(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
薄力粉と、強力粉と、増粘多糖類とを含む粉体原料と、水とを含むバッター原料を混合した揚げ物用バッター液であって、前記バッター液に含まれる前記粉体原料に対する前記強力粉の含有量割合が、5質量%以上50質量%以下であり、前記粉体原料100質量部に対する加水量が130質量部以上160質量部以下であり、且つ、前記揚げ物用バッター液の粘度が4000cP以上9000cP以下であることを特徴とする、揚げ物用バッター液。
【背景技術】
【0002】
近年、共稼ぎ世帯や一人世帯の増加という生活スタイルの変化に伴い、家庭内での調理の手間を省略し、より簡便に喫食することが可能な惣菜類や弁当類が好まれている。中でも、長期保存が可能であり、かつ、最終工程である解凍加熱処理を行うことにより手軽に喫食することができる半調理済み冷凍食品の需要が急増している。
特に、天ぷら等のフライ食品は、子供から大人まで多くの人々に好まれる食品である。このようなフライ食品を冷凍した冷凍食品(以下、「油ちょう済み冷凍食品」と記載することがある。)は、業務用の惣菜としても広く用いられている。
【0003】
天ぷらやフライ類等の揚げ物には、中具のおいしさに加え、衣の食感も兼ね備えたものが好まれる。しかし、揚げ物用バッター液を使用し、油ちょう後に冷凍処理された揚げ物は、解凍して喫食する際に衣がパサついたり、硬くなってしまうという課題があった。
例えば特許文献1には、フライ調理後に冷凍し、その後再加熱調理や自然解凍をしても、フライ直後と同様のサクミのある食感を有するフライ食品を提供することを目的とし、粒径がメディアン径で10〜50μmになるように調整した卵白粉末を含有する冷凍フライ食品用バッターミックスが記載されている。
【0004】
また特許文献2には、冷凍して流通や保存した後に電子レンジによる加熱解凍した際でも食感が低下しない天ぷら等を製造することができる揚げ物衣用ミックスが記載されている。特許文献2では、小麦粉に対して酸処理澱粉、湿熱処理澱粉、架橋処理済α化澱粉のうち少なくとも1種類が配合することが記載されている。
特許文献3には、小麦粉にキサンタンガムを添加してなる水性粘ちょう物である揚げ物用の衣液が記載されている。特許文献3には、衣液にキサンタンガムを添加することにより、氷点下の温度に貯蔵された冷凍物を140℃〜150℃の高い温度の油中に浸漬した場合に、急激な温度変化により衣部分に亀裂が生じにくくなることが記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<揚げ物用バッター液>
本発明は、薄力粉と、強力粉と、増粘多糖類とを含む粉体原料と、水とを含むバッター原料を混合した揚げ物用バッター液(以下、「バッター液」と記載する場合がある)である。
本実施形態のバッター液は、バッター液に含まれる粉体原料に対する強力粉の含有割合が、5質量%以上50質量%以下であり、粉体原料100質量部に対する加水量が130質量部以上160質量部以下であり、且つ、前記バッター液の粘度が4000cP(センチポアズ)以上9000cP以下である。
以下、本発明を構成する各材料について説明する。
【0010】
≪薄力粉≫
本実施形態において、材料として用いることができる薄力小麦粉(以下、薄力粉)は、特に限定されず、公知の薄力粉を適宜使用できる。
薄力粉とは、軟質小麦の小麦粒の胚乳部分を挽いたもので、粗蛋白質含量が6〜9%程度であり、ケーキやクッキー等の製菓用、天ぷらやフライ等の揚げ物用の衣材、お好み焼き、たこ焼き、小麦粉をこねたドウの付着防止用の打ち粉、ルーやソースの材料等に用いられる小麦粉である。
薄力粉の原料小麦である軟質小麦の例としては、ソフト・ホワイト(SW)、ウェスタン・ホワイト(WW)、シロガネ等がある。これらの軟質小麦としては、同一の品種を一種以上使用しても、異なる品種を各一種以上併用してもよい。これらを通常の方法で製粉することにより、本実施形態において使用する薄力粉の原料を得ることができる。
【0011】
≪強力粉≫
