(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の平面に沿った平板状のコネクタ端子部材であって、前記平面に沿った所定の方向である第一方向に長尺な筒部本体と、前記筒部本体から第一方向と直交し且つ前記平面に沿った第二方向に沿って延びると共に、第一方向に間隔をあけて並ぶ複数の導通片と、を有するコネクタ端子部材に対し、前記導通片の先端を含む先端側部位が前記筒部本体に対して同じ方向に傾斜するように各導通片が曲げ加工される導通片曲げ工程と、
前記コネクタ端子部材における前記各導通片の前記先端側部位において、厚み方向の一方側の面と該先端側部位の先端面とによって構成される角部が前記先端面がなくならない範囲で面取りされる面取り工程と、
前記導通片曲げ工程及び前記面取り工程の後に、前記導通片の一方側の面が外側を向き、且つ、前記導通片曲げ工程での前記先端側部位の傾斜が先端に近づくにつれて中心軸から離れる方向の傾斜となるように、前記コネクタ端子部材の前記筒部本体が長尺方向の端部同士を対向させた筒状に曲げ加工される筒部形成工程と、を備える、コネクタ端子の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようなコネクタ端子500が筒状のコネクタハウジング600(
図16の二点鎖線で示す部材)に収容される場合、先端側部位504が導通片502、503の先端504aに近づくにつれて中心軸C5から離れる方向に傾斜しているため、コネクタハウジング600内へ挿入する時に、各導通片502、503の先端504aがコネクタハウジング600の内周面601に当接しやすい。この導通片502、503先端504aは、上述のように断面が略直角となる角部505となっているため、コネクタ端子500がコネクタハウジング600に収容されるときに、角部505が内周面601に引っかかり、挿入抵抗が大きくなる場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、コネクタハウジングへの挿入抵抗が抑えられたコネクタ端子、前記コネクタ端子を備えるコネクタ、及び前記コネクタ端子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコネクタ端子は、相手側端子ピンが挿抜される接続部を備え、前記接続部は、前記相手側端子ピンの挿抜方向に延びる中心軸周りに間隔をあけて並ぶ複数の導通片を有し、各導通片は、前記相手側端子ピンが挿入されたときに該相手側端子ピンと接触する内側面を前記中心軸に向けた状態で前記相手側端子ピンの抜去方向に延びる板状であり、前記各導通片の先端を含む先端側部位は、前記先端に近づくにつれて前記中心軸から離れるように傾斜し、前記先端側部位の表面は、先端面と、前記内側面の反対側の面である外側面と、前記先端面と前記外側面とを接続し且つ前記先端面及び前記外側面に対して傾斜する接続面と、を含む。
【0008】
かかる構成によれば、導通片の先端側部位が先端に向かうにつれて外側に開く方向に傾斜(先端に近づくにつれて前記中心軸から離れる方向に傾斜)しているため、該コネクタ端子がコネクタハウジング(以下、単に「ハウジング」と称することもある。)の端子収容部に挿入される際に該端子収容部を規定するハウジングの筒状の内周面に当接しやすいが、導通片の先端において外側のエッジが面取りされた形状である(先端側部位の表面において先端面と外側面との間の接続面が該先端面及び該外側面に対して傾斜している)ため、コネクタ端子をハウジングに挿入する際に導通片の先端が該ハウジングの内周面に当接しても引っかかり難く、これにより、ハウジングへの挿入抵抗が効果的に抑えられる。
【0009】
また、本発明に係るコネクタは、上記のコネクタ端子と、前記相手側端子ピンが挿入可能な端子挿入口及び前記端子挿入口と反対側の基端側開口を通じて外部と連通し、且つ、前記各導通片の前記先端側部位を前記端子挿入口に向けた状態で前記コネクタ端子を収容する端子収容部を有するコネクタハウジングと、を備え、前記端子収容部は、前記接続部の周囲を囲った状態で前記端子挿入口側に延びる筒状内周面を有する。
【0010】
かかる構成によれば、導通片の先端において外側のエッジが面取りされた形状であるため、相手側端子ピンが挿抜される際に、導通片の先端がハウジングの筒状内周面に対して挿抜方向に摺動したときの筒状内周面の損傷が抑えられる。
