特許第6845384号(P6845384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6845384
(24)【登録日】2021年3月1日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】制御装置、システム、及び、方法
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/36 20170101AFI20210308BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20210308BHJP
   B64F 1/12 20060101ALI20210308BHJP
   B64D 47/08 20060101ALI20210308BHJP
   B64F 3/02 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   B64F1/36
   B64C39/02
   B64F1/12
   B64D47/08
   B64F3/02
【請求項の数】12
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2020-564769(P2020-564769)
(86)(22)【出願日】2019年8月30日
(86)【国際出願番号】JP2019034225
【審査請求日】2020年11月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100163452
【弁理士】
【氏名又は名称】南郷 邦臣
(74)【代理人】
【識別番号】100180312
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 牧子
(72)【発明者】
【氏名】田爪 敏明
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−101651(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0308099(US,A1)
【文献】 特開2019−64280(JP,A)
【文献】 特開2012−232654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/36
B64C 39/02
B64D 47/08
B64F 1/12
B64F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象地域で走行体を走行させる走行体制御部と、
前記走行体が前記対象地域を走行する間における前記対象地域の表面の状態を表す状態情報を取得する取得部と、
取得された前記状態情報に基づいて、前記対象地域に飛行体が着陸可能か否かを判定する判定部と、を備える、
制御装置。
【請求項2】
前記対象地域の前記表面は、被覆体で覆われており、
前記取得部は、前記表面を覆う前記被覆体を撮像する撮像装置で、前記被覆体の上を前記走行体が走行する間の撮像により得られた画像を表す情報を、前記状態情報として取得し、
前記判定部は、取得された前記状態情報に基づいて特定される前記被覆体の変化に基づいて、前記被覆体によって覆われた前記対象地域に前記飛行体が着陸可能か否かを判定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記被覆体は、予め定められた模様を有し、
前記判定部は、取得された前記状態情報に基づいて特定される前記被覆体の前記模様の変化に基づいて、前記被覆体によって覆われた前記対象地域に前記飛行体が着陸可能か否かを判定する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記被覆体の前記模様の前記変化に基づいて、前記被覆体によって覆われた前記対象地域の前記表面の特性を特定し、
特定された前記表面の前記特性に基づいて、前記対象地域に前記飛行体が着陸可能か否かを判定する、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記表面の前記特性は、前記表面が有する凹凸の大きさ、前記表面が有する傾斜の大きさ、及び、前記表面の柔らかさのいずれか1つ以上を含む、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記飛行体と同じ、又は、前記飛行体と異なる飛行体であって、前記走行体と物理的に接続されており、かつ、前記走行体を運搬する運搬用飛行体を、前記対象地域の上空で飛行させながら、前記走行体を前記対象地域へ下ろさせる飛行体制御部、をさらに備え、
前記走行体制御部は、前記走行体が前記対象地域へ下ろされた後に、前記運搬用飛行体が飛行している間に、前記走行体を前記対象地域で走行させ、
前記飛行体制御部は、前記走行体が前記対象地域を走行した後に、前記運搬用飛行体に飛行させながら、前記走行体を前記対象地域から引き上げさせる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記飛行体と同じ、又は、前記飛行体と異なる飛行体であって、前記走行体と物理的に接続されており、かつ、前記走行体を運搬する運搬用飛行体を、前記対象地域の上空で飛行させながら、前記走行体を前記対象地域へ下ろさせる飛行体制御部、をさらに備え、
前記走行体制御部は、前記走行体が前記対象地域へ下ろされた後に、前記運搬用飛行体が飛行している間に、前記走行体を前記対象地域で走行させ、
前記飛行体制御部は、前記走行体が前記対象地域を走行した後に、前記運搬用飛行体に飛行させながら、前記走行体を前記対象地域から引き上げさせる、
請求項2から5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記運搬用飛行体は、前記被覆体を撮像する前記撮像装置を備えており、
前記取得部は、前記走行体を運搬する前記運搬用飛行体から、前記走行体が前記被覆体の上を走行する間の撮像により得られた前記画像を表す前記情報を前記状態情報として取得する、
請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記走行体は、前記走行体が前記対象地域を走行する間に、前記走行体の姿勢を検出する検出部を備え、
前記取得部は、検出された前記走行体の前記姿勢を表す情報を、前記状態情報として取得し、
前記判定部は、取得された前記状態情報で表される前記走行体の前記姿勢に基づいて、前記対象地域に前記飛行体が着陸可能か否かを判定する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記判定部は、取得された前記状態情報に基づいて、前記対象地域から前記飛行体が離陸可能か否かをさらに判定する、
請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
対象地域を走行する走行体と、
前記走行体が前記対象地域を走行する間における前記対象地域の表面の状態を表す状態情報を取得する取得部と、
取得された前記状態情報に基づいて、前記対象地域に飛行体が着陸可能か否かを判定する判定部と、
を有する制御装置と、を備える、
システム。
【請求項12】
対象地域で走行体を走行させることと、
前記走行体が前記対象地域を走行する間における前記対象地域の表面の状態を表す状態情報を取得することと、
取得された前記状態情報に基づいて、前記対象地域に飛行体が着陸可能か否かを判定することと、を有する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、システム、及び、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、予め設定された飛行経路を自律飛行する飛行体が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/155700号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のシステムでは、飛行体は、自律飛行した後に着陸する必要があるが、着陸が行われる対象地域の表面の状態に基づいて着陸前に飛行体が着陸可能か否かを判定しないため、当該表面の状態よっては、飛行体が着陸できない場合があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、対象地域の表面の状態に基づいて飛行体が当該対象地域に着陸可能か否かを着陸前に判定できる制御装置、システム、及び、方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る制御装置は、
対象地域で走行体を走行させる走行体制御部と、
前記走行体が前記対象地域を走行する間における前記対象地域の表面の状態を表す状態情報を取得する取得部と、
取得された前記状態情報に基づいて、前記対象地域に飛行体が着陸可能か否かを判定する判定部と、を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る制御装置、システム、及び、方法によれば、対象地域の表面の状態に基づいて飛行体が当該対象地域に着陸可能か否かを着陸前に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例に係る配達システムの一構成例を表すシステム構成図である。
図2】被覆体の一外観例を表す外観構成図である。
図3】携帯端末の一構成例を表すハードウェア構成図である。
図4】配達システムが備える制御装置の一構成例を表すハードウェア構成図である。
図5】配達システムが備える制御装置が実行する運搬制御処理の一例を表すフローチャートである。
図6】配達システムが備える制御装置が有する機能の一例を表す機能ブロック図である。
図7】配達システムが備える制御装置が記憶するポートテーブルの一例を表す図である。
図8】走行体及び運搬用飛行体の一外観例を表す外観構成図である。
図9】走行体が備える制御装置の一構成例を表すハードウェア構成図である。
図10】運搬用飛行体が備える制御装置の一構成例を表すハードウェア構成図である。
図11】運搬用飛行体が実行する飛行制御処理の一例を表すフローチャートである。
図12】運搬用飛行体と、運搬用飛行体と走行体とを繋ぐワイヤーと、走行体が走行する走行経路と、の関係の一例を表す図である。
図13】配達システムが備える制御装置が実行する使用判定処理の一例を表すフローチャートである。
図14】配達システムが備える制御装置が実行する適性判定処理の一例を表すフローチャートである。
図15】被覆体が有する模様の変化の一例を表す図である。
図16A】被覆体と被覆体によって覆われる表面との関係の一例を表す図である。
図16B】被覆体の模様に生じる変化を表す変化値の一例を表す図である。
図16C】被覆体の上を走行する走行体の姿勢の一例を表す図である。
図17】配達システムが備える制御装置が実行する配達制御処理の一例を表すフローチャートである。
図18】配達用飛行体の一外観例を表す外観構成図である。
図19】配達用飛行体が実行する引渡制御処理の一例を表すフローチャートである。
図20】被覆体が有する模様間の実際の距離と水平方向の距離との関係の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施例>
以下、本発明の実施例について添付図面を参照しつつ説明する。
【0010】
本発明の実施例に係る配達システム1は、飛行体が離着陸を行う場所(以下、ポートという)であることを標示するマークを有し、ポートとして使用される対象地域を覆う、図1に示すような被覆体110と、当該対象地域がポートとして使用されることを求めるリクエストを、インターネットINを介して送信する携帯端末190と、を備える。
【0011】
また、配達システム1は、予め定められた地域内で物品の配達を行う業者であって、当該リクエストによって対象地域をポートとして使用することが求められた配達業者の営業所に設置されており、かつ、当該リクエストを受信する制御装置200を備える。
【0012】
さらに、配達システム1は、ポートとしての使用が求められた対象地域の表面の状態を特定するために、制御装置200の制御に従って、当該対象地域を覆う被覆体110の上を走行する走行体300と、走行体300を当該対象地域へ運搬する運搬用飛行体400と、を備える。制御装置200が走行体300に被覆体110の上を走行させるのは、被覆体110によって覆われているために直接的に観測できない当該表面の状態を、走行体300の重量により被覆体110を当該表面に密着させることで、制御装置200が間接的に観測できるようにするためである。
【0013】
さらに、配達システム1は、間接的に観測された対象地域の表面の状態に基づいて、当該対象地域をポートとして使用すると制御装置200が判定した場合に、物品を当該対象地域に配達する配達用飛行体500を備えている。
【0014】
対象地域を管理しており、当該対象地域で配達用飛行体500から物品を受け取ろうとする管理者は、ポートであることを標示するマークが描かれた被覆体110を、例えば、当該対象地域へ物品を配達する配達業者の営業所で入手する。
【0015】
被覆体110は、図2に示すような、1辺がrメートルの正方形のビニールシートである。被覆体110が有する頂点の1つを基準の頂点vmとし、かつ、当該基準の頂点vmを通る2つの辺の1つを基準の第1辺sfとした場合、被覆体110には、基準の第1辺sfと平行で、基準の第1辺sfとの距離がそれぞれr/3、及び、2r/3である線状の模様pf1及びpf2が描かれている。また、基準の頂点vmを通る2つの辺の内で、第1辺sfと異なる辺を基準の第2辺ssとした場合、被覆体110には、基準の第2辺ssと平行で、基準の第2辺ssとの距離がそれぞれr/3、及び、2r/3である線状の模様ps1及びps2が描かれている。これらの線状の模様pf1及びpf2並びにps1及びps2を組み合わせた格子状の模様が被覆体110に描かれているのは、被覆体110上を走行する走行体300の走行経路として模様が用いられるためである。
【0016】
