(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845131
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】適応型電池充電の方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20210308BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20210308BHJP
A24F 47/00 20200101ALN20210308BHJP
【FI】
H02J7/00 303C
H02J7/04 F
!A24F47/00
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-521116(P2017-521116)
(86)(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公表番号】特表2017-539191(P2017-539191A)
(43)【公表日】2017年12月28日
(86)【国際出願番号】EP2015074846
(87)【国際公開番号】WO2016066632
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2018年10月15日
(31)【優先権主張番号】14190759.2
(32)【優先日】2014年10月28日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158551
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 貴明
(72)【発明者】
【氏名】ブティン ヤニク
(72)【発明者】
【氏名】ベルナウアー ドミニク
【審査官】
坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/029880(WO,A2)
【文献】
特開平05−083871(JP,A)
【文献】
特開2005−192382(JP,A)
【文献】
特開平01−138544(JP,A)
【文献】
特開平10−304503(JP,A)
【文献】
特開2013−094015(JP,A)
【文献】
特開2006−007581(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0257039(US,A1)
【文献】
特表2015−534458(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0208695(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/04
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電装置及び電子喫煙装置によって実行される方法であって、前記充電装置における第一の電池から前記電子喫煙装置における第二の電池を充電する方法であって、
前記第二の電池を充電している間、前記第一の電池の出力電圧を第一の閾値電圧と定期的に比較する工程と、
前記第一の電池からの前記出力電圧が前記第一の閾値電圧と等しいかまたはそれより大きいときに、前記第一の電池からの電流を使用して前記第二の電池を充電する工程と、
前記第一の電池からの前記出力電圧が前記第一の閾値電圧よりも小さいときに、前記第一の電池の前記出力電圧が第二の閾値電圧と等しいかまたはそれより大きくなるまで前記第二の電池の充電に使用される前記電流を低減させる工程とを含む、方法。
【請求項2】
前記第二の閾値電圧が前記第一の閾値電圧に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電流を減少させる工程が、前記第一の電池と前記第二の電池の間に接続された電力変換装置にかけられる電圧パルスのデューティサイクルを低減する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記低減の工程が、前記比較の工程の結果後に、前記第一の電池と前記第二の電池の間に接続された電力変換装置に電圧パルスを適用しない工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の電池からの前記出力電圧が前記第一の閾値電圧と等しいかまたはそれより大きいときに、一定の電流を使用して前記第二の電池を充電する工程と、前記第二の電池にかかる充電電圧が最大許容電圧に達するかまたは前記第一の電池からの前記出力電圧が前記第一の閾値電圧よりも小さいときに前記電流を減少させる工程とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第二の電池にかかる前記充電電圧が最大許容電圧に達するかまたは前記第一の電池からの前記出力電圧が前記第一の閾値電圧よりも小さいときに、前記第二の電池にかかる前記充電電圧を前記最大許容電圧かまたはそれに近い電圧に維持するよう前記電流を減少させる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
