特許第6845186号(P6845186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845186
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】分割性検査装置及びシート製造システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/00 20060101AFI20210308BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20210308BHJP
   G01N 3/20 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   G01N3/00 Q
   B65D65/02 B
   G01N3/20
【請求項の数】5
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2018-109305(P2018-109305)
(22)【出願日】2018年6月7日
(65)【公開番号】特開2019-211384(P2019-211384A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2020年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】上岡 洋介
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−114265(JP,A)
【文献】 特開平08−043282(JP,A)
【文献】 特開2006−151456(JP,A)
【文献】 特開2014−108878(JP,A)
【文献】 米国特許第05184517(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 − 3/62
B65D 65/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の内容物を収容するシートに形成された、当該シートを所定のシート小片に分割するための分割ラインを検査対象とする分割性検査装置であって、
前記シートにおける前記分割ラインの形成箇所へと負荷を発生させる負荷発生手段と、
前記負荷発生手段による前記シートに対する負荷の発生中又は負荷の発生後における、前記分割ラインの状態を検出する状態検出手段と、
前記状態検出手段により検出された結果、及び、予め設定された判定基準に基づき前記分割ラインの良否を判定する良否判定手段とを備え
前記負荷発生手段は、
前記シートのうち前記分割ラインを挟んだ一方側部位を受け持ち、当該一方側部位へと接触可能に構成された第一受持部と、
前記シートのうち前記分割ラインを挟んだ他方側部位を受け持ち、当該他方側部位へと接触可能に構成された第二受持部とを有し、
前記第一受持部及び前記第二受持部を前記シートに接触させつつ、前記第一受持部及び前記第二受持部の相対位置関係を変化させることで、前記形成箇所へと負荷を発生させるものであり、
前記第一受持部が前記シートの前記一方側部位を把持して当該シートを固定した状態とされ、前記第二受持部が前記シートを把持した状態又は前記シートの裏表両面から隙間をあけた状態とされた上で、前記第一受持部及び前記第二受持部の相対位置関係を変化させることにより、前記形成箇所へと負荷を発生させるように構成され、前記第二受持部は、前記第一受持部に対し、第1の方向及び第1の方向とは反対の第2の方向へ相対移動可能に構成されていることを特徴とする分割性検査装置。
【請求項2】
前記第一受持部は、前記シートの形状を維持した状態又は形状を変化させた状態で前記シートを把持することによって、前記分割ラインを所定の状態に保つことが可能に構成されていることを特徴とする請求項に記載の分割性検査装置。
【請求項3】
前記負荷発生手段は、双腕ロボットを備え、
前記第一受持部は、前記双腕ロボットの一方の腕に設けられ、前記第二受持部は、前記双腕ロボットの他方の腕に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分割性検査装置。
【請求項4】
前記判定基準は、作業者により良品判定されると推定される前記シートを実際に検査したときに得られた検出値に基づくものであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の分割性検査装置。
【請求項5】
所定の内容物を収容するとともに、所定のシート小片に分割するための分割ラインが形成されてなるシートを製造するためのシート製造装置と、
請求項1乃至のいずれか1項に記載され、前記シート製造装置により製造された前記シートの前記分割ラインを検査する分割性検査装置とを備えたシート製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに形成された分割ラインを検査するための分割性検査装置及びシート製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤やカプセル、食品等の内容物を収容するブリスタシートなどのシートには、当該シートを所定のシート小片に分割する(切離す)ための分割ラインが形成されていることがある。分割ラインとしては、直線状の溝部からなるスリット(切れ目)や、複数の貫通孔を間隔をあけて直線状に配設してなるミシン目などを挙げることができる。分割ラインの形成は、例えば、シートに所定のカッタを押し当てて、シートに所定深さの切れ目や貫通孔を形成することによってなされる。
【0003】
ところで、シートが、分割ラインにおいてさほど容易に分割できないものであったり、その逆に分割ラインにおいてあまりにも容易に分割可能なものであったりすると、シートの取扱いに係る利便性が損なわれてしまうおそれがある。そこで、良好な利便性をより確実に確保すべく、分割ラインを対象としてシートの分割に関する性能(すなわち分割性)を検査することがある。
【0004】
分割性の検査としては、例えば、分割ラインにてシートを3回折り返して評価する手法が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5110444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従前における分割性の検査は、オペレータが手作業でシートを折り返した上で評価するものであって、主観的な官能試験である。そのため、検査を行うオペレータの体調、気分などによって検査結果に変動が生じてしまうおそれがある。また、複数のオペレータが検査を担当する場合には、各オペレータの個人差によって検査結果に変動が生じてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、分割ラインの検査精度を飛躍的に向上させることができる分割性検査装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.所定の内容物を収容するシートに形成された、当該シートを所定のシート小片に分割するための分割ラインを検査対象とする分割性検査装置であって、
前記シートにおける前記分割ラインの形成箇所へと負荷を発生させる負荷発生手段と、
前記負荷発生手段による前記シートに対する負荷の発生中又は負荷の発生後における、前記分割ラインの状態を検出する状態検出手段と、
前記状態検出手段により検出された結果、及び、予め設定された判定基準に基づき前記分割ラインの良否を判定する良否判定手段とを備え
前記負荷発生手段は、
前記シートのうち前記分割ラインを挟んだ一方側部位を受け持ち、当該一方側部位へと接触可能に構成された第一受持部と、
前記シートのうち前記分割ラインを挟んだ他方側部位を受け持ち、当該他方側部位へと接触可能に構成された第二受持部とを有し、
前記第一受持部及び前記第二受持部を前記シートに接触させつつ、前記第一受持部及び前記第二受持部の相対位置関係を変化させることで、前記形成箇所へと負荷を発生させるものであり、
前記第一受持部が前記シートの前記一方側部位を把持して当該シートを固定した状態とされ、前記第二受持部が前記シートを把持した状態又は前記シートの裏表両面から隙間をあけた状態とされた上で、前記第一受持部及び前記第二受持部の相対位置関係を変化させることにより、前記形成箇所へと負荷を発生させるように構成され、前記第二受持部は、前記第一受持部に対し、第1の方向及び第1の方向とは反対の第2の方向へ相対移動可能に構成されていることを特徴とする分割性検査装置。
【0010】
分割ラインの検査結果は、(1)分割ラインの形成箇所に対する負荷の発生、(2)負荷の発生後又は発生中における分割ラインの状態検出、及び、(3)検出した分割ラインの状態に基づく分割ラインの良否判定といった過程を経ることで得られる。上記手段1によれば、負荷発生手段により、(1)を一定の条件で行うことができ、シートにおける分割ラインの形成箇所へと常に狙いの負荷(例えば、シート種別ごとに任意に設定された負荷)を発生させる(印加する)ことができる。さらに、状態検出手段及び良否判定手段により、(2)及び(3)についても一定の条件で行うことができ、客観的で、かつ、ばらつきのない安定した分割ラインの状態検出や良否判定を行うことができる。これらの結果、分割ラインの検査精度を飛躍的に向上させることができる。
【0011】
また、上記手段1によれば、分割ラインの検査を人手によることなく、各手段によって自動的に行うことができる。従って、検査に伴う人的資源の浪費を防ぐことができ、生産等に係るコストの低減を図ることができる。
【0013】
実際の使用時においてシートを分割する際には、例えば、シートのうち分割ラインを挟んだ一方側部位及び他方側部位をそれぞれ把持した上でシートを折り返したり、一方側部位のみを把持した上で他方側部位を押し引きすることでシートを折り返したり、さらには、一方側部位及び他方側部位を把持した上でシートにおける分割ラインの形成箇所に引っ張り力を加えたりすること等が行われる。すなわち、一般的にシートの分割は、両手によってシートのうち分割ラインを挟んだ一方側部位及び他方側部位に力を加えることにより行われる。
【0014】