格子状の模様が描かれた被覆体110を入手した管理者は、被覆体110の模様が描かれた面を上にして、被覆体110を対象地域の表面に敷いた後に、被覆体110が有する4つの頂点付近にアンカーピンを刺すことで、被覆体110を対象地域に固定する。その後、管理者は、当該対象地域がポートとして使用されることを求めるリクエストを送信させる操作を携帯端末190に行う。
【0017】
携帯端末190は、図3に示すようなCPU(Central Processing Unit)191、RAM(Random Access Memory)192、ROM(Read Only Memory)193a、フラッシュメモリ193b、データ通信回路194a、音声通信回路194b、ビデオカード195a、表示装置195b、入力装置195c、GPS(Global Positioning System)回路196、スピーカ199a、及び、マイクロフォン199bを備える。
【0018】
CPU191は、ROM193a又はフラッシュメモリ193bに保存されたプログラムを実行することで、携帯端末190の全体制御を行う。RAM192は、CPU191によるプログラムの実行時において、処理対象とされるデータを一時的に記憶する。
【0019】
ROM193a及びフラッシュメモリ193bは、各種のプログラムを記憶している。また、フラッシュメモリ193bは、プログラムの実行に用いられる各種のデータやデータが保存されたテーブルをさらに記憶している。携帯端末190は、フラッシュメモリ193bの代わりに、ハードディスクを備えても良い。
【0020】
データ通信回路194aは、NIC(Network Interface Card)であり、例えば、LTE(Long Term Evolution)及び5G(5th Generation)といった通信規格に従って、インターネットINに接続された不図示の基地局と電波を用いたデータ通信を行う。このようにして、携帯端末190のデータ通信回路194aは、インターネットINに接続された制御装置200とデータ通信を行う。音声通信回路194bは、不図示の基地局と電波を用いた音声通信を行う。
【0021】
ビデオカード195aは、CPU191から出力されたデジタル信号に基づいて画像をレンダリングすると共に、レンダリングされた画像を表す画像信号を出力する。表示装置195bは、EL(Electroluminescence)ディスプレイであり、ビデオカード195aから出力された画像信号に従って画像を表示する。携帯端末190は、ELディスプレイの代わりに、PDP(Plasma Display Panel)又はLCD(Liquid Crystal Display)を備えても良い。入力装置195cは、ボタン及びタッチパネルのいずれか1つ以上であり、携帯端末190を使用する管理者の操作に応じた信号を入力する。
【0022】
GPS回路196は、GPS衛星から発せられたGPS信号を受信し、受信されたGPS信号に基づいて携帯端末190の位置を表す緯度及び経度を計測し、計測された緯度及び経度を表す信号を出力する。
【0023】
スピーカ199aは、CPU191が出力する信号に従って音声を出力し、マイクロフォン199bは周囲の音声を表す信号を入力する。
【0024】
携帯端末190の入力装置195cが管理者の操作に応じた信号を入力すると、CPU191は、GPS回路196から出力された信号を取得する。次に、CPU191は、取得された信号で表される携帯端末190の緯度を表す情報及び経度を表す情報を含み、当該緯度及び当該経度にある対象地域がポートとして使用されることを求めるリクエストを生成する。その後、CPU191は、生成されたリクエストを、制御装置200を宛先として、データ通信回路194aへ出力し、データ通信回路194aは、リクエストを制御装置200へ送信する。
【0025】
制御装置200は、サーバ機であり、図4に示すようなCPU201、RAM202、ROM203a、ハードディスク203b、データ通信回路204a、ビデオカード205a、表示装置205b、及び、入力装置205cを備える。制御装置200が備えるCPU201、RAM202、ROM203a、ビデオカード205a、表示装置205b、及び、入力装置205cの構成及び機能は、図3に示した携帯端末190が備えるCPU191、RAM192、ROM193a、ビデオカード195a、表示装置195b、及び、入力装置195cの構成及び機能と同様である。入力装置205cは、キーボード、マウス、タッチパッド、及び、ボタンのいずれか1つ以上であっても良い。
【0026】
制御装置200が備えるハードディスク203bは、各種のプログラム、及び、各種のプログラムの実行に用いられる各種のデータやデータが保存されたテーブルを記憶している。制御装置200は、ハードディスク203bの代わりに、フラッシュメモリを備えても良い。
【0027】
制御装置200が備えるデータ通信回路204aは、NICであり、例えば、LTE及び5Gといった通信規格に従って、インターネットINに接続された携帯端末190、運搬用飛行体400、及び、配達用飛行体500と無線でデータ通信を行う。
【0028】
制御装置200のデータ通信回路204aが、対象地域がポートとして使用されることを求めるリクエストを受信すると、制御装置200のCPU201は、対象地域へ走行体300を運搬用飛行体400に運搬させる、図5に示すような運搬制御処理を実行する。これにより、CPU201は、受信されたリクエストをデータ通信回路204aから取得する、図6に示すような取得部210、及び、取得されたリクエストに含まれる緯度及び経度にある対象地域まで、走行体300を運搬用飛行体400に運搬させる制御を行う飛行体制御部220として機能する。
【0029】
また、ハードディスク203bは、ポートとして使用される対象地域に関するデータが保存される、図7に示すようなポートテーブルを記憶する情報記憶部290として機能する。図7のポートテーブルには、対象地域の緯度を表す情報と、経度を表す情報と、当該対象地域がポートとして使用されるか否かを表す使用フラグと、が対応付けられて保存される。
【0030】
図5に示す運搬制御処理の実行が開始されると、取得部210は、データ通信回路204aからリクエストを取得し(ステップS01)、リクエストに含まれる対象地域の緯度を表す情報と、経度を表す情報と、を取得する。
【0031】
次に、取得部210は、取得された緯度を表す情報と、経度を表す情報と、当該緯度及び当該経度にある対象地域がポートとして使用されないことを表す使用フラグと、を対応付けて、図7のポートテーブルに保存する(ステップS02)。当該対象地域がポートとして使用されないことを表す使用フラグが保存されるのは、当該対象地域がポートとして使用されるか否かが未だ判定されていないためである。
【0032】
次に、飛行体制御部220は、運搬用飛行体400に走行体300を対象地域まで運搬させる制御を行う。この制御のために、飛行体制御部220は、対象地域の緯度を表す情報と、経度を表す情報と、を含み、当該対象地域までの飛行を命じる飛行命令を生成し、生成された飛行命令を、運搬用飛行体400を宛先としてデータ通信回路204aへ出力する(ステップS03)。その後、データ通信回路204aが飛行命令を運搬用飛行体400へ送信した後に、飛行体制御部220は、運搬制御処理の実行を終了する。
【0033】
運搬用飛行体400に運搬される走行体300は、図8に示すような無人地上車両であり、車輪301及び302を含む複数の車輪を備える車台310と、不図示のレンズの光軸を車台310の前方に向けた状態で車台310の前面に設置された撮像装置320と、を備える。本明細書において、例えば、撮像装置320等の撮像装置の光軸を、例えば、車台310の前方等の特定の方向へ向けることは、当該撮像装置の撮像範囲に当該特定の方向にある被写体の一部が少なくとも含まれるように当該光軸を変更することを含むとして説明する。
【0034】
また、走行体300は、車台310に搭載された制御装置380を備え、制御装置380は、撮像装置320が出力する画像に基づいて、障害物を避けながら走行するように複数の車輪にそれぞれ内蔵された不図示のモータを駆動させる。
【0035】
撮像装置320は、デジタル式のステレオカメラであり、制御装置380から出力される信号に応じて走行体300の前方を撮像し、撮像により得られた互いに視差を有する2枚の画像を制御装置380へ出力する。撮像装置320が互いに視差を有する2枚の画像を制御装置380へ出力するのは、制御装置380が、視差に基づいて走行体300の前方にある障害物の3次元空間における位置座標及びサイズ等を特定するためである。
【0036】
制御装置380は、図9に示すようなCPU381、RAM382、ROM383a、フラッシュメモリ383b、データ通信回路384b、検出部387、入出力ポート388、及び、駆動回路389を備える。制御装置380が備えるCPU381、RAM382、ROM383a、及び、フラッシュメモリ383bの構成及び機能は、図3に示した携帯端末190が備えるCPU191、RAM192、ROM193a、及び、フラッシュメモリ193bの構成及び機能と同様である。
【0037】
データ通信回路384bは、NICであり、不図示のケーブルを介して又は無線で運搬用飛行体400とデータ通信を行う。
【0038】
検出部387は、姿勢センサであり、走行体300の進行方向である前方向と水平面とがなす最小の角度を、走行体300の姿勢を表す姿勢角度として検出し、検出された姿勢角度を表す信号をCPU381へ出力する。検出部387は、走行体300の進行方向が水平方向から鉛直上方向までの斜め上方向である場合に正の姿勢角度を検出し、走行体300の進行方向が水平方向から鉛直下方向までの斜め下方向である場合に負の姿勢角度を検出する。
【0039】
入出力ポート388は、車台310の前面に設置された撮像装置320と接続された不図示のケーブルに接続されており、CPU381が出力する信号を撮像装置320に出力し、撮像装置320が出力する2枚の画像をCPU381へ入力する。
【0040】
駆動回路389は、車輪301及び302を含む複数の車輪をそれぞれ回転させる、複数の不図示のモータにそれぞれ接続されたケーブルに接続されており、CPU381が出力する信号に従って当該複数のモータを駆動させる。
【0041】
また、走行体300は、運搬用飛行体400に一端が接続されているワイヤーWの他端を固定する固定金具390を車台310の上面に備える。このため、走行体300のCPU381は、運搬用飛行体400によって対象地域に吊り下ろされた後に、走行を命じる走行命令を運搬用飛行体400からデータ通信回路384bが受信すると、受信された走行命令に従って対象地域を走行するための制御信号を駆動回路389へ出力する。
【0042】
ワイヤーWを介して物理的に接続された運搬用飛行体400は、無人航空機であり、図8に示すような制御装置410を備えており、制御装置410は、ワイヤーWの巻き上げ及び巻き下げを行うウインチ405を下面に備えている。制御装置410は、ウインチ405の巻き上げ及び巻き下げを制御する。
【0043】
ウインチ405は、ワイヤーWが巻き付けられるドラム405aと、ドラム405aの両側面から外側へ略水平方向に突出した突出部を軸支する支持部材405bと、ワイヤーWが巻き上げられる巻上方向及び巻き下げられる巻下方向にドラム405aを回転させる不図示のモータと、を備える。
【0044】
また、運搬用飛行体400は、制御装置410の前面から右前方及び左前方、並びに、制御装置410の後面から左後方及び右後方にそれぞれ突出したプロペラアーム421及び422、並びに、423及び424を備える。さらに、運搬用飛行体400は、プロペラアーム421から424の先端にそれぞれ設置されたプロペラ431から434、及び、制御装置410の制御に従ってプロペラ431から434を回転させる不図示のモータと、を備える。
【0045】
さらに、運搬用飛行体400は、制御装置410の下面から下方に突出しており、制御装置410を支持する支持脚443を備えている。支持脚443の鉛直方向の長さは、走行体300の鉛直方向の長さよりも予め定められた長さだけ長く設計されている。支持脚443がこのように設定されているのは、運搬用飛行体400が対象地域に着陸する際に、走行体300が対象地域の表面に衝突することを防止するためである。
【0046】
またさらに、運搬用飛行体400は、制御装置410の上面に設けられ、運搬用飛行体400の前方に光軸が向けられた撮像装置451と、制御装置410の下面に設けられ、運搬用飛行体400の鉛直下方向に光軸が向けられた撮像装置452と、を備える。撮像装置451及び452は、デジタル式のステレオカメラであり、制御装置410から出力される信号に応じて撮像を行い、撮像により得られた互いに視差を有する2枚の画像を制御装置410へ出力する。
【0047】
撮像装置451が運搬用飛行体400の前方向を撮像することで得られた2枚の画像を制御装置410へ出力するのは、制御装置410が、視差に基づいて運搬用飛行体400の前方にある障害物の3次元空間における位置座標及びサイズ等を特定するためである。
【0048】
また、撮像装置452が鉛直下方向を撮像することで得られた2枚の画像を制御装置410へ出力するのは、制御装置410が、視差に基づいて、運搬用飛行体400から地面又は床までの距離である高度を特定するためである。
【0049】
制御装置410は、図10に示すようなCPU411、RAM412、ROM413a、フラッシュメモリ413b、第1データ通信回路414a、第2データ通信回路414b、GPS回路416、入出力ポート418、及び、駆動回路419を備える。
【0050】
運搬用飛行体400が備える制御装置410のCPU411、RAM412、ROM413a、フラッシュメモリ413b、及び、GPS回路416の構成及び機能は、図3に示した携帯端末190が備えるCPU191、RAM192、ROM193a、フラッシュメモリ193b、及び、GPS回路196の構成及び機能と同様である。
【0051】
第1データ通信回路414a及び第2データ通信回路414bは、NICであり、第1データ通信回路414aは、例えば、LTE及び5Gといった通信規格に従って、インターネットINを介して接続される制御装置200と無線でデータ通信する。第2データ通信回路414bは、走行体300と不図示のケーブルを介して又は無線でデータ通信を行う。
【0052】
