(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845190
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】吸入器およびそのカートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20210308BHJP
【FI】
A24F40/42
【請求項の数】36
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-152380(P2018-152380)
(22)【出願日】2018年8月13日
(62)【分割の表示】特願2017-522122(P2017-522122)の分割
【原出願日】2015年10月21日
(65)【公開番号】特開2018-201514(P2018-201514A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2018年8月14日
(31)【優先権主張番号】1418817.1
(32)【優先日】2014年10月22日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】アウン、ワリード アビ
(72)【発明者】
【氏名】アブラモフ、オレグ ユリエビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ニコルソン、ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】ファーミン、パヴェル
(72)【発明者】
【氏名】ディガード、ヘレン
【審査官】
岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0192620(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/155645(WO,A1)
【文献】
中国特許出願公開第104068474(CN,A)
【文献】
特表2010−506594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を保持するための容器を有するハウジングと、
容器に保持された液体を揮発させるヒーターと、
材料を収容するチェンバーと、
出口と
を備える、吸入可能な媒体を発生させる装置であって、
使用時にヒーターで揮発した液体が蒸気およびエアロゾルの少なくとも一方の形体でチェンバーに収容された材料内を通過して、それによって材料から1種以上の成分を同伴して、出口から外に出る吸入可能な媒体を生成するように構成されており、
容器は、ハウジングから全体的に外すことができる別個の環状のポットの形体である
装置。
【請求項2】
容器に保持された液体を揮発させるヒーターは、液体を気化させるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
ヒーターの下流かつチェンバーの上流に冷却器または冷却域を備え、冷却器または冷却域は気化した液体を冷却して、使用時にチェンバー内に収容された材料内を通過する液滴のエアロゾルを形成するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
容器に含まれた液体を揮発させるヒーターは、液体を加熱してエアロゾルを形成するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項5】
チェンバーに収容された材料を加熱する第2のヒーターを備えることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
チェンバーは装置から外すことができることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
チェンバーは装置から外すことができないことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
液体容器およびチェンバーは一体の構成単位であることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
チェンバーは固体の材料を収容することを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
材料はタバコである、またはタバコを含むことを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
容器はニコチンを含む液体を収容することを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
容器は、グリセリンであるかあるいはグリセリンを含む液体を収容することを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
容器は香味料を収容することを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
装置は電池で駆動されることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
各ヒーターは電気抵抗式ヒーターであることを特徴とする請求項1乃至14いずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
液体を保持するための容器を有するハウジング、この液体を揮発させるヒーター、材料、出口を備え、容器はハウジングから全体的に外すことができる別個の環状のポットの形体である装置を用いて吸入可能な媒体を発生させる方法であって、
容器に保持された前記液体を揮発させることと、
揮発した液体で形成された蒸気およびエアロゾルの少なくとも一方を材料内に通過させることによって、材料から1種以上の成分を蒸気およびエアロゾルの少なくとも一方に取り入れて、吸入可能な媒体を発生させることと、
吸入可能な媒体を出口から出すことと
を含む方法。
【請求項17】
容器に保持された液体を加熱することは液体の少なくとも一部を気化させることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
気化した液体を装置の冷却器または冷却域内を通過させて、材料内を通過する液滴のエアロゾルを形成することを含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記容器に含まれた液体を前記揮発させることは液体を加熱してエアロゾルを形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
