特許第6845381号(P6845381)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6845381尿サンプルを収集および分析するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845381
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】尿サンプルを収集および分析するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/493 20060101AFI20210308BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   G01N33/493 B
   E03D9/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2020-534534(P2020-534534)
(86)(22)【出願日】2018年10月30日
(65)【公表番号】特表2021-501329(P2021-501329A)
(43)【公表日】2021年1月14日
(86)【国際出願番号】US2018058259
(87)【国際公開番号】WO2019089628
(87)【国際公開日】20190509
【審査請求日】2020年6月17日
(31)【優先権主張番号】62/578,615
(32)【優先日】2017年10月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520142594
【氏名又は名称】ヤン、チェン
(73)【特許権者】
【識別番号】520142608
【氏名又は名称】ドン、カオ
(73)【特許権者】
【識別番号】520142619
【氏名又は名称】ディ、ロン
(73)【特許権者】
【識別番号】520142620
【氏名又は名称】チェン、ロンジ
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ドン、カオ
(72)【発明者】
【氏名】ディ、ロン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ロンジ
【審査官】 草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−066299(JP,A)
【文献】 特開平08−304386(JP,A)
【文献】 特開2002−071678(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/128175(WO,A1)
【文献】 特開2001−356123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48−33/98
G01N 1/00− 1/44
A61B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁、正面および2つの側面を有するボウルを備えたトイレに取付けるように適合された尿収集分析装置であって、
(a)前記ボウルの縁に取り付けるように適合され、前記ボウルをアクセスできるように適合された開口部を中央に有するハウジングと、
(b)収集カップであって、前記ボウル上の採尿位置と、前記ボウルの一方側にある前記ハウジングの収集コンパートメント底の下の収納位置とを有し、前記採尿位置にある時にユーザーが放出する尿を受けるように適合された、収集カップと、
(c)前記収集カップを前記採尿位置と前記収納位置との間で移動させるための前記ハウジング内の機構と、
(d)前記ボウルのもう一方側において前記ハウジングから前記ボウルに向かって下向きに延在する測定チャンバと、
(e)前記収集カップと前記測定チャンバに流体接続する移送チューブであって、尿が前記収集カップから前記測定チャンバに少なくとも所定の閾値の容積もしくは容積レベルまで流れるようになっている、移送チューブと、
(f)前記測定チャンバ内で前記所定の閾値の容積レベルより下に伸び、尿のパラメーターを測定するセンサーと、
(g)前記センサーを読み取り、センサーデータを保存及び表示のためにデバイスに送信するコントローラと、
を有する尿収集分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の尿収集分析装置において、さらに、洗浄機構を有し、この洗浄機構は、
