特許第6845059号(P6845059)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6845059-蛍光ポリエステル繊維 図000012
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845059
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】蛍光ポリエステル繊維
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/14 20060101AFI20210308BHJP
   D01F 1/06 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   D01F8/14 B
   D01F1/06
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-57835(P2017-57835)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-159159(P2018-159159A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】305037123
【氏名又は名称】KBセーレン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 雅春
【審査官】 橋本 有佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−165517(JP,A)
【文献】 特開2013−237947(JP,A)
【文献】 特開平01−085308(JP,A)
【文献】 特開平04−082917(JP,A)
【文献】 特開平05−247723(JP,A)
【文献】 特開平10−204727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F1/00−9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナフタルイミド系蛍光染料もしくはペリレン系蛍光染料を含有するポリエステル層と無機微粒子を含有する拡散反射ポリエステル層とを有する蛍光ポリエステル繊維であって、その繊維横断面形状が、前記蛍光染料を含有するポリエステル層が、十字形状の前記拡散反射ポリエステル層により4分割された形状である蛍光ポリエステル繊維。
【請求項2】
前記蛍光染料が、式1、式2、式3もしくは式4から選択される少なくとも1つである請求項1記載の蛍光ポリエステル繊維。
【化1】
【化2】
【化3】

【化4】
【請求項3】
前記無機微粒子が、酸化チタンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光ポリエステル繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高視認性を有する蛍光ポリエステル繊維に関するものである。
【背景技術】
【0002】
夜間に着用する衣服や注意物を明示する為のサイン類において、光線に照らされた場合に明るく輝くことで視認性が高い素材の要望が高まっている。
光線が照射された場合において明るく輝く材料として再帰反射素材が注目されているが、再帰反射素材には、20〜100μmのガラスビーズを用いるか、もしくは三角形状を有するプリズムが用いられており、溶融押出等による繊維形成に適応することは難しかった。一部に、繊維の表面にガラスビーズを、バインダーを用いて固着するといった方法で再帰反射素材が作製されているが、繊維表面にガラスビーズによる大きな凹凸が生じる為、織編等を行う事での布帛化は殆どできず、刺繍と言った方法で布帛と合体して用いられる程度であった。
これに対し、従来、光線、特に紫外線領域の光線が照射されることで可視光線領域の光として輝く蛍光材料を高視認性素材として用いる事が検討されており、繊維化も検討がなされて来ている。
【0003】
特許文献1には、蛍光染料を含有した繊維を集光性繊維としての使用が開示されており、繊維側面に照射された光を繊維端面に集光する技術が開示されている。
特許文献2では、特定の蛍光染料を含有させる事により、特にポリエステル繊維に対し蛍光性が高まるという技術が開示されている。
