特許第6845171号(P6845171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845171
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】インストルメントパネル周辺構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 37/04 20060101AFI20210308BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20210308BHJP
   B62D 1/19 20060101ALI20210308BHJP
   B60R 21/02 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   B60K37/04
   B60K37/00 B
   B62D1/19
   B60R21/02
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-45761(P2018-45761)
(22)【出願日】2018年3月13日
(65)【公開番号】特開2019-156167(P2019-156167A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2019年4月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長井 康幸
(72)【発明者】
【氏名】山口 淳史
【審査官】 櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2004−0046373(KR,A)
【文献】 特開2006−015766(JP,A)
【文献】 特開平07−246858(JP,A)
【文献】 実開平02−125881(JP,U)
【文献】 特開2007−190946(JP,A)
【文献】 特開2002−284019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 37/04
B60K 37/00
B60R 21/02
B62D 1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルに固定されたメータと、
前記メータを包囲し、前記インストルメントパネルに固定されたメータクラスタと、
前記メータクラスタの下方に配置され、車両の前後方向に延びるステアリングコラムと、
前記ステアリングコラムにおける前記メータクラスタよりも前記前後方向の後方の部分に取り付けられ、前記ステアリングコラムの外周面から突出するスイッチ手段を有するコラムユニットと、を備えたインストルメントパネル周辺構造において、
前記コラムユニットは、前記前後方向の前方に向けて移動可能に設けられ、
前記メータクラスタは、前記車両の上下方向において前記メータよりも下方に位置する下部構造部を備えており、
前記スイッチ手段は、前記前後方向において前記下部構造部と隣り合うように配置され、
前記下部構造部は、前記車両の左右方向及び前記前後方向に延びる上面部と、前記上面部から前記上下方向の下方に向けて延びる正面部とを有し、
前記下部構造部は、前記スイッチ手段が前記下部構造部に接触した際の荷重により破壊される脆弱部を有し、
同脆弱部は、前記上面部に設けられず、前記正面部において前記上下方向に亘ってのみ設けられており、
前記スイッチ手段は、前記脆弱部が破壊されることで、前記下部構造部における前後方向の後端部としての前記正面部よりも前方へ移動可能となり、
前記脆弱部が破壊されても、前記下部構造部は前記上面部によって前記メータクラスタに保持された状態を維持することを特徴とするインストルメントパネル周辺構造。
【請求項2】
前記スイッチ手段は、前記ステアリングコラムから前記車両の前記左右方向の一方側に突出する第1スイッチ部と、前記ステアリングコラムから前記車両の前記左右方向の他方側に突出する第2スイッチ部とを有し、
前記下部構造部は、前記前後方向において前記第1スイッチ部と隣り合う第1部位と、前記前後方向において前記第2スイッチ部と隣り合う第2部位とを有し、
前記脆弱部は、前記左右方向において前記第1部位に対して前記ステアリングコラムとは反対側に配置される第1脆弱部と、前記左右方向において前記第2部位に対して前記ステアリングコラムとは反対側に配置される第2脆弱部とを有する請求項1に記載のインストルメントパネル周辺構造。
【請求項3】
記スイッチ手段は、前記前後方向において前記正面部と隣り合うように配置されている請求項1又は請求項2に記載のインストルメントパネル周辺構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メータクラスタ及びコラムユニットを有するインストルメントパネル周辺構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のインストルメントパネル周辺構造は、メータと、メータを包囲するメータクラスタと、車両の上下方向においてメータクラスタの下方に配置され、車両の前後方向に延びるステアリングコラムと、メータクラスタよりも車両の前後方向の後方に設けられたコラムユニットとを備える。コラムユニットは、ステアリングコラムの外周面から突出するスイッチ手段と、ステアリングコラム及びスイッチ手段を覆うコラムカバーとを有する。コラムユニットは、車両の正面衝突等によって前後方向の後方から荷重を受けて前方に移動する。このとき、コラムユニットの前方への移動量を十分に確保することで、車両に搭乗する乗員が受ける衝撃が吸収される。