この点、上記手段によれば、両手に相当する第一受持部及び第二受持部が設けられており、検査におけるシートへの負荷の発生時に、シートを分割する際に一般的に行われる使用者の動きに近い動きを再現することができる。これにより、実際の使用時を想定した検査を行うことができ、分割ラインの検査精度を一層高めることができる。
【0016】
また、上記手段によれば、第一受持部によってシートを把持して固定するため、シートに対する負荷の発生(印加)を安定的に行うことができ、検査精度をより確実に高めることができる。
【0017】
また、上記手段によれば、第二受持部がシートを把持した状態又はシートの裏表両面から隙間をあけた状態とされた上で、第一受持部及び第二受持部の相対位置関係を変化させることで、シートに負荷を発生させることができる。
【0018】
ここで、第二受持部がシートを把持するようにした場合には、両手によってシートを把持した上でシートに負荷を発生させる動き(例えば、シートを両手で折り曲げたり、千切ったりする動き)に近い動きをより確実に再現することができる。従って、実際の使用時を想定した検査をより正確に行うことができる。
【0019】
一方、第二受持部によりシートを把持した状態でシートに負荷を発生させる場合には、シートにおける分割ラインの形成箇所へと圧縮力や引っ張り力が加わりやすくなる。これに対し、第二受持部をシートの裏表両面から隙間をあけた状態とした上で、第一受持部及び第二受持部の相対位置関係を変化させて負荷を発生させるようにした場合(例えば、第二受持部のみを移動させ、第二受持部によってシートの表面又は裏面を押圧するようにした場合)には、シートにおける分割ラインの形成箇所へと圧縮力や引っ張り力を加わりにくくすることができ、シンプルな負荷での検査を行うことができる。そのため、複雑な負荷が発生することによる検査結果のばらつきを抑えることができる。また、第二受持部によってシートを把持した状態でシートに負荷を発生させる場合には、シートの表面抵抗や把持位置などの差異によって発生する負荷が変動し得るが、第二受持部によってシートを把持しない状態で負荷を発生させることにより、発生する負荷の変動をより抑えることができ、検査精度の一層の向上を図ることができる。
【0020】
手段.前記第一受持部は、前記シートの形状を維持した状態又は形状を変化させた状態で前記シートを把持することによって、前記分割ラインを所定の状態に保つことが可能に構成されていることを特徴とする手段に記載の分割性検査装置。
【0021】
製造直後のシートと、製造からしばらく経った後のシートとでは、反りの有無などに伴う形状の相違が存在していることがある。そして、シートに反りが生じて分割ラインが湾曲状となっている場合と、シートに反りがなく分割ラインが直線状となっている場合とでは、シートの分割性が異なるものとなり得る。尚、一般的には、分割ラインが直線状である場合と比べて、分割ラインが湾曲状である場合の方がシートの分割が容易である。
【0022】
この点、上記手段によれば、第一受持部は、シートの形状を維持した状態又はシートの形状を変化させた状態でシートを把持することによって、分割ラインを所定の状態に保つことが可能とされている。従って、製造直後に検査を行うときであっても、製造から時間が経過したときの状態に対応する状態に分割ラインの形状を調節した上で検査を行うことができる。例えば、製造直後のシートには反りが生じ分割ラインが湾曲状となっているが、経時的に反りが解消され最終的に(使用される段階では)シートが平坦状となるような場合には、シートを平坦状に変形させた状態でシートを把持し、分割ラインを直線状とした状態に保ったまま検査を行うことができる。また、最終的に分割ラインが湾曲状となるシートの検査では、第一受持部によって最終的な分割ラインの湾曲程度に合うように分割ラインの湾曲状態を保ちつつ、検査を行うことができる。このように、シートを実際の使用時に想定される状態としつつ検査を行うことができるため、検査精度の更なる向上を図ることができる。
【0023】
手段.前記負荷発生手段は、双腕ロボットを備え、
前記第一受持部は、前記双腕ロボットの一方の腕に設けられ、前記第二受持部は、前記双腕ロボットの他方の腕に設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載の分割性検査装置。
【0024】
上記手段によれば、第一受持部及び第二受持部は、双腕ロボットの両腕に設けられている。従って、シートを直角以上に折り曲げたり、シート小片同士を切離す方向の引っ張り力をシートに加えたりするといった複雑な負荷をより容易に発生させることができ、検査に係る自由度を向上させることができる。また、使用者がシートを分割するときの実際の動きをより確実に再現することができ、実際に人間の手を使ったときと同様の検査を行うことができる。さらに、検査時におけるオペレータの動作を教示することで、オペレータによる検査を何度でも同じように再現させることが可能となる。
【0025】
手段.前記判定基準は、作業者により良品判定されると推定される前記シートを実際に検査したときに得られた検出値に基づくものであることを特徴とする手段1乃至のいずれかに記載の分割性検査装置。
【0026】
尚、「作業者により良品判定されると推定されるシート」とは、例えば、作業者(オペレータ)によって良品判定されたシートと同一条件にて製造されたシートをいう。また、「検出値」とあるのは、シートに対する負荷の発生中又は発生後に検出可能な各種数値のうち分割ラインの良否に応じて変動し得る数値をいい、例えば、シートに負荷を発生させているときにシート側から加わる圧力などをいう。
【0027】
上記手段によれば、良品判定されると推定されるシートを分割性検査装置によって実際に検査したときに得られた検出値に基づき、良否判定手段による判定基準が設定される。従って、判定基準を正しくかつ容易に設定することができ、検査精度をより一層向上させることができる。
【0028】
手段.所定の内容物を収容するとともに、所定のシート小片に分割するための分割ラインが形成されてなるシートを製造するためのシート製造装置と、
手段1乃至のいずれかに記載され、前記シート製造装置により製造された前記シートの前記分割ラインを検査する分割性検査装置とを備えたシート製造システム。
【0029】
上記手段によれば、上記手段1等と同様の作用効果が奏されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】PTPシートの斜視図である。
図2】PTPシートの一部破断拡大正面図である。
図3】PTPフィルムの斜視図である。
図4】反りのあるPTPシートを示す斜視図である。
図5】シート製造システムの概略構成図である。
図6】第1実施形態における分割性検査装置などの概略構成を示すブロック図である。
図7】第1実施形態における第一受持部及び第二受持部を示す斜視模式図である。
図8】第1実施形態において、第一受持部及び第二受持部により把持され得る部位を示すためのPTPシートの斜視図である。
図9】第一受持部の別例を示す斜視模式図である。
図10】第一受持部の別例を示す斜視模式図である。
図11】検査工程のフローチャートである。
図12】第一把持工程における第一受持部等を示す斜視模式図である。
図13】第二把持工程における第二受持部等を示す斜視模式図である。
図14】負荷発生工程の一過程における第二受持部等を示す正面模式図である。
図15】負荷発生工程の一過程における第二受持部等を示す正面模式図である。
図16】負荷発生工程の一過程において、PTPシートが分割されたときの第二受持部等を示す正面模式図である。
図17】荷重の遷移に係る情報の一例の一部を示すグラフである。
図18】荷重の遷移に係る情報の一例の一部を示すグラフである。
図19】荷重の遷移に係る情報の一例の一部を示すグラフである。
図20】第2実施形態において、PTPシートに負荷を発生させているときの第二受持部等を示す斜視模式図である。
図21】第2実施形態において、PTPシートに負荷を発生させているときの第二受持部等を示す正面模式図である。
図22】第2実施形態において、PTPシートに負荷を発生させてPTPシートが分割されたときの第二受持部等を示す正面模式図である。
図23】第3実施形態における負荷発生装置などの概略構成を示すブロック図である。
図24】第3実施形態において、双腕ロボットの概略構成を示す正面模式図である。
図25】第3実施形態において、PTPシートに負荷を発生させているときの双腕ロボットなどを示す正面模式図である。
図26】第3実施形態において、PTPシートに負荷を発生させているときの双腕ロボットなどを示す正面模式図である。
図27】第3実施形態において、PTPシートに負荷を発生させてPTPシートが分割されたときの双腕ロボットなどを示す正面模式図である。
図28】第4実施形態において、第二受持部等の概略構成を示す斜視模式図である。
図29】第4実施形態において、PTPシートに負荷を発生させているときの第二受持部等を示す正面模式図である。
図30】第4実施形態において、PTPシートに負荷を発生させているときの第二受持部等を示す正面模式図である。
図31】第5実施形態において、第二受持部等の概略構成を示す斜視模式図である。
図32】第5実施形態において、PTPシートに負荷を発生させているときの第一受持部及び第二受持部の構成を示す平面模式図である。
図33】別の実施形態において、第二受持部によるPTPシートの把持位置を示すための第二受持部等の側面模式図である。
図34】別の実施形態において、第二受持部等の概略構成を示すための斜視模式図である。
図35】別の実施形態における双腕ロボットなどの概略構成を示すための斜視模式図である。
図36】別の実施形態における負荷の発生手法を説明するための第一受持部等の斜視模式図である。
図37】別の実施形態において、ライン押圧部に対する第一受持部及び第二受持部の相対位置を変化させることで、PTPシートに負荷を発生させている状態を示すPTPシート等の正面模式図である。
図38】別の実施形態において、PTPシートにおけるポケット部の形成箇所を把持する第一受持部及び第二受持部の概略構成を示す斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
まず、シートとしてのPTPシート1について説明する。図1及び図2に示すように、PTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。各ポケット部2には、内容物としての錠剤5が1つずつ収容されている。