【0011】
しかも、導通片の先端において外側のエッジが面取りされた状態であることで、導通片の先端がハウジングの筒状内周面に対して相手側端子ピンの挿抜方向に摺接するときの引っかかりも抑えられるため、相手側端子ピンの挿抜時(挿入時又は抜去時)の抵抗が前記引っかかりに起因して大きくなり過ぎることを防ぐこともできる。
【0012】
また、本発明に係るコネクタ端子の製造方法は、所定の平面に沿った平板状のコネクタ端子部材であって、前記平面に沿った所定の方向である第一方向に長尺な筒部本体と、前記筒部本体から第一方向と直交し且つ前記平面に沿った第二方向に沿って延びると共に、第一方向に間隔をあけて並ぶ複数の導通片と、を有するコネクタ端子部材に対し、前記導通片の先端を含む先端側部位が前記筒部本体に対して同じ方向に傾斜するように各導通片が曲げ加工される導通片曲げ工程と、前記コネクタ端子部材における前記各導通片の前記先端側部位において、厚み方向の一方側の面と該先端側部位の先端面とによって構成される角部が面取りされる面取り工程と、前記導通片曲げ工程及び前記面取り工程の後に、前記導通片の一方側の面が外側を向き、且つ、前記導通片曲げ加工での前記先端側部位の傾斜が先端に近づくにつれて中心軸から離れる方向の傾斜となるように、前記コネクタ端子部材の前記筒部本体が長尺方向の端部同士を対向させた筒状に曲げ加工される筒部形成工程と、を備える。
【0013】
かかる製造方法によれば、各導通片の先端側部位が先端に近づくにつれて中心軸から離れるように傾斜し、且つ、導通片の先端の外側のエッジが面取りされた状態のコネクタ端子、即ち、コネクタハウジングへの挿入抵抗が抑えられたコネクタ端子が得られる。
【0014】
この場合、前記面取り工程は、前記導通片曲げ工程より先に行われ、該面取り工程では、前記各導通片の先端側部位における面取り後の面が同一平面上に位置するように前記各導通片の先端側部位の面取りが同じタイミングで行われるのが好ましい。
【0015】
このように、傾斜させる前の複数の導通片の各先端のエッジを、同じタイミングで且つ各導通片の面取り後の面が同一平面上に位置するように面取りすることで、導通片毎に面取りする量を変えたり、導通片毎に面取りの角度を変えたりする場合に比べ、面取り工程が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
以上より、本発明によれば、コネクタハウジングへの挿入抵抗が抑えられたコネクタ端子、前記コネクタ端子を備えるコネクタ、及び前記コネクタ端子の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、
図1〜
図11を参照しつつ説明する。
【0019】
本実施形態に係るコネクタは、
図1及び
図2に示すように、電線が接続されるコネクタ端子2と、コネクタ端子2を収容するコネクタハウジング(以下、単に「ハウジング」と称する。)5と、を備える。本実施形態のコネクタ1は、雌型のコネクタであり、雄型のコネクタ等の相手側端子ピンP(
図7参照)が接続される。
【0020】
コネクタ端子2は、
図3〜
図5にも示すように、相手側端子ピンP(
図7参照)が挿抜される接続部4を備える。具体的に、コネクタ端子2は、いわゆるコンタクトであり、電線が接続可能な端子基部3と、端子基部3と接続され且つ相手側端子ピンPが挿入されることで該相手側端子ピンPと導通する接続部4と、を有する。本実施形態のコネクタ端子2は、導電性を有する金属製の平板を所定の形状に打ち抜いたもの(以下、「コネクタ端子部材2F」と称する。:
図6参照)を、中心線C1と平行な軸を中心軸Cとして筒状に曲げ加工等することによって形成されている。本実施形態のコネクタ端子2は、リン青銅によって形成されているが、真鍮、洋白、メッキ処理されたSUS等によって形成されていてもよい。以下では、中心軸C方向において、接続部4側(
図2における左側)を先端側とし、端子基部3側(
図2における右側)を基端側とする。
【0021】
端子基部3は、中心軸C方向に延びる板状の基部本体31と、基部本体31から延びる複数の導体カシメ片32と、基部本体31における導体カシメ片32より基端側の部位から延びる一対の被覆部カシメ片33と、を有する。
【0022】
導体カシメ片32は、電線の先端において露出する芯線(導体)を抱き込むようにかしめられることで、該芯線を基部本体31に圧着させる部位である。
