【文献】
Yi-Lin Tsai et al.,A 400MHz 10Mbps D-BPSK Receiver with a Reference-less Dynamic Phase-to-Amplitude Demodulation Technique,2014 Symposium on VLSI Circuits Digest of Technical Papers,IEEE,2014年 6月13日,URL,https://ieeexplore.ieee.org/document/6858383
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無線通信システム(10)の受信デバイス(31)によって、送信デバイス(20)によって送信された有用信号を受信する方法であって、前記有用信号は、バイナリデータシーケンスに対応する2状態シンボルのシーケンスによって位相変調または周波数変調された信号に対応する受信方法において、
前記有用信号の位相遷移または周波数遷移の振幅変動への変換を事前に実行することなく、前記有用信号の時間領域エンベロープを検出(51)し、
検出された時間領域エンベロープと所定の閾値(S1)とを比較(52)し、
有用信号の連続シンボル間の遷移を検出(53)し、ここで、それぞれの状態が異なる2つの連続するシンボル間の遷移は、検出された時間領域エンベロープが閾値よりも小さい場合に検出され、かつ、それぞれの状態が同一である2つの連続するシンボル間の遷移は、検出された時間領域エンベロープが前記閾値より大きい場合に検出される、
異なる状態間の検出された遷移の関数として、および同一の状態間の検出された遷移の関数として、有用信号からのバイナリデータシーケンスを抽出(54)すること、
を含むことを特徴とする方法。
シーケンスの前記シンボルはシンボル期間(Te)に送信され、前記受信方法(50)は、シンボル期間によって分離されたデシジョンインスタンス(T1〜T7)の決定を含み、有用信号の連続シンボル間の遷移は、前記デシジョンインスタンス(T1〜T7)の関数として検出(53)される、請求項1に記載の受信方法(50)。
有用信号の時間領域エンベロープを検出(51)し、検出された時間領域エンベロープを閾値と比較(52)するために実施される手段もまた、受信デバイス(31)において振幅変調信号を受信するように実施される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の受信方法(50)。
有用信号の時間領域エンベロープ検出(51)は、受信デバイス(31)の低雑音増幅器の出力で直接実行される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の受信方法(50)。
プロセッサによって実行される場合に、請求項1〜9のいずれか一項に記載の受信方法(50)を実行するように前記プロセッサを構成するプログラムコード命令のセットを含むことを特徴とするコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【背景技術】
【0002】
本発明の特に有利な用途は、非限定的ではあるが、BPSK(Binary Phase Shift Keying:二位相偏移変調)信号またはDBPSK(Differential BPSK:差動BPSK)信号の受信である。
【0003】
図1は、バイナリデータシーケンスからBPSK信号を生成する原理を概略的に示している。
【0004】
図1のa)部に示すように、バイナリデータシーケンスでは、各バイナリデータアイテム、すなわち「ビット」は値0または1をとることができる。
図1のa)部に示す例では、バイナリデータシーケンスは「1011010」に対応する。
【0005】
図1のc)部は、「搬送波」と呼ばれる、実質的に正弦波信号を表し、
図1のd)部は、
図1のa)部によって示されるバイナリデータシーケンスを用いて搬送波の位相を変調することによって得られるBPSK信号を表す。
【0006】
図1のd)部に示すように、送信されるビットが1に等しい場合、BPSK信号は搬送波と同一である。しかし、送信されるビットが0に等しい場合、BPSK信号は180°(π)だけ位相シフトされた搬送波に対応し、すなわち、搬送波に係数−1を掛けたものに対応する。
【0007】
したがって、BPSK信号は、
図1のb)部に示すように、2状態シンボルの搬送波とシーケンスの積:搬送されるビットが1に等しい場合には1に等しい第1の状態と、送信されるビットが0に等しい場合には−1に等しい第2の状態としてみなすことができる。
【0008】
BPSK信号を受信するには、受信されたBPSK信号に、前記BPSK信号の搬送波に周波数および位相を同期させた正弦波信号を乗算する必要がある。その後、この乗算の結果は、バイナリデータシーケンスを抽出する前に、ローパスフィルタリングされる。
【0009】
「物のインターネット」(IoT)では、各日常的な物品が通信対象となることが意図されており、このために、一般に無線リンクを介してアクセスネットワークにデータを送信するのに適した端末を備えている。アクセスネットワークは、前記端末によって送信されたデータを収集する基地局を含む。
【0010】
