特許第6845400号(P6845400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845400
(24)【登録日】2021年3月2日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】ノズルクリーナ
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/29 20060101AFI20210308BHJP
   B23K 9/32 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   B23K9/29 N
   B23K9/32 E
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-187561(P2016-187561)
(22)【出願日】2016年9月6日
(65)【公開番号】特開2018-39046(P2018-39046A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】392014760
【氏名又は名称】新光機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】蕗澤 武夫
【審査官】 藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−025045(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0000892(US,A1)
【文献】 実開昭56−147975(JP,U)
【文献】 米国特許第05070568(US,A)
【文献】 特開昭59−073186(JP,A)
【文献】 特開平10−015669(JP,A)
【文献】 特開2010−167421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/29
B23K 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドノズルの内部に、円筒形の研磨部材を押込むことによりシールドノズルに付着したスパッタを除去するアーク溶接ノズルクリーナにおいて、研磨部材をシールドノズルより軟質な材料にて形成し前記研磨部材に巻回され、前記シールドノズルの先端が当接するコイルばねを、研磨部材の上部を上面より突出した状態に取付けた基台の上面に配置したことを特徴とするノズルクリーナ。
【請求項2】
前記研磨部材をアルミニュウム或は合成樹脂材にて形成したことを特徴とする請求項1に記載のノズルクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスシールドアーク溶接に使用されるシールドノズルに付着したスパッタを除去するノズルクリーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のノズルクリーナとして、図6に示すように、銅製のシールドノズル50の内径より若干小径のステンレス鋼製のスパッタ除去用パイプである研磨部材51とシールドノズル50の外径より若干大径で研磨部材51より長いノズル誘導、保持用パイプ52とを孔53をあけた基板54に、穴53を中心に同心円上に固定し、シールドノズル50を先端から、シールドノズル50外面と、誘導、保持パイプ52内面との隙間によりできる「ガタ」の分だけ振りながら押込み、シールドノズル50の先端が基板54の面に到達したら引抜くことによりシールドノズル50に付着したスパッタを除去していた。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−001145号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のものでは、銅製のシールドノズル50に対して、研磨部材51は銅より硬いステンレス鋼製のため、研磨部材51がシールドノズル50の内面に当たると、シールドノズル50の内面に傷をつけるため、シールドノズル50の押込み、引抜き操作を安定して行うためノズル誘導、保持用パイプ52を研磨部材51の外側で、同心円上に基台54に固定していた、そのため部品点数が多くなり、組立も面倒であるという問題があった。
【0005】
本発明は、前記の問題を解決し、部品点数が少なく、組立も容易なノズルクリーナを提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明のノズルクリーナは、シールドノズルの内部に、円筒形の研磨部材を押込むことによりシールドノズルに付着したスパッタを除去するアーク溶接ノズルクリーナにおいて、研磨部材をシールドノズルより軟質な材料にて形成し、前記研磨部材に巻回され、前記シールドノズルの先端が当接するコイルばねを、研磨部材の上部を上面より突出した状態に取付けた基台の上面に配置したことを特徴とするものである。
【0007】
前記研磨部材をアルミニュウム或は合成樹脂材にて形成したものであることが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、研磨部材をシールドノズルより軟質な材料にて形成したので、研磨部材がシールドノズル内面に当たっても、シールドノズルが傷つく恐れがなく、構成が簡単で、部品点数も少なく、組立も容易にでき、また、前記研磨部材に巻回され、前記シールドノズルの先端が当接するコイルばねを、研磨部材の上部を上面より突出した状態に取付けた基台の上面に配置したのでシールドノズル先端端面に付着したスパッタも確実に除去できる。
【0009】
請求項2の発明では、前記研磨部材をアルミニュウム或は合成樹脂材にて形成したので、研磨部材が容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態を示す切欠き正面図である。
図2】第1図の使用状態を示す切欠き正面図である。
図3】他の実施の形態を示す切欠き正面図である。
図4図3の要部の平面図である。
図5】さらに他の実施の形態を示す切欠き正面図である。
