(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845249
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】容器に注入される液体の圧力を監視することで容器を形成及び充填する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/78 20060101AFI20210308BHJP
B29C 49/46 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
B29C49/78
B29C49/46
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-541682(P2018-541682)
(86)(22)【出願日】2017年2月10日
(65)【公表番号】特表2019-508290(P2019-508290A)
(43)【公表日】2019年3月28日
(86)【国際出願番号】EP2017053076
(87)【国際公開番号】WO2017137605
(87)【国際公開日】20170817
【審査請求日】2020年1月10日
(31)【優先権主張番号】16305166.7
(32)【優先日】2016年2月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515121575
【氏名又は名称】ディスクマ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100210686
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】フランク ロム
(72)【発明者】
【氏名】パスカル ベルニエ
【審査官】
▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/209346(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/206978(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/004272(WO,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103717371(CN,A)
【文献】
特表2011−526852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00−49/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレフォーム(8)中に加圧液体を注入することで容器(10)を同時に形成及び充填するための方法であり、前記容器がある容器容積を有し、前記プレフォーム(8)が前記容器(10)の形状を画定した成形キャビティ(52)中にある間に、加圧液体が、加圧液体源から液体注入回路(54)に沿って前記プレフォーム(8)に注入され、
−第1所定容積の加圧液体が前記プレフォーム(8)中に注入される第1注入工程であって、前記第1所定容積が前記容器容積の40〜90%に相当し、前記プレフォーム(8)を第1中間容器に膨張させる第1注入工程を含む方法であって、
−前記第1所定容積の液体が注入された後、前記液体注入回路(54)における所定切替圧力(Pp)に達するまで、液体注入速度が低減され、加圧液体が前記第1中間容器中にさらに注入される第2注入工程であって、前記第1中間容器を第2中間容器に膨張させる第2注入工程と、
−前記所定切替圧力(Pp)に達した後に開始する第3注入工程であって、液体注入が停止されるまで液体注入速度が減速され、前記第2中間容器が前記容器(10)の前記形状に膨張される第3注入工程とをさらに含み、
前記加圧液体源が、可動ピストン(12)を含む加圧装置(4)を含み、前記ピストン(12)の移動により液体注入が制御され、前記ピストン(12)の速度を制御することで液体注入速度が制御されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第2注入工程が、液体注入速度が一定であり、前記注入回路(54)の内部の圧力が測定され、かつ、前記所定切替圧力(Pp)と比較される調査期間を含み、
時間に対する注入速度又は注入した容積の主要所定曲線に従って、開始時間から、及び、前記第1注入工程と前記第2注入工程との間に液体が注入されるように、並びに、切替時間から、及び、前記第3注入工程の間に、注入速度が時間に対する注入速度又は注入した容積の最終所定曲線に従うように、液体加圧手段を駆動することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2注入工程が、液体注入速度が一定液体注入速度(Sd)に達するまで、液体注入速度が減速される減速工程を含み、第2所定容積の液体が注入されるまで前記減速工程が生じており、前記第2所定容積が、前記所定容積と前記容器容積との間に含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第3工程の最終部を延長した維持期間を含み、前記維持期間の間に前記液体注入回路で適用された圧力が設定点圧力(Ps)であり、前記所定切替圧力(Pp)が、前記設定点圧力(Ps)のある割合に相当する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記所定切替圧力が、前記設定点圧力(Ps)の50〜75%に実質的に含まれる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