充電装置であって、
前記充電装置に接続された電子喫煙装置における第二の電池を充電するよう構成された第一の電池と、前記第二の電池の充電を制御するよう構成された制御回路とを備え、前記制御回路が、
前記第二の電池を充電している間、前記第一の電池の出力電圧を第一の閾値電圧と定期的に比較し、
前記第一の電池からの前記出力電圧が前記第一の閾値電圧と等しいかまたはそれより大きい場合に、前記第一の電池からの電流を使用して前記第二の電池を充電し、
前記第一の電池からの前記出力電圧が前記第一の閾値電圧よりも小さい場合に、前記第一の電池の前記出力電圧が第二の閾値電圧と等しいかまたはそれより大きくなるまで前記電流を減少させるように構成される、充電装置。
【請求項8】
前記制御回路が、前記第一の電池からの前記出力電圧が前記第一の閾値電圧と等しいかまたはそれより大きいときに、一定の電流を使用して前記第二の電池を充電し、前記第二の電池にかかる充電電圧が最大許容電圧に達するかまたは前記第一の電池からの前記出力電圧が前記第一の閾値電圧よりも小さいときに、充電電流を減少させるように構成される、請求項7に記載の充電装置。
【請求項9】
前記制御回路が、前記第二の電池にかかる前記充電電圧が最大許容電圧に達するかまたは前記第一の電池からの前記出力電圧が前記第一の閾値電圧よりも小さいときに、前記第二の電池にかかる前記充電電圧を前記最大許容電圧かまたはそれに近い電圧に維持するよう前記電流を減少させるように構成される、請求項8に記載の充電装置。
【請求項10】
前記第一の電池と前記第二の電池の間に接続された電力変換装置を備え、前記第一の電池から前記電力変換装置にかけられる電圧パルスのデューティサイクルを低減することにより、前記制御回路が前記電流を減少させるように構成される、請求項7、8または9に記載の充電装置。
【請求項11】
前記制御回路が、前記比較の結果後に、前記第一の電池と前記第二の電池の間に接続された電力変換装置に電圧パルスを適用しないことにより前記電流を減少させるように構成される、請求項8、9又は10に記載の充電装置。
【請求項12】
充電装置におけるプロセッサ上で実行したとき、前記充電装置が、前記充電装置に接続された電子喫煙装置における二次電池を充電するよう構成された第一の電池を持ち、前記プロセッサが前記二次電池の充電を制御するように構成されており、前記プロセッサに請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムを格納する、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一つの電池を使用して別の電池を再充電し、また別の電池からのリチウムイオン電池を充電するのに特に有利なシステムに関連する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は通常、定電流位相の後に定電圧位相を使用して充電される。定電流位相では、二次電池の電圧は、電池の電圧が既定の電圧限度V
chに達するまで一定の最大充電電流I
chを維持するために調節されるが、I
chおよびV
chは電池の属性によって設定される。定電圧位相では、電流が所定の値I
low以下に低下するまで、電池での電圧が固定値V
chに維持される。急速充電では、定電流位相の長さを最大化することが望ましい。
【0003】
第二の電池が定電流位相で充電される際は、充電電圧を増大して、第二の電池の電圧の増大を補う必要がある。したがって、定電流位相は、充電用電池から利用可能な最小充電電圧が必要とされる。
【0004】
電池間充電システムでは、充電用電池の老化に伴いその内部抵抗は増大し、その結果供給可能な電圧が減少する。急速充電動作に要求される最低電圧の供給がもはやできなくなると、充電用電池は再充電または交換されなければならない。
【0005】
急速充電を提供できるが、現時点で入手できるシステムと比較した時に、充電用電池を再充電または交換する必要が生じる前に充電サイクル数の増大に対応できる、電池間充電システムを提供することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第一の態様では、第一の電池から第二の電池を充電する方法が提供されており、工程は、
【0007】
第一の電池の出力電圧を閾値電圧と比較する工程と、
【0008】
第一の電池からの出力電圧が閾値電圧と等しいかまたはそれより大きい時に、第一の電流を使用して第二の電池を充電する工程と、
【0009】
第一の電池からの出力電圧が閾値電圧よりも小さい時に第一の電流を減少させる工程とを含む。
【0010】
第一の電流は、第一の電池の出力電圧が第二の閾値電圧と等しいかまたはそれより大きくなるまで減少させうる。第二の閾値電圧は、第一の閾値電圧と等しくてもよく、または第一の閾値電圧と異なっていてもよい。