このような状況では、低コスト(したがって低複雑度)と同時に低エネルギー消費の両方の解決策を有することが重要である。これは、例えば、多くの日常的な物品が、製造コストに大幅な影響を与えることなく、特にバッテリ駆動の場合に自律性にあまり影響を与えずに、通信できることを意味する。端末側では、例えば、BPSK変調の使用は、データ送信部のための簡単で安価な解決策を提供する。
【0011】
任意の無線通信システムの場合と同様に、最大数の端末によって送信されたデータを収集することができるように、広い地理的受信範囲を有することが重要である。IoT用の無線通信システムは、移動電話セルラ無線通信システムよりも広い範囲を提供するが、特定のエリア、特に地下または建物内のエリアにおける受信範囲は依然として問題である。
【0012】
受信範囲におけるこれらのすき間に対処するためには、アクセスネットワークの他の基地局によってサイズが制限され、サービスが不十分な領域をカバーすることが意図される「フェムトセル」と呼ばれる基地局を追加することによってアクセスネットワークを高密度化することが適切である。
【0013】
このような高密度化の試みは、それ無しではロールアウトの収益性が損なわれる、特に低コストの解決策に依存しなければならないことは明らかである。このような状況では、BPSK信号の搬送波と位相および周波数が同期した正弦波信号を生成する必要がある従来のBPSK復調器の使用は、実装するにはあまりにも複雑で高価であるという結果に終わる。
【0014】
IoT用の無線通信システムでは、データの交換は主に一方向性であり、この場合、端末とアクセスネットワークとの間のアップリンク上で一方向である。このような動作モードは、例えば、ガス、水道および電力計の遠隔読取り、建物または住宅の遠隔監視等の、多くの用途に対して完全に満足できるものである。
【0015】
いくつかの用途では、例えば、端末を再構成し、および/または前記端末にリンクされたアクチュエータを制御するために、他の方向、すなわちアクセスネットワークから端末へのダウンリンクを介してデータ交換を行うこともできる。しかしながら、従来のBPSK復調器の使用が先験的に除外されるように、端末の複雑さ、コストおよび電気消費に対する影響を制限しながら、かかる能力を提供しなければならない。
【0016】
DBPSK信号復調器は、Yi−LiTsaiらが執筆した科学文献「基準のない動的位相−振幅復調技術を用いた400MHzD−BPSK受信器」から公知である。
【0017】
この科学文献では、復調器は、入力として、デジタル制御発振器(DCO)の形態で導入される、位相変調信号PM(DBPSK信号)を振幅変調信号AMに変換するPM/AM(Phase Modulation/Amplitude Modulation:位相変調/振幅変調)変換器を含む。DBPSK信号に対してこのPM/AM変換を行った後、従来のAM復調技術を実施することが可能である。
【0018】
しかし、DBPSK信号用のかかる復調器は、IoTのための無線通信システムに実装するにはあまりにも複雑であり、高価すぎることが判明している。
【発明の概要】
【0020】
本発明の目的は、従来技術の解決策、特に上述した解決策の制限の全部または一部を、例えばBPSK信号またはDBPSK信号である2状態シンボルのシーケンスによって位相変調または周波数変調された信号を単純かつ低コストな方法で受信することを提供する解決策を提案することにより解消する。
【0021】
この目的のために、および第1の態様によれば、本発明は、無線通信システムの受信デバイスによって、送信デバイスによって送信された有用信号を受信する方法であって、前記有用信号は、バイナリデータシーケンスに対応する2状態シンボルのシーケンスによって位相変調または周波数変調された信号に対応する受信方法において、
−有用信号の時間領域エンベロープの検出、
−検出された時間領域エンベロープと所定の閾値との比較、
−有用信号の連続シンボル間の遷移の検出:それぞれの状態が異なる2つの連続するシンボル間の遷移は、検出された時間領域エンベロープが閾値よりも小さい場合に検出され、かつ、それぞれの状態が同一である2つの連続するシンボル間の遷移は、検出された時間領域エンベロープが前記閾値より大きい場合に検出される、
−異なる状態間の検出された遷移の関数として、および同一の状態間の検出された遷移の関数として、有用信号からのバイナリデータシーケンスの抽出、
を含む方法である。
【0022】
したがって、受信方法は、有用信号の時間領域エンベロープの検出に依存する。このような場合、時間領域エンベロープは送信されたシンボルのシーケンスに実質的に比例するので、時間領域エンベロープの検出は、振幅変調信号受信の枠内で公知である。
【0023】
位相変調信号または周波数変調信号は、原則的に振幅が一定である。しかしながら、発明者らは、有用信号のスペクトル占有を低減するために、シンボルシーケンスは一般に送信時にフィルタリングされるので、前記送信された有用信号が、異なる状態に対応する連続シンボル間の遷移中に振幅の低下を示すことを観察している。
【0024】
したがって、検出された時間領域エンベロープは、位相変調信号または周波数変調信号の受信の枠組み内で、異なる状態間の遷移(これにより、対応する2つの連続したシンボル間の検出された時間領域エンベロープの振幅の低下につながる)および同一の状態間の遷移(これにより、対応する2つの連続したシンボル間の検出された時間領域エンベロープの振幅の低下が生じない)を検出するために有利に使用される。DBPSK変調等の差動変調の場合、異なる状態間の検出された遷移と同一の状態間の検出された遷移とを用いて、送信されたバイナリデータシーケンスを直接回復することができる。使用される変調が差動でない、例えばBPSK変調の場合に、少なくとも1つのバイナリデータ項目の状態が分かると直ちに、バイナリデータシーケンスを間接的に復元することができる。この情報は、特に、送信されたバイナリデータシーケンスが、受信デバイスに事前に知られているバイナリデータパターンを含むと直ちに得られる。
