製である請求項8に記載の衣類。
【請求項10】
ジッパーが、前記ジッパーの非伸長状態の長さの少なくとも125%に相当する状態に、その長さ方向に弾性的に伸長可能である請求項8に記載の衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織物産業の分野及び衣類の製造に係り、前記衣類はジッパーを備えており、このジッパーは、衣類における分離可能であって、互いに固着される部分に取り付けられている。特に、本発明は、洗濯後に収縮するおそれのある衣類の分離可能な部分に、ジッパーを設けてある衣類を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類用として、各種の生地及びジッパーが、織物産業界において使用されている。
【0003】
衣類用の生地は、伸縮性と、弾性又は剛性を備えていることが必要である。衣類用生地として使用される材料には、植物性織物、動物性織物、合成織物、人造織物及び無機織物が含まれる。
【0004】
衣類を製造する方法には、衣類の生地が洗濯される際に収縮を受けることができるように、生地の類型に応じて、生地を処理することが含まれている。特に、二軸伸長可能な材料の生地は、洗濯後、かなりの量(最大20%)収縮する。ここで使用する用語「二軸伸長可能な材料」とは、特に、デニム衣類に関するもので、横糸及び縦糸方向に沿って伸長し得る伸縮性材料の生地を意味している。
【0005】
ジッパー、ジップファスナー又はクラスプロッカーは、衣類における開口を定める各種の分離可能な部分の縁を結合するために使用される一般的な部材である。分離可能な部分の代表的な例は、衣類における生地のフライ片である。ジッパーは、ジッパーティースとジッパーテープとからなっている。ジッパーティース及びジッパーテープ用には、異なった材料が使用可能である。代表的には、ジッパーティースの材料としては、ナイロンコイル、金属及びプラスチックが含まれ、一方、ジッパーテープの材料としては、ポリエステル、ナイロン及び他の織られた多くの弾性又は非弾性材料が含まれる。
【0006】
ジッパーが衣類の分離可能な部分に固着されている衣類を洗濯すると、ジッパー及びジッパーが固着されている生地は、異なる割合で収縮する。特に、ジッパーテープの材料が、一般的に使用されているポリエステルであると、ジッパーは全く収縮しないか、又は収縮しても非常にわずかである。これに対して、衣類の生地が一軸又は二軸伸長可能な材料である場合には、洗濯後に、収縮する。一般に、衣類の生地及びジッパーテープを洗濯すると、生地及びジッパーは異なる率で収縮し、衣類におけるジッパーが縫い付けられた領域に、「波状の折り返し」が発生する。その結果、望ましくない波状の折り返しは、衣類のデザインを審美的に劣るものにする。
【0007】
非弾性ジッパー(例えば、100%ポリエステルジッパー)は、洗濯後も収縮しないため、このようなジッパーを、洗濯後も収縮しない生地へ適用しても、何ら問題を発生しない。しかし、衣類の生地が、洗濯後、収縮するものである場合には、非弾性又は弾性ジッパーを使用すると、衣類におけるこの部分に、コルゲート状領域を生ずることとなる。
【0008】
実際、ジッパーが、伸長可能な衣類の分離可能な部分に使用されている場合には、衣類の洗濯後、分離可能な部分は収縮するが、非弾性のジッパーは収縮しない。それ故、衣類の分離可能な部分の収縮は、上記した波状に見える折り返しを生じさせることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中国実用新案公告第2513408号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第15177938号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第15161213号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