更に特許文献3では、芯にセルロース質繊維、具体的には綿糸を用い、これに蛍光色に着色されたポリエステル短繊維を巻き付けた繊維を布帛に用いる事で視認性が高い織物が得られることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−289504号公報
【特許文献2】特公平7−72368号公報
【特許文献3】特開2016−23394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1〜2に示された様な従来技術においては、蛍光染料を含有する単純な繊維形態にして用いる事で光を照射された際に輝く事による視認性向上を図ったものであり、視認性の向上としては不十分なものでしかなく、光の照射方向により強い光を返す構造を有する高視認性を技術開示しているものは無かった。また、特許文献3に開示された発明はセルロース質繊維、具体的には綿糸に蛍光染料により着色されたポリエステル短繊維を混紡した吸湿性のある繊維からなる布帛を提供するという物であり、根本的に特許文献1〜2と何ら変わらない技術であった。
【0006】
本発明の目的は、蛍光染料を含有する層と拡散反射層とからなる複合繊維とすることで光の照射による蛍光発光と発光した光の拡散・反射とにより視認性を向上させた繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
その方法として本発明者は、鋭意検討を行った結果、繊維断面構造として、特定の蛍光染料を含有する層と光が拡散・反射をする層とを特定形状に配置することにより光の照射を受けた際に高視認性を得られることを導き出した。
【0008】
すなわち、本発明の目的は、ナフタルイミド系蛍光染料またはペリレン系蛍光染料を含有するポリエステル層と無機微粒子を含有する拡散反射ポリエステル層とを有する蛍光ポリエステル繊維であって、その繊維横断面形状が、前記蛍光染料を含有するポリエステル層が、十字形状の前記拡散反射ポリエステル層により4分割された形状である蛍光ポリエステル繊維によって達成される。
【0009】
また、その蛍光染料が、式1、式2、式3もしくは式4から選択される少なくとも1つである事が好ましい。
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】
更に、前記無機微粒子は、酸化チタンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の蛍光ポリエステル繊維は、特定の蛍光染料を含有する層と拡散反射ポリエステル層とからなり、特定の繊維横断面形状の複合繊維とすることで光の照射による蛍光発光と発光した光の拡散・反射による視認性を向上させた物である。
本発明によれば、容易に布帛化でき、高視認性を有する上着やベストは元より、襷やバナーやテント、サイン類と言った形状に容易に加工できる蛍光ポリエステル繊維を得る事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の蛍光ポリエステル繊維の繊維横断面形状の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、図1に示すように、特定の蛍光染料を含有するポリエステル層1が、十字型の無機微粒子を含有する拡散反射ポリエステル層(以下、拡散反射層と記す)2により4分割された形状を有する蛍光ポリエステル繊維である。
【0018】
先ず蛍光染料に関して説明する。蛍光染料とは、光線中の近紫外線領域(200〜380nm)から可視光領域(380〜780nm)の光エネルギーを吸収し、吸収した波長よりも高波長側の可視光領域(380〜780nm)の光として波長変換して放射する材料を指す。 同材料としては、所謂蛍光増白剤と言った名前で知られており、例えば式5に示すチバスペシャリティーケミカル社製「UVITEX OB」(商品名)や式6に示すチバスペシャリティーケミカル社製「UVITEX OB-ONE」(商品名)等の構造の物がある。しかし、これら各々の近赤外線最大吸収波長は375nmと374nmであり、可視光領域の最大放射波長は夫々435nmと434nmであり、その放射強度も弱く、言うなれば青白くぼーっとした光を放つだけで十分な視認性の向上には至らない。
【0019】
【化5】
【0020】
【化6】
【0021】
これに対し鋭意スクリーニングを進めた結果、式1に示したナフタルイミド系蛍光染料および式2〜4に示したペリレン系蛍光染料においては、夫々順番に紫色(最大放射波長413nm)、黄色(最大放射波長490nm)、オレンジ色(最大放射波長539nm)および赤色(最大放射波長613nm)の強い発色が認められるものである。
本発明においては、式1〜式4から選択される少なくとも1つを用いる。
