特許第6845232号(P6845232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845232
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】熱成形アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/20 20060101AFI20210308BHJP
   B29C 51/08 20060101ALI20210308BHJP
   B29C 51/38 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   B29C51/20
   B29C51/08
   B29C51/38
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-516026(P2018-516026)
(86)(22)【出願日】2016年10月7日
(65)【公表番号】特表2018-535117(P2018-535117A)
(43)【公表日】2018年11月29日
(86)【国際出願番号】FR2016052596
(87)【国際公開番号】WO2017060648
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2019年9月25日
(31)【優先権主張番号】1559542
(32)【優先日】2015年10月7日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】517093647
【氏名又は名称】セントレ テクニーク デ インダストリーズ メカニークス
【氏名又は名称原語表記】CENTRE TECHNIQUE DES INDUSTRIES MECANIQUES
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボルデリエ フランク
(72)【発明者】
【氏名】カラン クレメント
(72)【発明者】
【氏名】ドレアノ エリザ
(72)【発明者】
【氏名】エクゼルティール アニエス
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−211648(JP,A)
【文献】 特開平08−001698(JP,A)
【文献】 特開2014−168864(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01097794(EP,A1)
【文献】 特開平03−284933(JP,A)
【文献】 特開平08−244725(JP,A)
【文献】 特開平11−000946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00−51/46
B29C 33/00−33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状熱可塑性材料をレリーフに成形する熱成形アセンブリであって、このアセンブリは下型部(20)と上型部(34)を備え、2つの型部は、これらの2つの型部(20、34)が相互に分離される開放位置とこれらの2つの型部の一方が他方の内部に係合される閉塞位置との間で、略垂直方向に相互に相対的に並進的に移動することが可能であり、かかるアセンブリは、2つの型部間で略水平な平均平面Pmに軟化された熱可塑性材料のシート(10)を保持できるように保持部材(28)を更に備えており、
前記下型部(20)は、ベース(24)及びベース(24)から突出部として延出するオス部(26)とを有し、
前記保持部材は、前記下型部(20)の前記ベース(24)内部で移動可能に搭載された複数のロッド(28)を備え、
前記ロッド(28)は、それぞれ点状に形作られた自由端(30)を有し、前記軟化された熱可塑性材料のシート(10)を略水平な平均平面に保持できるように、前記2つの型部(20、34)が前記開放位置にある際に、前記自由端(30)が前記オス部(26)の端部と同一高さとなるように、下型部(20)から突出して延びることを特徴とする熱成形アセンブリ。
【請求項2】
前記複数のロッド(28)におけるロッド(28)は、前記下型部(20)内で実質的に均一に離間されていることを特徴とする請求項1に記載の熱成形アセンブリ。
【請求項3】
記ロッド(28)は、前記下型部(20)から実質的に垂直に延びることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱成形アセンブリ。
【請求項4】
記ロッド(28)は、前記2つの型部(20、34)の一方が他方の内部に係合する際に、後退することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の熱成形アセンブリ。
【請求項5】
前記ロッドの自由端(30)は、前記ロッドが下型部(20)から突出部として延出する際に、受容平均平面を定義することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の熱成形アセンブリ。
