(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1ヒータと、前記第1ヒータよりも高い抵抗値の第2ヒータと、を有し、給水源から供給された洗浄水を前記第1ヒータ及び前記第2ヒータのみによって加熱する洗浄水加熱部と、
前記洗浄水加熱部を介して供給された洗浄水を噴出する噴出ノズルと、
前記第1ヒータ及び前記第2ヒータに供給する電力を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、供給電源から供給される交流電力の正弦波に対する半波を1単位とし、この半波単位で前記第1ヒータ及び前記第2ヒータへの通電と非通電とを切り替え、前記半波単位を複数組み合わせて総電力を制御するパターン制御方式で前記第1ヒータ及び前記第2ヒータへの通電制御を実行するとともに、前記パターン制御において前記第1ヒータ及び前記第2ヒータに同時に通電可能であり、
前記制御部は、
前記第2ヒータの定格容量以下の低出力帯の制御と、
前記第2ヒータの定格容量よりも大きく、前記第1ヒータの定格容量以下の中出力帯の制御と、
前記第1ヒータの定格容量よりも大きく、前記第1ヒータの定格容量と前記第2ヒータの定格容量との合計の容量以下の高出力帯の制御と、
を有し、
前記制御部は、前記中出力帯の制御において、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータのそれぞれに対して同時に前記パターン制御を実行する場合に、前記第2ヒータに電力を供給した半波の次の半波で前記第1ヒータに電力を供給し、
前記制御部は、前記高出力帯の制御において、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータに同時に電力を供給する半波の1つ前の半波を、前記第1ヒータのみに電力を供給する半波又は前記第1ヒータ及び前記第2ヒータに同時に電力を供給する半波とすることを特徴とする衛生洗浄装置。
前記制御部は、必要となる出力が、前記第2ヒータの定格容量よりも大きく、前記第1ヒータの定格容量以下の時に、前記第1ヒータ及び前記第2ヒータのそれぞれに対して同時に前記通電制御を実行することを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図1に表したように、衛生洗浄装置100は、洗浄水加熱部440と、噴出ノズル473と、制御部405と、を備える。なお、
図1では、衛生洗浄装置100の水路系の要部構成と電気系の要部構成とを併せて表している。
【0024】
洗浄水加熱部440は、第1ヒータ441と第2ヒータ442とを有する。第2ヒータ442の抵抗値は、第1ヒータ441の抵抗値よりも高い。洗浄水加熱部440は、給水源10から供給された洗浄水を第1ヒータ441及び第2ヒータ442のみによって加熱する。
【0025】
噴出ノズル473は、先端部に設けられた噴出口474を有する。噴出ノズル473は、洗浄水加熱部440を介して供給された洗浄水を噴出口474から噴出して、例えば図示しない便座に座った使用者の人体(例えば「おしり」など)を洗浄する。
【0026】
例えば、
図1に表したように、本実施形態にかかる衛生洗浄装置100は、水道や貯水タンクなどの給水源10から供給された水を噴出ノズル473の噴出口474に導く流路20を有する。流路20の上流側には、電磁弁431が設けられている。電磁弁431は、開閉可能な電磁バルブであり、制御部405からの指令に基づいて水の供給を制御する。つまり、電磁弁431は、給水源10から供給される水の噴出ノズル473への給水と止水とを切り替える。
【0027】
電磁弁431の下流には、洗浄水加熱部440が設けられている。洗浄水加熱部440は、第1ヒータ441及び第2ヒータ442により、給水源10から供給された水を加熱して例えば規定の温度まで昇温させる。洗浄水加熱部440は、給水源10から供給された水を、設定された温度の温水に変換する。
【0028】
本実施形態の洗浄水加熱部440は、筒状形状のセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器である。第1ヒータ441、第2ヒータ442は、セラミックヒータに設けられたヒータパターンである。使用者は、操作部500を操作することにより温水温度を設定することができる。
【0029】
