(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送信制御部は、前記特定の受信者の携帯する端末が、あらかじめ定めた位置情報に位置すると判断したことを条件に、前記電子メールを送信させることを特徴とする請求項1に記載のメール送信制御装置。
前記送信制御部は、前記電子メールの件名又は本文の所定の位置に、あらかじめ定めた情報を付加することを条件に、前記電子メールを送信させることを特徴とする請求項1に記載のメール送信制御装置。
前記送信制御部は、前記特定の受信者の端末からのメール送信要求を受信したことを条件に、前記電子メールを送信させることを特徴とする請求項1に記載のメール送信制御装置。
前記送信制御部は、請求項2から5までのいずれか1つに記載の条件が2つ以上合致すると判断したことを条件に、前記電子メールを送信させることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載のメール送信制御装置。
前記受信制御手段は、受信メール格納手段に格納されたメールの送信元が所定の送信者又は所定のドメインであること条件に、前記メールを前記受信者が開封可能な所定の受信メールボックスに移動することを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献に記載の迷惑メール防止方法は、それぞれ有用な技術である。しかし、近年、迷惑メールはますます巧妙化しており、特に、金融機関、公共機関等になりすました詐欺メールは重大な被害をもらたすことがある。また、よく利用する店舗や事業者や家族や友人等になりすました迷惑メールも考えられる。そのため、上記のような、なりすましが起こりやすい送信元からのメールに対して、ユーザが安心して電子メールを開封することができる仕組みが求められている。
【0007】
したがって、本発明では、上記を考慮し、特定の送信元からの電子メールを安心して開封することができる電子メールの新たな送受信制御の仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
(1)電子メールの送信者と受信者との間で、前記受信者ごとに送信条件を1つ以上定めて設定する送信条件設定手段と、前記送信条件を設定した特定の受信者のメールアドレスを格納する特定メールアドレス格納部と、前記設定した送信条件を前記特定の受信者のメールアドレスごとに格納する送信条件格納部と、前記送信条件格納部に格納された送信条件に合致すると判断したときに前記特定の受信者あての電子メールの送信の制御を行う送信制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
(2)上記(1)に記載の構成において、前記送信制御部は、現在時刻が、あらかじめ定めた時刻になったことを条件に、前記電子メールを送信させることを特徴とする。
【0011】
(3)上記(1)に記載の構成において、前記送信制御部は、前記特定の受信者の携帯する端末が、あらかじめ定めた位置情報に位置すると判断したことを条件に、前記電子メールを送信させることを特徴とする。
【0012】
(4)上記(1)に記載の構成において、前記送信制御部は、前記電子メールの件名又は本文の所定の位置に、あらかじめ定めた情報を付加することを条件に、前記電子メールを送信させることを特徴とする。
【0013】
(5)上記(1)に記載の構成において、前記送信制御部は、前記特定の受信者の端末からのメール送信要求を受信したことを条件に、前記電子メールを送信させることを特徴とする。
【0014】
(6)前記送信制御部は、上記(2)から(5)までのいずれか1つに記載の条件が2つ以上合致すると判断したことを条件に、前記電子メールを送信させることを特徴とする。
【0015】
(7)電子メールの送信を制御するプログラムであって、電子メールの送信者と受信者との間で、前記受信者ごとに送信条件を1つ以上定めて設定する送信条件設定手段、前記送信条件を設定した特定の受信者のメールアドレスを格納する特定メールアドレス格納手段、前記設定した送信条件を前記特定の受信者のメールアドレスごとに格納する送信条件格納手段、前記送信条件格納手段に格納された送信条件に合致すると判断したときに前記特定の受信者あての電子メールの送信の制御を行う送信制御手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【0016】
(8)電子メールの受信を制御するプログラムであって、コンピュータを、電子メールの送信者と受信者との間で、前記送信者ごとに受信条件を1つ以上定めて設定する受信条件設定手段、受信したメールを格納する受信メール格納手段、前記設定した受信条件を前記送信者のメールアドレスごとに格納する受信条件格納手段、前記受信メール格納手段に格納されたメールが、前記受信条件格納手段に格納された受信条件に合致すると判断したときに、前記送信者から受信した電子メールを所定の受信メールボックスに仕分ける制御を行う受信制御手段、として機能させることを特徴とするプログラム。
