特許第6845148号(P6845148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6845148電気外科的応用のための液体トラップ又は分離器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845148
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】電気外科的応用のための液体トラップ又は分離器
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/04 20060101AFI20210308BHJP
   A61B 18/20 20060101ALI20210308BHJP
   G01N 27/622 20210101ALI20210308BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20210308BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20210308BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20210308BHJP
   A61B 17/32 20060101ALI20210308BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   H01J49/04 220
   H01J49/04 310
   A61B18/20
   G01N27/62 101
   G01N27/62 V
   G01N27/62 F
   A61B1/018 515
   A61B18/12
   A61B17/32 510
   A61B18/18 100
【請求項の数】15
【全頁数】63
(21)【出願番号】特願2017-546868(P2017-546868)
(86)(22)【出願日】2016年3月7日
(65)【公表番号】特表2018-515874(P2018-515874A)
(43)【公表日】2018年6月14日
(86)【国際出願番号】GB2016050615
(87)【国際公開番号】WO2016142686
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2019年1月17日
(31)【優先権主張番号】1503878.9
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503876.3
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503864.9
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503877.1
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503867.2
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503863.1
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1516003.9
(32)【優先日】2015年9月9日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1518369.2
(32)【優先日】2015年10月16日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1503879.7
(32)【優先日】2015年3月6日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504142097
【氏名又は名称】マイクロマス ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189544
【弁理士】
【氏名又は名称】柏原 啓伸
(72)【発明者】
【氏名】タマーシュ・カランチ
(72)【発明者】
【氏名】ラヨシュ・ゴドルハージィ
(72)【発明者】
【氏名】ダーニエル・サライ
(72)【発明者】
【氏名】ゾルターン・タカーチュ
(72)【発明者】
【氏名】ユーリア・バログ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・デレク・プリングル
(72)【発明者】
【氏名】ダーニエル・シモン
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0276775(US,A1)
【文献】 特開2007−218916(JP,A)
【文献】 特開昭63−243864(JP,A)
【文献】 Karl−Christian, et al.,In Vivo, In Situ Tissue Analysis Using Rapid Evaporative Ionization Mass Spectrometry,Angewandte Chemie International Edition,EU,Wiley Inter Science,2009年10月19日,Vol.48,No.44,PP.8240−8242
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 49/04
G01N 27/62
A61B 1/018
A61B 18/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析及び/又はイオン移動度分光分析のための器具であって、
標的からエアゾール、煙、又は蒸気を発生させるように配置され、適応された第1の装置と、
分析器に又は分析器に向かってエアロゾル、煙、蒸気、及び/又は液体を吸引するように配置され、適応された1つ又は複数の第2の装置と、
液体トラップ又は分離器であって、液体収集装置又はドレーン管と、前記液体トラップ又は前記分離器が吸引された液体を検出するように配置され、適応された液体検出器とを備える液体トラップ又は分離器と
を備え、
前記液体トラップ又は前記分離器が、前記1つ又は複数の第2の装置によって吸引された液体を捕捉及び/又は廃棄するように配置され、適応され、
前記液体検出器が吸引された液体を検出するときに、次いで前記液体トラップ又は前記分離器が前記液体の少なくとも一部を前記液体収集装置又は前記ドレーン管に迂回させるように配置され、適応されるべく、前記液体トラップ又は前記分離器がさらに配置され、適応された器具。
【請求項2】
内視鏡をさらに備え、
前記第1の装置が前記内視鏡プローブを備える又は前記内視鏡プローブの部分を形成し、
前記第1の装置が前記内視鏡プローブのポートを通して配備されるように配置され、適応される、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記第1の装置が周囲イオン若しくはイオン化源を備える若しくは周囲イオン若しくはイオン化源の部分を形成する、又は前記第1の装置が周囲イオン若しくはイオン化源若しくは他のイオン化源による以後のイオン化のために前記エアロゾル、前記煙、又は前記蒸気を発生させる、請求項1又は2に記載の器具。
【請求項4】
前記第1の装置が、前記標的に照射するためのレーザーを備える、請求項1から3のいずれかに記載の器具。
【請求項5】
前記第1の装置が、(i)急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)イオン源、(ii)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(iii)レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(iv)熱脱離イオン源、(v)レーザーダイオード熱脱離(「LDTD」)イオン源、(vi)電気流集束による脱着イオン化(「DEFFI」)イオン源、(vii)誘電体バリア放電(「DBD」)プラズマイオン源、(viii)大気圧固体分析プローブ(「ASAP」)イオン源、(ix)超音波支援スプレーイオン化イオン源、(x)簡便な大気圧音波スプレーイオン化(「EASI」)イオン源、(xi)脱離大気圧光イオン化(「DAPPI」)イオン源、(xii)ペーパースプレー(「PS」)イオン源、(xiii)噴流脱離イオン化(「JeDI」)イオン源、(xiv)タッチスプレー(「TS」)イオン源、(xv)ナノDESIイオン源、(xvi)レーザーアブレーションエレクトロスプレー(「LAESI」)イオン源、(xvii)リアルタイム直接分析(「DART」)イオン源、(xviii)プローブエレクトロスプレーイオン化(「PESI」)イオン源、(xix)固体プローブ支援エレクトロスプレーイオン化(「SPA‐ESI」)イオン源、(xx)キャビトロン超音波外科用吸引器(「CUSA」)装置、(xxi)集束超音波切除装置又は非集束超音波切除装置、(xxii)マイクロ波共鳴装置、及び(xxiii)パルスプラズマRF切開装置から成るグループから選択されるイオン源を備える、請求項1から4のいずれかに記載の器具。
【請求項6】
前記液体トラップ又は前記分離器が、前記液体検出器が吸引された液体を検出するとき、次いで前記液体トラップ又は前記分離器が前記液体の少なくとも一部を捕捉及び/又は廃棄するようにさらに配置され、適応されてよいように配置され、適応される、請求項1から5のいずれかに記載の器具。
【請求項7】
前記液体検出器が、光透過検出器、光反射検出器、超音波透過検出器、超音波反射率検出器、及び/又は電気的検出器を備える、請求項1から6のいずれかに記載の器具。
【請求項8】
前記液体トラップ又は前記分離器が、吸引された液体を吸収及び/又は捕捉及び/又は廃棄するように配置され、適応された1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料を備える、請求項1から7のいずれかに記載の器具。
【請求項9】
前記液体トラップ又は前記分離器が、液体遠心分離機を備える、請求項1から8のいずれかに記載の器具。
【請求項10】
前記液体トラップ又は前記分離器は入口を備える密閉されたチャンバを備え、前記液体トラップ又は前記分離器が、使用中、前記エアロゾル、前記煙、若しくは前記蒸気、及び/又は前記液体が前記入口を通して前記チャンバの中に導入されるように配置され、適応され、
前記密閉されたチャンバがさらに出口を備え、前記液体トラップ又は前記分離器が、使用中、エアロゾル、煙、及び/又は蒸気が、液体が実質的にチャンバを離れることなく、前記出口を通って前記チャンバを離れることができるように配置され、適応される、請求項1から9のいずれかに記載の器具。
【請求項11】
使用中、前記入口の出口は、前記出口の入口の下方に位置する、請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記液体トラップ又は前記分離器が最大水位の又は最大水位に近い液体を含むときに、前記器具のユーザにフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を生成するように配置され、適応される装置をさらに備える、請求項1から11のいずれかに記載の器具。
【請求項13】
前記液体トラップ又は前記分離器が最大水位の又は最大水位に近い液体を含む場合に、前記器具への電力を削減若しくは停止する、又はそれ以外の場合前記器具を無効にするように配置され、適応される装置をさらに備える、請求項1から12のいずれかに記載の器具。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の器具を備える質量分析計及び/又はイオン移動度分光計。
【請求項15】
人間の手術及び治療のためでなく質量分析及び/又はイオン移動度分光分析のための方法であって、
第1の装置を使用し、標的からエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させることと、
分析器に又は分析器に向かってエアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を吸引することと、
液体収集装置又はドレーン管と液体検出器とを備える液体トラップ又は分離器を使用して、吸引された液体を捕捉及び/又は廃棄することとを含み、
前記液体検出器が吸引された液体を検出するときに、次いで前記液体トラップ又は前記分離器が前記液体の少なくとも一部を前記液体収集装置又は前記ドレーン管に迂回させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503876.3号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503864.9号、2015年10月16日に出願された英国特許出願第1518369.2号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503877.1号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503867.2号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503863.1号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503878.9号、2015年3月6日に出願された英国特許出願第1503879.7号、及び2015年9月9日に出願された英国特許出願第1516003.9号に基づく優先権及び利点を主張する。これらの出願の内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、概して質量分析及び/又はイオン移動度分光分析に関し、特に例えば急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)等の周囲イオン化質量分析及び/又はイオン移動度分光分析を実行するための器具、質量分析計、イオン移動度分光計、例えば急速蒸発イオン化質量分析等の周囲イオン化質量分析及び/又はイオン移動度分光分析の方法、質量分析の方法、イオン移動度分光分析の方法、電気手術の方法、並びに電気手術器具に関する。周囲イオン化イオン源によって生成される検体イオンが次いで(i)例えば四重極質量分析器又は飛行時間型質量分析器等の質量分析器又は質量フィルタによる質量分析、(ii)イオン移動度分析(IMS)及び/又は差動イオン移動度分析(DMA)及び/又は非対称場イオン移動度分光法(FAIMS)分析、並びに/又は(iii)例えば四重極質量分析器又は飛行時間型質量分析器等の質量分析器又は質量フィルタによる第2の質量分析が後に続く、第1のイオン移動度分析(IMS)及び/又は差動イオン移動度分析(DMA)及び/又は非対称場イオン移動度分光法(FAIMS)分析の組合せ(又はその逆)のどれかを受ける、多様な実施形態が意図される。また、多様な実施形態は、イオン移動度分光計及び/又は質量分析器、並びにイオン移動度分光分析の方法及び/又は質量分析の方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
消化管がんは死亡率の主要な原因であり、世界中のがんに関連した死亡の23%を占める。これらのがんの結果を改善するためには、正確な診断を容易にするために新規の組織性状診断方法が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)は、例えば外科的介入の間等、組織のリアルタイム識別に使用されてよい。質量分析を外科的ジアテルミーに結合した結果、92〜100%の術内組織識同定精度を有するサンプリング技術が生まれた。
【0005】
このサンプリング技術は、すべてのがん組織が除去されるのを確実にしつつ除去される健常組織の量を最小限に抑えることによって、外科医がより効率的に術内で腫瘍を切除することを可能にする。
【0006】
生物学的組織の急速蒸発イオン化質量分析法の分析は、特にマトリックス支援レーザー脱離イオン化法(「MALDI」)、二次イオン質量分析法(「SIMS」)、及び脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イメージングと同様に、高い組織学的特異度及び病理組織学的特異度を示すリン脂質プロファイルを生じさせることが示されている。質量分析信号及び/又はイオン移動度分光信号は、荷電粒子及び中性粒子の脱離とともに局所化したジュール加熱及び細胞の破壊を引き起こす無線周波数で細胞バイオマスを交流電流にさらすことによって入手される。結果として生じるエアゾール又は手術排煙(surgical smoke)は、次いでオンライン質量分光解析及び/又はイオン移動度分光解析のために質量分析計及び/又はイオン移動度分光計に移送される。
【0007】
既知の急速蒸発イオン化質量分析技法は、通常、手術によりアクセスされる外部の1つ又は複数の組織に対して実行される。
【0008】
急速蒸発イオン化質量分析の改善された方法及び急速蒸発イオン化質量分析のための改善された器具を提供することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
態様によると、
標的からエアゾール、煙、又は蒸気を発生させるように配置され、適応された第1の装置と、
分析のために分析器に又は分析器に向かってエアロゾル、煙、蒸気、及び/又は液体を吸引するように配置され、適応された1つ又は複数の第2の装置と、
1つ又は複数の第2の装置によって吸引された液体を捕捉及び/又は廃棄するように配置され、適応された液体トラップ又は分離器と、
を含む、質量分析及び/又はイオン移動度分光分析のための器具が提供される。
【0010】
多様な実施形態は、質量分析及び/又はイオン移動度分光分析のための器具、及び特に、例えば標的組織又は試料からエアロゾル、煙(例えば、手術排煙)又は蒸気を発生させるように配置され、適応される電気手術ツール等の第1の装置を含む、急速蒸発イオン化質量分析を実行するための器具を対象とする。エアロゾル、煙、又は蒸気は、分析のために吸引され、分析器に移送されてよい。
【0011】
第1の装置は内視鏡プローブを含んでよい、又は内視鏡プローブの一部を形成してよい。したがって、多様な実施形態に従って、器具は質量分光解析及び/又はイオン移動度分光解析、特に例えば消化管がんの治療のための、内視鏡的環境における又は内視鏡的環境の急速蒸発イオン化質量分析法の分析を実行するために使用されてよい。
【0012】
しかしながら、出願者は、質量分光解析及び/又はイオン移動度分光解析、特に内視鏡的環境における又は内視鏡的環境の急速蒸発イオン化質量分析法の分析を実行することがいくつかの課題を呈することに気付いた。
【0013】
例えば、内視鏡的環境は通常湿っており、これは液体が分析器に達するのを防ぐ(又は少なくとも分析器に達する液体の量を削減する)戦略を必要とする。これは、内視鏡的環境に存在する液体が、通常関心のある組織試料に関係せず、さらに分析器に損傷を与えることがあるためである。
【0014】
しかしながら、出願人は、初期に、例えば内視鏡プローブの中に吸引される液体の量を削減することを目的とする戦略が、装置の動作に不利な副作用をもたらすことがあり、さらに多くの場合、内視鏡サンプリングでの相対的に閉じられた環境のために効果的ではないことがあることに気付いた。
【0015】
したがって、出願者は内視鏡的環境において又は内視鏡的環境の質量分光解析及び/又はイオン移動度分光解析、並びに特に急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)又は関連する分析を実行するとき、多様な実施形態に従って、例えば1つ又は複数の第2の装置及び/又は内視鏡プローブによる所望されない液体の吸引を可能にし、次いで所望されない液体を除去して、所望されない液体が分析器に到達することを妨げることが有益であることに気付いた。
【0016】
したがって、多様な実施形態に従って、第1の装置(例えば、電気手術ツール)と分析器との間に液体トラップ又は分離器が設けられてよい。液体トラップ又は分離器は、エアロゾル、手術排煙、又は蒸気が相対的に自由に分析器へ又は分析器に向かって通過できるようにしながらも、分析(例えば、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)分析)中に発生する所望されるエアロゾル、手術排煙、又は蒸気とともに、例えば1つ又は複数の第2の装置及び/又は内視鏡プローブによって吸引されてよい所望されない液体を捕捉及び/又は廃棄するために動作してよい。有益なことに、これは、エアロゾル、排煙、又は蒸気の測定に影響を及ぼさずに、所望されない液体が分析器に達するのを妨げる。
【0017】
多様な実施形態に従って、液体トラップ又は分離器は、使用中、内視鏡的環境の外部になる、つまり内視鏡プローブの一部を形成しないように配置されてよい。つまり、液体が最初に内視鏡プローブによって吸引されるのを妨げるための追加の手段を提供する必要はない(又は代わりに、少なくとも任意の係る手段のサイズは最小限に抑えることができる)ので、内視鏡プローブのサイズを有益なことに最小限に保つことができる。