入出力ポート418は、図8に示した撮像装置451及び452とそれぞれ接続された不図示のケーブルに接続されており、CPU411が出力する信号を撮像装置451及び452にそれぞれ出力し、撮像装置451及び452が出力する画像をCPU411へ入力する。
【0053】
駆動回路419は、図8に示したウインチ405のドラム405aを回転させる不図示のモータ、及び、プロペラ431から434を回転させる不図示のモータにそれぞれ接続された不図示のケーブルに接続されている。駆動回路419は、CPU411が出力する信号に従って、ドラム405aを回転させる不図示のモータ、及び、プロペラ431から434を回転させる不図示のモータを駆動させる。
【0054】
運搬用飛行体400の第1データ通信回路414aが、対象地域までの飛行を命じる飛行命令を制御装置200から受信すると、運搬用飛行体400のCPU411は、飛行命令に従って飛行するために、プロペラ431から434を回転させる不図示のモータを制御する、図11に示すような飛行制御処理を実行する。
【0055】
飛行制御処理の実行が開始されると、運搬用飛行体400のCPU411は、第1データ通信回路414aから飛行命令を取得し(ステップS11)、取得された飛行命令に含まれる対象地域の緯度を表す情報と、経度を表す情報と、を取得する。次に、運搬用飛行体400のCPU411は、GPS回路416から出力される信号に基づいて、運搬用飛行体400の緯度及び経度を特定する。
【0056】
その後、運搬用飛行体400のCPU411は、例えば、道路及び河川といった運搬用飛行体400が移動可能な部分経路に関する情報が予め保存されている不図示の部分経路テーブルから複数のレコードを読み出す。部分経路テーブルは、フラッシュメモリ413bに予め保存されており、部分経路テーブルの各レコードには、部分経路の始点ノードの緯度及び経度と、当該部分経路の終点ノードの緯度及び経度と、当該部分経路であるエッジの長さと、が対応付けられて予め保存されている。
【0057】
運搬用飛行体400のCPU411は、特定された運搬用飛行体400の緯度及び経度と、読み込まれた複数レコードにそれぞれ保存されている部分経路であるエッジの長さ並びにノードの緯度及び経度と、対象地域の緯度及び経度と、を用いて、例えば、ダイクストラ法といった経路探索アルゴリズムを実行する。これにより、CPU411は、運搬用飛行体400が置かれている営業所から、ポートとしての使用が求められた対象地域までの最短の全体経路を算出し、算出された全体経路を飛行経路として決定する(ステップS12)。
【0058】
次に、運搬用飛行体400のCPU411は、飛行経路を順行させるために、GPS回路416から信号を取得し、取得された信号で表される運搬用飛行体400の緯度及び経度と、飛行経路に含まれる複数の未通過のノードの内で最も近いノードの緯度及び経度と、の相違を縮小させる飛行をするための制御信号を生成する。その後、CPU411は、生成された制御信号を、プロペラ431から434を回転させる不図示のモータを駆動させる駆動回路419へ出力する(ステップS13)。次に、運搬用飛行体400のCPU411は、未通過のノードが存在する間、GPS回路416から信号を取得する処理から上記処理を繰り返す。
【0059】
その後、運搬用飛行体400のCPU411は、未通過のノードが存在しなくなると、運搬用飛行体400が対象地域に到着したと判別する。次に、CPU411は、対象地域の緯度を表す情報及び経度を表す情報を含み、当該対象地域に運搬用飛行体400が到着したことを告げる到着報告を生成し、生成された到着報告を、制御装置200を宛先として第1データ通信回路414aへ出力する(ステップS14)。
【0060】
運搬用飛行体400の第1データ通信回路414aは、対象地域への到着を告げる到着報告を制御装置200へ送信した後に、対象地域の上空で飛行しながら、走行体300を対象地域へ吊り下ろすことを命じる吊下命令を制御装置200から受信する。
【0061】
その後、運搬用飛行体400のCPU411は、第1データ通信回路414aから吊下命令を取得し(ステップS15)、取得された吊下命令に従って、予め定められた高度Hを表す情報をフラッシュメモリ413bから読み出す。予め定められた高度Hは、運搬用飛行体400の鉛直下方向に光軸が向けられた運搬用飛行体400の撮像装置452の画角に、対象地域を覆う被覆体110の全体が含まれる高度の最小値である。次に、CPU411は、対象地域の上空を高度Hでホバリング飛行又は旋回飛行するための制御信号を生成して駆動回路419へ出力する。
【0062】
次に、運搬用飛行体400のCPU411は、走行体300を対象地域へ吊り下ろさせるために、走行体300を距離Hだけ下ろすようにウインチ405のドラム405aを巻下方向に回転させる制御信号を生成して駆動回路419へ出力する(ステップS16)。
【0063】
その後、CPU411は、さらに距離LだけワイヤーWを巻き下ろすようにウインチ405のドラム405aを回転させる制御信号を生成して駆動回路419へ出力する。運搬用飛行体400がワイヤーWをさらに距離Lだけ巻き下ろすのは、走行体300の対象地域における走行を、走行体300に繋がれたワイヤーWが妨げることを防止するためである。
【0064】
この距離Lは、図12に示すような、運搬用飛行体400から被覆体110までの距離である高度Hの長さを有する対辺と、被覆体110に描かれた線状の模様pf1、pf2、ps1、及び、ps2の長さrを有する隣辺と、を有する直角三角形の斜辺の長さ(r+H1/2から対辺の長さHを減算した値よりも長ければ、どのような距離であっても構わない。距離Lがこのように決定されるのは、高度Hでホバリング飛行等する運搬用飛行体400にワイヤーWで繋がれた走行体300が、線状の模様pf1、pf2、ps1、及び、ps2で表される走行経路を走行するためである。本実施例では、距離Lは、(r+H1/2−Hよりも長い距離であると説明したが、これに限定される訳ではなく、距離Lは、走行体300の対象地域における走行をワイヤーWが妨げない、又は、妨げることが殆ど無い距離であれば、どのような距離であっても良い。
【0065】
その後、運搬用飛行体400のCPU411は、対象地域の表面に走行体300を吊り下ろしたことを告げる吊下報告を生成し、生成された吊下報告を、制御装置200を宛先として第1データ通信回路414aへ出力する(ステップS17)。
【0066】
運搬用飛行体400の第1データ通信回路414aは、吊下報告を制御装置200へ送信した後に、運搬用飛行体400が飛行している間に対象地域で走行体300を走行させることを命じる走行命令を受信する。
【0067】
運搬用飛行体400のCPU411は、第1データ通信回路414aから走行命令を取得すると、走行命令に従って、第1データ通信回路414aが走行の停止を命じる走行停止命令を受信するまでの間、対象地域の上空を高度Hでホバリング飛行又は旋回飛行するための制御信号を駆動回路419へ出力し続ける。このようにして、運搬用飛行体400は、走行体300が走行している間、ホバリング飛行又は旋回飛行を継続する。
【0068】
その後、運搬用飛行体400のCPU411は、取得された走行命令を、走行体300を宛先として第2データ通信回路414bへ出力することで、走行命令の中継を行う(ステップS18)。
【0069】
本実施例において、走行命令は、被覆体110に描かれた線状の模様pf1、pf2、ps1、及び、ps2でそれぞれ表される4つの走行経路を走行させる命令である。このため、図9に示した走行体300のデータ通信回路384bが走行命令を受信すると、走行体300のCPU381は、走行体300の前方に敷かれた被覆体110を撮像装置320に撮像させるために、入出力ポート388を介して、撮像装置320へ撮像を命じる信号を出力する。
【0070】
次に、走行体300のCPU381は、撮像装置320から2枚の撮像画像を取得し、取得された2枚の画像から視差を算出する。その後、CPU381は、算出された視差を用いて、模様pf1で表される未走行の第1経路に含まれる複数の点の3次元空間における位置座標を特定する。位置座標が特定される複数の点は、図2に示すような模様pf1と、基準の第2辺ss、模様ps1、模様ps2、及び、基準の第2辺ssと対向する辺ss’との交点である点p1からp4を含む。
【0071】
次に、CPU381は、特定された点p1からp4の位置座標を用いて、点p1からp4を、予め定められた速度で順に通過するための制御信号を、車輪301及び302を含む複数の車輪を回転させる複数の不図示のモータへ駆動回路389を介して出力する。
【0072】
その後、走行体300のCPU381は、模様pf2で表される未走行の第2経路に含まれる点であって、模様pf2と、基準の第2辺ss、模様ps1、模様ps2、及び、辺ss’との交点である点p5からp8を順に通過するための制御信号を駆動回路389へ出力する。
【0073】
同様に、走行体300のCPU381は、模様ps1で表される未走行の第3経路に含まれる点であって、模様ps1と基準の第1辺sfとの交点である点p9、点p2、点p6、及び、模様ps1と基準の第1辺sfと対向する辺sf’との交点であるp10を順に通過するための制御信号を出力する。また同様に、CPU381は、模様ps2で表される未走行の第4経路に含まれる点であって、模様ps2と基準の第1辺sfとの交点である点p11、点p3、点p7、及び、模様ps2と辺sf’との交点である点p12を順に通過するための制御信号を出力する。
【0074】
走行体300が被覆体110の上を走行している間、走行体300のCPU381は、予め定められた周期で、検出部387から出力される信号を取得する。次に、CPU381は、当該信号を取得する度に、取得された当該信号で表される走行体300の姿勢角度を表す姿勢情報を、運搬用飛行体400を宛先としてデータ通信回路384bへ出力する。尚、走行体300が被覆体110の上を走行している間とは、必ずしも走行体300が走行し続けている必要はなく、走行体300が被覆体110の上で一時停止していても良い。
【0075】
運搬用飛行体400の第2データ通信回路414bが走行体300から姿勢情報を受信する度に、運搬用飛行体400のCPU411は、姿勢情報を第2データ通信回路414bから取得し、例えば、OS(Operating System)が管理するシステム日時を、走行体300の姿勢が検出された日時として取得する。また、CPU411は、取得された日時を表す日時情報と、姿勢情報と、を、制御装置200を宛先として第1データ通信回路414aへ出力する。
【0076】
また、運搬用飛行体400のCPU411は、走行体300が被覆体110の上を走行している間、運搬用飛行体400の鉛直下方向に光軸が向けられた撮像装置452へ撮像を命じる信号を予め定められた周期で出力することで、走行体300が乗った被覆体110を撮像装置452に予め定められた周期で撮像させる。また、CPU411は、撮像装置452から、撮像により得られた画像を表す画像情報を取得する度に、OSが管理するシステム日時を、撮像により画像が得られた日時である撮像日時として取得する。また、CPU411は、画像情報と、撮像日時を表す日時情報と、を、制御装置200を宛先として第1データ通信回路414aへ出力する(ステップS19)。
【0077】
その後、運搬用飛行体400の第1データ通信回路414aが、走行停止命令を制御装置200から受信すると、運搬用飛行体400のCPU411は、走行停止命令を第2データ通信回路414bへ出力することで、走行体300へ走行停止命令を中継する(ステップS20)。走行体300のデータ通信回路384bが走行停止命令を受信すると、走行体300のCPU381は、走行停止命令に従って、走行するための制御信号の出力を停止する。
【0078】
次に、運搬用飛行体400の第1データ通信回路414aが、飛行しながら走行体300を対象地域から吊り上げることを命じる吊上命令を制御装置200から受信すると、運搬用飛行体400のCPU411は、第1データ通信回路414aから吊上命令を取得する(ステップS21)。その後、CPU411は、取得された吊上命令に従って、対象地域の上空でホバリング飛行又は旋回飛行を高度Hで継続するための制御信号と、ウインチ405に走行体300を対象地域から吊り上げさせる制御信号と、を生成して駆動回路419へ出力する(ステップS22)。
【0079】
その後、運搬用飛行体400の第1データ通信回路414aが、営業所への帰還を命じる帰還命令を制御装置200から受信すると、運搬用飛行体400のCPU411は、帰還命令を第1データ通信回路414aから取得する(ステップS23)。その後、CPU411は、取得された帰還命令に従って、飛行経路を逆行して営業所まで帰還するための制御信号を駆動回路419へ出力した後に(ステップS24)、飛行制御処理の実行を終了する。
【0080】
図4に示した制御装置200のデータ通信回路204aが、図11のステップS14で出力された到着報告を受信すると、制御装置200のCPU201は、運搬用飛行体400が到着した対象地域をポートとして使用するか否かを判定する、図13に示すような使用判定処理を実行する。
【0081】
本実施例において、制御装置200のCPU201は、配達用飛行体500が対象地域に着陸可能であると判定した場合に、対象地域をポートとして使用すると判定するとして説明する。配達用飛行体500が対象地域に着陸可能であるとは、単に、対象地域に着陸できることを意味するのではなく、配達用飛行体500が対象地域に安全に着陸できることを意味する。配達用飛行体500が対象地域に安全に着陸できるとは、配達用飛行体500が着陸時に転倒する可能性が全く無い又は予め定められた可能性よりも低いことを意味する。
【0082】
また、本実施例において、制御装置200のCPU201は、対象地域の表面の特性が配達用飛行体500の着陸に適している場合に、配達用飛行体500が対象地域に安全に着陸可能であると判定する。表面の特性は、当該表面の凹凸の前記大きさ、前記傾斜の前記大きさ、及び、前記柔らかさを含んでいる。このため、対象地域の表面の特性が配達用飛行体500の着陸に適しているとは、対象地域に対する配達用飛行体500の着陸時に配達用飛行体500が転倒する可能性が全く無くなる程度又は予め定められた可能性よりも低くなる程度に、表面の凹凸が小さいこと、表面の傾斜が緩いこと、及び、表面が固いこと、を含む。