【0022】
次に、本発明の蛍光染料を含有するポリエステルについて説明する。
本発明に係るポリエステルは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーである。このようなポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等が挙げられる。力学的特性、紡糸性の観点からポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートが好ましい。
【0023】
また、これらのポリエステルには、本発明の目的が損なわれない範囲であれば、他の成分が共重合されていてもよい。具体的には、共重合成分としては、ジカルボン酸成分では、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4、4−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸およびそのエステル形成性誘導体等やスルホネート基含有イソフタル酸成分等の官能基を有する成分等が挙げられる。また、ジオール成分としては、ジエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールも挙げられる。共重合量としては、構成する繰り返し単位あたり10モル%以内が好ましく、5モル%以内がより好ましい。
【0024】
上記のスルホネート基含有イソフタル酸成分としては、ポリエステルと反応する官能基を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、5−金属スルホイソフタル酸ジメチルまたはジメチル基をエチレングリコールでエステル化させた化合物が採用される。5−スルホイソフタル酸成分中の金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が用いられるが、紡糸性およびカチオン染色性の面からナトリウムが最も好ましい。
【0025】
上記のスルホネート基含有イソフタル酸成分の共重合量としては、スルホネート基含有イソフタル酸成分が全酸成分に対して0.5〜5.0モル%であることが好ましく、共重合量が0.5モル%未満であると、十分なカチオン染色性が得られない傾向にあり、5.0モル%よりも多い場合、紡糸性の悪化および繊維の力学的特性の低下が見られる傾向にある。
【0026】
本発明に係るポリエステルの製造方法としては、例えば、まず、前述のジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成誘導体とを主たる出発原料として、常法に従い、エステル化またはエステル交換反応を行った後、さらに高温・減圧下で重縮合反応を行うことによって製造する方法等が挙げられる。
【0027】
ポリエステルの粘度は特に制限されるものではなく、通常のポリエステル繊維に利用されている固有粘度(以下IVという)のポリエステルを使用すればよい。紡糸性および繊維の力学的強度の点から、例えばポリエチレンテレフタレートであれば、IVは0.55〜1.0の物が好適である。より好ましくは、IVが0.60〜0.85である。
【0028】
尚、本発明の目的を損なわない範囲において、これらのポリエステル中には少量の他の重合体や酸化防止剤、熱安定剤等の添加剤等が含有されていてもよい。
【0029】
次に、ポリエステルへ蛍光染料を含有させる方法に関しては、一般的な溶融複合化の方法を採用することができる。具体的には、ポリエステルへ蛍光染料を所望比率で予備混合した後、単軸押出機や二軸押出混練機を用いて複合化する方法や二軸押出混練機を用いポリエステルを溶融したところへ所望量の蛍光染料を添加し複合化する方法である。この中でも微量な蛍光染料を均一に複合化させる方法として、ポリエステルへ蛍光染料を所望比率で予備混合した後、二軸押出混練機を用いて複合化する方法が最も好ましい。
【0030】
ポリエステルへの蛍光染料の複合量は、50〜1,000ppmの範囲で十分な効果があり、性能とコスト等を考慮すると好ましくは100〜500ppm、更に好ましくは200〜300ppmである。
【0031】
次に、拡散反射層として用いる無機微粒子を含有するポリエステルについて詳述する。ポリエステルは、蛍光染料を含有するポリエステル層に使用するポリエステルと同様のポリエステルを用いればよい。無機微粒子としては、白色で可視光線を拡散・反射する事が肝要であり、例えば、酸化チタンやタルク、硫酸バリウム、酸化マグネシウム等が挙げられるが、この中でも屈折率が高く拡散・反射効果の高い酸化チタンを好適である。また、酸化チタンには、ルチル晶とアナターゼ晶の物が存在するが、いずれを用いてもよい。