材料を装置の第2のヒーターを用いて加熱することを含むことを特徴とする請求項16乃至19いずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
材料は装置に固体で収容されていることを特徴とする請求項16乃至20いずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
材料はタバコである、またはタバコを含むことを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
液体はニコチンを含むことを特徴とする請求項16乃至22いずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
液体はグリセリンである、またはグリセリンを含むことを特徴とする請求項16乃至23いずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
液体は香味料である、または香味料を含むことを特徴とする請求項16乃至24いずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
液体を保持する容器と、
固体材料を収容する受器と
を備える吸入可能な媒体を発生させるハウジングを含む装置で使用するカートリッジであって、
使用時に容器を出た揮発した液体が蒸気およびエアロゾルの少なくとも一方の形体で受器に収容された固体材料内を流れることができるように構成されており、
容器は、ハウジングから全体的に外すことができる別個の環状のポットの形体である
カートリッジ。
【請求項27】
容器と結合され、容器に保持された液体を使用時に揮発させるヒーターを備えることを特徴とする請求項26記載のカートリッジ。
【請求項28】
受器と結合され、受器に収容された固体材料を使用時に加熱するヒーターを備えることを特徴とする請求項26または27に記載のカートリッジ。
【請求項29】
容器は、揮発した液体を容器から外に出せるようにした1つ以上の開口を有することを特徴とする請求項26乃至28いずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項30】
受器は固体材料を収容することを特徴とする請求項26乃至29いずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項31】
材料はタバコである、またはタバコを含むことを特徴とする請求項30記載のカートリッジ。
【請求項32】
容器は液体を保持することを特徴とする請求項26乃至31いずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項33】
液体はニコチンを含むことを特徴とする請求項32記載のカートリッジ。
【請求項34】
液体はグリセリンである、またはグリセリンを含むことを特徴とする請求項32または33記載のカートリッジ。
【請求項35】
液体は香味料である、または香味料を含むことを特徴とする請求項32乃至34いずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項36】
受器はチェンバーを備えることを特徴とする請求項26乃至35いずれか1項に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸入可能な媒体を発生させる装置および吸入可能な媒体を発生させる方法、ならびに吸入可能な媒体を発生させる装置と共に使用するカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコや葉巻などの喫煙品は使用中にタバコを燃焼してタバコ煙を製する。タバコを燃焼するこれらの品物の代替品を提供する試みが、燃焼せずに化合物を放出する製品を作ることによって行われてきた。そのような製品の例は、材料を加熱するが燃焼せずに化合物を放出する加熱装置である。材料は例えばタバコ製品でも他の非タバコ製品でもよく、ニコチンを含有してもしなくてもよい。他の例にはいわゆる電子タバコ装置がある。これらの装置は一般に、液体を入れ加熱して気化させて吸入可能な蒸気またはエアロゾルを作る。この液体はニコチンおよび/または香料および/またはエアロゾル発生物質、例えばグリセリンなどを含んでもよい。これら既知の電子タバコ装置は一般にタバコを含まない、即ちタバコを使用しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の第1の態様では吸入可能な媒体を発生させる装置が提供され、該装置は、
液体を保持する容器と、
この容器に保持された液体を揮発させるヒーターと、
材料を収容するチェンバーと、
出口と
を備え、使用時にヒーターによって揮発した液体が蒸気およびエアロゾルの少なくとも一方の形体でチェンバーに収容された材料内を通過して、この材料から1種以上の成分を同伴して吸入可能な媒体を作り、この媒体が出口から出るように構成されている。
【0004】
これにより吸入可能な媒体は、例えば使用中の装置に含まれる材料由来の1種以上の香味を付与することができる。具体的な応用例では、材料を通過する蒸気またはエアロゾルは高温であり、そのため材料を加熱して材料から1種以上の成分を気化即ち揮発させ、吸入可能な媒体にこの成分が取り入れられるようにする。
【0005】
非限定の具体例として、材料はタバコでもよくあるいはタバコを含有してもよい。いわゆる電子タバコ装置の一特徴は、吸入可能な媒体の香味が従来のタバコ生成物の香味料とは別物あるいは少なくとも異なることである。本発明の一実施態様における材料がタバコの場合、あるいはタバコを含有する場合、タバコを通過する蒸気またはエアロゾルは材料からタバコ香味を取り出す。
【0006】
一実施態様では容器に含まれる液体を揮発させるヒーターは液体を気化させるように構成されている。
【0007】
一実施態様では本装置はヒーターの下流かつチェンバーの上流に冷却器または冷却域を備え、この冷却器または冷却域は気化した液体を冷却して液滴のエアロゾルを形成するように構成されており、使用時にこのエアロゾルはチェンバーに収容された材料内を通過する。冷却器は実質的に熱交換器として作用し、蒸気の熱を回収することができるように構成されてもよい。回収された熱を用いて、例えば材料を予備加熱し、および/または液体の加熱を補助することができる。
【0008】
別の実施態様では容器に入れられた液体を加熱するヒーターは、液体を加熱してエアロゾルを形成するように構成されている。
【0009】