(a)前記コントローラによって制御される洗浄バルブであって、入口および出口を有し、前記入口は給水源から供給されるものである、洗浄バルブと、
(b)、前記洗浄バルブの出口から、前記収集カップが前記収納位置にあるときにこの収集カップ上の前記収集コンパートメント底の開口部まで延びる洗浄チューブと、
(c)前記測定チャンバーの底部にあるドレーンと、
(d)前記ドレーンを開閉するために前記コントローラによって制御される排水プラグと、
を有するものである、尿収集分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の尿収集分析装置において、前記洗浄機構が、前記収集コンパートメント底と前記収集カップとの間にシーリングガスケットをさらに含むものである、尿収集分析装置。
【請求項4】
請求項1に記載の尿収集分析装置において、前記収集カップを動かすための機構が手動で操作されるものである、尿収集分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載の尿収集分析装置において、
前記収集カップを動かすための機構が
(a)前記カップから前記ハウジング内へ、前記ハウジングに沿って延びるアームと、
(b)前記アーム内の細長い湾曲したスロットと、
(c)前記ハウジング内のピンであって、前記スロットを通って延びる、ピンと、
(d)前記アームに取り付けられ、前記ハウジングのスリットからアクセス可能なタブと、を有し、
(e)それにより、前記スリットに沿って前記タブを押すことにより、前記カップが前記収納位置から前記採尿位置に移動するものである、尿収集分析装置。
【請求項6】
請求項1に記載の尿収集分析装置において、前記収集カップを移動させる機構が電動式である、尿収集分析装置。
【請求項7】
請求項1に記載の尿収集分析装置において、
前記収集カップを移動させる機構が自動的に作動するものである、尿収集分析装置。
【請求項8】
請求項1に記載の尿収集分析装置において、前記測定チャンバ内の容積レベルを決定するための手段を含むものである、尿収集分析装置。
【請求項9】
請求項1に記載の尿収集分析装置において、
前記移送チューブが、前記コントローラが前記測定チャンバに流入する液体の量を決定することを可能にする流量センサを含むものである、尿収集分析装置。
【請求項10】
請求項1に記載の尿収集分析装置において、
前記測定チャンバが、さらに前記測定チャンバ内での過剰な尿を防止するためのオーバーフロー出口を有するものである、尿収集分析装置。
【請求項11】
請求項1に記載の尿収集分析装置において、
尿が重力によって前記収集カップから前記測定チャンバに流入するものである、尿収集分析装置。
【請求項12】
請求項1に記載の尿収集分析装置において、
前記デバイスが、個人別の構成、制御、監視、およびデータ記憶のためのアプリを備えたモバイルデバイスである、尿収集分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療診断に関し、より具体的には、尿サンプルを自動的に収集し、尿中のリアルタイムで長期的かつ受動的なバイオマーカーおよびバイオインジケーターの検出を行うための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界の人口の年齢はかつてないほどの速度で高年齢化しているため、慢性疾患に関連するバイオマーカーとバイオインジケーターの定期的かつ即時の測定にますます焦点が置かれてきている。さらに、生活のペースが加速するにつれ、国民は、リアルタイム且つ長期的な健康状態のモニタリングによる健康状態への期待を高めている。
【0003】
尿は、病気や栄養レベルなどの個人の健康状態を示す重要な健康情報を含む重要な体液である。血液検査と比較して、尿中のバイオマーカーとバイオインジケーターに基づく高速で正確な測定は、非侵襲的ではるかに簡単な定量的ヘルスモニタリングアプローチを提供する。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許第8,690,794号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2015/0359522号明細書