ピストン(12)の位置を監視することで前記第1所定容積が検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1所定容積が、前記容器容積の50〜85%に含まれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1注入工程が、増加する注入速度で加圧液体が注入される初期注入段階と、前記所定容積に達するまで、一定注入走行速度(Sc)で加圧液体が注入される一定注入段階とを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記初期注入段階の注入速度の増加が、可能である最高の液体加速度に等しい、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記液体注入回路(54)における圧力が、前記液体注入回路(54)に設置された圧力センサにより監視される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
成形キャビティ(52)と、加圧液体源と、前記加圧液体源に流体連通した注入ノズル(6)とを含み、前記注入ノズル(6)が前記成形キャビティ(52)中でプレフォーム(8)と流体連通して設置されるように配置されており、前記注入ノズル(6)が、前記加圧液体源及び前記プレフォーム(8)と共に液体注入回路(54)を画定しており、前記加圧液体源から前記プレフォーム(8)中に注入される液体の容積を測定するための容積測定手段と、前記液体注入回路(54)における圧力を測定するための圧力測定手段とを含み、前記加圧液体源が、サーボモータによりピストン体(14)内で可動なピストン(12)を含む加圧装置(4)を含み、前記容積測定手段が前記ピストンの位置のセンサを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法を実施するための注入装置。
【請求項12】
前記加圧液体源を駆動するための駆動手段をさらに含み、前記駆動手段が、前記圧力測定手段に接続されており、かつ、時間に対する注入速度の主要曲線及び時間に対する注入速度の最終曲線を含むソフトウェアメモリに接続されており、前記駆動手段が、測定された注入した容積及び/又は測定された注入速度の戻り信号に基づいた閉ループ型のものである、請求項11に記載の注入装置。
【請求項13】
前記液体注入回路(54)における圧力が、前記液体注入回路(54)に設置された圧力センサにより監視されている、請求項11又は12に記載の注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレフォーム中に加圧液体を注入することで、容器を同時に形成及び充填するための方法に関する。
【0002】
本発明はまた、そのような方法に従って、プレフォーム中に加圧液体を注入することで、容器を同時に形成及び充填するための注入装置に関する。
【0003】
本発明は、非圧縮性液体を使用してプレフォームを膨張させて、プレフォームから容器を形成する、ハイドロフォーミングとして知られている分野に関する。
【0004】
本出願において、「液体」は物理的意味を有する。それは、非圧縮性かつ流動可能な任意の媒体を示す。液体は、低粘度(例えば、水又はアルコール)、中粘度(例えば、食用油又はスープ)、又は高粘度(例えば、液体洗剤、せっけん、シャンプー、ケチャップ、マスタード)を有することができる。液体は、均一であることができるか又は均一でないことができ(例えば、果肉又は食材の破片)、それはニュートン性であるか又は非ニュートン性であることができる。それは食材に限定されない。非圧縮性液体は、例えば、水又は他の飲料、食材、例えば、ケチャップ、マヨネーズ、食用油、ヨーグルト、家又は個人のケア用品、医薬流体、燃料、油圧オイル、作動流体などであることができる。
【背景技術】
【0005】
ハイドロフォーミングの分野において、注入装置を使用して、成形キャビティの壁に対してプレフォームの壁を押しやるのに適した圧力で、プラスチック材料で作られた加熱プレフォーム中に非圧縮性液体を注入することで、プレフォームが変形され、成形キャビティ及び製造されるべき容器の形状を得ることが知られている。
【0006】
しかしながら、この圧力レベルは、プレフォームを完全に容器の形状にするには十分でないことも知られており、これは、プレフォームに適用される圧力により、プレフォームが完全に成形キャビティの形状でない形状が得られること、及び、成形キャビティの壁にプレフォームの壁を完全に押しやるのには追加の変形が必要とされることを意味する。これは、特に、エンボス加工された文字又はロゴを容器の壁の外面上に再現しなければならない場合、又は壁が隆起部を有する場合である。局所的に極めて小さい曲率半径を有する形状を得るのは非常に困難である。
【0007】
この目的を達成するために、第1圧力で液体を注入した後、第1圧力より高い第2圧力をプレフォームに短時間の間に適用し、プレフォームの内部で圧力ピークをもたらし、その圧力ピークは、プレフォームの容器への成形を仕上げるように設定される。
【0008】
圧力ピークを適用するための1つの方法は、液体を固体キャビティ中に注入することで得られる液体ハンマー作用(hydraulic hammer effect)を使用することである。実際に、注入の最後では、ほとんど成形された容器は比較的硬く、そして、液体注入を止めた際に液体ハンマー作用を得ることができる。
【0009】