【0023】
被覆部カシメ片33は、電線の前記露出した芯線近傍の絶縁被覆されている部位を基部本体31との間に挟み込むようにかしめられることで、電線に対してコネクタ端子2を固定する部位である。
【0024】
複数の導体カシメ片32のそれぞれは、コネクタ端子部材2F(前記曲げ加工等が行われる前の状態のコネクタ端子2:
図6に示す部材)において、基部本体31の幅方向(中心線C1と直交する方向:
図6における上下方向)の両側から該幅方向の外側に向けて延びている。本実施形態のコネクタ端子2では、幅方向の一方側(
図6の上側)の導体カシメ片32と他方側(
図6の下側)の導体カシメ片32とが、中心線C1方向にずれた位置から交互に延びている(即ち、互い違いに配置されている)。
【0025】
一対の被覆部カシメ片33のそれぞれは、コネクタ端子部材2Fの基部本体31において、導体カシメ片32に対して中心線C1方向の基端側に隣接する位置から前記幅方向の外側に向けて延びている。前記幅方向の一方側の被覆部カシメ片33と他方側の被覆部カシメ片33とは、中心線C1方向において同じ位置から延びている。
【0026】
これら基部本体31、導体カシメ片32、及び被覆部カシメ片33が形成されているコネクタ端子部材2Fの一部を、基部本体31が湾曲するように曲げ加工することによって、端子基部3が形成されている。
【0027】
接続部4は、相手側端子ピンPの挿抜方向に延びる中心軸C周りに間隔をあけて並ぶ複数の弾性接触片(導通片)42を有する。具体的に、接続部4は、基部本体31と連接する筒部41も有し、複数の弾性接触片42は、筒部41から延びる。この接続部4は、複数の弾性接触片42に囲まれた領域A(
図5参照)に相手側端子ピンPが挿入されることで(
図7参照)、該相手側端子ピンPと導通可能に接続される(嵌合する)。本実施形態の弾性接触片42は、三つである。
【0028】
筒部41は、中心軸Cを囲む筒部本体(周壁)411と、筒部本体411から外側に延びてハウジング5と係合するランス412と、を有する。本実施形態の筒部41は、周方向の対向する位置に一対のランス412を有する。また、この筒部41は、筒部本体411の基端から中心軸Cに向けて延びる規制片413も有する(
図4参照)。
【0029】
筒部本体411は、相手側端子ピンPとコネクタ1とが嵌合したときに相手側端子ピンPの先端部が内側(該筒部本体411に囲まれた領域)に位置する部位である(
図7参照)。本実施形態の筒部本体411は、コネクタ端子部材2Fにおいて中心線C1と直交する方向に長い矩形板状の部位であり(
図6参照)、この部位を、中心軸Cを中心にして且つ長手方向の端部同士を対向させるように全体を湾曲させて筒状とすることにより形成されている。本実施形態の筒部本体411は、円筒状である。
【0030】
一対のランス412のそれぞれは、基端側開口5B(
図2参照)からハウジング5の内部にコネクタ端子2を挿入して所定位置まで移動させたときに、ハウジング5の内部に設けられた係合部(後述するランス係合部55:
図2参照)と係合する。これにより、コネクタ端子2がハウジング5内に係止され、その結果、ハウジング5の内部におけるコネクタ端子2の基端側への移動が阻止される。
【0031】
具体的に、一対のランス412のそれぞれは、筒部本体411から突出し、基端側に向かうに連れて中心軸Cから離れるように中心軸Cに対して傾斜している。これら一対のランス412のそれぞれは、先端をハウジング5の内周面50に当接させている。本実施形態のランス412では、一対の端縁412a、412bの間隔がランス412の基端から先端に向かうにつれて接近している(狭くなっている:
図3及び
図6参照)。
【0032】
以上のランス412は、コネクタ端子部材2Fの筒部本体411において、基端側の端縁から先端側に向けて延び、且つ中心線C1と直交する方向に間隔をあけた一対の切り込み411A間の部位(
図6参照)を外側に起こすことによって形成されている。
【0033】
規制片413は、相手側端子ピンPとコネクタ1とを嵌合させるときに、相手側端子ピンPの先端のそれ以上奥への(コネクタ1の基端側への)侵入を防ぐ。即ち、規制片413は、中心軸Cに沿って移動する相手側端子ピンPが筒部本体411内に侵入してきたときに、この相手側端子ピンPの先端が当該規制片413に当接することで、該先端のそれ以上の奥への移動を防ぐ。また、この規制片413は、ハウジング5にコネクタ端子2を挿入する際に用いられる。即ち、本実施形態のコネクタ端子2は、規制片413が押圧されることによってハウジング5に挿入(圧入)される。