【0083】
図13の使用判定処理を実行することにより、制御装置200のCPU201は、被覆体110で覆われた対象地域で走行体300を走行させる、図6に示すような走行体制御部230として機能する。
【0084】
また、CPU201は、走行体300が対象地域を走行する間に検出された走行体300の姿勢角度と、走行体300が走行した被覆体110の変化に基づいて、当該対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定する判定部240として機能する。
【0085】
さらに、制御装置200のCPU201は、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能であると判別された場合に、図7のポートテーブルにおいて、当該対象地域の緯度を表す情報及び経度を表す情報と対応付けられて保存された使用フラグを、当該対象地域がポートとして使用されることを表す使用フラグに更新する更新部250として機能する。
【0086】
またさらに、制御装置200のCPU201は、対象地域をポートとして使用するか否かを判定した結果を携帯端末190へ通知する通知部260として機能する。
【0087】
図13の使用判定処理の実行が開始されると、制御装置200の取得部210は、データ通信回路204aから到着報告を取得し(ステップS31)、取得された到着報告から運搬用飛行体400が到着した対象地域の緯度を表す情報及び経度を表す情報を取得する。
【0088】
次に、制御装置200の飛行体制御部220は、飛行しながら走行体300を対象地域へ吊り下ろすことを命じる吊下命令を、運搬用飛行体400を宛先としてデータ通信回路204aへ出力する(ステップS32)。
【0089】
その後、制御装置200のデータ通信回路204aは、吊下命令を運搬用飛行体400へ送信した後に、走行体300を対象地域の表面に吊り下ろしたことを告げる吊下報告を、運搬用飛行体400から受信する。
【0090】
次に、制御装置200の取得部210は、データ通信回路204aから吊下報告を取得する(ステップS33)。その後、走行体制御部230は、運搬用飛行体400が飛行している間に、走行体300を対象地域で走行させることを命じる走行命令を、運搬用飛行体400を宛先としてデータ通信回路204aへ出力する(ステップS34)。
【0091】
次に、制御装置200のデータ通信回路204aは、走行命令を運搬用飛行体400へ送信し、運搬用飛行体400は、走行命令を走行体300へ中継する。その後、データ通信回路204aは、運搬用飛行体400から、走行中の走行体300の姿勢を表す姿勢情報と、当該姿勢の検出日時を表す日時情報と、を複数受信する。また、データ通信回路204aは、運搬用飛行体400から、走行体300が乗った被覆体110を撮像することで得られた画像を表す画像情報と、撮像日時を表す日時情報と、を複数受信する。
【0092】
次に、制御装置200の取得部210は、データ通信回路204aから姿勢情報と日時情報とを複数取得し、取得された複数の姿勢情報のそれぞれを対象地域の表面の状態を表す状態情報とする。走行体300の姿勢を表す姿勢情報を、対象地域の表面の状態を表す状態情報とするのは、走行体300の姿勢は、走行体300が走行する対象地域の表面の状態によって変化するからである。
【0093】
また、取得部210は、データ通信回路204aから画像情報と日時情報とを複数取得し、取得された複数の画像情報のそれぞれを状態情報とする(ステップS35)。走行体300が乗った被覆体110を表す画像情報を、対象地域の表面の状態を表す状態情報とするのは、走行体300の重量によって被覆体110は、対象地域の表面と密接させられているため、被覆体110の表面の状態は、対象地域の表面の状態を表すためである。
【0094】
その後、判定部240は、取得された複数の状態情報に基づいて、走行体300の走行により生じる被覆体110の表面に描かれた模様の変化を特定する。次に、判定部240は、特定された当該模様の変化と、複数の状態情報で表される走行体300の姿勢と、に基づいて、被覆体110によって覆われた対象地域の表面の特性が配達用飛行体500の着陸に適しているか否かを判定する、図14に示すような適性判定処理を実行する(ステップS36)。
【0095】
適性判定処理の実行を開始すると、判定部240は、走行経路の番号を表す変数nを値「1」で初期化する(ステップS51)。判定部240が変数nを値「1」で初期化するのは、第1経路から順に下記の処理を実行するためである。
【0096】
次に、判定部240は、例えば、テンプレートマッチングを行うことで、取得された複数の状態情報で表される複数の画像から、1番目の経路である第1経路を表す画像領域と、走行体300を表す画像領域と、を特定する。次に、判定部240は、特定された第1経路を表す画像領域と、走行体300を表す画像領域と、が重なっている又は連続している画像を複数特定し、特定された複数の画像を、第1経路を走行している走行体300を撮像することで得られた画像として特定する。
【0097】
その後、判定部240は、第1経路を走行している走行体300を撮像することで得られた画像として特定された複数の画像の1つに注目する。次に、判定部240は、注目された画像において、図15に示すように、走行体300が点p1と点p2との間に位置するか否かを判別し、走行体300が点p1と点p2との間に位置すると判別した場合に、当該画像における点p1と点p2との当該画像における距離を算出する。その後、判定部240は、算出された距離を、走行体300によって変化させられた後の点p1と点p2との距離l’とする。
【0098】
走行体300による当該画像における距離の変化は、例えば、図16Aに示すように対象地域の表面Sの一部が凹凸を有し、被覆体110の点p1から点p2までの部分及び点p2から点p3までの部分が表面Sと密着していない場合に生じる。この場合、走行体300が被覆体110の上を走行して点p1と点p2との中間の位置まで移動すれば、表面Sと密着していなかった被覆体110の当該部分は、走行体300の重量によって凹凸を有する表面Sに密着させられる。このため、被覆体110を鉛直方向から撮像することで得られた画像では、被覆体110の点p1から点p2までの部分が、表面Sの凹凸に密着させられる前よりも互いにより近い位置となるので、点p1と点p2との当該画像における距離が走行体300によって短く変化させられる。
【0099】
その後、走行体300によって変化させられる前の点p1と点p2との距離lを算出するために、判定部240は、情報記憶部290が予め記憶している情報であって、図8に示した運搬用飛行体400が有する撮像装置452が備える不図示のレンズの焦点距離fを表す情報を読み出す。また、判定部240は、被覆体110の全体が撮像装置452の画角に含まれる運搬用飛行体400の飛行高度の最小値である高度Hを表す情報と、被覆体110の点p1から点p2までの距離r/3を表す情報と、を読み出す。
【0100】
その後、判定部240は、読み出された情報で表される撮像装置452の焦点距離f、撮像装置452から被覆体110までの距離である高度H、及び、被覆体110の点p1と点p2との距離r/3に基づいて、被覆体110が水平に敷設されている場合に、運搬用飛行体400の鉛直下方向に光軸が向けられた撮像装置452の撮像により得られる画像における点p1と点p2との距離を算出する。次に、判定部240は、算出された距離を、走行体300によって変化させられる前の点p1と点p2との距離lとする。
【0101】
その後、判定部240は、点p1と点p2との変化後の距離l’を、点p1と点p2との変化前の距離lで除算した値を、値「1」から減算することで、注目された画像の撮影日時における格子状の模様の変化を表す変化値を算出する。表面Sの凹みがより深い点を走行体300が走行するときの撮像により得られた画像程、凹形状の表面Sに密着させられた被覆体110の点p1と点p2とがより近い位置となるため、当該画像から算出される変化値は、値「1」により近くなる。これに対して、表面Sの凹みがより浅い点を走行体300が走行するときの撮像により得られた画像から算出される変化値は、値「0」により近くなる。尚、表面Sの凹みは、2つの凸みの谷として形成されるため、表面Sの凸みのより低い点を走行体300が走行するときの撮像により得られた画像から算出される変化値は、値「1」により近くなり、表面Sの凸みのより高い点を走行体300が走行するときの撮像により得られた画像から算出される変化値は、値「0」により近くなる。
【0102】
判定部240は、走行体300が点p1と点p2との間に位置しないと判別した場合に、注目された画像において走行体300が点p2と点p3との間に位置するか否かをさらに判別し、走行体300が点p1と点p2との間に位置すると判別した場合に、点p2と点p3との変化前の距離l及び変化後の距離l’を算出する。
【0103】
また、判定部240は、走行体300が点p2と点p3との間に位置しないと判別した場合に、走行体300が点p3と点p4との間に位置すると判別し、点p3と点p4との変化前の距離l及び変化後の距離l’を算出する。その後、判定部240は、未注目の画像が無くなるまで模様の変化値の算出を繰り返す。
【0104】
次に、判定部240は、第1経路を走行体300が走行している画像の全てから模様の変化値を算出した後、算出された複数の変化値の平均及び分散を算出する(図14のステップS52)。
【0105】
次に、判定部240は、模様の変化値の分散が予め定められた第1閾値よりも大きいか否かを判別する(ステップS53)。このとき、判定部240は、模様の変化値の分散が第1閾値よりも大きいと判別すると(ステップS53;Yes)、配達用飛行体500が対象地域に安全に着陸するには、対象地域の表面の凹凸が大き過ぎると特定する(ステップS54)。
【0106】
判定部240がこのように特定するのは、例えば、図16Bに示すように、対象地域の表面Sの凹みがより深い点を走行体300が走行するときの撮像により得られた画像から算出される模様の変化値はより大きく算出され、表面Sの凹みがより浅い点を走行体300が走行するときに撮像により得られた画像から算出される模様の変化値はより小さく算出されるためである。つまり、模様の変化値の分散が予め定められた第1閾値よりも大きい場合には、対象地域の表面Sが有する1又は複数の凹凸が予め定められた大きさよりも大きいと特定できるからである。
【0107】
図14のステップS53において、判定部240は、模様の変化値の分散が第1閾値以下であると判別すると(ステップS53;No)、第1経路を走行している走行体300を撮像することで得られた画像と特定された複数の画像の撮像日時に基づいて、走行体300が第1経路を走行していた期間を特定する。次に、判定部240は、特定された期間に含まれる日時を表す日時情報と共に取得された走行体300の姿勢角度を表す状態情報を複数特定する。その後、判定部240は、特定された複数の状態情報で表される走行体300の姿勢角度の平均及び分散を算出する(ステップS55)。
【0108】
次に、判定部240は、走行体300の姿勢角度の分散が予め定められた第2閾値よりも大きいか否かを判別する(ステップS56)。このとき、判定部240は、姿勢角度の分散が第2閾値よりも大きいと判別すると(ステップS56;Yes)、対象地域の表面の凹凸が大き過ぎると特定する(ステップS54)。
【0109】
判定部240がこのように特定するのは、走行体300の姿勢角度は、走行体300の進行方向と水平面とがなす最小角度であるためである。つまり、例えば、図16Cに示すように、走行体300が表面Sの凹みに入り込むときに検出される姿勢角度の符号が負となり、走行体300が当該凹みを抜け出すときに検出される姿勢角度の符号が正となり、走行体300が表面Sの凹みに入り込むときと抜け出すときとで、姿勢角度の符号が異なるためである。同様に、走行体300が表面Sの凸みを下るときに検出される姿勢角度の符号は、負となり、走行体300が当該凸みを登るときに検出される姿勢角度の符号は、正となる。また、検出される角度の大きさは、表面Sの凹み又は凸みが有する傾斜が大きい程大きく、かつ、傾斜が小さい程小さく検出されるためである。つまり、進行方向を表す姿勢角度の分散が予め定められた第2閾値よりも大きい場合には、対象地域の表面Sが有する1又は複数の凹凸が予め定められた大きさよりも大きいと特定できるからである。
【0110】
ステップS56において、判定部240は、走行体300の進行方向を表す姿勢角度の分散が第2閾値以下であると判別すると(ステップS56;No)、配達用飛行体500が対象地域に安全に着陸できる程度に、対象地域の表面Sが有する1又は複数の凹凸が小さい又は凹凸が無いと特定する(ステップS57)。
【0111】
次に、判定部240は、走行体300の進行方向を表す姿勢角度の平均値を、対象地域の表面の傾斜を表す角度と特定する(ステップS58)。
【0112】
その後、判定部240は、表面の傾斜を表す角度が予め定められた第3閾値よりも大きいか否かを判別する(ステップS59)。このとき、判定部240は、傾斜を表す角度が第3閾値よりも大きいと判別すると(ステップS59;Yes)、配達用飛行体500が対象地域に安全に着陸するには、対象地域の表面の傾斜が大き過ぎると特定する(ステップS60)。判定部240がこのように特定するのは、表面の傾斜が第3閾値よりも大きいと配達用飛行体500が着陸時に転倒する可能性が予め定められた可能性よりも高くなるためである。
【0113】
ステップS59において、判定部240は、表面の傾斜を表す角度が第3閾値以下であると判別すると(ステップS59;No)、配達用飛行体500が対象地域に安全に着陸できる程度に、対象地域の表面の傾斜が小さい又は傾斜が無いと特定する(ステップS61)。
【0114】