洗濯後の衣類の収縮という問題(特に、ジッパーが縫い付けられた領域における波状に見える折り返しに関する問題)は、特許文献1にも記載されている。衣類における波状に見える折り返しに伴うジッパーの機能不全は、プルタブを備えているヘッドボディーを有するジッパーによると、タブがジッパーによって引っ張られる時、ジッパーが閉止又は開放位置にスライドされる際に、ジッパーのスクロールを改善するレベリング効果を発揮することによって解消される。
【0011】
しかし、これにより、洗濯後の生地の収縮によるジッパーの機能不全という課題が解決されるとしても、生地及びジッパーテープは、なお、望ましくない波状に見える折り返しを呈する。この問題は、ジッパーの開放状態及び閉止状態のいずれにおいても存在し、ジッパーに基づいて、衣類の外観が不快な波状のものとなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、上述の従来技術の課題を解消し、生地及びジッパーテープが、洗濯後に、波状に見える折り返しをいささかも生じない衣類の製法を提供することにある。このような衣類とは、例えば、ズボン、パンツ、シャツ、ジーンズ、スポーツウエア、パーカー、及び同様の衣類である。
【0013】
適切な生地は、洗浄後の収縮、好ましくは、生地の初期長さの少なくとも5%、さらに好ましくは、少なくとも10%の収縮を受ける生地である。好ましい生地は、本願の出願人に係る特許文献2および3に開示されているような弾性の生地である。
【0014】
本発明の他の目的は、伸長可能な生地、及び少なくとも弾性ジッパーを有するデニム衣類を提供することにある。
【0015】
用語「弾性ジッパー」とは、その機能を喪失することなく、長手方向、すなわち、その長さ方向に沿って伸長しうるジッパーを意味する。弾性ジッパーは、その機能を喪失することなく、その長手方向及び横方向、すなわち、その長さ及び幅方向に伸長できるジッパーであってもよい。
【0016】
第1の具体例によれば、弾性ジッパーは、完全に伸長可能な、すなわち、そのすべての部分(ジッパーティースが設けられる係合部位を含む)が伸長可能なジッパーである。
【0017】
他の具体例によれば、弾性ジッパーは、部分的に伸長可能な、すなわち、その一つ以上の部分で伸長可能なジッパーである。ある具体例では、ジッパーは、非伸長可能な係合部分、及び伸長可能なジッパーテープ部分を有する。2つの部分は異なった材料からなっている。
【0018】
本発明の目的は、請求項1及び関連する従属項に記載の衣類の製法によって、また請求項8及び関連する従属項に示す衣類によって達成される。
【0019】
特に、本発明の弾性衣類の製法は、衣類の洗濯前に、弾性的に伸長可能なジッパーを、衣類の分離可能な部分に、非伸長状態で取り付ける工程を含んでいる。分離可能な部分は、ジッパーによって係合され、かつ取り外される衣類の部分である。公知のように、ジッパーは、閉鎖することによって、分離可能な部分を一体に保持し、開放することによって、分離可能な部分を分離しうるようにして、分離可能な部分に縫い付けられる。衣類における分離可能な部分の例は、ジーンズにおけるフライ片に近接している部分である。
【0020】
本発明によれば、初期状態における弾性のジッパーの長さは、その初期状態における衣類の分離可能な部分の長さよりも短い。さらに詳しくは、ジッパーの初期長さ、すなわち、伸長されていない(又は引き延ばされていない)時のジッパーの長さは、その最終状態における衣類の分離可能な部分を結合できるジッパーについて求められる長さと調和するように選択される(衣類の最終状態とは、収縮、好ましくは、洗濯による収縮後のことである)。ジッパーの長さは、実質的に、分離可能な部分の長さに相当していてもよいが、前記部分が効果的に一緒に保持されれば、短くてもよい。以下の記載では、簡略化のため、ジッパー(非伸長状態)の必要な長さは、洗濯による収縮後の衣類の分離可能な部分の長さであると仮定する。生地が、例えば、洗濯時、初期長さのどの程度の割合で収縮するかは公知であるため、衣類の分離可能な部分の長さはどの程度か、従って、分離可能な部分に縫い付けられるジッパーについて求められる長さがどの程度であるかは、予測可能、すなわち、見積もり可能である。