本実施形態において、材料として用いることができる強力小麦粉(以下、強力粉)は、特に限定されず、公知の強力粉を適宜使用できる。
強力粉とは、硬質小麦の小麦粒の胚乳部分を挽いたもので、粗蛋白質含量が11〜13%程度であり、パンやピザ、中華麺の材料等に用いられている。
強力粉の原料小麦である硬質小麦の例としては、ウェスタン・レッド・スプリング(WRS)、ダーク・ノーザン・スプリング(DNS)、ハード・レッド・ウィンター〔スプリング〕(HRW〔HRS〕)、プライム・ハード(PH)、No.1カナダ・ウェスタン(1CW)等がある。これらの硬質小麦は、同一の品種を一種以上使用しても、異なる品種を各一種以上併用してもよい。これらを通常の方法で製粉することにより、本実施形態において使用する強力粉の原料を得ることができる。
【0012】
・強力粉の含有割合
本実施形態において、強力粉の含有量は、バッター液に含まれる粉体原料に対して5質量%以上50質量%以下である。強力粉の含有量は、7質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、18質量%以上が特に好ましい。また45質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。
上記上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
【0013】
強力粉の含有量が上記下限値以上であると、バッター液の流動性・保形性が良好となり、油ちょう後の衣が適度に膨らみ、ふんわりとした食感を達成できる。
本明細書において「保形性が良好」とは、バッター液が中具にまとわりついた後、中具の表面にバッター液の厚みを適度に保持されている状態を意味する。
また、バッター液の保形性と流動性が良好であると、加工性に優れたバッター液となる。
また、従来の油ちょう済冷凍食品を自然解凍すると、電子レンジ調理の場合と比べて、衣の食感は硬くパサついたものとなってしまう。これに対し、本実施形態のバッター液を用いて製造した油ちょう済み冷凍食品は、自然解凍した場合であっても、衣の食感を、レンジ解凍した場合と同等とすることができる。
強力粉が上記上限値以下であると、保水性が向上してしっとりとした食感を達成できる。また、衣が膨らみすぎることを防止し、適度な歯切れを達成できる。
強力粉が上記上限値を超えた場合、強力粉の特性であるグルテン組織が強く繋がり、引きのある歯切れの悪い重たい食感になってしまう。
【0014】
・粉体原料
本実施形態において「粉体原料」とは、バッター液に含まれる原材料のうち粉状のもので、薄力粉、強力粉、増粘多糖類の他に、本発明の効果を損なわない範囲で他の原料を含んでいてもよい。
他の原料としては、例えば、ベーキングパウダー(膨張剤)、加工デンプン、粉末油脂などの油類、ぶどう糖や砂糖などの糖類、食塩、アミノ酸などの調味料、色素、香料、酸味料、pH調整剤、乳化剤、食物繊維、動物性または植物性蛋白質素材等が挙げられる。
本実施形態において、例えばベーキングパウダーを入れることでガスが発生し、油ちょう時にバッター液が膨らみやすくなり、衣の厚みと相まってふんわりとした食感を有するようになる。
【0015】
≪増粘多糖類≫
本実施形態に材料として用いる増粘多糖類は、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カルボキシメチルセルロース、タラガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、プルラン、ファーセレラン、トリアカンソスガム、グルコマンナン、セスバニアガム、ガティガム、ウェランガム等が挙げられる。
本実施形態においては、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、グアーガムからなる群から選択される1種以上含まれることが好ましい。
【0016】
本実施形態において、増粘多糖類の配合量は、粉体原料100質量部に対する加水量を130質量部以上160重量部以下としたときのバッター液の粘度が4000cP以上9000cP以下となる量が選択され、増粘多糖類の種類ごとに適宜調整すればよい。
