特許第6845052号(P6845052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845052
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20210308BHJP
   H01M 50/10 20210101ALN20210308BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20210308BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALN20210308BHJP
【FI】
   H01M10/04 W
   !H01M2/02 K
   !H01M10/052
   !H01M10/0587
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-50017(P2017-50017)
(22)【出願日】2017年3月15日
(65)【公開番号】特開2018-156727(P2018-156727A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセルホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(72)【発明者】
【氏名】中間 崇彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 真由美
(72)【発明者】
【氏名】辻 祥子
【審査官】 前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−164956(JP,A)
【文献】 特開2010−020956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00−10/39
H01M50/10−50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータを、厚み方向に重ねた状態で巻回することにより、巻回軸方向に延びる筒状電極体を得る巻回工程と、
前記筒状電極体の側面に対して所定の力を加えることにより、扁平状の電極体を成形する扁平成形工程と、
前記電極体に対して巻回方向とは逆方向に緩む力を付与することにより、前記電極体の最外周側を緩ませる緩み加工工程と、
を有し、
前記緩み加工工程は、前記扁平成形工程と同時、または前記扁平成形工程の後に行われることにより、前記電極体の最外周側のみを緩ませる、二次電池の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池の製造方法において、
前記緩み加工による前記電極体の最外周側の緩みを、前記電極体の最外周側に設けられた被検出部の移動量によって検出する緩み検出工程をさらに有する、
、二次電池の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の二次電池の製造方法において、
前記被検出部は、前記電極体の巻き終わり端部を固定するための巻止めテープである、
二次電池の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の二次電池の製造方法において、
前記被検出部は、前記正極または前記負極における集電体露出部のうち、前記電極体の最外周側に位置する部分に、前記巻回軸方向において前記集電体露出部の外方に突出するように設けられたフィルム部材である、二次電池の製造方法。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一つに記載の二次電池の製造方法において、
前記緩み加工工程は、前記緩み検出工程における前記被検出部の移動量に応じて、前記電極体の緩み量を制御する、二次電池の製造方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の二次電池の製造方法において、
前記巻回工程では、前記正極に接続された正極接続端子及び前記負極に接続された負極接続端子が前記筒状電極体の内周側から前記巻回軸方向外方に向かって突出するように、前記正極、前記負極及び前記セパレータを巻回する、二次電池の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一つに記載の二次電池の製造方法において、
前記扁平成形工程及び前記緩み加工工程後の前記電極体を、ラミネートフィルム外装体によって覆う外装形成工程をさらに有する、二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータを重ね合わせた状態で巻回してなる電極体を備えた二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータを重ね合わせた状態で巻回してなる電極体を備えた二次電池では、充放電による前記正極及び前記負極の膨張率の違いによって、前記電極体の内部でたわみが生じることが知られている。二次電池の電極体の内部に、このようなたわみが生じた場合、該たわみによって電池の厚みが増大するとともに、前記たわみによって電池特性が低下する可能性がある。
【0003】
これに対し、二次電池の充放電による電極体内部でのたわみ発生を抑制可能な二次電池の製造方法が知られている。このような二次電池の製造方法として、例えば特許文献1には、電極体を巻回方向と同一方向に回転させることにより、電極板の巻き取り状態を僅かに緩める方法が開示されている。
【0004】
詳しくは、前記特許文献1に開示されている扁平渦巻電極体を備えた二次電池の製造方法では、まず、巻芯を用いて正極板と負極板と両電極体間に介在するセパレータとを巻回して、略円筒型の電極体を作製する。その後、前記電極体を巻回方向と同一方向に回転させて巻き取り状態を緩めた後、前記電極体をプレスして扁平渦巻電極体を得る。
【0005】