しかしながら、液体ハンマー作用により達した圧力は、ほとんど制御されず、容器を完全に膨張させるには不十分であることがあり、又は高すぎることがある。後者の場合、極めて重要な機械的努力(mechanical efforts)が注入装置に適用され、それにより、損傷するか又は注入装置の早期の摩耗が引き起こされる場合がある。代替的には、コスト効率的でない液体ハンマー作用のため、注入装置が機械的努力に耐えるように適合されなければならない。
【0010】
さらに、圧力ピークが制御されない場合、容器の形状が容器ごとによって変わる場合があり、これは、完全に再現可能なプロセスのニーズと相反する。
【0011】
また、本発明者らは、注入装置が可動ピストンを有する場合、ピストンのコース、すなわちピストンが移動する距離の制御は、再現可能なプロセスを得るための適切な制御ではないことを発見した。実際に、ピストンのコースは、個々のプレフォームから同一の容器を得るために、同一でない場合がある。この現象は、例えば、注入液体中の空気の存在により説明することができ、前記空気はピストンの移動の間に多少圧縮され、それによって、容器中で同一の圧力を得るため及び容器を完全に膨張させるためにピストンが移動しなければならない距離が変更される。
【0012】
欧州特許第2823948号明細書では、プレフォームから容器を形成するためのステーションであって、前記プレフォームを収容するのに適したプレフォームシートを含む本体と、注入アセンブリとを含み、前記注入アセンブリが、注入ノズル及び注入装置を含むステーションを開示している。注入アセンブリは、注入アセンブリ中を流れる液体の高圧に耐えることができる維持手段を含む。
【0013】
米国特許出願公開第2015/075119号明細書では、充填形成装置の内部でプレフォームから容器をブロー充填する方法であって、装置が、型と、プレフォームが型の内部に設置された場合にプレフォームの内部の圧力未満で液体を注入することができる加圧液体注入回路とを含み、方法が、
型の内部にプレフォームを設置する工程と、
型内に設置したプレフォームを延伸する工程と、
所定容積の液体を液体注入回路を通じてプレフォーム中に注入することを含む注入段階を開始する工程と、
液体注入回路を通じてプレフォーム中に液体を注入するのを停止することで注入段階を停止し、液体注入回路内に液体の過圧を作り出す工程と、
ブロー充填された容器が型から外される前に液体注入回路内の液体の過圧を解放し、加圧液体注入回路から過圧を抜くか又は排出して、この回路に接続している構成要素上で繰り返し応力を防止する工程と
を含む方法が記載されている。
【0014】
米国特許出願公開第2014/205707号明細書では、所定容積の飲料を、加熱プレフォームから形成された熱可塑性容器中に運ぶための装置であって、プレフォームが型中に位置しており、プレフォーム中の凹部に少なくとも一部の飲料を注入して、型の内部でプレフォームの膨張を促進するための注入器であって、型が容器の形状を画定している注射器と、所定期間にわたり延伸ロッドを長手方向に配置するため、及び、加熱プレフォームを長手方向に伸ばすための部材であって、延伸ロッドが所定期間の最後で不動である部材と、膨張の最後に容器の透明度を増加させるために、所定容積の所定割合より大きい飲料の容積が、所定期間の最後に凹部中に存在することを確実にするための部材とを含む装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的の1つは、液体に適用される圧力ピークを制御することができ、製造された容器の形状が、容器ごとに同一である方法を提案することで、上述の課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するために、本発明は、プレフォーム中に加圧液体を注入することで容器を同時に形成及び充填するための方法であり、前記容器がある容器容積を有し、プレフォームが容器の形状を画定した成形キャビティ中にある間に、加圧液体が、加圧液体源から液体注入回路に沿ってプレフォームに注入され、
−第1所定容積の加圧液体がプレフォーム中に注入される第1注入工程であって、前記所定容積が容器容積のある割合に相当し、プレフォームを第1中間容器に膨張させる第1注入工程を含み、
−第1所定容積の液体が注入された後、液体注入回路における所定切替圧力に達するまで、液体注入速度が低減され、加圧液体が第1中間容器中にさらに注入される第2注入工程であって、第1中間容器を第2中間容器に膨張させる第2注入工程と、
−所定切替圧力に達した後に開始する第3注入工程であって、液体注入が停止されるまで液体注入速度が減速され、第2中間容器が容器の前記形状に膨張される第3注入工程とをさらに含む、方法に関する。
【0017】
本発明者らは、膨張するプレフォームが容器の最終形状に達する少し前に、注入回路の内部の圧力が大きく増加し始めることを発見した。プレフォームの内部に注入される液体の容積がプレフォームの初期の内部容積を超えて増加する際に、プレフォームが半径方向及び軸方向に膨張する。任意選択の延伸ロッドは、プレフォームの軸延伸に寄与することができる。本発明者らは、膨張するプレフォームの壁が成形キャビティの内面に接触する際に液体圧力が増加し始めることを理解した。その事象から、注入される液体容積の漸進的な増加のために、前記漸進的な容積を受けるために膨張されなければならないプレフォームの壁の一部が減少する。言い換えると、プレフォームの壁が成形キャビティに対して押しやられるほど、プレフォームが液体注入に対抗する機械抵抗が大きくなる。プレフォームの外面全体が成形キャビティに接触して適用される場合にのみ、液体ハンマー作用の現象が発生する。回路の内部の圧力のそのような予備増加はハンマー作用自体ではなく、それは、ハンマー作用がすぐに発生しそうであることの示唆である。しかしながら、容器が加圧液体で同時に形成及び充填される場合、充填時間は通常極めて短い。特に、注入される液体がプレフォーム材料のガラス転移温度より低い場合、可能な限り早く容器を充填することを目的としており、充填時間は0.1〜0.5秒間、典型的に約0.2秒間であることができる。これが、従来技術では、周知のハンマー作用に起因した実際のピーク圧力と予備増加の圧力との間の差を実際に検出しなかった理由であり得る。