【0011】
電流を減少させる工程は、第一の電池と第二の電池の間に接続された電力変換装置にかけられる電圧パルスの
デューティサイクルを減少させる工程を含みうる。
【0012】
比較の工程は、第二の電池の充電中に反復的に実施されうる。減少の工程は、比較の工程の結果後に、第一の電池と第二の電池の間に接続された電力変換装置に電圧パルスを適用しない工程を含みうる。
【0013】
電流を減少させる工程は、電流パルスが第二の電池に適用される周波数を低減する工程を含みうる。
【0014】
方法は、第一の電池からの出力電圧が閾値電圧と等しいかまたはそれより大きい時に、一定の第一の電流を使用して第二の電池を充電する工程と、第二の電池にかかる充電電圧が最大許容電圧に達するかまたは第一の電池からの出力電圧が閾値電圧よりも小さい時に充電電流を減少させる工程とを含みうる。
【0015】
第二の電池にかかる充電電圧が最大許容電圧に達するかまたは第一の電池からの出力電圧が閾値電圧よりも小さい時に、充電電流を第一の電池にかかる充電電圧を最大許容電圧かまたはそれに近い電圧に維持するように減少させうる。
【0016】
方法は、充電電流が最低電流閾値よりも小さいかまたはそれに等しい電流に低下した時に、第二の電池の充電を停止する工程を含みうる。
【0017】
第二の電池はリチウムイオン電池としうる。
【0018】
本発明の第二の態様では、充電装置が提供されているが、これは、
【0019】
装置に接続された二次電池を充電するよう構成された第一の電池と、二次電池の充電を制御するよう構成された制御回路とを備えるが、ここで制御回路は、
【0020】
第一の電池の出力電圧を閾値電圧と比較し、
【0021】
第一の電池からの出力電圧が閾値電圧と等しいかまたはそれより大きい場合に、第一の電流を使用して第二の電池を充電し、
【0022】
第一の電池からの出力電圧が閾値電圧よりも小さい場合に、第一の電流を減少させるように構成される。
【0023】
制御回路は、第一の電池の出力電圧が第二の閾値電圧と等しいかまたはそれより大きくなるまで、第一の電流を減少させるように構成されうる。第二の閾値電圧は、第一の閾値電圧と等しくてもよく、または第一の閾値電圧と異なっていてもよい。
【0024】
充電装置は、第一の電池と第二の電池の間に接続された電力変換装置を備え、制御回路は、第一の電池から電力変換装置に適用される電圧パルスの
デューティサイクルを低減することにより、第一の電流を減少させるように構成されうる。
【0025】
制御回路は、第二の電池の充電中に定期的に、第一の電池の出力電圧を閾値電圧と比較するように構成されうる。制御回路は、比較の工程の結果後に、第一の電池と第二の電池の間に接続された電力変換装置に電圧のパルスを適用しないことにより、第一の電流を減少させるように構成されうる。
【0026】
制御回路は、第一の電池からの出力電圧が閾値電圧と等しいかまたはそれより大きい時に、一定の第一の電流を使用して第二の電池を充電し、第二の電池にかかる充電電圧が最大許容電圧に達するかまたは第一の電池からの出力電圧が閾値電圧よりも小さい時に充電電流を減少させるように構成されうる。
【0027】
第二の電池にかかる充電電圧が最大許容電圧に達するかまたは第一の電池からの出力電圧が閾値電圧よりも小さい時に、制御回路は、第一の電池にかかる充電電圧を最大許容電圧かまたはそれに近い電圧に維持するように充電電流を減少させるように構成されうる。
【0028】
制御回路は、充電電流が最低電流閾値よりも小さいかまたはそれに等しい電流に低下した時に、第二の電池の充電を停止するように構成されうる。
【0029】
第二の電池はリチウムイオン電池としうる。第一の電池はリチウムイオン電池としうる。
【0030】
本開示の第一および第二の態様による方法および充電装置は、電子喫煙システムに適用されうる。充電装置は、電子喫煙装置内の二次電池を充電するために使用されうる。電子喫煙装置には、エアロゾル形成基体を加熱するように構成された電動式ヒーターが含まれうる。エアロゾル形成基体は、エンドユーザーが吸入するマウスピース部分を持つ紙巻たばこの形態で提供されうる。二次電池は有利なことに、単一のエアロゾル形成基体を使い果たす一回の喫煙セッションについて十分な電力を提供しうる。
【0031】
短い再充電時間は、電子紙巻たばこが受け入れられるのに極めて重要である。ところが、ユーザーにとって、単に最大可能な速度が達成できないという理由だけで喫煙装置を充電できないことは望ましくない。本発明の方法および充電装置は、充電装置の電池が老化し劣化した場合でさえも、電子喫煙装置の追加的な充電サイクルが許容される。充電装置は、ユーザーのポケットやバッグでの携帯が簡単なように設計された手持ち式充電装置としうる。
【0032】
本発明の第三の態様では、充電装置内のプロセッサ上で実行した時、充電装置は装置に接続された二次電池を充電するよう構成された第一の電池を持ち、プロセッサは二次電池の充電を制御するように構成されており、プロセッサに本発明の第一の態様の工程を実行させるコンピュータプログラムが提供されている。