【請求項6】
記ロッドの自由端(30)は、前記オス部(26)の上方に延出する受容平均平面を定義することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の熱成形アセンブリ。
【請求項7】
前記上型部(34)は凹部(36)を有し、前記オス部(26)は、前記2つの型部(20、34)の一方が他方の内部に係合する際に、前記凹部(36)内に延出するように企図されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の熱成形アセンブリ。
【請求項8】
更に、前記熱可塑性材料のシートを加熱する加熱装置(18)を備え、加熱装置は前記2つの型部(20、34)の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1つに記載の熱成形アセンブリ。
【請求項9】
更に、前記加熱装置(18)から前記2つの型部(20、34)に向かって前記軟化された熱可塑性材料のシート(10)を転移させることができるようにグリッパ(19)を備えていることを特徴とする請求項に記載の熱成形アセンブリ。
【請求項10】
前記グリッパ(19)は、針(22)を備えていることを特徴とする請求項に記載の熱成形アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元構成要素を取得するために、シート状熱可塑性材料をレリーフ(relief:浮彫細工)に形作ることが可能な熱成形アセンブリ(assembly)に関する。
【背景技術】
【0002】
本願の1つの想定される分野は、特に排他的ではないが、熱可塑性複合材料の熱成形の分野である。
【0003】
公知の熱成形アセンブリは、2つの型部、通常取得されるべき構成要素に従って予め定義された形状のパンチ(punch)を含む下型部及びパンチと相補的関係で協働可能な凹部が形成された上型部を備えている。2つの型部相互に分離される際に、プリフォーム(preform)として言及され、その端縁で保持される、軟化状態にある熱可塑性複合材料のシートが、2つの型部の間に略水平に拡げられる。これを行うため、熱可塑性複合材料シートは、2つの型部の近傍に配置されているオーブン中で予め加熱される。次に、2つの型部が相互に向かい合うように略垂直な軸に沿って駆動され、軟化された熱可塑性複合材料のシートは、2つの型部の間に挟持される。従って、当初フラットであった熱可塑性複合材料シートは、2つの型部の一方が他方の内部に係合される際に、レリーフに形成される。冷却後、2つの型部は相互に分離され、そのように形成された堅い構成要素を回復することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
軟化された熱可塑性複合材料のシートやプリフォームは、クランプや爪を使用してその端縁で保持されている。その結果、端縁を形成するため、製造されるべき構成要素よりも大きな外形を有するプリフォームを供給する必要がある。これらの端縁は、その後、機能的に使用される構成要素のみが存置されるように、切断される。その結果、与えられる構成要素に対して、端縁を形成するために材料の僅かではない過剰量を供給する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明が対処しようとする1つの発生する課題は、より少ない材料しか必要とせず、更に魅力的なコストで熱成形された構成要素を取得できる熱成形アセンブリを提供することである。
【0006】
この課題を解決する目的下、本発明は、シート状熱可塑性材料をレリーフに形作る熱成形アセンブリを提供し、このアセンブリは下型部と上型部を備え、2つの型部は、これらが相互に分離される開放位置とこれらの一方が他方の内部に係合される閉塞位置との間で、略垂直方向に相互に相対的且つ並進的に移動することが可能であり、かかるアセンブリは、2つの型部間で実質的に水平な平均平面に軟化された熱可塑性材料のシートを保持できるように保持部材を更に備えている。前記保持部材は、前記下型部内部で移動可能に搭載された複数のロッドを備え、前記ロッドは、前記軟化された熱可塑性材料のシートを実質的に水平な平均平面に保持できるように、前記2つの型部が前記開放位置にある際に、下型部から突出して延びる。
【0007】
従って、本発明の1つの特徴は、下型部に搭載された複数のロッドを使用することにあり、これらのロッドは、下型部から突出して延びた際には、実質的に水平な平均平面に軟化された熱可塑性材料のシートを受けて保持することができる。そうであれば、ロッドは成形を企図する下型部の器具の上部で略水平に横たわる軟化された熱可塑性材料のシートを支持することができる。その結果、軟化した熱可塑性材料の周囲に、そのシートを保持する追加的な端縁を形成する必要は完全になくなる。そのように行われる節約は、専らそんな端縁のための材料につき行われる。これは、実際に、プリフォームが型の内側から支持されることを許容するロッドによって、全体面が熱成形構成要素における機能的に使用されるプリフォームを生成することができるからである。ロッドは、プリフォームが与えられた正確な位置に保持されることを許容し、2つの型部の一方が他方の内部に係合する際にプリフォームが変形してもプリフォームをその位置に維持することを許容する。また、これを達成するために、前記複数のロッドは、前記下型部において、実質的に均一に離間されている。そうであれば、熱可塑性材料の軟化シートの全ての部分は、ロッドが実際に十分近接しており、また、熱可塑性材料の軟化シートが、過剰にたるむことを防止すべく相対的に十分堅いので、前記した水平な平均平面に延びている。軟化された熱可塑性材料のシートは、前記した水平な平均平面の各側で2つの異なる高さで延び、且つ、その平均平面に実質的に平行な部分を示すことが理解される。