【0025】
上述の科学文献と比較して、時間領域エンベロープは有用信号、すなわち位相変調された信号または周波数変調された信号上で直接的に検出され、PM/AMコンバータの出力で得られる信号上では検出されない。したがって、本発明の主題である受信方法は、上述の科学文献と比較して、デジタル制御発振器等のPM/AM変換器を必要としないという利点を示す。
【0026】
特定の実施形態では、受信方法は、単独でまたは技術的に可能なすべての組み合わせで、以下の特徴の1つまたは複数をさらに含むことができる。
【0027】
特定の実施形態では、シーケンスの前記シンボルはシンボル期間に送信され、前記受信方法は、シンボル期間によって分離されたデシジョンインスタンスの決定を含み、有用信号の連続シンボル間の遷移は、前記デシジョンインスタンスの関数として検出される。
【0028】
特定の実施形態では、デシジョンインスタンスは、異なる状態間の遷移の検出の少なくとも1つのインスタンスの関数として決定される。
【0029】
特定の実施形態では、デシジョンインスタンスは、検出された時間領域エンベロープが前記閾値よりも大きいインスタンスに対応し、かつ、
−検出された時間領域エンベロープが2つの連続するデシジョンインスタンスの間の前記閾値未満になった場合に、異なる状態間の遷移が検出され、
−検出された時間領域エンベロープが2つの連続するデシジョンインスタンスの間の前記閾値よりも大きく維持される場合に、同一の状態間の遷移が検出される。
【0030】
特定の実施形態では、有用信号は超狭帯域信号である。
【0031】
特定の実施形態では、有用信号はBPSKまたはDBPSK信号である。
【0032】
特定の実施形態では、有用信号は、GFSK(ガウス型周波数偏移変調)信号またはDGFSK(差動GFSK)信号である。
【0033】
特定の実施形態では、有用信号の時間領域エンベロープを検出し、検出された時間領域エンベロープを閾値と比較するために実施される手段もまた、受信デバイスにおいて振幅変調信号を受信するように実施される。
【0034】
第2の態様によれば、本発明は、プロセッサによって実行される場合に、本発明の実施形態のいずれか1つによる受信方法を実行するように前記プロセッサを構成するプログラムコード命令のセットを含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0035】
第3の態様によれば、本発明は、本発明の実施形態のいずれか1つによる受信方法を実行するように構成された手段を含む、無線通信システムの受信デバイスに関する。
【0036】
第4の態様によれば、本発明は、無線通信システムの送信デバイスによって受信デバイスに有用信号を送信する方法であって、前記有用信号は、バイナリデータシーケンスに対応する2状態シンボルのシーケンスによってオンオフ振幅変調された基準信号に対応し、前記シーケンスのシンボルはシンボル期間に送信される方法に関する。さらに、受信デバイスは、シンボル期間より短い持続時間を有する振幅の低下を検出するように構成されているので、第1のシンボル状態は、シンボル期間にわたって第1の値によって符号化され、第2のシンボル状態は、シンボル期間よりも短い持続時間を有し、第2のシンボル状態が第1の値とは異なる第2の値によって符号化される「キャンセル間隔」と呼ばれる時間間隔を除いて、シンボル期間にわたり第1の値により符号化され、第1の値および第2の値は、基準信号のオン変調およびオフ変調にそれぞれ関連付けられている。
【0037】
特定の実施形態では、送信方法は、単独で、またはすべての技術的に可能な組み合わせで、以下の特徴の1つまたは複数を追加的に含むことができる。
【0038】
特定の実施形態では、シンボル期間を持続時間Teとして、キャンセル間隔の持続時間はTe/2以下、またはTe/4以下である。
【0039】
特定の実施形態では、キャンセル間隔は、第2のシンボル状態において、シンボル期間の開始点または終了点に配置される。
【0040】
特定の実施形態では、キャンセル間隔は、第2のシンボル状態において、前記第2の状態が第1の値によって符号化される2つの時間間隔によって囲まれる。
【0041】
第5の態様によれば、本発明は、プロセッサによって実行される場合に、本発明の実施形態のうちのいずれか1つによる送信方法を実行するように前記プロセッサを構成するプログラムコード命令のセットを含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0042】
第6の態様によれば、本発明は、本発明の実施形態のいずれか1つによる送信方法を実行するように構成された手段を含む無線通信システムの送信装置に関する。
【0043】
本発明は、非限定的な例として与えられた以下の説明を読むことによって、および以下に説明する図面を参照して、よりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0045】