その後、判定部240は、模様の変化値の平均値が予め定められた第4閾値よりも大きいか否かを判別する(ステップS62)。このとき、判定部240は、模様の変化値の平均値が第4閾値よりも大きいと判別すると(ステップS62;Yes)、配達用飛行体500が対象地域に安全に着陸するには、対象地域の表面が柔らかすぎると特定する(ステップS63)。判定部240がこのように特定するのは、対象地域の表面が全体的により柔らかい程、模様の変化値が全体的により大きくなるため、模様の変化値の分散が小さく、かつ、模様の変化値の平均がより大きくなるためである。つまり、模様の変化値の分散が予め定められた第1閾値以下であり、かつ、模様の変化値の平均が予め定められた第4閾値よりも大きい場合には、対象地域の表面が予め定められた柔らかさよりも柔らかいと特定できる。このため、配達用飛行体500が対象地域に着陸する際、又は、着陸してから予め定められた時間を経過する前に、配達用飛行体500の重量によって表面の形状が変化して、配達用飛行体500がバランスを崩したり、転倒したりする可能性が予め定められた可能性よりも高いと特定できるからである。
【0115】
ステップS62において、判定部240は、模様の変化値の平均値が第4閾値以下であると判別すると(ステップS62;No)、配達用飛行体500が対象地域に安全に着陸できる程度に、対象地域の表面が固いと特定する(ステップS64)。
【0116】
その後、判定部240は、変数nの値を値「1」だけ増加させることで、値「2」とした後(ステップS65)、変数nの値が走行経路の総数「4」より多いか否かを判別する(ステップS66)。このとき、判定部240は、変数nの値「2」が走行経路の総数「4」以下であると判別して(ステップS66;No)、第2経路についてステップS52から上記処理を繰り返す。
【0117】
その後、判定部240は、変数nの値が「5」となり、走行経路の総数「4」より変数nの値が大きいと判別すると(ステップS66;Yes)、4つの走行経路について上記処理を実行したと判別する。次に、判定部240は、対象地域の表面が配達用飛行体500の着陸に適していると判定した後に(ステップS67)、適性判定処理の実行を終了する。
【0118】
判定部240は、上記ステップS54で対象地域の表面が有する1又は複数の凹凸が大き過ぎると特定した後、ステップS60で表面の傾斜が大き過ぎると特定した後、又は、ステップS63で表面が柔らか過ぎると特定した後、対象地域の表面が配達用飛行体500の着陸に適していないと判定する(ステップS68)。その後、判定部240は、適性判定処理の実行を終了する。尚、適性判定処理で用いられる第1閾値から第4閾値の好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
【0119】
判定部240は、適性判定処理によって対象地域の表面が配達用飛行体500の着陸に適していると判定すると(図13のステップS37;Yes)、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能であると判定し(ステップS38)、当該対象地域をポートとして使用すると判定する(ステップS39)。
【0120】
次に、更新部250は、図7のポートテーブルにおいて、ステップS31で取得された到着報告に含まれる対象地域の緯度を表す情報と、経度を表す情報と、に対応付けられた使用フラグを、当該対象地域がポートとして使用されることを表す使用フラグに更新する(ステップS40)。
【0121】
その後、通知部260は、対象地域のポートとしての使用を開始することを通知する使用開始通知を生成し、生成された使用開始通知を、携帯端末190を宛先として、図4のデータ通信回路204aに出力する(ステップS41)。図3に示した携帯端末190のデータ通信回路194aが使用開始通知を受信すると、携帯端末190のCPU191は、使用開始通知を表示させる制御を表示装置195bに行う。
【0122】
判定部240は、適性判定処理によって対象地域の表面が配達用飛行体500の着陸に適していないと判定すると(ステップS37;No)、対象地域に配達用飛行体500が着陸不能であると判定し(ステップS42)、当該対象地域をポートとして使用しないと判定する(ステップS43)。
【0123】
その後、更新部250は、図7のポートテーブルを更新せず、通知部260は、対象地域がポートとして使用されないこと、並びに、図14のステップS54、S60、又は、S63でポートとして適していないと判定した理由を通知する不使用通知を生成する。次に、通知部260は、生成された不使用通知を、携帯端末190を宛先として、図4のデータ通信回路204aに出力する(ステップS44)。携帯端末190のデータ通信回路194aが不使用通知を受信すると、携帯端末190のCPU191は、不使用通知と、対象地域の改善を求めるメッセージと、を表示させる制御を表示装置195bに行う。
【0124】
ステップS41又はS44が実行された後、制御装置200の走行体制御部230は、走行の停止を命じる走行停止命令を、運搬用飛行体400を宛先としてデータ通信回路204aへ出力する(ステップS45)。また、飛行体制御部220は、走行体300の吊り上げを命じる吊上命令と、営業所への帰還を命じる帰還命令と、を、運搬用飛行体400を宛先としてデータ通信回路204aへ出力した後に(ステップS46及び47)、使用判定処理の実行を終了する。
【0125】
ポートとして使用すると判定された対象地域を含む地域で物品の配達を行う業者の営業所に物品が運び込まれると、営業所に勤務する従業員は、物品を梱包する段ボールに貼られた伝票を読み、物品の配達先を確認する。その後、従業員は、図4に示した制御装置200の入力装置205cに配達先を入力させる操作を行う。
【0126】
制御装置200の入力装置205cが従業員の操作に応じた信号を入力すると、制御装置200のCPU201は、配達用飛行体500に物品を配達させる、図17に示すような配達制御処理を実行する。
【0127】
配達制御処理の実行を開始すると、制御装置200の取得部210は、入力された信号に基づいて配達先の住所を表す情報を取得する。次に、取得部210は、情報記憶部290から、取得された住所と予め対応付けて記憶されている当該住所の緯度を表す情報と経度を表す情報とを取得する(ステップS71)。
【0128】
次に、判定部240は、配達先の緯度を表す情報と経度を表す情報とに対応付けられた使用フラグを、図7のポートテーブルから取得し(ステップS72)、取得された使用フラグがポートとして対象地域が使用されることを表すフラグであるか否かを判別する(ステップS73)。
【0129】
このとき、判定部240は、取得された使用フラグがポートとして対象地域が使用されることを表すフラグであると判別すると(ステップS73;Yes)、通知部260は、配達用飛行体500への物品の積み込みを促す通知を、図4に示した表示装置205bにさせる(ステップS74)。
【0130】
その後、作業員は、通知を視認すると、配達用飛行体500へ物品を積み込んだ後に、制御装置200の入力装置205cを操作する。従業員によって操作された入力装置205cが、配達用飛行体500への物品の積み込みの終了を表す信号を入力すると、飛行体制御部220は、配達先の緯度を表す情報及び経度を表す情報を含み、当該配達先まで飛行することを命じる飛行命令を生成する。その後、飛行体制御部220は、生成された飛行命令を、配達用飛行体500を宛先としてデータ通信回路204aへ出力した後に(ステップS75)、配達制御処理の実行を終了する。
【0131】
ステップS73において、判定部240は、図7のポートテーブルから使用フラグが取得できなかった、又は、取得された使用フラグがポートとして対象地域が使用されないことを表すフラグであると判別すると(ステップS73;No)、配達用飛行体500で物品を配達しないと決定する。その後、通知部260は、例えば、従業員が自動車で、オートバイで、自転車で、又は、徒歩で物品を配達するように促す通知を表示装置205bにさせた後に、配達制御処理の実行を終了する。
【0132】
配達用飛行体500は、図18に示すような無人航空機であり、制御装置510、プロペラアーム521から524、プロペラ531から534、プロペラ531から534を回転させる不図示のモータ、及び、撮像装置551を備える。配達用飛行体500が備える制御装置510、プロペラアーム521から524、プロペラ531から534、不図示のモータ、及び、撮像装置551の構成及び機能は、運搬用飛行体400が備える制御装置410、プロペラアーム421から424、プロペラ431から434、不図示のモータ、及び、撮像装置451の構成及び機能と同様である。
【0133】
配達用飛行体500は、物品を梱包する直方体形状の段ボールの側面の内の1つが有する4辺を囲持する第1囲持枠541aと、第1囲持枠541aによって囲持される面(以下、第1囲持面という)と対向する側面(以下、第2囲持面という)が有する4辺を囲持する第2囲持枠541bと、を、制御装置510の下方に備える。さらに、配達用飛行体500は、物品の第1囲持面及び第2囲持面の法線方向に延設され、第1囲持枠541aと第2囲持枠541bとを吊持し、かつ、第1囲持枠541aと第2囲持枠541bとの移動方向を延設方向とするガイドレール542a及び542bを、制御装置510の下面に備える。
【0134】
またさらに、配達用飛行体500は、制御装置510の制御に従って、第1囲持枠541aと第2囲持枠541bとを互いに近づく方向へ移動させることで、第1囲持枠541aと第2囲持枠541bとに物品を囲持させる不図示のモータを備える。この不図示のモータは、制御装置510の制御に従って、第1囲持枠541aと第2囲持枠541bとを互いに遠ざかる方向に移動させることで、囲持された物品を第1囲持枠541aと第2囲持枠541bとに開放させる。
【0135】
さらに、配達用飛行体500は、制御装置510の下面から下方に突出しており、制御装置510を支持する支持脚543を備えている。支持脚543の鉛直方向の長さは、第1囲持枠541a及び第2囲持枠541bの鉛直方向の長さよりも、予め定められた長さだけ長く設計されている。
【0136】
配達用飛行体500の制御装置510は、不図示のCPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ、データ通信回路、GPS回路、入出力ポート、及び、駆動回路を備える。配達用飛行体500の不図示のCPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ、データ通信回路、GPS回路、及び、入出力ポートの構成及び機能は、図10に示した運搬飛行体400のCPU411、RAM412、ROM413a、フラッシュメモリ413b、第1データ通信回路414a、GPS回路416、及び、入出力ポート418の構成及び機能と同様である。
【0137】
配達用飛行体500が備える不図示の駆動回路は、プロペラ531から534を回転させる不図示のモータにそれぞれ接続された不図示のケーブルと、第1囲持枠541aと第2囲持枠541bとを移動させる不図示のモータに接続されたケーブルと、に接続されている。駆動回路519は、不図示のCPUが出力する信号に従って、プロペラ531から534を回転させる不図示のモータ、又は、第1囲持枠541aと第2囲持枠541bとを移動させる不図示のモータを駆動させる。
【0138】
配達用飛行体500が備える不図示のデータ通信回路が、制御装置200から送信された飛行命令を受信すると、配達用飛行体500が備える不図示のCPUは、飛行命令に従って配達先まで飛行し、配達先で物品を引き渡すために不図示のモータ等を制御する、図19に示すような引渡制御処理を実行する。
【0139】
引渡制御処理の実行が開始されると、配達用飛行体500のCPUは、図11のステップS11からS13と同様の処理を実行することで、飛行命令に従って配達先まで飛行する(ステップS81からS83)。
【0140】
次に、配達用飛行体500のCPUは、配達用飛行体500を対象地域に着陸させるようにプロペラ531から534を制御する制御信号を生成して不図示の駆動回路へ出力する(ステップS84)。その後、CPUは、第1囲持枠541aと第2囲持枠541bとを互いに遠ざかる方向に移動させる制御信号を生成して駆動回路へ出力することで、第1囲持枠541a及び第2囲持枠541bに物品を開放させる。これにより、配達用飛行体500は、例えば、配達先に居る人物に物品を引き渡す(ステップS85)。
【0141】
次に、配達用飛行体500のCPUは、配達用飛行体500を対象地域から離陸させるようにプロペラ531から534を制御する制御信号を生成して駆動回路へ出力する(ステップS86)。その後、CPUは、図11のステップS24と同様の処理を実行することで、飛行経路を逆行して営業所まで飛行した後に(ステップS87)、引渡制御処理の実行を終了する。
【0142】
これらの構成によれば、制御装置200は、対象地域の表面の状態を表す状態情報に基づいて、当該対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定する判定部240を備える。このため、例えば、作業員が対象地域へ行って対象地域の表面の状態を確認しなくとも、制御装置200は、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定できる。
【0143】
また、制御装置200は、対象地域で走行体300を走行させる走行体制御部230と、走行体300が対象地域を走行する間における対象地域の表面の状態を表す状態情報を取得する取得部210と、取得された状態情報に基づいて、当該対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定する判定部240と、を備える。このため、例えば、対象地域の表面の状態が、例えば、着陸時に又は着陸直後に表面に加わる配達用飛行体500の重量によって変化する場合であっても、走行体300の重量により変化した後の表面の状態を表す状態情報に基づいて、当該対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを、配達用飛行体500が対象地域に着陸する前に判定できる。
【0144】
さらに、対象地域の表面は、被覆体110で覆われている。また、制御装置200は、被覆体110の上を走行体300が走行する間に、撮像装置452が被覆体110を撮像することで得られた画像を状態情報として取得する取得部210をさらに備える。さらに、制御装置200の判定部240は、取得された状態情報に基づいて特定される被覆体110の変化に基づいて、被覆体110によって覆われた対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定する。このため、対象地域の表面が被覆体110で覆われているために、表面の状態を直接的に観測できない場合であっても、走行体300の重量によって対象地域の表面に密接させられた被覆体110を撮像することで得られた画像に基づいて、制御装置200は、表面の状態を表す状態情報を取得できる。