一例を挙げると、バッター液に含まれる粉体原料に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が特に好ましい。また3.0質量%以下が好ましく、2.0質量%以下はより好ましく、1.0質量%以下が特に好ましい。
上記上限値と下限値は任意に組み合わせることができる。
【0017】
≪加水量≫
本実施形態において、粉体原料100質量部に対する加水量が130質量部以上160質量部である。加水量は、131質量部以上が好ましく、132質量部以上がより好ましい。また加水量は、155質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましい。
加水量の上記上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態において、加水量が上記下限値以上であることにより、バッター液が中具全体に纏わり付くことができる粘度に調整できる。加水量が上記上限値以下であると、小麦粉の分散性が向上し、均質になることで、スムーズな流動性を付与できる。
【0018】
≪バッター液の粘度≫
本実施形態において、バッター液の粘度は4000cP以上9000cP以下である。バッター液の粘度は、4500cP以上が好ましく、5000cP以上がより好ましく、5500cP以上が特に好ましい。また8500cP以下が好ましく、8000cP以下がより好ましく、7500cP以下が特に好ましい。
上記粘度の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
本実施形態において、粘度が上記下限値以上であると、バッター液の保形性が良好となり、適度な衣の厚みを維持できる。
粘度が上記上限値以下であると、中具全体にバッター液が纏わり付きやすくなる。
【0019】
バッター液の粘度は加水量、強力粉配合量、増粘多糖類の種類及び配合量により制御できる。
本実施形態において、バッター液の粘度測定はビスコテスタVT(リオン株式会社製)で行い、1号ロータ、2号ロータを使用し、20℃にて測定した時の粘度とする。
【0020】
本実施形態は、薄力粉を主体とする揚げ物用バッター原料に強力粉と増粘多糖類を含み、特定量の加水をすることにより、粘度が4000cP以上9000cP以下であることを特徴とする。
本実施形態の揚げ物用バッター液を使用し、油ちょう後冷凍された揚げ物は、喫食時に衣が「パサつく」「硬い」「ぼそつく」といった食感にならず、「しっとり」「ふんわり」とした良好な食感が得られる。
さらに、本実施形態の揚げ物用バッター液を用いた揚げ物は、自然解凍した際に、衣が「パサつく」「硬い」「ぼそつく」といった食感にならず、「しっとり」「ふんわり」とした良好な食感が得られ、電子レンジ調理と比較しても同等の品質を達成することができる。
【0021】
本実施形態のバッター液は、油ちょう後も衣に水分を多く含み、且つ適度な厚みをもつ衣をつけることができる。これにより、上記「しっとり」「ふんわり」で良好な食感を得ることができる。
具体的には、キサンタンガム等の増粘多糖類を添加することにより、水分保持力を上げることで加水量を増やし、適度な流動性のあるバッター物性を得ることができ、さらに油ちょう後の衣の水分含有量を維持することができると推察できる。
そして、強力粉を添加することによりグルテン組織を強化し、バッター液の膨張剤発生ガスを維持することができ、さらにバッター液の保形性を上げることができると推察できる。
【0022】
本実施形態ではバッター液が適度な流動性と保形性を維持することで、バッター液が中具へ纏わり付きやすく、かつ適度なバッター液の厚みが保持される。
また、バッター液の膨張剤発生ガスの保持性が、油ちょう後の膨らみのあるポーラスな衣構造を形成し、衣の厚みと相まってふんわりとした食感を有する。
そして、油ちょう後も衣内に保持された水分によって、しっとりとした食感を有することができる。
上記の通り本実施形態のバッター液は、油ちょう後冷凍された揚げ物を特に自然解凍した場合、しっとり、且つふんわりとした食感を有する衣を提供することができ、 電子レンジ調理と比較しても同等の品質を達成することができる。