これらの図面において、ある図面と他の図面との間の同一の参照符号は、同一または類似の要素を示す。明確性のために、図示の要素は、特に断らない限り、縮尺通りではない。
【0046】
図2は、いくつかの端末20と、いくつかの基地局31を含むアクセスネットワーク30とを含む無線通信システム10を概略的に表している。
【0047】
アクセスネットワーク30の端末20および基地局31は、無線信号の形で有用信号を交換する。「無線信号」とは、非有線手段を介して伝搬する電磁波を意味し、その周波数は従来の電波スペクトル(数ヘルツから数百ギガヘルツ)にあるものと理解される。
【0048】
無線通信システム10は、例えば超狭帯域である。「超狭帯域」(UNB)は、端末20によってアクセスネットワーク30に送信される有用信号の瞬時周波数スペクトルが、1キロヘルツ未満の周波数幅を有することを意味すると理解される。このようなUNB無線通信システムは、M2M(マシン・ツー・マシン)またはIoT用途に特に適している。しかし、他の例によれば、端末20に向けて送信される有用信号が超狭帯域信号ではない可能性を排除する理由はない。
【0049】
端末20は、アップリンクを通してアクセスネットワーク30に有用信号を送信するのに適している。各基地局31は、その範囲内にある端末20から有用信号を受信するのに適している。このようにして受信された各有用信号は、例えば、アクセスネットワーク30の基地局31および/またはサーバ32によって処理される。
【0050】
無線通信システム10は、さらに、双方向であり得る。必要であれば、アクセスネットワーク30は、有益な信号を、ダウンリンクを通してそれらの受信に適した端末20に、基地局31を介して送信するのに適している。基地局31によって送信される有用信号は、例えば超狭帯域信号である。しかし、他の例によれば、基地局31に向けて送信される有用信号が超狭帯域信号ではない可能性を排除する理由はなく、これは端末20の有用信号のスペクトル幅とは無関係である。
【0051】
本発明は、特に、バイナリデータシーケンスに対応する2状態シンボルのシーケンスによって位相変調または周波数変調された信号に対応する有用信号を受信する方法50に関する。
【0052】
以下では、有用信号がアップリンクを通して送信され、有用信号の送信装置が端末20である場合に限定されない方法で説明する。受信方法50を実行する受信デバイスは、アクセスネットワーク30の機器または機器の組み合わせである。以下では、非限定的に、受信方法50の様々なステップがすべて1つの基地局31によって実行される場合に関して説明する。しかし、他の例によれば、受信方法50の様々なステップがサーバ32(必要であれば基地局31からの有用信号を受信する)によって実施され、または、基地局31と前記サーバ32とによって共同で実行される可能性を排除する理由はない。
【0053】
各基地局31は、例えば、1つ以上のプロセッサおよび記憶手段(磁気ハードディスク、電子メモリ、光ディスクなど)を含む処理モジュール(図示せず)を含み、記憶手段には、コンピュータプログラム製品が、受信方法50の様々なステップを実施するために実行される一連のプログラムコード命令の形式で記憶される。変形例では、各処理モジュールは、受信方法50の前記ステップの全てまたは一部を実行するのに適した、1つ以上のプログラマブル論理回路(FPGA、PLDなど)、および/または1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または個別電子部品の組などを含む。
【0054】
各基地局31は、無線信号の形態で端末20によって送信された有用信号を前記基地局が受信することを可能にする、当業者には公知であると考えられる無線通信手段をさらに含む。
【0055】
換言すれば、アクセスネットワーク30の各基地局31は、有用信号を受信するための方法50の様々なステップを実行するために、ソフトウェア形式(特定のコンピュータプログラム製品)、および/またはハードウェア形式(FPGA、PLD、ASIC、個別電子部品など)で構成された手段を含む。
【0056】
図3は、位相変調された信号または周波数変調された信号に対応する有用信号を受信するための方法50の主なステップを概略的に表している。すなわち、
ー有用信号の時間領域エンベロープの検出51、
ー検出された時間領域エンベロープと所定の閾値との比較52、
ー比較の結果から有用信号の連続するシンボル間の遷移の検出53、
ー検出された連続するシンボル間の遷移の関数として、有用信号からのバイナリデータシーケンスの抽出54。
【0057】
したがって、受信方法50は、有用信号の時間領域エンベロープの検出に依存する。有用信号の時間領域エンベロープのかかる検出は、例えばダイオードを用いて、または超再生検出器などを用いて、それほど複雑でなくそれほど高価でもない方法で達成することができる。
【0058】
時間領域エンベロープ検出は、有用信号に対して直接的に、すなわち、従来技術の場合のように、前記有用信号の位相遷移または周波数遷移の振幅変動への変換を事前に実行することなく、実行されることに留意されたい。それにもかかわらず、受信方法50は、特に、前記有用信号の信号対雑音比を改善する、および/または、これを中間信号にすることを主として目的とするが、有用信号の位相遷移または周波数遷移を振幅変化に変換しない、時間領域エンベロープ検出(フィルタリング、増幅、周波数変換など)の前に他のステップを含む。