洗浄水加熱部440の下流には、流量の調整を行う流量切替弁471と、噴出ノズル473やノズル洗浄室478への給水の開閉や給水先の切替を行う流路切替弁472と、が設けられている。流量切替弁471は、噴出ノズル473を流れる水の流量を調整する。流路切替弁472は、給水先(流路の接続先)を噴出ノズル473およびノズル洗浄室478のいずれかに切り替えることができる。流量切替弁471および流路切替弁472は、1つのユニットとして設けられていてもよい。
【0030】
流量切替弁471および流路切替弁472の下流には、噴出ノズル473が設けられている。噴出ノズル473は、ノズルモータ476からの駆動力を受け、便器のボウル内に進出したり、ケーシングの内部に後退することができる。つまり、ノズルモータ476は、制御部405からの指令に基づいて噴出ノズル473を進退させることができる。
【0031】
ノズル洗浄室478は、その内部に設けられた図示しない吐水部から殺菌水あるいは水を噴射することにより、噴出ノズル473の外周表面(胴体)を殺菌あるいは洗浄することができる。あるいは、ノズル洗浄室478は、収納された状態の噴出ノズル473の噴出口474の部分を殺菌あるいは洗浄することができる。
【0032】
制御部405は、電源回路401を介して供給電源30から電力を供給され、操作部500などからの信号に基づいて電磁弁431や、洗浄水加熱部440や、流量切替弁471や、流路切替弁472や、ノズルモータ476の動作を制御することができる。例えば、制御部405は、供給電源30から洗浄水加熱部440の第1ヒータ441及び第2ヒータ442に供給する電力を制御する。
【0033】
供給電源30は、例えば、交流電源である。供給電源30は、例えば、AC100V(実効値)の商用電源である。電源回路401は、供給電源30から供給された交流電力を直流電力に変換し、変換後の直流電力を制御部405に供給する。一方、電源回路401は、洗浄水加熱部440の第1ヒータ441及び第2ヒータ442には、交流電力を供給する。
【0034】
図2は、実施形態に係る衛生洗浄装置の一部を表す回路図である。
図2に表したように、電源回路401は、一対の入力端子401a、401bと、一対の出力端子401c、401dと、を有する。電源回路401は、例えば、入力端子401a、401bから入力された交流電力を出力端子401c、401dからそのまま出力する。電源回路401は、例えば、電圧変換などを行い、変換後の交流電力を出力端子401c、401dから出力してもよい。
【0035】
衛生洗浄装置100は、制御基板450と、温度ヒューズ454と、をさらに備える。制御基板450は、第1スイッチング素子451と、第2スイッチング素子452と、を有する。制御基板450及び温度ヒューズ454は、洗浄水加熱部440に設けてもよいし、洗浄水加熱部440とは別に設けてもよい。
【0036】
第1スイッチング素子451及び第2スイッチング素子452は、例えば、一対の主端子と制御端子とを有し、制御端子に入力される信号により、一対の主端子間に流れる電流のオン・オフを切り替える。第1スイッチング素子451及び第2スイッチング素子452には、例えば、トライアックが用いられる。第1スイッチング素子451及び第2スイッチング素子452は、例えば、電流のオン・オフを制御でき、かつ電流を双方向に流すことができる任意の素子でよい。第1スイッチング素子451及び第2スイッチング素子452は、例えば、機械式のリレーなどでもよいし、複数の半導体スイッチなどを組み合わせて構成してもよい。
【0037】
第1ヒータ441及び第2ヒータ442は、例えば、一対の端子間に電流を流すことによって発熱する。第1ヒータ441及び第2ヒータ442は、例えば、抵抗体である。
【0038】
洗浄水加熱部440の定格容量は、第1ヒータ441の定格容量と第2ヒータ442の定格容量との和で求められる。洗浄水加熱部440の定格容量は、例えば、1200Wである。この場合、第2ヒータ442の定格容量は、例えば、350W以上400W以下である。第1ヒータ441の定格容量は、例えば、800W以上850W以下である。このように、第1ヒータ441及び第2ヒータ442の定格容量は、約1:2に設定される。第2ヒータ442の抵抗値は、例えば、第1ヒータ441の抵抗値の2倍以上2.5倍以下に設定される。これにより、例えば、第1スイッチング素子451の耐圧の増加を抑制することができる。例えば、第1スイッチング素子451と第2スイッチング素子452とに実質的に同じ素子を用いることができる。
【0039】