【0018】
さらに、器具は、最小死容積を有するように配置されてよく、このようにして例えば外科的介入の間に吸引された液体を貯蔵するのに十分なトラッピング容積を有するために、容易に清掃可能及び/又は処理可能であるために、並びにエアロゾル若しくは手術排煙の組成を変更しない、したがって測定結果に影響を与えないために、高速動作及び最小遅延を保証する。
【0019】
多様な実施態様に係る器具は、内視鏡的環境の分析を実行することとの関連で特に有益であるが、他の状態でも役立つことがある。例えば、関心のある標的(つまり、第1の装置によって分析されている)に関係しない液体が分析器に又は分析器に向かって吸引されることがある多様な実施形態に係る器具のいくつかの応用例がある。例えば、多様な実施形態では、生理食塩水、血液、尿、粘液、及び/又は他の体液が、関心のある標的(例えば、組織)を分析するときに分析器に又は分析器に向かって吸引されることがある。したがって、多様な実施形態に従って、液体トラップ又は分離器は、液体が分析器に達する(及び潜在的に損傷を与える)のを妨げるためにこれらの液体の任意の1つ若しくは複数又はすべてを捕捉及び/又は廃棄してよい。
【0020】
したがって、多様な実施形態が質量分析及び/又はイオン移動度分光分析のための改善された方法及び器具を提供することが理解される。
【0021】
器具は内視鏡を含むことがある。
【0022】
内視鏡は、内視鏡的環境を探査するための内視鏡プローブを含んでよい。
【0023】
第1の装置は、内視鏡プローブを含んでよい、又は内視鏡プローブの部分を形成してよい。
【0024】
第1の装置は、内視鏡プローブ内のポート又は開口部を通して配備されるように配置され、適応されてよい。
【0025】
内視鏡プローブは、第1の装置が中に位置してよい管組織又は筐体を含んでよい。
【0026】
管組織又は筐体は、任意選択で第1の装置が通って配備されてよいツール配備開口部を含んでよい。
【0027】
第1の装置は内視鏡プローブ、管組織、又は筐体の中で少なくとも部分的に格納式であってよい。
【0028】
液体トラップ又は分離器は第1の装置及び/若しくは内視鏡プローブの部分を形成しないことがある、又は第1の装置及び/若しくは内視鏡プローブとは別個であってよい。
【0029】
第1の装置は、周囲イオン若しくはイオン化源を含んでよい又は周囲イオン若しくはイオン化源の部分を形成してよい、又は第1の装置は周囲イオン若しくはイオン化源若しくは他のイオン化源による以後のイオン化のためにエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させてよい。
【0030】
第1の装置は、電気手術装置、ジアテルミー装置、超音波装置、ハイブリッド超音波電気手術装置、外科水噴射装置、ハイブリッド電気外科手術、アルゴンプラズマ凝固装置、ハイブリッドアルゴンプラズマ凝固装置、及び水噴射装置、並びに/又はレーザー装置を含んでよい。
【0031】
第1の装置は、(i)急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)イオン源、(ii)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(iii)レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(iv)熱脱離イオン源、(v)レーザーダイオード熱脱離(「LDTD」)イオン源、(vi)電気流集束による脱着イオン化(「DEFFI」)イオン源、(vii)誘電体バリア放電(「DBD」)プラズマイオン源、(viii)大気圧固体分析プローブ(「ASAP」)イオン源、(ix)超音波支援スプレーイオン化(ultrasonic assisted spray ionisation)イオン源、(x)簡便な大気圧音波スプレーイオン化(「EASI」)イオン源、(xi)脱離大気圧光イオン化(「DAPPI」)イオン源、(xii)ペーパースプレー(「PS」)イオン源、(xiii)噴流脱離(jet desorption)イオン化(「JeDI」)イオン源、(xiv)タッチスプレー(touch spray)(「TS」)イオン源、(xv)ナノDESIイオン源、(xvi)レーザーアブレーションエレクトロスプレー(「LAESI」)イオン源、(xvii)リアルタイム直接分析(「DART」)イオン源、(xviii)プローブエレクトロスプレーイオン化(「PESI」)イオン源、(xix)固体プローブ支援エレクトロスプレーイオン化(「SPA‐ESI」)(solid‐probe assisted electrospray ionisation)イオン源、(xx)キャビトロン超音波外科用吸引器(「CUSA」)装置、(xxi)集束超音波切除装置又は非集束超音波切除装置、(xxii)マイクロ波共鳴装置、及び(xxiii)パルスプラズマRF切開装置から成るグループから選択されるイオン源を含んでよい。
【0032】
第1の装置は、1つ又は複数の電極を含んでよく、第1の装置は、標的を1つ又は複数の電極と接触させることによって標的からエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるように配置され、適応されてよい。
【0033】
1つ又は複数の電極はスネアを含んでよく、任意選択でスネアはポリープ切除スネアを含む。
【0034】
1つ又は複数の電極は、1つ又は複数のフック、1つ又は複数のグラバー、1つ又は複数の刃、1つ又は複数のナイフ、1つ又は複数の鋸歯状の刃、1つ又は複数のプローブ、1つ又は複数の生検ツール、1つ又は複数のロボットツール、1つ又は複数のペンチ、1つ又は複数の電気手術ペンシル、1つ又は複数のピンセット、1つ又は複数のバイポーラピンセット、1つ又は複数の凝固装置、1つ又は複数の洗浄装置、及び1つ又は複数のイメージングツールを含んでよい。
【0035】
1つ又は複数の電極は、(i)単極装置であって、器具は任意選択でさらに別個の対極板を含む、単極装置、(ii)双極装置、又は(iii)多相RF装置のどれかを含んでよく、器具は任意選択でさらに1つ又は複数の別個の対極板を含む。
【0036】
1つ又は複数の電極は、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)装置を含んでよい。
【0037】
器具は、エアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるために1つ又は複数の電極にAC電圧又はRF電圧を印加するように配置され、適応された装置を含んでよい。
【0038】
AC電圧又はRF電圧を1つ又は複数の電極に印加するための装置は、AC電圧又はRF電圧の1つ又は複数のパルスを1つ又は複数の電極に印加するように配置されてよい。
【0039】
1つ又は複数の電極に対するAC電圧又はRC電圧の印加は、熱を標的の中に消散させてよい。
【0040】
第1の装置は、標的に照射するためのレーザーを含んでよい。
【0041】
第1の装置は、ジュール加熱又はジアテルミーによる標的からの標的物質の直接的な蒸発又は気化によって標的からエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるように配置され、適応されてよい。
【0042】
第1の装置は、超音波エネルギーを標的に向けるように配置され、適応されてよい。
【0043】
エアロゾルは、任意選択で細胞物質を含む非荷電水滴を含んでよい。
【0044】
第1の装置によって発生し、エアロゾルを形成する質量又は物質の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%は、小滴の形であってよい。
【0045】
第1の装置はエアロゾルを生成するように配置され、適応されてよく、エアロゾルのソーター平均直径(「SMD」、d32)は、(i)<5μm、(ii)5〜10μm、(iii)10〜15μm、(iv)15〜20μm、(v)20〜25μm、又は(vi)>25μmの範囲内にある。
【0046】
エアロゾルは、レイノルズ数(Re)が(i)<2000、(ii)2000〜2500、(iii)2500〜3000、(iv)3000〜3500、(v)3500〜4000、又は(vi)>4000の範囲の流域を横断してよい。
【0047】
実質的にエアロゾルを発生させる点で、エアロゾルは(i)<50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、及び(xxi)>1000から成るグループから選択されるウェーバー数(We)を有する小滴を含んでよい。
【0048】
実質的にエアロゾルを発生させる点で、エアロゾルは(i)1〜5、(ii)5〜10、(iii)10〜15、(iv)15〜20、(v)20〜25、(vi)25〜30、(vii)30〜35、(viii)35〜40、(ix)40〜45、(x)45〜50、及び(xi)>50の範囲内のストークス数(S)を有する小滴を含んでよい。
【0049】
実質的にエアロゾルを発生させる点で、エアロゾルは(i)<20m/秒、(ii)20〜30m/秒、(iii)30〜40m/秒、(iv)40〜50m/秒、(v)50〜60m/秒、(vi)60〜70m/秒、(vii)70〜80m/秒、(viii)80〜90m/秒、(ix)90〜100m/秒、(x)100〜110m/秒、(xi)110〜120m/秒、(xiii)120〜130m/秒、(xiii)130〜140m/秒、(xiv)140〜150m/秒、及び(xv)>150m/秒から成るグループから選択される平均軸速度を有する小滴を含んでよい。
【0050】
標的は、天然の標的物質又は改質されていない標的物質を含んでよい。
【0051】
標的は、生物組織、生体物質、細菌集落、又は真菌集落を含んでよい。
【0052】
生物組織は、人間の組織又は人間以外の動物組織を含んでよい。
【0053】
生物組織は、インビボの生物組織を含んでよい。
【0054】
生物組織は、副腎組織、虫垂組織、嚢組織、骨、腸組織、脳組織、乳房組織、気管支、冠状組織、耳組織、食道組織、目組織、胆嚢組織、生殖器組織、心臓組織、視床下部組織、腎臓組織、大腸組織、腸組織、咽頭組織、肝組織、肺組織、リンパ節、口腔組織、鼻組織、膵臓組織、副甲状腺組織、下垂体組織、前立腺組織、直腸組織、唾液腺組織、骨格筋組織、皮膚組織、小腸組織、脊髄、脾臓組織、胃組織、胸腺組織、気管組織、甲状腺組織、尿管組織、尿道組織、軟組織及び結合組織、腹膜組織、血管組織、及び/又は脂肪組織、(ii)グレードI、グレードII、グレードIII、又はグレードIVがん組織、(iii)転移性がん組織、(iv)混合グレードがん組織、(v)サブグレードがん組織、(vi)健常組織若しくは正常組織、又は(vii)がん組織若しくは病的組織を含んでよい。
【0055】
第1の装置は、ポイントオブケア(「POC」)装置、診断装置、又は手術装置を含んでよい。
【0056】
1つ又は複数の第2の装置は、吸引されたエアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を分析器に又は分析器に向かって移送するようにさらに配置され、適応されてよい。
【0057】
1つ又は複数の第2の装置は、吸引されたエアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を、液体トラップ又は分離器を介して分析器に又は分析器に向かって移送するように配置され、適応されてよい。
【0058】
器具はさらに1つ又は複数の管又は流線を含んでよく、1つ又は複数の第2の装置は、1つ又は複数の管又は流線を通して吸引されたエアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を移送するように配置され、適応されてよい。
【0059】
1つ又は複数の管又は流線は、第1の装置を液体トラップ又は分離器に接続、及び/又は第1の装置を分析器に接続してよい。
【0060】
1つ又は複数の管又は流線は、(i)第1の装置を液体トラップ又は分離器に接続する1つ又は複数の第1の管又は流線、及び(ii)流体トラップ又は分離器を分析器に接続する1つ若しくは複数の第2の管又は流線を含んでよい。
【0061】
1つ又は複数の第2の装置は、1つ又は複数の開窓又は吸引ポートを通してエアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を吸引するように配置され、適応されてよい。
【0062】
内視鏡プローブは、1つ又は複数の開窓又は吸引ポートを含んでよい。
【0063】
1つ又は複数の第2の装置は、エアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を分析器に又は分析器に向かって吸引及び/又は移送させるように配置され、適応された1つ又は複数のポンプを含んでよい。
【0064】
液体トラップ又は分離器は、吸引された液体を検出するように配置され、適応された液体検出器を含んでよい。
【0065】
液体トラップ又は分離器は、液体検出器が吸引された液体を検出するとき、次いで液体トラップ又は分離器が液体の少なくとも一部を捕捉及び/又は廃棄するようにさらに配置され、適応されてよいように配置され、適応されてよい。
【0066】
液体トラップ又は分離器は液体収集装置又はドレーン管を含んでよい。
【0067】
液体トラップ又は分離器は、液体検出器が吸引された液体を検出するとき、次いで液体トラップ又は分離器が液体の少なくとも一部を液体収集装置又はドレーン管に迂回させるようにさらに配置され、適応されてよいように配置され、適応されてよい。
【0068】
液体検出器は、光透過検出器、光反射検出器、超音波透過検出器、超音波反射率検出器、及び/又は電気的検出器を含んでよい。
【0069】
電気的検出器は、1つ又は複数の管又は流線のセクションの導電率及び/又は電気抵抗を測定するように配置され、適応されてよい。
【0070】
電気的検出器は、1つ又は複数の管又は流線のセクションに設けられる2つ以上の電極間のキャパシタンスを測定するように配置され、適応されてよい。
【0071】
超音波透過検出器及び/又は超音波反射率検出器は、1つ又は複数の超音波送信機及び検出器の対を含んでよい。
【0072】
超音波透過検出器及び/又は超音波反射率検出器は、超音波エネルギーを吸収する吸引された液体に起因する超音波信号の変化を検出することによって吸引された液体を検出するように配置され、適応されてよい。
【0073】
液体トラップ又は分離器は、吸引された液体を吸収及び/又は捕捉及び/又は廃棄するように配置され、適応された1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料を含んでよい。
【0074】
液体トラップ又は分離器は、少なくとも部分的に1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料から形成された1つ又は複数の管又は流線を含んでよい。
【0075】
液体トラップ又は分離器は、エアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を、少なくとも部分的に1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料から形成された1つ又は複数の管又は流線を通して運ぶように配置され、適応されてよい。
【0076】
液体トラップ又は分離器は、液体遠心分離機を含んでよい。
【0077】
液体トラップ又は分離器は入口を含む密閉されたチャンバを含んでよく、液体トラップ又は分離器は、使用中、エアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体が入口を通してチャンバの中に導入されるように配置され、適応されてよい。
【0078】
密封されたチャンバは出口を含んでよく、液体トラップ又は分離器は、使用中、エアロゾル、煙、及び/又は蒸気が、液体が実質的にチャンバを離れることなく、出口を通ってチャンバを離れることができるように配置され、適応されてよい。
【0079】
使用中、入口の出口は、出口の入口の下方に位置してよい。
【0080】
器具は、液体トラップ又は分離器が最大水位の又は最大水位に近い液体を含むときに、器具のユーザにフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を生成するように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0081】
器具は、液体トラップ又は分離器が最大水位の又は最大水位に近い液体を含む場合に、器具への電力を削減若しくは停止する、又はそれ以外の場合器具を無効にするように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0082】
液体は、水、唾液、消化液、糜粥、生理食塩水、血液、尿、粘液、及び/又は1つ若しくは複数の他の体液を含んでよい。
【0083】
態様に従って、上述された器具を含む質量分析計及びイオン移動度分光計が提供される。
【0084】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、エアロゾル、煙、及び/又は蒸気を質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に運ぶように配置され、適応されてよい。
【0085】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、エアロゾル、煙、及び/又は蒸気をイオン化して検体イオンを形成するように配置され、適応されたイオン化装置を含んでよい。
【0086】
イオン化装置は、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に位置する衝突表面を含んでよい。
【0087】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、検体イオンを形成するためにエアロゾル、煙、及び/又は蒸気の少なくとも一部を衝突表面に当たらせるように配置され、適応されてよい。
【0088】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、衝突表面を加熱するように配置され、適応される加熱装置を含んでよい。
【0089】
加熱装置は衝突表面を、(i)約<100℃、(ii)約100〜200℃、(iii)約200〜300℃、(iv)約300〜400℃、(v)約400〜500℃、(vi)約500〜600℃、(vii)約600〜700℃、(viii)約700〜800℃、(ix)約800〜900℃、(x)約900〜1000℃、(xi)約1000〜1100℃、及び(xii)約>1100℃から成るグループから選択される温度に加熱するように配置され、適応されてよい。
【0090】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、マトリックスをエアロゾル、煙、及び/又は蒸気に添加するように配置され、適応された装置を含んでよい。
【0091】
マトリックスは、エアロゾル、煙、及び/又は蒸気が衝突表面に当たる前に、使用中、エアロゾル、煙、及び/又は蒸気に添加されてよい。
【0092】
マトリックスは、(i)エアロゾル、煙、及び/又は蒸気用の溶媒、(ii)有機溶媒、(iii)揮発性化合物、(iv)極性分子、(v)水、(vi)1つ又は複数のアルコール、(vii)メタノール、(viii)エタノール、(ix)イソプロパノール、(x)アセトン、及び(xi)アセトニトリルから成るグループから選択されてよい。
【0093】
マトリックスは、ロックマス化合物、ロック移動度化合物、又は較正化合物を含んでよい。
【0094】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、エアロゾル、煙、蒸気、及び/又は検体イオンを分析するように配置され、適応されてよい分析器を含んでよい。
【0095】
分析器は、(i)エアロゾル、煙、蒸気、若しくは検体イオン、及び/又はエアロゾル、煙、蒸気、検体イオンから導出されるイオンを質量分析する及び/又はイオン移動度分析するための質量分析器及び/又はイオン移動度分析器、(ii)エアロゾル、煙、蒸気、若しくは検体イオン、及び/又はエアロゾル、煙、蒸気、検体イオンから導出されるイオンのイオン移動度、衝突断面、又は相互作用断面を決定するためのイオン移動度装置、並びに/又は(iii)エアロゾル、煙、蒸気、又は検体イオンを分割する又は反応を起こさせるための1つ又は複数の断片化装置、衝突装置、又は反応装置を含んでよい。
【0096】
周囲イオン化イオン源によって生成される検体イオンが次いで(i)例えば四重極質量分析器又は飛行時間型質量分析器等の質量分析器又は質量フィルタによる質量分析、(ii)イオン移動度分析(IMS)及び/又は差動イオン移動度分析(DMA)及び/又は非対称場イオン移動度分光法(FAIMS)分析、並びに/又は(iii)例えば四重極質量分析器又は飛行時間型質量分析器等の質量分析器又は質量フィルタによる第2の質量分析が後に続く、第1のイオン移動度分析(IMS)及び/又は差動イオン移動度分析(DMA)及び/又は非対称場イオン移動度分光法(FAIMS)分析の組合せ(又はその逆)のどれかを受ける、多様な実施形態が意図される。また、多様な実施形態は、イオン移動度分光計及び/又は質量分析器、並びにイオン移動度分光分析の方法及び/又は質量分析の方法にも関する。