【0017】
(9)上記(8)の構成において、前記受信制御手段は、受信メール格納手段に格納されたメールの送信元が所定の送信者又は所定のドメインであること条件に、前記メールを前記受信者が開封可能な所定の受信メールボックスに移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、特定の送信元からの電子メールを安心して開封することができる電子メールの新たな送受信制御の仕組みを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号又は符号を付している。また、機能構成の図において、機能ブロック間の矢印は、データの流れ方向、又は処理の流れ方向を表す。
【0021】
(概要)
本発明に係る電子メールシステムでは、電子メール(以下単にメールと呼ぶ)の受信者と送信者の間でのみ有効な送信条件又は受信条件(以下、両者を合わせて送受信条件とも呼ぶ)を、特定の相手ごとにあらかじめ定めておき、その送受信条件に合致したメールのみを送信又は受信する。ここで受信者であるユーザにとって、特定の相手とは、銀行、カード会社、ローン会社などの金融機関、役所、警察、病院、学校、保養施設などの公共機関、ユーザがよく利用する店舗(ネット店舗含む)、携帯電話事業者などである。また、家族や友人などの個人であってもよい。いずれも詐欺犯がなりすまして金品を騙し取ろうとするような相手先である。実際に、受信者と送信者間で設定する送受信条件としては、具体的には以下のようなものが考えられるが、これらに限定するものではない。
【0022】
(1)時間条件
特定の時刻又は時間帯のみにメールを送信又は受信するとした条件である。ここで、特定の時刻又は時間帯とは、例えば、毎日メールを定期的にチェックする時間帯、通勤電車やバスに乗っている時間帯、就寝前のゆっくりとメールをチェックできる時間帯などである。
【0023】
(2)場所条件
特定の場所(例えば、ユーザの自宅、勤務先の会社、通勤途中の駅など)でのみメールを受信するとした条件である。
【0024】
(3)キーワード条件
特定のキーワードをメールの件名などに付加して送信するとした条件である。特定のキーワードとは、受信者と送信者の間で取り決めたキーワードである。ここで、キーワードは、常に同じものでなく、状況によって変化するものが望ましい。例えば、送信元が銀行であれば、ユーザが最後に記帳した日時などであってもよいし、送信元がカード会社であれば、ユーザが最後にカードで購入した商品の名称(略称)などであってもよい。このような送信元にしか分からないキーワードを付加されたメールは、正規の機関から送信されたものと判断できるので安心して開封することができる。
【0025】
(4)送信要求条件
ユーザがユーザの端末上で所定の操作をして、送信元に送信要求を送ったときにのみ送信元がメールを送信するとした条件である。所定の操作とは、送信元にユーザ宛てのメールの送信を促すための操作であり、例えば、スマホアプリ上に設けられた「受取ボタン」を押すことなどである。
【0026】
(5)その他条件
その他、メールを送るときに事前にユーザに連絡する。送信すべきメールの有無にかかわらず定期的に送信する(送信すべきメールがないときは、その旨のメールを送信する)。次回の送信条件を予告する、などの条件である。
【0027】
送受信条件は1つ以上であればよいか、2つ以上のものを組み合わせることが望ましい。たまたま他のメールの送受信が、あらかじめ定めた送受信条件に合致することがあるからである。このように特定の相手とあらかじめ定めた条件に合致したメールのみを送信又は受信することで、ユーザ(受信者)は、自分宛のメールを安心して開封することができる。
【0028】
図1は、本発明に係る電子メールシステム(以下、本システムと呼ぶ)の基本概念を示す図である。本システムは、主として、メール送信制御装置10とメール受信制御装置20とがネットワーク50を介して接続される。メール送信制御装置10とメール受信制御装置20は、図示するような構成だけに限定されるものではない。すなわち、また、メール送信制御装置10及びメール受信制御装置20は、単独の装置とは限らず、メールサーバやメーラなどを含む概念である。なお、メーラとは、コンピュータ上で電子メールの管理や送受信を行えるソフトウェアである。
【0029】
送受信条件に合致しているか否か判断は、送信側のメーラ(メール送信制御装置10)で判断できるもの、受信側のメーラ(メール受信制御装置20)で判断できるものがあるが、前者を第1の実施形態とし、後者を第2の実施形態として以下説明する。なお、送受信条件には、送信側、受信側のどちらでも判断できるものがあるが、この場合は、どちらの実施形態でも実現できる。