【0021】
本発明によれば、洗濯後の予測される衣類の収縮を克服するため、すなわち、補うために、衣類を洗濯する前に、ジッパーを、伸長した状態で、衣類の分離可能な部分に縫い付ける。さらに詳しくは、弾性ジッパーを開放し、その本来の状態から、洗濯前の衣類の分離可能な部分の長さに伸長させる。従って、洗濯前では、弾性ジッパーは、その長手方向に沿って伸長された状態にあり、洗濯後では、分離可能な部分を含む衣類の生地は収縮し、従って、衣類の分離可能な部分に固着されたジッパーは収縮する。その結果、ジッパーは非伸長状態に収縮し、衣類の分離可能な部分は洗濯後に収縮し、これによって、ジッパー及び衣類の分離可能な部分は、実質的に同じ長さとなる。このようにして得られたジッパーを備える分離可能な部分は、実質的に平面であり、実質的に平らな外観を有する。上述のように、ジッパーの最終長さは、ジッパーの初期長さと同じ、又はほぼ同じである。
【0022】
本発明によれば、ジッパーは、伸長された状態(元の長さの少なくとも110%に相当する)で、衣類の分離可能な部分に固着される。本発明の好適な一具体例によれば、ジッパーは、元の長さの少なくとも125%に伸長された状態で、衣類の分離可能な部分に固着される。実際に、本発明の模範的な一具体例によれば、二軸伸長可能なデニム生地は、元の値の20%まで収縮させられる。そのため、本来の状態のジッパーは、洗濯前の衣類の分離可能な部分の長さよりも20%短い。この本来の状態から、ジッパーは、初期の値の25%に相当する値、すなわち、洗濯前で、伸長後の衣類の部分の長さ、すなわち、元の長さの125%の伸長状態の長さに達する。可能な一具体例では、xが、衣類における生地の既知の収縮率(十進法で表示)(例えば、20%は0.20として表示される)である場合、ジッパーを伸長させることによって得られる伸びは、式
x/(1−x)
によって算出される。上記の例では、20%収縮する生地の使用について要求されるジッパーの伸びは、0.20/(1−0.20)、すなわち、0.20/0.80であり、0.25倍である。これは、ジッパーは、その初期長さの25%に相当する値に伸長され、従って、その初期長さの125%の長さとなることを意味する。
【0023】
本発明による弾性ジッパーは、ナイロンコイル、プラスチック又は金属製のティース、好ましくは、金属製のティースを有する各種の弾性ジッパーである。弾性ジッパーは、その長さ方向に伸長可能であることが要求される。本発明の範囲は、その長さ及び幅に沿って伸長可能な弾性のジッパーも含んでいる。
【0024】
本発明の他の態様によれば、洗濯後に収縮を受ける各種の生地を含む衣類が対象とされ、デニム衣類の特別な具体例に限定されない。衣類は、衣類の分離可能な部分に縫い付けられる少なくともジッパーを備えており、前記ジッパーは弾性ジッパーである。
【0025】
本発明の他の態様によれば、衣類は、少なくともジッパー並びに洗濯及び洗濯後の収縮を受ける生地を有し、かつ前記衣類は、収縮(通常、洗濯による)前に、ジッパーに対応して波状の外観を呈しているが、洗濯後には、ジッパーに対応して波状の外観を呈しない。
【0026】
本発明の他の態様によれば、衣類は、金属タイプのジッパーを含んでいる。本発明の他の具体例では、プラスチック又はナイロンコイル製のジッパーを含むことがある。
【0027】