【0059】
好ましくは、有用信号の時間領域エンベロープ検出は、例えば基地局31(受信デバイス)の低雑音増幅器(LNA)の出力で直接実行される。
【0060】
直接的に有用信号上での、かかる時間領域エンベロープ検出は、位相変調信号または周波数変調信号が原則的に一定の振幅である限り、位相変調信号または周波数変調信号の検出との関係において非常に珍しい。しかしながら、有用信号のスペクトル占有を低減するために、送信時にシンボルのシーケンスが一般にフィルタリングされるので、前記有用信号は、一般に、異なる状態に対応する連続シンボル間の遷移中に振幅の低下を示す。
【0061】
したがって、検出された時間領域エンベロープを所定の閾値S1と比較することによって、異なる状態に対応する連続するシンボル間の遷移を検出することが可能である。この場合であっても、そのような比較は、例えばオペアンプベースのコンパレータ回路などを用いて、それほど複雑でなくそれほど費用もかからない方法で実行することができる。
【0062】
実際には、検出された時間領域エンベロープが閾値S1よりも小さい場合、それぞれの状態が異なる2つの連続するシンボル間の遷移が検出される。
【0063】
一方、同一の状態に対応する2つの連続するシンボル間の遷移の間に、検出された時間領域エンベロープは、かかる遷移中に、検出された時間領域エンベロープが原則的に前記閾値S1より大きくなるような低下はしない。
【0064】
検出を改善するために、例えば時間領域態様等の他の態様を考慮することも可能である。具体的には、有用信号に含まれるシーケンスのシンボルは、所定のシンボル期間Te(端末20に事前に知られている、および/またはそれによって推定されている)で周期的に送信されるので、各シンボルの持続時間は前記期間Teに等しい。したがって、異なる状態間の遷移の間に、検出された時間領域エンベロープは、原則として、前記シンボル期間Teよりも短い持続時間にわたって閾値S1よりも小さい。しかしながら、同一状態間の遷移の間に、検出された時間領域エンベロープは、原則として、前記シンボル期間Teよりも長い持続時間にわたって前記閾値S1よりも大きいであろう。したがって、特定の実施形態では、異なる状態間の遷移は、検出された時間領域エンベロープが、前記シンボル期間Teよりも短い持続時間にわたって、および/または、誤検出の確率を制限するように選択された、シンボル期間Teよりも短い所定の最小持続時間にわたって、前記閾値S1よりも小さい場合にのみ検出されると考えることができる。さらに、同一の状態間の遷移は、検出された時間領域エンベロープが、前記シンボル期間Teよりも長い持続時間にわたって前記閾値S1よりも大きい場合にのみ検出されると考えることができる。
【0065】
次に、異なる状態間の検出された遷移の関数として、および、同一の状態間の検出された遷移の関数として、場合によっては付加的な情報の関数として、有用信号からバイナリデータシーケンスを抽出することが可能である。
【0066】
図4は、有用信号がBPSK信号である場合の受信方法50の動作原理を概略的に示す。
【0067】
図4のa)部は、端末20によって送信されるバイナリデータシーケンスを表し、「1011010」に対応する。
【0068】
図4のb)部は、a)部で表されるバイナリデータシーケンスに関連する2状態シンボルシーケンスを表す。b)部に示す例では、2つの状態は、シンボル期間Teにわたってそれぞれ値1および−1に対応し、送信されるシンボルのシーケンスは「1−111−1−1−1」に対応する。
【0069】
図4のc)部は、形状フィルタリング後に得られるシンボルシーケンスを表し、この場合はローパスフィルタである。
図4のc)部に示すように、値1から値−1または値−1から値1への異なる状態間の遷移は、形状フィルタリングによって平滑化される。したがって、フィルタリング後に得られるシンボルシーケンスの値は、値1から値−1への遷移中に徐々に減少し、値−1から値1への遷移の間に徐々に増加し、どちらの場合もゼロを通過する。
【0070】
図4のd)部は、フィルタリング後に得られたシンボルシーケンスを搬送波に乗じたBPSK信号を表す。形状フィルタリングのために、BPSK信号の振幅は、異なる状態に対応するシンボル間の各遷移においてゼロに向かう傾向がある。
【0071】
図4のe)部は、ステップ51の終わりに検出された時間領域エンベロープを表す。形状フィルタリングにより、検出された時間領域エンベロープは、異なる状態に対応するシンボル間の各遷移においてゼロに向かう傾向がある。しかしながら、同一の状態に対応するシンボル間の遷移(例えば、値1から値1または値−1から値−1)の場合、検出された時間領域エンベロープはいかなる低下も含まず、シンボルの中央のBPSK信号の振幅と実質的に等しいままである。
【0072】
したがって、好ましくはゼロに近い好適な閾値S1を選択することによって、異なる状態間の遷移および同一の状態間の遷移を検出することが可能であることが理解される。
図4のf)部は、閾値S1に対する検出された時間領域エンベロープの閾値処理後に得られた信号を表す。
【0073】
図4のf)部に示す例では、閾値処理後に得られる信号は、2つの値、例えばそれぞれ0および1をとり、閾値処理後に得られる前記信号は、
−検出された時間領域エンベロープが閾値S1より小さい場合には0に等しく、
−検出された時間領域エンベロープが閾値S1より大きい場合には1に等しい。