【0030】
図1に示すメール送信制御装置10は、送信条件設定手段11、送信条件格納部12、送信メール格納部13、送信制御部14、特定メール送信部15を備えている。各部の機能を簡単に説明すると、
図1の送信者100(以下、符号を省略して単に送信者とする)が送信しようとするメールは、メール送信制御装置10の送信メール格納部13(送信メールキュー又は送信メール格納手段とも呼ぶ)に、いったん受信者ごとに時系列で格納され、送信制御部14(送信制御手段)が、送信条件格納部12(送信条件格納手段)から、あらかじめ設定された送信条件を抽出し、送信しようとするメールが送信条件に合致しているか否かを判断し、合致していれば、特定メール送信部15(特定メール送信手段)がメールを送信するようにしている。
【0031】
送信条件設定手段11は、送信者と、
図2の受信者200(以下、符号を省略して単に受信者とする)の間で取り決める送信条件を定義する手段を提供する。ここで定義された送信条件は、送信条件格納部12に格納される。
図1では、説明を簡単にするため、送信条件設定手段11は、メール送信制御装置10に備えるようにしたが、別のアプリケーションで提供してもよい。受信者はこのアプリケーション上で、設定したい送信条件を送信者に送り、送信者は、その送信条件が実現可能であることを確認し、必要ならば他の同等な条件を提案し、提案された送信条件は両者が承認後、送信条件格納部12に格納される。なお、格納された送信条件は、同様の手順で変更可能であるのは言うまでもない。この格納された送信条件の具体例は後述の
図3で説明する。
【0032】
メール受信制御装置20も基本的な構成は送信側と同様で、受信条件を設定するための受信条件設定手段21が設けられる。受信条件と送信条件は通常表裏一体のものであるが、送信条件でしか定義できないものや受信条件でしか定義できないものもある。なお、受信条件設定手段21も送信条件設定手段11と同様に、別アプリケーションで提供してもよい。
【0033】
メール受信制御装置20が受信したメールは、いったん受信メール格納部23(受信メールキュー又は受信メール格納手段とも呼ぶ)に一時的に格納され、受信制御部24(受信制御手段)が、受信条件格納部22(受信条件格納手段)から、ユーザごとにあらかじめ設定された受信条件を抽出し、受信したメールが受信条件に合致しているか否かの判断を行う。この判断の結果、受信条件に合致していれば、ユーザが閲覧可能なように、
表示メール格納部25の所定の受信メールボックスに移動する(これをメール表示制御手段と呼ぶ)。送信側で送信条件に合致したものは、受信制御部24は、受信条件の判定をせずに、無条件で表示メール格納部25に移動するようにしてもよい。ただし、送信側の特定メール送信部15を経由していない場合は、一般メールとして、受信メール格納部23にいったん格納される。
【0034】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態のメール送信制御装置10の機能ブロックを示す図である。先に述べたように、送受信条件に合致しているか否かの判断は、送信側で判断できるものと受信側で判断できるものがあるが、第1の実施形態では送信側で判断できる送信条件のメールを制御する。
【0035】
図2で示すように、メール送信制御装置10は、
図1で説明したものをより詳しく記載したものである。以下、
図1には記載しなかった機能部についてのみ説明する。
【0036】
特定メールアドレス格納部16は、送信者と送信条件の設定を完了した特定の受信者のメールアドレスを格納したものである。ここに格納されるのは、受信者個人のメールアドレスの他、会社が専用ドメインを有している場合は、そのドメイン名を追加してもよい。また、受信者の家族などのメールアドレスを追加してもよい。ドメインを登録することで、同じドメインに属する受信者と共通の送信条件を共有することができる。もちろん、ドメインを登録していても個人のメールアドレスを登録することで、ドメイン共通の送信条件に各個人の送信条件を加えることができる。例えば、会社のドメインの送信条件には、受信者が会社にいるときのみメールを送信するように設定し、個人の送信条件には、9時、10時、11時、13時のように、昼休みの時間帯などを除いて、会社にいる時間中は1時間ごとに送信するように設定してもよい。なお、受信者が会社にいるかどうかは、受信者が携帯する社員証などのICカードが会社の入退出ゲートを通過したかどうかで判断できる。また、家族などのメールアドレスを追加するのは、後述するように、送信条件に合致せず開封してよいか迷うメールを受信したときに家族にも転送するためである。