【0008】
好ましくは、前記可動ロッドは、前記下型部から略垂直に延びる。それらは、また、それら自身の軸に沿って並進的に移動することが可能であり、従って、それらは、2つの型部の相対移動の垂直軸と平行に移動することができる。また、前記可動ロッドは、前記2つの型部の一方が他方の内部に係合する際に、有利に後退する。可動ロッドのこの後退は、2つの型部の相対移動の垂直軸と平行に延びる場合には、全く簡単である。
【0009】
本発明の1つの特別の有利な実施形態に従えば、前記可動ロッドは、それぞれ自由端を有し、可動ロッドの自由端は、前記可動ロッドが下型部から突出して延びる際に、受容平均平面を定義する。従って、軟化された熱可塑性材料のシートは、可動ロッドの自由端が下型部から突出して延びる際に、可動ロッドの自由端上に正確に載置される。その結果、各自由端は、シートのための支持ポイントを形成し、支持ポイントの集合は、受容平均平面を定義する。この受容平均平面は、2つの型部が相互に近接される前に、軟化された熱可塑性材料のシートが可動ロッドの自由端上に平衡状態で静置できるという意味において、実質的に水平である。従って、受容平均平面は、平衡状態で残るシートの水平線に関して実質的に傾斜されているのみならず、シートのある部分は、明らかにたるみ、凹みを形成したり、凸部を形成したり、又は、シートの他の部分に関して、実質的に傾斜されたりさえする。ロッドの自由端により定義される受容平均平面は、それでもなお、実質的に水平なものとして見做される。
【0010】
他の熱的性質の有利な点は、可動ロッドを使用することから現出する。特に、可動ロッドがその自由端で軟化された熱可塑性材料のシートを保持する際に、これらのロッドは、シートからの熱エネルギの散逸を最小にすることができる。なぜなら、トータル接触面積は小さくなるからである。その結果、従来技術と比較して、熱可塑性材料のシートに入力する熱エネルギを少なくすることができ、これと同時に、その完全な成形を得ることができる。
【0011】
更には、2つの型部の一方が他方の内部に係合し、軟化されたプリフォームを挟持するやいなや、ロッドは、2つの型部が相互に近接移動するので、下型部内に後退する。
【0012】
本発明の1つの特別の有利な実施形態に従えば、前記可動ロッドの自由端は、点状に形成されている。このように、点状の自由端により、軟化されたプリフォームは、プリフォームの平面で移動するリスクなしに、自由端にて完全に確保される。自由端の頂部上にて、プリフォームからの熱エネルギの損失は、なお低い。その理由は、ロッドとの接触点は、より小さい表面積を有しているに過ぎず、従って、プリフォームには、これらの接触点で延性が残存している。
【0013】
本発明の1つの特別の有利な特徴に従えば、前記下型部はベース及びベースからの突出部として延びたオス部を有している。その壁部が型を構成するベースは、オス部あるいは器具を有し、複数のロッドが本質的にベースから突出する。それから、その自由端は、オス部を同一高さまで延出することができ、又、実質的にオス部の端部の上方まで延出することができる。このように、ロッドが下型部から突出するように延出する際には、プリフォームは、それ故、オス部と同一高さまで延出することができる。
【0014】
好ましくは、前記可動ロッドの自由端は、前記オス部の上方に延びている受容平均平面を定義する。そうであれば、プリフォームは、より冷たいオス部から離れて保持され、成形前に熱エネルギが散逸されることは、殆どない。
【0015】
可動ロッドは、また、水平面において均一に離間できるように、オス部の間に延びていることが理解される。
【0016】
反対側において、前記上型部は凹部を有しており、前記オス部は、前記2つの型部の一方が他方の内部に係合する際に、前記凹部内に延びるように企図されている。オス部と凹部は、従って、2つの型部の一方が他方の内部に係合される際に、型部の壁からそれぞれ離間するスペースがプリフォームの厚さに実質的に対応するように、寸法設計されている。全く明らかなように、プリフォームは、あるゾーンにおいて、補強の数よりも大きな数に関連される厚さのバリエーションを示し、その結果、これらの対応ゾーンにおいては、凹部とオス部の壁部は、相互に更に離間している。
【0017】