【0018】
実際に、欧州特許第2823948号、米国特許出願公開第2015/075119号及び同第2014/205707号の各明細書に開示された装置は、容器の表面全体が成形キャビティに対して押しやられる際に達した圧力を制御するのに適合しない。
【0019】
欧州特許第2823948号明細書に開示された維持手段は、高圧に達した際に注入位置において注入アセンブリを堅く維持することを可能とする。しかしながら、容器の内部の圧力が制御されていない。
【0020】
米国特許出願公開第2015/075119号明細書に記載される方法は、過圧に達して、次いで排気する工程を含む。その結果、容器の内部の圧力が制御されていない。
【0021】
米国特許出願公開第2014/205707号明細書に記載される装置は、液体で充填される前にプレフォームから容器が形成される充填装置である。そして、それは、プレフォーム中に加圧液体を注入することで容器を同時に形成及び充填することに適合していない。
【0022】
本発明者らはまた、圧力の予備増加が発生しそうになる少し前に注入速度を大きく減少することで圧力の前記予備増加を利用することが可能であることを発見した。本発明者らは、
−全速力の注入を可能とする第1注入工程と、
−圧力の予備増加が発生しそうになる時間の前に注入速度を低減する第2注入工程と、
−ハンマー作用が発生する前に、注入を停止するプロセスを開始することを可能とする第3注入工程にすぐに切替わるように、注入回路の内部の圧力が所定切替圧力に達する際に検出する工程とを組み合わせる驚くべき効果を発見した。
【0023】
注入回路の内部の圧力が所定切替圧力に達する時間は、外側の温度、注入液体中に溶解した空気、キャビティ寸法の変動、成形キャビティのサイズのような多くの因子に応じて、個々の容器で大きく変わることがある。しかしながら、本発明者らは、ハンマー作用が発生する前に注入を停止するプロセスを開始することで、容器の表面全体が成形キャビティに対して押しやられる際に達する圧力を制御することが可能となることを発見した。圧力ピークを完全に得ることと、方法の最後に形状及び容積の同一な容器を得ることとが可能となる。本発明に係る方法の別の特徴によれば、第2注入工程は、液体注入速度が一定であり、注入回路の内部の圧力が測定され、かつ、前記所定切替圧力と比較される調査期間を含み、本方法が、時間に対する注入速度又は注入した容積の主要所定曲線に従って、開始時間から、及び、第1注入工程と第2注入工程との間に液体が注入されるように、並びに、切替時間から、及び、前記第3注入工程の間に、注入速度が時間に対する注入速度又は注入した容積の最終所定曲線に従うように、液体加圧手段を駆動することを含む。
【0024】
そのような「注入速度又は注入した容積の所定曲線に従って駆動すること」は、例えば、加圧手段がピストン、回転サーボモータ、及び回転/並進変換機構を含む場合に、開ループ制御であることができる。代替的に、そのような「注入速度又は注入した容積の所定曲線に従って駆動すること」は、実際の注入速度又は注入した容積に相関する戻り信号を使用した閉ループ制御、例えばピストン位置の測定値を使用した閉ループ制御であることができる。両方の代替形態において、注入速度又は注入した容積を制御することで注入を駆動することは、注入圧力を制御することによる駆動より極めて安定及び安全である。
図4に示されるように、前記切替圧力に達する前の液体圧力はむしろ不安定であり、そして、注入速度及び延伸ロッド速度の同期のような多くの因子に依存する。本実施形態において、加圧手段は、「時間に対する注入速度又は注入した容積の曲線」の切替の前後に、速度又は容積制御(圧力制御ではない)により100%駆動される。本発明に係る方法の別の特徴によれば、第2注入工程は、液体注入速度が一定液体注入速度に達するまで液体注入速度が減少される減速工程を含み、第2所定容積の液体が注入されるまで前記減速工程が生じており、前記第2所定容積は、所定容積と容器容積との間に含まれる。
【0025】
液体が一定速度で注入される段階を有することで、第2注入工程と第3注入工程との間の移行がより容易になる。例えば、時間に対する注入速度の最終所定曲線の開始点が、液体圧力が前記所定切替圧力に達する時間において前記一定速度である。本発明に係る方法の別の特徴によれば、方法は、第3工程の最終部を延長した維持期間を含み、前記維持期間の間に液体注入回路で適用される圧力が設定点圧力であり、所定切替圧力が前記設定点圧力のある割合に相当する。
【0026】
この割合は、圧力の不安定段階の間に達する圧力より高くするため、及び、ハンマー作用が発生した場合の圧力が設定点圧力より極めて高く増加するのを防止することを可能とするのに十分早くするために、決定される。
【0027】
維持工程は、詳細部を持つ成形キャビティが提供された場合に、容器を完全に膨張させ、その成形キャビティの詳細部が容器内で正確に彫刻されるのを確実にするのに十分な時間の間、求められる圧力を適用することを可能とする。維持圧力のある割合として所定切替圧力を設定することにより、維持圧力に達する際に正確に注入を停止し、維持圧力を正確に制御することが可能となる。
【0028】
本発明に係る方法の別の特徴によれば、所定切替圧力は、設定点圧力の50〜75%に実質的に含まれる。
【0029】
設定点圧力のその割合は、注入回路の内部の圧力が前記所定切替圧力に達しなければならない液体注入速度に依存する。
【0030】
本発明に係る方法の他の特徴によれば、