【0037】
ユーザ携帯端末30は、メール受信機能を備えたユーザ(受信者)の携帯端末である。ユーザ携帯端末30が備えるGPS等の位置情報取得手段31により、ユーザの位置情報を取得することができる。したがって、ユーザが特定の場所にいる場合にのみメールを送信するように送信条件(場所条件)を設定することができる。その場合は、ユーザがその場所にいることをユーザ携帯端末30が検知し、設定した場所にいることをメール送信制御装置10に送り、メールを送信させるようにしてもよい。
【0038】
特定メール受信手段32は、送信側で送信条件に合致したと判断されたメールのみを受信する。そのため、特定メール受信手段32は、送信条件に合致しているかを再度確認する必要はない。
【0039】
送信要求送信手段33は、ユーザ携帯端末30から所定の操作をすることでメール送信装置10に対して、受信制御装置に関連付けられたメールアドレス宛に送信すべきメールがあれば送信するように促す機能を有する。すなわち、送信要求送信手段33は、前述した「送信要求条件」を実行するための手段である。メール送信要求を受信したメール送信制御装置は、既に作成済みのメールを送信するに限らず、新たに連絡すべき事柄がないか確認の上、新たに連絡すべき事柄がある場合はメールを新たに生成して送信してもよい。
【0040】
図3は、本発明の第1の実施形態の送信条件格納部12に格納される送信条件の例を示す図である。ここでは、分りやすいように送信条件を文章で表現しているが、実際に格納される送信条件は、条件を構成する要素を表す記号、数式を組み合わせた論理式である。
【0041】
図3の例では、ユーザAには、送信条件1として「毎日9:00に送信」だけが設定されている。また、ユーザBには、送信条件1として、「ユーザの携帯端末の位置情報が通勤経路上の○駅から△駅の間であるときに送信」が設定され、更に送信条件2には、「8:00−8:40の間に送信」が設定されている。ここで送信条件1と送信条件2はAND条件となっている。また、ユーザCには、送信条件1として「件名に、クレジットカードαで購入した最新の商品名を付加して送信」が設定され、更に送信条件2には、「CC欄に、ユーザの指定した別のメールアドレスを加えて送信」がAND条件となっている。このようにすることで、同内容のメールを2通、ユーザCの別々のメールアドレスに送ることで正規の機関からのメールであることがより確実に判断しやすくなる。また、ユーザDには、送信条件1として、「ユーザ端末からのメール送信要求を受信したときに送信」が設定され、送信条件2には、「ユーザの携帯端末の位置情報が自宅であるときに送信」が、更に送信条件3には、「20:00−22:00に送信」がAND条件で設定されている。もちろん、「AND」演算子以外にも、「OR」や「NOT」などの演算子も使用可能である。このようにすることで、送信条件を様々に論理的に組み合わせることができる。メール送信制御装置10は、ユーザの携帯端末の位置情報を継続して取得するようにしてもよい。また、ユーザの携帯端末からメール送信要求を受信したか否かを継続して取得するようにしてもよい。
また、ユーザのクレジットカードの使用履歴を、クレジットカード会社サーバから継続して取得するようにしてもよい。
【0042】
図4は、本発明の第1の実施形態におけるメール送信制御装置の制御フローを示す図である。なお、この処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。以下、各ステップを逐次説明する。
【0043】
ステップS10:送信メールキュー(送信メール格納部13)に、メールがあるか否かをチェックし、メールがキューにあればステップS11に進むが、メールがキューになければメールが新たに格納されるのを待つ。
【0044】
ステップS11:メールの宛先のメールアドレスが、特定メールアドレス格納部16に登録されている特定メールアドレスか否かをチェックする。特定メールアドレスであれば、ステップS12に進むが、そうでなければステップS15に移る。
【0045】
ステップS12:送信条件格納部12を読み出し、当該メールが送信条件に合致しているか否かをチェックし、合致していればステップS13に進むが、合致していない場合は、ステップS16に移る。送信条件がキーワード条件である場合は、可能ならこの時点でキーワードをメールの所定の位置に付加して送信条件に合致するようにしてもよい。
【0046】
ステップS13:条件に合致したメール(「安心メール」と呼ぶことにする)として宛先に送信する。
【0047】
ステップS14:送信が正常に完了すれば、送信メールキューから当該メールを削除して、ステップS10に戻る。
【0048】