(特許文献3) 米国特許第4,554,687号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に使用されている在宅尿検査方法には、検体が簡単に汚染される可能性のある複雑な手動尿採集プロセスが含まれる。尿検査は時間に敏感であるため、手動での収集および測定プロセスにおける制御の欠如により、大きな変化が生じる。さらに、その複雑さのため、ユーザーが自宅で尿検査を行う意欲を損なわせる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ハウジングの一方の側に収集コンパートメントがあり、もう一方の側には制御コンパートメントがある。収集カップは、格納位置で収集コンパートメントの下に収まり、採尿位置でボウルの上に延びる。前記カップは、前記採尿位置にあるときにユーザーが放出した尿を収集する。
この装置は、収集カップを採尿位置と収納位置との間で移動させるための機構を含む。この機構は手動または自動が可能である。測定チャンバは、制御コンパートメントから下向きに延在する。前記カップは、移送チューブによって前記測定チャンバに接続される。尿は、前記移送チューブを通って、前記カップから前記測定チャンバへ重力によって、少なくとも所定の閾値容量およびレベルまで移送される。センサー、通常は前記移送チューブ内の流量センサーを使用して、尿が閾値レベルに達したかどうかを判断する。前記測定チャンバには、前記測定チャンバ内への超過の尿を防ぐためのオーバーフロー出口がある。
【0006】
尿のパラメータを測定するためのセンサーは、前記測定チャンバ内で、前記閾値レベルより下に延びる。コントローラは前記センサーを読み取り、センサーデータを保存及び表示するデバイスに送信する。通常、前記デバイスは、スマートフォンなどの携帯装置であり、個人別の構成、制御、監視、およびデータストレージのためのアプリを実行する。
前記装置は、前記システムから尿を洗浄するための洗浄機構を備えている。前記洗浄機構は、給水設備によって給水される洗浄バルブを含む。バルブ出口は、前記収集カップが前記格納位置にあるときに前記収集カップの上の収集コンパートメント底の開口部まで延びる洗浄チューブに供給する。ガスケットが前記カップを前記収集コンパートメント底に密接する。前記測定チャンバには、コントローラによってドレーンの開閉が制御される排水プラグ付きのドレーンがある。測定が完了すると、コントローラは前記洗浄バルブと前記排水プラグを開いて前記システムを洗浄する。
【0007】
本発明の目的は、以下の図面および本発明の詳細な説明に参照すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の特徴および目的をより完全に理解するために、添付の図面を参照する。
図1図1は、シートとカバーが閉じた状態でトイレに設置された本発明の斜視図である。
図2図2は、シートが閉じられ、カバーが開いた状態でトイレに設置された本発明の斜視図である。
図3】シートとカバーが開いた状態でトイレに設置された本発明の斜視図である。
図4図4は、本発明の装置のいくつかの構成要素の部分透視図である。
図5図5は、ハウジングの斜視図である。
図6図6は、コレクターの斜視図である。
図7図7は、図7は、収納位置にあるコレクターの上面部分透視図である。
図8図8は、採尿位置にあるコレクターの上面部分透視図である。
図9図9は、移送チューブによって接続されたコレクターおよび測定チャンバの斜視部分透視図である。
図10図10は、ハウジング内の測定チャンバの詳細図である。
図11図11は、測定チャンバの斜視透視逆図である。
図12図12は、洗浄バルブおよびチューブの斜視透視図である。
図13図13は、制御コンパートメントの透視部分透視図である。
図14図14は、前記装置のブロック図である。
図15図15は、収集および測定プロセスの流れ図である。
図16図16は、尿および水の流れの概略図である。
図17図17は、携帯アプリのホームディスプレイの図である。
図18図18は、携帯アプリの詳細な結果表示の図である。
図19図19は、携帯アプリ履歴表示の図である。
図20図20は、別の携帯アプリの履歴表示の図である。
図21図21は、携帯アプリの情報ディスプレイの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、尿などの生物学的排泄物をサンプリングおよび分析するためのシステムである。本発明は、物理的装置およびソフトウェアコンポーネントを有する。
物理的装置
本発明の装置50は、トイレ2に取り付けられるように設計されている。「取り付けられる」の意味は、トイレと一体化された装置と、トイレに設置されるように設計されるアフターマーケットの装置の両方を含むものである。
【0010】