−加圧液体源が、可動ピストンを含む加圧装置を含み、前記ピストンの移動により液体注入が制御され、ピストンの速度を制御することで液体注入速度が制御される;
−ピストンの位置を監視することで第1所定容積が検出される。
【0031】
容積がピストンの位置に依存するため、第3注入工程の前にピストンの位置を監視することにより、注入液体の容積を正確に制御することが可能となる。本発明に係る方法の他の特徴によれば、
−第1所定容積が、容器容積の50〜85%に含まれ、好ましくは容器容積の70〜80%に含まれ、例えば容器容積の約75%である;
−第1注入工程が、増加する注入速度で加圧液体が注入される初期注入段階と、所定容積に達するまで一定注入走行速度で加圧液体が注入される一定注入段階とを含む;
−初期注入段階の注入速度の増加が、可能である最高の液体加速度に等しい。
【0032】
そのような可能である最高の加速度は、圧力をもたらすために使用されるハードウェアの制限により、及び/又は、液体回路の内部の負荷損により決定される。本発明に係る方法の別の特徴によれば、液体注入回路における圧力が、前記液体注入回路に設置された圧力センサにより監視される。
【0033】
本発明はまた、成形キャビティと、加圧液体源と、加圧液体源に流体連通した注入ノズルとを含み、前記注入ノズルが、前記成形キャビティ中でプレフォームと流体連通して設置されるように配置されており、前記注入ノズルが、前記加圧液体源及び前記プレフォームと共に液体注入回路を画定しており、加圧液体源からプレフォーム中に注入される液体の容積を測定するための容積測定手段と、液体注入回路における圧力を測定するための圧力測定手段とを含む、上述したような方法を実施するための注入装置に関する。
【0034】
注入装置の別の特徴によれば、
−装置が、加圧液体源を駆動するための駆動手段を含み、前記駆動手段が、前記圧力測定手段に接続されており、かつ、時間に対する注入速度の主要曲線及び時間に対する注入速度の最終曲線を含むソフトウェアメモリに接続されており、前記駆動手段が、測定された注入した容積及び/又は測定された注入速度の戻り信号に基づいた閉ループ型のものである;
−加圧液体源が、サーボモータによりピストン体内で可動なピストンを含む加圧装置を含み、前記容積測定手段が、ピストン位置のセンサを含む;
−液体注入回路における圧力が、前記液体注入回路に設置された圧力センサにより監視されている。
【0035】
本発明の他の態様及び利点は、例として与えられ、かつ、添付の図面を参照してなされる以下の説明を読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明に係る方法を実施することを可能とする注入装置の断面図である。
【
図2】方法の初期工程における
図1の注入装置の断面図である。
【
図3】本発明の方法の間における
図1の注入装置の断面図である。
【
図4】一点鎖線(mixt line)で時間に対するピストンの位置を表し、破線で時間に対するピストンの速度を表し、実線で時間に対する注入回路における圧力を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明に係る方法は、ハイドロフォーミング法に適合し、適切な制御及び監視手段を有する通常な注入装置で実施することができる。
【0038】
そのような注入装置1の例が
図1に示される。注入装置1は、液体源2と、加圧装置4と、注入ノズル6とを含む。
【0039】
液体源2は、プレフォーム8中に注入されるべき液体を収容し、液体は、前記プレフォームを膨張させて容器10(
図3)の形状にする。液体は有利には最終製品であり、すなわち、最終的な消費者に運ばれるべき容器10中に留まることが意図された液体である。前に説明したように、液体は、任意の適切な性質を持つものであることができる。
【0040】
液体源2は、例えば、制御可能な圧力及び速度で注入ノズル6を通じてプレフォーム8中に液体を注入するように配置された適切な配管を通じて加圧装置4と流体連通している。
【0041】
この目的を達成するために、加圧液体4は、有利には、ピストン体14の内部で可動な可動ピストン12を含むピストン装置である。ピストン体14は、ピストン12及び円筒状壁16により画定される加圧チャンバー22中に開口する入口18及び出口20を含む円筒状壁16を含む。液体源2は、入口18を通じて加圧チャンバー22と流体連通して設置され、注入ノズル6は、出口20を通じて加圧チャンバー22と流体連通して設置される。可動ピストン12は、加圧チャンバー22の容積がピストン体14におけるピストン12の位置に応じて可変であるように、ピストン体14の内部で可動である。より具体的には、ピストン12は、ピストン12が出口20から離間しており、加圧チャンバー22の容積が最高である、
図1に示される満タン位置と、ピストン12が出口20のより近くにあり、加圧チャンバーの容積が最低である、
図3に示される注入位置との間で可動である。ピストン12は、満タン位置と注入位置との間で注入方向に従って可動であり、前記注入方向が、
図2及び3の矢印Iにより示される。ピストン12は、ピストン12を超えて液体が注入チャンバー22の外側に漏れることを防止するために、注入体14の円筒状壁16と液密接触していることに留意すべきである。
【0042】
ピストンの移動は、例えば、ピストン12に取り付けられた作動ロッド24と、注入方向、並びに、
図1の矢印Fにより示されるような、充填方向と称される注入方向と反対の方向において並進して駆動ロッド24及びピストン12を動かすように配置されたサーボモータ26とを含む、適切な作動手段により作動する。
【0043】