【0097】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、第1の装置のユーザにリアルタイム情報及び/又は遅延情報を提供するように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0098】
情報は、質量スペクトル情報及び/若しくはイオン移動度スペクトル情報、並びに/又は組織分類情報を含んでよい。
【0099】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、所望されない標的部位又は領域からの組織又は他の物質が分析されているとき、第1の装置のユーザにフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を生成するように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0100】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、所望されない標的部位又は領域からの組織又は他の物質が分析されている場合、第1の装置への電力を削減若しくは停止する、又はそれ以外の場合、第1の装置を無効にするように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0101】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、第1の装置が所望されない標的部位若しくは領域で動作している、及び/又は所望されない標的部位若しくは領域に位置するとき、第1の装置のユーザにフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を生成するように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0102】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、第1の装置が所望されない標的部位若しくは領域で動作している、及び/又は所望されない標的部位若しくは領域に位置する場合、第1の装置への電力を削減若しくは停止する、又はそれ以外の場合第1の装置を無効にするように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0103】
態様に従って、
第1の装置を使用し、標的からエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させることと、
分析器に又は分析器に向かってエアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を吸引することと、
液体トラップ又は分離器を使用し、1つ又は複数の第2の装置によって吸引される液体を捕捉及び/又は廃棄することと
を含む、質量分析及び/又はイオン移動度分光分析の方法が提供される。
【0104】
方法は、内視鏡を提供することを含んでよい。
【0105】
内視鏡は、内視鏡プローブを含んでよい。
【0106】
第1の装置は、内視鏡プローブを含んでよい又は内視鏡プローブの部分を形成してよい。
【0107】
内視鏡プローブは、第1の装置が中に位置してよい管組織又は筐体を含んでよい。
【0108】
管組織又は筐体はツール配備開口部を含んでよく、第1の装置は開口部を通して配備されてよい。
【0109】
第1の装置は、内視鏡プローブ、管組織、又は筐体の中で少なくとも部分的に格納されてよい、及び/又は内視鏡プローブ、管組織、又は筐体から拡張されてよい。
【0110】
方法は、内視鏡プローブを内視鏡的環境の中に挿入することを含んでよい。
【0111】
方法は、内視鏡プローブのポートを通して第1の装置を配備することを含んでよい。
【0112】
方法は、内視鏡的環境の内側でエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させることを含んでよい。
【0113】
液体トラップ又は分離器は、第1の装置及び/又は内視鏡プローブの部分を形成しなくてよい、又は第1の装置及び/又は内視鏡プローブとは別個であってよい。
【0114】
第1の装置は、電気手術装置、ジアテルミー装置、超音波装置、ハイブリッド超音波電気手術装置、外科水噴射装置、ハイブリッド電気外科手術、アルゴンプラズマ凝固装置、ハイブリッドアルゴンプラズマ凝固装置、及び水噴射装置、並びに/又はレーザー装置を含んでよい。
【0115】
第1の装置は、周囲イオン又はイオン化源を含んでよい若しくは周囲イオン又はイオン化源の部分を形成してよい、又は第1の装置は周囲イオン若しくはイオン化源若しくは他のイオン化源による以後のイオン化のためにエアロゾル、煙、又は蒸気を生成してよい。
【0116】
第1の装置は、(i)急速蒸発音化質量分析(「REIMS」)イオン源、(ii)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(iii)レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(iv)熱脱離イオン源、(v)レーザーダイオード熱脱離(「LDTD」)イオン源、(vi)電気流集束による脱着イオン化(「DEFFI」)イオン源、(vii)誘電体バリア放電(「DBD」)プラズマイオン源、(viii)大気圧固体分析プローブ(「ASAP」)イオン源、(ix)超音波支援スプレーイオン化イオン源、(x)簡便な大気圧音波スプレーイオン化(「EASI」)イオン源、(xi)脱離大気圧光イオン化(「DAPPI」)イオン源、(xii)ペーパースプレー(「PS」)イオン源、(xiii)噴流脱離イオン化(「JeDI」)イオン源、(xiv)タッチスプレー(「TS」)イオン源、(xv)ナノDESIイオン源、(xvi)レーザーアブレーションエレクトロスプレー(「LAESI」)イオン源、(xvii)リアルタイム直接分析(「DART」)イオン源、(xviii)プローブエレクトロスプレーイオン化(「PESI」)イオン源、(xix)固体プローブ支援エレクトロスプレーイオン化(「SPA‐ESI」)イオン源、(xx)キャビトロン超音波外科用吸引器(「CUSA」)装置、(xxi)集束超音波切除装置又は非集束超音波切除装置、(xxii)マイクロ波共鳴装置、及び(xxiii)パルスプラズマRF切開装置から成るグループから選択されるイオン源を含んでよい。
【0117】
標的からエアロゾル、煙、蒸気を発生させるステップは、標的を1つ又は複数の電極と接触させることを含んでよい。
【0118】
1つ又は複数の電極はスネアを含んでよく、任意選択でスネアはポリープ切除スネアを含む。
【0119】
1つ又は複数の電極は、1つ又は複数のフック、1つ又は複数のグラバー、1つ又は複数の刃、1つ又は複数のナイフ、1つ又は複数の鋸歯状の刃、1つ又は複数のプローブ、1つ又は複数の生検ツール、1つ又は複数のロボットツール、1つ又は複数のペンチ、1つ又は複数の電気手術ペンシル、1つ又は複数のピンセット、1つ又は複数のバイポーラピンセット、1つ又は複数の凝固装置、1つ又は複数の洗浄装置、及び1つ又は複数のイメージングツールを含んでよい。
【0120】
1つ又は複数の電極は、(i)単極装置であって、方法が任意選択でさらに別個の対極板を提供することを含む、単極装置、(ii)双極装置、又は(iii)多相RF装置のどちらかを含み、方法は任意選択でさらに別個の1つ又は複数の対極板を提供することを含む。
【0121】
1つ又は複数の電極は、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)装置を含んでよい。
【0122】
方法は、エアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるために1つ又は複数の電極にAC電圧又はRF電圧を印加することを含んでよい。
【0123】
AC電圧又はRF電圧を1つ又は複数の電極に印加するステップは、AC電圧又はRF電圧の1つ又は複数のパルスを1つ又は複数の電極に印加することを含んでよい。
【0124】
AC電圧又はRF電圧を1つ又は複数の電極に印加することは、熱を標的の中に消散させてよい。
【0125】
標的からエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるステップは、標的にレーザーを照射することを含んでよい。
【0126】
エアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるステップは、ジュール加熱又はジアテルミーによる標的からの標的物質の直接的な蒸発又は気化によって標的からエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させることを含んでよい。
【0127】
標的からエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるステップは、標的の中に超音波エネルギーを向けることを含んでよい。
【0128】
エアロゾルは、任意選択で細胞物質を含む非荷電水滴を含んでよい。
【0129】
第1の装置によって発生し、エアロゾルを形成する質量又は物質の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%は、小滴の形であってよい。
【0130】
エアロゾルを発生させるステップは、エアロゾルのソーター平均直径(「SMD」、d32)が(i)<5μm、(ii)5〜10μm、(iii)10〜15μm、(iv)15〜20μm、(v)20〜25μm、又は(vi)>25μmの範囲内にある、エアロゾルを発生させることを含んでよい。
【0131】
エアロゾルは、レイノルズ数(Re)が(i)<2000、(ii)2000〜2500、(iii)2500〜3000、(iv)3000〜3500、(v)3500〜4000、又は(vi)>4000の範囲の流域を横断してよい。
【0132】
実質的にエアロゾルを発生させる点で、エアロゾルは(i)<50、(ii)50〜100、(iii)100〜150、(iv)150〜200、(v)200〜250、(vi)250〜300、(vii)300〜350、(viii)350〜400、(ix)400〜450、(x)450〜500、(xi)500〜550、(xii)550〜600、(xiii)600〜650、(xiv)650〜700、(xv)700〜750、(xvi)750〜800、(xvii)800〜850、(xviii)850〜900、(xix)900〜950、(xx)950〜1000、及び(xxi)>1000から成るグループから選択されるウェーバー数(We)を有する小滴を含んでよい。
【0133】
実質的にエアロゾルを発生させる点で、エアロゾルは(i)1〜5、(ii)5〜10、(iii)10〜15、(iv)15〜20、(v)20〜25、(vi)25〜30、(vii)30〜35、(viii)35〜40、(ix)40〜45、(x)45〜50、及び(xi)>50の範囲内のストークス数(S)を有する小滴を含んでよい。
【0134】
実質的にエアロゾルを発生させる点で、エアロゾルは(i)<20m/秒、(ii)20〜30m/秒、(iii)30〜40m/秒、(iv)40〜50m/秒、(v)50〜60m/秒、(vi)60〜70m/秒、(vii)70〜80m/秒、(viii)80〜90m/秒、(ix)90〜100m/秒、(x)100〜110m/秒、(xi)110〜120m/秒、(xiii)120〜130m/秒、(xiii)130〜140m/秒、(xiv)140〜150m/秒、及び(xv)>150m/秒から成るグループから選択される平均軸速度を有する小滴を含んでよい。
【0135】
標的は、天然の標的物質又は改質されていない標的物質を含んでよい。
【0136】
標的は、生物組織、生体物質、細菌集落、又は真菌集落を含んでよい。
【0137】
生物組織は、人間の組織又は人間以外の動物組織を含んでよい。
【0138】
生物組織は、インビボの生物組織を含んでよい。
【0139】
生物組織は、嚢組織、腸組織、気管支、食道組織、生殖器組織、大腸組織、腸組織、咽頭組織、肺組織、口腔組織、鼻組織、前立腺組織、直腸組織、小腸組織、胃組織、気管組織、尿管組織、尿道組織、軟組織及び結合組織、腹膜組織、血管組織、及び/又は脂肪組織、(ii)グレードI、グレードII、グレードIII、又はグレードIVがん組織、(iii)転移性がん組織、(iv)混合グレードがん組織、(v)サブグレードがん組織、(vi)健常組織若しくは正常組織、又は(vii)がん組織若しくは病的組織を含んでよい。
【0140】
方法は、ポイントオブケア(「POC」)装置、診断装置、又は手術装置を含んでよい。
【0141】
方法は、吸引されたエアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を分析器に又は分析器に向かって移送することを含んでよい。
【0142】
方法は、吸引されたエアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を、液体トラップ又は分離器を介して分析器に又は分析器に向かって移送することを含んでよい。
【0143】
方法は、1つ又は複数の管又は流線を通して、吸引されたエアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を移送することを含んでよい。
【0144】
1つ又は複数の管又は流線は、第1の装置を液体トラップ又は分離器に接続、及び/又は第1の装置を分析器に接続してよい。
【0145】
1つ又は複数の管又は流線は、(i)第1の装置を液体トラップ又は分離器に接続する1つ又は複数の第1の管又は流線、及び(ii)流体トラップ又は分離器を分析器に接続する1つ若しくは複数の第2の管又は流線を含んでよい。
【0146】
方法は、1つ又は複数の開窓又は吸引ポートを通してエアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を吸引することを含んでよい。
【0147】
内視鏡プローブは、1つ又は複数の開窓又は吸引ポートを含んでよい。
【0148】
方法は、液体検出器を使用し、吸引された液体を検出することを含んでよい。
【0149】
方法は、吸引された液体が検出されるとき、吸引された液体の少なくとも一部を捕捉及び/又は廃棄することを含んでよい。
【0150】
液体トラップ又は分離器は液体収集装置又はドレーン管を含んでよい。
【0151】
方法は、吸引された液体が検出されるとき、液体の少なくとも一部を液体収集装置又はドレーン管に迂回させることを含んでよい。
【0152】
液体検出器は、光透過検出器、光反射検出器、超音波透過検出器、超音波反射率検出器、及び/又は電気的検出器を含んでよい。
【0153】
方法は、電気的検出器を使用して、1つ又は複数の管又は流線のセクションの導電率及び/又は電気抵抗を測定することを含んでよい。
【0154】
方法は、電気的検出器を使用して、1つ又は複数の管又は流線のセクションに設けられる2つ以上の電極間のキャパシタンスを測定することを含んでよい。
【0155】
超音波透過検出器及び/又は超音波反射率検出器は、1つ又は複数の超音波送信機及び検出器の対を含んでよい。
【0156】
方法は、超音波透過検出器及び/又は超音波反射率検出器を使用して、超音波エネルギーを吸収する吸引された液体に起因する超音波信号の変化を検出することによって吸引された液体を検出することを含んでよい。
【0157】
方法は、1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料を使用し、吸引された液体を吸収及び/又は捕捉及び/又は廃棄することを含んでよい。
【0158】
液体トラップ又は分離器は、少なくとも部分的に1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料から形成された1つ又は複数の管又は流線を含んでよい。
【0159】
方法は、エアロゾル、煙、若しくは蒸気、及び/又は液体を、少なくとも部分的に1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料から形成された1つ又は複数の管又は流線を通して運ぶことを含んでよい。
【0160】
液体トラップ又は分離器は、液体遠心分離機を含んでよい。
【0161】
液体トラップ又は分離器は入口を含む密閉されたチャンバを含んでよく、方法は入口を通してチャンバの中にエアロゾル、煙、蒸気、及び/又は液体を導入することを含んでよい。
【0162】
密封されたチャンバは出口を含んでよく、方法は、エアロゾル、煙、又は蒸気がチャンバを離れることを可能にすること、又は液体が実質的にチャンバを離れることなく、出口を通してエアロゾル、煙、又は蒸気を抽出することを含んでよい。
【0163】
使用中、入口の出口は、出口の入口の下方に位置してよい。
【0164】
方法は、液体トラップ又は分離器が最大水位の又は最大水位に近い液体を含むときに、ユーザにフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を生成することを含んでよい。
【0165】
方法は、液体トラップ又は分離器が最大水位の又は最大水位に近い液体を含む場合に、第1の装置への電力を削減若しくは停止する、又はそれ以外の場合第1の装置を無効にすることを含んでよい。
【0166】
液体は、水、唾液、消化液、糜粥、生理食塩水、血液、尿、粘液、及び/又は1つ若しくは複数の他の体液を含んでよい。
【0167】
態様によると、上述された方法を含む質量分析及び/又はイオン移動度分光分析の方法が提供される。
【0168】
方法は、エアロゾル、煙、及び/又は蒸気を質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に運ぶことを含んでよい。
【0169】
方法は、エアロゾル、煙、及び/又は蒸気をイオン化して検体イオンを形成することを含んでよい。
【0170】
方法は、エアロゾル、煙、及び/又は蒸気を衝突表面に当たらせて検体イオンを形成することを含んでよい。
【0171】
方法は衝突表面を加熱することを含んでよい。
【0172】
方法は、衝突表面を(i)約<100℃、(ii)約100〜200℃、(iii)約200〜300℃、(iv)約300〜400℃、(v)約400〜500℃、(vi)約500〜600℃、(vii)約600〜700℃、(viii)約700〜800℃、(ix)約800〜900℃、(x)約900〜1000℃、(xi)約1000〜1100℃、及び(xii)約>1100℃から成るグループから選択される温度に加熱することを含んでよい。
【0173】
方法は、マトリックスをエアロゾル、煙、及び/又は蒸気に添加することを含んでよい。
【0174】
方法は、エアロゾル、煙、及び/又は蒸気が衝突表面に当たる前に、マトリックスをエアロゾル、煙、及び/又は蒸気に添加することを含んでよい。
【0175】
マトリックスは、(i)エアロゾル、煙、及び/又は蒸気用の溶媒、(ii)有機溶媒、(iii)揮発性化合物、(iv)極性分子、(v)水、(vi)1つ又は複数のアルコール、(vii)メタノール、(viii)エタノール、(ix)イソプロパノール、(x)アセトン、及び(xi)アセトニトリルから成るグループから選択されてよい。
【0176】
マトリックスは、ロックマス化合物、ロック移動度化合物、又は較正化合物を含んでよい。
【0177】
方法は、分析器を使用し、エアロゾル、煙、蒸気、及び/又は検体イオンを分析することを含んでよい。
【0178】
エアロゾル、煙、蒸気、及び/又は検体イオンを分析することは、(i)エアロゾル、煙、蒸気、若しくは検体イオン、及び/又はエアロゾル、煙、蒸気、検体イオンから導出されるイオンを質量分析する及び/又はイオン移動度分析すること、(ii)エアロゾル、煙、蒸気、若しくは検体イオン、及び/又はエアロゾル、煙、蒸気、検体イオンから導出されるイオンのイオン移動度、衝突断面、又は相互作用断面を決定すること、並びに/又は(iii)エアロゾル、煙、蒸気、又は検体イオンを分割する又は反応を起こさせることを含んでよい。
【0179】
周囲イオン化イオン源によって生成される検体イオンが次いで(i)例えば四重極質量分析器又は飛行時間型質量分析器等の質量分析器又は質量フィルタによる質量分析、(ii)イオン移動度分析(IMS)及び/又は差動イオン移動度分析(DMA)及び/又は非対称場イオン移動度分光法(FAIMS)分析、並びに/又は(iii)例えば四重極質量分析器又は飛行時間型質量分析器等の質量分析器又は質量フィルタによる第2の質量分析が後に続く、第1のイオン移動度分析(IMS)及び/又は差動イオン移動度分析(DMA)及び/又は非対称場イオン移動度分光法(FAIMS)分析の組合せ(又はその逆)のどれかを受ける、多様な実施形態が意図される。また、多様な実施形態は、イオン移動度分光計及び/又は質量分析器、並びにイオン移動度分光分析の方法及び/又は質量分析の方法にも関する。