一実施態様では本装置はチェンバーに収容された材料を加熱する第2のヒーターを備える。これにより材料をヒーターで加熱することができ、材料の化合物の放出を促進するとともに、必要なら加熱液体に対してより低い温度を用いることができるようにしてもよい。
【0010】
一実施態様ではチェンバーは本装置から取り外すことができる。チェンバーは、例えば材料を収容するカートリッジ等の形体でもよい。材料を含めてチェンバー全体は実質的に使い捨てで、使用後に全体を交換してもよい。あるいは、使用者がチェンバーを本装置から外し、チェンバー内の使用済み材料を入れ換えた後にチェンバーを本装置に戻すような構成でもよい。
【0011】
別の実施態様ではチェンバーは本装置から取り外せなくてもよい。そのような実施態様では使用者は使用後に材料を入れ換えるだけでもよい。
【0012】
一実施態様では液体容器は取り外すことができる。液体容器はポットまたは同様の形状でもよく(いくつかの実施態様では例えば環状でもよく)、および/または脱脂綿等でもよい。液体を含めて液体容器全体は実質的に使い捨てで、使用後に全体を置換してもよい。あるいは、使用者が液体容器を本装置から外し、この容器内の使用済み材料を入れ換えあるいは継ぎ足した後に容器を本装置に戻すような構成でもよい。
【0013】
別の実施態様では前記液体容器は本装置から取り外せなくてもよい。そのような一実施態様では、使用者は使用後の必要時に液体を入れ換えあるいは継ぎ足すだけでもよい。
【0014】
一実施態様では前記液体容器およびチェンバーは一体ユニットである。
【0015】
一実施態様では前記チェンバーは材料を収容し、この材料は固体である。材料は例えばタバコでもよく、あるいはタバコを含んでいてもよい。
【0016】
一実施態様では容器はニコチンを含有する液体を保持する。
【0017】
一実施態様では前記容器は液体を保持し、液体はグリセリンである、またはグリセリンを含有する。
【0018】
一実施態様では前記容器は液体を保持し、液体は香味料である、または香味料を含有する。
【0019】
一実施態様では本装置は電池で駆動される。
【0020】
一実施態様では各ヒーターは電気抵抗式ヒーターである。
【0021】
本発明の第2の態様では液体を保持する容器、この液体を揮発させるヒーター、材料、および出口を備える装置を用いて吸入可能な媒体を発生させる方法が提供され、該方法は、
容器に保持された液体を揮発させることと、
揮発した液体で形成された蒸気およびエアロゾルの少なくとも一方を材料内に通過させることによって、蒸気およびエアロゾルの少なくとも一方に材料の1種以上の成分を同伴して吸入可能な媒体を発生させることと、
上記吸入可能な媒体を出口から出すことと
を含む。
【0022】
一実施態様では容器に保持された液体を揮発させることは液体の少なくとも一部を気化させる。一実施態様では、本方法は気化した液体を装置の冷却器または冷却域を通過させて液滴のエアロゾルを形成することを含み、このエアロゾルは材料内を通過する。
【0023】
一実施態様では容器に含まれる液体を揮発させることは液体を揮発させてエアロゾルを形成する。
【0024】
一実施態様では本方法は本発明の装置の第2のヒーターを用いて材料を加熱することを含む。
【0025】
一実施態様では材料は本発明の装置に固体で収容される。この材料はタバコでもよく、またはタバコを含んでもよい。
【0026】
一実施態様では液体はニコチンを含有する。
【0027】
一実施態様では液体はグリセリンである、またはグリセリンを含む。
【0028】
一実施態様では液体は香味料である、または香味料を含む。
【0029】
本発明の第3の態様では吸入可能な媒体を発生させる装置と共に使用するカートリッジが提供され、該カートリッジは、
液体を保持する容器と、
固体材料を収容する受器と、
を備え、
カートリッジは、使用時に容器から出る気化した蒸気およびエアロゾルの少なくとも一方の形体の液体が、受器により収容された固体材料内を流れるように構成されている。
【0030】
一実施態様ではカートリッジは、容器と結合され容器に保持された液体を使用時に気化させるヒーターを備える。
【0031】
一実施態様ではカートリッジは、受器と結合され受器で収容された固体材料を使用時に加熱するヒーターを備える。
【図面の簡単な説明】
【0032】
添付図面を参照して本発明の実施態様を単に例示的に説明する。
【
図1】吸入可能な媒体を発生させる装置の一例の長手方向の概略断面図である。
【
図2】吸入可能な媒体を発生させる装置の別の例の長手方向の概略断面図である。
【
図3】吸入可能な媒体を発生させる装置の別の例の長手方向の概略断面図である。
【
図4】使用時に吸入可能な媒体を発生させる装置の一例の長手方向の概略断面図である。
【
図5】使用時に吸入可能な媒体を発生させる装置の別の例の長手方向の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照すると吸入可能な媒体を発生させる装置1の一例が示されている。大筋において本装置1は液体を揮発させて蒸気またはエアロゾルを形成し、この蒸気またはエアロゾルが材料内を通過して材料由来の1種以上の成分を含有する吸入可能な媒体を生成する。
【0034】
この点において先ず留意することは、一般に蒸気は臨界温度より低温の気相の物質であり、例えば温度を下げずに圧力を上げることによって蒸気を凝縮させて液体にすることができることを意味する。一方、一般にエアロゾルは空気中または他の気体中にある微細な固体粒子あるいは液滴のコロイドである。「コロイド」は不溶性粒子が別の物質全体に微視的に分散し浮遊している物質である。
【0035】
図1に戻ると、この例の装置1はほぼ中空の円筒形外側ハウジング2を有する。ハウジング2は開放端3を有する。この例では、管状のマウスピース4が開放端3に配置されている。この例のマウスピース4は使用者がハウジング2から外すことができる。Oリングまたは他の封止材がマウスピース4をハウジング2に封止するのを補助している。ハウジング2の他端6あるいは他端6側にあるのは、装置1の種々の構成要素に電力を供給する電池7であり、これについては後述する。電池7は充電式電池でも使い捨て電池でもよい。装置1の種々の構成要素の動作を制御するため、コントローラー8もハウジング2に配置されており、これについては後述する。
【0036】
ハウジング2は液体10を保持または収容する容器9を有する。容器9に種々の異なる形体を取り入れることができる。