温度ヒューズ454の一端は、電源回路401の出力端子401cに接続されている。温度ヒューズ454の他端は、第1ヒータ441の一端、及び第2ヒータ442の一端に接続されている。このように、第1ヒータ441及び第2ヒータ442は、温度ヒューズ454を介して電源回路401の出力端子401cに接続される。第1ヒータ441及び第2ヒータ442は、電源回路401の出力端子401cに対して並列に接続される。
【0040】
温度ヒューズ454は、洗浄水加熱部440の温度が所定の温度以上になった場合に、電源回路401と各ヒータ441、442との間の経路を開放し、各ヒータ441、442への電力供給を遮断する。これにより、温度ヒューズ454は、洗浄水加熱部440が所定の温度以上に発熱することを抑制する。温度ヒューズ454は、例えば、洗浄水加熱部440の空焚きを抑制する。
【0041】
第1ヒータ441の他端は、第1スイッチング素子451の一方の主端子に接続されている。第2ヒータ442の他端は、第2スイッチング素子452の一方の主端子に接続されている。
【0042】
第1スイッチング素子451の他方の主端子は、電源回路401の出力端子401dに接続されている。第2スイッチング素子452の他方の主端子は、電源回路401の出力端子401dに接続されている。
【0043】
これにより、第1スイッチング素子451をオン状態にすることで、第1ヒータ441に電流が流れ、第1ヒータ441が発熱する。同様に、第2スイッチング素子452をオン状態にすることで、第2ヒータ442に電流が流れ、第2ヒータ442が発熱する。
【0044】
第1スイッチング素子451及び第2スイッチング素子452のそれぞれの制御端子は、制御部405に接続されている。制御部405は、第1スイッチング素子451及び第2スイッチング素子452のオン・オフを制御する。第1スイッチング素子451及び第2スイッチング素子452にトライアックが用いられている場合、制御部405は、より詳しくは、第1スイッチング素子451及び第2スイッチング素子452のオンタイミングを制御する。制御部405は、第1スイッチング素子451及び第2スイッチング素子452のオン・オフにより、第1ヒータ441及び第2ヒータ442への電力供給を個別に制御する。
【0045】
図3は、実施形態に係る衛生洗浄装置の制御部の動作の一例を表す説明図である。
制御部405は、第1ヒータ441及び第2ヒータ442に対し、通電と非通電とを切り替えることによって供給する総電力を制御する通電制御を実行する。制御部405は、
図3に表したように、例えば、16半波を1単位とするパターン制御方式を通電制御として実行する。
【0046】
「パターン制御方式」とは、供給電源30の正弦波に対する半波を1単位とし、この半波単位で第1ヒータ441及び第2ヒータ442への通電と非通電とを制御し、半波単位を複数組み合わせて総電力を制御する方式である。
【0047】
制御部405は、第1ヒータ441及び第2ヒータ442へ通電しない場合には、出力山数が0/16の通電パターンを選択する。制御部405は、第1ヒータ441及び第2ヒータ442へ通電し、総電力を増加させる場合には、出力山数(出力する半波の数)が1/16、2/16、3/16、・・・、16/16の通電パターンを必要な熱量に応じて選択する。これにより、洗浄水加熱部440において、洗浄水の温度を詳細に制御することができる。
【0048】
図3では、塗り潰した部分が、第1ヒータ441又は第2ヒータ442に出力する半波を表している。
図3では、出力山数が2/16の時、及び3/16の時において、出力する半波を連続させているが、出力する半波は、所定の間隔を空けて配置してもよい。
【0049】
なお、パターン制御方式において1単位とする半波の数は、16に限ることなく、任意の数でよい。また、第1ヒータ441及び第2ヒータ442に対して実行する通電制御は、パターン制御方式に限ることなく、例えば、位相制御方式などでもよい。「位相制御方式」とは、必要な熱量に応じて導通角を制御する方式である。
【0050】
なお、第1ヒータ441よりも抵抗値の高い第2ヒータ442において、第1ヒータ441にパターン制御、第2ヒータ442に位相制御を実施してもよい。位相制御は必要な熱量が高い導通角から熱量が低い導通角へ制御する場合は、電源変動が大きくなるため電源ノイズが発生する。抵抗値に差を設け、抵抗値の高い側のみの位相制御は、電力容量が小さいため、電源変動が小さく、電源ノイズも起きにくい。
【0051】
図4(a)〜
図4(h)は、実施形態に係る衛生洗浄装置の制御部の動作の一例を表すグラフ図である。