【0180】
方法は、第1の装置のユーザにリアルタイム情報及び/又は遅延情報を提供することを含んでよい。
【0181】
情報は、質量スペクトル情報及び/若しくはイオン移動度スペクトル情報、並びに/又は組織分類情報を含んでよい。
【0182】
方法は、所望されない標的部位又は領域からの組織又は他の物質が分析されているとき、第1の装置のユーザにフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を生成することを含んでよい。
【0183】
方法は、所望されない標的部位又は領域からの組織又は他の物質が分析されている場合、第1の装置への電力を削減若しくは停止する、又はそれ以外の場合、第1の装置を無効にすることを含んでよい。
【0184】
方法は、第1の装置が所望されない標的部位若しくは領域で動作している、及び/又は所望されない標的部位若しくは領域に位置するとき、第1の装置のユーザにフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を生成することを含んでよい。
【0185】
方法は、電気手術ツールが所望されない標的部位若しくは領域で動作している、及び/又は所望されない標的部位若しくは領域に位置する場合、第1の装置への電力を削減若しくは停止する、又はそれ以外の場合第1の装置を無効にすることを含んでよい。
【0186】
方法は、該エアロゾル、煙、蒸気、及び/又は検体イオンを分析して、質量分光データ及び/又はイオン移動度分光データを生じさせること、及び質量分光データ及び/又はイオン移動度分光データを分析することを含んでよい。
【0187】
質量分光データ及び/又はイオン移動度分光データを分析することは、エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類するために1つ又は複数の試料スペクトルを分析することを含んでよい。
【0188】
エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類するために1つ又は複数の試料スペクトルを分析することは、1つ又は複数の試料スペクトルの監視された分析及び/又は1つ又は複数の試料スペクトルの監視されない分析を含んでよい。
【0189】
エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類するために1つ又は複数の試料スペクトルを分析することは、単変量解析、多変量解析、主成分分析(PCA)、線形判別分析(LDA)、最大マージン基準(MMC)、ライブラリベースの分析、シムカ法(SIMCA)(soft independent modelling of class analogy)、因子分析(FA)、再帰分割(決定木)、ランダムフォレスト、独立成分分析(ICA)、部分最小二乗判別分析(partial least squares discriminant analysis)(PLS‐DA)、潜在構造に対する直交(部分最小二乗)射影(OPLS)、OPLS判別分析(OPLS‐DA)、サポートベクターマシン(SVM)、(人工)神経ネットワーク、多層パーセプトロン、放射基底関数(RBF)ネットワーク、ベイズ分析、クラスタ分析、カーネル化された(kernelized)方法、及び部分空間判別分析の1つ又は複数を使用することを含んでよい。
【0190】
エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類するために1つ又は複数の試料スペクトルを分析することは、1つ又は複数の基準試料スペクトルを使用し、分類モデル又はライブラリを作成することを含んでよい。
【0191】
エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類するために1つ又は複数の試料スペクトルを分析することは、主成分分析(PCA)を実行後に線形判別分析(LDA)を実行することを含んでよい。
【0192】
エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類するために1つ又は複数の試料スペクトルを分析することは、主成分分析(PCA)を実行後に最大マージン基準(MMC)プロセスを実行することを含んでよい。
【0193】
エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類するために1つ又は複数の試料スペクトルを分析することは、分類モデル又はライブラリの中で1つ又は複数のクラスを定義することを含んでよい。
【0194】
エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類するために1つ又は複数の試料スペクトルを分析することは、1つ若しくは複数のクラス又はクラスタ基準に従って手作業で又は自動的に分類モデル又はライブラリの中で1つ又は複数のクラスを定義することを含んでよい。
【0195】
クラスごとの1つ又は複数のクラス又はクラスタ基準は、モデル空間の中の基準試料スペクトルのための1つ又は複数の対の基準点の間の距離、モデル空間の中の基準試料スペクトルのための基準点のグループ間の分散値、及びモデル空間の中の基準試料スペクトルの基準点のグループの中の分散値の1つ又は複数に基づいてよい。
【0196】
1つ又は複数のクラスはそれぞれ1つ又は複数のクラス定義によって定義されてよい。
【0197】
1つ又は複数のクラス定義は、基準試料スペクトルのための1つ又は複数の基準点の集合、値、境界、線、平面、超平面、分散、体積、ボロノイセル、及び/又はモデル空間の中の位置、及びクラス階層の中の1つ又は複数の位置の1つ又は複数を含んでよい。
【0198】
エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類するために1つ又は複数の試料スペクトルを分析することは、分類モデル又はライブラリを使用して1つ又は複数の未知の試料スペクトルを分類することを含んでよい。
【0199】
エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類するために1つ又は複数の試料スペクトルを分析することは、1つ又は複数の分類基準に従って手作業で又は自動的に1つ又は複数の試料スペクトルを分類することを含んでよい。
【0200】
1つ又は複数の分類基準は、
位置閾値以下である又は最低の係る距離であるモデル空間の中で、モデル空間の中の1つ又は複数の試料スペクトルのための1つ又は複数の投射された試料点と、基準試料スペクトル、値、境界、線、平面、超平面、体積、ボロノイセル、又は位置のための1つ又は複数の基準点の集合との間の距離と、
モデル空間の中の、1つ又は複数の基準試料スペクトル、値、境界、線、平面、超平面、又は位置のための1つ又は複数の基準点の一方の側又は他方の側であるモデル空間の中の1つ又は複数の試料スペクトルのための1つ又は複数の投射された試料点の位置と、
モデル空間の中の1つ又は複数の体積又はボロノイセルの中にあるモデル空間の中の1つ又は複数の試料スペクトルの1つ又は複数の投射された試料点の位置と、
確率若しくは分類スコア閾値を超える又は係る最高の確率若しくは分類スコアである確率若しくは分類スコアと、
の1つ又は複数を含んでよい。
【0201】
態様に従って、
生物組織を第1の装置と接触させ、エアロゾル、煙、及び/又は蒸気を発生させるために第1の装置を活性化することと、
エアロゾル、煙、蒸気、及び/又は液体を吸引し、吸引された残りのエアロゾル、煙、及び/又は蒸気を、検体イオンを形成するために質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に位置する衝突表面に当たらせる前に吸引された液体を捕捉及び/又は廃棄することと、
検体イオンを分析することと
を含む電気手術の方法が提供される。
【0202】
態様に従って、
標的からエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるように配置され、適応された第1の装置と、
第1の装置が、使用中、エアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるために生物組織と接触するときに第1の装置を活性化するように配置され、適応された装置と、
エアロゾル、煙、蒸気、及び/又は液体を吸引するように配置され、適応された装置と、
吸引された液体を捕捉及び/又は廃棄するように配置され、適応された装置と、
(i)使用中、検体イオンを形成するために残りのエアロゾル、煙、及び/又は蒸気が衝突表面に当たるように配置される、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に位置する衝突表面、及び(ii)検体イオンを分析するための分析器を含む質量分析計及び/又はイオン移動度分光計と
を備える電気手術器具が提供される。
【0203】
態様に従って、上述された器具を含む質量分析計及び/又はイオン移動度分光計が提供される。
【0204】
態様に従って、上述の方法を含む質量分析及び/又はイオン移動度分光分析の方法が提供される。
【0205】
態様に従って、
1つ又は複数の電極を含む電気手術ツールと、
分析のために分析器に又は分析器に向かって検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、又は蒸気を吸引するように配置され、適応された1つ又は複数の装置と、
1つ又は複数の装置によって吸引された液体を捕捉及び/又は廃棄するように配置され、適応された液体トラップ又は分離器と
を含む、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)を実行するための器具が提供される。
【0206】
器具はさらに内視鏡を含んでよい。
【0207】
電気手術ツールは、内視鏡のポートを通して配備されるように配置され、適応されてよい。
【0208】
液体トラップ又は分離器は、使用中、内視鏡の外部のままとなるように配置され、適応されてよい。
【0209】
1つ又は複数の装置は、電気手術ツールを液体トラップ又は分離器に接続する、及び/又は電気手術ツールを分析器に接続するように配置され、適応される1つ又は複数の管又は流線を含んでよい。
【0210】
1つ又は複数の管又は流線は、(i)電気手術ツールを液体トラップ又は分離器に接続するように配置され、適応された1つ又は複数の第1の管又は流線、及び(ii)液体トラップ又は分離器を分析器に接続するように配置され、適応された1つ又は複数の第2の管又は流線を含んでよい。
【0211】
1つ又は複数の装置は、1つ又は複数の管又は流線を通して、吸引された検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を分析器に又は分析器に向かって移送するように配置され、適応されてよい。
【0212】
1つ又は複数の装置は、検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を分析器に又は分析器に向かって移送させるように配置され、適応される1つ又は複数のポンプを含んでよい。
【0213】
液体トラップ又は分離器は、吸引された液体を検出するように配置され、適応される液体検出器を含んでよい。
【0214】
器具は、液体検出器が吸引された液体を検出する場合、次いで液体トラップ又は分離器が液体の少なくとも一部を捕捉及び/又は廃棄するようにさらに配置され、適応されてよいように、配置され、適応されてよい。
【0215】
液体トラップ又は分離器は液体収集装置をさらに含んでよい。
【0216】
器具は、液体検出器が吸引された液体を検出する場合、次いで液体トラップ又は分離器が液体の少なくとも一部を液体収集装置に迂回させるようにさらに配置され、適応されてよいように、配置され、適応されてよい。
【0217】
液体検出器は、光透過検出器及び/又は光反射検出器を含んでよい。
【0218】
液体トラップ又は分離器は、吸引された液体を吸収及び/又は捕捉及び/又は廃棄するように配置され、適応された1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料を含んでよい。
【0219】
液体トラップ又は分離器は、少なくとも部分的に1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料から形成された1つ又は複数の管又は流線を含んでよい。
【0220】
液体トラップ又は分離器は、検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を、少なくとも部分的に1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料から形成された1つ又は複数の管又は流線を通して運ぶように配置され、適応されてよい。
【0221】
液体トラップ又は分離器は、液体遠心分離機を含んでよい。
【0222】
液体トラップ又は分離器は入口を含む密閉されたチャンバを含んでよく、液体トラップ又は分離器は、使用中、検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気が入口を通してチャンバの中に導入されるように、配置され、適応される。
【0223】
密封されたチャンバはさらに出口を含んでよく、液体トラップ又は分離器は、使用中、検体、煙、煙霧、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気が、液体が実質的にチャンバを離れることなく、出口を通ってチャンバを離れることができるように配置され、適応される。
【0224】
入口の出口は出口の入口の下方に位置してよい。
【0225】
別の態様に従って、上述された器具を含む質量分析計及び/又はイオン移動度分光計が提供される。
【0226】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計はさらに、検体、煙、煙霧、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の中に運ぶように配置され、適応される管組織を含んでよい。
【0227】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計はさらに、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に位置する衝突表面を含んでよい。
【0228】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計はさらに、検体、煙、煙霧、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気の少なくとも一部を衝突表面に当たらせるように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0229】
衝突表面は、検体、煙、煙霧、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気の少なくとも一部が、検体イオンを形成するために衝突表面と衝突するとイオン化されるように、配置され、適応されてよい。
【0230】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計はさらに、検体イオンを質量分析する及び/又はイオン移動度分析するように配置され、適応される質量分析器若しくは質量フィルタ及び/又はイオン移動度分析器を含んでよい。
【0231】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計はさらに、衝突表面を加熱するように配置され、適応される加熱装置を含んでよい。
【0232】
加熱装置は衝突表面を、(i)約<100℃、(ii)約100〜200℃、(iii)約200〜300℃、(iv)約300〜400℃、(v)約400〜500℃、(vi)約500〜600℃、(vii)約600〜700℃、(viii)約700〜800℃、(ix)約800〜900℃、(x)約900〜1000℃、(xi)約1000〜1100℃、及び(xii)約>1100℃から成るグループから選択される温度に加熱するように配置され、適応されてよい。
【0233】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計はさらに、マトリックスを検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気に添加するように配置され、適応された装置を含んでよい。
【0234】
マトリックスは、検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気が衝突表面に当たる前に、使用中、検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気に添加されてよい。
【0235】
マトリックスは、(i)検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気用の溶媒、(ii)有機溶媒、(iii)揮発性化合物、(iv)極性分子、(v)水、(vi)1つ又は複数のアルコール、(vii)メタノール、(viii)エタノール、(ix)イソプロパノール、(x)アセトン、及び(xi)アセトニトリルから成るグループから選択されてよい。
【0236】
マトリックスは、ロックマス化合物、ロック移動度化合物、又は較正化合物を含んでよい。
【0237】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計はさらに、電気手術ツールのユーザにリアルタイム情報及び/又は遅延情報を提供するように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0238】
情報は、質量スペクトル情報及び/若しくはイオン移動度スペクトル情報、並びに/又は組織分類情報を含んでよい。
【0239】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計はさらに、所望されない標的部位又は領域からの組織又は他の物質が質量分析されている又はイオン移動度分析されている旨のフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を電気手術ツールのユーザに生成するように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0240】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計はさらに、所望されない標的部位又は領域からの組織又は他の物質が質量分析されている及び/又はイオン移動度分析されている場合、電気手術ツールへの電力を削減若しくは停止するように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0241】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計はさらに、電気手術ツールが所望されない標的部位若しくは領域で動作している、及び/又は所望されない標的部位若しくは領域に位置する旨のフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を電気手術ツールのユーザに生成するように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0242】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計はさらに、電気手術ツールが所望されない標的部位若しくは領域で動作している、及び/又は所望されない標的部位若しくは領域に位置する場合、電気手術ツールへの電力を削減若しくは停止するように配置され、適応される装置を含んでよい。
【0243】
態様に従って、
1つ又は複数の電極を含む電気手術ツールを提供することと、
検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を分析のために分析器に又は分析器に向かって吸引することと、
吸引された液体を捕捉及び/又は廃棄するために液体トラップ又は分離器を使用することと
を含む、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)の方法が提供される。
【0244】
方法はさらに内視鏡を提供することを含んでよい。
【0245】
方法はさらに、内視鏡のポートを通して電気手術ツールを配備することを含んでよい。
【0246】
液体トラップ又は分離器は、使用中、内視鏡の外部のままとなるように配置され、適応されてよい。
【0247】