図1の例では容器9はハウジング2の開放端3と他端6の間に配置された環状のチェンバー9である。この具体的な例ではハウジング2は、開放端3側の第1の部分2aおよび他端6側の第2の部分2bの2つの部分から成る。ハウジング2の第1の部分2aおよび第2の部分2bはねじ山やバヨネット装着等で互いに接続されてもよい。使用時、使用者は必要に応じてハウジング2の第1の部分2aと第2の部分2bを分離して液体10を補充あるいは入れ換えることができる。これとは別にマウスピース4を外して容器9を操作することができる。当然のことながら他の構成も可能である。例えば、ハウジング2から全体的に外すことができる個別の環状のポット状の容器に液体10を入れて提供してもよい。そのような個別容器は使い捨てで、液体10が入った新しい容器をハウジング2内に装着することによって使用者が液体10を交換するようになっていてもよい。これとは別にそのような容器は再使用可能でもよい。その場合、ハウジング2から外された容器に使用者が液体10を補充あるいは入れ換え、この補給済み容器をハウジング2に戻してもよい。当然のことながらハウジング2を2つの部分に分ける必要はなく、使用者が操作できる他の構成を採用して、例えばそのまま補給することができるようにしてもよい。
【0037】
ヒーター11はハウジング2のほぼ中央に、即ちこの例のハウジング2の全長と幅に沿って中央に配置されている。この例ではヒーター11は電池7から電力の供給を受け、従って電池7に電気的に接続されている。ヒーター11は電気抵抗式ヒーターでもよく、例えばニクロム抵抗ヒーター、セラミックヒーターなどがある。ヒーター11は、例えばコイル状のワイヤ、板(2種以上の異なる材料の多層板でもよく、その1種以上は導電性およびその1種以上は非導電性でもよい)、メッシュ(例えば織布でも不織布でもよく、これがさらに多層でもよい)、フィルムヒーターなどの形体でもよい。他の加熱構成、例えば非電気式加熱構成を用いてもよい。
【0038】
このヒーター11は液体10を揮発させるために配置されている。図示の例では環状の芯12がヒーター11を取り囲み、ヒーター11と(熱的に)接触している。環状の芯12の最外面は液体容器9に含まれる液体10と接触状態にある。芯12は大まかにいえば吸収性であり、液体容器9から毛細管作用で液体10を吸い上げる作用をする。芯12は好ましくは不織であり、例えば綿または羊毛材料などでよく、あるいは合成材料、例えばポリエステル、ナイロン、ビスコース、ポリプロピレンなどでよい。これについてさらに詳細に後述するが、ここで留意することは、使用時に芯12に吸い上げられた液体10がヒーター11によって加熱されることである。液体10を揮発させて液滴のエアロゾルを作ってもよく、液体10を十分に加熱して蒸気を作ってもよい。そのように作られたエアロゾルまたは蒸気は、使用者がマウスピース4で吸引する行為中に矢印Aで示すように芯12を出てマウスピース4に向かって通過する。ヒーター11と芯12は、加熱と芯作用が効果的に行われるような効果的な一体品として提供されてもよい。
【0039】
ハウジング2はさらに、材料14を装置1内に保持または収容するチェンバー13を備える。使用時、使用者はマウスピース4を外すかハウジング2の2つの部分2a、2bを分離することによって、チェンバー13を操作してハウジング2の開放端3から材料14を交換または補充することができる。チェンバー13に種々の異なる形体を取り入れてもよい。例えば、チェンバー13は両端が完全に開放され材料14の入った管でもよい。別の例として、チェンバー13は蒸気またはエアロゾルが通過可能な貫通孔を有する1つ以上の壁を端部に有する管でもよい。チェンバー13は、使用者が材料14を取り外し交換する間、ハウジング2内のその場に留まってもよい。これとは別に材料を収容したチェンバー13は個別の製品で、これを使用時に全体としてハウジング2に挿入・取り外ししてもよい。この種類の取り外し可能なチェンバー13は使い捨てで、未使用の材料14が収容され新しいチェンバー13を使用者がハウジング2に装着することによって材料14を取り替えるようにしてもよい。あるいは、チェンバー13は再使用可能でもよい。その場合、使用者はチェンバー13がハウジング2から外れている間にチェンバー13内の材料14を交換し、補充したチェンバー13をハウジング2に入れ換えてもよい。さらに別の例ではチェンバー13は、ハウジング2の内部に配置され材料14を所定位置に保持する留め具等を備えてもよい。いくつかの例では、材料14はチェンバー13内に簡単に滑り嵌めされる。これとは別に液体10を含む容器9自体を材料14を保持または担持するように構成してもよい。例えば、容器9は材料14を所定位置に受け入れて保持する1つ以上の留め具または管等を有してもよい。液体10の収容と材料14の受け入れの両方を目的とするそのような二重機能の容器9/チェンバーまたは受器13はカートリッジ等の形体でもよく、使い捨て品でもよく、再使用可能でもよく、使用者が液体10および材料14を必要に応じて入れ換えてもあるいは補充してもよい。場合によって、液体10の量は複数回の使用に十分で、使用者は時々材料14だけ補充するだけでよい場合がある。液体10を使い切ったら、使用者は二重機能の容器9/受器13を廃棄し新品を使用する。同様に、材料14の量は複数回の使用に十分で、使用者は時々液体10だけ補充あるいは入れ換えればよい場合がある。材料14を使い切ったら、使用者は二重機能の容器9/受器13を廃棄し新品を使用する。
【0040】
材料14はハウジング2内の液体10からエアロゾルまたは蒸気が製せられる場所の下流かつハウジング2の開放端3およびマウスピース4の上流に位置する。この具体的な例では材料14はハウジング2の芯12と同じ部分またはチェンバー内に効果的に配置されている。液体10から製せられたエアロゾルまたは蒸気は、使用者がマウスピース4で吸引する行為中に矢印Aで示すように芯12を出て材料14に向かって通過する。具体的な実施態様では、材料14は多孔質であるため、エアロゾルまたは蒸気は材料14内を通過し、次にハウジング2の開放端3およびマウスピース4を通過する。一部の実施態様では、エアロゾルまたは蒸気が全て材料14内を流れるよう、材料14および/またはそのチェンバー13はそれらとハウジング2の内部間に空隙がないように配置されている。
【0041】
液体10は、好ましくは装置1の電力消費の抑制に役立つように、妥当な温度、好ましくは150〜250℃の範囲で蒸発可能な液体である。適した材料には電子タバコ装置に従来使用されている材料が含まれ、例えばプロピレン・グリコールおよびグリセリンがある。
【0042】
材料14は、液体10から製せられたエアロゾルまたは蒸気が材料14内を通過するときに、エアロゾルまたは蒸気に香味を付けるのに使用することができる材料である。材料14は例えばタバコで構成されてもよく、タバコを含んでもよい。エアロゾルまたは蒸気がタバコ材料14内を横断すると、熱いエアロゾルまたは蒸気はタバコ材料14の有機および他の化合物または成分を同伴し、タバコにその感覚刺激特性を添え、従ってマウスピース4まで通過するエアロゾルまたは蒸気に香味を付ける。もちろんタバコ以外の材料を用いて種々の香味をエアロゾルまたは蒸気流に与えてもよい。例えば、香味料を材料または液体に含有させることができる。