図4(a)は、低出力帯における第2ヒータ442のパターン制御の一例を表す。
【0052】
図4(b)は、低出力帯における第1ヒータ441のパターン制御の一例を表す。
【0053】
図4(c)は、中出力帯における第2ヒータ442のパターン制御の一例を表す。
【0054】
図4(d)は、中出力帯における第1ヒータ441のパターン制御の一例を表す。
【0055】
図4(e)は、中出力帯における第1ヒータ441及び第2ヒータ442の合計出力の一例を表す。
図4(f)は、高出力帯における第2ヒータ442のパターン制御の一例を表す。
【0056】
図4(g)は、高出力帯における第1ヒータ441のパターン制御の一例を表す。
【0057】
図4(h)は、高出力帯における第1ヒータ441及び第2ヒータ442の合計出力の一例を表す。
【0058】
ここで、低出力帯とは、例えば、必要となる出力が、第2ヒータ442の定格容量以下の範囲である。中出力帯とは、例えば、必要となる出力が、第2ヒータ442の定格容量よりも大きく、第1ヒータ441の定格容量以下の範囲である。高出力帯とは、例えば、必要となる出力が、第1ヒータ441の定格容量よりも大きく、第1ヒータ441の定格容量と第2ヒータ442の定格容量との合計の容量以下の範囲である。低出力帯は、例えば、350W以下の範囲である。中出力帯は、例えば、350Wよりも大きく850W以下の範囲である。高出力帯は、例えば、850Wよりも大きく1200W以下の範囲である。
【0059】
図4(a)及び
図4(b)に表したように、制御部405は、低出力帯においては、第1ヒータ441をフルオフ(0/16の通電パターン)に設定し、第2ヒータ442のみに対してパターン制御を実行する。この場合、第1ヒータ441と第2ヒータ442との合計の出力(洗浄水加熱部440の出力)は、第2ヒータ442の出力と実質的に同じである。
【0060】
図4(c)〜
図4(e)に表したように、制御部405は、中出力帯においては、第1ヒータ441及び第2ヒータ442のそれぞれに対して同時にパターン制御を実行する。
【0061】
そして、
図4(f)〜
図4(h)に表したように、制御部405は、高出力帯においては、第1ヒータ441をフルオン(16/16の通電パターン)に設定し、第2ヒータ442のみに対してパターン制御を実行する。これにより、低出力帯から高出力帯までの範囲において、洗浄水加熱部440の出力を詳細に制御することができる。すなわち、洗浄水の温度を詳細に制御することができる。
【0062】
パターン制御方式の通電制御には、使用不可能な出力山数がある。使用不可能な出力山数では、通電と非通電との切り替えにより、電源の変動が比較的大きくなる。このため、使用不可能な出力山数でパターン制御を行うと、例えば、供給電源30に衛生洗浄装置100と共通に接続された照明装置において、チラツキが生じてしまう可能性がある。
【0063】
従って、制御部405は、予め決められた使用可能な出力山数を用いて、第1ヒータ441及び第2ヒータ442のパターン制御を行う。これにより、洗浄水の温度を詳細に制御しつつ、電源の変動を抑制することができる。例えば、照明装置にチラツキが生じてしまうことを抑制することができる。
【0064】
また、使用不可能な出力山数とヒータの定格容量との間には、相関があり、ヒータの定格容量が大きくなるほど、使用不可能な出力山数が増える。従って、衛生洗浄装置100では、第1ヒータ441の抵抗値を第2ヒータ442の抵抗値よりも低くする。これにより、2つのヒータ441、442で温度制御を行う場合に、2つのヒータ441、442の定格容量を同じとする場合よりも、温度制御の分解能を高めることができる。
【0065】
例えば、各ヒータ441、442の定格容量を600Wとした場合、1半波当たりの出力は、37.5Wである。一方、第2ヒータ442の定格容量を350Wとし、第1ヒータ441の定格容量を850Wとした場合、第2ヒータ442の1半波当たりの出力は、21.875Wである。このように、2つのヒータ441、442の定格容量を異ならせることにより、温度制御の分解能を高め、洗浄水の温度をより詳細に制御することができる。
【0066】
例えば、400Wのヒータを3つ設けた場合、1つのヒータの1半波当たりの出力は、25Wである。従って、第2ヒータ442の定格容量を350Wとした場合には、ヒータの数を2つのみとした場合においても、3つ以上のヒータを設けた場合と同等以上の分解能を得ることができる。
【0067】