本発明は、標準的な構成要素、すなわち、縁12を備えたボウル4、タンク6、およびシート8を含む従来型またはスマートトイレ2のためのものである。図1〜3に示すように、トイレ2は丸形または楕円形のボウル4を含む。装置50は、どちらの形状にも適合させることができる。トイレ2はカバー10を有することができるが、本発明の操作には必要ではない。
【0011】
物理的装置50は、5つの主要な構成要素、すなわち、ハウジング52、尿コレクター54、測定チャンバ56、洗浄ユニット58、およびデータ処理および送信のための制御ユニット60を含む。
ハウジング52
ハウジング52は、図3に図示されるように、縁12の境界線に続いて、ボウル4の縁12上に位置する。ハウジング52は、ボウル4の上を内側に延び、ボウル4にアクセスするための開口部68を中央に有する。ハウジング52の詳細は、装置50の他の構成要素を参照して以下に説明する。
【0012】
ハウジング52は、ボウル4に対して動かないようにボウル4に取り付けられる。ハウジング52は、例えば、縁12の下のフックおよびシート8のボウル4上の取付点14で保持クリップを使用してボウル4に取り付けることができる。ハウジング52は縁12の上に配置するので、ボウル4のシート取り付け点14にはアクセスできない。したがって、ハウジング52には、シート8に適したシート取付点70が設けられている。
【0013】
あるいは、ボウル4は、ハウジング52の一体要素として設計される。ハウジング52は、ハウジング52の一方の側からボウル4の上に延在する収集コンパートメント72と、ハウジング52の他方の側からボウル4の上に延在する制御コンパートメント74とを有する。コンパートメント72、74は、前記装置の他のいくつかの構成要素のためにスペースを提供する。
【0014】
ハウジング52は、シート8の下に完全に収まるように設計されて、日常のトイレの使用への干渉が最小化されるのが好ましい。オプションとして、ハウジング52は、シート8と同じかまたは同様である。
【0015】
ハウジング52は、1つ以上の剛性材料で構成される。材料の例には、プラスチック、セラミック、金属などがある。可能なプラスチックには、尿素−ホルムアルデヒド(UF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびアクリルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
コレクター54
コレクター54は、ユーザーによって放出される尿を収集する。図6に示すように、コレクター54は収集カップ80である。任意に、カップ80は、スプラッシュガードとして多孔性カバーを含む。尿を収集しない時はカップ80は、図2に見られるように、収集コンパートメント72の下の収納位置に位置する。
【0016】
機構88は、図8に見られるように、ユーザーによって放出された尿を取るためにカップ80をボウル4上で採尿位置に旋回させる手段を提供する。現在の設計では、ハウジング52の下のカップ80から、ハウジング52の湾曲部に沿って、ハウジング52の前部まで湾曲アーム90が伸びる。ハウジング52から下向きに延在するピン92は、アーム90の細長い湾曲したスロット94に適合する。タブ96は、アーム90の端部からハウジング52の前部76のスリット98を通って約90°延びる。ユーザがスリット98のタブ96をハウジングの周に沿って押すと、アーム90の湾曲により、カップ80はボウル4の中心に移動する。カップ80は、タブ96をハウジング52の前部76に押し戻すことにより、ハウジング52の下に引き戻される。上記の機構は、例えば、タブ96がハウジング52の後部のトイレタンク6の近くに配置する等、ハウジング52の周りの他の位置に配置可能であることも考慮されている。
【0017】
本発明は、ハウジング52またはトイレ2上のボタンによって、またはモバイルアプリのボタンによって制御される電動機構などの他の手動機構を含む、カップ80を旋回できる任意の他の機構を組み込むことができることを企図する。自動機構は、異なるユーザーの習慣に適応するようにプログラム可能であり、これは制御ユニット60によって制御される。例えば、機構の設定は、ユーザーのID(以下で説明)にリンクすることができる。ユーザーは、検査時間、頻度など、初期設定を入力する必要があるが、ユーザーがトイレに近づくと、機構は必要に応じて動作する。
【0018】