【0032】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されており、シート長手方向に沿って配列された3個のポケット部2からなるポケット列が、シート短手方向に2列形成されている。つまり、計6個のポケット部2が形成されている。勿論、ポケット部2の数や配置は適宜変更可能である。
【0033】
PTPシート1は、それぞれ帯状の容器フィルム3及びカバーフィルム4から形成された帯状のPTPフィルム8(図3参照)が打抜かれることで、シート状に製造される。尚、PTPフィルム8は、その幅方向に沿って2シート分以上のポケット部2が配列された構成であってもよい。
【0034】
容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明又は半透明な熱可塑性樹脂材料などによって形成されている。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に塗布された不透明材料(例えば、アルミニウム箔等)により構成されている。
【0035】
また、容器フィルム3には、PTPシート1を2つのポケット部2が含まれるシート小片6に分割する(切離す)ための複数の分割ライン7が形成されている。本実施形態において、分割ライン7は、PTPシート1の短辺方向と平行に延びる溝であり、いわゆるスリットである。尚、複数の貫通孔を間隔をあけて直線状に配設してなるミシン目によって分割ライン7を構成してもよい。
【0036】
次に、上記PTPシート1を製造するためのシート製造装置としてのPTP包装機11と、製造されたPTPシート1の特に分割ライン7について検査するための分割性検査装置50とを備えたシート製造システム10の概略構成について説明する。まず、PTP包装機11について説明する。
【0037】
図5に示すように、PTP包装機11の最上流側では、帯状の容器フィルム3の原反がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3の引出し端側は、ガイドロール14に案内されている。容器フィルム3は、ガイドロール14の下流側において間欠送りロール15に掛装されている。間欠送りロール15は、間欠的に回転するモータに連結されており、容器フィルム3を間欠的に搬送する。
【0038】
ガイドロール14と間欠送りロール15との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置16とポケット部形成装置17とが順に配設されている。そして、加熱装置16によって容器フィルム3が加熱されて該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット部形成装置17によって容器フィルム3の所定位置に複数のポケット部2が一度に形成される。ポケット部2の形成は、間欠送りロール15による容器フィルム3の搬送動作間のインターバルの際に行われる。
【0039】
間欠送りロール15から送り出された容器フィルム3は、テンションロール18、ガイドロール19及びフィルム受けロール20の順に掛装されている。フィルム受けロール20は、一定回転するモータに連結されているため、容器フィルム3を連続的に且つ一定速度で搬送する。テンションロール18は、容器フィルム3を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール14とフィルム受けロール20との搬送動作の相違による容器フィルム3の弛みを防止して容器フィルム3を常時緊張状態に保持する。
【0040】
ガイドロール19とフィルム受けロール20との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、錠剤充填装置21及びシール前検査装置22が配設されている。錠剤充填装置21は、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填手段としての機能を有する。錠剤充填装置21は、フィルム受けロール20による容器フィルム3の搬送動作と同期して、所定間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が充填される。
【0041】
シール前検査装置22は、シール前に、容器フィルム3及び錠剤5のうち最終的にPTPシート1となる部位の検査を行うものである。シール前検査装置22は、例えば、容器フィルム3及び錠剤5を撮像するカメラ(図示せず)を備え、当該カメラによる撮像画像に基づき検査を行う。シール前検査装置22による検査項目は、ポケット部2に対する異物の混入、錠剤5の破損、欠錠、錠剤5の形状異常及び容器フィルム3(シート部分)における欠陥の有無などである。
【0042】
一方、帯状に形成されたカバーフィルム4の原反は、最上流側においてロール状に巻回されている。
【0043】
ロール状に巻回されたカバーフィルム4の引出し端は、ガイドロール24によって加熱ロール25の方へと案内されている。加熱ロール25は、前記フィルム受けロール20に圧接可能となっており、両ロール20,25間に容器フィルム3及びカバーフィルム4が送り込まれるようになっている。そして、容器フィルム3及びカバーフィルム4が、両ロール20,25間を加熱圧接状態で通過することにより、容器フィルム3にカバーフィルム4が貼着され、ポケット部2がカバーフィルム4で塞がれる。これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填されたPTPフィルム8が製造される。
【0044】
フィルム受けロール20から送り出されたPTPフィルム8は、テンションロール27及び間欠送りロール28の順に掛装されている。間欠送りロール28は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム8を間欠的に搬送する。テンションロール27は、PTPフィルム8を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記フィルム受けロール20と間欠送りロール28との搬送動作の相違によるPTPフィルム8の弛みを防止してPTPフィルム8を常時緊張状態に保持する。
【0045】
フィルム受けロール20とテンションロール27との間には、容器フィルム3の搬送経路に沿って、シール後検査装置29が配設されている。シール後検査装置29は、シール後に、PTPフィルム8のうち最終的にPTPシート1となる部位の検査を行うものである。シール後検査装置29による検査項目は、ポケット部2に対する異物の混入、錠剤5の破損、欠錠、錠剤5の形状異常、容器フィルム3(シート部分)における欠陥の有無及びシール良否などである。
【0046】
間欠送りロール28から送り出されたPTPフィルム8は、テンションロール31及び間欠送りロール32の順に掛装されている。間欠送りロール32は、間欠的に回転するモータに連結されているため、PTPフィルム8を間欠的に搬送する。テンションロール31は、PTPフィルム8を弾性力によって緊張する側へ引っ張った状態とされており、前記間欠送りロール28,32間でのPTPフィルム8の弛みを防止する。
【0047】
間欠送りロール28とテンションロール31との間には、PTPフィルム8の搬送経路に沿って、分割ライン形成装置33及び刻印装置34が順に配設されている。刻印装置34は、PTPフィルム8の所定位置(例えばタグ部)に刻印を付す機能を有する。
【0048】
分割ライン形成装置33は、加熱可能なヒータブロック(図示せず)と、当該ヒータブロックの上面に配設された複数の分割ライン形成刃(図示せず)とを備えている。各分割ライン形成刃は、PTPフィルム8の搬送方向に沿って延びるとともに、当該搬送方向と直交する方向に沿って等間隔に配置されている。そして、前記分割ライン形成刃が容器フィルム3に接近し、当該容器フィルム3が所定深さだけ切断されることにより、PTPフィルム8の所定位置に複数の分割ライン7が一度に形成される。尚、ミシン目により分割ライン7を構成する場合には、分割ライン形成刃として、直線状に並んだ複数の貫通孔をPTPフィルム8に一度に形成するための刃(例えば、鋸状の刃など)を用いればよい。
【0049】
間欠送りロール32から送り出されたPTPフィルム8は、その下流側においてテンションロール35及び連続送りロール36の順に掛装されている。間欠送りロール32とテンションロール35との間には、PTPフィルム8の搬送経路に沿って、シート打抜装置37が配設されている。シート打抜装置37は、PTPフィルム8をPTPシート1単位にその外縁を打抜く機能を有する。
【0050】
本実施形態において、打抜きにより得られた製造直後のPTPシート1は、シールに伴う熱を持ち、反りのある状態となっている。そのため、製造直後のPTPシート1における分割ライン7は、湾曲状となっている(図4参照)。通常、PTPシート1の反りは、所定時間が経過すると自然と解消される。そのため、最終的に(使用される段階で)、PTPシート1は平坦状となり、分割ライン7は直線状となる(図1参照)。
【0051】
シート打抜装置37によって打抜かれたPTPシート1は、取出しコンベア38によって搬送され、完成品用ホッパ39に一旦貯留される。但し、シール前検査装置22やシール後検査装置29によって不良品と判定されたPTPシート1は、不良シート排出機構40によって別途排出される。
【0052】
また、予め設定された検査実行タイミングに至ると、取出しコンベア38によって搬送される製造直後のPTPシート1のうちの1枚が、検査用シート搬送装置44(図6参照)によって後述する分割性検査装置50へと搬送される。尚、検査実行タイミングとしては、例えば、直前に行われた検査用シート搬送装置44によるPTPシート1の搬送時から一定時間が経過したタイミングや、PTPシート1の製造枚数が所定の枚数に至ったタイミングなどを挙げることができる。
【0053】
前記連続送りロール36の下流側には、裁断装置41が配設されている。シート打抜装置37による打抜き後に帯状に残ったスクラップ部42は、前記テンションロール35及び連続送りロール36に案内された後、裁断装置41に導かれる。尚、前記連続送りロール36は従動ロールが圧接されており、スクラップ部42を挟持しながら搬送動作を行う。裁断装置41は、スクラップ部42を所定寸法に裁断する機能を有する。裁断されたスクラップ部42はスクラップ用ホッパ43に貯留された後、別途廃棄処理される。