本発明の他の態様によれば、衣類は、少なくとも10%伸長可能な(すなわち、ジッパーは、元の長さの少なくとも110%に相当する伸長状態に達する)、好ましくは、25%又はそれ以上伸長可能な(すなわち、ジッパーは、元の長さの少なくとも125%又はそれ以上に相当する伸長状態に達する)弾性ジッパーを含んでいる。実際に、本発明の一具体例によれば、弾性ジッパーは、二軸伸長可能なデニム材料生地の元の状態の20%以下と予測される収縮を受けるため、縫い付け前に25%以下まで伸長させなければならない。
【0028】
本発明の更なる態様及び利点について、非限定的な実施例を示す添付図面を参照して詳述する。
【0029】
図1a〜図1eは、本発明によるジッパーを有する洗濯可能な衣類の製造方法において使用されるジッパー及び衣類の概略図である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1a】本発明による初期非伸長状態における弾性ジッパーを示す図である。
図1b】本発明による長手方向に伸長された状態における弾性ジッパーを示す図である。
図1c】本発明に従って、その開放状態において、衣類の分離可能な部分に縫い付けられた弾性ジッパーを示す図である。
図1d】本発明に従って、既に衣類の分離可能な部分に縫い付けられた弾性ジッパーへの張力を解放した後で、かつジッパーが閉止された後の衣類を示す図である。
図1e】本発明による洗濯後の衣類(衣類の分離可能な部分に固着された弾性ジッパーを含んでいる)の製品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1a〜図1eは、本発明による、弾性ジッパー1を有するウオッシャブルの衣類3を製造する方法における連続する工程を略示する図である。衣類3は、洗浄後、ジッパー1及び衣類の分離可能な部分2a, 2bに対応する衣類の領域において、波状の折り返しを示さない。
【0032】
図1a〜図1eに示す弾性ジッパー1は、金属製歯5及びその長手方向に沿って、すなわち、その長さに沿って伸長可能な弾性テープ4を有するタイプのジッパーである。本発明の他の具体例では、プラスティックティース又はナイロンコイル及びその長手及び横方向に沿って、すなわち、その長さ方向及び幅方向に沿って伸長可能な弾性テープを含んでなるタイプの弾性ジッパーも含んでいる。
【0033】
図1aは、本発明による初期非伸長状態における弾性ジッパーを示す。本発明によれば、図1bに示すように、衣類に縫い付けられる前に、長手方向に伸長されるため、初期非伸長状態の弾性ジッパー1は、長手方向において、ジッパーが縫い付けられる衣類の分離可能な部分2a, 2bよりも短い。特に、弾性ジッパー1の初期長さをL1、及び衣類の分離可能な部分2a, 2bの長さをL2であるとすれば、L1はL2よりも短い。換言すれば、弾性ジッパー1は、その長さ方向に、長さL1から長さL2に伸長される。
【0034】
本発明によれば、弾性ジッパーの長さL1は、洗濯及び収縮を受けた後、衣類の分離可能な部分2a, 2bの予測される長さに相当する。
【0035】
本発明に模範的な一具体例によれば、弾性ジッパー1は、二軸伸長可能なデニム衣類の生地(かなりの収縮を受ける代表的な生地と考えられる)の洗濯による収縮は、20%以下と予測されるため、ジッパーが縫い付けられる衣類の分離可能な部分2a, 2bの長さよりも20%短い。
【0036】
図1bにおいて、弾性ジッパー1は、ジッパーが縫い付けられる衣類の分離可能な部分2a, 2bに対応する長さL2に達するまで、長手方向に伸長される。弾性ジッパー1は、弾性のジッパーテープが、ジッパーティース5の束縛なく、伸長されるようににしなければならないため、その開放状態において伸長される。弾性ジッパーに作用する張力を、図1b〜図1cにおいて、矢印6で示す。
【0037】