用いる無機微粒子の粒子径については、繊維への適応の観点から一次粒子の平均径として0.1〜1μmの物を用いる事ができ、特に一次粒子の平均径0.3〜0.5μmの物が好適である。
【0032】
無機微粒子の添加量としては、拡散反射層中0.3〜10質量%の範囲が好ましく、特に1〜6質量%が好適である。0.3質量%未満の添加量では拡散・反射の効果が小さくなる傾向にあり、10質量%を超える場合には溶融樹脂の流動性が低下し繊維形成がし難くなる傾向にある。
【0033】
ポリエステルと無機微粒子の複合化方法は、一般的な溶融複合化の方法を採用すればよい。具体的には、単軸押出機や二軸押出混練機を用いて溶融複合化する方法が適応可能であり、ポリエステルと無機微粒子を予備混合した後、単軸押出機や二軸押出混練機へ投入し複合化させる方法やポリエステルと無機微粒子を所望の比率で夫々計量しながら単軸押出機や二軸押出混練機へ投入する方法等が挙げられる。特に好ましくは、二軸押出混練機を用いる方法であり、具体的には、所望量のポリエステルを二軸押出混練機の上流側投入口へ連続供給し、ポリエステルを十分溶融させたところへ二軸押出混練機の下流側投入口、所謂サイドフィード口より所望量の無機微粒子を連続供給することで溶融複合化を行うことができる。
【0034】
拡散反射層の繊維横断面形状は、十字形状である事が肝要である。即ち、一般に繊維断面中に二面リフレクター構造を形成させることにより光の反射が大きくなり視認性を向上させる事ができる。繊維中に拡散反射層がない場合には、入射光が蛍光染料にて周波数変換されても繊維の全周方向に広がる為、視認性の向上は小さい。更に拡散反射層の形状が、例えば真一文字であった場合には、拡散反射層の面が入射光垂直の場合は高反射が認められるも、拡散反射層の面が入射光と平行の場合には拡散反射層がない状態と同様になり、安定した視認性を得る事ができない。また、拡散反射層の形状がY字の様に繊維内部で拡散反射層の成す角度が90°を超えると入射光が蛍光染料にて周波数変換された光は散逸し十分な視認性の向上をもたらさず、逆に拡散反射層の形状がペンタローバル、ヘキサローバルの様に多葉化すると拡散反射層の成す角度は90°よりも小さくなり入射光が蛍光染料にて周波数変換された光は多くの反射を繰り返し減衰されるために視認性の向上に繋がらない。
【0035】
蛍光染料を含有するポリエステル層:十字形状の拡散反射層の容積比率は、60:40〜95:5の範囲である事が好ましい。蛍光染料を含有するポリエステル層の比率がこれより小さくなると視認性が低下する傾向にあり、また拡散反射層の比率がこれより小さくなると十字形状の形成性が低下するとともに拡散・反射が不十分となり視認性がやはり低下する傾向にある。
【0036】
次に、繊維化方法について説明する。本発明の蛍光ポリエステル繊維は、マルチフィラメントで構成されていても、モノフィラメントであっても繊維断面の形状が蛍光染料を含有するポリエステル層が、十字形状の拡散反射層により4分割された形状を形成することができればよく、公知の溶融複合紡糸法を適応すればよい。
【0037】
総繊度が400dtex以下のマルチフィラメントや単糸繊度が50dtex以下のモノフィラメントでは、空冷式の溶融複合紡糸機が適応でき、単糸繊度が50dtexを超えるモノフィラメントには、エアギャップ式の溶融複合紡糸機が適応できる。また、延伸については空冷式の溶融紡糸機を用いる場合は、紡糸後一端巻き取って別工程で延撚する所謂コンベンショナル法でも、紡糸後巻き取ることなくそのままGR(ゴテッドローラー)の速度差を利用して延伸する所謂スピンドロー法でも問題はない。尚、エアギャップ式の溶融複合紡糸機を用いる場合には一端巻き取ることなく多段の加熱GRにて延伸する方法を用いる事ができる。
【実施例】
【0038】
以下に実施例を挙げて本発明の蛍光ポリエステル繊維を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】
(1)固有粘度(IV)
フェノール/テトラクロロエタン=6/4(重量比)の混合溶媒中20℃で常法により求めた。
【0040】
(2)視認性比較評価
試験繊維サンプルを黒台紙にニュアンス巻(曳揃え巻)し、20m離れた位置から中心波長405±10nmの光を照射し、対比サンプルとの比較で視認性が明らかに高い物を◎、少し視認性が高い物を○、視認性が同等乃至は劣る物を×と分類した。
【0041】
[実施例1]