【0003】
特許文献1に開示のインストルメントパネル周辺構造では、メータは、インストルメントパネルに取り付けられている。メータクラスタは、上下方向においてメータよりも上方に配置された上部構造部と、メータよりも下方に配置された下部構造部とを有する。上部構造部の前縁部は、インストルメントパネルに連結されている。車両の正面衝突等によってコラムユニットが後方からの荷重を受けて前方に移動し、コラムユニットのコラムカバーがメータに接触すると、インストルメントパネルに対するメータの取り付けが解除され、メータは上方かつ前方に移動する。そして、移動したメータがメータクラスタの上部構造部に接触し、上部構造部は、インストルメントパネルとの連結部を起点として上方に回動する。これにより、コラムユニットの前方への移動量が確保され、車両に搭乗する乗員が受ける衝撃が吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−184006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示のインストルメントパネル周辺構造では、メータの前方に、車両の正面衝突時等にメータが移動するためのスペースを確保する必要がある。しかしながら、メータの前方には、ハーネス等の部品が配置されているため、十分なスペースを確保できないことがある。
【0006】
この場合、車室内におけるコラムユニットの前後方向の取付位置を変更することにより、コラムユニットの前方への移動量を十分に確保することが考えられる。しかしながら、コラムユニットは、前後方向においてメータクラスタの下部構造部と隣り合うように配置されていることから、車両の正面衝突等によってコラムユニットが前方に移動して下部構造部に接触すると、下部構造部によってコラムユニットの前方への更なる移動が妨げられる虞がある。このため、前後方向においてメータクラスタの下部構造部とコラムユニットとの距離を十分に確保する必要がある。すると、下部構造部に対するコラムユニットの後方(車室内)への突出量が多くなるため、車室内における運転席側のスペースが減少してしまう。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コラムユニットの前方への移動量を確保しつつ、車室内のスペースの減少を抑制できるインストルメントパネル周辺構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するためのインストルメントパネル周辺構造は、インストルメントパネルに固定されたメータと、前記メータを包囲し、前記インストルメントパネルに固定されたメータクラスタと、前記メータクラスタの下方に配置され、車両の前後方向に延びるステアリングコラムと、前記ステアリングコラムにおける前記メータクラスタよりも前記前後方向の後方の部分に取り付けられ、前記ステアリングコラムの外周面から突出するスイッチ手段を有するコラムユニットと、を備えたインストルメントパネル周辺構造において、前記コラムユニットは、前記前後方向の前方に向けて移動可能に設けられ、前記メータクラスタは、前記車両の上下方向において前記メータよりも下方に位置する下部構造部を備えており、前記スイッチ手段は、前記前後方向において前記下部構造部と隣り合うように配置され、前記下部構造部は、前記スイッチ手段が前記下部構造部に接触した際の荷重により破壊される脆弱部を有し、前記スイッチ手段は、前記脆弱部が破壊されることで、前記下部構造部における前後方向の後端部よりも前方へ移動可能となることを要旨とする。
【0009】
これによれば、コラムユニットは、前後方向の後方からの荷重を受けると前方に移動し、コラムユニットのスイッチ手段は、メータクラスタの下部構造部に接触する。下部構造部の脆弱部は、スイッチ手段が下部構造部に接触した際の荷重により破壊される。よって、スイッチ手段は、下部構造部の後端部よりも前方に移動可能になり、スイッチ手段を含むコラムユニットの前方への移動量を確保できる。また、メータクラスタの下部構造部は、コラムユニットの前方への更なる移動を妨げにくいため、前後方向においてメータクラスタの下部構造部とコラムユニットとの距離を十分に確保する必要性が小さくなる。よって、下部構造部に対してコラムユニットが後方(車室内)へ突出することによる車室内のスペースの減少を抑制できる。
【0010】