【0043】
さらに、材料14がタバコであるか、またはタバコを含む場合、エアロゾルまたは蒸気流がタバコ材料14から十分なニコチンを引き出してもよい。これとは別にまたはそれに加えて、材料14がタバコを含まない場合、例えば材料をニコチンでコーティングすることによって材料14をニコチンで強化してもよい。現実には、材料14がタバコであるか、またはタバコを含む場合でも、材料14をニコチンでコーティングまたはニコチンで強化してもよい。別の例として、材料14がタバコであってもタバコでなくてもあるいはタバコを含んでも含まなくてもおよび/またはニコチンを含んでも含まなくても、ニコチンを液体10に加えてもよい。従って、装置1で使用者にニコチンを提供することが目的である場合はニコチンを液体10に加えてもよく、材料14がタバコであるか、またはタバコを含む場合はニコチンをその材料から得てもよく、非タバコ材料14へのコーティング等で供給してもよく、タバコ材料にコーティング等で供給してもよく、あるいはこれらを任意に組み合わせてもよい。同様に、(材料がタバコであってもなくても、タバコを含んでも含まなくても)香料を材料14におよび/または液体10に添加してもよい。
【0044】
上記のように燃焼せずにタバコを加熱することによって化合物を放出する加熱装置が知られている。なお、タバコは熱伝導性が悪く、しかも既知のタバコ加熱装置内のタバコの加熱は(一般にタバコ表面に接触している電気抵抗式加熱要素による)タバコの外表面からタバコ内の熱伝導によるものである。これは、タバコが非効率的に加熱されている可能性があり、および/または装置の電力消費が大きいことを意味する。電池駆動の装置の場合、電力消費が大きいことは1個以上の電池を頻繁に充電あるいは交換する必要があるため使用者には問題である。材料14がタバコである場合、この問題は本装置1の実施態様では回避することができる。というのは、多孔質のタバコ材料14をその塊の中を通過するエアロゾルまたは蒸気で加熱し、この塊全体をより効果的かつ効率良く加熱することができるからある。これによって装置1の電力消費の低減を促進することができる。
【0045】
図1に示した例では装置1内の材料14を加熱する唯一の熱源(材料14から有機および他の化合物または成分を発生させるために必要な熱源)は液体10を加熱して作られた高温のエアロゾルまたは蒸気である。
【0046】
ここで
図2に吸入可能な媒体を発生させる装置の別の例が示されている。以下の説明および
図2では、
図1を参照して説明した例の対応する構成要素および特徴構造と同じあるいは類似の構成要素および特徴構造には200番台の同じ参照番号を付してある。簡略化のため、これらの構成要素および特徴構造の説明は全体にここでは繰り返さない。当然のことながら
図1の例と関連して先に説明した構成および代替案なども
図2の例に応用可能である。ここでも同様に、大筋で
図2の装置201は液体を加熱して蒸気またはエアロゾルを形成し、この蒸気またはエアロゾルが材料214内を通過して、材料214由来の成分を1つ以上含有する吸入可能な媒体を生成する。
【0047】
この例の装置201は、開放端203および管状のマウスピース204を備えたほぼ中空の円筒形外側ハウジング202を有する。この例のマウスピース204は使用者がハウジング202から外すことができ、Oリングまたは他の封止材205がマウスピース204をハウジング202に封止するのを助けている。装置201およびコントローラー208の種々の構成要素に電力を供給する電池207がハウジング202の他端206にあるいは他端206側に配置されている。この例のハウジング202は、開放端203側の第1の部分202aおよび他端206側の第2の部分202bの2つの部分から成る。
【0048】
ハウジング202は液体210を保持または収容する容器209を有する。容器209は
図1の例と関連して先に説明した種類のいずれでもよい。ヒーター211がハウジング202の(長さ方向および幅方向の)ほぼ中央に液体210を揮発させるために配置されている。この例ではヒーター211は電池207から電力の供給を受け、従って電池207に電気的に接続されている。ヒーター211は電気抵抗式ヒーター、セラミックヒーターなどでよい。ヒーター211は例えば、コイル状のワイヤ、板(2種以上の異なる材料の多層板で、その1種以上は導電性、その1種以上は非導電性でもよい)、メッシュ(例えば織布でも不織布でもよく、これらは同様に多層でもよい)、薄膜ヒーターなどでもよい。他の加熱構成、例えば非電気的加熱構成を用いてもよい。環状の芯212がヒーター211を取り囲み、ヒーター211と(熱的に)接触している。環状の芯212の最外面は液体容器209に含まれた液体210と接触している。液滴のエアロゾルを作るように液体210を加熱しても、十分に加熱して蒸気を製してもよい。そのように製せられたエアロゾルまたは蒸気は、使用者がマウスピース204で吸う行為中に矢印Aで示すように芯212を出てマウスピース204に向かって通過する。ヒーター211および芯212は、単一の構成単位で加熱および芯作用が効果的に行われるような効果的な一体品として配置されてもよい。
【0049】
ハウジング202はさらに、材料214を装置201内に保持または収容するチェンバー213を備える。チェンバー213は
図1の例と関連して先に説明した種類のいずれでもよい。材料214はハウジング202内のエアロゾルまたは蒸気が液体210から製せられる場所の下流かつハウジング202の開放端203とマウスピース204の上流に位置する。この具体的な例では材料214は芯212と同じ部分またはハウジング202のチェンバー内に効果的に配置されている。液体210から製せられたエアロゾルまたは蒸気は、使用者がマウスピース204で吸引する行為中に芯212を出て矢印Aで示したように材料214に向かって通過する。具体的な実施態様では、材料214は多孔質であるため、エアロゾルまたは蒸気は材料214内を通過し、次にハウジング202の開放端203およびマウスピース204を通過する。一部の実施態様では、材料214および/またはそのチェンバー213は材料214/チェンバー213とハウジング202の内部間に空隙がないように配置されているため、エアロゾルまたは蒸気は全て材料214内を流れるようになっている。上記のように、材料214は、液体210から作られるエアロゾルまたは蒸気が材料214内を通過するときに、このエアロゾルまたは蒸気に香味を付けるのに使用してもよい材料である。