検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を吸引するステップはさらに、電気手術ツールを液体トラップ又は分離器に接続する、及び/又は電気手術ツールを分析器に接続する1つ又は複数の管又は流線を通して検体、煙、噴霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を吸引することを含んでよい。
【0248】
1つ又は複数の管又は流線は、(i)電気手術ツールを液体トラップ又は分離器に接続するように配置され、適応された1つ又は複数の第1の管又は流線、及び(ii)液体トラップ又は分離器を分析器に接続するように配置され、適応された1つ又は複数の第2の管又は流線を含んでよい。
【0249】
方法はさらに、1つ又は複数の管又は流線を通して、吸引された検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を分析器に又は分析器に向かって移送することをさらに含んでよい。
【0250】
液体トラップ又は分離器は、吸引された液体を検出するように配置され、適応される液体検出器を含んでよい。
【0251】
液体検出器が吸引された液体を検出する場合、次いで液体トラップ又は分離器はさらに液体の少なくとも一部を捕捉及び/又は廃棄するように配置され、適応されてよい。
【0252】
液体トラップ又は分離器はさらに液体収集装置を含んでよい。
【0253】
液体検出器が吸引された液体を検出する場合、次いで液体トラップ又は分離器は液体の少なくとも一部を液体収集装置に迂回させてよい。
【0254】
液体検出器は、光透過検出器及び/又は光反射検出器を含んでよい。
【0255】
液体トラップ又は分離器は、吸引された液体を吸収及び/又は捕捉及び/又は廃棄するように配置され、適応された1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料を含んでよい。
【0256】
液体トラップ又は分離器は、少なくとも部分的に1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料から形成された1つ又は複数の管又は流線を含んでよい。
【0257】
液体トラップ又は分離器は、検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を、少なくとも部分的に1つ又は複数の多孔質材及び/又は吸収材料から形成された1つ又は複数の管又は流線を通して運ぶように配置され、適応されてよい。
【0258】
液体トラップ又は分離器は、液体遠心分離機を含んでよい。
【0259】
液体トラップ又は分離器は入口を含む密閉されたチャンバを含んでよく、液体トラップ又は分離器は、使用中、検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気が入口を通してチャンバの中に導入されるように、配置され、適応される。
【0260】
密封されたチャンバはさらに出口を含んでよく、液体トラップ又は分離器は、使用中、検体、煙、煙霧、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気が、液体が実質的にチャンバを離れることなく、出口を通ってチャンバを離れることができるように配置され、適応される。
【0261】
使用中、入口の出口は出口の入口の下方に位置してよい。
【0262】
別の態様によると、上述の方法を含む質量分析及び/又はイオン移動度分光分析の方法が提供される。
【0263】
方法はさらに、検体、煙、煙霧、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を、管組織を通して質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に運ぶことを含んでよい。
【0264】
方法はさらに、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に位置する衝突表面を含んでよい。
【0265】
方法はさらに、検体、煙、煙霧、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気の少なくとも一部を衝突表面に当たらせることをさらに含んでよい。
【0266】
衝突表面は、検体、煙、煙霧、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気の少なくとも一部が、検体イオンを形成するために衝突表面と衝突するとイオン化されるように、配置され、適応されてよい。
【0267】
方法はさらに、検体イオンを質量分析すること及び/又はイオン移動度分析することを含んでよい。
【0268】
方法はさらに、衝突表面を加熱することを含んでよい。
【0269】
方法はさらに、衝突表面を、(i)約<100℃、(ii)約100〜200℃、(iii)約200〜300℃、(iv)約300〜400℃、(v)約400〜500℃、(vi)約500〜600℃、(vii)約600〜700℃、(viii)約700〜800℃、(ix)約800〜900℃、(x)約900〜1000℃、(xi)約1000〜1100℃、及び(xii)約>1100℃から成るグループから選択される温度に加熱することを含んでよい。
【0270】
方法はさらに、マトリックスを検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気に添加することを含んでよい。
【0271】
方法はさらに、検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気が衝突表面に当たる前に、マトリックスを検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気に添加することを含んでよい。
【0272】
マトリックスは、(i)検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気用の溶媒、(ii)有機溶媒、(iii)揮発性化合物、(iv)極性分子、(v)水、(vi)1つ又は複数のアルコール、(vii)メタノール、(viii)エタノール、(ix)イソプロパノール、(x)アセトン、及び(xi)アセトニトリルから成るグループから選択されてよい。
【0273】
マトリックスは、ロックマス化合物、ロック移動度化合物、又は較正化合物を含んでよい。
【0274】
方法はさらに、電気手術ツールのユーザにリアルタイム情報及び/又は遅延情報を提供することを含んでよい。
【0275】
情報は、質量スペクトル情報及び/若しくはイオン移動度スペクトル情報、並びに/又は組織分類情報を含んでよい。
【0276】
方法はさらに、所望されない標的部位又は領域からの組織又は他の物質が質量分析されている又はイオン移動度分析されている旨のフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を電気手術ツールのユーザに生成することを含んでよい。
【0277】
方法はさらに、所望されない標的部位又は領域からの組織又は他の物質が質量分析されている及び/又はイオン移動度分析されている場合、電気手術ツールへの電力を削減若しくは停止することを含んでよい。
【0278】
方法はさらに、電気手術ツールが所望されない標的部位若しくは領域で動作している、及び/又は所望されない標的部位若しくは領域に位置する旨のフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を電気手術ツールのユーザに生成することを含んでよい。
【0279】
方法はさらに、電気手術ツールが所望されない標的部位若しくは領域で動作している、及び/又は所望されない標的部位若しくは領域に位置する場合、電気手術ツールへの電力を削減若しくは停止することを含んでよい。
【0280】
別の態様に従って、
生物組織を電気手術ツールと接触させ、検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を発生させるために電気手術ツールを活性化することと、
検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を吸引する、並びに/又は残りの吸引された検体、煙、煙霧、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を、検体イオンを形成するために質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に位置する衝突表面に当たらせる前に吸引された液体を捕捉及び/又は廃棄することと、
検体イオンを質量分析すること、及び/又はイオン移動度分析することと
を含む電気手術の方法が提供される。
【0281】
別の態様に従って、
1つ又は複数の電極を含む急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)電気手術ツールと、
使用中に、電気手術ツールが検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を発生させるために生物組織と接触するとき電気手術ツールを活性化するように配置され、適応された装置と、
検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気を吸引するように配置され、適応された装置と、
吸引された液体を捕捉及び/又は廃棄するように配置され、適応された装置と、
(i)使用中、残りの検体、煙、煙霧、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気が検体イオンを形成するために衝突表面に当たるように配置される、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に位置する衝突表面、及び(ii)検体イオンを質量分析する及び/又はイオン移動度分析するための質量分析器及び/又はイオン移動度分析器を含む質量分析計及び/又はイオン移動度分光計と
を含む、電気手術器具が提供される。
【0282】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、陰イオンモード専用、陽イオンモード専用、又は陽イオンモードと陰イオンモードの両方でデータを入手してよい。陽イオンモードの分光データは陰イオンモードの分光データと結合又は連結されてよい。
【0283】
イオン移動度分光データは、異なるイオン移動度ドリフトガス及び/又はドーパントを使用し、入手されてよい。このデータは次いで結合又は連結されてよい。
【0284】
周囲イオン化イオン源を使用し、(詳細は本明細書の他のどこかで提供される)標的から煙、エアロゾル、又は蒸気を発生させることに関する多様な実施形態が意図される。エアロゾル、煙、又は蒸気は次いでマトリックスと混合され、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に吸引されてよい。混合は衝突表面に当たるために引き起こされてよく、エアロゾル、煙、又は蒸気を、検体イオンの発生につながる衝突イオン化によってイオン化させる。結果として生じる検体イオン(又は検体イオンから導出される断片イオン若しくはプロダクトイオン)は、次いで質量分析されてよい、及び/又はイオン移動度分析されてよく、結果として生じる質量分析データ及び/又はイオン移動度分光データは、リアルタイムで標的の1つ又は複数の特性を決定するために多変量分析又は他の数学処理を受けてよい。
【0285】
実施形態に従って、標的からエロゾル、煙、又は蒸気を発生させるための第1の装置は、例えば連続RF波形等のRF電圧を活用するツールを含んでよい。
【0286】
標的からエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるための第1の装置が、アルゴンプラズマ凝固(「APC」)装置を含んでよい他の実施形態が意図される。アルゴンプラズマ凝固装置は、プローブを通して導かれるイオン化されたアルゴンガス(プラズマ)の噴流の使用を伴う。プローブは内視鏡を通されてよい。プローブは標的からある程度の距離に設置されるので、アルゴンプラズマ凝固は本来非接触プロセスである。アルゴンガスはプローブから放出され、次いで高圧放電(例えば、6kV)によってイオン化される。高周波電流が次いでガスの噴流を通って伝えられ、噴流の他端での標的の凝固を生じさせる。凝固の深さは通常数ミリメートルにすぎない。
【0287】
本明細書の実施形態の態様のいずれかに開示される第1の装置、手術道具、又は電気手術ツール、装置、若しくはプローブ、又は他のサンプリング装置若しくはプローブは、例えば、ハイドロサージカル(hydrosurgical)装置、外科水噴射装置、アルゴンプラズマ凝固装置、ハイブリッドアルゴンプラズマ凝固装置、水噴射装置、及びレーザー装置の1つ又は複数等、非接触外科装置を含んでよい。
【0288】
非接触外科装置は、組織に物理的に接触することなく生物組織を切断する、分割する、融解させる、吸引する、放電治療する、又はそれ以外の場合破壊するように配置され、適応された外科装置として定義されてよい。例は、レーザー装置、ハイドロサージカル装置、アルゴンプラズマ凝固装置、及びハイブリッドアルゴンプラズマ凝固装置を含む。
【0289】
非接触装置は組織と物理的な接触を行わないことがあるので、処置は相対的に安全として見られてよく、例えば皮膚又は脂肪等、低い細胞内結合を有する繊細な組織を治療するために使用できる。
【0290】
多様な実施形態に従って、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、陰イオンモード専用、陽イオンモード専用、又は陽イオンモードと陰イオンモードの両方でデータを入手してよい。陽イオンモードの分光データは陰イオンモードの分光データと結合又は連結されてよい。陰イオンモードは、例えば脂質を含む標的からのエアロゾル、煙、又は蒸気の試料等、エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類するための特に有用なスペクトルを提供できる。
【0291】
イオン移動度分光データは、異なるイオン移動度ドリフトガスを使用し、入手されてよい、又はドーパントは1つ又は複数の種のドリフト時間の変化を誘発するためにドリフトガスに添加されてよい。このデータは次いで結合又は連結されてよい。
【0292】
試料に直接的にマトリックス又は試薬を添加する要件が、組織のインビボ分析を実行する能力を妨げ、より概して、標的物質の迅速で簡略な分析を提供する能力も妨げることが明らかになるだろう。
【0293】
他の実施形態に従って、周囲イオン化イオン源は、超音波アブレーションイオン源、又は次いでエアロゾルとして吸引される液体試料を発生させるハイブリッド電気手術‐超音波アブレーション源を含んでよい。超音波アブレーションイオン源は、集束超音波又は非集束超音波を含んでよい。
【0294】
任意選択で、第1の装置は、(i)急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)イオン源、(ii)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、(iii)レーザー脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(iv)熱脱離イオン源、(v)レーザーダイオード熱脱離(「LDTD」)イオン源、(vi)電気流集束による脱着イオン化(「DEFFI」)イオン源、(vii)誘電体バリア放電(「DBD」)プラズマイオン源、(viii)大気圧固体分析プローブ(「ASAP」)イオン源、(ix)超音波支援スプレーイオン化(ultrasonic assisted spray ionisation)イオン源、(x)簡便な大気圧音波スプレーイオン化(「EASI」)イオン源、(xi)脱離大気圧光イオン化(「DAPPI」)イオン源、(xii)ペーパースプレー(「PS」)イオン源、(xiii)噴流脱離(jet desorption)イオン化(「JeDI」)イオン源、(xiv)タッチスプレー(touch spray)(「TS」)イオン源、(xv)ナノDESIイオン源、(xvi)レーザーアブレーションエレクトロスプレー(「LAESI」)イオン源、(xvii)リアルタイム直接分析(「DART」)イオン源、(xviii)プローブエレクトロスプレーイオン化(「PESI」)イオン源、(xix)固体プローブ支援エレクトロスプレーイオン化(「SPA‐ESI」)(solid‐probe assisted electrospray ionisation)イオン源、(xx)キャビトロン超音波外科用吸引器(「CUSA」)装置、(xxi)ハイブリッドCUSAジアテルミー装置、(xxii)集束超音波切除装置又は非集束超音波切除装置、(xxiii)ハイブリッド集束切除及びジアテルミー装置又はハイブリッド非集束切除及びジアテルミー装置、(xxiv)マイクロ波共鳴装置、(xxv)パルスプラズマRF切開装置、(xxvi)アルゴンプラズマ凝固装置、(xxvi)ハイブリッドパルスプラズマRF切除及びアルゴンプラズマ凝固装置、(xxvii)ハイブリッドパルスプラズマRF切除及びJeDI装置、(xxviii)外科水/生理食塩水噴射装置、(xxix)ハイブリッド電気手術及びアルゴンプラズマ凝固装置、並びに(xxx)ハイブリッドアルゴンプラズマ凝固及び水/生理食塩水噴射装置から成るグループから選択されるイオン源を含む、又はイオン源の部分を形成する。
【0295】
多様な実施形態は、ここでほんの一例として、及び添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0296】
図1】RF電圧がバイポーラピンセットに印加され、バイポーラピンセットの洗浄ポートを通して捕捉され、次いでイオン化並びに質量分析及び/又はイオン移動度分析のために質量分析計及び/又はイオン移動度分光計に移動される、エアロゾル又は手術プルームの発生につながる、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)の方法を示す図である。
図2A】内視鏡管組織が、電気手術エアロゾルの移動のために電気手術電極先端と質量分析計及び/又はイオン移動度分光計との間に直接的な接続を確立するために追加のT字形の部品を装備する、実施形態に係る内視鏡実験セットアップを示す図である。
図2B】電気手術スネアが、ポリープがその基部の回りでしっかりと固締されるようにスネアループを使用し、ポリープを捕捉するために使用され、次いで電気手術切開が実行され、結果として生じる手術煙又はエアロゾルが電気手術ツールのプラスチックシースに設けられる開窓を通して吸引される実施形態に係る胃腸のポリープの切除を示す図である。
図3】多様な実施形態に係る器具を概略で示す図である。
図4】実施形態に係るバルブベースの液体分離器を示す図である。
図5A】シリコンゴム管を有する(不完全な)吸収液体分離器を示す図である。
図5B】実施形態に従って取付け部品及びPTFE管組織を有する(完全な)吸収液体分離器を示す図である。
図6】実施形態に係る遠心液体分離機を概略で示す図である。
図7】実施形態に係る遠心液体分離機を示す図である。
図8】実施形態に係る液体トラップを示す図である。
図9】多様な実施形態に従って分類モデルを構築することを含む、分析の方法を示す図である。
図10】2つのクラスの既知の基準試料から入手される基準試料スペクトルの集合を示す図である。
図11】多変量空間が、各基準点が、基準試料スペクトルから導出される3つのピーク強度値の集合に対応する複数の基準点を含む、強度軸によって画定される3つの次元を有する多変量空間を示す図である。
図12】累積分散とPCAモデルの構成要素の数との間の一般的な関係を示す図である。
図13】PCA空間が、それぞれの変換された基準点又はスコアが図11の基準点に対応する、複数の変換された基準点又はスコアを含む、主要な構成要素軸によって画定される2つの次元を有するPCA空間を示す図である。
図14】LDAが図13のPCA空間に基づいて実行され、PCA‐LDA空間が、それぞれの追加の変換された基準点又はクラススコアが図13の変換された基準点又はスコアに対応する、複数の追加の変換された基準点又はクラススコアを含む、単一の次元又は軸を有するPCA‐LDA空間を示す図である。
図15】多様な実施形態に係る分類モデルを使用することを含む、分類の方法を示す図である。
図16】既知の試料から入手される試料スペクトルを示す図である。
図17】PCA‐LDA空間がさらに、図16の試料スペクトルのピーク強度値から導出されるPCA‐LDA投射試料点を含む、図14のPCA‐LDA空間を示す図である。
図18】多様な実施形態に従って分類ライブラリを構築することを含む分析の方法を示す図である。
図19】多様な実施形態に従って分類ライブラリを使用することを含む分析の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0297】