弾性ジッパー1を伸長させると、ジッパーは、伸長状態(長さL2に対応する)を維持し、その間に、衣類の分離可能な部分2a, 2bに縫い付けられる。図1cは、本発明に従って、その開放状態において、衣類の分離可能な部分2a, 2bに縫い付けられた弾性ジッパー1を示す。弾性ジッパー1が衣類に縫い付けられる間は、衣類の分離可能な部分2a, 2bは引っ張られていない。換言すれば、弾性ジッパー1は、縫い付け操作の間だけ引っ張られ、縫い付け操作間のジッパーの長さが、衣類が収縮する前の衣類3の分離可能な部分2a, 2bの長さに相当するように、引っ張られた状態に維持される。
【0038】
図1dは、既に衣類の分離可能な部分2a, 2bに縫い付けられた弾性ジッパー1への張力6を解放した後で、かつジッパーが閉止された後の衣類3を示す。張力6がジッパー1にかけられていないため、その長手方向に沿った弾性テープ4の弾性収縮のため、ジッパーは収縮する。弾性ジッパーの収縮は、ジッパーが縫い付けられた衣類3の領域の波状に見える折り返しを引き起こす。波(すなわち、衣類の凹凸)は、生地の平面に対して縦の方向で生ずる。
【0039】
この時点で、波状に見えるコルゲート状態の衣類3(弾性ジッパー1及び衣類の分離可能な部分2a, 2bを含んでいる)を、本発明に従って洗濯する。
【0040】
洗濯後、衣類3の生地は収縮を受け、衣類の分離可能な部分2a, 2bは、その長さが、洗濯前のL2から洗濯後のL1に減少する。本発明の模範的な具体例によれば、二軸伸長可能なデニム生地は、その初期状態の約20%の収縮を受ける。弾性ジッパーは、洗濯による収縮によっては影響を受けないが、弾性であるため、ジッパーは、当然に、初期非伸長状態に戻る。換言すれば、長さL2に伸長された弾性ジッパーは、その初期非伸長状態の長さL1に戻る。本発明によれば、衣類の分離可能な部分2a, 2b及び弾性ジッパー1は、洗濯後、波状に見える折り返しを示すことなく、同じ長さL1である。
【0041】
本発明による衣類3を製造する方法は、下記の工程を含んでいる。
(a)開放状態の弾性ジッパー1を、洗濯後に収縮を受ける衣類3の分離可能な部分2a, 2bの予測される長さに相当する長さL1から、洗濯前の衣類3の分離可能な部分2a, 2bの長さに相当する長さL2に、長手方向に伸長させる。
(b)弾性ジッパー1を、衣類3の分離可能な部分2a, 2bに縫い付ける。ここで、弾性ジッパー1は、伸長され及び開放された状態にあり、衣類の分離可能な部分2a, 2bは、縫い付けの間、伸長されていない。伸長された弾性ジッパー1及び衣類の分離可能な部分2a, 2bの両方は、長さL2である。
(c)衣類の分離可能な部分2a, 2bに縫い付けられた弾性ジッパー1を含んでなる衣類を洗濯する。衣類3を洗濯する前では、弾性ジッパー1に対応する衣類の領域は、分離可能な部分2a, 2bに縫い付けられると、ジッパー1を開放した後の弾性ジッパー1の収縮のため、波状に見える折り返しを示す。衣類3を洗濯した後では、弾性ジッパー1に対応する衣類の領域は、衣類3の生地が洗濯の間に収縮を受けるため、波状に見える折り返しを示さない。洗濯後の衣類3の弾性ジッパー1及び衣類の分離可能な部分2a, 2bは、同じ長さL1である。
【0042】
図1eは、本発明による洗濯後の衣類3(衣類の分離可能な部分2a, 2bに固着された弾性ジッパー1を含んでいる)の製品を示す。衣類3の生地は、洗濯を必要とし、洗濯後に収縮を受けるタイプのものである。最終状態の衣類3は、弾性ジッパー1に対応する部分に波状に見える折り返しを示さないが、洗濯前では、波状に見える折り返しを示す。洗濯前の波状に見える折り返しは、ジッパーを縫い付け、張力を開放した後の弾性ジッパー1の収縮によって生じる。
【0043】
洗濯後の衣類3の弾性ジッパー1及び分離可能な部分は2a, 2bは引っ張られていないため、それらは平らであり、実質的に同じ長さL1を有する。
【符号の説明】
【0044】
1 弾性ジッパー
2a, 2b 衣類の分離可能な部分
3 衣類
4 弾性テープ
5 歯
6 張力
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e