【0145】
また、被覆体110は、予め定められた模様ps1、ps2、pf1、及び、pf2を有し、制御装置200の判定部240は、取得された状態情報に基づいて特定される被覆体110の模様の変化に基づいて、被覆体110によって覆われた対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定する。ここで、対象地域の表面に密接していなかった被覆体110が、走行体300の重量によって対象地域の表面に密接させられると、被覆体110に描かれた模様ps1、ps2、pf1、及び、pf2の間隔が、当該被覆体110を撮像することで得られた画像において変化する。このため、制御装置200は、被覆体110に描かれた模様ps1、ps2、pf1、及び、pf2の画像における変化に基づいて表面の状態をより精度良く観測できるので、当該対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かをより精度良く判定できる。
【0146】
さらに、制御装置200の判定部240は、被覆体110の模様ps1、ps2、pf1、及び、pf2の変化に基づいて、被覆体110によって覆われた対象地域の表面の特性を特定し、特定された特性に基づいて、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定するため、対象地域に配達用飛行体500が安全に着陸できるか否かをより精度良く判定できる。
【0147】
さらに、対象地域の表面の特性は、当該表面が有する凹凸の大きさ、当該表面が有する傾斜の大きさ、及び、当該表面の柔らかさのいずれか1つ以上を含む。このため、制御装置200の判定部240は、被覆体110の模様ps1、ps2、pf1、及び、pf2の変化に基づいて、被覆体110によって覆われた対象地域の表面の凹凸の大きさ、傾斜の大きさ、及び、柔らかさのいずれか1つ以上を特定する。また、判定部240は、特定された凹凸の大きさ、傾斜の大きさ、及び、柔らかさのいずれか1つ以上に基づいて、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定する。より大きい凹凸を有する表面程、当該表面に配達用飛行体500が着陸したときに配達用飛行体500がバランスを崩して転倒する等して安全に着陸できない可能性がより高い。同様に、より大きい傾斜を有する表面程、又は、より柔らかい表面程、配達用飛行体500が安全に着陸できない可能性がより高い。これらのため、制御装置200は、特定された対象地域の表面の凹凸の大きさ、傾斜の大きさ、及び、柔らかさのいずれか1つ以上に基づいて、対象地域に配達用飛行体500が安全に着陸できるか否かをより精度良く判定できる。
【0148】
走行体300を運搬する運搬用飛行体400は、配達用飛行体500と異なる飛行体であって、走行体300と物理的に接続されている。制御装置200は、当該運搬用飛行体400を、対象地域の上空で飛行させながら、走行体300を対象地域へ下ろさせる飛行体制御部220をさらに備える。また、制御装置200の走行体制御部230は、走行体300が対象地域へ下ろされた後に、運搬用飛行体400が飛行している間に、走行体300を対象地域で走行させる。さらに、飛行体制御部220は、走行体300が対象地域を走行した後に、運搬用飛行体400に飛行させながら、走行体300を対象地域から引き上げさせる。これらの構成によれば、例えば、対象地域の表面が、運搬用飛行体400による着陸及び離陸に適さない場合であっても、制御装置200は、走行体300を対象地域へ下ろし、走行させ、かつ、対象地域から走行体300を確実に引き上げることができる。
【0149】
運搬用飛行体400は、被覆体110を撮像する撮像装置452を備えており、制御装置200の取得部210は、走行体300を運搬する運搬用飛行体400から、走行体300が被覆体110の上を走行する間の撮像により得られた画像を表す情報を状態情報として取得する。ここで、運搬用飛行体400が対象地域の上空でホバリング飛行又は旋回飛行しながら撮像装置452で対象地域を撮像するだけでは、対象地域の表面が被覆体110で覆われており、かつ、被覆体110が対象地域の表面に全体的に密接している訳ではない場合には、対象地域の表面の状態を表す状態情報を取得することは困難である。状態情報を取得することが困難であるのは、被覆体110の表面の状態が必ずしも対象地域の表面の状態と一致しないためであるので、走行体300が被覆体110の上を走行する間に撮像装置452が被覆体110を撮像すれば、走行体300の重量により対象地域の表面に密着させられた被覆体110の表面を表す画像を生成できるので、当該画像を表す情報を対象地域の表面の状態を表す状態情報として取得できる。
【0150】
走行体300は、走行体300が対象地域を走行する間に、走行体300の姿勢を検出する検出部387を備え、制御装置200の取得部210は、検出された姿勢を表す情報を、表面の状態を表す状態情報として取得する。このため、被覆体110で対象地域の表面が覆われていても、表面の状態を表す状態情報を取得できる。
【0151】
<実施例の変形例1>
本実施例では、制御装置200の判定部240は、図14のステップS54及びS57で対象地域の表面の凹凸の大きさを特定し、ステップS60及びS61で表面の傾斜の大きさを特定し、かつ、ステップS63及びS64で表面の柔らかさを特定すると説明した。また、判定部240は、特定された凹凸の大きさ、傾斜の大きさ、及び、柔らかさに基づいて、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定すると説明した。
【0152】
しかし、これに限定される訳ではなく、判定部240は、対象地域の表面の凹凸の大きさ、傾斜の大きさ、及び、柔らかさのいずれか1つを特定し、かつ、特定された凹凸の大きさ、傾斜の大きさ、及び、柔らかさのいずれか1つに基づいて、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定しても良い。
【0153】
また、これに限定される訳ではなく、判定部240は、対象地域の表面の凹凸の大きさ、傾斜の大きさ、及び、柔らかさのいずれか2つを特定し、かつ、特定された凹凸の大きさ、傾斜の大きさ、及び、柔らかさのいずれか2つに基づいて、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定しても良い。
【0154】
<実施例の変形例2>
本実施例では、制御装置200の判定部240は、走行体300の姿勢角度を表す状態情報と、走行体300が乗った被覆体110を撮像することで得られた画像を表す状態情報と、の双方に基づいて、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定すると説明した。
【0155】
しかし、これに限定される訳ではなく、制御装置200の判定部240は、走行体300が乗った被覆体110を撮像することで得られた画像を表す状態情報に基づいて、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定しても良い。
【0156】
この場合、制御装置200の判定部240は、図14のステップS53で、画像を表す状態情報に基づいて算出された被覆体110の変化を表す変化値の分散が第1閾値以下であると判別した後に(ステップS53;No)、姿勢角度を表す状態情報を用いるステップS55及びS56を実行しなければ良い。
【0157】
また、判定部240は、変化値の分散が第1閾値以下であると判別した後に(ステップS53;No)、ステップS58に代えて、変化前の距離lと変化後の距離l’を用いて対象地域の表面の傾斜を表す角度θを算出する処理を実行する。
【0158】
以下、説明を簡単にするために、走行経路を表す変数nの値が「1」である場合を例に挙げて説明するが、これに限定される訳ではなく、変数nの値は「2」から「4」でも良い。
【0159】
図20に示すように、被覆体110が、第1経路に含まれる点p1から点p2までの部分で、走行体300の重量により対象地域の表面Sに密接させられている場合、表面Sの傾斜を表す角度θ12は、Arccos(r’/r)で表される。但し、Arccosは、逆余弦関数であり、r’/rは、点p1と点p2との実際の距離r/3と、点p1と点p2との水平方向の距離r’/3と、の比である。
【0160】
ここで、点p1と点p2との実際の距離r/3と、水平方向の距離r’/3と、の比r’/rは、点p1と点p2との変化前の距離lと、点p1と点p2との変化後の距離l’と、の比に等しい。点p1と点p2との変化前の距離lは、被覆体110が水平に敷設されている場合に、運搬用飛行体400の鉛直下方向に光軸が向けられた撮像装置452が被覆体110を撮像することで得られる画像における点p1と点p2との距離であるからである。また、点p1と点p2との変化後の距離l’は、走行体300によって被覆体110の点p1から点p2までの部分が表面Sに密接させられているときに、撮像装置452が被覆体110を撮像することで得られる画像における点p1と点p2との距離だからである。
【0161】
このため、判定部240は、点p1と点p2との変化前の距離lと変化後の距離l’と、を用いて算出したArccos(l’/l)の値を、表面Sの傾斜を表す角度θ12とする。同様に、判定部240は、点p2と点p3との変化前の距離lと変化後の距離l’とに基づいて傾斜を表す角度θ23を算出し、かつ、点p3と点p4との変化前の距離lと変化後の距離l’とに基づいて傾斜を表す角度θ34を算出する。その後、判定部240は、算出された角度θ12、角度θ23、及び、角度θ33の平均角度を算出し、算出された平均角度を、第1経路における表面Sの傾斜を表す角度とする。その後、判定部240は、図14のステップS59の処理を実行することで、第1経路における表面Sの傾斜を表す角度が第3閾値よりも大きいか否か判別すれば良い。
【0162】
また、これに限定される訳ではなく、制御装置200の判定部240は、走行体300の姿勢角度を表す状態情報に基づいて、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能か否かを判定しても良い。
【0163】
この場合、制御装置200の判定部240は、画像を表す状態情報を用いる、図14のステップS52及びS53を実行しなければ良い。
【0164】
また、制御装置200の判定部240は、ステップ62の処理に代えて、状態情報で表される走行体300の停止前の姿勢角度と、走行体300が予め定められた時間に亘って停止した後の姿勢角度と、の相違を算出する。判定部240がこのような相違を算出するのは、対象地域の表面が軟弱である場合、走行体300の重量により表面の形状が時間の経過と共に変化するため、走行体300の停止前の姿勢角度と、走行体300が予め定められた時間に亘って停止した後の姿勢角度と、に相違が生じるためである。
【0165】
その後、制御装置200の判定部240は、算出された姿勢角度の相違が予め定められた閾値以上であると判別すると、配達用飛行体500が対象地域に安全に着陸するには、対象地域の表面が柔らか過ぎると判別すれば良い(ステップS63)。これに対して、判定部240は、算出された姿勢角度の相違が当該閾値よりも小さいと判別すると、配達用飛行体500が対象地域に安全に着陸できる程度に、対象地域の表面が固いと特定すれば良い(ステップS64)。尚、予め定められた時間及び予め定められた閾値の好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
【0166】
<実施例の変形例3>
本実施例では、制御装置200の判定部240は、配達用飛行体500が対象地域に着陸可能か否かを判定すると説明したが、これに限定される訳ではなく、運搬用飛行体400が対象地域に着陸可能か否かを判定しても良い。この場合、判定部240は、図14のステップS53及びS56、S59、並びにS62において、運搬用飛行体400が安全に着陸できない程度に表面の凹凸が大きいか否か、表面の傾斜が大きいか否か、表面が柔らかいか否かを判定するための第1閾値及び第2閾値、第3閾値、並びに、第4閾値を用いれば良い。
【0167】
またこれに限定される訳ではなく、制御装置200の判定部240は、運搬用飛行体400及び配達用飛行体500の双方が対象地域に着陸可能か否かを判定しても良い。この場合も同様に、判定部240は、図14のステップS53及びS56、S59、並びにS62において、運搬用飛行体400及び配達用飛行体500の少なくとも1つが安全に着陸できない程度に表面の凹凸が大きいか否か、表面の傾斜が大きいか否か、表面が柔らかいか否かを判定するための第1閾値及び第2閾値、第3閾値、並びに、第4閾値を用いれば良い。本変形例で用いられるこれらの閾値の好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
【0168】
<実施例の変形例4>
本実施例では、制御装置200の判定部240は、配達用飛行体500が対象地域に着陸可能か否かを判定すると説明したが、これに限定される訳ではなく、配達用飛行体500が対象地域から離陸可能か否かを判定しても良い。
【0169】
図18に示したようなプロペラ531から534で揚力を得る配達用飛行体500は、予め定められた角度よりも配達用飛行体500の姿勢が傾くと、十分な揚力を得ることができず、離陸時に転倒する等して安全な離陸ができなくなる、又は、全く離陸ができなくなるからである。
【0170】
この場合、判定部240は、図14のステップS53、S56、S59、及びS62において、配達用飛行体500が安全に離陸できない程度に表面の凹凸が大きいか否か、表面の傾斜が大きいか否か、表面が柔らかいか否かを判定するための第1閾値及び第2閾値、第3閾値、並びに、第4閾値を用いれば良い。
【0171】