【0074】
異なる状態間の遷移および同一の状態間の遷移を検出するために、例えば、シンボル期間Teによって分離されたデシジョンインスタンスを考慮することが可能である。
図4のg)部は、そのようなデシジョンインスタンスT1〜T7を表す。
【0075】
図4のg)部に示す例では、各デシジョンインスタンスで、検出された時間領域エンベロープが閾値S1より大きい、すなわち閾値処理後に得られる信号が等しくなるように、デシジョンインスタンスT1〜T7が配置される。例えば、各デシジョンインスタンスは、実質的にシンボルの中央に位置するように配置される。そのようなデシジョンインスタンスに対して:
−検出された時間領域エンベロープが2つの連続するデシジョンインスタンスの間の前記閾値S1よりも小さい場合には、異なる状態間の遷移が検出され、
−検出された時間領域エンベロープが2つの連続するデシジョンインスタンスの間の前記閾値S1よりも大きく維持される場合には、同一の状態間の遷移が検出される。
【0076】
図4に示す例では、
−インスタンスT1とT2、T2とT3、T4とT5、T5とT6、T6とT7の間で異なる状態間の遷移が検出され、
−インスタンスT3とT4との間で同一の状態間の遷移が検出される。
【0077】
他の例によれば、デシジョンインスタンスを行う他の方法の可能性を排除する理由はないことに留意されたい。特に、シンボル間の遷移の種類を検出することを目的とするならば、デシジョンインスタンスは実質的にシンボル間の遷移に配置することができる。かかる場合には、所定のデシジョンインスタンスで、閾値処理後に得られる信号の値は、遷移の種類を直接与える。すなわち、
−閾値化後に得られた信号が0に等しい場合、これは異なる状態間の遷移を意味し、
−閾値化後に得られた信号が1に等しい場合、これは同一状態間の遷移を意味する。
【0078】
前述したように、デシジョンインスタンスT1〜T7は、シンボル期間Teによって分離される。シンボル期間Teが基地局31に事前に知られていて、それがさらに端末20によって十分な精度で生成される場合、有用信号とは独立して前記シンボル期間Teを前記基地局31によって生成することができる。一方、前記シンボル期間Teが基地局31に事前に知られていない場合、および/または端末20および/または基地局31によるシンボル期間の生成の精度が不十分であると考えられる場合、基地局31は、有用信号から前記シンボル期間Teを推定することができる。このような基地局31によるシンボル期間Teの推定は、基地局31のシンボルクロックと端末20のシンボルクロックとの時間同期に相当する。
【0079】
好ましい実施形態において、デシジョンインスタンスT1〜T7は、異なる状態間の遷移の検出のインスタンスの全てまたは一部の関数として決定される。異なる状態間の遷移が検出されるインスタンスは、1つのシンボルの終わりおよび次のシンボルの開始に対応する。したがって、Te´で表される、基地局31によって使用されるシンボル期間が、端末20によって使用されるシンボル期間Teとわずかに異なる場合、異なる状態間の遷移の各インスタンスを用いて、前記基地局31のシンボルクロックを端末20のシンボルクロックに整列させることができる。したがって、シンボルシーケンスの持続時間にわたって過度のドリフトを回避することが可能である。付加的にまたは代替として、異なる状態間の遷移の検出の2つのインスタンスが、基地局31に対して事前に未知の正の整数をkとして、k・Teに等しい持続時間ΔTだけ時間的に離されており、周期ΔTの関数として端末20によって使用されるシンボル期間Teを推定することが可能である。数kは、例えば、Te´とΔT/mとの間の差を最小にする正の整数mを求めることによって推定することができ、端末20によって使用されるシンボル期間Teの推定値はΔT/kで与えられる。
【0080】
図4のh)部に示すように、検出された異なる状態間の遷移と、検出された同一状態間の遷移とを用いて、単独で考えた場合およびBPSK信号の場合には、バイナリデータシーケンス「1011010」を直接抽出することができる。付加的な情報がない場合には、シーケンスがバイナリデータシーケンス「1011010」またはバイナリデータシーケンス「0100101」であることを決定することのみが可能である。言い換えれば、追加の情報がない場合、可能性のあるバイナリデータシーケンスが2つ存在する。しかし、バイナリデータシーケンスが、基地局31に事前に知られている「パイロットパターン」と呼ばれる所定のバイナリデータパターンを含むと直ちに、このあいまい性を除去することが可能である。そのような場合、可能性のある2つのバイナリデータシーケンスのそれぞれにおいて、パイロットパターンが存在することを探せば十分であり、前記パイロットパターンを含む、前記2つのバイナリデータシーケンスの一方は、端末20によって送信されるバイナリデータシーケンスに対応する。この曖昧さを取り除くために他の方法を実施することができ、1つの特定の方法の選択は本発明の1つの変形実施であることに留意されたい。
【0081】
しかしながら、有用信号がDBPSK信号のような差動符号化信号である場合には、検出された異なる状態間の遷移と検出された同一状態間の遷移を用いて、バイナリデータシーケンスを直接抽出することができる。DBPSK信号の場合、送信されるべきバイナリデータは、シンボルシーケンスにおいて、異なる状態間の遷移の形態および同一の状態間の遷移の形態で符号化される。例えば:
−0に等しいビットは、異なる状態間の遷移の形で、すなわち180°(π)の位相跳躍の形で符号化され、
−1に等しいビットは、同一の状態間の遷移の形で符号化され、すなわち、搬送波の位相は変更されない。
【0082】
したがって、検出された異なる状態間の遷移と同一状態間の遷移とを用いて、DBPSK信号の場合、バイナリデータシーケンスを直接回復し得ることが理解される。
【0083】
有用信号の時間領域エンベロープを検出し、検出された時間領域エンベロープを閾値S1と比較するために、ステップ51およびステップ52の間に実行される手段は、振幅変調された信号を受信するために基地局31に実装するともできる。このような手段は、振幅変調信号、特にオンオフ振幅変調信号(「オン・オフ・キーイング」または「OOK」)の受信に従来から使用されている。したがって、基地局31は、その複雑さおよびコストを増加させることなく、振幅変調信号と、位相変調信号または周波数変調信号との両方を受信するように有利に構成することができる。
【0084】
しかしながら、受信方法50は、パルス整形フィルタリングのために位相変調信号または周波数変調信号が、異なる状態に対応する連続シンボル間の遷移中に振幅の低下を示すという事実に依存する。しかしながら、この振幅の低下は短時間であり、持続時間がシンボル期間Teより短い、または前記シンボル期間Teよりはるかに短い。さらに、受信方法50のステップ53は、特定の実施形態では、
−検出された時間領域エンベロープが閾値S1より小さい、「低間隔」と呼ばれる、シンボル期間Teよりも短い持続時間の時間間隔、
−前記検出された時間領域エンベロープが前記閾値S1より大きい、「高間隔」と呼ばれる、前記シンボル期間Teよりも長い持続時間の時間間隔
の検出に対応する。
【0085】
低間隔は、位相変調信号または周波数変調信号の場合、異なる状態間の遷移に対応し、高間隔は、同一状態間の遷移に対応する。
【0086】
従って、同じ基地局31によって、振幅変調された信号、特にOOK信号の受信を可能または容易にするために、シンボルの符号化を変更する必要が生じ得る。
【0087】
この目的のために、本発明は、アップリンクを通した送信の場合に端末20によって実施されるOOK信号送信方法60にも関する。
【0088】
端末20は、例えば、1つ以上のプロセッサおよび記憶手段(磁気ハードディスク、電子メモリ、光ディスクなど)を含む処理モジュール(図示せず)を含み、記憶手段には、コンピュータプログラム製品が、送信方法60の様々なステップを実施するために実行される一連のプログラムコード命令の形式で記憶される。1つの変形例では、各処理モジュールは、送信方法60の前記ステップの全てまたは一部を実行するのに適した、1つまたは複数のプログラマブル論理回路(FPGA、PLDなど)、および/または1つまたは複数の特殊集積回路(ASIC)、および/または個別電子部品の組などを含む。
【0089】
端末20は、当業者には公知であると考えられる無線通信手段をさらに含み、前記端末が無線信号の形式でOOK信号を送信することを可能にする。
【0090】
換言すれば、端末20は、有用信号の送信のための方法60の様々なステップを実行するために、ソフトウェア形式(特定のコンピュータプログラム製品)および/またはハードウェア形式(FPGA、PLD、ASIC、個別電子部品など)に構成された手段を含む。
【0091】
図5は、OOK型の有用信号の送信のための方法60の主なステップを概略的に表している。
【0092】
図5に示すように、送信方法60は、まずバイナリデータシーケンスから2状態シンボルのシーケンスを形成するステップ61を含む。各シンボルの可能性のある2つの状態は、
−シンボル期間Te全体にわたって第1の値によって符号化される第1の状態と、
−「キャンセル間隔」と呼ばれる時間間隔を除いて、前記シンボル期間Te全体にわたって前記第1の値によって符号化される第2の状態であって、前記「キャンセル間隔」は、前記シンボル期間Teよりも短い持続時間を有し、第1の値とは異なる第2の値によって前記第2の状態が符号化される、第2の状態と
に対応する。
【0093】
次いで、送信方法60は、必要であれば形状フィルタリングの後、シンボルシーケンスによる基準信号のオン−オフ振幅変調によって有用信号を形成するステップ62を含む。基準信号は、例えば、実質的に正弦波の信号、すなわち搬送波である。
【0094】
形成ステップ62の間に、第1の値は基準信号のオン変調に関連し、すなわち、基準信号はOOK信号で送信される。第2の値は、オフ変調に関連し、すなわち、基準信号はOOK信号で送信されず、OOK信号は実質的にゼロである。
【0095】
こうして得られたOOK信号は、端末20によってアクセスネットワーク30の1つ以上の基地局31に送信される。
【0096】
したがって、このようにして送信されたOOK信号は、シンボル期間Teよりも短い継続期間であるキャンセル間隔の間にのみ実質的にゼロになる。したがって、エンベロープ検出(ステップ51)および閾値処理(ステップ52)の後、かかるOOK信号は、位相変調または周波数変調された有用信号の場合のように、低間隔および高間隔を与えることが理解される。第2の状態のシンボルの存在下で低間隔が得られ、第1の状態のシンボルの存在下で高間隔が得られる。
【0097】