【0054】
尚、上記各ロール14,19,20,28,31,32などは、そのロール表面とポケット部2とが対向する位置関係となっているが、各ロール14等の表面には、ポケット部2が収容される凹部が形成されているため、基本的には、ポケット部2が潰れてしまうことがない。また、ポケット部2が各ロール14等の凹部に収容されながら送り動作が行われることで、間欠送り動作や連続送り動作が確実に行われる。
【0055】
また、PTP包装機11の動作は、所定の制御装置45によって制御される。制御装置45は、各種不良信号が入力された場合に、PTP包装機11におけるPTPシート1の製造動作を緊急停止可能に構成されている。本実施形態において、後述する分割ライン不良信号が入力されたときにおいても、制御装置45がPTP包装機11におけるPTPシート1の製造動作を緊急停止させるようになっている。
【0056】
次いで、前記分割性検査装置50について説明する。分割性検査装置50は、上記のようにして製造されたPTPシート1のうち、特に分割ライン7を検査対象として検査を行う装置である。分割性検査装置50は、図6に示すように、負荷発生手段としての負荷発生装置60及び検出判定装置70を備えている。
【0057】
負荷発生装置60は、前記検査用シート搬送装置44によって搬送された検査用のPTPシート1を受け取って保持した上で、当該PTPシート1における分割ライン7の形成箇所へと負荷を発生させる(印加する)ものである。負荷発生装置60は、図示しないセンサを有しており、当該センサによって検査用のPTPシート1が到着したか否かを判断する。
【0058】
本実施形態において、負荷発生装置60は、PTPシート1を分割ライン7にて折り曲げることで、PTPシート1に負荷を発生させる。負荷発生装置60は、図7に示すように、それぞれ所定の基台(不図示)に取付けられた第一受持部61及び第二受持部62を備えている。
【0059】
第一受持部61は、PTPシート1における検査対象となる分割ライン7を挟んだ一方側部位を受け持つ(担当する)機構であり、分割ライン7にてPTPシート1を分割しようとする使用者の一方の手(例えば右手)に相当する。尚、本実施形態では、PTPシート1に設けられた複数本の分割ライン7のうちの予め設定された1本の分割ライン7が検査対象とされる。第一受持部61は、PTPシート1の表面(ポケット部2の突出する側の面)に対応する上側把持片部61aと、PTPシート1の裏面に対応する下側把持片部61bとを備えている。
【0060】
上側把持片部61aは、水平方向に延びる複数本(本実施形態では3本)の上側指部61cを有しており、下側把持片部61bは、上側指部61cと相対向する複数本の下側指部61dを有している。上側指部61c同士の間隔及び下側指部61d同士の間隔は、それぞれポケット部2の外径よりも大きなものとされている。また、上側指部61cの幅及び下側指部61dの幅は、それぞれPTPシート1の短手方向に沿った隣接するポケット部2の間隔よりも小さなものとされている。さらに、各上側指部61cの下面及び各下側指部61dの上面は、それぞれ同じ高さの平坦な水平面とされている。
【0061】
さらに、上側把持片部61a及び下側把持片部61bは、図示しない駆動手段により接近及び離間可能に構成されている。上側把持片部61a及び下側把持片部61bが接近移動することで、両把持片部61a,61bによってPTPシート1の前記一方側部位を把持して当該PTPシート1を固定することができるようになっている。
【0062】
上側把持片部61a及び下側把持片部61b、すなわち第一受持部61によるPTPシート1の把持についてより詳しく説明すると、まず、PTPシート1を把持する前に、図示しない位置決め装置により検査用のPTPシート1が所定位置に配置される。このとき、PTPシート1は、平面視、ポケット部2から外れた部位(すなわち平坦状のシート部分)が上側指部61cの下面及び下側指部61dの上面間に配置されるとともに、検査対象となる分割ライン7が各指部61c,61dの先端面と平行で、かつ、これら先端面から僅かに(例えば数mm程度だけ)離れた状態で配置される。そして、この状態で上側把持片部61a及び下側把持片部61bが接近移動して、上側把持片部61aがPTPシート1の表面に接触し、下側把持片部61bがPTPシート1の裏面に接触することで、PTPシート1の一方側部位のうちポケット部2から外れた部位が第一受持部61により把持される。本実施形態では、PTPシート1の一方側部位のうち、幅方向両端縁部とPTPシート1の短手方向に隣接するポケット部2間に位置する部位とが第一受持部61により把持される(図8参照。図8では、第一受持部61によって把持される部分に散点模様を付している)。また、第一受持部61によって、PTPシート1のうち検査対象となる分割ライン7の直近傍に位置する部位(例えば、分割ライン7から数mmだけ離れた部位)が把持される。
【0063】
さらに、製造直後のPTPシート1には反りが存在するところ、第一受持部61によってPTPシート1を把持することで、PTPシート1の形状を平坦状に変化させた状態でPTPシート1を把持することができる(図11参照)。PTPシート1を平坦状とすることで、分割ライン7を直線状に保つことができる。
【0064】
尚、上述した第一受持部61の構成は一例であり、第一受持部61の構成は適宜変更可能である。従って、図9に示すように、例えば、上側把持片部61aが、平行に並んだ2本の上側指部61eと両上側指部61eの先端部同士を連結する上側連結部61fとを備え、下側把持片部61bが、上側指部61eと相対向する2本の下側指部61gと両下側指部61gの先端部同士を連結し上側連結部61fと相対向する下側連結部61hとを備えるように構成してもよい。この場合、上側指部61e及び下側指部61gによってPTPシート1の一方側部位における幅方向両端縁部が把持され、上側連結部61f及び下側連結部61hによってPTPシート1の一方側部位における検査対象の分割ライン7と隣接する部位が把持される(図9,10では、PTPシート1のうち第一受持部61によって把持される部分に散点模様を付す)。
【0065】
また、図10に示すように、例えば、上側把持片部61aが、1本の上側指部61jと上側指部61jの先端部に連結され上側指部61jと直交する方向に延びる上側直交部61kとを備え、下側把持片部61bが、上側指部61jと相対向する下側指部61mと下側指部61mの先端部に連結され上側直交部61kと相対向する下側直交部61nとを備えるように構成してもよい。この場合、上側指部61j及び下側指部61mによってPTPシート1の一方側部位における隣接するポケット部2同士の間に位置する部位が把持され、上側直交部61k及び下側直交部61nによってPTPシート1の一方側部位における検査対象の分割ライン7と隣接する部位が把持される。
【0066】
図7に戻り、第二受持部62は、PTPシート1における検査対象となる分割ライン7を挟んだ他方側部位を受け持つ(担当する)機構であり、分割ライン7にてPTPシート1を分割しようとする使用者の他方の手(例えば左手)に相当する。第二受持部62は、PTPシート1の表面に対応する上側対応部62aと、PTPシート1の裏面に対応する下側対応部62bとを備えている。
【0067】
上側対応部62aは、鉛直方向に延びる複数本(本実施形態では3本)の上側指部62cを有しており、下側対応部62bは、上側指部62cの先端部と相対向する位置に設けられた複数本の下側指部62dを有している。上側指部62c及び下側指部62dのそれぞれの外径は、ポケット部2の外径よりも小さなものとされている。
【0068】
また、上側指部62c及び下側指部62dのそれぞれの先端部には、図示しないロードセルが設けられている。当該ロードセルは、上側指部62c及び下側指部62dのそれぞれの先端部に加わる荷重(圧力)を検出するためのものであり、検出した荷重に係る信号(荷重信号)は、後述する状態検出部73に対し一定時間毎に出力されるようになっている。
【0069】
さらに、上側対応部62a及び下側対応部62bは、図示しない駆動手段により接近及び離間可能に構成されている。上側対応部62a及び下側対応部62bが接近移動することで、両対応部62a,62bによってPTPシート1の前記他方側部位を把持することができるようになっている。
【0070】
本実施形態では、第一受持部61によりPTPシート1を把持した後に、上側対応部62a及び下側対応部62bが接近移動して、上側対応部62aがPTPシート1の表面に接触し、下側対応部62bがPTPシート1の裏面に接触することで、第二受持部62により、PTPシート1の他方側部位のうちポケット部2から外れた部位が把持される。特に本実施形態では、PTPシート1の他方側部位のうち、PTPシート1の短手方向に沿ってポケット部2に隣接する部位が第二受持部62により把持される(図8参照。図8では第二受持部62による把持され得る部分に斜線を付している)。
【0071】
また、上側対応部62a及び下側対応部62bは、同一の移動態様にて上下方向に移動可能に構成されている。上側対応部62a及び下側対応部62bによりPTPシート1を把持した状態で、両対応部62a,62bを上下移動させることにより、PTPシート1を分割ライン7にて折り曲げて、PTPシート1における分割ライン7の形成箇所へと負荷を発生させることができるようになっている(図14,15参照)。
【0072】
図6に戻り、検出判定装置70について説明する。検出判定装置70は、負荷発生装置60の動作制御、及び、負荷発生装置60から送られた情報に基づく分割ライン7の状態検出や良否判定を行う装置である。検出判定装置70は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAM、演算データ等を長期記憶するハードディスクなどを備えている。検出判定装置70は、検査条件記憶部71、負荷制御部72、状態検出部73、判定基準記憶部74、良否判定部75及び検査結果記憶部76を備えている。
【0073】