注入ノズル6は、入口32を出口34と流体連通して設置しているノズルチャンバー30を画定しているノズル体28を含む。入口32は、適切な配管により加圧装置4の出口20と流体連通して設置される。出口34は、
図2及び3に示されるように、液密でプレフォーム8の内部容積と流体連通して設置されるように配置される。
【0044】
注入ノズル6は、プレフォーム8を出口34の下に設置することができ、そして、容器10を出口34の下から回収することができる格納位置(
図1)と、出口34をプレフォーム8の内部容積と流体連通して設置する注入位置(
図2及び3)との間で、可動であることができることに留意すべきである。
【0045】
封止ピン36はノズルチャンバー30中に延在しており、そして、封止ピン36の封止端部38が、ノズルチャンバー30中に存在する液体が出口34を通じて流れることを防止するように液密でノズルチャンバー30の相補部40と協調する封止位置(
図1及び2)と、封止ピン36の封止端部38が、液体が出口34を通じて流れることができるように相補部40から離間している開位置(
図3)との間で、前記ノズルチャンバー30中で可動である。相補部40とは、ノズルチャンバー30の一部が封止ピン36の封止端部38の形状に相補的である形状を有することを意味する。この相補部40は、例えば、出口34に近接して延在している。封止ピン36の移動は、例えば、注入ノズル6の上側チャンバー44中に配置され、かつ、封止ピン36に取り付けられた作動ピストン42により制御される。公知の方法において、作動流体、例えば空気を使用することで、上側チャンバー44において、その封止位置と閉位置との間で封止ピン36を動かすことが可能である。
【0046】
封止ピン36は、注入軸Aに沿って封止ピン36を通じて延在する延伸ロッド46を収容するように空洞であることができる。公知のように、延伸ロッド46は、封止ピン36及び出口34を通じて並進して可動であり、後で説明するように、プレフォーム8の軸膨張を補助する。延伸ロッド46の移動は、適切な作動手段(図示せず)、例えば、サーボモータ又は磁気手段又は他の手段により制御される。
【0047】
注入装置1は、注入装置の作動手段を制御するように、並びに、可動ピストン12、封止ピン36及び延伸ロッド46の移動を制御及び同期するように配置された制御ユニット48をさらに含む。
【0048】
注入装置1は、本発明の方法と連動する、後で説明されるセンサ手段をさらに含む。
【0049】
上で説明した注入装置1は、製造されるべき容器10の形状に相補的な形状を有する成形キャビティ52を画定する型50と共に使用することができる。それ自体が公知であるように、型50は、プレフォーム8を収容するように配置され、前記プレフォーム8の内部容積は、出口34と流体連通して設置されるようにアクセス可能なままである。
【0050】
プレフォーム8中に加圧液体を注入することで容器10を同時に形成及び充填するための方法を、
図4をより具体的に参照して以下で説明する。方法は、上で説明したように、注入装置1において実施され、加圧液体源を形成する加圧チャンバー22を含む空間、加圧チャンバー22の出口20と、ノズルチャンバー30の入口32、ノズルチャンバー30、出口34及びプレフォーム8の内部容積との配管接続は、液体注入回路54として参照される。
【0051】
まず、
図1に示されるように、加熱プレフォーム8が型50の成形キャビティ52中に設置される。加熱とは、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)で作られたプレフォーム8が、それが成形キャビティ52中で可鍛状態にあるように、ガラス転移温度より高い温度に加熱されることを意味する。
【0052】
次に、
図2に示されるように、注入ノズル6は、出口34がプレフォーム8の内部容積と流体連通して設置されるように注入位置において設置される。
【0053】
このステージにおいて、封止ピン36は封止位置にあり、そして、液体が出口34を通じて流れることを防止する。この位置において、液体注入回路54は、液体源2から生じ、かつ、可動ピストン12により加圧される液体で満たされる。それを行うために、可動ピストン12は、注入位置から充填方向Fにおいて動かされ、液体が液体源から液体注入回路54中に引き込まれ、次いで、封止ピン36が封止位置にある間に可動ピストン12を注入方向Iに動かし液体を加圧する。例えば、液体源2と加圧チャンバー22との間の配管に設置された逆止め弁は、液体がこの操作中に液体源2に戻ることを防止する。加圧とは、液体が大気圧超の圧力にされることを意味する。例えば、封止ピン36が開く直前に、圧力は1〜2barであることができる。
【0054】
次いで、
図3に示されるように、封止ピン36を注入位置に動かすことで、及び、可動ピストン12を注入方向Iに動かすことで、液体をプレフォーム8に注入し、それにより、プレフォーム8が膨張され、
図3の容器10において矢印により示されるように、プレフォーム8の壁を成形キャビティ52の壁に向けて押しやる。
【0055】
それ自体は公知であるように、この液体注入の前及び/又は間に、延伸ロッド46は、プレフォーム8の底部に接触させるように動かすことができ、及び/又は、前記底部に延伸力を付与し、プレフォームを注入軸Aに沿って膨張するように動かすことができる。
【0056】
液体注入は幾つかの工程を含み、それらを以下で説明する。
【0057】
図4において、ピストン12の位置は1点鎖線で示され、ピストン12の速度は破線で示され、「S」鉛直軸で示され、注入回路54(
図1において確認できる)の内部の液体の圧力は実線で示され、「P」鉛直軸で示される。
【0058】