またこれに限定される訳ではなく、制御装置200の判定部240は、配達用飛行体500が対象地域に着陸可能かつ離陸可能であるか、若しくは、着陸不能又は離陸不能であるか、を判定しても良い。この場合も同様に、判定部240は、図14のステップS53及びS56、S59、並びにS62において、配達用飛行体500が安全に着陸又は離陸できない程度に表面の凹凸が大きいか否か、表面の傾斜が大きいか否か、表面が柔らかいか否かを判定するための第1閾値及び第2閾値、第3閾値、並びに、第4閾値を用いれば良い。本変形例で用いられるこれらの閾値の好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
【0172】
<実施例の変形例5>
本実施例では、被覆体110は、ビニールシートであると説明したが、これに限定される訳ではなく、例えば、ポリエステル、ナイロン、木綿、又は、絹製の布、紙、若しくは、アルミ、又は、銀等の金属製のシートであっても良い。
【0173】
また、本実施例では、被覆体110の形状は、一辺が長さrの正方形状であると説明したが、これに限定される訳ではなく、例えば、三角形状、長方形状、及び、五角形状を含む多角形状、円形状、又は、楕円形状であっても良い。
【0174】
また、本実施例では、被覆体110は、線状の模様pf1、pf2、ps1、及び、ps2を組み合わせた格子状の模様を有すると説明したが、これに限定される訳ではない。被覆体110は、例えば、基準の第1辺sfと平行で、基準の第1辺sfとの距離がそれぞれr×k/n+1であるn本の線状の模様pfkと(但し、kは1以上かつn以下の整数、かつ、nは1以上の正の整数)、基準の第2辺ssと平行で、基準の第2辺ssとの距離がそれぞれr×j/m+1であるm本の線状の模様psjと(但し、jは1以上かつm以下の整数、かつ、mは1以上の正の整数)、の双方又は一方が描かれていても良い。
【0175】
被覆体110は、例えば、渦巻き状の模様、又は、被覆体110に内接する内接円の中心を中心とし、直径がr×k/n(但し、kは1以上かつn以下の整数、かつ、nは1以上の正の整数)の同心円状のn個の模様を有しても良い。
【0176】
<実施例の変形例6>
本実施例では、走行体300は、図8に示すような車輪301及び302を含む複数の車輪を備えると説明したが、これに限定される訳ではなく、走行体300は、複数の関節を有する二本の脚を備え、二足歩行しても良い。また、走行体300は、例えば、当該複数の車輪を囲むキャタピラー(登録商標)等の無限軌道をさらに備えても良い。これらの構成によれば、走行体300は、対象地域の表面が有する凹凸又は傾きがより大きくなっても、若しくは、表面がより柔らかくなっても対象地域を走行できる。
【0177】
<実施例の変形例7>
本実施例では、図8に示した運搬用飛行体400は、被覆体110を撮像する撮像装置452を備えており、制御装置200の取得部210は、走行体300を運搬する運搬用飛行体400から、走行体300が被覆体110の上を走行する間に撮像することで得られた画像を表す情報を状態情報として取得すると説明した。
【0178】
しかし、これに限定される訳ではなく、本変形例に係る配達システム1は、例えば、三脚の上といった被覆体110の全体を画角に含む位置に設置された不図示の撮像装置を備え、制御装置200の取得部210は、走行体300が被覆体110の上を走行する間に、当該不図示の撮像装置の撮像により得られた画像を表す情報を状態情報として取得しても良い。
【0179】
このために、本変形例に係る制御装置200のCPU201は、図13のステップS34で走行命令を出力した後に、撮像を命じる撮像命令を、不図示の撮像装置を宛先としてデータ通信回路204aへ出力する。その後、データ通信回路204aが撮像命令を不図示の撮像装置へ送信した後、被覆体110を撮像することで得られた画像を表す画像情報と、撮像日時を表わす日時情報と、を不図示の撮像装置から複数受信する。
【0180】
その後、制御装置200のCPU201は、ステップS35からS44を実行することで、画像情報を状態情報として複数取得し、取得された状態情報に基づいて被覆体110で覆われた対象地域に配達用飛行体500が着陸可能であるか否かを判定する。その後、制御装置200のCPU201は、ステップS45で走行停止命令を出力した後に、撮像の停止を命じる撮像停止命令を、不図示の撮像装置を宛先としてデータ通信回路204aへ出力する。
【0181】
不図示の撮像装置は、図3に示した携帯端末190が備えるCPU191、RAM192、ROM193a、及び、データ通信回路194aの構成及び機能と同様の構成及び機能を有する不図示のCPU、RAM、ROM、データ通信回路を備える。また、不図示の撮像装置は、不図示のレンズと、レンズで集光された光に基づいて電気信号を生成する不図示の撮像素子群と、撮像素子群から出力される電気信号に基づいて画像を生成する不図示の画像生成回路と、を備える。
【0182】
不図示の撮像装置が備えるデータ通信回路が撮像命令を制御装置200から受信すると、不図示の撮像装置のCPUは、画像生成回路に画像を生成させ、生成された画像を表す画像情報を画像生成回路から取得する。次に、CPUは、OSが管理するシステム日時を、画像が撮像により得られた撮像日時として取得し、取得された画像情報と撮像日時を表す日時情報と、を、制御装置200を宛先として不図示のデータ通信回路へ出力する。その後、データ通信回路は、画像情報と日時情報とを制御装置200へ送信する。次に、CPUは、データ通信回路が撮像停止命令を制御装置200から受信するまで、画像生成回路に画像を生成させる処理から上記処理を繰り返す。
【0183】
<実施例の変形例8>
本実施例では、図8に示した運搬用飛行体400の撮像装置452は、静止画像を撮像により取得し、制御装置200の取得部210は、走行体300が被覆体110の上を走行する間の撮像により得られた静止画像を表す情報を状態情報として取得すると説明した。しかし、これに限定される訳ではなく、運搬用飛行体400の撮像装置452は、動画像を撮像により取得し、制御装置200の取得部210は、走行体300が被覆体110の上を走行する間の撮像により得られた動画像に含まれる静止画像であるフレームを表す情報を状態情報として取得しても良い。
【0184】
<実施例の変形例9>
本実施例では、運搬用飛行体400及び配達用飛行体500は、それぞれ無人航空機であると説明したが、これに限定される訳ではなく、無人飛翔体であっても良い。
【0185】
また、運搬用飛行体400及び配達用飛行体500は、必ずしも無人である必要はなく、制御装置200による制御を除き、自律して飛行する物体であれば、人が乗っていても良い。同様に、走行体300は、必ずしも無人である必要はなく、制御装置200による制御を除き、自律して走行する物体であれば、人が乗っていても良い。
【0186】
<実施例の変形例10>
本実施例では、制御装置200の判定部240は、図14に示した適性判定処理の実行により、対象地域の表面が配達用飛行体500の安全な着陸に適していないと判別すると、配達用飛行体500が対象地域に着陸不能であると判定すると説明した。
【0187】
しかし、これに限定される訳ではなく、制御装置200の判定部240は、対象地域の上空に配達用飛行体500の安全な着陸を妨げる、例えば、木の枝、又は、電線等の架線といった障害物があることを特定した場合にも、配達用飛行体500が対象地域に着陸不能であると判定しても良い。
【0188】
このために、制御装置200の判定部240は、図13のステップS35で複数の状態情報を取得した後に、取得された複数の状態情報で表される複数の画像から、例えば、テンプレートマッチングを行うことで、障害物を表す画像領域を検出する。次に、判定部240は、障害物を表す画像領域が、当該複数の画像のいずれかから検出されたと判別すると、図14の適性判定処理に関するステップS36及びS37を実行せずに、配達用飛行体500が対象地域に着陸不能と判定する(ステップS42)。
【0189】
これに対して、制御装置200の判定部240は、障害物を表す画像領域が、当該複数の画像のいずれからも検出されなかったと判別すると、図14の適性判定処理を行うステップS36を実行する。その後、判定部240は、適性判定処理によって対象地域の表面が配達用飛行体500の安全な着陸に適していると判定されたと判別すると(ステップS37;Yes)、対象地域に配達用飛行体500が着陸可能であると判定する(ステップS38)。これに対して、判定部240は、適性判定処理によって当該表面が着陸に適していないと判定されたと判別すると(ステップS37;No)、対象地域に配達用飛行体500が着陸不能であると判定する(ステップS42)。
【0190】
また、これに限定される訳ではなく、制御装置200の判定部240は、対象地域に設置された、又は、対象地域の付近に設置された不図示の警報装置から、運搬用飛行体400及び配達用飛行体500を含む飛行体の接近を知らせる警報音声が、予め定められた音圧以下の音圧で出力されている、又は、出力されていないことを特定した場合にも、配達用飛行体500が対象地域に着陸不能であると判定しても良い。
【0191】
不図示の警報装置は、図3に示した携帯端末190が備えるCPU191、RAM192、ROM193a、フラッシュメモリ193b、データ通信回路194a、及び、スピーカ199aの構成及び機能と同様の構成及び機能を有した不図示のCPU、RAM、ROM、フラッシュメモリ、データ通信回路、及び、スピーカを備える。
【0192】
制御装置200の取得部210が、図13のステップS31で運搬用飛行体400の対象地域への到着を告げる到着報告を取得した後に、制御装置200の通知部260は、警報装置を宛先として、警報音声の出力を命じる警報出力命令を、図4に示したデータ通信回路204aに出力する。また、制御装置200の飛行体制御部220は、運搬用飛行体400を宛先として、運搬用飛行体400の周囲の音声を表す音声情報の送信を命じる音声送信命令を、図4に示したデータ通信回路204aに出力する。
【0193】
不図示の警報装置のデータ通信回路が、制御装置200から警報出力命令を受信すると、警報装置のCPUは、警報出力命令に従って、フラッシュメモリ193bに予め記憶されている警報音声を表すデータを読み出し、読み出したデータに従って警報音声を表す信号をスピーカへ出力する。
【0194】
運搬用飛行体400は、図3に示した携帯端末190が備えるマイクロフォン199bの構成及び機能と同様の構成及び機能を有した不図示のマイクロフォンをさらに備えている。運搬用飛行体400の第1データ通信回路414aが、制御装置200から音声送信命令を受信すると、運搬用飛行体400のCPU411は、不図示のマイクロフォンが出力する信号に従って、警報装置のスピーカから出力される警報音声を含む周囲の音声を表す音声情報を生成し、生成された音声情報を、制御装置200を宛先として第1データ通信回路414aへ出力する。
【0195】
制御装置200のデータ通信回路204aが音声情報を受信すると、制御装置200の取得部210が音声情報をデータ通信回路204aから取得する。次に、制御装置200の判定部240は、取得された音声情報で表される音圧が、予め定められた音圧以下であると判別すると、ステップS32からS37を実行せずに、配達用飛行体500が対象地域に着陸不能と判定する(ステップS42)。これに対して、制御装置200の判定部240は、音声情報で表される音圧が、予め定められた音圧よりも大きいと判別すると、ステップS32から順に、図13に示した使用判定処理の実行を継続する。
【0196】
また、運搬用飛行体400が不図示のマイクロフォンを備えることに限定される訳ではなく、走行体300が不図示のマイクロフォンを備えても良い。この場合、運搬用飛行体400の第1データ通信回路414aが、制御装置200から音声送信命令を受信すると、運搬用飛行体400のCPU411は、音声送信命令を第2データ通信回路414bへ出力することで、音声送信命令を走行体300へ転送すれば良い。次に、走行体300のデータ通信回路384bが音声送信命令を受信すると、走行体300のCPU381は、不図示のマイクロフォンが出力する信号に従って音声情報を生成し、生成された音声情報をデータ通信回路384bへ出力すれば良い。その後、運搬用飛行体400の第1データ通信回路414aが音声送信命令を受信すると、運搬用飛行体400のCPU411は、音声送信命令を、制御装置200を宛先として第1データ通信回路414aへ出力することで、音声送信命令を転送すれば良い。
【0197】
また、これに限定される訳ではなく、制御装置200の判定部240は、人、動物、及び、物を含む移動体が対象地域に存在する場合に、不図示の警報装置から、対象地域からの退出を促す警報音声が、予め定められた音圧以下の音圧で出力されている、又は、出力されていないことを特定した場合にも、配達用飛行体500が対象地域に着陸不能であると判定しても良い。
【0198】
制御装置200の判定部240が、図13のステップS34で走行体300に対象地域を走行させる走行命令を出力した後に、制御装置200の飛行体制御部220は、運搬用飛行体400を宛先として音声送信命令を、図4に示したデータ通信回路204aに出力する。
【0199】
不図示の警報装置は、対象地域における移動体の存在を検知する不図示の人感センサに接続されている。不図示の人感センサは、例えば、ドップラーセンサであり、対象地域内を移動する走行体300を検知し、対象地域内で移動体を検知したことを表す信号を出力する。
【0200】
不図示の警報装置は、人感センサと接続された入力ポートを備えている。移動体を検知したことを表す信号が、不図示の警報装置の入力ポートを介して人感センサから入力されると、警報装置のCPUは、対象地域からの退出を促す警報音声を表す信号をスピーカへ出力する。
【0201】
運搬用飛行体400の第1データ通信回路414aが音声送信命令を受信すると、CPU411は、不図示のマイクロフォンが出力する信号に従って音声情報を生成し、生成された音声情報を、制御装置200を宛先として第1データ通信回路414aへ出力する。尚、運搬用飛行体400は、不図示のマイクロフォンを備える走行体300が、当該マイクロフォンが出力する信号に従って生成した音声情報を、制御装置200へ転送しても良い。
【0202】