検査条件記憶部71は、分割ライン7の検査を行う際における負荷発生装置60の動作制御に係る情報を記憶するものである。動作制御に係る情報としては、例えば、第一受持部61及び第二受持部62等における動作順序、動作量、動作速度などの動作態様、第一受持部61及び第二受持部62によるPTPシート1の把持力などが挙げられる。検査条件記憶部71に記憶される動作制御に係る情報は、PTPシート1の種別や要求される分割性などに応じて適宜変更可能である。
【0074】
負荷制御部72は、分割ライン7の検査を行う際に、検査条件記憶部71に記憶された前記動作制御に係る情報に基づき、常に一定の態様で動作するように負荷発生装置60を制御するものである。負荷制御部72は、分割ライン7の検査を行う際に、次のように負荷発生装置60などを制御する。
【0075】
まず、負荷制御部72は、第一受持部61によってPTPシート1の一方側部位を把持すべく、上側把持片部61a及び下側把持片部61bが所定の動作速度で所定の動作量だけ接近移動するように第一受持部61の動作を制御する。尚、第一受持部61の動作前に、前記位置決め装置によってPTPシート1が負荷発生装置60に対する一定の相対位置に予め配置される。
【0076】
次に、負荷制御部72は、第二受持部62によってPTPシート1の他方側部位を把持すべく、上側対応部62a及び下側対応部62bが所定の動作速度で所定の動作量だけ接近移動するように第二受持部62の動作を制御する。尚、第二受持部62によるPTPシート1の把持力は、第二受持部62に対しPTPシート1がシート平面に沿ってずれ動くことができる程度とされる。
【0077】
次いで、負荷制御部72は、第一受持部61及び第二受持部62の相対位置を変化させるべく、所定の動作態様で所定回数だけ上下動するように第二受持部62の動作を制御する。これにより、PTPシート1の一方側部位に対しPTPシート1の他方側部位を下側に所定角度α°(例えば45°以上90°未満)だけ折れ曲がった状態とする負荷と、前記一方側部位に対し前記他方側部位を上側に所定角度α°だけ折れ曲がった状態とする負荷とが、PTPシート1における分割ライン7の形成箇所に交互に複数回発生する。本実施形態において、負荷制御部72は、下側に角度α°だけ折り曲げるための1回目の移動、上側に角度α°だけ折り曲げるための2回目の移動、下側に角度α°だけ折り曲げるための3回目の移動、及び、PTPシート1を上側に角度α°だけ折り曲げるための4回目の移動をこの順序で行うように第二受持部62を制御する。
【0078】
本実施形態では、検査条件記憶部71に記憶された動作制御に係る情報に従って負荷発生装置60を上記のように動作させることで、分割ライン7が非常に良好な状態のPTPシート1であれば、第二受持部62の3回目の移動時にPTPシート1が分割ライン7にて分割されるようになっている。
【0079】
そして最後に、負荷制御部72は、PTPシート1の把持を解除すべく、上側把持片部61a及び下側把持片部61bと、上側対応部62a及び下側対応部62bとをそれぞれ離間させて初期位置に配置するように第一受持部61及び第二受持部62の動作を制御する。把持の解除された検査後のPTPシート1は、例えば、図示しないシート回収ホッパなどに投入される。
【0080】
状態検出部73は、負荷発生装置60によるPTPシート1に対する負荷の発生中における、分割ライン7の状態を検出するためのものである。状態検出部73は、分割ライン7の状態として、第二受持部62を移動させてPTPシート1に負荷を発生させているときにおける、前記ロードセルから送られる荷重信号に基づくPTPシート1側から第二受持部62に加わる荷重の遷移に係る情報を得る。本実施形態では、複数のロードセルから荷重信号が送られるため、状態検出部73は、荷重の遷移に係る情報として、各荷重信号から得られた複数の荷重の平均を用いたものを得る。尚、荷重の遷移に係る情報は、各荷重信号から得られた複数の荷重の合計値や最大値などを用いたものであってもよい。
【0081】
荷重の遷移に係る情報は、例えば、第二受持部62の移動量と、PTPシート1側から第二受持部62に加わる荷重との関係を示すデータ(図17〜19参照)である。尚、図17は、第二受持部62の3回目の移動途中でPTPシート1が分割された場合において、分割が生じたタイミング及びその前後での大まかなデータの一例を示すものであり、図18は、第二受持部62の4回目の移動途中でPTPシート1が分割された場合において、分割が生じたタイミング及びその前後での大まかなデータの例を示すものである。一方、図19は、第二受持部62の2回目の移動途中でPTPシート1が分割された場合において、分割が生じたタイミング及びその前後の大まかなデータの例を示すものである。尚、図17図19では、下部に、第二受持部62の各移動時におけるPTPシート1の状態を簡単に示す。
【0082】
判定基準記憶部74は、分割ライン7の良否判定を行う際に利用する判定基準を記憶するものである。本実施形態において、判定基準記憶部74は、判定基準として、第二受持部62の単位移動量に対する荷重の変化量に関する荷重閾値や、PTPシート1の分割が生じたタイミングに関する良否を判定するためのタイミング判定用数値などを記憶している。PTPシート1が分割ライン7にて分割されるときにはPTPシート1側から第二受持部62に加わる荷重が瞬時に比較的大きく減少するところ、荷重閾値は、このような荷重の変動が生じたか否か、すなわちPTPシート1が分割されたか否かを検出するために用いられる。また、タイミング判定用数値は、PTPシート1が分割されたときの第二受持部62の移動回数と比較され、PTPシート1の分割タイミングに関する良否を判定するために用いられる。タイミング判定用数値は、PTPシート1の種別などによって適宜変更されるが、本実施形態では例えば「3」とされている。
【0083】
本実施形態において、荷重閾値は、分割性検査装置50によって、作業者(オペレータ)により良品判定されると推定されるPTPシート1を実際に検査したときに得られた検出値に基づく値に設定されている。より詳しくは、作業者により分割ライン7が良好であると判定されたPTPシート1と同条件で製造されたPTPシート1を分割性検査装置50によって実際に検査し、前記ロードセルから送られる荷重信号に基づき、PTPシート1側から第二受持部62に加わる荷重を検出する。そして、PTPシート1が分割されたタイミングにおける荷重の変化量に基づく数値が荷重閾値として設定されている。尚、作業者によって良品判定されると推定されるPTPシート1を異なる製造タイミングごとに取得しておき、これらPTPシート1を分割性検査装置50によって実際に検査したときに得られた検出値に基づき荷重閾値を定めてもよい。
【0084】
良否判定部75は、状態検出部73により検出された結果、及び、判定基準記憶部74に設定された判定基準に基づき、分割ライン7の良否を判定するものである。本実施形態において、良否判定部75は、状態検出部73により得られた荷重の遷移に係る情報と、判定基準記憶部74に記憶された荷重閾値及び前記タイミング判定用数値とに基づき、分割ライン7の良否を判定する。
【0085】
良否判定部75は、分割ライン7の良否判定は次のように行う。すなわち、良否判定部75は、状態検出部73により検出された荷重の遷移に係る情報に基づき、第二受持部62の単位移動量に対する荷重の変化量のうち所定の条件を満たす数値(例えば、変化量の絶対値のうちの最大値)を、判定対象値として取得する。前記所定の条件は、抽出した判定対象値に基づき分割の有無を判断可能なものであれば、どのような条件であってもよい。
【0086】
次いで、良否判定部75は、取得した判定対象値と判定基準記憶部74に記憶された荷重閾値とを比較し、比較結果に基づき、PTPシート1が分割されたか否かを判定する。例えば、取得した判定対象値が荷重閾値を上回っている場合、良否判定部75は、PTPシート1が分割されたと判定する。一方、例えば、取得した判定対象値が荷重閾値以下である場合、良否判定部75は、PTPシート1が分割されていないと判定する。尚、PTPシート1が分割されていない場合、良否判定部75は、分割ライン7が不良であると判定する。
【0087】
PTPシート1が分割されている場合、良否判定部75は、荷重の遷移に係る情報から、PTPシート1の分割が生じたときの第二受持部62の移動回数を取得する。例えば、図17に示す例では、移動回数として「3」が取得され、図18に示す例では、移動回数として「4」が取得される。
【0088】
そして、良否判定部75は、取得した移動回数と判定基準記憶部74に記憶されたタイミング判定用数値とを比較し、比較結果から、PTPシート1の分割が適切なタイミングで行われたか否かを判定する。例えば、取得した移動回数とタイミング判定用数値とが等しい場合、良否判定部75は、PTPシート1の分割が狙いのタイミングで行われたとして、分割性の点で分割ライン7が非常に良好であると判定する。また、例えば、取得した移動回数からタイミング判定用数値を減じた値が所定数値(例えば「1」)であった場合、良否判定部75は、PTPシート1の分割がほぼ狙いのタイミングで行われたとして、分割性の点で分割ライン7が良好であると判定する。一方、例えば、タイミング判定用数値と取得した移動回数とが上記以外の大小関係であった場合、良否判定部75は、PTPシート1の分割タイミングが適切でなく、分割ライン7が不良であると判定する。
【0089】
尚、分割ライン7が不良であると判定した良否判定部75は、制御装置45に対し分割ライン不良信号を出力する。これにより、制御装置45によってPTP包装機11におけるPTPシート1の製造動作が緊急停止される。
【0090】
検査結果記憶部76は、良否判定部75によって得られた、分割ライン7の検査に係る各種情報(例えば、分割ライン7の良否に関する情報や判定のために得た各種数値)、状態検出部73により検出された分割ライン7の状態に関する情報などを記憶するものである。検査結果記憶部76に記憶された情報は、図示しない液晶画面などの表示手段において表示可能とされている。
【0091】
次いで、上記分割性検査装置50による分割ライン7の検査工程について、図11のフローチャートを参照して説明する。尚、検査工程の開始時に、上側把持片部61a及び下側把持片部61b、並びに、上側対応部62a及び下側対応部62bは、それぞれ一定距離だけ離間した初期状態とされている。
【0092】