これにより、前記電極体の全体で電極板の巻き取り状態を僅かに緩めることができる。しかも、前記電極板の巻き取り状態を緩めた後に、前記電極体をプレスして扁平状に形成することにより、そのコーナー部近傍に緩みが移動する。よって、前記電極板が膨張した場合に、前記電極板が前記緩みを埋める方向に変形するため、前記電極体のたわみの発生を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−164956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記特許文献1に開示されているように、電極体を巻回方向と同一方向に回転させた場合、前記電極体の全体で電極板(正極、負極)の巻き取り状態が緩められる。そうすると、得られる電極体は、緩める前の巻回状態の電極体に比べて大型化する。しかも、上述のように電極体の巻回を緩めることによって、前記電極体に取り付けられているタブ(正極接続端子、負極接続端子)の位置が変わる可能性がある。なお、電池の外部の機器や配線等との接続の関係により、電極体に取り付けられる正極接続端子及び負極接続端子は、前記電極体の所定位置に位置付けられることが好ましい。
【0008】
本発明の目的は、それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータを重ね合わせた状態で巻回してなる電極体を有する二次電池において、二次電池の充放電時における前記電極体の内部のたわみの発生を抑制しつつ、前記電極体の大型化を抑制し且つ前記電極体に取り付けられている正極接続端子及び負極接続端子を精度良く位置決め可能な製造方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、二次電池の充放電によって電極体の内部でたわみが生じるメカニズムについて詳細に検討した。その結果、前記電極体の曲げ部において、内周側よりも最外周側が、前記電極体の内部に生じるたわみに大きく影響していることが分かった。すなわち、前記電極体の最外周側によって、前記電極体の変形が大きく制限されるため、二次電池の充放電によって正極及び負極が変形を生じた場合に、前記電極体の内部にたわみが生じることに気が付いた。
【0010】
また、本発明者らは、電極体の最外周側のみを緩ませることにより、前記電極体の大型化を抑制しつつ、前記電極体に取り付けられた正極接続端子及び負極接続端子の位置ずれを抑制できることにも気付いた。
【0011】
これらの点を踏まえ、本発明者らは、電極体の最外周側のみを緩ませることができる二次電池の製造方法を鋭意検討し、以下の方法を見出した。
【0012】
本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法は、それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータを、厚み方向に重ねた状態で巻回することにより、巻回軸方向に延びる筒状電極体を得る巻回工程と、前記筒状電極体の側面(幅広面)に対して所定の力を加えることにより、扁平状の電極体を成形する扁平成形工程と、前記電極体に対して巻回方向とは逆方向に緩む力を付与することにより、前記電極体の最外周側を緩ませる緩み加工工程と、を有する。前記緩み加工工程は、前記扁平成形工程と同時、または前記扁平成形工程の後に行われる(第1の方法)。
【0013】
上述のように、電極体に対して巻回方向とは逆方向の力を付与することにより、前記電極体の内周側を緩ませることなく、最外周側のみを緩ませることができる。
【0014】
しかも、前記電極体の最外周側を緩ませる緩み加工工程を、扁平状の電極体を成形する扁平成形工程と同時、または、前記扁平成形工程の後に行うことにより、前記電極体の全体で緩みが生じることをより抑制できる。
【0015】
すなわち、前記扁平成形工程では、前記電極体の内部で正極及び負極の曲げ加工が行われる。しかしながら、前記電極体の最外周側では、内周側に比べて前記正極及び前記負極の曲げ変形量が小さいため、前記緩み加工工程によって、前記最外周側のみを緩ませることができる。よって、上述のように前記扁平成形工程と同時またはその後に前記緩み加工工程を行うことにより、前記電極体の内部での変位を抑制しつつ、前記電極体の最外周側のみを緩めることが可能になる。これにより、前記電極体の大型化を抑制できるとともに、前記電極体に取り付けられている正極接続端子及び負極接続端子が大きく移動することを防止できる。
【0016】
したがって、上述の方法によって、二次電池の充放電時における電極体の内部のたわみの発生を抑制しつつ、前記電極体の大型化を抑制し且つ前記電極体に取り付けられている正極接続端子及び負極接続端子を精度良く位置決めすることができる。
【0017】
ここで、電極体の最外周側とは、二次電池の充放電時に前記電極体の内部にたわみを生じさせる電極体の外周側部分を意味する。前記最外周側は、例えば、正極、負極及びセパレータのうち、前記電極体の最外周層及び該最外周層から2層目に位置する正極、負極及びセパレータを含む。
【0018】
前記第1の方法において、二次電池の製造方法は、前記緩み加工による前記電極体の最外周側の緩みを、前記電極体の最外周側に設けられた被検出部の移動量によって検出する緩み検出工程をさらに有する(第2の方法)。
【0019】
これにより、前記緩み加工による前記電極体の最外周側の緩みを、前記被検出部の移動量によって検出できる。よって、前記緩み加工を行った電極体であるかどうかを、前記緩み検出工程で容易に検出することができる。したがって、電極体の内部におけるたわみの発生が抑制された二次電池を、効率良く製造することができる。
【0020】
前記第2の方法において、前記被検出部は、前記電極体の巻き終わり端部を固定するための巻止めテープである(第3の方法)。これにより、電極体に新たな部品を追加することなく、前記緩み加工を行った電極体かどうかを容易に検出することができる。したがって、電極体の内部のたわみの発生が抑制された二次電池を、低コストで且つ容易に製造することができる。
【0021】
前記第2の方法において、前記被検出部は、前記正極または前記負極における集電体露出部のうち、前記電極体の最外周側に位置する部分に、前記巻回軸方向において前記集電体露出部の外方に突出するように設けられたフィルム部材である(第4の方法)。
【0022】
例えば、正極を製造する場合、帯状の正極集電体上の一部に所定間隔で正極活物質層を形成した後、露出部に接続端子が取り付けられる。前記接続端子の一部及び前記露出部の一部は、該露出部の幅方向(電極体における巻回軸方向)外方に突出する被覆フィルムによって覆われる。その後、前記露出部を前記被覆フィルムとともに長手方向の所定位置で切断することにより、正極を得る。なお、前記露出部は、切断されることにより、2つの集電体露出部に分離される。
【0023】