制御装置200のデータ通信回路204aが音声情報を受信すると、制御装置200の取得部210が音声情報をデータ通信回路204aから取得する。制御装置200の判定部240は、取得された音声情報で表される音圧が、予め定められた音圧以下であると判別すると、ステップS35からS37を実行せずに、配達用飛行体500が対象地域に着陸不能と判定する(ステップS42)。これに対して、制御装置200の判定部240は、音声情報で表される音圧が、予め定められた音圧よりも大きいと判別すると、ステップS35から順に、図13に示した使用判定処理の実行を継続する。尚、予め定められた音圧の好適な値は、当業者が実験により定めることができる。
【0203】
また、不図示の警報装置が人感センサを備えることに限定される訳ではなく、警報装置は、複数の不図示のレーザーセンサを備えても良い。例えば、対象地域の形状が四角形状である場合には、対象地域が有する頂点に、時計回り又は反時計回りに、第1のレーザーセンサから第4のレーザーセンサが配置される。尚、対象地域の形状は、例えば、四角形状以外の多角形状、円形状、又は、楕円形状であっても良い。
【0204】
第1のレーザーセンサは、例えば、レーザーダイオードであり、第2のレーザーセンサに向けて、互いに平行又は略平行に進行する2本のレーザーを空間に照射する不図示の発光部と、発光部を駆動させる駆動回路と、を備える。また、第1のレーザーセンサは、例えば、フォトダイオードであり、第4のレーザーセンサから照射された互いに平行又は略平行に進行する2本のレーザーをそれぞれ受光して電気信号を出力する2つの不図示の受光部を備える。さらに、第1のレーザーセンサは、2つの受光部からそれぞれ出力される電気信号に基づいて、人、動物、及び、物を含む物体の対象地域への入域又は退域を検知し、入域又は退域を検知したことを表す検知信号を、不図示の警報装置へ出力する検知回路を備えている。
【0205】
検知回路は、2つの不図示の受光部の内で、対象地域のより外側に設置されている第1受光部が電気信号の出力を停止してから予め定められた時間以内に、対象地域のより内側に設置されている第2受光部が電気信号の出力を停止すると、物体の対象地域への入域を検知し、入域を検知したことを表す入域信号を出力する。また、検知回路は、内側の第2受光部が電気信号の出力を停止してから予め定められた時間以内に外側の第1受光部が電気信号の出力を停止すると、物体の対象地域からの退域を検知し、退域を検知したことを表す退域信号を出力する。
【0206】
第1のレーザーセンサは、第2のレーザーセンサへ向けて空間にレーザーを照射し、かつ、第4のレーザーセンサが空間に照射したレーザーを受光するが、第2のレーザーセンサは、第3のレーザーセンサへ向けて空間にレーザーを照射し、かつ、第1のレーザーセンサが照射したレーザーを受光する点を除き、第2のレーザーセンサの構成及び機能は、第1のレーザーセンサの構成及び機能と同様である。また、第3のレーザーセンサの構成及び機能は、第4のレーザーセンサへ向けて空間にレーザーを照射し、かつ、第2のレーザーセンサが照射したレーザーを受光する点を除き、第1のレーザーセンサの構成及び機能と同様である。さらに、第4のレーザーセンサの構成及び機能は、第1のレーザーセンサへ向けて空間にレーザーを照射し、かつ、第3のレーザーセンサが照射したレーザーを受光する点を除き、第1のレーザーセンサの構成及び機能と同様である。
【0207】
不図示の警報装置のCPUは、不図示の第1から第4のレーザーセンサのいずれかによって入域信号が入力されると、対象地域に入域した後に退域していない物体の数を表すカウンタを値「1」だけ増加させる。これに対して、警報装置のCPUは、第1から第4のレーザーセンサのいずれかによって退域信号が入力されると、カウンタを値「1」だけ減少させる。警報装置のCPUは、カウンタの値が値「0」よりも大きくなると、対象地域に物体があることを検知して、対象地域からの退出を促す警報音声を表す信号をスピーカへ出力する。これに対して、警報装置のCPUは、カウンタの値が値「0」に等しくなると、対象地域に物体が無いことを検知して、警報音声の出力を停止する。
【0208】
<実施例の変形例11>
本実施例に係る配達システム1は、図1に示すような制御装置200と、運搬用飛行体400を備えると説明したが、これに限定される訳ではない。配達システム1は、制御装置200を備えず、図10に示した運搬用飛行体400が備える制御装置410が、本実施例に係る制御装置200の機能を発揮しても良い。
【0209】
つまり、運搬用飛行体400の制御装置410が備えるCPU411が、図5に示した運搬制御処理、図13に示した使用判定処理、図14に示した適性判定処理、及び、図17に示した配達制御処理を実行しても良い。これにより、運搬用飛行体400のCPU411が、図6に示した制御装置200の取得部210、飛行体制御部220、走行体制御部230、判定部240、更新部250、及び、通知部260とそれぞれ同様の機能を有する不図示の取得部、飛行体制御部、走行体制御部、判定部、更新部、及び、通知部として機能しても良い。また、運搬用飛行体400の制御装置410が備えるフラッシュメモリ413bが、図6に示した制御装置200の情報記憶部290と同様の機能を有する不図示の情報記憶部として機能しても良い。
【0210】
本実施例及び本実施例の変形例1から11は、互いにそれぞれ組み合わせることができる。本実施例及び本実施例の変形例1から10のいずれかに係る機能を実現するための構成を備えた制御装置200、及び、本実施例の変形例11に係る機能を実現するための構成を備えた制御装置410として提供できることはもとより、複数の装置で構成されるシステムであって、本実施例及び本実施例の変形例1から11のいずれかに係る機能を実現するための構成をシステム全体として備えたシステムとして提供することもできる。
【0211】
また、プログラムの適用により、既存の制御装置を本実施例及び本実施例の変形例1から10のいずれかに係る制御装置200としてそれぞれ機能させることもできる。すなわち、本実施例及び本実施例の変形例1から10のいずれかで例示した制御装置200による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の制御装置を制御するコンピュータ(CPUなど)が実行できるように適用することで、本実施例及び本実施例の変形例1から10のいずれかに係る制御装置200としてそれぞれ機能させることができる。
【0212】
また、プログラムの適用により、既存の制御装置を本実施例の変形例11に係る制御装置410として機能させることもできる。すなわち、本実施例の変形例11で例示した制御装置410による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の制御装置を制御するコンピュータ(CPUなど)が実行できるように適用することで、本実施例の変形例11に係る制御装置410として機能させることができる。
【0213】
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、メモリカード、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、又はDVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)などの記録媒体に搭載して配布できる他、インターネットなどの通信媒体を介して配布することもできる。また、本発明に係る方法は、本実施例及び本実施例の変形例1から10のいずれかに係る制御装置200、及び、本実施例の変形例11に係る制御装置410を用いて実施できる。
【0214】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0215】
(付記)
(付記1)
対象地域で走行体を走行させる走行体制御部と、
前記走行体が前記対象地域を走行する間における前記対象地域の表面の状態を表す状態情報を取得する取得部と、
取得された前記状態情報に基づいて、前記対象地域に飛行体が着陸可能か否かを判定する判定部と、を備える、
制御装置。
【0216】
(付記2)
前記対象地域の前記表面は、被覆体で覆われており、
前記取得部は、前記表面を覆う前記被覆体を撮像する撮像装置で、前記被覆体の上を前記走行体が走行する間の撮像により得られた画像を表す情報を、前記状態情報として取得し、
前記判定部は、取得された前記状態情報に基づいて特定される前記被覆体の変化に基づいて、前記被覆体によって覆われた前記対象地域に前記飛行体が着陸可能か否かを判定する、
付記1に記載の制御装置。
【0217】
(付記3)
前記被覆体は、予め定められた模様を有し、
前記判定部は、取得された前記状態情報に基づいて特定される前記被覆体の前記模様の変化に基づいて、前記被覆体によって覆われた前記対象地域に前記飛行体が着陸可能か否かを判定する、
付記2に記載の制御装置。
【0218】
(付記4)
前記判定部は、
前記被覆体の前記模様の前記変化に基づいて、前記被覆体によって覆われた前記対象地域の前記表面の特性を特定し、
特定された前記表面の前記特性に基づいて、前記対象地域に前記飛行体が着陸可能か否かを判定する、
付記3に記載の制御装置。
【0219】
(付記5)
前記表面の前記特性は、前記表面が有する凹凸の大きさ、前記表面が有する傾斜の大きさ、及び、前記表面の柔らかさのいずれか1つ以上を含む、
付記4に記載の制御装置。
【0220】
(付記6)
前記飛行体と同じ、又は、前記飛行体と異なる飛行体であって、前記走行体と物理的に接続されており、かつ、前記走行体を運搬する運搬用飛行体を、前記対象地域の上空で飛行させながら、前記走行体を前記対象地域へ下ろさせる飛行体制御部、をさらに備え、
前記走行体制御部は、前記走行体が前記対象地域へ下ろされた後に、前記運搬用飛行体が飛行している間に、前記走行体を前記対象地域で走行させ、
前記飛行体制御部は、前記走行体が前記対象地域を走行した後に、前記運搬用飛行体に飛行させながら、前記走行体を前記対象地域から引き上げさせる、
付記1に記載の制御装置。
【0221】
(付記7)
前記飛行体と同じ、又は、前記飛行体と異なる飛行体であって、前記走行体と物理的に接続されており、かつ、前記走行体を運搬する運搬用飛行体を、前記対象地域の上空で飛行させながら、前記走行体を前記対象地域へ下ろさせる飛行体制御部、をさらに備え、
前記走行体制御部は、前記走行体が前記対象地域へ下ろされた後に、前記運搬用飛行体が飛行している間に、前記走行体を前記対象地域で走行させ、
前記飛行体制御部は、前記走行体が前記対象地域を走行した後に、前記運搬用飛行体に飛行させながら、前記走行体を前記対象地域から引き上げさせる、
付記2から5のいずれか一つに記載の制御装置。
【0222】
(付記8)
前記運搬用飛行体は、前記被覆体を撮像する前記撮像装置を備えており、
前記取得部は、前記走行体を運搬する前記運搬用飛行体から、前記走行体が前記被覆体の上を走行する間の撮像により得られた前記画像を表す前記情報を前記状態情報として取得する、
付記7に記載の制御装置。
【0223】
(付記9)
前記走行体は、前記走行体が前記対象地域を走行する間に、前記走行体の姿勢を検出する検出部を備え、
前記取得部は、検出された前記走行体の前記姿勢を表す情報を、前記状態情報として取得し、
前記判定部は、取得された前記状態情報で表される前記走行体の前記姿勢に基づいて、前記対象地域に前記飛行体が着陸可能か否かを判定する、
付記1から8のいずれか一つに記載の制御装置。
【0224】
(付記10)
前記判定部は、取得された前記状態情報に基づいて、前記対象地域から前記飛行体が離陸可能か否かをさらに判定する、
付記1から9のいずれか一つに記載の制御装置。
【0225】
(付記11)
対象地域を走行する走行体と、
前記走行体が前記対象地域を走行する間における前記対象地域の表面の状態を表す状態情報を取得する取得部と、
取得された前記状態情報に基づいて、前記対象地域に飛行体が着陸可能か否かを判定する判定部と、
を有する制御装置と、を備える、
システム。
【0226】
(付記12)
対象地域で走行体を走行させることと、
前記走行体が前記対象地域を走行する間における前記対象地域の表面の状態を表す状態情報を取得することと、
取得された前記状態情報に基づいて、前記対象地域に飛行体が着陸可能か否かを判定することと、を有する、
方法。
【符号の説明】
【0227】
1:配達システム
110:被覆体
190:携帯端末
191、201、381、411:CPU
192、202、382、412:RAM
193a、203a、383a、413a:ROM
193b、383b、413b:フラッシュメモリ
194a、204a、384b:データ通信回路
194b:音声通信回路
195a、205a:ビデオカード
195b、205b:表示装置
195c、205c:入力装置
196、416:GPS回路
199a:スピーカ
199b:マイクロフォン
200、380、410、510:制御装置
203b:ハードディスク
210:取得部
220:飛行体制御部
230:走行体制御部
240:判定部
250:更新部
260:通知部
290:情報記憶部
300:走行体
301、302:車輪
310:車台
320、451、452、551:撮像装置
387:検出部
388、418:入出力ポート
389、419:駆動回路
390:固定金具
400:運搬用飛行体
405:ウインチ
405a:ドラム
405b:支持部材
414a:第1データ通信回路
414b:第2データ通信回路
421から424、521から524:プロペラアーム
431から434、531から534:プロペラ
443、543:支持脚
500:配達用飛行体
541a:第1囲持枠
541b:第2囲持枠
542a、542b:ガイドレール
H:高度
IN:インターネット
p1からp12:点
pf1,pf2、ps1、ps2:模様
sf:基準の第1辺
sf’:基準の第1辺に対向する辺
ss:基準の第2辺
ss’:基準の第2辺に対向する辺
vm:基準の頂点
W:ワイヤー
【要約】
制御装置(200)は、対象地域で走行体を走行させる走行体制御部(230)と、走行体が対象地域を走行する間における対象地域の表面の状態を表す状態情報を取得する取得部(210)と、取得された状態情報に基づいて、対象地域に飛行体が着陸可能か否かを判定する判定部(240)と、を備える。
図1
図2
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