【0034】
この規制片413は、コネクタ端子部材2Fの筒部本体411において基端側の端縁から中心線C1方向に延びる部位413が筒部本体411が筒状になった状態で中心軸Cに向けて折れ曲がることで形成されている。本実施形態の接続部4では、複数(本実施形態に示す例では二つ)の規制片413が、筒部本体411の周方向に間隔をあけて配置されている。
【0035】
複数の弾性接触片(導通片)42のそれぞれは、中心軸Cに沿って延び、ハウジング5の端子挿入口5A(
図2参照)から挿入された相手側端子ピンPに押圧されることで弾性変形する。各弾性接触片42は、相手側端子ピンPが挿入されたときに該相手側端子ピンPと接触する内側面42Aを中心軸Cに向けた状態(
図4及び
図5参照)で筒部41(筒部本体411)から相手側端子ピンPの抜去方向(
図2における左側)に延びる板状である。この弾性接触片42の先端4251を含む先端側部位425は、基端側から先端4251に近づくにつれて中心軸Cから離れるように傾斜している。これら複数の弾性接触片42は、中心軸Cを中心とする円周上において間隔をあけて並んでいる。各弾性接触片42の具体的な構成は、以下の通りである。
【0036】
各弾性接触片42は、筒部41から延びる弾性変形可能な板状の部位であり、内側面(厚さ方向と直交する面)42A(
図4及び
図5参照)を中心軸Cに向けた状態で中心軸C周りに等間隔で並んでいる。この弾性接触片42は、中心軸C方向に間隔をあけた二つの屈曲部(第一屈曲部421、第二屈曲部422)を有する(
図3、
図4、及び
図8参照)。以下では、弾性接触片42における第一屈曲部421より基端側の部位を基端側部位423と称し、第一屈曲部421と第二屈曲部422との間の部位を接触部位424と称し、第二屈曲部422より先端側の部位を先端側部位425と称する。
【0037】
基端側部位423は、接触部位424から端子基部3側に延びると共に端子基部3と直接又は間接に接続される。本実施形態の基端側部位423は、筒部41を介して端子基部3と接続される。即ち、基端側部位423は、接触部位424と筒部41(詳しくは、筒部本体411)とを接続する。この基端側部位423は、接触部位424から基端側に向かうに連れて中心軸Cから離れるように、中心軸Cに対して傾斜している(
図2、
図4、及び
図8参照)。
【0038】
接触部位424は、相手側端子ピンPが端子挿入口5Aから挿入されたときに、該相手側端子ピンPと接触(導通)する部位である。この接触部位424は、撓んでいる。詳しくは、接触部位424は、中心軸Cに沿って延びると共に中心軸Cに向けて膨らむように湾曲する(
図8参照)。この湾曲によって、中心軸Cを中心とし且つ各接触部位424における最も中心軸Cに近づいている部位と接する内接円α(
図5参照)は、相手側端子ピンPの外周よりも小さくなっている。このため、相手側端子ピンPが弾性接触片42に囲まれた領域Aに挿入されると、各接触部位424は中心軸Cから離れる方向に押し広げられて弾性変形する(湾曲状態から直線状に伸びる)。本実施形態の接触部位424は、基端が先端より中心軸Cに近くなるように配置されている。尚、実際の接触部位424の湾曲(撓み)は、僅かであるため、
図8に示す模式図では、接触部位424の湾曲度合い(撓み度合い)を誇張して表している。
【0039】
先端側部位425は、接触部位424の先端(基端側部位423と反対側の端部)から延びると共に、中心軸Cと直交する方向において接触部位424より外側に位置する。具体的に、先端側部位425は、接触部位424から先端側に向かうに連れて中心軸Cから離れるように、中心軸Cに対して傾斜している(
図2、
図4、及び
図8参照)。
【0040】
本実施形態の先端側部位425における先端側の端縁(輪郭)は、湾曲形状(アール形状)である。この湾曲形状の曲率、曲率半径等は、ハウジング5の内周面50の形状(中心軸cと直交する断面)に基づいて設定されている。
【0041】
また、先端側部位425の表面は、弾性接触片42(先端側部位425)の先端面4251Aと、弾性接触片42における内側面42Aと反対側の面である外側面42B(詳しくは、外側面42Bにおける先端部位425に対応する領域)と、先端面4251Aと外側面42Bとを接続し且つ先端面4251A及び外側面42Bに対して傾斜する接続面(面取り後の面)4252と、を含む(