また、衛生洗浄装置100では、第1ヒータ441の抵抗値と第2ヒータ442の抵抗値とを約1:2に設定する。これにより、第1ヒータ441の定格容量が過度に大きくなってしまうことを抑制することができる。第1ヒータ441において使用不可能な出力山数が増えてしまうことを抑制することができる。第1ヒータ441で使用可能な出力山数と、第2ヒータ442で使用可能な出力山数と、をバランスさせ、洗浄水の温度制御性をより高めることができる。さらには、前述のように、第1スイッチング素子451の耐圧の増加を抑制し、第1スイッチング素子451と第2スイッチング素子452とに実質的に同じ素子を用いることができる。例えば、第2スイッチング素子452の大型化やコスト増などを抑制することができる。
【0068】
また、制御部405は、中出力帯において第1ヒータ441及び第2ヒータ442のそれぞれに対して同時にパターン制御を実行する場合、
図4(c)〜
図4(e)に表したように、第2ヒータ442に電力を供給した半波の次の半波で第1ヒータ441に電力を供給する。すなわち、制御部405は、第1ヒータ441及び第2ヒータ442の通電、非通電の電力変動の周期が第1ヒータ441と第2ヒータ442との電力差分以下の電力変動になるように通電制御を実行する。この例では、第1ヒータ441に電力を供給した時の電力変動を、350Wから850Wへの500Wの変動に抑えることができる。これにより、第1ヒータ441に電力を供給した時に洗浄水加熱部440に流れる第1ヒータ441と第2ヒータ442の電流の変動幅を抑えることができる。供給電源30の電圧変動や、供給電源30に接続された照明装置のチラツキの発生などをより抑制することができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る衛生洗浄装置100では、ヒータの数を2つのみとした場合にも、同じ抵抗値の3つ以上のヒータを設ける場合と同様に、洗浄水の温度を詳細に制御することができるとともに、同じ抵抗値の3つ以上のヒータを設ける場合と比べて、洗浄水加熱部440の大型化やコスト増を抑制することができる。
【0070】
また、制御部405は、第1ヒータ441と第2ヒータ442それぞれに、通電と非通電とを切り替える制御を実行する。これにより、洗浄水の温度をより詳細に制御することができる。
【0071】
また、制御部405は、第1ヒータ441と第2ヒータ442とを、同時にパターン制御を実行する。これにより、洗浄水の温度をより詳細に制御することができる。
【0072】
また、ヒータの通電・非通電を切り替えるスイッチング素子の数などを削減することもできる。発熱体であるスイッチング素子には、金属製のヒートシンクなどの放熱体を設ける必要がある。スイッチング素子を削減することにより、こうした放熱体なども削減することができる。このように、ヒータの数を2つのみとすることは、衛生洗浄装置100の小型化及びコスト削減に大きく寄与する。従って、洗浄水の温度を詳細に制御でき、かつ小型の衛生洗浄装置100を提供することができる。
【0073】
また、衛生洗浄装置100では、第1ヒータ441及び第2ヒータ442のそれぞれに対して同時に通電制御を実行する。これにより、洗浄水の温度をより詳細に制御することができる。また、第1ヒータ441と第2ヒータ442の通電時と非通電時にともなう電源の変動を抑制することができる。例えば、第2ヒータ442への通電にともなって照明装置にチラツキ(フリッカ)が生じてしまうことを抑制することができる。
【0074】
また、衛生洗浄装置100では、中出力帯の時に、第1ヒータ441及び第2ヒータ442のそれぞれに対して同時に通電制御を実行する。これにより、洗浄水の温度を詳細に制御可能としつつ、電源の変動をより適切に抑制することができる。
【0075】
また、制御部405は、第1ヒータ441及び第2ヒータ442の通電、非通電の電力変動の周期が第1ヒータ441と第2ヒータ442との電力差分以下の電力変動になるように通電制御を実行する。これにより、電源の変動をより抑制することができる。照明装置にチラツキが生じてしまうことを、より抑制することができる。
【0076】
また、衛生洗浄装置100では、第2ヒータ442の抵抗値を、第1ヒータ441の抵抗値の2倍以上2.5倍以下にする。これにより、第1及び第2の2つのヒータ441、442のみで、洗浄水の温度をより詳細に制御することができる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。