上述のような正極の製造方法では、帯状の部材を切断して正極を得るため、切断後に前記被覆フィルムの一部(フィルム部材)が付着した集電体露出部が、他の二次電池の正極の一部として利用される。前記他の二次電池では、前記集電体露出部が、電極体の最外周側に位置付けられる。よって、前記電極体では、前記フィルム部材が、前記電極体の最外周側で、巻回軸方向において、正極から集電体露出部の外方に突出する。
【0024】
前記巻回軸方向において前記集電体露出部の外方に突出した前記フィルム部材を、前記検出工程において前記電極体の最外周側の緩みを検出する被検出部として利用することにより、前記電極体に新たな部材を設けることなく、前記緩み加工を行った電極体かどうかを容易に検出することができる。したがって、電極体の内部のたわみの発生が抑制された二次電池を、低コストで且つ容易に製造することができる。
【0025】
前記第2から第4の方法のうちいずれか一つの方法において、前記緩み加工工程は、前記緩み検出工程における前記被検出部の移動量に応じて、前記電極体の緩み量を制御する(第5の方法)。
【0026】
これにより、前記緩み加工工程における前記電極体の緩み量を、精度良く調整できる。よって、各二次電池における電極体の緩み量のばらつきを抑制できる。したがって、二次電池の品質向上を図れる。
【0027】
前記第1から第5の方法のうちいずれか一つの方法において、前記巻回工程では、前記正極に接続された正極接続端子及び前記負極に接続された負極接続端子が前記筒状電極体の内周側から前記巻回軸外方に向かって突出するように、前記正極、前記負極及び前記セパレータを巻回する(第6の方法)。
【0028】
これにより、前記正極接続端子及び前記負極接続端子は、前記電極体の内周側に位置する。よって、上述の第1の方法によって、前記電極体の最外周側を緩めた場合でも、前記正極接続端子及び前記負極接続端子の位置が変わることを抑制できる。したがって、前記正極接続端子及び前記負極接続端子を精度良く位置決めすることができる。
【0029】
前記第1から第6の方法のうちいずれか一つの方法において、二次電池の製造方法は、前記扁平成形工程及び前記緩み加工工程後の前記電極体を、ラミネートフィルム外装体によって覆う外装形成工程をさらに有する(第7の方法)。
【0030】
このように、電極体がラミネートフィルム外装体によって覆われる、いわゆるラミネート形電池では、充放電時の電極体の変形の影響を受けやすい。よって、このラミネート形電池において、上述の第1の方法によって前記電極体の最外周側を緩めることにより、前記電極体の変形を抑制できる。これにより、ラミネート形電池1の変形を抑制できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一実施形態に係る二次電池の製造方法によれば、電極体に対して巻回方向とは逆方向に緩む力を付与することにより、前記電極体の最外周側を緩ませる緩み加工工程を、扁平状の電極体を形成する扁平成形工程と同時、または前記扁平成形工程の後に行う。これにより、前記電極体の最外周側のみを緩ませることができる。したがって、前記電極体の内部のたわみの発生を抑制しつつ、前記電極体の大型化を抑制し且つ前記電極体における正極接続端子及び負極接続端子の位置決め精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、実施形態に係るラミネート形電池の概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1のII−II線断面図である。
図3図3は、電極体の概略構成を示す斜視図である。
図4図4は、正極、負極及びセパレータを厚み方向に重ねた状態を模式的に示す図である。
図5図5は、正極、負極及びセパレータを厚み方向に重ねた状態で巻回する様子を模式的に示す図である。
図6図6は、筒状電極体を押圧装置によって押しつぶす様子を模式的に示す図である。
図7図7は、筒状電極体を押圧装置によって押しつぶすことによって電極体を得る様子を模式的に示す図である。
図8図8は、金属箔上の隣り合う正極活物質層の間に位置する露出部に、正極接続端子及び被覆フィルムが設けられた状態を示す図である。
図9図9は、筒状電極体の巻止めテープの位置に応じて押圧装置を駆動させる構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0034】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るラミネート形電池1(二次電池)の概略構成を示す斜視図である。図2は、ラミネート形電池1の概略構成を示す断面図である。このラミネート形電池1は、発電体として機能する電極体10がラミネートフィルム外装体20によって覆われた平面視で長方形状の二次電池である。なお、図2では、電極体10の一部の図示を省略している。
【0035】
図1及び図2に示すように、ラミネート形電池1は、電極体10と、該電極体10を覆うラミネートフィルム外装体20とを備える。また、ラミネート形電池1は、電極体10の正極11及び負極12にそれぞれ電気的に接続される正極接続端子41及び負極接続端子42を備える。なお、ラミネート形電池1の内部には、非水電解液も封入されている。
【0036】
ラミネートフィルム外装体20は、アルミニウム製の金属箔の一面側がナイロンで覆われ、且つ、他面側がポリプロピレンで覆われた材料からなる。すなわち、ラミネートフィルム外装体20は、アルミニウムをナイロン及びポリプロピレンでラミネートした材料からなる。これにより、ラミネートフィルム外装体20は、ラミネートフィルム外装体20同士を重ね合わせた状態で加熱しながら圧力を加えることによって、溶着される。なお、金属箔は、アルミニウムに限らず、ステンレス等の他の金属材料によって形成されていてもよい。
【0037】
また、ラミネートフィルム外装体20は、略長方形状に形成されている。一対のラミネートフィルム外装体20によって電極体10を挟んだ状態で、該ラミネートフィルム外装体20の外周側同士を溶着することにより、図1及び図2に示すような膨出部1a及びシール部1bが形成される。すなわち、ラミネートフィルム外装体20が電極体10を覆うことにより膨出部1aが形成され、膨出部1aの周囲でラミネートフィルム外装体20同士を溶着することにより膨出部1aを囲むようにシール部1bが形成される。
【0038】
本実施形態では、電極体10は、円筒状の筒状電極体60を扁平状につぶすことによって形成された扁平電極体である。すなわち、電極体10は、側面視で長方形状である。そのため、図1に示すように、膨出部1aは、ラミネートフィルム外装体20の平面視(以下、単に平面視ともいう)で、長方形状である。シール部1bは、平面視で、ラミネート形電池1が長方形状になるように、膨出部1aの周りに形成されている。