更に、本発明に従う熱成形アセンブリは、前記熱可塑性材料のシートを加熱するための加熱装置を備えており、かかる加熱装置は、前記2つの型部の近傍に配置されている。そうであれば、熱可塑性材料のシートは、シートに延性が付与されるように加熱装置の内部で加熱され、例えば、シートがロッド上に転移され得るように、その目的のためのオーブン中で加熱される。熱可塑性材料のシートは、一般に、そのシートが形成された熱可塑性ポリマーのガラス転移温度と少なくとも同一の温度まで加熱される。
【0018】
更にまた有利に、熱成形アセンブリは、2つの型部に向かって加熱装置から軟化された熱可塑性材料のシートを転移可能なようにグリッパ(gripper)を備えている。このようなグリッパがどのように使用されるかにつき、これに続く明細書において更に詳細に説明される。これらのグリッパは、有利なように、上側から軟化された熱可塑性材料のシートをピックアップできるように針を備えている。
【0019】
本発明の他の詳細及び有利な点については、本発明の1つの特徴的な実施形態で後に与えられる記載(非限定表示として与えられる)を添付図面を参照して読むことにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】添付図面中、図1は、本発明に係る熱成形アセンブリの1つの構成要素を垂直面において示す模式図である。
図2図2は、操作の第1フェーズ(phase)にある本発明に係る熱成形アセンブリの他の構成要素を垂直面において示す模式図である。
図3図3は、操作の第2フェーズにある図2に示される他の構成要素の模式図である。
図4図4は、操作の第3フェーズにある図2に示される他の構成要素の模式図である。
図5図5は、操作の第4フェーズにある図2に示される他の構成要素の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、熱可塑性複合材料のシート12、14からなるプリフォーム10を示している。シート12、14は、赤外線加熱ライン18に露出されているサポート16上にて部分的に重なった状態で載っている。図示しない実施形態に従うポート16は、プリフォーム10により受け取られた熱エネルギの伝導による散逸を低減することができるように、プリフォーム10を支持するためのパッドを備えている。熱可塑性複合材料は、この例でシート状をしており、そのポリマーマトリックスは、熱可塑性であり、また、そのマトリックス内部で延びる繊維により補強されている。好ましくは、シート状の複合材料は、ポリマー材料のコアで縦方向に延びる連続繊維を有する繊維強化ポリマーから形成されている。
【0022】
プリフォーム10は、複合材料の単層シートから形成されるか、又は、これに代えて、製造されるべき構成要素の性質に従って予め定義された配列において、部分的に又はその他の態様で重ね合わされた熱可塑性複合材料の複数層のシートから構成されている。
【0023】
複合材料の熱可塑性ポリマー温度を実質的にそのガラス転移温度よりも高い値まで上げることを可能とする他のいずかの加熱タイプが好適である。軟化された熱可塑性ポリマーは延性を有し、その結果、プリフォームは柔軟になる。
【0024】
加熱された後、プリフォーム10は、その後図2に示されるグリッパ19を介して把持され、図2では、グリッパ19は、軟化されたプリフォーム10を熱成形下型部20に渡ってフィットさせている。グリッパ19は、プリフォームとサポートとを介して係合できるように、実質的に傾斜され、また、並進的に反対方向に移動可能な一群の針を備えている。
【0025】
他の実用例に従えば、真空ベルは吸引カップを形成することができる。それらは、上側から軟化されたプリフォーム10を把持して保持する。
【0026】
加熱成形下型部20の面では、中核や器具を形成するオス部26により乗り越えられるベース24を有している。図面に示すように、オス部26は、円錐台形形状を有し、従って、その外壁は製造されるべき構成要素の内側形状を決定する。このことは、一例から全く明らかである。他のもっと複雑な構成要素の形状は、本発明に係る熱成形アセンブリを使用して製造することができる。
【0027】
更に、本発明の1つの特徴に従えば、下型部20は、オス部26の周囲で垂直方向に搭載された後退可能なロッド28を有している。後退可能なロッド28の各々は、点状に形成された自由端30を有する。しかしながら、他の実装例に従えば、ロッドは円形端部、ローレット状端部或いは平面状端部を有していてもよい。また、図面には4つが示されているがロッド28は、製造されるべき構成要素やその程度に応じて、更に多数搭載されてもよい。
【0028】
図2では、熱成形型の下型部20は、後に説明される上型部との関係において自由である。また、後退可能なロッド28は、下型部20から突出部として延出し、更に特には、オス部26の周囲でベース24からの突出部として延出する。その結果、ロッド28の自由端30は、オス部26の頂部32(本実施例では平面)と面一となる受容平均平面Pmを定義する。受容平均平面Pmは、それ故、実質的に水平に配向されている。
【0029】
また、グリッパ19は、軟化されたプリフォーム10をロッド28の自由端30上で予め定義されている位置及びオス部26の頂部32にて正確に下方にセットする。その後、図3に描かれているように、グリッパ19は、針22を作動することにより、プリフォームをリリースする。