カップ80の底部84の出口穴82に取り付けられた移送チューブ100は、図9に示されるように、カップ80を測定チャンバ56に接続する。カップ80に収集された尿が重力により移送チューブ100を通ってカップ80から測定チャンバ56に流れる。
【0019】
あるいは、電気ポンプ(図示せず)を使用して、尿をカップ80からチャンバ56に移動させることも可能である。ポンプは、コントローラ174によってオンまたはオフにするか、または入口孔で液体を感知したときにオンになり、コントローラ174によってオフにされるように設計することが可能である。
【0020】
コレクター54は、1つ以上の剛性材料から構成される。材料の例には、プラスチック、セラミック、金属などがある。可能なプラスチックには、尿素−ホルムアルデヒド(UF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびアクリルが含まれますが、これらに限定されない。
測定チャンバ56
図4図9に示すように、測定チャンバ56は、制御コンパートメント74の下のハウジング52に取り付けられる。チャンバ56は、収集カップ80から移送チューブ100によって供給される。移送チューブ100の端部は、測定チャンバ56の底110の入口112に取り付けられる。
測定チャンバ56は、チャンバ56内の尿レベルを決定するための尿レベルセンサ102を含む。1つの機構は、入ってくる尿の量およびレベルを計算できるように尿の流れ時間および速度を測定する流量センサ104を含む。図10に示すように、チャンバ入口112に直接取り付けるのではなく、移送チューブ100の端部は、流量センサ104の入口106に取り付けられる。流量センサ104の出口108は、チャンバ入口112に供給する。
【0021】
尿レベルを測定するための別の機構では、チャンバ56内の尿のレベルを測定する光学センサーを使用する。あるいは、光学センサーは単に所定のレベルを観察し、そのレベルに到達するとトリガーする。
【0022】
図11に示すように、チャンバ56は、底110にドレーン116を有し、検査が完了したときにチャンバ56を排水する。プラグ118は、ソレノイド120によってドレーン116を開閉する。ソレノイド120は、制御コンパートメント74内のチャンバ56の上に取り付けられ、プラグ118まで下向きに延びる。
【0023】
チャンバ56は、正確な測定に必要な閾値量およびレベルまで尿が満たされ、それを維持できることを保証するように設計されている。閾値尿容量とレベルは、すべてのセンサーが正確に感知できる程度にすべてのセンサーが尿に浸されるレベルである。レベルおよび容積は、チャンバ56の形状に依存する。現在使用されているセンサー142のチャンバ56の現在の設計では、チャンバ底110からの最小レベルは12cmであり、最小容積は10mlである。本発明は、これらの値が、使用されるセンサーに応じて変化し得ること、およびチャンバ56が異なる寸法で設計され得ることを企図する。
【0024】
チャンバ56は、チャンバ56内の所望の尿レベルを維持するためのオーバーフロー出口128を有し、これによりチャンバ56から余分な尿を排出する。オーバーフロー出口128は、チャンバ底110から立ち上がる中空の円筒形タワー130である。
【0025】
タワー130の上部にある開口口132は、カップ80の底部84よりも低く、これにより尿は重力により流れて、移送チューブ100およびカップ80に逆流することなく測定チャンバ56を満たす。タワー130の上部の開口口から入った尿は、タワー130を通って、底110の開口部134を通って、ボウル4に排出される。
【0026】
底110からのタワー130の高さ136は、チャンバ56内の尿の最大レベルを決定する。タワーの内径138は、少なくとも尿がチャンバ56に入るのと同じ速さで尿を排出するのに十分な大きさであるので、尿レベルは所望の最大レベルを超えることはない。
【0027】
センサーモジュール140は、制御コンパートメント74内のチャンバ56内またはチャンバ56の上に存在する。センサー142は、正確な測定のために、チャンバ56内で下向きに最小尿レベルの下で延びる。さまざまなセンサーには、電気化学センサー、温度センサー、pHセンサー、また、妊娠、排卵、または尿路感染症のタンパク質を検査する発色センサーが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
測定チャンバ56は、1つまたは複数の剛性材料で構成される。材料の例には、プラスチック、セラミック、金属などがある。可能なプラスチックには、尿素−ホルムアルデヒド(UF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびアクリルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