【0039】
また、一対のラミネートフィルム外装体20は、図2に示すように、ラミネート形電池1が、電極体10の厚み方向の一方側に平面部1cを有するとともに、電極体10の厚み方向の他方側に上述の膨出部1aを有するように、電極体10を挟んだ状態でラミネートフィルム外装体20の外周側同士が溶着されている。すなわち、一対のラミネートフィルム外装体20のうち、一方のラミネートフィルム外装体20が電極体10の外形に沿うように配置される。
【0040】
シール部1bのうち、ラミネート形電池1の長手方向の端部側に位置する部分では、後述する正極接続端子41及び負極接続端子42が、一対のラミネートフィルム外装体20に挟み込まれた状態で、ラミネートフィルム外装体20同士が溶着されることにより固定されている。
【0041】
なお、本実施形態では、一対のラミネートフィルム外装体20の外周側同士が溶着されているが、この限りではなく、1枚のラミネートフィルム外装体が、電極体10を挟み込むように折り返されて溶着されてもよい。ラミネートフィルム外装体を折り返す方向については、電極体10に対する正極接続端子41及び負極接続端子42の延伸方向であってもよいし、幅方向であってもよい。
【0042】
(電極体)
以下の説明において、電極体10の巻回軸方向とは、図3に示す軸線Lに沿った方向を意味する。また、電極体10の短径方向とは、電極体10を前記巻回軸方向から見て、電極体10の径が最も小さい方向を意味する。電極体10の長径方向とは、電極体10を前記巻回軸方向から見て、電極体10の径が最も大きい方向を意味する。
【0043】
電極体10は、図3に示すように、巻回軸方向から見て楕円に形成された扁平状の巻回電極体である。電極体10は、それぞれ帯状に形成された正極11及び負極12を、両者の間及び該正極11の下側にセパレータ13がそれぞれ位置するように重ね合わせた状態で巻回した後、押しつぶされることによって、扁平状に形成される。扁平状の電極体10は、ラミネートフィルム外装体20によって形成された空間内に収容される。
【0044】
電極体10を形成する様子を、図4から図7に模式的に示す。図4に示すように、正極11、負極12及びセパレータ13は、上から、負極12、セパレータ13、正極11及びセパレータ13の順番で厚み方向に積層されている。この状態で、図4における白抜き矢印の方向に正極11、負極12およびセパレータ13を図示しない巻芯によって巻回することにより(図5参照)、略円筒状の筒状電極体60が得られる。よって、本実施形態の電極体10の最外周は、セパレータ13である。
【0045】
なお、図4では、正極11、負極12及びセパレータ13を重ね合わせた状態を図示するために、正極11、負極12及びセパレータ13の位置を実際の配置から移動させて斜視で示している。また、図4では、正極11、負極12及びセパレータ13を区別するために、断面ではないが、正極11の正極活物質層11b及び負極12の負極活物質層12bにハッチングを付している。
【0046】
上述のように筒状電極体60を得た後、図6及び図7に示すように、筒状電極体60を径方向に押しつぶすことにより、図3に示すような扁平状の電極体10が得られる。詳しくは後述するが、筒状電極体60を径方向に押しつぶして扁平状に形成する際に、筒状電極体60に対して巻回方向とは逆方向に緩む力を与えることにより、筒状電極体60の最外周側に位置する正極11、負極12及びセパレータ13を緩ませる。これにより、扁平状の電極体10は、最外周側に、長径方向の隙間を有する。
【0047】
電極体10の内部に前記隙間がない場合、ラミネート形電池1の充放電の際に、正極11及び負極12の膨張率の差によって、電極体10の内部でたわみが生じる。すなわち、電極体10の最外周側によって、電極体10の変形が制限される。よって、ラミネート形電池1の充放電によって正極11及び負極12が膨張した場合に、それらの膨張率の差によって、電極体10の内部にたわみが生じる。
【0048】
これに対し、上述のように電極体10の最外周側に前記隙間を設けることにより、ラミネート形電池1の充放電の際に、正極11及び負極12の膨張率の差による電極体10の内部の変形を前記隙間によって吸収することができる。したがって、ラミネート形電池1の充放電の際に電極体10の内部にたわみが生じることを抑制できる。
【0049】
なお、前記最外周側に位置する正極11、負極12及びセパレータ13は、電極体10の正極11、負極12及びセパレータ13のうち、最外周層及び最外周層から2層目に位置する正極11、負極12及びセパレータ13を意味する。また、電極体10の最外周側とは、ラミネート形電池1の充放電時に電極体10の内部にたわみを生じさせる電極体10の外周側部分を意味する。
【0050】
また、前記巻回方向は、電極体10を巻回軸方向の一方の端部から見て、巻き始め側から巻き終わり側に延びる方向を意味する。前記巻回方向は、前記巻芯によって正極11、負極12及びセパレータ13を巻回する際の前記巻芯の回転方向と一致する。図6に示す例では、前記巻回方向は、時計方向である。
【0051】
図3に示すように、上述のように扁平状に形成された電極体10は、正極11、負極12及びセパレータ13が厚み方向に折り返されるように曲げられた一対の曲げ部10aを有する。一対の曲げ部10aは、電極体10を側方から見て、幅方向の端部に位置する。
【0052】
また、電極体10の正極11、負極12及びセパレータ13の巻き終わり端部は、巻止めテープ50(被検出部)によって固定されている。巻止めテープ50は、電極体10の軸線方向において、電極体10と同等の長さを有する。これにより、電極体10の巻き終わり端部を、巻止めテープ50によってより確実に固定することができる。巻止めテープ50は、例えば、PP(ポリプロピレン)等によって構成されている。
【0053】
本実施形態では、後述するように、巻止めテープ50は、電極体10の最外周側に位置する正極11、負極12及びセパレータ13の緩みの有無を検出するために利用される。
【0054】