材料214は例えばタバコで構成されてもよく、タバコを含んでいてもよい。エアロゾルまたは蒸気がタバコ材料214内を横断すると、熱いエアロゾルまたは蒸気はタバコ材料214の有機および他の化合物または成分を同伴し、タバコにその感覚刺激特性を添え、従ってマウスピース204まで通過するエアロゾルまたは蒸気に香味を付ける。当然のことながらタバコ以外の材料を用いて種々の香味をエアロゾルまたは蒸気流に与えてもよい。液体210を含む容器209はそれ自体が材料214を保持即ち担持するように構成されてもよい。例えば、容器209は材料214を所定位置に受け入れて保持するための1つ以上の留め具または管等を有してもよい。液体210の収容と材料214の受け入れの両方を目的としたそのような二重機能の容器209/チェンバーまたは受器213はカートリッジ等の形体でもよく、使い捨て品でもよく、再使用可能でもよく、使用者が液体210および材料214を必要に応じて入れ換えてもあるいは補充してもよい。場合によって、液体210の量は複数回の使用に十分で、使用者は時々材料214だけ補充すればよい場合がある。液体210を使い切ったら、使用者は二重機能の容器209/受器213を廃棄し新品を使用する。同様に、材料214の量は複数回の使用に十分で、使用者は時々液体210を補充あるいは入れ換えるだけでよい場合がある。材料214を使い切ったら、使用者は二重機能の容器209/受器213を廃棄し新品を使用する。
【0050】
図2の例示的装置201によれば、炉型ヒーターなどの第2のヒーター215が材料214に接した状態で配置されていて、材料214を予備加熱および/または装置201の使用中に材料214を追加加熱する。これにより、使用時に蒸気またはエアロゾルが材料214内を通過するとき、材料214からの成分の放出が促進される。またこれによって、必要なら加熱液体210に対してより低い温度を用いることができ、液体210を加熱する第1のヒーター211の電力消費を低減し、さらに材料214を十分に加熱するのに必要な加熱液体210の使用量を減らすこともできる。第2のヒーター215は、例えば電池207から電力の供給を受ける電気抵抗式ヒーター、セラミックヒーターなどでもよい。第2のヒーター215は例えば、コイル状のワイヤ、板(2種以上の異なる材料の多層板で、その1種以上は導電性、その1種以上は非導電性でもよい)、メッシュ(例えば織布でも不織布でもよく、これらは同様に多層でもよい)、薄膜ヒーターなどでもよい。他の加熱構成、例えば非電気的加熱構成を第2のヒーター215に用いてもよい。
【0051】
図2の例示的装置201では材料214を加熱するヒーター215は材料214の外に配置されており、材料214を外から熱伝導により加熱する。この例のヒーター215は大まかにいえば円筒形である。ヒーター215は実質的に装置201と一体でもよく、ハウジング202の一部として配置されてもよい。あるいは、ヒーター215は材料214を保持または収容するチェンバー213と一体的に配置されてもよい。この代替例ではチェンバー213が使い捨ての場合、使用者が未使用の材料が入った新しいチェンバー213を装置201に装着するときにヒーター215は交換されることになる。
【0052】
ここで
図3を参照すると吸入可能な媒体を発生させる装置の別の例が示されている。以下の説明および
図3では、
図1を参照して説明した例の対応する構成要素および特徴構造と同じあるいは類似の構成要素および特徴構造には300番台の同じ参照番号を付してある。簡略化のため、これらの構成要素および特徴構造の説明は全体にここでは繰り返さない。当然のことながら
図1および
図2の例と関連して先に説明した構成および代替案なども
図3の例に応用可能である。ここでも同様に、大筋で
図3の装置301は液体を加熱して蒸気またはエアロゾルを形成し、この蒸気またはエアロゾルが材料314内を通過して、材料314由来の成分を1つ以上含有する吸入可能な媒体を生成する。
【0053】
この例の装置301も同様に、開放端303および管状のマウスピース304があるほぼ中空の円筒形外側ハウジング302を有し、マウスピース304は使用者がハウジング302から外すことができる。Oリングまたは他の封止材305でマウスピース304のハウジング302への封止を補助している。装置301およびコントローラー308の種々の構成要素に電力を供給する電池307がハウジング302の他端306にあるいは他端306側に配置されている。この例のハウジング302も、開放端303側の第1の部分302aおよび他端306側の第2の部分302bの2つの部分から成る。
【0054】
ハウジング302は液体310を保持または収容する容器309を有する。容器309は
図1および
図2の例と関連して先に説明した種類のいずれでもよい。ヒーター311がハウジング302のほぼ中央に、液体310を加熱するために配置されている。ヒーター311は先に説明した種類のいずれでもよい。この例ではヒーター311は電池307から電力の供給を受け、従って電池307に電気的に接続されている。環状の芯312がヒーター311を取り囲み、ヒーター311と(熱的に)接触している。環状の芯312の最外面は液体容器309に含まれた液体310と接触している。液滴のエアロゾルを作るように液体310を加熱してもよく、あるいは十分に加熱して蒸気を作ってもよい。そのように製せられたエアロゾルまたは蒸気は、使用者がマウスピース304で吸う行為中に矢印Aで示すように芯312を出てマウスピース304に向かって通過する。ヒーター311および芯312は、単一の構成単位で加熱および芯作用が効果的に行われるような効果的な一体品として配置されてもよい。
【0055】
ハウジング302はさらに、材料314を装置301内に保持または収容するチェンバー313を備える。チェンバー313は
図1および
図2の例と関連して先に説明した種類のいずれでもよい。(