ステップS15:ステップS11で宛先が特定メールアドレスでないと判断された場合、又はステップS16で待機可能なメールではないと判断された場合、通常のメールとして送信する。ただし、後者の場合は安心メールではない(これを「非安心メール」と呼ぶことにする)という情報が付加される。なお、非安心メールの場合は、メール全体を宛先に直ちには送信せず、そのリストだけを送るようにしてもよい。このようにすることで、ユーザが不用意に非安心メールを開封してしまうことを防げる。
【0049】
ステップS16:ステップS12で送信条件に合致していないと判断された場合は、更に送信条件が待機可能な条件(待機することで自然に満たされる条件)か否かを判断する。待機可能な条件とは、現在時刻が送信条件で設定された送信時刻ではないが、設定された時刻まで待機することで送信条件に自動的に合致するものを言う。
【0050】
ステップS17:ステップS16で待機可能な条件であると判断された場合は、そのメールを所定時間(例えば、10分〜1時間程度)待機状態にする。そして所定時間経過後、ステップS12に戻る。このようにすることで、送信条件で設定された時刻前に送信キューに格納されたメールであっても、設定時刻になった時点で安心メールとして送信できる。
【0051】
図5は、本発明の第1の実施形態における送信メールの仕分け後の状態の例を示す図である。ここでいう仕分けとは、安心メール(送信条件に合致したメール)と非安心メール(送信条件に合致しなかったメール)を区別することをいう。
【0052】
この例の送信条件では、送信条件1に、「毎日9:00又は21:00に送信」することが設定され、送信条件2に、「送信者がカード会社の場合は、そのカードでの最新の購入品の名称のキーワードを件名に付加する」ことが設定され、送信条件3に、「メールの本文に還付金や請求金額等の記載がある場合は、所定のキーワードを本文の1行目に付加する」ことが設定されている。また、送信条件1〜3は、すべてOR条件となっている。
図5では○○○が所定のキーワードである。キーワードをメール本文の1行目としたのは、メールを開封せずとも、本文の最初数行は受信したメールの一覧に表示されることが多いからである。
【0053】
安心メールとして仕分けされたメールは、ユーザがそのまま開封することができるが、非安心メールとして仕分けされたメールは、別枠でその一覧が表示され、ユーザが非安心メールを開封しようとすると警告メッセージが表示される。例えば、「このメールは設定された送信条件を満たしていませんが本当に開封しますか?」というような警告メッセージが表示される。この時点で設定した送信条件が不適当とユーザが判断した場合は、送信条件を変更することもできる。送信条件を変更した後は、非安心メール欄に表示された幾つかのメールが安心メール欄に一括して移動することもある。なお、この時点での条件の変更は一時的なものとしてもよいし、恒久的なものとして送信条件格納部12に保存してよい。
【0054】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態におけるメール受信制御装置20の機能ブロックを示す図である。第2の実施形態では、送受信条件のうち受信側で判断できる受信条件のメールを制御する。すなわち、第2の実施形態では、受信側であるメール受信制御装置20がメールの送信条件の裏返しである受信条件の判断を行うので、メール送信制御装置10には、送信メール格納部13(送信メールキュー)と、送信メール格納部13に格納されたメールを順次送信するメール送信制御部14を備えている。ただし、メール送信制御部14は、所定の位置条件に合致したときなど、場合によっては、受信側からの送信要求を受けたときに、送信メール格納部13に格納されたメールを送信することも可能である。受診したメールは、いったん受信メール格納部23(受信メールキュー)に格納されるが、この時点では、受信条件に合致しているかの判断が行われていないので、ユーザはメールの内容を見ることはできない。
【0055】
メール受信制御装置20の受信制御部24は、受信条件格納部22にあらかじめ格納された受信条件、及び特定送信者メールアドレス格納部26のメールアドレスを参照し、受信メール格納部23に格納された受信条件にメールが合致しているか否かを判断する。ここで、特定送信者とは、ユーザ(受信者)とあらかじめ受信条件を取り決めた送信者である。メールが受信条件に合致していると受信制御部24によって判断されれば、そのメールを
表示メール格納部25の所定の受信メールボックスに安心メールとして移動し、そのメールをユーザが開封できるようにする。
【0056】