また、上記インストルメントパネル周辺構造について、前記スイッチ手段は、前記ステアリングコラムから前記車両の左右方向の一方側に突出する第1スイッチ部と、前記ステアリングコラムから前記車両の左右方向の他方側に突出する第2スイッチ部とを有し、前記下部構造部は、前記前後方向において前記第1スイッチ部と隣り合う第1部位と、前記前後方向において前記第2スイッチ部と隣り合う第2部位とを有し、前記脆弱部は、前記左右方向において前記第1部位に対して前記ステアリングコラムとは反対側に配置される第1脆弱部と、前記左右方向において前記第2部位に対して前記ステアリングコラムとは反対側に配置される第2脆弱部とを有するのが好ましい。
【0011】
これによれば、第1脆弱部及び第2脆弱部が破壊されることで、下部構造部のうち、左右方向において第1脆弱部と第2脆弱部との間に位置する部分は、他の部分から破断される。第1部位及び第2部位は、破断された第1脆弱部と第2脆弱部との間に位置する部分に含まれる。よって、第1スイッチ部及び第2スイッチ部を含むコラムユニットは、下部構造部の後端部よりも前方に移動する際にスムーズに移動できる。
【0012】
また、上記インストルメントパネル周辺構造について、前記下部構造部は、前記車両の左右方向及び前後方向に延びる上面部と、前記上面部から前記上下方向の下方に向けて延びる前記後端部としての正面部とを有し、前記スイッチ手段は、前記前後方向において前記正面部と隣り合うように配置され、前記脆弱部は、前記上面部に設けられず、前記正面部に設けられているのが好ましい。
【0013】
これによれば、下部構造部は、正面部に設けられた脆弱部が破壊されても、上面部によってメータクラスタに保持される。よって、脆弱部が破壊された際に、下部構造部がメータクラスタから分離し、車室内に飛散することを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、コラムユニットの前方への移動量を確保しつつ、車室内のスペースの減少を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態のインストルメントパネル周辺構造の斜視図。
図2】メータクラスタ、ステアリングコラム、及びスイッチ手段の斜視図。
図3】(a)はメータクラスタの前面図、(b)は(a)における3b−3b線断面図。
図4】スイッチ手段がメータクラスタに接触した状態を示す斜視図。
図5】脆弱部の作用を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、インストルメントパネル周辺構造を具体化した一実施形態を図1図5にしたがって説明する。なお、以下の説明において「前」「後」「右」「左」「上」「下」は、車両の運転者が前方を向いた状態を基準とした場合の「前」「後」「右」「左」「上」「下」である。
【0017】
図1に示すように、車両は、車室内の前方に設けられたインストルメントパネル11と、インストルメントパネル11の運転席側の上部に固定されたメータ12と、メータ12を包囲し、インストルメントパネル11に固定されたメータクラスタ13とを備える。メータ12は、例えば、スピードメータやタコメータである。
【0018】
図1及び図2に示すように、メータクラスタ13は、メータ12よりも下方に位置する下部構造部13aを有する。下部構造部13aは、左右方向に長手が延在する形状である。本実施形態の下部構造部13aは、左右方向に長手が延び、前後方向に短手が延びる上面部31と、上面部31の後縁部から上下方向の下方に向けて延びる正面部32と、正面部32の下縁部から前後方向の前方に向けて延びる下面部33(図3(a)参照)とを有する。正面部32は、下部構造部13aの前後方向の後端部である。また、メータクラスタ13の下部構造部13aには、上方に向けて凹設されたメータ側凹部34が形成されている。
【0019】
車両は、メータクラスタ13の下方に配置されるステアリングコラム14を備える。ステアリングコラム14は、前後方向に軸線方向が延びるとともに、軸線方向の後端部が前端部よりも上下方向の上側に位置するように傾斜している。ステアリングコラム14の軸線方向の前端部は、インストルメントパネル11に挿入されている。ステアリングコラム14の軸線方向の後端部には、ステアリングホイール15が取り付けられている。
【0020】
また、車両は、スイッチ手段16を備える。スイッチ手段16は、箱状の第1スイッチ部61と、箱状の第2スイッチ部62と、第1スイッチ部61及び第2スイッチ部62をステアリングコラム14におけるメータクラスタ13よりも後方に位置する部分に取り付けるための取付部材63とを備える。
【0021】
取付部材63は、長手が左右方向に延在するとともに、左右方向の中央にステアリングコラム14が挿通されるコラム挿通孔63aを有する。第1スイッチ部61は、取付部材63の左右方向の一端部(左端部)に連結され、第2スイッチ部62は、取付部材63の左右方向の他端部(右端部)に連結されている。スイッチ手段16は、第1スイッチ部61から左右方向の一方側(左側)に向けて突出する第1レバー部64と、第2スイッチ部62から左右方向の他方側(右側)に向けて突出する第2レバー部65とを有する。よって、スイッチ手段16は、ステアリングコラム14の外周面から突出している。
【0022】