正極11は、アルミニウム等の金属箔製の正極集電体11aと、正極活物質を含有し、正極集電体11aの両面にそれぞれ設けられた正極活物質層11bとを有する。詳しくは、正極11は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム含有酸化物である正極活物質、導電助剤及びバインダなどを含む正極合剤を、アルミニウム箔などからなる正極集電体上に塗布して乾燥させることによって形成される。正極活物質であるリチウム含有酸化物としては、例えば、LiCoOなどのリチウムコバルト酸化物やLiMnなどのリチウムマンガン酸化物、LiNiOなどのリチウムニッケル酸化物等のリチウム複合酸化物を用いるのが好ましい。なお、正極活物質として、1種類の物質のみを用いてもよいし、2種類以上の物質を用いてもよい。また、正極活物質は、上述の物質に限られない。
【0055】
図4に示すように、正極11は、正極集電体11aの長手方向両端部に、両面に正極活物質層11bが設けられていない正極集電体露出部11c,11dを有する。すなわち、正極集電体露出部11cは、正極11の長手方向の一方側に位置し、正極集電体露出部11dは、正極1の長手方向の他方側に位置する。本実施形態の電極体10において、正極集電体露出部11cは、電極体10の巻き始め側(電極体10の内側)に位置し、正極集電体露出部11dは、電極体10の巻き終わり側(電極体10の最外周側)に位置する。
【0056】
負極12は、銅等の金属箔製の負極集電体12aと、負極活物質を含有し、負極集電体12aの両面にそれぞれ設けられた負極活物質層12bとを有する。詳しくは、負極12は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質、導電助剤及びバインダなどを含む負極合剤を、銅箔などからなる負極集電体上に塗布して乾燥させることによって形成される。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料(黒鉛類、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類など)を用いるのが好ましい。負極活物質は、上述の物質に限られない。
【0057】
図4に示すように、負極12も、正極11と同様、負極集電体12aの長手方向両端部に、両面に負極活物質層12bが設けられていない負極集電体露出部12c,12dを有する。すなわち、負極集電体露出部12cは、負極12の長手方向の一方側に位置し、負極集電体露出部12dは、負極12の長手方向の他方側に位置する。本実施形態の電極体10において、負極集電体露出部12cは、電極体10の巻き始め側(電極体10の内側)に位置し、負極集電体露出部12dは、電極体10の巻き終わり側(電極体10の最外周側)に位置する。
【0058】
正極11において電極体10の巻き始め側に位置する正極集電体露出部11cには、正極接続端子41が接続されている。負極12において電極体10の巻き始め側に位置する負極集電体露出部12cには、負極接続端子42が接続されている。正極接続端子41及び負極接続端子42は、電極体10の外部に引き出されているとともに、ラミネートフィルム外装体20の外部に引き出されている。
【0059】
正極接続端子41は、平面視で長方形状に形成されたアルミニウムの金属箔によって構成されている。正極接続端子41は、長手方向の一方側が正極11の正極集電体露出部11cに溶接によって接続されていて、長手方向の他方側がラミネートフィルム外装体20の外方に位置している(図1参照)。すなわち、正極接続端子41は、ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれていて、ラミネートフィルム外装体20の内方から外方に向かって延びている。
【0060】
負極接続端子42は、平面視で長方形状に形成された銅やニッケル等の金属箔によって構成されている。図2に示すように、負極接続端子42は、長手方向の一方側が負極集電体露出部12cに溶接によって接続されていて、長手方向の他方側がラミネートフィルム外装体20の外方に位置している。すなわち、負極接続端子42は、ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれていて、ラミネートフィルム外装体20の内方から外方に向かって延びている。
【0061】
ラミネート形電池1に上述のような構成を有する正極接続端子41及び負極接続端子42を用いることにより、他の接続部品を介して外部に接続端子を引き出す構成に比べて、インピーダンスを小さくすることができる。
【0062】
なお、図1及び図2に示すように、正極接続端子41及び負極接続端子42の表面上には、それぞれ、ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれる部分に、正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46が形成されている。すなわち、ラミネートフィルム外装体20と正極接続端子41との間に正極側樹脂部45が位置するとともに、ラミネートフィルム外装体20と負極接続端子42との間に負極側樹脂部46が位置する。
【0063】
これにより、ラミネートフィルム外装体20と、該ラミネートフィルム外装体20によって挟み込まれた正極接続端子41及び負極接続端子42とのそれぞれの接着強度を向上できるとともに、正極接続端子41及び負極接続端子42とラミネートフィルム外装体20とをより確実に電気的に絶縁することができる。
【0064】
正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46は、それぞれ、例えばポリプロピレン(PP)などの樹脂材料からなる平面視で長方形状のシートによって構成されている。このシートを、正極接続端子41及び負極接続端子42に対してそれぞれ直交する方向に延び且つ正極接続端子41及び負極接続端子42をそれぞれ挟み込むように配置した状態で、正極接続端子41及び負極接続端子42の各表面上に被着させることにより、正極側樹脂部45及び負極側樹脂部46がそれぞれ形成される。
【0065】
正極接続端子41が接続される正極11の正極集電体露出部11cには、両面に保護フィルム55aが貼付されている。保護フィルム55aは、正極11の短手方向において、正極集電体露出部11cから外方に突出している。すなわち、保護フィルム55aの前記短手方向の幅は、正極集電体露出部11cの前記短手方向の幅よりも大きい。本実施形態では、保護フィルム55aは、正極接続端子41において、正極集電体露出部11c側から正極側樹脂部45までを覆っている。保護フィルム55aは、例えば、PP(ポリプロピレン)等によって構成されている。
【0066】