【0023】
<油ちょう済み冷凍食品>
本実施形態は、上記本実施形態の揚げ物用バッター液を用いた油ちょう済み冷凍食品である。本実施形態の油ちょう済み冷凍食品としては、天ぷら、フライ、から揚げなどがあげられ、パン粉を付けない油ちょう済み冷凍食品であることが好ましい。
中具としては、畜肉類、魚介類、野菜、加工食品等があげられる。
【0024】
本実施形態の油ちょう済み冷凍食品は、電子レンジ等の家庭用マイクロ波装置を用いた加熱解凍に適しているが、オーブン等により加熱解凍してもよい。また喫食数時間前に常温に放置し、自然解凍することによっても喫食する事ができる。自然解凍調理冷凍食品としては、弁当用冷凍食品に最適である。本実施形態の油ちょう済み冷凍食品は自然解凍用であることがより好ましい。
【0025】
<油ちょう済み冷凍食品の製造方法>
本実施形態は、上記本実施形態のバッター液を用いた油ちょう済み冷凍食品の製造方法である。本実施形態の油ちょう済み冷凍食品の製造方法は、中具に本実施形態のバッター液を付着させる工程を有し、さらに、油ちょうする工程と、油ちょう後に冷凍する工程と、を有することが好ましい。
【0026】
中具に本実施形態のバッター液を付着させる工程としては、ちくわ、エビ、イカ、野菜等の中具の表面に、本発明のバッター液を均一に付着させる。
油ちょう工程は公知の方法により適宜実施できる。
冷凍方法は特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。例えばエアーブラスト式凍結法、セミエアーブラスト式凍結法、コンタクト式凍結法等の凍結法に基づくフリーザーを用いて油ちょう済み加工食品を凍結する方法が挙げられる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0028】
以下の実施例において、「部」は、バッター液に含まれる粉体原料100質量部を基準とする加水量(質量部)を意味する。また、「%」は、粉体原料の全量を基準として「質量%」を意味する。
【0029】
≪バッター液及び揚げ物の調製≫
下記表1に、実施例1−1のバッター液に含まれる、粉体原料の配合を質量%で示す。
【0030】
【表1】
【0031】
表1の粉体原料をミキシングボールに投入した後、粉体原料100質量部に対して、135質量部の水を投入し、ミキサーによるミキシングを行い、実施例1−1のバッター液を得た。約2cmに切断されたちくわの空洞部に直方体にカットされたチーズを入れ中具とし、上記バッター液を中具全体にいきわたるように付着させ、185℃に加熱されたキャノーラ油の入ったフライヤーに投入し、45秒間油ちょうした後、180℃で1分50秒素焼きし、−30℃のフリーザーにて急速凍結し、油ちょう済み冷凍食品を得た。
【0032】
[バッター液の粘度の測定]
測定機種:ビスコテスタ VT(リオン株式会社製)
使用ロータ:1号ロータ(比較例1−6のバッター液粘度の測定時は高粘度のため2号ロータを使用)
測定容器:JIS準拠の300mlビーカー
回転数:62.5rpm
サンプル量:300ml
測定温度:20℃
【0033】
[官能評価について]
・解凍方法について
自然解凍:油ちょう済み冷凍食品を常温(20℃)に2時間放置した後、評価を行った。
電子レンジ調理:油ちょう済み冷凍食品を電子レンジ(600W(SHARP社製)
2個、30秒)で解凍し、30分間放置し粗熱を取った状態で評価を行った。
【0034】
・官能評価方法について
4人の訓練されたパネラーでしっとり感とふんわり感をそれぞれ5点満点で評価し、4人の平均点を各評価点とした。各評価点を合計した点数を合計点として評価基準とした。
(a)しっとり感の評価
5点: 非常にしっとりとしている
4点: しっとりしている
3点: ややしっとりしている
2点: ややパサつきがある
1点: パサパサで乾燥している
(b)ふんわり感・柔らかさの評価
5点: 非常にふんわりとして柔らかい
4点: ふんわりとして柔らかい
3点: ややふんわりとして、柔らかい
2点: やや硬く、詰まっている
1点: 硬く、詰まっている
【0035】
・・合計点