図3に示した例ではチェンバー313は管の形状で、蒸気またはエアロゾルが通過可能な貫通孔317を有する壁316を端部に有する。これが任意であることは先に述べた)。材料314はハウジング302内の、エアロゾルまたは蒸気が液体310から製せられる場所の下流かつハウジング302の開放端303とマウスピース304の上流に位置する。この具体的な例では同様に材料314は芯312と同じ部分またはハウジング302のチェンバー内に効果的に配置されている。液体310から製せられたエアロゾルまたは蒸気は、使用者がマウスピース304で吸引する行為中に芯312を出て矢印Aで示したように材料314に向かって通過する。具体的な実施態様では、材料314は多孔質であるため、エアロゾルまたは蒸気は材料314内を通過し、次にハウジング302の開放端303およびマウスピース304を通過する。一部の実施態様では、材料314および/またはそのチェンバー313は材料314/チェンバー313とハウジング302の内部間に空隙がないように配置されているため、エアロゾルまたは蒸気は全て材料314内を流れるようになっている。上記のように、材料314は、液体310から製せられるエアロゾルまたは蒸気が材料314内を通過するときに、このエアロゾルまたは蒸気に香味を付けるのに使用してもよい材料である。材料314は例えばタバコで構成されてもよく、あるいはタバコを含んでいてもよい。エアロゾルまたは蒸気がタバコ材料314内を横断すると、熱いエアロゾルまたは蒸気はタバコ材料314の有機および他の化合物または成分を同伴し、従ってマウスピース304まで通過するエアロゾルまたは蒸気にタバコ香味を付ける。当然のことながらタバコ以外の材料を用いてエアロゾルまたは蒸気流に種々の香味を与えてもよい。液体310を含む容器309はそれ自体が材料314を保持または担持するように構成されてもよい。例えば、容器309は材料314を所定位置に受け入れて保持する1つ以上の留め具または管等を有してもよい。液体310の収容と材料314の受け入れの両方を目的としたそのような二重機能の容器309/チェンバーまたは受器313はカートリッジ等の形状でもよく、使い捨て品でもよく、再使用可能でもよく、使用者が液体310および材料314を必要に応じて入れ換えてもあるいは補充してもよい。場合によって、液体310の量は複数回の使用に十分で、使用者は時々材料314だけ補充または置き換えればよい場合がある。液体310を使い切ったら、使用者は二重機能の容器309/受器313を廃棄し新品を使用する。同様に、材料314の量は複数回の使用に十分で、使用者は時々液体310だけを補充あるいは入れ換えればよい場合がある。材料314を使い切ったら、使用者は二重機能の容器309/受器313を廃棄し新品を使用する。
【0056】
図3の例示的装置301ではここでも第2のヒーター318が材料314に熱的に接した状態で配置されていて、使用時に蒸気またはエアロゾルが材料314を通過するとき、材料314を加熱して材料314からの成分の放出を促進する。第2のヒーター318は、例えば電池307から電力の供給を受ける電気抵抗式ヒーター、セラミックヒーターなどでもよい。他の加熱構成、例えば非電気的加熱構成を第2のヒーター318に用いてもよい。
【0057】
図3の例示的装置301では材料314を加熱するヒーター318は材料314の内部に配置されており、材料314をその内側からの熱伝導により加熱する。この例のヒーター318はほぼ円筒棒形状で、材料314の長手方向中心軸に沿って配置されている。別の構成では、ヒーター318は例えば、コイル状のワイヤ、板(2種以上の異なる材料の多層板で、その1種以上は導電性、その1種以上は非導電性でもよい)、メッシュ(例えば織布でも不織布でもよく、これらは同様に多層でもよい)、薄膜ヒーターなどでもよい。この場合の材料314はほぼ管状であり、あるいはヒーター318を収容するための内部に開口を有する。ヒーター318は実質的に装置301と一体でもよく、ハウジング302の一部として配置されてもよい。その場合、材料314が装置301に装着されると(例えば、材料314を収容したチェンバー313が装置301に装着されると)、材料314は第2のヒーター318を取り囲む。これとは別にヒーター318は材料314を保持または収容するチェンバー313と一体的に配置されてもよい。この代替例ではチェンバー313が使い捨ての場合、未使用の材料を有する新しいチェンバー313が使用者によって装置301に装着されるときにヒーター318は取り替えられることになる。
【0058】
別の例では材料314をさらに効率的に加熱するように複数の内部ヒーター318を設けてもよい。別の例では材料314を1つ以上の(
図2の例の第2のヒーター215と同様の)外部ヒーターおよび1つ以上の(
図3の例の第2のヒーター318と同様の)内部ヒーター314の両方で加熱してもよい。
【0059】
ここで
図4を参照すると使用時に吸入可能な媒体を発生させる装置401の一例の長手方向の概略断面図が示されている。ここでも簡略化のため、説明済みの例の対応する構成要素および特徴構造と同じあるいは類似の構成要素および特徴構造の詳細な説明はここでは省略する。
図1を参照して説明した例のこれらの構成要素および特徴構造の参照番号は400番台の同じ参照番号を有する。当然のことながら説明済みの構成および代替案なども
図4の例に応用可能である。
【0060】
この例では液体410を加熱して蒸気420を形成する。使用者によるマウスピース404/ハウジング402の開口端403の吸引の行為中に、蒸気420が材料414を通って吸引される。熱い蒸気420は材料414から有機および他の化合物または成分を取り込む。例えば使用温度によっては蒸気420から材料414に熱が伝達され、蒸気420は凝結して液滴のエアロゾルを形成してもよい。材料414から気化した化合物または成分はエアロゾルの液滴表面に凝結してもよい。つまりマウスピース404/ハウジング402の開口端403まで通過する蒸気またはエアロゾル421は材料414から香味を受け取る。材料414がニコチンを含有または含む場合、マウスピース404/ハウジング402の開口端403まで通過する蒸気またはエアロゾル421は、材料414から取り込まれたニコチンも含む。
【0061】
ここで
図5を参照すると使用時に吸入可能な媒体を発生させる装置501の別の例の長手方向の概略断面図が示されている。ここでも簡略化のため、説明済み例の対応する構成要素および特徴構造と同じあるいは類似の構成要素および特徴構造の詳細な説明は省略する。
図4を参照して説明した例のこれらの構成要素および特徴構造の参照番号は500番台の同じ参照番号を有する。当然のことながら説明済みの構成および代替案なども
図5の例に応用可能である。
【0062】
この例ではここでも液体510を加熱して蒸気530を形成する。使用者によるマウスピース504/ハウジング502の開口端503での吸引の行為中に蒸気530が材料514に向かって吸引される。この例では蒸気530は冷却器即ち熱交換器531内を通過する。これにより蒸気530は凝結して液滴のエアロゾル532を形成する。その後エアロゾル532は、熱い状態で材料514内を通過し、材料514から有機および他の化合物または成分をエアロゾル液滴の表面に凝結した状態で取り込む。さらに、具体的には材料514が水を含む場合、材料514から気化した水と液体510の液滴の混合物は沸点が比較的低いために(エアロゾルになるというよりもむしろ)蒸発することがある。つまりマウスピース504/ハウジング502の開口端503まで通過する蒸気またはエアロゾル533は材料514から香味を受け取る。材料514がニコチンを含有即ち含む場合、マウスピース504/ハウジング502の開口端503まで通過する蒸気またはエアロゾル533は材料514から取り込まれたニコチンも含む。