このように、正極集電体露出部11cに保護フィルム55aを貼付することにより、正極11の正極集電体露出部11cと負極12の負極集電体露出部12cとの間で短絡が生じることを防止できる。
【0067】
なお、正極集電体露出部11cの両面に貼付されている保護フィルム55aのうち少なくとも一方は、着色(例えば青色)されている。これにより、正極集電体露出部11cに保護フィルム55aが貼付されているかどうかを容易に確認することができる。
【0068】
後述するように、正極11は、長尺の金属箔15(図8参照)を所定の長さに切断することによって得られる。詳しくは後述するが、所定間隔で正極活物質層11bが形成された長尺の金属箔15を、被覆フィルム55が貼付されている露出部15aで切断することにより、正極11が得られる。露出部15aの切断によって被覆フィルム55も切断されるため、被覆フィルム55は、保護フィルム55aとフィルム部材55bとに分離される。このとき、前記切断された露出部15aのうち、保護フィルム55aが貼付されている部分は、一方の正極11の正極集電体露出部11cになり、フィルム部材55bが貼付されている残りの部分は、他方の正極11の正極集電体露出部11dになる。
【0069】
よって、正極11における正極集電体露出部11cの長手方向の端部には、被覆フィルム55の一部としてのフィルム部材55bが貼付されている。
【0070】
セパレータ13は、樹脂多孔質層を有する。セパレータ13は、従来から知られているリチウム二次電池などの電気化学素子で使用されているポリオレフィン製の微多孔質膜などを用いることができる。
【0071】
(ラミネート形電池の製造方法)
次に、上述のような構成を有するラミネート形電池1の製造方法について、図4から図8を用いて説明する。
【0072】
まず、正極11の製造方法について説明する。図8に示すように、長尺のアルミニウム製の金属箔15上に、その長手方向に、所定間隔で複数の正極活物質層11bを形成する。なお、正極活物質層11bは、製造する正極11の数に応じて、金属箔15上に形成すればよい。
【0073】
前記所定間隔は、正極11における正極集電体露出部11cの長手方向の長さと正極集電体露出部11dの長手方向の長さとの合計である。すなわち、金属箔15上において前記所定間隔をあけて隣り合う正極活物質層11bの間は、金属箔15が露出した露出部15aである。
【0074】
次に、金属箔15の露出部15aに、正極接続端子41を溶接等によって接続する。この正極接続端子41には、正極側樹脂部45が設けられている。その後、露出部15aの一部及び正極接続端子41の一部を厚み方向に挟み込むように被覆フィルム55を貼付する。詳しくは、被覆フィルム55は、金属箔15の長手方向において露出部15aの一部を覆うとともに、金属箔15の幅方向において露出部15aから突出するように、金属箔15上に貼付される。被覆フィルム55は、正極接続端子41の正極側樹脂部45よりも金属箔15側を覆う。
【0075】
続いて、金属箔15の露出部15aで且つ被覆フィルム55が貼付された部分を、図示しない切断工具によって切断する。図8に、切断箇所の一例を二点鎖線で示す。このように露出部15aの被覆フィルム55が貼付された部分を切断することにより、露出部15aは、金属箔15上に露出部15aを挟んで形成された2つの正極活物質層11bに分離されて、各正極活物質層11bを含む正極11が構成される。
【0076】
すなわち、露出部15aは、一方の正極11の正極集電体露出部11cと、他方の正極11の正極集電体露出部11dとに分離される。また、上述の露出部15aの切断によって、被覆フィルム55は、前記一方の正極11の正極集電体露出部11cを覆う保護フィルム55aと、前記他方の正極11の正極集電体露出部11dの一部を覆うとともに正極集電体露出部11dの幅方向外方に突出するフィルム部材55bとに分離される。
【0077】
特に図示しないが、負極12も、正極11と同様に、長尺の銅製の金属箔上に一定の間隔で複数の負極活物質層12bを形成し、隣り合う負極活物質層12bの間の露出部で切断することにより得られる。なお、前記金属箔を前記露出部で切断することにより、前記露出部は、負極12の負極集電体露出部12c,12dに分離される。
【0078】
上述のようにして得た正極11及び負極12を、図4に示すように、セパレータ13に対して厚み方向に重ねた状態で巻回することにより、円筒状の筒状電極体60を得る。正極11、負極12及びセパレータ13を巻回する際には、図示しない巻芯に巻き付けるように巻回する(図5参照)。
【0079】
なお、本実施形態では、正極11、負極12及びセパレータ13は、下から、セパレータ13、正極11、セパレータ13及び負極12の順に重ねられる。正極11、負極12及びセパレータ13を巻回する際には、これらに対して所定の張力をかけながら巻回する。そうすると、電極体10の内部において、外周側の電極等による締め付けによって最内周側の正極11、負極12及びセパレータ13の間隔が詰まった状態になる。
【0080】
正極11、負極12及びセパレータ13を巻回する工程が、巻回工程に対応する。この巻回工程では、セパレータ13が電極体10の最外周に位置するように、正極11、負極12及びセパレータ13を巻回する。また、前記巻回工程では、正極11に接続された正極接続端子41及び負極12に接続された負極接続端子42が電極体10の内周側から巻回軸方向外方に向かって突出するように、正極11、負極12及びセパレータ13を巻回する。
【0081】
上述のような正極11、負極12及びセパレータ13の巻回によって得られた筒状電極体60は、巻き終わり端部が巻止めテープ50によって固定される。
【0082】
その後、筒状電極体60は、図6及び図7に示すように、押圧装置100の一対の押圧部101,102によって挟み込まれて扁平状に成形される。押圧装置100の詳しい構成については説明を省略するが、対向して配置された一対の押圧部101,102のうち、一方の押圧部101が上下方向及び左右方向に移動する。押圧装置100は、筒状電極体60に対し、上下方向に約80Nの荷重を加えることができるとともに、左右方向に約60Nの荷重を加えることができる。
【0083】
なお、押圧装置100は、筒状電極体60の電極長さ(正極11及び負極12の長手方向の長さ)などによっても異なるが、筒状電極体60に対して、例えば、上下方向は60〜100Nの荷重、左右方向は40〜80Nの荷重を加えることが可能である。
【0084】