検査工程では、まず、ステップS11において、負荷発生装置60に設けられた前記センサにより、検査用のPTPシート1が負荷発生装置60へと到着したか否かを判定する。ステップS11の処理は、検査用のPTPシート1が負荷発生装置60へと到着するまで繰り返し行われ、PTPシート1が負荷発生装置60へと到着した場合にステップS12へと移行する。
【0093】
ステップS12の位置決め工程では、前記位置決め装置によって検査用のPTPシート1が所定位置に配置される(図7参照)。次いで、ステップS13の第一把持工程において、上側把持片部61a及び下側把持片部61bを接近移動させて、第一受持部61により、PTPシート1のうち検査対象の分割ライン7を挟んだ一方側部位を把持する(図12参照)。これにより、製造直後の反りがあるPTPシート1は、第一受持部61により平坦状に矯正された状態で把持される。その結果、検査対象の分割ライン7が直線状とされる。
【0094】
次いで、ステップS14の第二把持工程において、上側対応部62a及び下側対応部62bを接近移動させて、第二受持部62により、PTPシート1のうち検査対象の分割ライン7を挟んだ他方側部位を把持する(図13参照)。このとき、第二受持部62によるPTPシート1の把持力は、続く負荷発生工程において、第二受持部62に対しPTPシート1がシート平面に沿ってずれ動き可能な程度とされる。
【0095】
次に、ステップS15の負荷発生工程において、第二受持部62を上下動させることで、PTPシート1を上側及び下側に交互に折り曲げてPTPシート1に負荷を発生させる(図14,15参照)。負荷の発生に伴い、PTPシート1は分割ライン7にて分割される場合がある(図16参照)。第二受持部62の移動によるPTPシート1に対する負荷の発生時には、前記ロードセルから検出判定装置70へと荷重信号が入力され、状態検出部73により、PTPシート1側から第二受持部62に加わる荷重の遷移に係る情報が得られる。
【0096】
第二受持部62を一定回数移動させた後、ステップS16の把持解除工程において、上側把持片部61a及び下側把持片部61b、並びに、上側対応部62a及び下側対応部62bをそれぞれ離間させ、PTPシート1の把持を解除する。
【0097】
次いで、ステップS17において、状態検出部73により検出された分割ライン7の状態(荷重の遷移に係る情報)に基づき、良否判定部75により分割ライン7の良否が判定される。分割性の点で、分割ライン7が非常に良好な状態又は良好な状態で形成されている場合(ステップS17:YES)、検査結果などを検査結果記憶部76に記憶して、ステップS11に戻る。
【0098】
一方、分割ライン7が不良である場合、検査結果などを検査結果記憶部76に記憶するとともに、ステップS18の緊急停止工程に移行し、分割ライン不良信号を制御装置45へと出力して、ステップS11へと戻る。
【0099】
以上、本実施形態によれば、負荷発生装置60により、分割ライン7の形成箇所に対する負荷の発生を一定の条件で行うことができ、PTPシート1における分割ライン7の形成箇所へと常に狙いの負荷を発生させる(印加する)ことができる。また、状態検出部73及び良否判定部75により、負荷の発生中における分割ライン7の状態検出、及び、検出した分割ライン7の状態に基づく分割ライン7の良否判定についても一定の条件で行うことができ、客観的で、かつ、ばらつきのない安定した分割ライン7の状態検出や良否判定を行うことができる。これらの結果、分割ライン7の検査精度を飛躍的に向上させることができる。
【0100】
また、分割ライン7の検査を人手によることなく、負荷発生装置60や状態検出部73、良否判定部75によって自動的に行うことができる。従って、検査に伴う人的資源の浪費を防ぐことができ、生産等に係るコストの低減を図ることができる。
【0101】
さらに、両手に相当する第一受持部61及び第二受持部62が設けられており、検査におけるPTPシート1への負荷の発生時に、PTPシート1を分割する際に一般的に行われる使用者の動きに近い動きを再現することができる。これにより、実際の使用時を想定した検査を行うことができ、分割ライン7の検査精度を一層高めることができる。
【0102】
加えて、第一受持部61によってPTPシート1を把持して固定するため、PTPシート1に対する負荷の発生(印加)を安定的に行うことができ、検査精度をより確実に高めることができる。
【0103】
また、第二受持部62がシートを把持した状態でPTPシート1に負荷を発生させるため、両手によってPTPシート1を把持した上でPTPシート1に負荷を発生させる動き(本実施形態では、PTPシート1を両手で折り曲げる動き)に近い動きをより確実に再現することができる。従って、実際の使用時を想定した検査をより正確に行うことができる。
【0104】
さらに、第一受持部61は、PTPシート1を把持することによって、分割ライン7を直線状に保つことができる。従って、PTPシート1の製造直後であって分割ライン7が湾曲状になっているときであっても、製造から時間が経過したときの状態に対応する状態に分割ライン7の形状を調節した上で検査を行うことができる。このように、PTPシート1を実際の使用時に想定される状態としつつ検査を行うことで、検査精度の更なる向上を図ることができる。
【0105】
加えて、良品判定されると推定されるPTPシート1を分割性検査装置50によって実際に検査したときに得られた検出値に基づき、良否判定部75による判定基準(本実施形態では荷重閾値)が設定される。従って、判定基準を正しくかつ容易に設定することができ、検査精度をより一層向上させることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態では、PTPシート1に負荷を発生させる際に、第二受持部62によってPTPシート1を把持した状態で第一受持部61及び第二受持部62の相対位置関係を変化させるように構成されている。これに対し、本第2実施形態では、図20〜22に示すように、PTPシート1に負荷を発生させる際に、第二受持部62がPTPシート1の裏表両面から隙間をあけた状態、つまりPTPシート1を把持しない状態とされた上で、第一受持部61及び第二受持部62の相対位置関係を変化させるように構成されている。より詳しくは、上側対応部62a及び下側対応部62b間の距離を一定に保った状態で第二受持部62が上下動し、第二受持部62によってPTPシート1の表面又は裏面を押圧することで、PTPシート1に負荷を発生させるように構成されている。
【0106】
以上、本第2実施形態によれば、第二受持部62によりPTPシート1を把持した状態でPTPシート1に負荷を発生させる場合と比較して、PTPシート1における分割ライン7の形成箇所へと圧縮力や引っ張り力を加わりにくくすることができる。そのため、シンプルな負荷での検査を行うことができ、複雑な負荷が発生することによる検査結果のばらつきを抑えることができる。
【0107】
また、第二受持部62によってシートを把持しない状態で負荷を発生させるため、第二受持部62によってPTPシート1を把持した状態でPTPシート1に負荷を発生させる場合に発生し得る、PTPシート1の表面抵抗や把持位置などの差異による負荷の変動をより抑えることができる。その結果、検査精度の一層の向上を図ることができる。
〔第3実施形態〕
次いで、第3実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態において、負荷発生装置60は、第一受持部61及び第二受持部62を備えており、両受持部61,62は所定の基台に取付けられている。これに対し、本第3実施形態では、図23に示すように、負荷発生装置80は、第一受持部81及び第二受持部82に加えて双腕ロボット83を備えている。そして、両受持部81,82は、図24に示すように、双腕ロボット83に取付けられている。
【0108】
双腕ロボット83は、多関節型の多軸ロボットであり、胴体部84と、当該胴体部84の両側部に設けられた右腕部85及び左腕部86とを備えている。そして、右腕部85の先端部に第一受持部81が設けられ、左腕部86の先端部に第二受持部82が設けられている。本実施形態では、右腕部85が「一方の腕」に相当し、左腕部86が「他方の腕」に相当する。
【0109】
尚、本第3実施形態において、第二受持部82は、第一受持部81と同様の構成とされており、PTPシート1を把持可能とされている。また、第一受持部81及び第二受持部82は、PTPシート1側から加わる荷重(反力)を測定するためのロードセル(図示せず)をそれぞれ備えている。
【0110】
胴体部84は、右肩部において関節部を介して右腕部85の基端部(次述する右上腕部85a)を支持するとともに、左肩部において関節部を介して左腕部86の基端部(次述する左上腕部86a)を支持する。
【0111】
右腕部85は、それぞれ関節部を介して直列的に連結された右上腕部85a、右中腕部85b及び右下腕部85cを備えており、関節部を介して右下腕部85cに第一受持部81が連結された構成とされている。また、左腕部86は、それぞれ関節部を介して直列的に連結された左上腕部86a、左中腕部86b及び左下腕部86cを備えており、関節部を介して左下腕部86cに第二受持部82が連結された構成とされている。
【0112】
そして、胴体部84から第一受持部81にかけての部位(右腕対応部)は、それぞれ平行に延びる回動軸R1,R2,R3,R4にて回動可能とされており、各関節部において屈曲動作が可能とされている。また、胴体部84から第二受持部82にかけての部位(左腕対応部)は、それぞれ平行に延びる回動軸L1,L2,L3,L4にて回動可能とされており、各関節部において屈曲動作が可能とされている。このように構成されることで、回動軸R1〜R4,L1〜L4と直交する平面に沿って、第一受持部81及び第二受持部82の配置位置や両者の相対位置関係を一定範囲内において自由に変化させることが可能となっている。そのため、分割ライン7の検査時に、例えば、PTPシート1を90°以上に折り曲げること等が可能である。
【0113】