図6】従来例を示す切欠き正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の形態を示す切欠き正面図であり、図2図1の使用状態を示す切欠き正面図である。図1図2において、1は銅により形成されたシールドノズルであり、シールドノズル1の先端部の内面には、アーク溶接を繰返して行うことによってスパッタ2が付着する。
【0013】
3は、円筒形で、外径がシールドノズル1の内径より若干細径に形成されたスパッタ除去用の研磨部材であり、研磨部材3は、前記シールドノズル1より軟らかい材質のアルミニュームや耐熱性を有するジュラコン、MCナイロン、ポリエチレン、ポリカーボネード等の合成樹脂によって形成されている。
【0014】
4は、四角柱形で、上面5の中央部に挿入穴6を穿設した本体7と本体7の下端に固着された取付板8とからなる基台であり、基台4の挿入穴6に研磨部材3を挿入し、研磨部材3の上部を基台4の上面5より突出した状態に、研磨部材3を基台4にボルト9にて取付けている。
【0015】
10は研磨部材3に巻回され、基台4の本体7の上面5に配置したコイルばねであり、コイルばね10はシールドノズル1を研磨部材3に押込んだとき、シールドノズル1の先端端面が当接するようになっている。
【0016】
11は研磨部材3の下端部に装着され、研磨部材3を常に上方に付勢するコイルばねである。
【0017】
本発明のノズルクリーナは、例えば、本願出願人が平成28年2月17日付で出願した特願2016−042793号に記載のシールドノズルのような、超極圧性能と低摩擦性能を実現した超極圧潤滑剤のコーティング層を形成し、スパッタが超極圧潤滑剤のコーティング層の上に軽く付着しているのみで、スパッタの剥離性の良いシールドノズルに使用するものであり、アルミニュウムや合成樹脂等の軟らかい材質にて形成された研磨部材によって、シールドノズルに付着したスパッタが容易に除去できるものである。
【0018】
このように、超極圧潤滑剤のコーティング層を形成したシールドノズルのようなスパッタの剥離性の良いシールドノズルのスパッタを除去することを目的に、本発明ではシールドノズルを形成する金属より軟らかい材質のアルミニュームや合成樹脂にて研磨部材が形成してある。
【0019】
このようなノズルクリーナにてシールドノズル1のスパッタ2を除去する方法は、ノズルクリーナ1をアーク溶接機の近くに取付板8にて取付固定し、シールドノズル1の先端より、研磨部材3がシールドノズル1の内部に押込まれるようにシールドノズル1を動作し、シールドノズル1の先端端面が、コイルばね10に当接したらシールドノズル1を引抜くように動作してシールドノズル1の内面のスパッタ2を除去する。このとき、シールドノズル1先端端面のスパッタ2もシールドノズル1の先端端面がコイルばね10に当接することによって確実に除去できる。
【0020】
図3は他の実施の形態を示す正面図であり、図4図3の要部平面図である。図3図4において、15は、前記実施の形態と同様に、シールドノズル1より軟らかいアルミニュウムや合成樹脂等によって円筒形に形成された研磨部材であり、研磨部材15にはスパッタ除去用の切削部16が形成されており、切削部16は外表面を軸方向に面取りにて形成し、そのエッジ部17にてスパッタを除去するようになっている。
【0021】
18は、研磨部材15より大径の円柱形に形成した基台であり、基台18は研磨部材15をその切削部15が突出するように保持している。
【0022】
19は電気モータ、空気モータ等の回転駆動体であり、回転駆動体19は回転軸20を基台18の底面に接続して、基台18を介して研磨部材15を回転するものである。
【0023】
21は回転駆動体19を取付ける取付台であり、取付台21にはノズルクリーナを取付ける取付板部22が下端に形成されている。
【0024】
23は研磨部材15や基台18を覆い、上面を開放したカバー部材であり、カバー部材23はシールドノズル1から除去されたスパッタの飛散を防止するものである。
【0025】
このような構成のノズルクリーナを用いて、シールドノズル1のスパッタ2を除去する方法を説明すると、ノズルクリーナをアーク溶接機の近傍に取付台21の取付板部22にて取付固定し、シールドノズル1の先端より研磨部材15がシールドノズル1の内部に押込まれるようにシールドノズル1を押込み、回転駆動体19にて研磨部材15を回転し。シールドノズル1からスパッタ2を効率的に除去する。このとき、除去されたスパッタはカバー部材23の内部に溜まり、カバー部材23の外部に飛散するのを防止している。
【0026】
図5はさらに他の実施の形態を示す切欠き正面図である。図5において、25は前記実施の形態と同様にシールドノズル1より軟らかいアルミニュウムや合成樹脂等によって円筒形に形成された研磨部材である。
【0027】
26は円柱状に形成された手持部であり、手持部26は研磨部材25に一体的に形成されている。尚、手持部26が研磨部25に一体的に形成するとは、一体に形成しても良いし、手持部材26と研磨部材25とを別体に形成し、研磨部材25を手持部26に固着してもよいということである。
【0028】
このような構成のノズルクリーナを用いて、シールドノズル1のスパッタ2を除去する方法を説明すると、作業者が手持部26を持ち、研磨部材25をシールドノズル1の内部に押込み引抜くことによりシールドノズル1のスパッタ2は除去される。
【0029】
以上のように本発明によれば、研磨部材3、15,25をシールドノズル1より軟質な材料にて形成したので、研磨部材3、5、25がシールドノズル1の内面に当たっても、シールドノズル1が傷つく恐れがなく、構成が簡単で、部品点数も少なく、組立も容易に製作でき、また前記研磨部材3、15,25に巻回され、前記シールドノズル1の先端が当接するコイルばね10を、前記基台4の上面に配置したので、シールドノズル1の先端端面に付着したスパッタ2も確実に除去できる。
【0030】
また、前記研磨部材3、15,25をアルミニュウム或は合成樹脂材にて形成したので、研磨部材3、15,25が容易に形成できる。
【符号の説明】
【0031】
1 シールドノズル
2 スパッタ
3 研磨部材
10 コイルばね
25 研磨部材
26 手持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6