筒状電極体60は、押圧装置100の一対の押圧部101,102に挟み込まれるように配置される。その状態で、一方の押圧部101が他方の押圧部102に対して下方に移動することにより、筒状電極体60は、側面に所定の力が加わることにより扁平状に押しつぶされる。筒状電極体60の側面に対して所定の力を加えることにより、扁平状の電極体10を成形する工程が、扁平成形工程に対応する。
【0085】
この際、一方の押圧部101は、筒状電極体60に対して巻回方向とは逆方向に緩む力を与えるように、筒状電極体60に対して左右方向に移動する。具体的には、前記巻回方向が時計方向の場合には、一方の押圧部101を他方の押圧部102に対して反時計方向に移動させる。また、前記巻回方向が反時計方向の場合には、一方の押圧部101を他方の押圧部102に対して時計方向に移動させる。
【0086】
なお、図6及び図7の例では、一方の押圧部101は、白抜き矢印で示すように、筒状電極体60に対して斜め下方に向かって移動する。これにより、一方の押圧部101によって、筒状電極体60には斜め下方の荷重が入力される。よって、筒状電極体60には、一方の押圧部101によって、押しつぶされる下向きの荷重と、最外周側が緩む荷重とが同時に入力される。
【0087】
これにより、筒状電極体60は押しつぶされて扁平状の電極体10になるとともに、電極体10の最外周側の正極11、負極12、セパレータ13に隙間が生じる。なお、電極体10の内周側には、前記隙間はほとんど形成されない。
【0088】
上述のように、電極体10の最外周側の正極11、負極12、セパレータ13に隙間を形成することにより、ラミネート形電池1の充放電の際に正極11及び負極12の膨張率の差によって電極体10の内部にたわみが生じることを抑制できる。
【0089】
ここで、上述のように、電極体10に対して巻回方向とは逆方向に緩む力を加える工程が、緩み加工工程に対応する。
【0090】
前記緩み加工が行われたかどうかは、電極体10の巻き終わり端部を固定する巻止めテープ50(被検出部)の位置によって容易に判定することができる。すなわち、前記緩み加工が行われた場合の巻止めテープ50の位置は、前記緩み加工が行われていない場合の巻止めテープ50の位置とは異なる。これは、前記緩み加工によって、電極体10の最外周側のセパレータ13等が、巻回直後の状態から少し緩んで移動するためである。よって、巻止めテープ50の移動量を検出することによって、電極体10の最外周側が緩んだかどうかを検出することができる。
【0091】
なお、巻止めテープ50の位置の判定は、例えば巻止めテープ50の画像を取得し、該画像を画像処理することによって行ってもよい。また、巻止めテープ50の位置を電気的または磁気的に検出してもよい。この場合には、巻止めテープ50を、電気的また磁気的に検出可能な材料によって構成してもよいし、巻止めテープ50に電気的または磁気的に検出可能な部材を設けてもよい。
【0092】
ここで、上述のように、巻止めテープ50の位置によって、電極体10に対して緩み加工を行ったかどうかを検出する工程、すなわち前記緩み加工によって電極体10の最外周側に生じる緩みを検出する工程が、緩み検出工程に対応する。
【0093】
その後、電極体10を、ラミネートフィルム外装体20上に配置した状態で、別のラミネートフィルム外装体20を重ね合わせて、電極体10の周りで2枚のラミネートフィルム外装体20を溶着する。これにより、図1に示すように、電極体10を囲むようにシール部1bが形成される。なお、シール部1bを形成する際には、電極体10に接続された正極接続端子41の正極側樹脂部45及び負極接続端子42の負極側樹脂部46も、2枚のラミネートフィルム外装体20に挟み込んだ状態で溶着する。
【0094】
上述のように、2枚のラミネートフィルム外装体20によって電極体10を覆う場合、一方のラミネートフィルム外装体20によって平面部1cが形成されるように、2枚のラミネートフィルム外装体20を電極体10に対して配置する。すなわち、2枚のラミネートフィルム外装体20のうち、一方のラミネートフィルム外装体20は平面部1cを構成し、他方のラミネートフィルム外装体20は膨出部1aを構成する。
【0095】
なお、1枚のラミネートフィルム外装体によって電極体10を覆う場合、電極体10の正極接続端子41及び負極接続端子42とは反対側でラミネートフィルム外装体を折り返して該ラミネートフィルム外装体によって電極体10を挟み込んだ状態で、ラミネートフィルム外装体の外周側同士を溶着すればよい。この場合、1枚のラミネートフィルム外装体によって電極体を覆う点以外は、上述の構成と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0096】
ここで、上述のように、電極体10をラミネートフィルム外装体20によって覆う工程が、外装形成工程に対応する。
【0097】
以上より、正極11、負極12及びセパレータ13を厚み方向に重ねた状態で巻回することにより得られる筒状電極体60を押しつぶして扁平状にする際に、筒状電極体60に対して、巻回方向とは逆方向に緩む力を加える。これにより、扁平状の電極体10の最外周側に位置する正極11、負極12及びセパレータ13の間に長径方向の隙間を形成することができる。したがって、電極体10を用いたラミネート形電池1が充放電した際に、ラミネート形電池1が変形することを抑制できる。
【0098】
しかも、上述のように電極体10の最外周側のみを緩ませることにより、電極体10の全体を緩ませる場合に比べて、電極体10が大型化することを抑制しつつ、正極接続端子41及び負極接続端子42の移動を抑制することができる。
【0099】
したがって、ラミネート形電池1の充放電によって電極体10の内部にたわみが生じることを防止しつつ、電極体10の大型化を抑制し且つ正極接続端子41及び負極接続端子42を精度良く位置決めすることができる。
【0100】
本実施形態では、正極接続端子41及び負極接続端子42は、電極体10の内周側に位置するため、上述のように電極体10の最外周側のみを緩ませることにより、正極接続端子41及び負極接続端子42が移動することをより確実に防止できる。よって、正極接続端子41及び負極接続端子42をより精度良く位置決めすることができる。
【0101】
また、電極体10に対する上述のような緩み加工を行ったかどうかを、電極体10の巻き終わり端部を固定するための巻止めテープ50の位置によって容易に判定することができる。したがって、ラミネート形電池1の生産性を向上できる。しかも、前記緩み加工の有無を検出するための別の部材を電極体10に設ける必要がないため、製造コストの増大を抑制できる。
【0102】