また、負荷発生装置80は、負荷制御部72からの動作指示を受けて動作する。負荷制御部72は、検査条件記憶部71に記憶された、負荷発生装置80の動作制御に係る情報に基づき負荷発生装置80の動作を制御する。本第3実施形態では、動作制御に係る情報として、所定のオペレータ(例えば、複数のオペレータのうち、分割性の検査に関する正確性が特に優れるオペレータなど)による分割ライン7の検査を負荷発生装置80にて再現するための情報(再現用情報)が検査条件記憶部71に記憶されており、負荷制御部72は、この再現用情報に基づき負荷発生装置80の動作を制御する。すなわち、検査条件記憶部71にはオペレータの実際の検査動作が予め教示されており、負荷制御部72は、教示された検査動作を負荷発生装置80にて常に同じように再現する。尚、再現用情報は、例えば、分割ライン7の検査を実際に行っているときにおけるオペレータの動作態様(動作順序や動作速度、動作量、動作タイミング)やPTPシート1の把持力、PTPシート1の曲げ角度などに関するデータに基づき得ることができる。
【0114】
本第3実施形態において、分割ライン7の検査を行う際には、まず、第一受持部81によってPTPシート1のうち検査対象となる分割ライン7を挟んだ一方側部位を把持するとともに、第二受持部82によってPTPシート1のうち分割ライン7を挟んだ他方側部位を把持する。このとき、PTPシート1は、検査対象となる分割ライン7が回動軸R1〜R4,L1〜L4と平行な状態で把持される。
【0115】
第一受持部81及び第二受持部82によりPTPシート1を把持した後には、図25〜27に示すように、PTPシート1を複数回(例えば4回以上)折り返してPTPシート1に負荷を発生させるように右腕部85及び左腕部86が動作する。このとき、PTPシート1の一方側部位に対しPTPシート1の他方側部位が90°以上折れ曲がるように右腕部85及び左腕部86が動作する。そして、状態検出部73によって、PTPシート1に負荷を加えているときにおける分割ライン7の状態(例えば、PTPシート1側から第一受持部81及び第二受持部82へと加わる荷重の遷移に係る情報)が検出され、検出された分割ライン7の状態に基づき、良否判定部75によって分割ライン7の良否が判定される。
【0116】
尚、負荷発生装置80によれば、シート小片6同士を切離す方向の引っ張り力をPTPシート1に加えることで、PTPシート1に負荷を発生させることが可能である。従って、分割ライン7の検査時に、このような引っ張り力をPTPシート1に加えることとしてもよい。
【0117】
以上、本第3実施形態によれば、第一受持部81及び第二受持部82は、双腕ロボット83の右腕部85及び左腕部86に設けられている。従って、PTPシート1を直角以上に折り曲げたり、シート小片6同士を切離す方向の引っ張り力をPTPシート1に加えたりするといった複雑な負荷をより容易に発生させることができ、検査に係る自由度を向上させることができる。また、使用者がPTPシート1を分割するときの実際の動きをより確実に再現することができ、実際に人間の手を使ったときと同様の検査を行うことができる。さらに、検査時におけるオペレータの動作が教示されているため、オペレータによる検査を何度でも同じように再現させることが可能となる。
〔第4実施形態〕
次いで、第4実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態では、第二受持部62が上下に往復移動することによって、PTPシート1を折り曲げてPTPシート1に負荷を発生させるように構成されている。これに対し、本第4実施形態では、図28に示すように、第二受持部64は、検査対象となる分割ライン7と重なる又はほぼ重なる回動軸ARにて回動可能に構成されている。そして、図29及び図30に示すように、第二受持部64の回動によって、PTPシート1を折り曲げてPTPシート1に負荷を発生させることができるようになっている。
【0118】
また、本第4実施形態では、第一受持部63のうち少なくとも第二受持部64の回動経路に位置する部位が薄肉とされており、第二受持部64の回動可能範囲を広げ、PTPシート1をより大きな角度(例えば90°以上)に折り曲げることができるようになっている。
【0119】
以上、本第4実施形態によれば、PTPシート1に負荷を発生させているときに、分割ライン7から第二受持部64のうちPTPシート1を把持する部分までの距離を一定に保つことができる。そのため、PTPシート1における分割ライン7の形成箇所へと圧縮力や引っ張り力を加わりにくくすることができ、シンプルな負荷での検査を行うことができる。これにより、複雑な負荷が発生することによる検査結果のばらつきを抑えることができる。
〔第5実施形態〕
次いで、第5実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態において、第二受持部62は、上下に往復移動可能とされており、第二受持部62の往復移動によりPTPシート1を折り曲げることで、PTPシート1に負荷を発生させるように構成されている。これに対し、本第5実施形態では、図31及び図32に示すように、第二受持部66は、上下に往復移動可能であるとともに、所定のサーボモータ66eによって、PTPシート1のシート平面と直交する方向に延びる回動軸AX2にて回動可能とされている。そして、第二受持部66の往復移動によりPTPシート1を折り曲げること、及び、第二受持部66の回動により、シート小片6同士をシート平面に沿って離間させる方向の引っ張り力をPTPシート1に加えることの双方が可能とされている。すなわち、本第5実施形態では、シート平面と直交する方向に沿った負荷と、シート平面に沿った方向の負荷とをPTPシート1に発生させることが可能に構成されている。尚、シート平面に沿った方向の負荷は、シート小片6同士をシート平面に沿って離間させるようにしてPTPシート1を千切るときに発生させる負荷と同じ態様の負荷といえる。
【0120】
また、第一受持部65は、所定のサーボモータ65eによって、PTPシート1のシート平面と直交する方向に延びる回動軸AX1にて回動可能とされている。第一受持部65及び第二受持部66がそれぞれ異なる方向に回動することで、PTPシート1に引っ張り力を加えることができる。
【0121】
さらに、本第5実施形態では、分割ライン7の検査を行うときに、第一受持部65及び第二受持部66によりPTPシート1を把持した後に、第二受持部66が往復移動することでPTPシート1を複数回(例えば2回)折り返した後、第一受持部65及び第二受持部66を回動させることでPTPシート1に引っ張り力を加えるように構成されている。すなわち、PTPシート1を何度か折り返した後に、PTPシート1を引っ張って分離させるという、PTPシート1を切離すときに想定される使用者の動きを再現するようになっている。
【0122】
加えて、本第5実施形態では、PTPシート1側から加わる荷重(反力)を検出するための図示しないロードセルとともに、サーボモータ65e,66eにおける回動トルクに関するデータ(サーボトルクデータ)を検出するための図示しないトルク検出装置が設けられている。そして、状態検出部73に対し、前記ロードセルによって検出された荷重に関する信号(荷重信号)に加えて、前記トルク検出装置によって検出された、PTPシート1に引っ張り力を加えているときのサーボトルクデータに関する信号(トルク信号)が出力されるようになっている。
【0123】
状態検出部73は、前記ロードセルから送られる荷重信号に基づくPTPシート1側から第一受持部65及び第二受持部66に加わる荷重の遷移に係る情報と、前記トルク測定装置から送られるトルク信号に基づくトルクの遷移に係る情報とを得るように構成されている。そして、良否判定部75は、状態検出部73によって得られた荷重やトルクの遷移に係る情報と判定基準記憶部74に設定された判定基準とに基づき、分割ライン7の良否を判定する。判定基準としては、PTPシート1の折り曲げ検査に対応する数値(例えば、前記荷重閾値や前記タイミング判定用数値)と、PTPシート1の引っ張り検査に対応する数値(例えば、切離しが生じたときのトルクが適切であるか否かを判定するための適正トルク数値など)とが設定されている。
【0124】
良否判定部75は、上記第1実施形態と同様に、PTPシート1を折り曲げているときにおける荷重の遷移に係る情報と前記判定基準とに基づき、PTPシート1を折り曲げているときにPTPシート1が分割されたか否かを判定する。さらに、良否判定部75は、PTPシート1に引っ張り力を加えているときにおけるトルクの遷移に係る情報に基づき、PTPシート1の分割に要するトルク(力)が適切か否かを判定することで、分割ライン7の良否を判定する。具体的には、良否判定部75は、トルクの遷移に係る情報に基づきPTPシート1が分割されたときのトルクを得る。そして、良否判定部75は、得られたトルク及び前記判定基準(前記適正トルク数値)に基づき、分割に要するトルクが過大又は過小である場合には、分割ライン7が不良であると判定する。一方、良否判定部75は、得られたトルクが適正である場合(例えば、得られたトルクと適正トルク数値との差が所定数値以下である場合)には、分割ライン7が非常に良好であると判定する。
【0125】
以上、本第5実施形態によれば、PTPシート1を折り曲げることでPTPシート1に負荷を発生させることのみならず、PTPシート1に引っ張り力を加えることでPTPシート1に負荷を発生させることもできる。従って、PTPシート1に対する負荷の印加態様をより複雑なものとすることができ、PTPシート1を分割するときの使用者の動きをより多様に再現することができる。これにより、実際の使用時を想定した様々な検査をより正確に行うことができる。尚、このような態様は、分割ライン7がミシン目により構成されている場合に特に有用である。
【0126】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0127】
(a)上記第1実施形態では、第一受持部61によりPTPシート1を把持することで、PTPシート1の形状を平坦状として分割ライン7を直線状とするように構成されているが、必ずしも分割ライン7を直線状とする必要はない。例えば、最終的な段階(使用される段階)で反りが存在するPTPシート1の検査では、上側指部61cの下面の高さ、及び、下側指部61dの上面の高さを調節することで、PTPシート1を把持したときに当該PTPシート1の反りが最終的な反りと同程度となるように構成してもよい。この場合には、第一受持部61によりPTPシート1を把持することで、最終的な分割ライン7の湾曲程度に合うように分割ライン7の湾曲状態を保つことができ、実際の使用時を想定した精度の高い検査を行うことができる。
【0128】
また、例えばPTPシート1の形状が経時的に変化しないような場合には、第一受持部によってPTPシート1の形状を維持した状態で当該PTPシート1を把持するように構成してもよい。