【0063】
上記のいずれの例において、コントローラー(
図1の8、
図2の208など)が装置1の全体の動作を制御する。例えばコントローラーは必要時に複数の加熱要素に電力を供給させ、加熱が不要なときには複数の加熱要素を停止させる。液体および/または材料を最適温度に加熱するように1つ以上の加熱要素の動作を制御してもよい。具体的な検討事項には、材料が燃えないようにすること、液体が適切に気化するようにすること、気化した液体またはエアロゾルが適切な温度で材料から化合物を放出するようにすること、および使用者に到達する蒸気またはエアロゾルが快適かつ安全な温度になるようにすることがある。液体用および材料用に個別のヒーターがある場合、必要ならこの制御を液体だけ加熱、材料だけ加熱、または両方加熱するように使用者が制御するように構成してもよい。それ自体は既知の装置である吸引検出器を設けて、1つ以上の加熱要素を起動する必要があるときにコントローラーに信号を送ってもよい。また本装置は、使用者に到達する前の蒸気またはエアロゾルを濾過する1つ以上のフィルター、使用者に到達する前の蒸気またはエアロゾルを冷却する冷却配列、ハウジング内で発生した熱から使用者を保護する装置内断熱などのうちの1つ以上を設けてもよい。
【0064】
使用時、具体的には材料14、214などがタバコである場合、好ましくはタバコまたは少なくともその表面を約190℃〜210℃の温度に、最も好ましくは約200℃の温度まで加熱して、適正即ち適切な量の化合物がタバコから放出されるようにする。先に詳述したように、材料内を通過する熱い蒸気またはエアロゾルだけで材料14を加熱してもよく、あるいは材料を予備加熱しても、例えば専用のヒーターを用いて二重加熱してもよい。予備加熱する場合、特にタバコの場合、材料を約100〜150℃の温度範囲まで予備加熱してもよい。もちろん他の温度を用いてもよい。例えば、材料あるいは少なくともその表面を210℃を越える温度、例えば最大約230℃または240℃あたりまで、さらには290℃の高温に加熱してもよい。存在するタバコの量は例えば50〜300mgあたりの範囲でもよい。一般的な例では装置1の動作1回(即ちパフごとに)あたりの加熱タバコ量は約8〜50mgの範囲に相当してもよい。タバコ量の最も適切な値は例えば50〜110mgあたりの範囲でもよい。
【0065】
使用時、液体10、210他は約150℃〜250℃の温度まで加熱してもよい。
【0066】
適切な材料14他は、加熱すると成分が揮発して一般にエアロゾル形体になる材料を含む。適切な材料14他には任意のタバコ含有材料が含まれ、例えばタバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、粉末タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、あるいはタバコ代替え品のうち1つ以上を含む。タバコの場合、材料14他はタバコのロッド、タバコの容器即ちプラグ、刻みタバコ、凝集タバコなどの形体でよく、例えば比較的乾燥した状態でもよく、あるいは比較的湿った状態でもよい。適切な材料14他は他の非タバコ製品を含んでもよく、製品によってはニコチンを含んでも含まなくてもよい。
【0067】
本明細書で使用する「風味料」および「香味料」なる用語は、用いられているように、は材料を指し、各国の法律が許可する場合、これらを用いて成人顧客向け製品に望ましい味覚または風味を作り出してもよい。
【0068】
本明細書に用いられているように、「風味料」および「香味料」は材料を指し、各国の法規が許可する場合、これらを用いて成人顧客向け製品に望ましい味覚または風味を作り出してもよい。これらには、抽出物(例えばカンゾウ、アジサイ、ホウノキ、カモミール、コロハ、クローブ、メントール、和種ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、イチヤクソウ、桜、ベリー、桃、リンゴ、ドラムボウイ(Drambuie)、バーボン、スコ
ッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セルリー、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、桂皮、キャラウェー、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピメント、ジンジャー、アニス、コリアンダー、コーヒー、または何らかの種のハッカ属のミント油)、調味料、苦み受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤あるいは刺激剤、砂糖および/または砂糖代用品(例えば、スクラロース、カリウムアセサルフェーム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、サクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、またはマンニトール)、および他の添加物、例えば木炭、クロロフィル、無機物、植物、または呼気清涼剤がある。これらは模倣品でも、合成物または天然材料でも、またはその混合物でもよい。これらは例えば油、液体、または粉体など任意の適切な形体でよい。
【0069】
種々の問題に対処し本技術を促進するため、本開示の全体は種々の実施態様を一例として示す。その実施態様の中で特許請求の範囲に記載の発明が実践され、吸入可能な媒体を発生させるように構成された優れた装置が提供される。本開示の利点および特徴は、実施態様の単なる代表的事例であって包括的事例ではなく、および/または排他的事例でもない。これらは特許請求された特徴の理解を単に助け教示するために提示される。当然だが、本開示の利点、実施態様、実施例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は、本開示またはその均等物を特許請求の範囲で規定されているように限定するものではなく、本開示の範囲および/または概念から逸脱することなく他の実施態様を利用し改変することができる。種々の実施態様は、開示された要素、構成要素、特徴、部品、工程、手段などの種々の組合せを好適に備えても、それらで構成されても、あるいは基本的にそれらで構成されてもよい。本開示には、現在特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明も含まれる。