上述の構成では、電極体10の最外周にセパレータ13が位置する。そのため、正極11、負極12及びセパレータ13を厚み方向に重ねた状態で巻回する場合に、これらに対して所定の張力をかける必要がある。これにより、電極体10の内部では、正極11、負極12及びセパレータ13の間隔が詰まった状態になる。このような電極体の場合、電池の充放電によって電極体の内部にたわみが生じやすい。
【0103】
これに対し、本実施形態のように、筒状電極体60を押しつぶす際に、筒状電極体60に対して巻回方向とは逆方向に緩む力を加えて、電極体10の最外周に前記隙間を形成することにより、ラミネート形電池1の充放電の際に、正極11及び負極12の膨張率の差に起因して電極体10の内部にたわみが生じることを効果的に防止して、電池の変形を抑制することができる。
【0104】
また、本実施形態のように、電極体10をラミネートフィルム外装体20で覆ったラミネート形電池1の場合には、充放電によって電極体10が変形すると、その変形の影響を受けやすい。これに対し、上述のように、電極体10の変形を抑制することにより、ラミネート形電池1の変形を抑制できる。
【0105】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0106】
前記実施形態では、筒状電極体60に対する緩み加工が、筒状電極体60を押しつぶして扁平状にする扁平成形工程と同時に行われている。しかしながら、前記緩み加工を、前記扁平成形工程の後に行ってもよい。電極体が扁平成形工程によって扁平状に成形された後でも、電極体の最外周側の曲げ部は、内周側に比べてあまり変形していない。前記実施形態では、筒状電極体60の最外周側に位置する正極11、負極12及びセパレータ13を巻回方向とは逆方向に緩ませる。よって、前記扁平成形工程によって扁平状に成形された後の電極体であっても、該電極体の最外周側に位置する正極、負極及びセパレータに隙間を形成することができる。
【0107】
前記実施形態では、電極体10の巻き終わり端部を固定するための巻止めテープ50の位置によって、電極体10に対する緩み加工の有無を判定している。しかしながら、緩み加工の有無の判定は、例えば、正極11の正極集電体露出部11dに貼付されたフィルム部材55bの位置など、電極体10の最外周側に設けられた他の部材の位置や、該最外周側に設けられたマーク、模様などの目印の位置などによって行ってもよい。また、巻止めテープ50の代わりに電極体10の巻き終わり端部を固定する部材(樹脂等)の位置によって、前記緩み加工の有無を判定してもよい。
【0108】
前記実施形態では、巻止めテープ50は、電極体10に対する緩み加工の有無を判定するために用いられている。しかしながら、巻止めテープ50は、電極体10に対して緩み加工を行う際の緩み量を検出するために用いられてもよい。このように、巻止めテープ50を、緩み加工の緩み量の検出に用いることにより、緩み加工工程において、前記緩み量が適正な値になるように押圧装置100を駆動制御することが可能になる。
【0109】
例えば、図9に示すように、電極体10の巻止めテープ50の位置に応じてたわみ量を調整するように、押圧装置100を駆動させてもよい。
【0110】
具体的には、押圧装置100の駆動を制御する制御装置110が、位置検出部111と、駆動制御部112とを備える。
【0111】
位置検出部111は、電極体10の巻止めテープ50の位置を検出する。位置検出部111は、例えば、画像処理によって巻止めテープ50の位置を検出してもよいし、電気的または磁気的な方法によって巻止めテープ50の位置を検出してもよい。
【0112】
駆動制御部112は、位置検出部111によって検出された巻止めテープ50の位置に応じて、すなわち巻止めテープ50の移動量に応じて、押圧装置100における一方の押圧部101の左右方向への移動量を制御する。駆動制御部112は、電極体10の最外周側に位置する正極11、負極12及びセパレータ13に、電池の充放電時に電極体10の内部にたわみが生じないような所定の隙間が形成されるように、一方の押圧部101の駆動を制御する。これにより、電極体10の最外周側の緩み量を制御することができる。
【0113】
前記実施形態では、保護フィルム55a及びフィルム部材55bは、正極11に貼付されている。しかしながら、保護フィルム55a及びフィルム部材55bは、負極12に貼付されていてもよい。この場合でも、フィルム部材55bは、電極体10の最外周側に位置する負極集電体露出部12dに貼付される。
【0114】
前記実施形態では、それぞれ帯状に形成された正極11及び負極12を、例えば両者の間及び正極11の下側にセパレータ13がそれぞれ位置するように、セパレータ13に重ね合わせている。しかしながら、正極11、負極12及びセパレータ13を重ねる順番は、二次電池を構成可能な順番であれば、どのような順番であってもよい。
【0115】
前記実施形態では、ラミネート形電池は、平面視で矩形状に形成されている。しかしながら、ラミネート形電池は、多角形状など、他の形状であってもよい。
【0116】
前記実施形態では、電極体10は、ラミネートフィルム外装体20によって覆われている。しかしながら、電極体10は、有底筒状の外装缶と封口缶とによって形成される空間内に封入されてもよい。
【0117】
前記実施形態では、ラミネート形電池1はリチウムイオン電池である。しかしながら、ラミネート形電池1はリチウムイオン電池以外の電池であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、正極、負極及びセパレータを巻回した後、扁平形状に形成された電極体を有する二次電池に利用可能である。
【符号の説明】
【0119】
1 ラミネート形電池(二次電池)
10 電極体
11 正極
11a 正極集電体
11b 正極活物質層
11c 正極集電体露出部
11d 正極集電体露出部(集電体露出部)
12 負極
12a 負極集電体
12b 負極活物質層
12c、12d 負極集電体露出部
13 セパレータ
20 ラミネートフィルム外装体
41 正極接続端子
42 負極接続端子
45 正極側樹脂部
46 負極側樹脂部
50 巻止めテープ(被検出部)
55 被覆フィルム
55a 保護フィルム
55b フィルム部材(フィルム部材)
60 筒状電極体
100 押圧装置
101、102 押圧部
110 制御装置
111 位置検出部
112 駆動制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9