【0030】
また、図3において、プリフォーム10は、ロッド28の自由端30と頂部32上で、何ら他の工夫なしに実質的に平面で静置される。これは、実際に、ロッド28が相互に十分近接されており、自由端30により構成される支持点がプリフォームを平面にした状態で支持できるからである。プリフォーム10の延性条件を付与することにより、ある程度かなりのたるみが2つの連続した自由端30の間で生じるであろうが、たるみはいかなる方法でも熱成形と折り合うことがない。
【0031】
好ましくは、ロッド28の自由端30がオス部26の端部に接して延びる実質的に水平な平均平面Pmを定義するように、ロッドが十分長いことを確認する努力が行われる。
【0032】
更に、プリフォームにかなり貫通する傾向がある点状の自由端30により、その自身の平面においてこのプリフォームの不要な動きが回避される。プリフォームの上部で、点状の自由端30により、プリフォームは低い接触面積を提供することとなり、従って、熱エネルギの損失を低くすることができる。形成される熱可塑性ポリマーは、それ故、まだなお軟化状態にあり、延性を有する。
【0033】
従って、ロッド28は、熱成形型の内部にあり、それ故、型の内部から来てプリフォーム10を支持することができる。
【0034】
図3に記載されている、プリフォーム10を横たえるステップに続いて、グリッパ19が水平に離れるように移動され、下型部20に沿って保持された上型部3が下降される。上型部34は、その内部に、オス部26を補完するとともに内壁35によって製造されるべき構成要素の外表面の輪郭を決定するメス部又は凹部36を有している。メス部36とオス部26間の形状の相補性は、それ故、前記構成要素に従って予め定義される。
【0035】
図4に記載されているように、上型部34が下降され、また、オス部26がメス部36の内部に貫通するので、ロッド28は、後退されるように、垂直方向にベース24の厚さ内に後退される。ロッド28が後退されることにより、2つの間にプリフォーム10をトラップしつつ自由端30に対して境界まで上型部34を下降するだけの結果が生じる。ロッド28は、ベース24内部の弾性復帰手段上に配設されるか、又は、これに代えて、この下降が例えば水力学的に命令される。後者の実施形態は、プリフォーム10を局所的に損傷しないようにすることが好ましい。
【0036】
また、並行して、プリフォーム10自身は、実質的に垂直方向にオス部26上に載り、また、この実施例ではその側面らに載る。この結果、ロッド28の自由端30は、まだ延性を有するプリフォーム10をリリースし、上型部34のメス部36の内壁35はプリフォーム10と接触し、後者(プリフォーム)はまたオス部26に対して更に十分に押圧される。その結果、2つの型部20、34間におけるプリフォーム10のフィッティング(fitting)は完全に制御される。
【0037】
移動の最後において、図5に示すように、プリフォーム10がオス部26の外壁とメス部36の内壁35との間にサンドイッチされつつ、上型部34は、最も低いレベルまで下降される。一方、ロッド28は、下型20のベース24の厚さ内に完全に後退される。
【0038】
プリフォーム10は、それ故、レリーフに形作られる。また、図5に示される最終フェーズにおいて、2つの型部20、34はそれから冷却される。これにより、熱可塑性ポリマーの温度は、そのガラス転移温度以下に戻され、また、熱可塑性ポリマーはその剛性を回復する。熱可塑性ポリマーが剛性を回復すると同時に、上型部34は上昇され、そのように形成された剛性のある構成要素が取り除かれる。
【0039】
従って、ロッド28は、2つの型部20、34の一方が他方の内部に係合する前に、且つ、2つの型部が相互に係合する際にプリフォーム10がフラットに支持され、且つ、部分的に支持さることを許容する。これによりプリフォーム10は外部から保持する必要なく、型の内部から保持される。その結果、プリフォーム10を外部から保持可能とするために、プリフォーム10の周囲に付加的な端縁を設ける必要は完全になくなる。従って、材料削減が行われる。更に、熱成形後にこの追加的端縁を切断する付加的時間を設ける必要は完全になくなる。
【0040】
従って、本発明に従って熱成形アセンブリを実現する方法は、以下の連続ステップにおいて行われる。
−下型部と上型部を供給する;
−熱可塑性複合プリフォームを供給する;
−プリフォーム軟化するために熱エネルギをプリフォームに供給する;
−前記軟化されたプリフォームが下型部に渡って運び込まれ、プリフォームが下型部に渡って下方から複数点で支持される:
−上型部が、2つの型部の一方を他方の内部に係合するために下降され、これと同時にプリフォームが点状で支持されることが徐々に停止される
【0041】
そうであれば、本発明に係る熱成形アセンブリ及びその実現方法により、熱可塑性複合材料構成要素が有利なコストで製造される。
【符号の説明】
【0042】
10 プリフォーム
18 加熱装置
19 グリッパ
20 下型部
22 針
24 ベース
26 オス部
28 ロッド
30 自由端
34 上型部
36 凹部
図1
図2
図3
図4
図5