注入の開始時、すなわち、封止ピン36を注入位置に動かす際に、容器容積とも呼ばれる製造されるべき最終容器10の容積のある割合に相当する容積を有する第1中間容器までプレフォーム8を膨張させる第1注入工程が開始される。言い換えると、第1中間容器は、完全に膨張されていない容器である。この第1中間容器を形成するために、注入方向に注入ピストン12を動かすことで、第1所定容積の液体がプレフォーム8中に注入される。前記の注入の開始は、
図4の矢印t
1により表される。
【0059】
第1所定容積の液体は、容器容積のある割合に等しく、例えば、容器容積の40〜90%、好ましくは容器容積の50〜75%に含まれる。ある実施形態によれば、所定容積は、容器容積の75%である。別の実施形態によれば、所定容積は容器容積の50%である。
【0060】
ピストン体14において可動ピストン12の位置を制御することで、注入容積を制御することができる。実際に、封止ピン36が注入位置にある間に、ピストン12がピストン体14において注入方向Iに動かされる距離は、プレフォーム8に注入される液体の量に対応する。その結果、ピストン12の位置を制御することで、プレフォーム8中に注入される加圧液体の容積を正確に制御することが可能となる。その結果、注入装置は、ピストン体14においてピストンの位置を監視及び制御するための手段を含む。そのような手段は、例えば、ピストン12を駆動するサーボモータ26及び制御ユニット48に連結される。
【0061】
これらの手段は、後で説明されるように、プレフォーム8中に注入される所定容積の加圧液体に対応するピストン12の所定位置に達する際に、ピストン21の挙動が変化する第2注入工程が開始される。
【0062】
プレフォーム8中に注入される所定容積の加圧液体に対応するピストン12の所定位置は、
図4の矢印t
2により表される。時間t
1及び時間t
2の間に、ピストンの位置の値は、時間t
1の前にピストンの初期値に対して増加することを理解することができる。初期値は、
図1に示されるように満タン位置におけるピストン12の位置に対応し、そして、ピストン12が注入位置に向けて動くにつれ、すなわち、ピストン12がピストン体14の出口20により近づくにつれ、位置の値が増加する。これは、時間t
1及び時間t
2の間に、満タン位置から、満タン位置と注入位置との間の中間位置までピストン12が動くこと、所定容積の加圧液体がプレフォーム8中に注入された場合に前記中間位置に達することを意味する。
【0063】
方法はまた、サーボモータ26及び制御ユニットにも連結された適切な手段によりピストン体においてピストン12の変位速度を監視及び制御することを含む。ピストンの速度は
図4において破線で示される。
【0064】
図4において理解することができるように、第1注入工程の間、すなわち、時間t
1と時間t
2の間の時間t
1’で、ピストン12の速度がまず急速に増加し、次いで、時間t
1’と、ピストン12の中間位置に達した時間t
2との間で、その速度は一定である。
【0065】
ピストン12の速度の増加は、ピストン12の移動が加速され急激に走行速度Scに達する初期注入段階に対応する。加速は、本発明の注入装置1を用いて可能である最も重要であるように設定される。これは、初期注入段階の注入速度の増加が注入回路で可能な最高の液体加速度に等しいことを意味し、注入液体の流速の増加が、ピストン12のアクチュエータによりもたらすことができる最大の増加であることを意味する。例えば、アクチュエータが電気モータ又はサーボモータである場合、最大値は、安全性がなくなる直前の最大電流により決定される。言い換えると、初期段階の目的は、ピストン12が第1注入工程のほとんどを走行速度Scで動くように、できる限り速く走行速度Scに達することである。加速度は、例えば、この操作のために消費することができるエネルギーに応じて、約1G又は2Gである。
【0066】
走行速度Scと等しい一定速度でピストン12を動かすことで、延伸ロッドの移動及び/又は注入装置の他の部分とのピストン12の移動の同期を良好に制御することが可能となる。さらに、一定速度での移動は、ピストン12の中間位置の検出、すなわち、時間t
2の決定を容易にする。
【0067】
液体注入回路54の内部の所定切替圧力Ppが、後で説明されるように第3注入工程が開始される時間t
3に検出することができるように、時間t
2において、液体注入回路54の内部の圧力が監視される第2注入工程が開始される。
【0068】
検出されるべき所定切替圧力Ppは、方法の最後に容器に適用されなければならなく、容器の10に成形キャビティの形状を完全にかつ正確に印加するように配置されなければならない設定点圧力Psのある割合に等しい。そのような設定点圧力Psは、特に、隆起部又はリブのような局所的な詳細部を容器に刻み込まなければならない場合に、完全に形成された容器を得ることを可能とする。設定点圧力Psは、液体注入回路54の内部の圧力が実線で示される
図4で理解することができるように、容器に適用されなければならなく、かつ、第1注入工程の間及び第2注入工程の開始時にプレフォームに適用される圧力より高い圧力ピークに実質的に一致する。例として、第1注入工程の間及び第1工程の開始時に適用される圧力は、約1〜2barであり、設定点圧力Psは約40barであることができる。
【0069】
前で説明されたように、所定切替圧力Ppは前記設定点Psのある割合であり、それは、第2注入工程の間のピストン12の速度に応じて選択され、以下で説明されるように、第2注入工程において、所定切替圧力Ppが検出されなければならない。
【0070】
第2注入工程の間に、ピストン12の速度が走行速度Scより遅い検出速度Sdに達するまで、ピストン12の速度が減少される。この目的を達成するために、第2注入工程は、ピストン12が時間t
2’で検出速度Sdに達するまでピストン12を減速して、次いで、時間t