固有粘度0.61のKBセーレン製スーパーブライトPET樹脂(酸化チタン非含有)に、式1で示される蛍光染料としてBASF製「ルモゲンF Violet570」(商品名)を250ppm予備混合し、東芝機械製二軸押出混練機「TEM−26SS」にて280℃の温度で溶融複合し、蛍光染料含有ポリエステルAを得た。
固有粘度0.63のKBセーレン製ブライトPET樹脂(酸化チタン310ppm含有)にサイドフィーダーを有した東芝機械製二軸押出混練機「TEM−26SS」を用い、一次粒子径0.35μmの酸化チタンを6質量%となる様に280℃にて溶融複合し、無機微粒子含有ポリエステルAを得た。
蛍光染料含有ポリエステルAと無機微粒子含有ポリエステルAを夫々280℃に設定した押出機より紡糸ヘッドへ流入させ、容積比率が2:1になる様にギアポンプの回転数を調整し、十字形成用口金を用い紡速800m/分にて168T/28(168dtex/28フィラメント、以下同じ。)にて巻き取った後、延撚機で3倍に延伸し、56T/28の蛍光ポリエステル繊維Aを得た。
【0042】
[比較例1]
蛍光染料含有ポリエステルA部分をKBセーレン製スーパーブライトPET樹脂に置き換えた以外は実施例1と同様に紡糸を行い56T/28のポリエステル繊維A1を得た。
【0043】
[比較例2]
無機微粒子含有ポリエステルA部分をKBセーレン製ブライトPET樹脂に置き換えた以外は実施例1と同様に紡糸を行い56T/28のポリエステル繊維A2を得た。
【0044】
(実施例1と比較例1および比較例2の視認性比較評価)
実施例1のサンプルと比較例1および比較例2のサンプルを相互に視認性比較評価を実施し、実施例1は、比較例1および比較例2に比べ◎の判定を行った。
また、比較例1と比較例2の間で視認性比較では、両者に差はなく、いずれも×の判定を行った。
【0045】
[比較例3]
蛍光染料として式5で示したチバスペシャリティーケミカル社製「UVITEX OB」(商品名)を用いる以外は実施例1と同様にして56T/28のポリエステル繊維A3を得た。
【0046】
[比較例4]
蛍光染料として式6で示したチバスペシャリティーケミカル社製「UVITEX OBONE」(商品名)を用いる以外は実施例1と同様にして56T/28のポリエステル繊維A4を得た。
【0047】
(実施例1と比較例3および比較例4の視認性比較評価)
実施例1のサンプルと比較例3および比較例4のサンプルを相互に視認性比較評価を実施し、実施例1は、比較例3および比較例4に比べ○の判定を行った。
【0048】
[実施例2]
蛍光染料として式2で示されるBASF製「ルモゲンF Yellow083」(商品名)を用いる以外は、実施例1と同様にして56T/28の蛍光ポリエステル繊維Bを得た。
【0049】
(実施例2と比較例1および比較例2の視認性比較評価)
実施例2のサンプルと比較例1および比較例2のサンプルを相互に視認性比較評価を実施し、実施例2は、比較例1および比較例2に比べ◎の判定を行った。
【0050】
[実施例3]
固有粘度0.85のベルポリエステルプロダクツ社製PET樹脂EFG−85A(商品名)に、式3で示される蛍光染料としてBASF製「ルモゲンF Orange240」(商品名)を200ppm予備混合し、東芝機械製二軸押出混練機「TEM−26SS」にて290℃の温度で溶融複合し、蛍光染料含有ポリエステルCを得た。
蛍光染料含有ポリエステルCと無機微粒子含有ポリエステルAを用い、夫々290℃に設定した押出機より紡糸ヘッドへ流入させ、容積比率が9:1になる様にギアポンプの回転数を調整し、十字形成用口金を用い紡速800m/分にて109T/1にて巻き取った後、延撚機で3.3倍に延伸し、33T/1のモノフィラメント蛍光ポリエステル繊維Cを得た。
【0051】
[実施例4]
蛍光染料として式4で示されるBASF製「ルモゲンF Red305」(商品名)を用いる以外は、実施例3と同様にして33T/1の蛍光ポリエステル繊維Dを得た。
【0052】
[比較例5]
蛍光染料含有ポリエステルCをKBセーレン製スーパーブライトPET樹脂に置き換えた以外は、実施例3と同様に紡糸を行い33T/1モノフィラメントC1を得た。
【0053】
(実施例3および実施例4と比較例5の視認性比較評価)
実施例3および実施例4のサンプルと比較例5のサンプルを相互に視認性比較評価を実施し、実施例3および実施例4は、比較例5に比べ◎の判定を行った。また、実施例3と実施例4の比較では、実施例3の方が、視認性がやや高く○の判定であった。
【符号の説明】
【0054】
1 蛍光染料を含有するポリエステル層
2 拡散反射ポリエステル層
図1