スイッチ手段16は、前後方向においてメータクラスタ13の下部構造部13aの正面部32と後側にて隣り合うように配置される。下部構造部13aの正面部32において、第1スイッチ部61と前後方向に隣り合う部位を第1部位32aとし、第2スイッチ部62と前後方向に隣り合う部位を第2部位32bとする。なお、第1部位32a及び第2部位32bはそれぞれ、図1図5においてドットで示す。
【0023】
図1に示すように、車両は、ステアリングコラム14におけるメータクラスタ13よりも前後方向の後方に位置する部分を覆う略筒状のコラムカバー17を備える。コラムカバー17は、前後方向においてメータクラスタ13とステアリングホイール15との間に位置する。コラムカバー17は、ステアリングコラム14よりも上側に位置する部分にコラム側凹部17aを有する。前後方向において、メータクラスタ13のメータ側凹部34とコラムカバー17のコラム側凹部17aとの間には、間隙が存在する。この間隙は、遮蔽部材18によって遮蔽されている。
【0024】
また、コラムカバー17は、コラム側凹部17aよりも後側に収容空間を有する。スイッチ手段16の第1スイッチ部61、第2スイッチ部62、及び取付部材63は、収容空間に収容されている。よって、第1スイッチ部61、第2スイッチ部62、及び取付部材63は、コラムカバー17によって前方から覆われている。スイッチ手段16の第1レバー部64及び第2レバー部65は、コラムカバー17に形成されたレバー挿通孔17bから車室内に露出している。
【0025】
スイッチ手段16及びコラムカバー17は、コラムユニット19を構成している。コラムユニット19は、車両の正面衝突等により、後方から荷重を受けることで前方に向けて移動する。前方に向けて移動したコラムユニット19は、メータクラスタ13の下部構造部13aの正面部32に接触する。
【0026】
図3(a)に示すように、メータクラスタ13の下部構造部13aは、2つの脆弱部40を有する。各脆弱部40は、第1スイッチ部61及び第2スイッチ部62が下部構造部13aの正面部32に接触した際の荷重により破壊される。2つの脆弱部40のうち、左右方向において正面部32の第1部位32aに対してステアリングコラム14とは反対側に配置される脆弱部40を第1脆弱部41とし、左右方向において正面部32の第2部位32bに対してステアリングコラム14とは反対側に配置される脆弱部40を第2脆弱部42とする。つまり、正面部32の第1部位32a及び第2部位32bは、左右方向において、第1脆弱部41と第2脆弱部42との間に配置されている。なお、本実施形態では、脆弱部40は、上面部31には設けられていない。
【0027】
図3(b)に示すように、本実施形態では、第1脆弱部41及び第2脆弱部42はそれぞれ、正面部32の前面32cから車室内に露出する後面32dに向けて凹設される溝であり、上下方向に延びる。溝は、正面部32を上下方向に見たとき、V字形状である。
【0028】
下部構造部13aの正面部32及び下面部33は、左右方向において第1脆弱部41と第2脆弱部42との間に位置する部分に中央部35を有する。中央部35は、第1部位32a及び第2部位32bを含む。また、正面部32及び下面部33は、左右方向において第1脆弱部41に対して中央部35とは反対側に位置する部分に一端部36を有し、左右方向において第2脆弱部42に対して中央部35とは反対側に位置する部分に他端部37を有する。
【0029】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図4に示すように、コラムユニット19は、例えば車両の正面衝突時に、後方からの荷重を受けると前方に向けて移動し、メータクラスタ13の下部構造部13aに接触する。なお、図4では、コラムユニット19のうち、スイッチ手段16のみを図示し、コラムカバー17の図示を省略している。本実施形態では、第1スイッチ部61が、コラムカバー17を介して下部構造部13aの正面部32の第1部位32aに接触し、第2スイッチ部62が、コラムカバー17を介して下部構造部13aの正面部32の第2部位32bに接触する。すると、正面部32に形成された第1脆弱部41は、第1スイッチ部61が正面部32の第1部位32aに接触した際の荷重により破壊され、第2脆弱部42は、第2スイッチ部62が正面部32の第2部位32bに接触した際の荷重により破壊される。これにより、第1脆弱部41を境に中央部35と一端部36とが破断され、第2脆弱部42を境に中央部35と他端部37とが破断される。コラムユニット19は、中央部35を前方に押し込みながら前方に移動する。よって、スイッチ手段16を含むコラムユニット19は、下部構造部13aの正面部32よりも前方へ移動可能となる。なお、本実施形態では、第1脆弱部41及び第2脆弱部42が破壊された状態において、下部構造部13aは、上面部31によってメータクラスタ13に保持されている。
【0030】
次に、本実施形態の効果を記載する。