【0033】
本発明の第四の態様では、第三の態様のコンピュータプログラムが格納されているコンピュータ可読記憶媒体が提供されている。
【0034】
開示の一つの態様に関連して説明した特徴は、単独で、または本開示で説明されたその他の態様および特徴と組み合わせて、開示のその他の態様に適用されうることが明らかである。
【0035】
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1は、手持ち型電池作動式喫煙装置、および充電用電池を含む関連する充電装置の概略図である。
【
図2】
図2は、本開示による充電システムを図示した回路図である。
【
図3】
図3は、リチウムイオン電池についての典型的な急速充電プロフィールを図示したものである。
【
図4】
図4は、本開示による修正された充電プロフィールを図示したものである。
【
図5】
図5は、
図4の充電プロフィールについての制御プロセスを図示した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、一次装置100および二次装置102を示す。この例の一次装置100は、電気加熱式の喫煙システム用の充電ユニットである。この例の二次装置102は、エアロゾル形成基体を含む喫煙物品104を受けるように適合された電気加熱式エアロゾル発生装置である。二次装置は、作動時にエアロゾル形成基体を加熱するためのヒーターを含む。ユーザーは、喫煙物品104のマウスピース部分を吸入して、エアロゾルをユーザーの口の中に吸い込む。二次装置102は、二次装置の電源を再充電するために、一次装置100のくぼみ112内に受け入れられるように構成される。
【0038】
一次装置100は、二次装置が電気接点110と接続されている時に第一の電池106から二次装置内の第二の電池に電力を供給するように構成されている、第一の電池106、制御電子回路108、および電気接点110を含む。電気接点110は、くぼみ112の底部に隣接して提供されている。くぼみは、二次装置102を受けるように構成されている。一次装置100の構成要素は、ハウジング116内に格納される。
【0039】
二次装置102は、第二の電池126、二次制御電子回路128および電気接点130を備える。上述の通り、二次装置102の第二の再充電可能電池126は、電気接点130が一次装置100の電気接点110と接触している時に第一の電池106から電力供給を受けるように構成されている。二次装置102は、喫煙物品104を受けるように構成されたくぼみ132をさらに含む。例えば、ブレードヒーターの形態のヒーター134は、くぼみ132の底部に提供される。使用時、ユーザーが二次装置102を起動すると、電力が電池126から制御電子回路128を経由してヒーター134に供給される。ヒーターは、エアロゾル発生物品104のエアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な標準使用温度に加熱される。二次装置102の構成要素は、ハウジング136内に格納される。このタイプの二次装置は、例えばEP2110033により詳細に記述されている。
【0040】
エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含むことが好ましい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、非たばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は、さらにエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0041】
エアロゾル形成基体は固体の基体であってもよい。固体基体は、例えば、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこおよび膨化たばこのうち1つ以上を含む、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートのうち一つ以上を含みうる。あるいは、エアロゾル形成基体は、液体基体でもよく、また喫煙物品は、液体基体を保持するための手段を含みうる。
【0042】
この例では、二次装置102は電気加熱式の喫煙装置である。このような二次装置102は小さい(従来的な紙巻たばこのサイズ)が、数分間(一回の喫煙セッションのために一般的にはおよそ7分間)、高電力を送達しなければならない。次に第二の電池を、再充電のために一次装置100に戻す必要がありうる。再充電は、少なくとももう一回の完全な喫煙体験が許容されるのに十分なレベルで、数分程度で、好ましくは6分未満で、完了することが望ましい。
【0043】