消化管(「GI」)がんは、世界的にがんに関連した死亡の23%を占めている。発生率の増加にも関わらず、がんによる死亡率は過去40年に亘って低下している。しかしながら、それにも関わらず、これらの死亡のさらに30〜40%を潜在的に防ぐことができると推定される。正確な死亡診断及び早期の治療は、がんの結果を改善する上でのカギとなる要因である。
【0298】
早期の段階のがん及び前がん状態は、電気焼灼器をベースにした内視鏡技法を使用し、無事に治療できる。一方、診断のための代表的な方法は組織生検を用いた消化管の白色光内視鏡調査のままである。
【0299】
消化管がんは、その後がんがあると診断される患者の最高で7.8%まで内視鏡検査で見逃される可能性があることが最近報告されている。現在の内視鏡処置の主要な優位点は、患者が、自分の病変が完全に摘出される場合、主要な外科手術を回避する点である。しかしながら、不完全な切除のため、最高で患者の41%で再介入(re‐intervention)が必要である。
【0300】
さらに明らかになるように、以下により詳細に説明される多様な実施形態に係る急速蒸発イオン化質量分析内視鏡及びスネア構成の特定の利点は、急速蒸発イオン化質量分析内視鏡及びスネア構成が、誤診率を削減し、完全な切除を改善するために、正確でリアルタイムの質量スペクトルデータ及び/又はイオン移動度スペクトルデータを入手し、活用できるようにする点である。
【0301】
また、弾性散乱分光法、光コヒーレンストモグラフィー、ラマン分光法、自己蛍光、及び狭帯域光観察を組み合わせるマルチモーダルイメージングに特に重点をおいて消化管の中での診断精度を改善するために、強化されたイメージング技法が使用されてよい。しかしながら、現在、これらの手法のいずれも主流の臨床業務では使用されていない。
【0302】
イメージング技法、サンプリングプローブ/エレクトロスプレーシステム、及び組織の直接周囲イオン化質量分析調査を使用する組織の質量分析(「MS」)ベースの識別が既知である。
【0303】
急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)は、質量分析イオン源としての電気手術ツールの活用によってこの後者のグループから元の位置のリアルタイム分析を可能にする重要な技術として出現してきた。
【0304】
人間の組織の急速蒸発イオン化質量分析指紋は、標準的な組織学と90〜100%の一致を有する組織学的な特異度を示す。
【0305】
本明細書に説明される多様な実施形態は、標的からエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるように配置され、構成された第1の装置、及びエアロゾル、煙、蒸気、及び/又は液体を分析のために分析器に又は分析器に向かって吸引するように配置され、適応された1つ又は複数の第2の装置を含む質量分析及び/又はイオン移動度分光分析のための器具を提供する。以下にさらに説明されるように、器具は、1つ又は複数の第2の装置によって吸引される液体を捕捉及び/又は廃棄するように配置され、適応された液体トラップ又は分離器も含む。
【0306】
特に、本明細書に提示される多様な実施形態は、急速蒸発イオン化質量分析技術を活用するリアルタイムのロバストな組織性状診断ツールに関する。
【0307】
一般的に、周囲イオン化イオン源と結合された内視鏡に関する多様な実施形態がここでより詳細に説明される。他の内視鏡以外をベースにした実施形態も説明される。
【0308】
多様な実施形態に従って、エアロゾル、手術排煙、又は蒸気は周囲イオン化イオン源を使用し、標的から発生する。エアロゾル、手術排煙、又は蒸気は次いで1つ又は複数の吸気ポート又は開窓を介してシースの中に吸引されてよい。エアロゾル、手術排煙、又は蒸気は、エアロゾル、手術排煙、又は蒸気を質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の入口に移動してよい管組織の中に運ばれてよい。エアロゾル、手術排煙、又は蒸気は質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に移り、衝突表面に当たらされ、検体イオンの発生を生じさせてよい、衝撃イオン化によってエアロゾル、煙、又は蒸気をイオン化させてよい。
【0309】
結果として生じる検体イオン(又は検体イオンから導出される断片イオン若しくはプロダクトイオン)は次いで質量分析されてよい、及び/又はイオン移動度分析されてよく、結果として生じる質量分析データ及び/又はイオン移動度分光データは、リアルタイムで標的の1つ又は複数の特性を決定するために多変量分析を受けてよい。
【0310】
例えば、多変量分析は、現在切除されている組織の一部分ががんにかかっているかどうかに関して判断を下すことを可能にしてよい。
周辺イオン化イオン源
【0311】
多様な実施形態に従って、装置はエアロゾル、煙、又は蒸気を標的(例えば、インビボ組織)から発生させるために使用される。装置は、検体エアロゾル、煙、又は蒸気を天然の標的又は改質されていない標的から発生させる能力によって特徴付けられる周囲イオン化イオン源を含んでよい。例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(「MALDI」)等の他のタイプのイオン化イオン源は、イオン化の前にマトリックス又は試薬を試料に添加することを必要とする。
【0312】
マトリックス又は試薬を試料に添加する要件が、組織のインビボ分析を実行する能力を妨げ、より一般的に、標的物質の迅速で簡略な分析を提供する能力も妨げることが明らかになるだろう。
【0313】
したがって、対照的に、第1に周囲イオン化技法はマトリックス又は試薬の添加を必要としない(したがって、インビボ組織の分析に適している)ので、及び第2に周囲イオン化技法は標的物質の迅速で簡略な分析を実行できるようにするので、周囲イオン化技法は特に有益である。
【0314】
いくつかの異なる周囲イオン化技法が既知であり、本発明の範囲内に入ることが意図される。脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)は、開発される初めての周囲イオン化技法であり、2004年に開示された。2004年以来、いくつかの他の周囲イオン化技法が開発されてきた。これらの周囲イオン化技法はそれらの正確なイオン化方法で異なっているが、該周囲イオン化技法は、気相イオンを天然の(つまり、未処理の又は改質されていない)試料から直接的に発生させる同じ一般的な能力を共有している。本発明の範囲内に入ることが意図される多様な周囲イオン化技法の特定の利点は、多様な周囲イオン化技法が任意の事前の試料の準備を必要としない点である。結果として、多様な周囲イオン化技法は、マトリックス又は試料を組織試料又は他の標的物質に添加する時間及び費用を必要とせずに、インビボ組織試料と生体外の組織試料の両方を分析できるようにする。
【0315】
本発明の範囲内に入ることが意図される周囲イオン化技法の一覧を以下の表に示す。
【表1】






【0316】
実施形態に従って、周囲イオン化イオン源は、RF電圧がジュール加熱による手術排煙のエアロゾル又はプルームを発生させるために1つ又は複数の電極に印加される急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)イオン源を含んでよい。
【0317】
しかしながら、上述されたイオン源を含む他の周囲イオン源も活用され得ることが理解される。例えば、別の実施形態に従って、周囲イオン化イオン源はレーザーイオン化イオン源を含んでよい。実施形態に従って、レーザーイオン化イオン源は中赤外レーザーアブレーションイオン源を含んでよい。例えば、水吸収スペクトルのピークと一致する2.94μmの近くで又は2.94μmで放射を放ついくつかのレーザーがある。多様な実施形態に従って、周囲イオン化イオン源は、2.94μmでの高い吸水率に基づいて2.94μmに近い波長を有するレーザーアブレーションイオン源を含んでよい。実施形態に従って、レーザーアブレーションイオン源は、2.94μmで放射を放つEr:YAGレーザーを含んでよい。
【0318】
中赤外光パラメトリック発振器(「OPO」)が、2.94μmよりも長い波長を有するレーザーアブレーションイオン源を生成するために使用されてよい、他の実施形態が意図される。例えば、Er:YAG励起ZGP‐OPOは、例えば6.1μm、6.45μm、又は6.73μmの波長を有するレーザー放射を生じさせるために使用されてよい。いくつかの状況では、表面層だけが切除され、より少ない熱損傷が生じることがあるので、2.94μmよりも短い波長又は長い波長を有するレーザーアブレーションイオン源を使用することが有利なことがある。実施形態によると、Co:MgF2レーザーがレーザーアブレーションイオン源として使用されてよく、レーザーは1.75〜2.5μmで調整されてよい。別の実施形態に従って、Nd:YAGレーザーによって励起される光パラメトリック発振器(「OPO」)システムは、2.9〜3.1μmの間の波長を有するレーザーアブレーションイオン源を生じさせるために使用されてよい。別の実施形態に従って、10.6μmの波長を有するCOレーザーは、エアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるために使用されてよい。
【0319】
他の実施形態に従って、周囲イオン化イオン源は、次いでエアロゾルとして吸引される液体試料を生成する超音波アブレーションイオン源を含んでよい。超音波アブレーションイオン源は、集束源又は非集束源を含んでよい。
【0320】
実施形態に従って、標的からエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるための第1の装置は、連続RF波形を活用してよい電気手術ツールを含んでよい。他の実施形態に従って、パルスプラズマRFエネルギーをツールに供給するように配置される無線周波数組織解剖システムが使用されてよい。ツールは、例えばPlasmaBlade(登録商標)を含んでよい。パルスプラズマRFツールは、従来の電気手術ツールよりも低い温度(例えば、40〜170℃、200〜350℃を比較する)で動作し、それによって熱熱傷深さを削減する。パルス波形及びデューティーサイクルは、薄い絶縁体電極の刃先(複数可)に沿って電気プラズマを誘導することによって手術の切断モードと凝固モードの両方に使用されてよい。
急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)
【0321】
図1は、バイポーラピンセット1が患者3のインビボ組織2と接触させられてよい実施形態に係る急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)の方法を示す。図1に示される実施形態では、バイポーラピンセット1は、患者の脳に対する外科手術の過程で患者3の脳組織2と接触させられてよい。RF電圧発生器4からのRF電圧が、組織2の局所化されたジュール加熱又はジアテルミー加熱を引き起こすバイポーラピンセット1に印加されてよい。結果として、エアロゾル又は手術プルーム5が発生する。エアロゾル又は手術プルーム5は、次いで捕捉されてよい、又はバイポーラピンセット1の洗浄ポートを通して吸引されてよい。したがって、バイポーラピンセット1の洗浄ポートは吸引ポートとして再活用される。エアロゾル又は手術プルーム5はバイポーラピンセット1の洗浄(吸引)ポートから管組織6(例えば、直径1/8”つまり3.2mmのテフロン(登録商標)管組織)に運ばれてよい。管組織6はエアロゾル又は手術プルーム5を、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計8の大気接触面7に移動するように配置される。
【0322】
以下にさらに説明されるように、液体トラップ又は分離器(図1では不図示)が、捕捉される又はそれ以外の場合バイポーラピンセット1の洗浄ポートを通して吸引される任意の液体(例えば、血液)を捕捉及び/又は廃棄するために設けられる。バイポーラピンセット1を介して吸引される手術排煙又はエアロゾルは、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計8に前方に送られる液体の量を除去又は削減するために液体分離器又は液体トラップを介して質量分析計及び/又はイオン移動度分光計8に運ばれる。
【0323】
多様な実施形態に従って、イソプロパノール等の有機溶媒を含むマトリックスは大気圧接触面7でエアロゾル又は手術排煙5に添加されてよい。エアロゾル3及び有機溶媒の混合物は次いで質量分析計及び/又はイオン移動度分光計8の真空チャンバの中の衝突表面に当たるように配置されてよい。実施形態によると、衝突表面は加熱されてよい。エアロゾルは、衝突表面に当たると、イオン化させられ、検体イオンの生成を生じさせる。検体イオンを生成するイオン化効率は有機溶媒の添加によって改善されることがある。しかしながら、有機溶媒の添加は必須ではない。
【0324】
エアロゾル、煙、又は蒸気5を衝突表面に当たらせることによって生成される検体イオンは次いで質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の以後の段階を通って運ばれ、質量分析器及び/又はイオン移動度分析器で質量分析及び/又はイオン移動度分析を受ける。質量分析器は、例えば四重極質量分析器又は飛行時間型質量分析器を含んでよい。
【0325】
図2A及び図2Bは、実施形態に係る急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)内視鏡及びスネア構成を示す。
【0326】
本実施形態によると、ポリープ切除スネア26が提供される。図2Bに示されるように、スネア26は、管組織23の長さを通るワイヤループを含む。ワイヤループは、図2Aに示されるように、内視鏡スタック11を介してユーザによって操作されてよいマニピュレータに取り付けられる。マニピュレータは、ユーザがスネア26をポリープ27の回りで閉じることを可能にする。ワイヤスネア26電圧はRF電圧発生器(図2Aでは不図示)に接続される。ワイヤスネア26は電気手術ツールの機能を果たし、内視鏡17のポート22を通して配備され、例えば食道19を介して、例えば胃21、幽門20、又は結腸等に位置するポリープ27を切除するために使用されてよい。ポリープ切除スネア26はポリープ27の回りに配備され、締め付けられるので、ポリープ27は、ワイヤスネア26を収容する管組織23の開放端部24を効果的に制限又は密閉する。
【0327】
RF電圧がワイヤスネア26に印加されるとき、ワイヤスネア26は電気手術ツールの機能を果たし、ポリープ27を効果的に切断し、除去する。同時に、ワイヤスネア26を収容する管組織23の端部24の中に実質的に移ることができない手術排煙又はエアロゾル28が発生する。ワイヤスネア26を収容する管組織23はさらに、手術排煙又はエアロゾル28をワイヤスネア26を収容する管組織23の中に吸引できるようにする開窓又は1つ若しくは複数の吸引ポート25を具備してよい。手術排煙又はエアロゾル28は、例えば管組織に接続されるポンプ(図2Aでは不図示)によって管組織に向かって吸い込まれてよく、煙吸込みの方向は矢印29によって示される通りであってよい。つまり、手術排煙又はエアロゾル28は管組織23に向かって及び開窓又は1つ若しくは複数の吸引ポート25を通って吸い込まれてよい。手術排煙又はエアロゾル28は、管組織23の長さの中に、及び管組織23の長さに沿って吸引されてよく、図2Aに示されるように、コネクタ16を介して質量分析計及び/又はイオン移動度分光計12の真空チャンバに運ばれてよく、手術排煙又はエアロゾルは加熱されてよい衝突表面に当たるとイオン化されてよい。
【0328】
結果として生じる検体イオンは次いで質量分析されてよい、及び/又はイオン移動度分析されてよく、切除されている組織に関係するリアルタイム情報が(例えば外科医又は専門看護婦であってよい)ユーザに提供される。胃21又は結腸の裏層から離れてポリープ27を切断することに加えて、スネア26は、ポリープ27が胃21又は結腸から除去し、任意選択で分析し、次いで処分できるようにポリープ27の上に保持するために使用されてよい。
【0329】
内視鏡は、ユーザが電気手術ツール及び内視鏡を適切に操作し得るように光18を発し、カメラを含んでよい。
【0330】
多様な実施形態に従って、液体トラップ又は分離器(図2Aでは不図示)が、任意の吸引された液体を捕捉及び/又は廃棄するために提供される。電気手術ツールを介して吸引される手術排煙又はエアロゾルは、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計12に前方に送られる液体の量を除去又は削減するために液体分離器又は液体トラップを介して質量分析計及び/又はイオン移動度分光計12に運ばれる。
【0331】
多様な他の実施形態に従って、電気手術ツール及び関連付けられた内視鏡は、肺、鼻、及び尿道を含む他の体腔及び体器官で使用されてよい。したがって、本明細書で使用される用語「内視鏡」、「内視鏡的な」、「内視鏡検査」等は、気管支鏡/気管支鏡検査法、鼻鏡/検鼻法、鼻鏡/検鼻法(nasoscopy)、視聴機器(cytoscopes)/細胞検査等の構成を包含することを目的とする。
【0332】
内視鏡が例えば肺で使用されるとき、少量の肺組織が、例えばがんを検査するために電気手術ツールを使用し、分析されてよい。これは生検試料を入手し、分析することに加えて、又は生検試料を入手し、分析する代わりに実行できるだろう。実施形態に従って、スネアは単極電極装置を含んでよく、対極板の機能を果たす相対的に大きいパッドは、電流がスネア電極から患者を通って対極板へ流れるように患者の真下に設置されてよい。また、スネア電極が電流が患者の体を通らないように双極装置を含んでよい他の実施形態も意図される。双極電極装置は、例えば電流が周囲組織を流れることが明らかに望ましくない脳外科手術等の非常に繊細な手術で使用されてよい。
【0333】
単極電極又は双極電極の構成は特に有益であるが、電気手術ツールが多相装置又は3相装置を含んでよく、例えば3つ以上の別個の電極又はプローブを含んでよい他の実施形態も意図される。
【0334】
別の実施形態に従って、レーザー源に結合された光ファイバがエアロゾル、煙、又は蒸気を発生させるために使用されてよい。
【0335】
マトリックスは、検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気が衝突表面に当たる前に添加されてよい、又は検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気と混合されてよい。
【0336】
マトリックスは、検体、煙、煙霧、液体、ガス、手術排煙、エアロゾル、及び/又は蒸気のための溶媒を含んでよい、並びに/又は有機溶媒及び/若しくは揮発性化合物を含んでよい。
【0337】
実施形態に従って、マトリックスは、極性分子、水、1つ又は複数のアルコール、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、又はアセトニトリルを含んでよい。イソプロパノールは特に使用するのに有益である。
【0338】
添加されるマトリックスは、さらに又は代わりにロックマス化合物、ロック移動度化合物、又は較正化合物を含んでよい。
【0339】
マトリックスの添加は、マトリックスの中で溶解する検体が、検体分子間の分子間結合を排除する点で特に有益である。したがって、溶解した検体が衝突表面と衝突するとき、溶解した検体は小滴に分裂し、任意の所与の小滴は、マトリックスが存在していなかったとしたら小滴が含むだろう検体分子よりも少ない検体分子を含む可能性がある。これは同様に、各小滴のマトリックスが蒸発するときもイオンのより効率的な発生につながる。
【0340】
また、図2Aは、実施形態に従って内視鏡ポリープ切除スネアが、組織蒸発点と質量分析計/イオン移動度分光計12の大気入口13との間に移動ラインを確立するためにどのようにして追加のT字形コネクタ16を装備してよいのかをより詳細に示す。大気入口13は接地14を含んでよい。
【0341】
急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)内視鏡的セットアップは初期に最適化され、その再現性は豚の胃のモデルを使用し、評価された。人工ポリープが豚の胃の粘膜の中で作成され、図2Bに示されるようにポリープ切除スネア26を使用し、切除が実施された。このセットアップは、標準的な内視鏡切除の正確なシミュレーションを可能にした。ポリープ27は、図2Bから分かるように、切除中スネア26のプラスチックシース管組織23の開口部つまりツール配備開口部24を完全に遮断するので、切除により生じたエアロゾル28は、スネア26のプラスチックシース23に設けられて良い開窓25を通して吸引されてよい。
【0342】
開窓又は吸引ポート25が、ツール配備開口部24が少なくとも部分的に又は完全に遮断されているとき手術排煙又はエアロゾル28を吸引できるようにするので、スネアのツール配備開口部24から遠位にある急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)スネアのプラスチックシース23上に開窓25を設けることは、特に有益である。