図2、
図4、及び
図5参照)。本実施形態の接続面4252は、先端面4251Aを残すように面取りすることによって形成された面であり、先端側部位425における少なくともハウジング5の内周面50に当接する領域に設けられている。本実施形態の接続面4252は、コネクタ端子2がハウジング5に収容されていない状態で、断面が中心軸Cと平行又は略平行となるように、面取りにより形成された面である(
図4参照)。
【0042】
この先端側部位425は、相手側端子ピンPがハウジング5の端子挿入口5Aから挿入され、接触部位424が弾性変形することによって、その先端4251側の端部をハウジング5の内周面50(詳しくは、第一部位51)に接触させた状態で先端側に移動する、即ち、ハウジング5の内周面50に対して先端側に向けて摺動する(
図2及び
図7参照)。この摺動の際に、弾性接触片42における内周面50と摺接する部位が、接続面4252又は接続面4252と外側面42Bとの境界部位(断面が鈍角となっている角部42C)である。
【0043】
以上のように構成されるコネクタ端子2は、接続部4を端子挿入口5Aに向けた状態でハウジング5に収容されている(
図2参照)。
【0044】
ハウジング5は、
図1、
図2、及び
図7〜
図9に示すように、端子挿入口5Aと該端子挿入口5Aと反対側の基端側開口5Bとを通じて外部と連通し、且つ、各弾性接触片42の先端側部位425を端子挿入口5Aに向けた状態でコネクタ端子2を収容する端子収容部6を有する。この端子収容部6は、接続部4の周囲を囲った状態で端子挿入口5A側に延びる筒状の内周面50を有する。具体的には、以下の通りである。
【0045】
本実施形態のハウジング5は、中心軸cを有する筒状であり、絶縁性を有する樹脂によって形成されている。ハウジング5は、内周面50を有し、内周面50は、コネクタ端子2が収容される空間(収容空間)Sを画定する。本実施形態の端子収容部6は、これら内周面50と収容空間Sとを含む。また、端子挿入口5Aは、ハウジング5の先端において、中心軸c方向に外部と収容空間Sを連通させる開口であり、基端側開口5Bは、ハウジング5の基端において、中心軸c方向に外部と収容空間Sとを連通させる開口である。
【0046】
本実施形態の内周面50では、中心軸c方向の各位置における断面(中心軸cと直交する面方向の断面)が円形又は略円形である。この内周面50は、径の異なる複数の部位を有する。具体的には、先端側から基端側に向かって順に、径の最も小さな第一部位51と、第一部位51より径の大きな第二部位52と、第二部位52より径の大きな第三部位53と、を有する。
【0047】
第一部位51は、内周面50において複数の弾性接触片42の周囲を囲う部位であり、第二部位52は、内周面50において筒部41の周囲を囲う部位であり、第三部位53は、内周面50において端子基部3の周囲を囲う部位である。第一部位51と第二部位52とは、先端側に向かうに連れて縮径する縮径部54によって接続されている。また、第二部位52と第三部位53とは、ランス係合部55によって接続されている。これら内周面50を構成する各部位51〜55の中心軸は、一致している。本実施形態の内周面50では、第一部位51と縮径部54との境界部位(角部)がコネクタ端子2の弾性接触片42における基端側部位423に当接している。
【0048】
ランス係合部55は、接続部4(詳しくは、筒部本体411)のランス412と対応する位置に配置されている。このランス係合部55は、中心軸c方向において部分的に設けられた径の小さな部位(中心軸c側に盛り上がった部位)である。具体的に、ランス係合部55は、第三部位53の端部から先端側に向かうに連れて縮径し、第二部位52より径が小さくなった後、先端側に向かうにつれて拡径している部位である。
【0049】
第三部位53の基端部は、ハウジング5の基端部に形成されている基端側開口5Bを画定する。この基端側開口5Bを通じて、ハウジング5の収容空間Sと外部空間とは連通している。
【0050】
また、ハウジング5は、先端において端子挿入口5Aを画定する壁部(先端壁部)70を有する。この端子挿入口5Aを通じても、ハウジング5の収容空間Sと外部空間とは連通している。
【0051】