(1)コラムユニット19は、例えば車両の正面衝突時に、前後方向の後方からの荷重を受けると前方に移動し、コラムユニット19のスイッチ手段16は、メータクラスタ13の下部構造部13aに接触する。下部構造部13aの脆弱部40は、スイッチ手段16が下部構造部13aに接触した際の荷重により破壊される。よって、スイッチ手段16は、下部構造部13aの正面部32よりも前方に移動可能になり、スイッチ手段16を含むコラムユニット19の前方への移動量を確保できる。その結果、車両に搭乗する乗員が受ける衝撃が吸収される。また、下部構造部13aは、コラムユニット19の前方への更なる移動を妨げにくいため、前後方向においてメータクラスタ13の下部構造部13aとコラムユニット19との距離を十分に確保する必要性が小さくなる。よって、下部構造部13aに対してコラムユニット19が後方(車室内)へ突出することによる車室内のスペースの減少を抑制できる。
【0031】
(2)第1脆弱部41は、左右方向において正面部32の第1部位32aに対してステアリングコラム14とは反対側に配置され、第2脆弱部42は、左右方向において正面部32の第2部位32bに対してステアリングコラム14とは反対側に配置される。よって、第1脆弱部41及び第2脆弱部42が破壊されると、下部構造部13aの中央部35は、一端部36及び他端部37から破断される。第1部位32a及び第2部位32bは、中央部35に含まれる。よって、第1スイッチ部61及び第2スイッチ部62を含むコラムユニット19は、車両の正面衝突時等に下部構造部13aの正面部32よりも前方に移動する際、スムーズに移動できる。
【0032】
(3)脆弱部40は、下部構造部13aの正面部32に設けられている。このため、下部構造部13aは、脆弱部40が破壊されても、上面部31によってメータクラスタ13に保持される。よって、脆弱部40が破壊された際に、下部構造部13aがメータクラスタ13から分離し、車室内に飛散することを抑制できる。
【0033】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ コラムカバー17は、第1スイッチ部61、第2スイッチ部62、及び取付部材63を前方から覆わない構成であってもよい。この場合、スイッチ手段16の第1スイッチ部61及び第2スイッチ部62は、コラムカバー17を介さず下部構造部13aの正面部32に直接接触する。
【0034】
○ スイッチ手段16において、車両の正面衝突時等にメータクラスタ13の下部構造部13aに始めに接触する部分は、取付部材63でもよい。
○ 下部構造部13aの正面部32において、コラムユニット19が接触する部分は、1箇所でもよいし、3箇所以上でもよい。また、下部構造部13aの正面部32において、コラムユニット19が接触する部分は、第1部位32a及び第2部位32bとは異なる部分であってもよい。
【0035】
○ スイッチ手段16は、第1スイッチ部61及び第1レバー部64、又は第2スイッチ部62及び第2レバー部65を省略した構成であってもよい。
○ メータクラスタ13の下部構造部13aの上面部31に脆弱部40を設けてもよい。
【0036】
○ 下部構造部13aの構成は適宜変更してよい。例えば、下部構造部13aは、下面部33を省略した構成であってもよい。
○ 左右方向における脆弱部40の位置は、適宜変更してよい。例えば、下部構造部13aの正面部32の第1部位32a及び第2部位32bに脆弱部40を設けてもよい。
【0037】
○ メータクラスタ13の下部構造部13aに形成される脆弱部40の個数は適宜変更してよい。すなわち、脆弱部40は、下部構造部13aに対して1箇所設けられてもよいし、3箇所以上設けられてもよい。
【0038】
○ 正面部32の中央部35は、脆弱部40によって一端部36及び他端部37から破断された後、上面部31からも破断されてもよい。すなわち、中央部35は、メータクラスタ13における中央部35以外の部分と分離されてもよい。
【0039】
○ 脆弱部40は、正面部32に加えて下面部33にも設けられていてもよい。下面部33に設けられる脆弱部40としては、例えば、正面部32の前面32cから後面32dに向けて凹設された溝と連続し、かつ下面部33の上面から下面に向けて凹設された溝でもよい。この場合、脆弱部40が正面部32のみに設けられている場合と比較して、スイッチ手段16が下部構造部13aに接触した際の荷重により、下部構造部13aの脆弱部40は更に破壊されやすくなる。
【0040】
○ 脆弱部40である溝の形状は、V字形状に限定されず、例えば底面を有するU字形状でもよい。
○ 脆弱部40は、正面部32の厚みを他の部分よりも薄くした肉薄部でもよい。
【0041】
○ 脆弱部40は、前後方向に延在する蛇腹部でもよい。なお、蛇腹部を前後方向に圧縮して塑性変形させることを破壊とする。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
【0042】
(イ)前記脆弱部は、肉薄部である。
(ロ)前記脆弱部は、溝である。
【符号の説明】
【0043】
11…インストルメントパネル、12…メータ、13…メータクラスタ、13a…下部構造部、14…ステアリングコラム、16…スイッチ手段、19…コラムユニット、31…上面部、32…後端部としての正面部、32a…第1部位、32b…第2部位、40…脆弱部、41…第1脆弱部、42…第2脆弱部、61…第1スイッチ部、62…第2スイッチ部。
図1
図2
図3
図4
図5