【0343】
開窓又は吸引ポート25を介して急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)スネア26を収容する管組織23に進入するエアロゾル粒子28は、次いでスネアのポートに接続されるPTFE管組織15を介して質量分析計及び/又はイオン移動度分光計12に移送されてよい。スネア26は、急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)内視鏡17の近位端に接続されてよい。管組織15は、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計12の入口毛細管オリフィス又はイオンサンプリングオリフィスに直接的に接続されてよい。質量分析計及び/又はイオン移動度分光計が蒸発の点に遠位であることが理解される。
【0344】
エアロゾルの吸引は、標準的な医療用空気又は窒素によって駆動されるベンチュリポンプを使用し、容易にされてよい。
【0345】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計は、StepWave(登録商標)イオンガイドの大きい開口部の中心軸に沿って、及び隣接して位置決めされる衝突表面を含んでよい修正された大気接触面を含んでよい。当業者によって理解されるように、StepWave(登録商標)イオンガイドは2つの結合されたイオントンネルイオンガイドを含む。各イオンガイドは複数のリング又は他の電極を含み、イオンはリング又は他の電極によって提供される中心開口を通過する。過渡DC電圧又は電位は電極に印加される。StepWave(登録商標)イオンガイドは、スタックリングイオンガイド技術に基づき、源から質量分析器及び/又はイオン移動度分析器へのイオン透過を最大限にするように作られる。装置は、中性の汚染物の活発な除去を可能にし、それによって全体的な信号対雑音に強化を与える。設計は、次いで質量分析計及び/又はイオン移動度分光計への移動のために上部イオンガイドに集束される第1の下部段階に入る拡散イオンクラウドの効率的な捕捉を可能にする。
【0346】
質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の真空チャンバの中に位置する衝突表面は、真空チャンバに進入するガスの断熱膨張及び結果として生じる温度低下のために大気接触面の自由噴射部位に形成される分子クラスタの効率的な分裂を容易にする。分子クラスタの効率的な分裂を容易にするための他の手段は、さらに又は代わりに真空チャンバの中で提供されてよく、例えば衝突ガスはこの部位で提供されてよく、衝突ガスとの衝突は分子クラスタを壊すのに役立つことがある。
【0347】
超分子クラスタの表面誘起解離は信号強度を改善してよく、イオン光学部品の汚染に関連付けられた問題も緩和する。
【0348】
m/z範囲600〜1000の豚の胃のモデルから記録された急速蒸発イオン化質量分析スペクトルはおもに、以前の急速蒸発イオン化質量分析の実験ですべての哺乳類の組織型について観測されたリン脂質を特徴とする。
【0349】
多様な実施形態は、スネア先端の幾何学形状を最適化するため、及びスネアのプラスチックシース上の開窓の数及び相対的な位置を最適化するためにも実行される。分析の反復性の評価も実行された。
【0350】
サンプリング幾何学形状の最適化に続き、急速蒸発イオン化質量分析内視鏡的セットアップは、胃腺がん、健常な胃粘膜、及び健常な胃粘膜下組織を含む体外の人間の試料で試験された。試料は、すべてが書面によるインフォームドコンセプトを与えられた3人の個別の患者から取得された。
【0351】
急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)を実行するための多様な実施形態に従って、電気手術ツール及び1つ又は複数の吸引ポートを含む電気手術プローブは、内視鏡の中に配備され、提供されてよい。
【0352】
リアルタイム情報及び/又は遅延情報は、質量スペクトル情報及び/又はイオン移動度スペクトル情報及び/又は組織分類情報を含んでよい、電気手術ツールのユーザに提供されてよい。また、フィードバック装置及び/又はアラーム及び/又は警報は、所望されない標的部位又は領域からの検体が分析器によって分析中である、又は電気手術ツールが所望されない標的部位又は領域で動作中である及び/又は所望されない標的部位又は領域に位置する旨のフィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報を電気手術ツールのユーザに与えるために提供されてよい。
【0353】
電気手術ツールへの電力は、所望されない標的部位若しくは領域からの検体が分析器によって分析中である、及び/又は電気手術ツールが所望されない標的部位若しくは領域で動作中である及び/又は所望されない標的部位若しくは領域に位置する場合に削減及び/又は停止されてよい。
【0354】
多様な実施形態に係る急速蒸発イオン化質量分析ベースの内視鏡的セットアップは、多様な潜在的な問題に対処する。
【0355】
特に、多様な実施形態は、液体は通常関心のある組織試料に関係せず、分析器に損傷を与えることがあるので、液体が分析器に達するのを妨げる(又は分析器に達する液体の量を少なくとも削減する)ための戦略を必要とする、相対的に閉じられた内視鏡的環境での(つまり、胃又は腸の中の)液体及び水分の存在の問題に対処する。
【0356】
最初にプローブの中に吸引される液体の量を削減することを目的とする戦略が、装置の操作に不利な副作用をもたらすことがあり、多くの場合、相対的に閉じられた内視鏡的環境のために効果がないことがあることが判明している。
【0357】
したがって、多様な実施形態に係る急速蒸発イオン化質量分析(「REIMS」)分析の方法は、電気手術プローブによる所望されない液体の初期の吸引を可能にするが、次いで液体が分析器に達することができる前に、つまり液体トラップ又は分離器を使用し、所望されない液体を除去する。
【0358】
また、多様な実施形態は、外科的介入の間に吸引される液体の死容積、メモリ効果、トラッピング、清掃可能性、及び/又は廃棄可能性、並びに器具によるエアロゾル又は手術排煙の成分の潜在的な改質に関連付けられた潜在的な問題だけではなく、内視鏡的環境における内視鏡プローブの使用に起因する内視鏡プローブのサイズに対する制限に関連付けられた問題にも対処する。
【0359】
内視鏡的環境の分析を実行することとの関連で特に有益であるが、多様な実施形態に係る器具は他の状況でも役立つことがある。したがって、器具は内視鏡を含む必要がない。例えば、(第1の装置によって分析されている)関心のある標的に関係しない液体が分析器に又は分析器に向かって吸引されてよい多様な実施形態に係る器具のいくつかの応用例がある。例えば、多様な実施形態では、生理食塩水、血液、尿、粘液、及び/又は他の体液は、関心のある標的(例えば、組織)を分析するときに分析器に又は分析器に向かって吸引されてよい。したがって、多様な実施形態に従って、液体トラップ又は分離器は、液体が分析器に達する(及び潜在的に損傷を与える)のを妨げるために、これらの液体の任意の1つ又は複数又はすべてを捕捉及び/又は廃棄してよい。
【0360】
多様な実施形態に従って、図3に示されるように、液体トラップ又は分離器32は、電気手術ツール又はプローブ31と分析器33との間に設けられてよく、液体トラップ又は分離器32は、エアロゾル又は手術排煙が、例えば質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の分析器33に相対的に自由に移ることを可能にしつつ、ツール又はプローブ31によって吸引される望ましくない液体を捕捉又は廃棄する。エアロゾル、手術排煙、及び/又は液体は、例えばポンプ34及び管組織35によって分析のために分析器33に又は分析器33に向かって吸引されてよい。このセットアップは、エアロゾル又は手術排煙の測定に影響を及ぼすことなく、所望されない液体が分析器33に達することを妨げる。
【0361】
液体トラップ又は分離器32は、後の処分のために、例えば液体収集装置を使用し、液体を捕捉するように配置されてよい。
【0362】
フィードバック及び/又はアラーム及び/又は警報は、例えば液体トラップ32がいっぱいである又はいっぱいに近いときにユーザに提供されてよい。さらに又は代わりに、器具(例えば、電気手術ツール31)は、液体トラップ32がいっぱいである又はいっぱいに近いとき、例えば器具への(例えば、電気手術ツール31への)電力を削減又は停止することによって無効にされてよい、又は部分的に無効にされてよい。液体トラップ32は、この目的のために1つ又は複数の液体検出器を具備してよい。
【0363】
PTFE管組織35は、電気手術ツール31を液体トラップ又は分離器32に、液体トラップ又は分離器32を質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の入口毛細管オリフィス又はイオンサンプリングオリフィスに接続するために提供されてよい。吸引された手術排煙又はエアロゾルは、管組織35を通して質量分析計及び/又はイオン移動度分光計に移送されてよい。
【0364】
多様な内視鏡的実施形態によると、電気手術ツール31が内視鏡的環境の中に挿入されるとき、液体トラップ又は分離器32は内視鏡的環境の外部のままであってよい。これは、電気手術ツール31のサイズを最小限に抑えることができるように、液体が電気手術ツール31によって吸引されるのを妨げるための追加の装置を提供する必要を回避する。
【0365】
液体トラップ又は分離器32は多様な異なる形をとってよい。
【0366】
液体トラップ又は分離器32の特徴は、(i)高速動作及び最小の遅延時間を保証するための最小の死容積、(ii)(質量分析計及び/又はイオン移動度分光計によって分析される試料が現在電気手術ツールによって蒸発している試料に関係しないときに発生する)最小メモリ効果‐特に、液体トラップ又は分離器の流路の内部幾何学的外形は著しいメモリ効果を引き起こさないことがある、(iii)液体トラップ又は分離器32は外科的介入中に吸引される液体を貯蔵するために十分なトラッピング容積を有してよい、(iv)液体トラップ又は分離器32の汚染された表面及びパーツ(液体と接触するようになるもの)は容易に清掃可能又は処分可能である、(v)エアロゾルと接触する液体トラップ又は分離器32のパーツの材料が測定結果に影響を及ぼさないためにエアロゾルの組織を改変しない、及び(vi)液体トラップ又は分離器が無菌であってよい、又は滅菌されてよいことを含んでよい。
【0367】
より詳細には、多様な実施形態に係る液体トラップ又は分離器32は、以下の技術的なパラメータを有益に満たしてよいことが判断された。つまり(i)最大許容遅延時間は、(通常、内視鏡及び長さ約3メートル及び内径約1.5mmである質量分析計及び/又はイオン移動度分光計を接続する管組織の固有遅延時間に追加される)約750ml/分のガス流量で約2秒あってよい、(ii)最大メモリ効果は、信号強度がピーク最大から10%まで低下するまで約3秒を与えてよい、及び(iii)液体収集装置の最小体積が約30mlであってよい。
【0368】
液体トラップ又は分離器の多様な実施形態は、以下の実験作業フローを使用し、試験された。
【0369】
既知の風袋重量の液体収集バイアルを有する多様な液体トラップ又は分離器は、電気手術ツール又はプローブの出口に取り付けられた。真空ポンプは、システムを通して空気を吸い込むために液体トラップ又は分離器の他の出口に接続された。流量は約750ml/分に設定された。
【0370】
不連続の試験に従って、約20mlの水が各浸漬の間に15秒の中断を有する約1秒の期間、液体に電気手術ツールを浸漬することによって入口を通って吸引された。この活動は、20mlの水が吸引されるまで継続された。20ml全体の吸引後、液体収集バイアルは、分離された液体及び分離されなかった液体の量を決定するために重み付けされた。
【0371】
連続試験に従って、上記測定は、20mlの水を連続的に吸引することによって繰り返された。
【0372】
これらの測定方法を使用し、液体分離効率及び各液体トラップ又は分離器の性能が決定された。
【0373】
質量分析計を使用する試験に従って、質量分析計は電気手術ツールの出口に取り付けられた。手術煙霧又はエアロゾルは電気手術ツールを介して吸引された。実際の吸引と質量スペクトル信号の出現との間の時間が測定された。測定は、約1秒の液体の吸引後に繰り返された。操作全体が3回繰り返され、スペクトル強度測定値が登録された。制御測定値として、同じ活動が、長さ約1.5m及び内径約0.5mmのPTFE管を使用し、液体トラップ又は分離器なしで実行された。
【0374】
これらの測定値を使用し、遅延時間、メモリ効果、及び信号強度の減少が立証された。
【0375】
実施形態によると、液体トラップ又は分離器はバルブをベースにした液体分離器を含んでよい。吸引された試料は、任意の不必要な液体の存在が検出されることがある管検出器部分を通して移動されてよい。液体が検出されると、次いで試料の流れは制御されたバルブによって液体収集装置に迂回されてよい。
【0376】
図4に示されるように、吸引された試料は、透過光検出器41等の検出器を通して転送されてよい。万一液体が存在する場合、透過は増加し、それが検出されると、接続された電子コントローラが、試料の流れを液体収集装置44に迂回させる入口セレクタバルブ42に信号を送信してよい。結果として、液体は液体収集装置44に収集される。
【0377】
同時に、出口セレクタバルブ43も、入口バルブ42から来る液体よりむしろ、液体収集装置44から来る気流が吸い込まれるように命令されてよい。これがシステムの遮断を妨げる。
【0378】
ガスが検出器41によって検出される場合、電子コントローラは、試料のエアロゾル部分が入口バルブ及び出口バルブを通して質量分析計及び/又はイオン移動度分光計の中に流れ込むように両方のバルブをリセットしてよい。
【0379】
液体検出器41は、分析器33に相対的に近く、又はより有益なことには電気手術ツール31(内視鏡装置)に相対的に近く(例えば可能な限り近く)位置してよい。これが、分流加減器が操作するためのより多くの時間を与える。
【0380】
例えば光透過検出器、光反射検出器、超音波透過検出器、超音波透過率検出器、及び/又は電気検出器等の他のタイプの検出器が液体を検出するために使用されてよい。
【0381】
電気検出器は、例えば抵抗、電圧、キャパシタンス、又は電流を測定するための2つ以上のプローブ又は電極を含んでよい。プローブ又は電極は、サンプリング管組織の小さいセクションに埋め込まれてよく、サンプリング管組織の導電率、抵抗、及び/又はキャパシタンスを測定するように配置されてよい。この場合、液体が存在するとき、2つ以上のプローブ間の抵抗、電圧、又は電流が変化し、液体の存在を検出できるようにする。
【0382】
超音波検出器は、例えばサンプリング管組織の小さいセクションに埋め込まれた超音波送信機及び検出器の対を含んでよい。液体が超音波エネルギーを吸収し、それによって液体の存在を検出できるようにするので、液体が管組織を通過するにつれ、超音波検出器によって超音波送信機から受信される超音波信号は変化する。
【0383】
プロトタイプユニットはアルミニウム/PEサンドイッチパネル上に構築された。PTFE管(1/16”外径、及び1mm内径)は標準的な取付け部品を装備した。入口バルブと出口バルブの両方とも約0.5mmのシート付きでPTFE製であった。入口での検出器は、(約0.5mmの開口部を有する)LED及びフォトトランジスタを含む光ゲートであった。
【0384】
装置は計画された通り機能することが実証された。ベントバルブは、液体分離の期間中、出口に取り付けられた質量分析計及び/又はイオン移動度分光計が、停滞し、すでに分離された液体の上方からガスを吸い込む事実に対処するために設けられてよい。
【0385】
エアロゾル吸込み段階での少量の移動のため、非常に短い遅延時間(約0.2秒)が達成された。
【0386】
図5A及び図5Bに示されるように、別の実施形態に従って、液体トラップ又は分離器は吸収ベースの液体分離器51を含んでよい。吸引された液体は、液体が液体分離器の出口に到達するのを妨げるために、多孔性の吸収材料(図5A及び図5Bでは不図示)で吸収されてよい。
【0387】
吸引された液体は、吸水性で親水性の毛細管構造の材料から作られた管システムを通して移動されてよい。管は、液体と管の内壁との間に恒久的な接触を生じさせる一定の曲げを有してよい。多孔性の材料は試料の液体量を吸収してよく、これにより気体だけが出口を通過する。
【0388】
石膏が最も適した吸収材料であるとして選択された。石膏は、それが所望される幾何学形状に容易に成形できるという事実のためだけではなく、その吸収性のために有益である。コイル又は螺旋の形状のシリコンゴム管が石膏の中に投入された。管は、いったん石膏が硬化すると注型から外された。取付け部品52は、システムの接続ポートとして機能するために管の入口及び出口に取り付けられた。
【0389】
装置は計画通り機能することが実証された。実施形態は、有益なことに費用効率の高い構造を示し、それによって廃棄可能性を可能にする。必要とされる量の液体を吸収するために、及び(ほぼ確実に上部吸収層の早期飽和及び内側吸収層に向かう妨げられた液体の移動のために)石膏が液体で飽和されるにつれ減少する吸収性の問題に対処するために大量の管組織が設けられてよい。
【0390】
別の実施形態に従って、液体トラップ又は分離器は連続的に動作する液体遠心分離機を含んでよい。本実施形態に係る液体分離機は連続遠心分離技法に基づく。設計は、システム死容積を可能な限り低く維持する。液体収集装置の十分な容量を維持しつつ、必要とされるガス流に対して少ない移動量が使用されてよい。
【0391】
図6に示されるように、液体遠心分離機は二重壁同軸計量配分装置ヘッド61、回転分離シリンダ62、シャフトコネクタ63及び液体収集装置64付きの電気モータを含んでよい。試料の流れは同軸計量配分装置の内側管を通って回転分離シリンダの真中に移動される。遠心力により、分離した液体はシリンダの塩水壁をゆっくりと上方に移動する。液体がシリンダの最も上の縁に達するとすぐに、液体は液体収集装置の内壁を飛び越える。そこから、液体は流れ落ち、収集装置の底部で集まる。試料のガス含有量が上昇する小滴上に薄膜を形成し、分離シリンダの最上部に流れ、そこからガスは質量分析計及び/又はイオン移動度分光計に向かって離れる。ユニット65、66の入口及び出口はPTFE管によって接続されてよい。このようにして、ガス流の少ない移動量が保証される。
【0392】
図7に示されるように、分離器71は構築され、試験された。以下のパラメータが装置について測定され、装置の優れた動作、つまり約1.5〜2秒の遅延時間、約2.5秒のメモリ効果、及び約35mlの液体を収集する能力を実証する(これは、幾何学的な成形によって増加してよい)。測定可能な量の液体が出口タンクに移動されなかった。装置を通過するエアロゾルの質量スペクトルは改質されなかった。スペクトルの信号強度は約40%、減少した。
【0393】
さらに追加の実施形態に従って、液体トラップ又は分離器は液体トラップを含んでよい。液体トラップは、手術排煙又はエアロゾル及び液体がそれを通ってチャンバの中に導入される入口、及び手術排煙又はエアロゾルが、液体がチャンバを離れることなくチャンバを離れることができる出口を有する密閉されたチャンバを含んでよい。
【0394】
図8に示されるように、トラップはネジ蓋82で閉じられ、隔膜83で密閉されてよいバイアル81を含んでよい。液体移動管84は、跳ね返りを妨げるため、及びサイクロン効果を促進することによって相分離効率を改善するために弓なりのベンド85を有し、バイアルの底部の近くまで通ってよい。エアロゾルの出口は、質量分析計及び/又はイオン移動度分光計に直接的に接続されてよい短い管86によって隔膜の内側高さのすぐ下で発生してよい。PTFEフリットが、出口接続での跳ね返りから保護するために使用されてよい。
【0395】
4mlのバイアル及び30mlのバイアルをそれぞれ含む2つのプロトタイプが構築され、それらの動作を実証する以下のパラメータが測定された。
【表2】
【0396】
分かるように、液体トラップの小さい方の4mlバージョンは所望される範囲内の遅延時間及びメモリ効果を有するので、小さい方の4mlバージョンは有益である。本実施形態の別の利点は、それが安価且つ簡略であり、結果として簡単に処分できる点である。限られたトラッピング容積は、必要に応じて装置を規則正しく交換することによって対処できる。
【0397】
理解されるように、液体トラップ又は分離器の説明された実施形態は、信号発生の効率及び計器のロバスト性を損なうことなく内視鏡的応用例の要件に対処する。
試料スペクトルの分析
【0398】
多様な実施形態に従って使用されてよい分析技法のリストが以下の表に示される。
【表3】
【0399】
PCA‐LDA、PCA‐MMC、PLS‐LDA等の上記分析方式の組合せも使用できる。
【0400】
試料スペクトルを分析することは、分類のための監視された分析が後に続く次元縮退のための監視されていない分析を含むことがある。
【0401】
例として、いくつかの異なる分析技法がここでより詳細に説明される。