洗浄ユニット58
洗浄ユニット58は、次の測定に備えて尿システムをすすぐ。洗浄ユニット58は、供給管150、洗浄バルブ152、および洗浄チューブ154を含む。洗浄バルブ152は、トイレ2の通常の使用を妨げないように、ハウジング52に取り付けられる。図1〜4、および図12に示すように、通常ハウジング52の後方に取付けられる。供給管150は、水を水源から洗浄バルブ152の入口156に運ぶ。水源は、トイレ2またはトイレタンク6への家庭用給水であり得る。タンク6が水源の場合は、ポンプが必要になる可能性が高い。
【0029】
図12に示すように、洗浄チューブ154は、洗浄バルブ152の出口158からハウジング52を通って収集コンパートメント72に延びる。洗浄チューブの他端は、収集コンパートメント72の底164の開口部162に取り付けられ、カップ80が収納位置にある時にカップ上にある。
【0030】
収集カップ80は、収集コンパートメント72の底164に対してシールするために、上部にOリングまたは他のガスケット166を任意に有する。ガスケット166は、洗浄の間にコレクター54から飛び散る可能性がある水の量を最小限にするのに役立つ。
【0031】
あるいは、洗浄ユニット58は、収集カップ80、移送チューブ100、および測定チャンバ56内のコーティングを含む。コーティングは、非粘着性コーティングおよび抗菌コーティングを含むことができる。企図されるコーティングは、抗菌性および防汚性を提供し、メンテナンス要件を低減するための薄膜疎水性ポリマーである。
制御ユニット60
図13に示すように、制御ユニット60は、制御コンパートメント74の内側に配置される。制御ユニット60は、電源170および制御モジュール172を有する。制御モジュール172は、以下に説明するように、ハードウェアの制御、データ処理、およびデータ通信を含むいくつかの機能を有する。
電源170は、システムに電力を供給する。電源は、バッテリーまたはAC電源が可能である。バッテリーは、ハウジング52内のバッテリーパックに取り付けられる。電源170は、システムの構成要素に必要なすべての必要電圧を提供する。バッテリーパックは、ハウジング52のカバーを介してアクセス可能であるか、または、バッテリーパックは、ハウジング52の側面にスライドさせて取り付けることができる。AC電力は、スマートトイレを介することが可能である。このシステムは、壁のACコンセントに取り付けられているか、壁のACコンセントによって直接組み込まれる。
システム機能アーキテクチャ
本発明のハードウェアのブロック図を図14に示す。制御モジュール172は、プロセッサ176を備えたコントローラ174、メモリストレージ178、および入力/出力信号を含む。コントローラ174は、1つまたは複数のプロセッサを有することができる。例えば、2プロセッサコントローラ174では、1つのプロセッサがシステム制御を提供し、他のプロセッサがデータを処理する。
【0032】
コントローラ174への入力を提供する構成要素は、以下に説明するように、尿レベルセンサー102、ポテンシオスタット182、温度センサー184、pHセンサー186、および任意で、現在のユーザーを識別するためのボタンパネルを含む。出力信号は、チャンバ出口ソレノイド120および洗浄バルブ152の制御を含む。制御モジュール172は、ブルートゥース(登録商標)、WiFi、NFCおよび/または他の通信プロトコールを介して携帯電話などのユーザインターフェースデバイス192と通信する通信モジュール188を含む。
収集および測定プロセスのフロー図が図15、液体の流れの概略図を図16に示す。
【0033】
オプションで、システムは複数のユーザー向けに設計できる。そのため、システムには現在のユーザーを識別する方法が必要である。以下に3つの方法について説明するが、本発明は、現在のユーザを識別する任意の方法を実施できることを企図している。
【0034】
現在のユーザーを識別する最初の方法では、システムは、各ユーザーに1つずつのボタンのパネルを含む。尿検査の前に、ユーザーは適切なボタンを押して、誰が検査対象なのかをシステムを通知する。
【0035】
第2の方法では、通信モジュール188は常にオンであり、ブルートゥース信号を常に監視している。システムがユーザーのモバイルデバイスからのブルートゥース信号を検出すると、システムはブルートゥース信号の強度を使用して、ユーザーがシステムを使用しているかどうかを判断する。