位置情報取得部27は、取得した位置情報を受信制御部24に送り、受信制御部24が所定の位置条件に合致したと判断したときに、送信要求送信部33を介して、送信側のメール送信制御部14に送信メール格納部13に格納されたメールを送信するように要求する。なお、ユーザが特定の場所にいるときにメールを受け取るという受信条件を定めることも可能だが、この場合は、送信側でユーザの位置情報を追跡するのではなく、メール受信制御装置20の位置情報取得部27が取得した位置情報で判断することになる。
【0057】
図7は、本発明の第2の実施形態における受信条件格納部22に格納される受信条件の例を示す図である。
【0058】
この例では、ユーザAでは、受信条件1に「受取ボタンの押下時刻から所定時間以内に発信されたメールがあれば「受信」」が設定されている。なお、ここでいう「受信」とは、ユーザが閲覧可能なように、受信メール格納部23から表示メール格納部25に移動することを意味する(以下同じ)。また、ユーザBでは、受信条件1に「送信時刻が22時のものを「受信」」が設定されている。また、ユーザCでは、受信条件1に「受取ボタンを押したときに未受信のメールがあれば「受信」」が設定され、OR条件で、受信条件2「所定の位置X又はYにいた時刻から所定時間以内に発信されたものを「受信」」が設定されている。また、ユーザDでは、受信条件1「送信者のメールアドレスが一度受信したものであれば「受信」」と、受信条件2「所定のドメインからのみ「受信」」がAND条件で設定されている。なお、
図3のユーザCの条件1のように、所定のキーワードを付加することは送信側でしかできないので、キーワード条件は受信条件には含まれない。
【0059】
図8は、本発明の第2の実施形態におけるメール受信制御装置20の制御フローを示す図である。なお、この処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。以下、各ステップを逐次説明する。
【0060】
ステップS20:受信メールキュー(受信メール格納部23)に、メールがあるか否かをチェックし、メールがあればステップS21に進むが、メールがなければメールが新たに格納されるのを待つ。
【0061】
ステップS21:メールの送信者のメールアドレスが、特定送信者メールアドレス格納部26に登録されている特定メールアドレスか否かをチェックする。特定メールアドレスであれば、ステップS22に進むが、そうでなければステップS25に移る。
【0062】
ステップS22:受信条件格納部22を読み出し、当該メールが受信条件に合致しているか否かをチェックし、合致していればステップS23に進むが、合致していない場合は、ステップS26に移る。
【0063】
ステップS23:条件に合致したメールを、受信メールキューから安心メールボックスに移す。
【0064】
ステップS24:安心メールボックスへの移動が完了すれば、受診メールキューから当該メールを削除して、ステップS20に戻る。
【0065】
ステップS25:ステップS21で送信者のメールアドレスが特定メールアドレスでないと判断された場合、又はステップS26で待機可能なメールではないと判断された場合は、受信メールキューから通常のメールとして通常メールボックスに移す。通常メールボックスに移されたメールは、ユーザに直ちには開封させず、安心メールでないことを示すため、そのリストだけを表示するようにしてもよい。
【0066】
ステップS26:ステップS22で受信条件に合致していないと判断された場合は、更に受信条件が待機可能な条件(待機することで自然に満たされる条件)か否かを判断する。待機可能な条件とは、現在時刻が受信条件で設定された受信時刻ではないが、設定された時刻まで待機することで、受信条件に合致するものをいう。受信時刻は送信時刻とは異なるが、ユーザが特定の時間帯にメールを見るような習慣があるときは、時間の受信条件として設定することが有用である。
【0067】
ステップS27:ステップS26で待機可能な条件ではないと判断された場合は、そのメールの安心メールボックスへの移動を所定時間(例えば、10分〜1時間程度)待機させる。そして、所定時間経過後にステップS22に戻る。このようにすることで、受信条件で設定された時刻前に受信キューに格納されたメールであっても、設定時刻になった時点で安心メールボックスに移動され、ユーザが開封可能となる。
【0068】
図9は、本発明の第2の実施形態における受信メールの仕分け後の状態の例を示す図である。ここでいう仕分けとは、第1の実施形態と同様に、安心メール(受信条件に合致したメール)と非安心メール(受信条件に合致しなかったメール)を区別することをいう。なお、第1の実施形態の安心メール、非安心メールと区別する必要がある場合は、第2の実施形態では、「受信安心メール」、「非受信安心メール」などと呼んでもよい。
【0069】