一次装置の第一の電池106は、それ自体の再充電が必要になる前に、第二の電池126を数回再充電するのに十分な電荷を保持するように構成されている。これによって、電気コンセントから再充電する前に、数回の喫煙セッションが可能なポータブルシステムがユーザーに提供される。
【0044】
小さなサイズ、十分な容量で安全だが、素早く充電および放電することに加えて許容可能な寿命を持つという第二の電池126の競合要件を満足するために、この例のように、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)電池ケミストリーを使用しうる。この例の第二の電池126は円筒形であり、直径10mm、長さ37mmである。この電池は、サイクル当たり900Jを越える8000サイクルの充電/放電に耐えることができる。平均充電レートは最大12Cである。1Cの充電レートは、ゼロ充電からフル充電まで1時間で電池が完全充電されることを意味し、また2Cの充電レートは、ゼロ充電からフル充電まで半時間で電池が完全充電されることを意味する。電池容量は125mAh程度である。最大充電電流は、980mA〜1.5Aの範囲でありうる。放電は、最大2Aの1ミリ秒のパルスを使用して実施される。放電レートはヒーターの抵抗に依存し、これはさらにヒーター温度に依存している。周囲温度では放電レートは28Cと高いが、高めの温度ではヒーターの抵抗が増大するため低下する。一般的な使用温度では、放電レートは約13Cである。代替品として、チタン酸リチウム電池を第二の電池のために使用しうる。
【0045】
一次ユニット100の第一の電池106は、プリズムタイプのコバルト酸リチウム(LiCoO2)である。第一の電池は、約1350mAhの容量を持ち、第二の電池の容量の10倍を超える。第二の電池は、第一の電池から2C〜16Cの間のレートで充電されうる。第一の電池が1Cのレートで放電されると、10Cを越える充電レートで第二の電池に供給される。第一の電池の充電は、0〜1.5Cのレートで、通常は電池寿命を最大化するために約0.5Cのレートで、幹線給電から実施されうる。
【0046】
コバルト酸リチウム電池は、リン酸鉄リチウムよりも高い電池の電圧を提供し、単一のコバルト酸リチウム電池からのリン酸鉄リチウム電池の充電を可能にする。
【0047】
図2は、充電システムの概略回路図である。第一の電池106は関連付けられた内部抵抗107を持つ。制御電子回路は、コントローラ200およびスイッチモード電力変換装置205を備える。スイッチモード電力変換装置205は、第一の電池と第二の電池の間に接続されている。コントローラ200は、スイッチモード電力変換装置内部のスイッチ206を切り替え、またそれによって第二の電池126にかけられる電圧および電流を調整するように構成される。この例のスイッチモード電力変換装置205は、統合型バックブーストコンバータである。
【0048】
図3は、第二の電池を充電するための標準的な充電プロフィールを示す。
図3は、第一の電池210からの充電電圧、充電装置からの充電電流220、および充電されている第二の電池にかけられる充電電圧230を示す。充電プロフィールは、初期定電流位相300から成る。定電流位相300中に、充電電圧230は一定の最大充電電流I
chを提供するように制御される。これは、スイッチモード電力変換装置をオンに切り替えて、最大
デューティサイクルで第一の電池から電力変換装置に電圧パルスを適用することにより達成される。これにより、最大レートの充電が提供される。ところが、定充電電流位相300は、最大充電電流を維持するために要求される第一の電池からの充電電圧が最大充電電圧V
chを越えた時に終わる。V
chは、第二の電池の寿命を保つレベルに設定される。
図3では時点303で示されるこの段階に達すると、定電圧位相302が始まる。定電圧位相中、充電電圧230は最大V
chに保持される。定電圧位相中、充電電圧230と第二の電池の電池電圧との間の差が低下すると充電電流220は低下する。充電プロセスは、充電電流220が低い閾値I
endに達すると停止する。最大充電電流および最大充電電圧は、電池製造者によって設定される。
【0049】
図3に図示した充電プロフィールは、
図1を参照しながら説明した通り、システムで使用されうる。ところが、電池間充電システムでは、充電用電池の老化に伴いその内部抵抗107は増大し、したがって供給可能な電圧が減少する。ただし、定電流位相での最も急速な充電のためには、第一の電池からの充電電圧は、最大充電電圧V
chに達することができなければならない。そうでなければ、急速充電プロセスを完了できない。したがって、従来のシステムでは、第一の電池が急速充電プロセスに必要な最小電圧をもはや供給できなくなった時には再充電または交換される必要がある。
【0050】
図4は、本発明の実施形態による充電プロフィールを図示したものである。
図4では、第一の電池からの電池の電圧は、第一の電池が老化してより大きな内部抵抗を持つため、
図3と比較して低下している。
図4から、充電電流420は、充電電圧430がその最大V