キャンセル間隔の持続時間は、Te/2以下であるか、Te/4以下であることが好ましい。検出された低区間の持続時間は、キャンセル間隔の持続時間と共に減少し、検出された低区間の持続時間が減少するにつれて、基地局31のシンボルクロックが端末20のシンボルクロック上で整列され得る精度が向上する。
【0098】
図6は、このようなOOK信号送信方法60の実施例を示す。
【0099】
図6のa)部は、端末20によって送信されるバイナリデータシーケンスまたは「ビット」を表し、「1001000」に対応する。
【0100】
図6のb)部は、a)部で表されるバイナリデータシーケンスに関連する2状態シンボルシーケンスを表す。
図6に示す非限定的な例では、送信されるべきビットが1に等しい場合には、第1の状態のシンボルが送信され、送信されるビットが0に等しい場合には、第2の状態のシンボルが送信される。
【0101】
さらに、第2の状態は、第2の値と第1の値との間で交互に符号化され、キャンセル間隔はシンボル期間Teの開始点に置かれる。この例では、前記第1の値は1に等しく、前記第2の値は0に等しい。したがって、送信シンボルシーケンスは、「11101111101011」に対応する。
【0102】
キャンセル間隔は、シンボル期間Teの開始点ではなく、他の場所に置くことができることに留意されたい。他の実施例では、キャンセル間隔はシンボル期間Teの終了時に置かれる。また、キャンセル間隔は、第2の状態が第1の値によって符号化される時間間隔に包囲される、例えば実質的にシンボル期間Teの中央に配置されることもできる。
【0103】
図6のc)部は、b)部で表されたシンボルシーケンスから得られたOOK信号を表す。
【0104】
図6のd)部は、c)部で表されたOOK信号から、ステップ51の間に検出された時間領域エンベロープを表す。
【0105】
図6のe)部は、d)部で表された検出された時間領域エンベロープから、ステップ52の閾値処理後に得られた信号を表す。
【0106】
図6のf)部は、デシジョンインスタンスT1〜T7を表す。
図6のf)部に示す例では、各デシジョンインスタンスで、検出された時間領域エンベロープが閾値S1よりも大きくなるように、デシジョンインスタンスが配置される。例えば、各デシジョンインスタンスは、実質的にシンボルの後半の中間になるように配置される。そのようなデシジョンインスタンスに対して:
−検出された時間領域エンベロープが2つの連続したデシジョンインスタンスの間に前記閾値S1よりも小さくなった場合には、第2の状態のシンボルの存在に対応する低区間が検出され、
−検出された時間領域エンベロープが2つの連続するデシジョンインスタンスの間に前記閾値S1よりも大きく維持される場合には、第1の状態のシンボルの存在に対応する高区間が検出される。
【0107】
したがって、受信方法50は、特に
図4を参照して説明したように、以下の場合を除いて、
図6のa)部、b)部およびc)部を参照して説明したようにして得られたOOK信号を受信するために実施することができる。
−2つの連続するデシジョンインスタンスの間の閾値S1よりも小さい検出された時間領域エンベロープは、第2の状態のシンボルの存在に対応し、異なる状態間の遷移には対応しない。
−2つの連続するデシジョンインスタンスの間に閾値S1よりも大きく維持される検出された時間領域エンベロープは、第1の状態のシンボルの存在に対応し、同一の状態間の遷移には対応しない。
【0108】
このように、第1の状態のシンボルと第2の状態のシンボルとを検出することにより、送信されたバイナリデータシーケンスを直接的に復元できることが分かる。したがって、かかるOOK信号の受信、およびDBPSK信号等の差動周波数変調信号または位相変調信号の受信のために、同じ受信方法50を実施することができる。かかる場合には、検出された異なる状態間(低間隔)の遷移と、検出された同一状態間(高間隔)の遷移を用いて、送信されたバイナリデータシーケンスを直接復元することもできる。
【0109】
より一般的には、上記して考慮した実施態様および実施形態は、非限定的な例として記載されており、したがって、他の変形が想定され得ることに留意されたい。
【0110】
特に、本発明は、送信デバイスが端末20であり、受信デバイスがアクセスネットワーク30の機器のアイテムまたは機器のアイテムの組み合わせである場合を考慮して説明した。しかしながら、他の例によれば、送信デバイスは、アクセスネットワーク30の機器のアイテムまたは機器のアイテムの組み合わせであり、受信デバイスは端末20である可能性を排除する理由はない。
【0111】
さらに、本発明は主として位相変調、この場合にはBPSKおよびDBPSKを考慮して説明されている。しかし、他の例によれば、異なる状態に対応するシンボル間の遷移が有用信号の振幅の低下をもたらすと直ちに、他の位相変調および周波数変調の可能性を排除する理由はない。特に、GFSKまたはDGFSK信号は、異なる状態に対応するシンボル間の遷移中に振幅の低下を示すので、本発明に従って検出することができる。
【0112】
上記の説明は、その様々な特徴および利点によって、本発明が設定した目的を達成することを明確に示している。特に、受信方法50は、主に時間領域エンベロープ検出に依存しており、これは単純かつ低コストで実行することができる。さらに、受信方法50は、特にBPSKまたはDBPSK信号の場合には、前記BPSKまたはDBPSK信号の搬送波に周波数および位相が同期した正弦波信号の生成を必要としない。