図9の例の受信条件では、受信条件1に、「毎日9:00又は21:00に受信」することが設定され、受信条件2に、「ユーザIDやPWDの更新を求めるものでないこと。その場合は所定のメールアドレスに転送する」ことが設定され、受信条件3に、「メール本文に1万円以上の還付金や請求金額などが記載されていないこと。1万円以上の金額が記載されている場合は、所定のアドレスに転送する」ことが設定され、受信条件1〜3は、すべてAND条件となっている。受信条件2、3の「所定のアドレス」とは、ユーザ以外、例えば、家族等のメールアドレスである。
【0070】
図9のA銀行、Bカード、C区役所、Dドットコムは、ユーザIDやPWDの更新を求めるものでなく、かつメール本文に1万円以上の金額の記載もないため、とりあえず「安心メール」として仕分けられている。受信条件1〜3に合致しないものは「非安心メール」として仕分けられる。また、A’銀行、B’カード、C’区役所、D’ドットコムは、受信条件1〜3に同時に合致しないので非安心メールに仕分けられている。非安心メールは、家族等にも転送される。このようにすることで、ユーザが自分だけで判断せず家族等に速やかに相談することができる。受信条件は、送信側で担保される送信条件に比べて安心度はやや低いが、受信側だけで設定可能というメリットがある。
【0071】
第1の実施形態と同様に、安心メールとして仕分けされたメールは、ユーザがそのまま開封することができるが、非安心メールとして仕分けされたメールは別枠でその一覧が表示され、ユーザが非安心メールを開封しようとすると警告メッセージが表示される。例えば、「このメールは設定された受信条件を満たしていませんが本当に開封しますか?」というような警告メッセージが表示される。この時点で設定した受信条件が不適当とユーザが判断した場合は、受信条件を変更することもできる。受信条件を変更した後は、非安心メール欄に表示された幾つかのメールが安心メール欄に一括して移動することもある。なお、この時点での条件の変更は一時的なものとしてもよいし、恒久的なものとして受信条件格納部22に保存してよい。
【0072】
以上、第1の実施形態と第2の実施形態について説明したが、両者は、それぞれ単独で実施されてもよいが、両者を組み合わせて実施してもよい。すなわち、送信条件と受信条件の両方を設定できるようにし、ある条件は送信側で判断し、別の条件は受信側で判断するようにしてもよい。このようにすることで、より柔軟で様々な条件設定が可能となる。また、送信側と受信側で同じ送信条件をダブルチェックするようにしてもよい。こうすることでより安心感が高まる。
【0073】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、一つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて一つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、CPUにより実行されたコンピュータ・プログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータ・プログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0074】
(実施形態の効果)
本システムによれば、特定の送信元からの電子メールを安心して開封することができる電子メールの新たな送受信制御の仕組みを提供することができる。受信者と送信者の間であらかじめ定めた送信条件又は受信条件を設定し、それらの条件に合致したメールのみをメール送信制御装置が送信する、又はメール受信制御装置が受信するので、ユーザ(受信者)は安心してメールを開封することができる。
【0075】
なお、上記の実施形態では、主に電子メールの送受信の制御装置について説明したが、SMS(Short Message Service)など、その他の情報の送受信にも応用が可能である。
【0076】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲に限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0077】
なお、上記の実施形態では、本発明を物の発明として、メール送信制御装置、メール受信制御装置について説明したが、本発明は、方法の発明(メール送信制御方法、受信制御方法)又はコンピュータ・プログラムの発明としても捉えることができる。
【解決手段】メール送信制御装置は、電子メールの送信者と受信者との間で、受信者ごとに送信条件を1つ以上定めて設定する送信条件設定部と、送信条件を設定した特定の受信者のメールアドレスを格納する特定メールアドレス格納部と、設定した送信条件を前記特定の受信者のメールアドレスごとに格納する送信条件格納部と、送信条件格納部に格納された送信条件に合致すると判断したときに特定の受信者あての電子メールの送信の制御を行う送信制御部と、を備える。