【0009】
本発明の第1の実施の形態による通信機能付き
消火器は、
消火用流体を収容する本体容器と、消火用流体通路の一部であって、本体容器内に配置された吐出管と、本体容器の開口部を閉塞する蓋と、蓋の上方に配置された操作レバーと、消火用流体通路の一部であって、吐出管に接続され、先端に噴射口が設けられたノズル又はホースと、回転体を有する発電機と、消火用流体の放出時に信号を送信する送信機とを有し、回転体は、
吐出管の上端と噴射口との間に配置され、放出時の消火用流体の流動によって回転し、発電機は、回転体の回転エネルギーを電力に変換し、送信機は、発電機から供給された電力によって動作
し、異常が発生したことの通報として信号を送信するものである。本実施の形態によれば、放出時に消火用流体の流動を利用して発電し信号を送信するので、消火用流体が放出されたこと、すなわち火災などの異常が発生したことを通報することができる。また、火災などが発生していない正常時には送信機に対して電力を供給する必要がないため、電源や電池が不要である。
また、初期火災の消火に用いられる消火器に適用することで、早期に火災発生を通報することができる。また、消火用流体の流動圧が比較的高い位置に回転体を配置することで、より確実に発電できる。
本発明の第
2の実施の形態は、第
1の実施の形態による通信機能付き
消火器において、送信機は、信号を複数回送信するものである。本実施の形態によれば、送信した信号が外部の監視盤などに到達しない可能性を低減できる。
本発明の第
3の実施の形態は、第1
又は第
2の実施の形態による通信機能付き
消火器において、送信機が送信した信号に対する応答信号を受信する受信機を有し、受信機は、発電機から供給された電力によって動作するものである。本実施の形態によれば、送信した信号が外部の監視施設などに到達したことを確認できる。
本発明の第
4の実施の形態は、第1から第
3のいずれか1つの実施の形態による通信機能付き
消火器において、送信機が送信する信号には、
消火器ごとに付与された識別符号が含まれるものである。本実施の形態によれば、信号を送信した
消火器の特定が容易となり、火災発生場所を把握するまでの時間を短縮できる。
【実施例】
【0010】
以下に本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明の一実施例による通信機能付き消火装置の設置状態を示す概念図であり、
図1(a)はホース付きの消火器を示し、
図1(b)はホース無しの消火器を示している。
本実施例において、消火装置は、蓄圧式消火器1である。
消火器1は、本体容器10と、本体容器10に収容された消火薬剤(消火用流体)12と、本体容器10の開口部11を閉塞する蓋13と、蓋13の上方に配置された操作レバー14と、消火薬剤の誤放出を防止する安全栓15と、放出時に消火薬剤12が通る消火用流体通路20を備える。本体容器10内には、空気やガスなどの気体が所定の圧力で蓄圧されている。
また、消火器1は、回転体31を有する発電機30と、発電機30から供給された電力によって動作する送受信機40とを備える。
【0011】
図1(a)において、消火用流体通路20は、本体容器10内に配置された吐出管21と、後端が吐出管21に接続されたホース22とからなる。吐出管21の上部には、操作レバー14の操作により動作する作動弁16が設けられている。ホース22の先端には、噴射口22aが設けられている。
回転体31は、放出時の消火薬剤12の流動によって回転する。回転体31は、消火用流体通路20のうち、消火薬剤12の流動圧が比較的高い吐出管21の上端と噴射口22aとの間に配置されている。消火薬剤12の流動圧が比較的高い位置に回転体31を配置することで、確実に発電できる。なお、
図1(a)に示すように、吐出管21とホース22との接続部に回転体31を配置することがより好ましい。
発電機30は、回転体31の回転エネルギーを電力に変換し、得られた電力を送受信機40に供給する。
【0012】
図1(b)において、消火用流体通路20は、本体容器10内に配置された吐出管21と、後端が吐出管21に接続されたノズル23とからなる。ノズル23の先端には、噴射口23aが設けられている。
図1(b)に示すようなホースが無いタイプの消火器の場合も、回転体31の配置は同様である。すなわち回転体31は、消火用流体通路20のうち、吐出管21の上端と噴射口23aとの間に配置される。
【0013】
送受信機40は、消火薬剤12の放出時に信号を送信する送信機能と、送信した信号に対する応答信号を受信する受信機能とを有する。なお、送信機と受信機を別々に設けても良い。また、簡略化のため、受信機を省略し送信機だけを設けることもできる。
送受信機40は、発電機30から供給された電力によって動作するので、火災などが発生していない正常時には電力を供給する必要がない。そのため、家庭用電源や商用電源などの電源や、一次電池や二次電池などの電池が不要である。
【0014】
図2は、本実施例による通信機能付き消火装置の動作時を示す概念図である。なお、
図1(a)を用いて説明したホース付きの消火器のみを示し、
図1(b)を用いて説明したホース無しの消火器は省略するが、ホース無しの消火器の場合の動作も同様である。
火災などの異常発生時には、操作レバー14の操作により作動弁16が開き、消火薬剤12が吐出管21、ホース22を通って噴射口22aから放出される。
【0015】
回転体31は、この放出時の消火薬剤12の流動によって回転する。発電機30は、回転体31の回転エネルギーを電力に変換し、得られた電力を送受信機40に供給する。
送受信機40は、発電機30から電力が供給されると起動し、火災発生信号などの信号を、消防署などの監視施設50内のサーバー51に接続された外部側送受信機52に向けて送信する。外部側送受信機52は、信号を受信すると、応答信号を送受信機40に向けて送信する。送受信機40は、応答信号を受信すると、応答信号を受信したことを音又は光などの報知手段によって周囲に知らせる。
このように、消火器1は、消火薬剤12の放出時に、消火薬剤12の流動を利用して発電し、信号を送信する。したがって、消火薬剤12が放出されたこと、すなわち火災などの異常が発生したことを通報することができる。特に、初期火災の消火に用いられる消火器1に適用することで、早期に火災発生を通報することができる。また、火災などが発生していない正常時には送受信機40に対して電力を供給する必要がないため、電源や電池が不要である。また、送信した信号に対する応答信号を受信して知らせるので、送信した信号が外部の監視施設50に到達したことを確認できる。
なお、送受信機40は、信号を複数回送信することが好ましい。信号を複数回送信することによって、送信した信号が外部側送受信機52に到達しない可能性を低減できる。これは、受信機を省略して送信機だけを備える場合に特に有効である。
また、送受信機40が送信する信号には、消火器1ごとに付与された識別符号が含まれることが好ましい。信号に識別符号を含めることで、例えば、サーバー51に消火器1の設置場所と識別符号との対応テーブルを予め記憶させておき、外部側送受信機52が識別番号を含む信号を受信した際は、識別番号とテーブルとを照合し、信号を送信した消火器1の設置場所を操作端末53に表示させることができる。これにより、操作端末53を操作する監視員などは、火災発生場所を特定するまでの時間を短縮できる。
【0016】
なお、上記実施例では、消火装置1が蓄圧式消火器の場合を説明したが、本発明は、消火装置1が加圧式消火器の場合やスプリンクラーの場合にも同様に適用できる。なお、消火装置1がスプリンクラーの場合、回転体31が常時水中にあるとスケールが付着して固着する懸念があるので、回転体31は、正常時には水が流れず、火災などが発生してスプリンクラーヘッドから放水される異常時に水が流れる水路に配置することが好ましい。