chに達する前に、すなわち定電流位相が普通に終わる前に低下することが分かる。充電電流420は、要求されるレベルで充電電圧430を維持するために低減される。これは、第一の電池からの電池の電圧410出力を事前設定した閾値レベル3.5ボルトより高く保つために電流を調節することにより実行される。充電電圧430がV
chに達した時、充電電流は、充電電圧をV
ch以下に維持するためにさらに低減される。充電電流がI
endに低下した時、プロセスは再び終了する。
【0051】
図5は、
図3または
図4に示すプロフィールに従い、電流を調整するために使用される制御プロセスを図示したものである。プロセスは工程500で始まり、ここでプロセスのサイクル数の計数が1つ増加する。次に、工程505では、計数が奇数または偶数のどちらに達したかが判定される。偶数の場合、プロセスは工程510に進み、ここで、第一の電池からのエネルギーがスイッチモード電力変換装置内に蓄積しないように、プロセッサは、スイッチモード電力変換装置内のスイッチをオフに切り替える。次に、プロセスは工程500に戻り、ここでサイクルの計数が1つ増加する。
【0052】
次に、工程505で偶数に達したと判定されると、プロセスは工程515に進む。工程515では、第二の電池にかかる充電電圧が最大許容電圧V
chに達したかどうかが判定される。標的の電圧に達した場合には、充電電圧を低下させるために充電電流が低減される必要があるため、電力変換装置内のスイッチはオフのままである。次に、プロセスは工程520に進み、ここで、定電流位相が終了したという表示がユーザーに提供できるように、プロセッサ内で電圧限度フラグが設定される。
【0053】
第二の電池にかかる充電電圧が最大電圧よりも低い場合には、プロセスは工程525に進む。
図3および4の充電プロフィールでわかる通り、工程525では、第二の電池への電流が標的の電流I
endと比較され、それよりも低くなると充電プロセスが停止されることになる。充電電流が標的の電流より低い場合、プロセスは工程530に進み、ここで電流制限フラグが設定される。電流制限フラグは、エンドユーザーに充電が完了したことを示すために使用される。
【0054】
充電電流が標的の電流よりも大きい場合、プロセスは工程535に進む。工程535では、第一の電池からの電圧が急速充電のための最小必要電圧よりも大きいかどうかが判定される。第一の電池の電池電圧が最小必要電圧よりも大きい場合には、工程545で、プロセッサは電気エネルギーが第一の電池から引き出され、第二の電池にかけられるために電力変換装置内に蓄積されるように、スイッチモード電力変換装置内のスイッチをオンに切り替える。第一の電池の電池電圧が最小必要電圧よりも大きくない場合には、スイッチモード電力変換装置内のスイッチはオフのままであり、また工程540では、プロセッサは、第一の電池で再充電または交換が必要であることをエンドユーザーに表示できるように制限電池フラグを設定する。
【0055】
各工程520、530、540および545の後、プロセスは工程550に進む。工程550では、第一の電池および第二の電池の電圧が新たに測定され、充電電流が新たに測定される。次にこれらの測定値は、次の奇数サイクルで対応する標的値とすぐに比較できるデジタル形式に変換される。
【0056】
次の偶数サイクルで、工程510では、スイッチモード電源内のスイッチがオフに切り替えられ、スイッチモード電源内に蓄積されたエネルギーが第二の電池への充電電流として適用される。先行するサイクル中に工程545でスイッチがオン状態に切り替えられていた場合、第二の電池への電圧出力は、先行するサイクルでスイッチがオン状態に切り替えられなかった場合よりも高いレベルになる。低めの出力電圧は、少なめの電流が第一の電池から引き出されることを意味する。第一の電池から低めの電流を引き出すことは、より低い電圧が第一の電池の内部抵抗で低下するため、第一の電池からの電池の電圧を増大させる効果を持つ。
図4のプロフィールで分かる通り、最小必要な標的電圧が3.5ボルトの時、この仕組みは電流低下の際に第一の電池の電池電圧を約3.5ボルトに維持する効果を持つ。
図5のプロセスはまた、完全に充電された時には充電電流が第二の電池にかけられないように確保する。
【0057】
このプロセスにより、定電流の後に定電圧という標準の急速充電プロセスを用いてできるよりも数回多く第一の電池が第二の電池を再充電できるようになる。これは、その余分な充電サイクルに対する充電速度を犠牲にしてなされるが、多くの場合、余分な充電サイクルは便利さという点でユーザーにとって大きな利益がある。プロセスは、比較的低い損失を被るため、電力変換装置を使用して第一の電池の電圧を単に上げようとする方法と比較してエネルギー効率が高い。
【0058】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことにより、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態は今や当業者には明らかとなろう。