3に所定切替圧力Ppに達するまで、検出速度Sdに等しい一定速度でピストン12の速度を維持する工程とを含む。
【0071】
減速はまた、検出速度Sdに可能な限り早く達するように、注入装置を用いて、ピストンが受けることができる最高の減速である。実際に、検出速度は、液体注入回路54の内部の圧力が急激に増加し始める際、すなわち、容器の内部に注入される液体の容積が到達しなければならない容器容積に近い際に、達しなければならない。実際に、第2注入工程の間、第1中間容器は、第1中間容器の容積より大きく、容器容積に近い容積を有する第2中間容器にさらに膨張される。第2中間容器の容積に達する前に、容器の膨張は低減され、液体が容器中にさらに注入されるにつれ、液体注入回路54の内部で圧力が急激に上昇する。
【0072】
本発明の目的は、後で説明されるように、所定圧力に達した際に、ピストンの挙動を変更するために所定切替圧力Ppを検出することである。しかしながら、所定切替圧力は、
図4に示されるようにこの急速な圧力上昇中に位置しており、それにより検出するのが困難になる。この所定切替圧力Ppを検出することができる1つの方法は、圧力上昇があまり急勾配でないように第2注入工程の間にピストン12の速度を低減することである。実際に、ピストンの速度が走行速度Scで維持される場合、圧力上昇は極めて急勾配であり、すなわち、
図4のグラフでほとんど鉛直であり、そして、所定切替圧力の検出が可能でなくなり、一方、走行速度Scより遅く、一度それに達したら一定である検出速度Sdでピストン12が動く場合、所定切替圧力が検出可能である。所定切替圧力は、液体注入回路54に設置された圧力センサにより、又は、可動ピストンを駆動するモータ、例えばサーボモータ26の電流信号を監視することで、検出することができる。
【0073】
中間容器が容器容積の90〜95%に実質的に含まれる容積を有する際に、液体注入回路の内部の圧力の増加が開始される。その結果、第2注入工程の開始時でのピストン12の減速は、中間容器に注入される液体の容積が容器容積の90〜95%の実質的に含まれる際、例えば、前記容積が容器容積の94%に等しい際に、検出速度Sdに達するように配置される。
【0074】
次いで、所定切替圧力が、第3注入工程が開始する時間t
3で検出されるまで、ピストン12は検出速度Sdに等しい一定速度で動く。
【0075】
検出速度Sdが実質的に100mm/秒に等しい場合、所定切替圧力Ppが設定点圧力Psの50%に等しいように設定される。検出速度が実質的に50mm/秒に等しい場合、所定切替圧力Ppが設定点圧力Psの75%に等しいように設定される。これは、所定切替圧力Ppに達した後、この第3注入工程の間に発生する圧力ピークを得るための第3注入工程の間に、注入装置がピストンの速度を急激にさらに低減することができなければならないためである。
【0076】
上述したように、時間t
3において、第3注入工程が開始され、ピストンの速度が0に等しくなり、ピストンが注入位置において動かなくなるまで、すなわち、ピストンが
図3に示される注入位置に達するまで、ピストンの速度はさらに低減される。この位置において、液体注入が停止されており、これは、容器10に液体がさらに入らないことを意味する。
【0077】
次いで、圧力が設定点圧力Psを超える液体ハンマー作用が発生する。しかしながら、本発明の方法のおかげで、このハンマー作用はあまり重大でなく、注入装置の特別な大型化の必要なく、注入装置により耐えることができる。次いで、液体ハンマーの後、圧力は設定点圧力Psに落ち着き、そこで、容器が成形キャビティ52の壁に対して完全に適用され、容器の形状が正確に画定される。結果として、第3工程の最後に、第2中間容器は最終容器に膨張される。
【0078】
したがって、本発明の本質は、従来なされていたようにピストン位置を監視するのではなく、容器の膨張の最後に液体注入回路54の内部の液体の圧力を監視することで、設定点圧力Psの適用を制御することである。そうすることで、設定点圧力Psが容器に適用され、これは、例えば液体注入回路54中で圧縮され、かつ、容器ごとに変わる場合がある空気量に応じて、設定点圧力に達した際にピストンの位置を容器ごとに変える場合があるため、ピストンの位置を監視する場合にはあてはまらないことが確かめられた。
【0079】
その結果、本発明の方法は、同一の設定点圧力Ppを注入装置により製造された全ての容器に適用することが可能となる。したがって、本方法により製造される容器は均一であり、本方法は完全に再現可能である。
【0080】
ある実施形態において、本発明の方法は、第3注入工程の後の維持工程をさらに含み、前記維持工程は時間t
4に開始する。この維持工程の間、ピストンは、時間t
5で終了する所定量の時間の間、設定点圧力が液体注入回路54及び容器において維持される。この維持工程は、容器を完全に膨張させるのに十分な時間の間、求められる圧力を提供することを可能とし、詳細部を持つ成形キャビティが提供される場合、成形キャビティの詳細部が容器中に正確に刻み込まれる。
【0081】
維持工程が終わった後、封止ピン36は封止位置に戻るように動かされ、形成された容器を型50から回収することができる。
【0082】
次いで、方法を、次のプレフォーム8に適用することができる。
【0083】
本発明の方法を、液体を加圧して注入するためのピストンの使用であって、ピストンの速度が液体注入の速度を制御することを可能としているピストンの使用と連動して説明してきた。しかしながら、加圧液体源はまた、ポンプにより形成することができる。この場合において、液体注入速度及び注入した液体容積は、ポンプを制御することで制御される。方法は同一のままであるが、容器に適用される圧力ピークを得るために容器をほぼ完全に膨張した後、容積の制御が圧力の制御に置き換えられる。