【0129】
(b)上記実施形態では、複数本の分割ライン7のうちの予め設定された1本の分割ライン7が検査対象とされているが、2本以上の分割ライン7を検査対象としてもよい。例えば、検査対象となる分割ライン7に合わせて第一受持部や第二受持部によるPTPシート1の把持位置を変更した上で、PTPシート1に負荷を発生させることを繰り返し行うことにより、複数本の分割ライン7を順次検査するように構成してもよい。
【0130】
(c)上記実施形態において、第二受持部は、分割ライン7の検査時に、PTPシート1を把持した状態及び把持しない状態のいずれか一方を維持しつつ、PTPシート1に負荷を発生させるように構成されている。これに対し、分割ライン7の検査時に、PTPシート1を把持した状態及びPTPシート1を把持しない状態を切換えることができるように第二受持部を構成してもよい。例えば、PTPシート1の1回目の折り曲げ時には、第二受持部によってPTPシート1を把持し、PTPシート1の2回目以降の折り曲げ時には、第二把持部によってPTPシート1を把持しないようにしてもよい。このように構成することで、PTPシート1に対する負荷の印加態様をより複雑なものとすることができ、PTPシート1を分割するときの使用者の動きを一層多様に再現することができる。
【0131】
尚、上記のように構成した場合、例えば、次のような検査を行うことができる。すなわち、上記第2実施形態と同様に、第二受持部がPTPシート1の裏表両面から隙間をあけた状態、つまりPTPシート1を把持しない状態とされた上で、第二受持部が往復移動することによりPTPシート1を所定回数(例えば2回)だけ折り曲げる。その後、第二受持部によってPTPシート1を把持した状態で第二受持部を移動させ、PTPシート1に対しシート平面と直交する方向に沿った引っ張り力(負荷)を加える。尚、シート平面と直交する方向に沿った引っ張り力(負荷)は、シート小片6同士をシート平面と直交する方向に沿って離間させるようにしてPTPシート1を千切るときに発生させる負荷と同じ態様の負荷といえる。そして最後に、負荷の発生中又は発生後における分割ライン7の状態に基づき、分割ライン7の良否を判定する。この検査は、PTPシート1を押圧して所定回数だけ折り曲げた上で、最後にシート小片6同士をシート平面と直交する方向に沿って離間させるようにしてPTPシート1を千切るといった、PTPシート1を分割するときに使用者がとり得る動きを想定したものとなる。
【0132】
また、図33及び図34図33,34では第一受持部を不図示)に示すように、第二受持部68が、分割ライン7方向に沿ったPTPシート1の一端縁側のみを把持するように構成してもよい。このように構成することで、PTPシート1の一端縁側のみを引っ張ってPTPシート1を千切るといった使用者の動きを再現した検査を行うことができる。従って、PTPシート1を分割するときの使用者の動きをより一層多様に再現することができる。
【0133】
(d)上記第3実施形態における双腕ロボット83は、胴体部84から第一受持部81にかけての部位(右腕対応部)と胴体部84から第二受持部82にかけての部位(左腕対応部)とが各関節部において屈曲動作可能に構成されているが、双腕ロボットの構成はこれに限られるものではなく、双腕ロボットの構成を適宜変更してもよい。
【0134】
例えば、図35に示すように、胴体部104から第一受持部101にかけての部位(右腕対応部)を関節部にて屈曲動作可能としつつ、例えば、胴体部104に対し右腕部105を回動軸R5にて回動可能とし、右腕部105の右上腕部105aを回動軸R6にて回動可能とし、右腕部105の右前腕部105bを回動軸R7にて回動可能とすることで、右腕対応部がその中心軸まわりに回動可能となるように双腕ロボット103を構成してもよい。勿論、左腕部106に関しても、胴体部104から第二受持部102にかけての部位(左腕対応部)を関節部にて屈曲動作可能としつつ、例えば、胴体部104に対し左腕部106を回動軸L5にて回動可能とし、左腕部106の左上腕部106aを回動軸L6にて回動可能とし、左腕部106の左前腕部106bを回動軸L7にて回動可能とすることで、左腕対応部がその中心軸まわりに回動可能となるように構成してもよい。
【0135】
上記のように構成することで、第一受持部101及び第二受持部102の配置位置をより自由に変化させることができ、分割ライン7の検査に係る自由度を一層向上させることができる。また、使用者やオペレータなどの人間によるPTPシート1を分割するときの動作の再現性をより高めることができ、実際に人間の手を使ったときと同様の検査を一層正確に行うことができる。
【0136】
(e)上記実施形態では、第一受持部及び第二受持部の相対位置関係を変化させることで、PTPシート1に負荷を発生させるように構成されているが、負荷の発生手法はこれに限定されるものではない。例えば、図36及び図37に示すように、検査対象となる分割ライン7を挟むようにして配置されるライン押圧部93を備え、第一受持部91及び第二受持部92の相対位置関係を変化させることなく、ライン押圧部93と両受持部91,92との相対位置関係を変化させることで、PTPシート1に負荷を発生させるように構成してもよい。この場合、ライン押圧部93や両受持部91,92に加わる荷重などに基づき、分割ライン7の良否を判定することができる。
【0137】
(f)上記実施形態では、分割ライン7の検査を行うときに、PTPシート1のうちポケット部2を避けた部位に、第一受持部や第二受持部が接触するように構成されているが、図38に示すように、PTPシート1のうちポケット部2の形成された部位に、第一受持部111や第二受持部112が接触するように構成してもよい。すなわち、第一受持部111や第二受持部112によってPTPシート1のうちポケット部2の形成された部位を把持したり、当該部位を押圧したりするように構成してもよい。このように構成することで、ポケット部2同士の間隔が小さなPTPシート1など、分割時にポケット部2の形成された部位に力が加わりやすいPTPシート1を検査する場合に、実際の使用時を想定した検査を行うことができる。
【0138】
(g)上記実施形態では、分割ライン7の状態として、荷重やトルクの遷移に係る情報を検出するように構成されているが、その他の情報を検出するように構成してもよい。例えば、分割ライン7の状態として、PTPシート1に負荷を発生させているときに、PTPシート1から発生する音やPTPシート1における分割ライン7の形成箇所を撮像して得た撮像画像、所定の光をPTPシート1における分割ライン7の形成箇所に照射したときの反射光などの情報を検出するようにしてもよい。
【0139】
また、上記実施形態では、PTPシート1に対する負荷の発生中における、分割ライン7の状態を検出するように構成されているが、PTPシート1に対する負荷の発生後における、分割ライン7の状態を検出するように構成してもよい。例えば、分割ライン7にて所定回数だけ折れ曲がるようにPTPシート1に負荷を発生させた後、PTPシート1を再び折り曲げるときにPTPシート1側から第二受持部62に加わる荷重やPTPシート1にて生じる音などの情報を分割ライン7の状態として検出してもよい。また、PTPシート1に負荷を発生させた後、分割ライン7の状態として、PTPシート1における分割ライン7の形成箇所を撮像して得た撮像画像や所定の光をPTPシート1における分割ライン7の形成箇所に照射したときの反射光の有無や強弱などの情報を検出してもよい。さらに、PTPシート1が分割されるまでPTPシート1に繰り返し負荷を発生させる構成とした上で、分割ライン7の状態として、PTPシート1に対する負荷の発生が終了するまでにPTPシート1に発生した総負荷量に対応する情報(例えば、PTPシート1が分割されるまでの第二受持部の合計移動量など)を検出してもよい。
【0140】
(h)上記第1実施形態などにおいて、第一受持部は、PTPシート1を把持して固定し、PTPシート1に対する負荷の発生時に移動しないように構成されているが、第二受持部が移動するときに、第一受持部も移動するように構成してもよい。例えば、PTPシート1に対する負荷の発生時に、第一受持部を第二受持部の移動方向とは反対方向に移動するように構成してもよい。
【0141】
(i)上記実施形態においては、製造されたPTPシート1の中から任意に選択されたものが分割ライン7の検査に供されることとなる。これに対し、シール前検査装置22やシール後検査装置29によって不良と判定されたPTPシート1を、分割ライン7の検査用として優先的に利用することとしてもよい。すなわち、PTP包装機11が、分割ライン7以外の1又は複数の要素について検査を行う検査装置(シール前検査装置22やシール後検査装置29)を有し、分割性検査装置50が、前記検査装置によって不良判定されたPTPシート1の分割ライン7を検査するように構成してもよい。この場合には、分割ライン7の検査に伴い、良品のPTPシート1が無駄になってしまうことをより確実に防止でき、生産コストの増大抑制を図ることができる。
【0142】
(i)上記実施形態では、シートとしてPTPシート1を挙げているが、シートは、所定の内容物を収容するとともに、シート小片に分割するための分割ラインを有するものであればよい。従って、例えば、シートは、PTPシート以外のブリスタシートであってもよい。
【0143】
(j)上記実施形態では、内容物として錠剤5を挙げているが、内容物はこれに限定されるものではない。従って、例えば、内容物は、カプセルや食品、液体(例えば使い捨て目薬など)、日用品(例えば使い捨てコンタクトレンズなど)等であってもよい。
【符号の説明】
【0144】
1…PTPシート(シート)、5…錠剤(内容物)、6…シート小片、7…分割ライン、10…シート製造システム、11…PTP包装機(シート製造装置)、50…分割性検査装置、60,80…負荷発生装置(負荷発生手段)、61,63,65,91,101,111…第一受持部、62,64,66,92,102,112…第二受持部、73…状態検出部(状態検出手段)、75…良否判定部(良否判定手段)、83,103…双腕ロボット、85,105…右腕部(一方の腕)、86,106…左腕部(他方の腕)。
図1
図2
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