【0036】
3番目の方法では、システムは在宅医療/モニターシステムに統合され、人がどこにいるか、誰であるかを検出できる。システムはこの情報を使用して、現在のユーザーが誰であるかを判別する。
【0037】
エネルギーコストを削減し、デバイスの耐用年数を延ばすために、システムは使用されていないときは低電力スタンバイ状態を保つ。システムは、202でのように、いくつかの異なる意図されたトリガーの1つまたは複数によって起こされる。1つのトリガーは、カップ80を収納位置から採尿位置に手動で動かす行為であり得る。コントローラ174は、スイッチまたは位置センサを使用して、カップ80が採尿位置にあるときを認識する。他のトリガーは、流量センサー104が測定チャンバ56への尿の流れを検出することが可能である。別のトリガーは、手動プッシュボタン、例えば、上述のユーザー選択パネルのボタンであり、コントローラ174によって感知される。
【0038】
カップ80に収集された尿は、図15の204及び図16の196で示すように、移送チューブ100を介して測定チャンバ56に流入する。尿量センサーは、測定を開始するかどうかを決定する。より具体的には、コントローラ174は、206のように、尿レベルが所定の時間内に所定の閾値に達した場合に、センサ142をトリガして尿を測定する。
【0039】
コントローラ174は、208に示すように、測定センサ142を読み取るのに必要な時間を確保する。
【0040】
すべての所望の測定データが取得されたとき、または尿量が時間内にしきい値に達しない場合、コントローラ174は、210で、洗浄手順を実行する。カップ80が自動的に制御される場合、カップ80は収納位置に旋回する。カップ80が手動で制御される場合、ユーザーは、何らかのタイプのインジケーターによってカップ80を後退させるように促される。インジケーターは、ランプの照明などの視覚的なものでも、トーン音のような聴覚的なものでもよい。インジケータは、通信モジュール188を介して、リマインダーをデバイス192に送信するものでもよい。
【0041】
カップ80が収納位置にあることをコントローラ174が感知すると、コントローラ174は、ソレノイド120をトリガして、プラグ122を持ち上げ、チャンバドレーン116を開き、チャンバ56が排水できるようにする。コントローラ174は、洗浄バルブ152を開き、それにより、198で、水が洗浄チューブ154を通ってカップ80に流入可能にする。その代わりに、コントローラ174は、ユーザがトイレを流したことを感知するまで、洗浄バルブを開くのを待つことができる。このセンサーは、水洗ハンドルのスイッチ、タンク4の水位センサー、またはトイレ2が水洗されたことを感知するその他のメカニズムが可能である。
水は尿経路196をたどり、移送チューブ100を通って測定室56に達し、そこでチャンバドレーン116およびオーバーフロー出口128を通って尿を洗い流す。
【0042】
所定の時間の後、通常5〜15秒後に、コントローラ174は洗浄バルブ152を閉じる。所定の時間後、通常10〜20秒後に、コントローラ174は、ソレノイド120にチャンバドレーン116を閉じるように命令する。この余分な時間は、チャンバ56が完全に排水されることを可能にする。
【0043】
洗浄手順の前、最中、および/または後に、212で、コントローラ174は、以下に説明するように、センサデータの処理を実行する。処理が完了した後、214で、コントローラ174は、データを以下に説明するようにデバイス192に通信する。オプションで、収集、測定、および通信プロセスが完了すると、システムは、216のように、初期トリガーセンシングを除いて、スタンバイモードになり、エネルギーを節約する。
情報処理
コントローラ174は、センサ142からデータを読み取る。現在の設計では、センサ142は、ポテンシオスタット182、温度センサ184、およびpHセンサ186である。ポテンシオスタット184は、電極と尿中の化学物質の間の電流交換を測定する3端子アナログフィードバック制御回路である。基準に関する電圧と交換が行われる電流を測定でき、対応する情報がコントローラに送信されて処理される。
【0044】