以上のコネクタ1は、以下のように製造されたコネクタ端子2がハウジング5の端子収容部6に収容されることで、形成される。
【0052】
板状の導電性を有する部材が型抜き等されることによってコネクタ端子部材2Fが形成される。続いて、コネクタ端子部材2Fの弾性接触片42の先端部に対して接続面4252を形成するための面取り工程が行われる。
【0053】
この面取り工程では、
図10に示すように、コネクタ端子部材2Fにおける各弾性接触片42の先端側部位425において、厚み方向の一方側の面(コネクタ端子2の弾性接触片42における外側面となる面)42Bと該先端側部位425の先端面4251Aとによって構成される角部4253が面取りされる(削られる)。この面取りでは、先端面4251Aがなくならない範囲で、角部4253が削られる。
【0054】
本実施形態の面取り工程では、各弾性接触片42の先端側部位425における面取り後の面(接続面)4252が同一平面上に位置するように(即ち、コネクタ端子部材2Fを弾性接触片42の並び方向から見たときに、各接続面(面取りによって形成される面)4252が一致して重なるように)、各弾性接触片42の先端側部位425の面取りが同じタイミングで(同時に)行われる。
【0055】
続いて、弾性接触片42の曲げ工程が行われる。即ち、本実施形態のコネクタ端子2の製造方法では、面取り工程の後に、弾性接触片(導通片)曲げ工程が行われる。この曲げ工程では、
図11に示すように、コネクタ端子部材2Fにおいて弾性接触片42の先端側部位425が筒部本体411に対して同じ方向に傾斜するように各弾性接触片42が曲げ加工される。具体的に曲げ工程では、真っ直ぐな状態の弾性接触片42に二つの屈曲部(第一屈曲部421と第二屈曲部422)が形成されると共に、接触部位424が内側面42A側に膨出するように(即ち、コネクタ端子2が形成されたときに中心軸C側に膨出するように)湾曲させられる。このとき、コネクタ端子部材2Fの筒部本体411に設けられた一対の切り込み411A間の部位(
図6参照)が筒部本体411に対して傾斜するように起こされる(折り曲げられる)ことでランス412も形成される。また、コネクタ端子部材2Fの筒部本体411において基端側の端縁から中心線C1方向に延びる部位(コネクタ端子2における規制片413に相当する部位)413が折り曲げられることで、規制片413も形成される。
【0056】
弾性接触片42、ランス412、規制片413等の曲げ加工(曲げ工程)が行われた後、コネクタ端子部材2Fの基部本体31、導体カシメ片32、及び被覆部カシメ片33が形成されている部位において、基部本体31が湾曲するように曲げ加工することによって、端子基部3が形成される。また、コネクタ端子部材2Fの筒部本体411が中心軸Cを中心にして且つ長手方向の端部同士を対向させるように全体が湾曲させられて円筒状となることで、筒部41が形成される。
【0057】
以上によりコネクタ端子2が完成し、このコネクタ端子2がハウジング5に収容されることで、コネクタ1が形成される。
【0058】
具体的に、コネクタ端子2は、弾性接触片34の先端4251側から、基端側開口5Bを通じて端子収容部6に挿入される。このコネクタ端子2のハウジング5への挿入時において、弾性接触片34の先端側部位425がハウジング5の内周面50(例えば、第一部位51やランス係合部55)に摺接するが、挿入方向(中心軸Cの延びる方向)に平行又は略平行な接続面4252や、接続面4252と外側面42Bとの境界部位(断面が鈍角となっている角部)42Cが摺接するため、面取りされていない弾性接触片の先端の角部(断面が直角又は略直角な角部)が摺接する場合に比べ、挿入抵抗が抑えられる。また、内周面50も傷付き難い。
【0059】
本実施形態のコネクタ端子2によれば、弾性接触片42の先端側部位425が先端4251に向かうにつれて外側に開く方向に傾斜(先端4251に近づくにつれて中心軸Cから離れる方向に傾斜)している。このため、該コネクタ端子2がハウジング5の端子収容部6に挿入される際に該端子収容部6を規定する筒状の内周面50に当接しやすい。しかし、弾性接触片42の先端4251において外側のエッジ4253(
図10参照)が面取りされた状態である(即ち、先端側部位425の表面において先端面4251Aと外側面42Bとの間の接続面4252が該先端面4251A及び該外側面42Bに対して傾斜している)ため、コネクタ端子2をハウジング5に挿入する際に弾性接触片42の先端4251が該ハウジング5の内周面50に当接しても引っかかり難い。これにより、本実施形態のコネクタ端子2によれば、ハウジング5への挿入抵抗が効果的に抑えられる。