多変量分析‐分類のためのモデルの作成
【0402】
例として、複数の基準試料スペクトルの多変量分析を使用し、分類モデルを構築する方法がここで説明される。
【0403】
図9は、多変量分析を使用し、分類モデルを構築する方法1500を示す。この例では、方法は基準試料スペクトルのために強度値の複数の集合を入手するステップ1502を含む。方法は次いで監視された線形判別分析(LDA)のステップ1506が後に続く監視されない主成分分析(PCA)のステップ1504を含む。この手法は、本明細書ではPCA‐LDAと呼ばれてよい。PCA‐MMC等の他の多変量分析手法が使用されてよい。PCA‐LDAモデルは、ステップ1508で次いで例えば記憶装置に出力される。
【0404】
このような多変量分析は、(エアロゾル、煙、又は蒸気の試料、生体試料等の)試料を、試料から入手される1つ又は複数の試料スペクトルを使用し、分類できるようにする分類モデルを提供できる。多変量分析はここで簡略な例に関してより詳細に説明される。
【0405】
図10は、2つのクラスの既知の基準試料から入手される基準試料スペクトルの集合を示す。クラスは本明細書に説明される標的のクラスの任意の1つ又は複数であってよい。しかしながら、簡単にするために、この例では、2つのクラスは左側クラス及び右側クラスと呼ばれる。
【0406】
基準試料スペクトルのそれぞれは、その基準試料スペクトルでのそれぞれの質量対電荷比のために3つの基準ピーク‐強度値の集合を導出するために前処理されている。3つの基準ピーク‐強度値だけしか示されていないが、より多くの基準ピーク‐強度値(例えば、〜100の基準ピーク‐強度値)が、基準試料スペクトルのそれぞれの対応する数の質量対電荷比について導出されてよい。他の実施形態では、基準ピーク‐強度値は、質量、質量対電荷比、イオン移動度(ドリフト時間)、及び/又は操作パラメータに対応してよい。
【0407】
図11は、強度軸によって画定される3つの次元を有する多変量空間を示す。次元又は強度軸のそれぞれは特定の質量対電荷比でのピーク強度に相当する。再び、多変量空間ではより多くの次元又は強度軸(例えば、〜100の次元又は強度軸)があることが理解される。多変量空間は複数の基準点を含み、各基準点は基準試料スペクトルに相当し、つまり各基準試料スペクトルのピーク‐強度値は多変量空間の基準点に座標を提供する。
【0408】
基準試料スペクトルの集合は、それぞれの基準試料スペクトルと関連付けられた行、それぞれの質量対電荷比と関連付けられた列、及びそれぞれの基準試料スペクトルのそれぞれの質量対電荷比のピーク強度値である行列の要素を有する基準行列Dで表されてよい。
【0409】
多くの場合、多変量空間の多数の次元及び行列Dが、基準試料スペクトルをクラスにグループ化することを困難にすることがある。PCAは相応して、主成分軸によって定められる削減された数の1つ又は複数の次元を有するPCA空間を定義するPCAモデルを計算するために行列Dで実施できる。主成分は、行列Dの最大分散を含む又は「説明する」及び行列Dの分散の閾値量を累積的に説明する成分となるために選択されてよい。
【0410】
図12は、累積分散がPCAモデルの主成分の数nの関数としてどのようにして増加してよいのかを示す。分散の閾値量は所望されるように選択されてよい。
【0411】
PCAモデルは、非線形反復偏最小二乗(non‐linear iterativepartial least squares)(NIPALS)アルゴリズム又は特異値分解を使用し、行列Dから計算されてよく、その詳細は当業者に既知であり、したがって本明細書では詳細に説明されない。PCAモデルを計算する他の方法が使用されてよい。
【0412】
結果として生じるPCAモデルはPCAスコア行列S及びPCA負荷行列Lによって定義されてよい。また、PCAは、PCAモデルによって説明されない分散を含む誤差行列Eを生じさせることもある。D、S、L、及びEの関係は以下の通りであってよい。
【数1】
【0413】
図13は、図10及び図11の基準試料スペクトルのための結果として生じたPCA空間を示す。この例では、PCAモデルは2つの主成分PC及びPCを有し、したがってPCA空間は2つの主成分軸により定義される2つの次元を有する。しかしながら、所望されるように、より少ない数又はより多い数の主成分がPCAモデルに含まれてよい。概して、主成分の数が多変量空間内の次元の数よりも少なくとも1少ないことが所望される。
【0414】
PCA空間は、複数の変換済み基準点又はPCAスコアを含み、それぞれの変換済み基準点又はPCAスコアは図10の基準試料に対応し、したがって図11の基準点に対応する。
【0415】
図13に示されるように、PCA空間の縮退した次元は基準試料スペクトルを2つのクラスにグループ化することをより容易にする。また、あらゆる外れ値が識別され、この段階で分類モデルから削除されてよい。
【0416】
PCA空間を使用する、マルチクラスLDA又は最大マージン基準(MMC)等の追加の監督された多変量分析は次いで、クラスを定義し、任意選択で次元をさらに縮退するために実行されてよい。
【0417】
当業者によって理解されるように、マルチクラスLDAは(つまり、可能な限りコンパクトなクラスの間で考えられる最大の距離を与えるために)クラス間の分散対クラスの中の分散の比率を最大限にしようとする。LDAの詳細は当業者に既知であるため、本明細書では詳細に説明されない。
【0418】
結果として生じるPCA‐LDAモデルは、一般化固有値問題を解決することによって、その中に含まれる変換されたスペクトルのそれぞれのためのPCAスコア行列S及びクラス割当てから導出されてよい、変換行列Uによって定義されてよい。
【0419】
元のPCA空間から新しいLDA空間へのスコアSの変換は、次いで以下によって与えられてよく、
【数2】
上式では、行列ZはLDA空間に変換されたスコアを含む。
【0420】
図14は単一の次元又は軸を有するPCA‐LDA空間を示し、LDAは図13のPDA空間で実行される。図14に示されるように、LDA空間は複数の追加の変換された基準点又はPCA‐LDAスコアを含み、それぞれの追加の変換された基準点は、図13の変換された基準点又はPCAスコアに相当する。この例では、PCA‐LDA空間のさらに縮退した次元は、基準試料スペクトルを2つのクラスにグループ化するのをなおさらに容易にする。PCA‐LDAモデルの各クラスは、PCA‐LDA空間でのその変換されたクラスの平均及び共分散行列又は(点、線、平面、又はより高次の超平面を含む)1つ若しくは複数の超平面、又は超曲面又はボロノイセルによって定義されてよい。
【0421】
PCA負荷行列L、LDA行列U、及び変換クラス平均、及び共分散行列又は超平面又は超曲面又はボロノイセルは、エアロゾル、煙、又は蒸気の試料を分類する際に後に使用するためにデータベースに出力されてよい。
【0422】
クラスgのLDA空間V’の変換された共分散行列は以下により示されてよく、
【数3】
上式で、VはPCA空間でのクラス共分散行列である。
【0423】
クラスgの変換クラス平均位置zは以下によって示されてよく、
【数4】
上式で、sはPCA空間のクラス平均位置である。
多変量分析‐分類のためのモデルの使用
【0424】
例として、(例えばエアロゾル、煙、又は蒸気の試料等の)試料を分類するために分類モデルを使用する方法がここで説明される。
【0425】
図15は、分類モデルを使用する方法2100を示す。この例では、方法は試料スペクトルの強度値の集合を入手するステップ2102を含む。方法は次いで、試料スペクトルの強度値の集合をPCA‐LDAモデル空間の中に投射するステップ2104を含む。PCA‐MMC等の他の分類モデル空間が使用されてよい。試料スペクトルは次いで、投射位置に基づいてステップ2106で分類され、分類は次いでステップ2108で出力される。
【0426】
試料(例えば、エアロゾル、煙、又は蒸気の試料)の分離がここで、上述された簡略なPCA‐LDAモデルを参照してより詳細に説明される。
【0427】
図16は、未知のエアロゾル、煙、又は蒸気の試料から入手される試料スペクトルを示す。試料スペクトルはそれぞれの質量対電荷比のために3つの試料ピーク‐強度値の集合を導出するために前処理されている。上述されたように、3つの試料ピーク‐強度値しか示されていないが、より多くの試料ピーク‐強度値(例えば、〜100の試料ピーク‐強度値)が試料スペクトルのためにより多くの対応する質量対電荷比で導出されてよいことが理解される。また、上述されたように、他の実施形態では、試料ピーク‐強度値は、質量、質量対電荷比、イオン移動度(ドリフト時間)、及び/又は操作パラメータに対応してよい。
【0428】
試料スペクトルは、試料ベクトルdで表されてよく、ベクトルの要素はそれぞれの質量対電荷比のためのピーク‐強度値である。試料スペクトルのための変換されたPCAベクトルsは以下の通りに入手できる。
【数5】
【0429】
次いで、試料スペクトルのための変換されたPCA‐LDAベクトルzは以下の通りに入手できる。
【数6】
【0430】
図17は再び図14のPCA‐LDAを示す。しかしながら、図17のPCA‐LDA空間はさらに、図16の試料スペクトルのピーク強度値から導出される、変換されたPCA‐LDAベクトルzに対応する投射された試料点を含む。
【0431】
この例では、投射された試料点は、右側クラスに関係するクラス間の超平面の片側に対してであり、したがって試料(エアロゾル、煙、又は蒸気の試料)は右側クラスに属するとして分類されてよい。
【0432】
代わりに、クラスgの中心からの点zのマハラノビス距離が使用されてよく、クラスgの中心からの点zのマハラノビス距離は以下の平方根によって示されてよく、
【数7】
データベクトルdは、この距離が最小であるクラスに割り当てられてよい。
【0433】
さらに、各クラスを多変量ガウスとして処理すると、データベクトルの各クラスに対するメンバーシップの確率が計算されてよい。
ライブラリベース分析‐分類のためのライブラリの作成
【0434】
例として、複数の入力基準試料スペクトルを使用し、分類ライブラリを構築する方法がここで説明される。
【0435】
図18は、分類ライブラリを構築する方法2400を示す。この例では、方法は、複数の入力基準試料スペクトルを入手するステップ2402、及び各クラスのサンプルのために複数の入力基準試料スペクトルからメタデータを導出するステップ2404を含む。方法は次いで、別個のライブラリエントリとして試料のクラスごとにメタデータを記憶するステップ2404を含む。分類ライブラリは次いで、ステップ2406で、例えば電子記憶に出力される。
【0436】
このような分類ライブラリは、試料(例えば、エアロゾル、煙、又は蒸気の試料)を、試料から入手される1つ又は複数の試料スペクトルを使用し、分類できるようにする。ライブラリベースの分析はここで例に関してより詳細に説明される。
【0437】
この例で、分類ライブラリの各エントリは、クラスを表す複数の前処理された基準試料スペクトルから作成される。この例では、クラスのための基準試料スペクトルは以下の手順に従って前処理される。
【0438】
第1に、リビニングプロセスが実行される。本実施形態では、データは横座標のある対数格子の上に再サンプリングされる。
【数8】
上式で、Nchanは選択された値であり、[x]はx以下の最も近い整数を示す。1つの例では、Nchanは212つまり4096である。
【0439】
次いで、バックグラウンド減算プロセスが実行される。本実施形態では、k個のノットのある三次スプラインは次いで、ノットの各対の間のデータのp%が曲線の下方にあるように構築される。この曲線は次いでデータから減算される。1つの例では、kは32である。1つの例では、pは5である。
【0440】
強度減算データのq%変位値に相当する一定値は次いで各強度から差し引かれる。正の値及び負の値が保持される。1つの例では、qは45である。
【0441】
次いで、正規化プロセスが実行される。本実施形態では、データは平均
【数9】
を有するために正規化される。1つの例では、
【数10】
である。
【0442】
ライブラリのエントリは次いで、スペクトルのNchan点のそれぞれについてスペクトル中央値μ及び偏差値Dの形のメタデータから成る。
【0443】
i番目のチャネルの尤度は以下により示され、
【数11】
上式では、1/2≦C<∞であり、I’(C)はガンマ関数である。
【0444】
上記の方程式は、C=1の場合標準的なコーシー分布に削減し、C→∞につれてガウス(正規)分布になる一般化コーシー分布である。パラメータDは分布の幅を制御する(ガウス限度では、限度D=σiは単に標準偏差である)。一方、大局的な値Cは尾部のサイズを制御する。
【0445】
1つの例では、Cは、コーシーとガウスの間にある3/2であり、これにより尤度は以下になる。
【数12】
【0446】
ライブラリエントリごとに、パラメータμは入力基準試料スペクトルのi番目のチャネルでの値のリストの中央値に設定される。一方、偏差Dは√2で除算されるこれらの値の四分位範囲であると解釈される。この選択は、i番目のチャネルの尤度が入力データと同じ四分位範囲を有し、四分位数の使用が中心から離れたデータに対するなんらかの保護を提供することを保証できる。
ライブラリベース分析‐分類のためのライブラリの使用
【0447】
例として、試料(例えば、エアロゾル、煙、又は蒸気の試料)を分類するために分類ライブラリを使用する方法がここで説明される。
【0448】
図19は、分類ライブラリを使用する方法2500を示す。この例では、方法は、複数の試料スペクトルの集合を入手するステップ2502を含む。方法は次いで、分類ライブラリのクラスエントリのためにメタデータを使用し、試料の各クラスの複数の試料スペクトルの集合について確率又は分類スコアを計算するステップ2504を含む。試料スペクトルは次いでステップ2506で分類され、分類は次いでステップ2508で出力される。
【0449】
試料(例えば、エアロゾル、煙、又は蒸気の試料)の分類はここで上述された分類ライブラリに関してより詳細に説明される。
【0450】
この例で、未知の試料スペクトルyは複数の試料スペクトルの集合の中央のスペクトルである。中央のスペクトルyを採取することは、チャネル単位で中心から離れたデータから保護できる。
【0451】
ライブラリエントリsを所与とした入力データの尤度Lは次いで以下により示され、
【数13】
μ及びDはそれぞれチャネルiのライブラリ中央値及び偏差値である。尤度Lは数的な安全性のために対数尤度として計算されてよい。
【0452】
尤度Lは次いで、クラスに対する事前一様確率を想定し、確率を示すためにすべての候補クラス『s』に対して正規化される。結果として生じるクラス
【数14】
の確率は以下により示される。
【数15】
指数(1/F)は、そうでなければ限定的すぎることがある確率を穏やかにすることができる。1つの例では、F=100である。これらの確率は、例えばユーザインタフェースでパーセンテージとして表されてよい。
【0453】
代わりに、RMS分類スコアRは、ライブラリから同じ中央試料値及び派生値を使用し、計算されてよい。
【数16】
【0454】
再び、スコアRはすべての候補クラス『s』に対して正規化される。
【0455】
試料(例えば、エアロゾル、煙、又は蒸気の試料)は次いで、最高確率及び/最高RMS分類スコアを有するクラスに属するとして分類されてよい。
医療、手術、及び診断のための方法、並びに医療以外の方法
【0456】
多様な異なる実施形態が意図される。いくつかの実施形態に従って、上記に開示された方法はインビボで、体外で、又は試験管内組織に対して実行されてよい。組織は人間の組織又は人間以外の組織を含んでよい。
【0457】
周囲イオン化イオン源により発生する検体イオンが次いで(i)例えば四重極質量分析器又は飛行時間型質量分析器等の質量分析器又は質量フィルタによる質量分析、(ii)イオン移動度分析(IMS)及び/又は差動イオン移動度分析(DMA)及び/又は非対称場イオン移動度分光法(FAIMS)分析、並びに/又は(iii)例えば四重極質量分析器又は飛行時間型質量分析器等の質量分析器又は質量フィルタによる第2の(又はその逆)質量分析が後に続く、第1の(又はその逆)イオン移動度分析(IMS)及び/若しくは差動イオン移動度分析(DMA)及び/又は非対称場イオン移動度分光法(FAIMS)分析の組合せのどれかを受ける。また、多様な実施形態は、イオン移動度分光計及び/又は質量分析器、並びにイオン移動度分光分析の方法及び/又は質量分析の方法にも関する。イオン移動度分析は、質量対電荷比分析の前に実行されてよい、又はその逆である。
【0458】
本願では、質量分析、質量分析器、質量分析する、質量分析データ、質量分析計、及び検体イオンの質量又は質量対電荷を決定するための器具及び方法を参照する他の関係用語に対する多様な参照がなされる。本発明がイオン移動度分析、イオン移動度分析器、イオン移動度分析する、イオン移動度データ、イオン移動度分光計、イオン移動度分離器、及び検体イオンのイオン移動度、差動イオン移動度、衝突断面、又は相互作用断面を決定するための器具及び方法を参照する他の関係用語に及んでもよいことが等しく意図されることが理解されるべきである。さらに、検体イオンがイオン移動度分析と質量分析の両方の組合せを受けることがある、つまり(b)検体イオンの質量対電荷とともに、(a)検体イオンのイオン移動度、差動イオン移動度、衝突断面、又は相互作用断面が決定される実施形態が意図されることも理解されるべきである。したがって、例えば周囲イオン化によって発生する検体オンのイオン移動度と質量対電荷比の両方とも決定される、ハイブリッドイオン移動度‐質量分析(IMS‐MS)及び質量分析‐イオン移動度(MS‐IMS)の実施形態が意図される。イオン移動度分析は質量対電荷比分析の前に実行されてよい、又はその逆である。さらに、質量分析データ及び質量分析データを含むデータベースに対する参照が、イオン移動度データ及び作動イオン移動度データ等、並びに(孤立して又は質量分析データと組み合わせてのどちらかで)イオン移動度データ及び作動イオン移動度データ等を含むデータベースを包含するとして理解されるべきである、実施形態が意図されることが理解されるべきである。
【0459】
多様な外科的治療、セラピー治療、医療、及び診断の方法が意図される。
【0460】
しかしながら、インビボ組織に対して実行されない質量分析及び/又はイオン移動度分光分析の非外科的方法及び非セラピー方法に関する他の実施形態が意図される。それらが人間の又は動物の体の外で実行されるように、体外の方法で実行される他の関係する実施形態が意図される。
【0461】
方法が、例えば検視手順の一部として、生きていない人間又は動物に対して実行される追加の実施形態が意図される。
【0462】
つまり上述された内視鏡検査と同様に、エアロゾル、煙、又は蒸気を試料から発生させるための周囲イオン源を含む相対的に拡大され、縮小されたプローブを含むツールが手術環境又は医療環境の外で応用されてよいことも認識されている。
【0463】
例えば、係るツールは、例えば税関で又は空港警備で完全に梱包された容器の低侵襲分析に使用され得る。ツールは、容器に形成される相対的に小さい穴の中に挿入され、周囲イオン源は次いでツール配備開口部を通して配備され、容器の中から気体の検体材料、煙検体材料、又は蒸気検体材料を発生させるために活性化され、気体の検体材料、煙検体材料、又は蒸気検体材料は次いでツール管組織の開窓を通して吸引され、質量分光解析及び/又はイオン移動度分光解析のために移送される。
【0464】
同様に、係るツールは閉鎖パイプ加熱又は冷却システムの分析にも応用されてよい。カビ、細菌、バイオフィルム、及び/又は藻等の有機的成長が加熱管又は冷却管を閉塞するが、係るシステムの中で有機材料を識別することは概して困難であり、したがってそれをどのように処理するのかを確かめることは困難であることは既知である。これは清掃のための冷却システムの分解がきわめて多大な時間を要し、高価である原子炉の冷却システムでは特定の問題となることがある。ツールに配管を通過させ、周囲イオン源を、次いでツール筐体の中に吸引し、分析のために質量分析計及び/又はイオン移動度分光計に移送できる気体の検体材料、煙検体材料、又は蒸気検体材料を発生させるために障害物と接触するように配備することによって、有機的成長の性質を識別し、したがってそれをどのようにしたら最良に除去できるのかを判断するのに役立てることが可能であってよい。
【0465】
同様に、係るツールは害虫駆除/寄生虫防除、又は構造試験/調査の分野で応用され得る。例えば、家の基礎又は壁でのカビの成長を分析するための現在の方法は結論の出ないことがある光学イメージング方法に頼る傾向がある。成長を探査し、次いで発生した気体検体材料、煙検体材料、又は蒸気検体材料を質量分析する及び/又はイオン移動度分析することによって、カビの成長の性質をより正確に決定できる。
【0466】
好適実施形態に関して説明されてきたが、形式及び詳細の多様な変化を、本発明の範囲から逸脱することなく、添付特許請求の範囲に説明されるように加え得ることが当業者によって理解される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19