センサー142からのデータが処理される。オプションで、処理を平滑化するためにいくつかのデジタルフィルターが使用される。5点移動平均フィルターがデータ解析アルゴリズムに適用され、サンプリングされたデータの配列を平滑化して高周波ノイズを除去する。移動平均の概念は単純で、ローパス有限インパルス応答(FIR)フィルターに基づく。フィルターは、反復ごとにセンサーデータの複数のサンプルを取得し、サンプルの平均を計算して、単一の出力を生成する。
【0045】
移動平均フィルターの他に、他のローパスフィルターを使用して、測定からのデータサンプリング中にエイリアシングの影響を回避できる。たとえば、100 Hzでカットオフ周波数を持つ4次バタワースローパスフィルターを使用すると、エイリアシングを低減できる。
【0046】
この用途では遷移帯域中の積極的な減衰は不要であり、バターワースフィルターには通過帯域と阻止帯域の両方にリップルがないため、周波数が200Hzを超える信号を効果的に減衰させることができる。今後サンプリング頻度が上がった場合、アンチエイリアシングフィルターを簡単に再設計して、処理ループに実装可能である。
【0047】
さらに、ピーク検出アルゴリズムを処理ループに使用して、入力データセットのピーク測定値を識別でき、これは、電気化学センサーに非常に重要である。
【0048】
各検査の後、結果は機上の永続ストレージメモリ178にエントリとして保存される。各エントリには、ユーザーID、デバイスID、検査時間、生データ、および処理済みデータが含まれる。さらに、エントリには、検査で問題が発生した場合に格納されるエラーコードとメッセージが含まれる。好ましくは、記憶メモリ178は、単一のユーザの数週間のデータ、または2)複数のユーザの少なくとも1週間分のデータを保存するのに十分な大きさである。 記憶メモリ178がスペースを使い果たすと、新しいエントリが同じユーザの最も古いエントリを上書きする。
【0049】
データが格納された後、コントローラ174は通信モジュール188を起動し、通信モジュール188は次に、モバイルアプリケーションが接続してデータを同期するのを待つ。データ同期が成功した後、コントローラ174はオプションで古いエントリを削除して格納スペースを空ける。
モバイルアプリ
モバイルアプリは、携帯電話またはタブレットコンピュータなどのユーザデバイス192上で実行される。アプリは、Bluetooth、WiFi、NFC、またはその他の無線通信プロトコルを介して通信モジュール188に接続する。アプリは、接続時に定期的に安全なデータフェッチをチェック及び実行する。あるいは、ユーザーは、通常検査後にデータフェッチを実行するようにアプリに手動で指示可能である。
【0050】
すべての尿検査データはアプリに保存できる。さらに、ユーザーは追加のストレージとして、またはバックアップとして、クラウドストレージプロバイダーを使用してデータを保存できる。ユーザーは、すべての検査データを削除するオプションも有する。
【0051】
アプリは、ユーザーデバイス192のディスプレイ上で検査データをユーザーに提示する。図17〜21は、アプリの5つの主要なビューを示す。
【0052】
図17に示すダッシュボードページは、いくつかのオプションをユーザに提供する:1)コントローラ174から新しい検査結果をフェッチして、その詳細に見る、2)検査履歴を見る、および3)尿検査および関連する疾患についてさらに学ぶ。
【0053】
図18に示す詳細結果ページで検査される尿指標のリストが提供される。結果は異なる背景色で示される。具体的には、緑は正常範囲内であることを示し、黄色は潜在的なリスク/問題がある可能性があることをユーザーに警告し、赤はデータが無効であることをユーザーに知らせ、後で検査を再実行するように通知する。
【0054】
図19に示す指標履歴ページは、指標毎の履歴チャートをユーザーに提供する。過去数日または数週間に収集されたデータは保存され、追跡可能である。具体的には、図20に示す検査履歴ページは、データと時間でソートされたすべての検査のリストを提供する。ユーザーはそれぞれをクリックして詳細ページに表示できる。
【0055】
図21に示す健康ガイドページは、ユーザーが尿検査、さまざまな指標、尿関連疾患、および有用な健康ヒントについてさらに学ぶために必須情報を提供する。
【0056】
以上のように、尿サンプルを収集および分析するための方法およびシステムを示し、説明した。本発明の範囲から逸脱することなく本開示に特定の変更を加えることができるので、前述の明細書に記載され、添付の図面に示されるすべての事項は、例示として解釈されるべきであり、これらに限定されるものではない。
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