【0060】
また、本実施形態のコネクタ1では、弾性接触片42の先端4251において外側のエッジ4253が面取りされた状態である。このため、相手側端子ピンPが挿抜される際に、弾性接触片42の先端4251がハウジング5の筒状の内周面50に対して挿抜方向に摺動したときの内周面50の損傷が抑えられる。
【0061】
しかも、弾性接触片42の先端4251において外側のエッジ4253が面取りされた状態であることで、弾性接触片42の先端4251がハウジング5の内周面50に対して相手側端子ピンPの挿抜方向に摺接するときの引っかかりも抑えられる。このため、相手側端子ピンPの挿抜時(挿入時又は抜去時)の抵抗が前記引っかかりに起因して大きくなり過ぎることを防ぐこともできる。
【0062】
また、本実施形態のコネクタ端子2の製造方法では、面取り工程が弾性接触片曲げ工程より先に行われ、面取り工程では、各弾性接触片42の先端側部位425における面取り後の面(接続面)4252が同一平面上に位置するように各弾性接触片42の先端側部位425の面取りが同じタイミングで行われる。このように、コネクタ端子部材2Fにおける傾斜させる前の複数の弾性接触片42の各先端4251のエッジ4253(
図10参照)を、同じタイミングで且つ各弾性接触片42の面取り後の面4252が同一平面上に位置するように面取りすることで、弾性接触片42毎に面取りしたり、弾性接触片42毎に面取りする量を変えたり、弾性接触片42毎に面取りの角度を変えたりする場合に比べ、面取り工程が容易になる。
【0063】
尚、本発明のコネクタ端子、コネクタ、及びコネクタ端子の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0064】
上記実施形態の弾性接触片42の先端4251は、湾曲形状(アール形状)であるがこの構成に限定されない。例えば、弾性接触片42の先端4251は、
図12に示すように、外側面42Bの法線方向から見て二つの直角な角部4251bを有する形状でもよく、
図13に示すように、二つのアール状の隅部4251cを有する、即ち、アール状の隅部4251cの間に直線状の部位を有する形状でもよい。弾性接触片42の先端4251がこれらのような形状であっても、弾性接触片42の先端4251に接続面4252が形成されていれば、コネクタ端子2のハウジング5への挿入抵抗を抑えることができる。また、相手側端子ピンPの挿抜(挿入又は抜去)に伴うハウジング5内部での弾性接触片42の弾性変形による先端4251の内周面50への摺動に起因する損傷の発生も抑えられる。
【0065】
上記実施形態の弾性接触片42では、接続面4252が先端側部位425の幅方向(弾性接触片42が延びる方向と直交する方向)の全域に形成されているが、この構成に限定されない。
図14に示すように、接続面4252は、弾性接触片42の先端4251における幅方向の端部に形成されていてもよい。
【0066】
上記実施形態のコネクタ端子2では、各弾性接触片42の接続面4252が同じ形状であるが、この構成に限定されない。弾性接触片42毎に、接続面4252が形成されている範囲や外側面42Bや先端面4251Aに対する角度等が異なっていてもよい。
【0067】
上記実施形態のコネクタ端子2では、各弾性接触片42の接続面4252が面取り加工によって形成されているが、この構成に限定されない。接続面4252は、最初から形成されている構成、例えば、鋳造等によってコネクタ端子部材2Fが形成された時点で形成されている構成等であってもよい。
【0068】
上記実施形態のコネクタ端子2の製造方法では、コネクタ端子部材2F(曲げ加工前の平板状のコネクタ端子2)の各弾性接触片42の接続面4252が同一平面上に位置するように、各弾性接触片42の先端4251のエッジ4253(
図10参照)が一斉に面取りされるが、この構成に限定されない。弾性接触片42毎にエッジ4253の面取りが行われてもよい。
【0069】
また、面取り工程が行われるタイミングは、限定されない。例えば、コネクタ端子部材2Fの筒部本体411が円筒状になるように曲げ加工された後に、各弾性接触片42のエッジ4253の面取りが行われてもよい。