上記(a)の評価の4人平均点と、上記(b)の評価の4人平均点を合計した点数を合計点(10点満点)とした。この合計点が6.00を超える場合であれば「しっとり感」及び「ふんわり感」は良好であり、7.00を超える場合であれば特に良好であると判断した。
【0036】
[バッター物性について]
製造したバッター液の物性評価を表3及び5に記載する。
【0037】
<実施例1−1〜1−5、比較例1−1〜1−6>
実施例1−2〜1−5、比較例1−1〜1−4、は、表1の配合割合のうち強力粉、キサンタンガムの配合割合を表2に記載の配合割合に変更し、粉体原料全体が100重量%となるようにその増減分を薄力粉の配合割合で調整した。さらに、比較例1−1〜1−2、1−4〜1−5は実施例1−1から加水量を調整した。
比較例1−5、1−6は、表1の配合のうち薄力粉を配合する代わりに中力粉を配合し、強力粉を配合する代わりにグルテンを表2に記載の割合で配合し、粉体原料全体が100重量%となるようにその増減分を中力粉の配合割合で調整した。さらに、比較例1−5、1−6は実施例1−1から加水量を調整した。
【0038】
【表2】
【0039】
表3に、実施例1−1〜1−5、比較例1−1〜1−6に記載のバッター液を使用して製造した油ちょう済み冷凍食品について、自然解凍時の官能評価結果と、バッター物性を記載する。表3中、「総合判定」は下記の基準で評価した結果である。
総合判定:しっとり感、ふんわり感及びその合計点と、ひきの強さや歯切れ、衣の厚み、重さ等の食感を総合的に判断し◎、〇、△、×の4段階で評価した。
【0040】
【表3】
【0041】
表2〜3の結果から、粘度が4000cP以上9000cP以下で、増粘多糖類を含有し、強力粉の配合量が5〜50%の範囲にある実施例1−1〜1−5は、官能評価の合計点が高く、「しっとり感」と「ふんわり感」が共に同等の点数であり、しっとり、且つふんわりした食感が得られることが分かった。
実施例1−1〜1−5のうち、強力粉の配合量が10〜20%の実施例1−2及び1−3は、総合判定の結果がいずれも「◎」であり、バッター物性も良好で加工性に優れていた。
また、粘度が4000〜9000cPの範囲にあっても、強力粉及び/又は増粘多糖類(キサンタンガム)が含まれていない比較例1−1〜1−6は、官能評価の合計点が低く、しっとり、且つふんわりした食感にならないことが分かった。
【0042】
<実施例2−1〜2−3、比較例2−1〜2−3>
実施例2−1〜2−3、比較例2−1〜2−3、は、表1の配合割合のうち強力粉、キサンタンガムの配合割合を表4に記載の配合割合に変更し、粉体原料全体が100重量%となるようにその増減分を薄力粉の配合割合で調整した。さらに、実施例2−1〜2−3、比較例2−1〜2−3、は実施例1−1から加水量を調整した。
【0043】
【表4】
【0044】
表4に記載のバッター液を使用し製造した油ちょう済み冷凍食品について、自然解凍時の官能評価を実施した。その結果とバッター物性を表5に記載する。
【0045】
【表5】
【0046】
表4〜5の結果から、粘度が4000〜9000cPの範囲にあるとき、加水量が130〜160%であり、強力粉と増粘多糖類を含む場合、合計点が高く、「しっとり感」と「ふんわり感」が共に同等の点数であり、しっとり、且つふんわりとした食感が得られることが分かった。
実施例2−1と2−2は、総合判定が「◎」であり、バッター物性も良好で加工性に優れていた。
【0047】
<実施例3−1〜3−3>
実施例3−1〜3−3は、表1の配合割合のうち、強力粉を10重量%に変更し、キサンタンガムを表6に記載の増粘多糖類及びその配合割合に変更し、粉体原料全体が100重量%となるようにその増減分を薄力粉の配合割合で調整したものである。
【0048】
【表6】
【0049】
以下の表7の通り、表6に記載の増粘多糖類の種類及び配合割合を変更して得られたバッター液を使用し製造した油ちょう済み冷凍食品について、自然解凍時の官能評価を実施した。
【0050】
【表7】
【0051】
表6〜7の結果から、粘度が4000〜9000cPの範囲にあるとき、いずれの増粘多糖類もしっとり、且つふんわりした食感が得られることが分かった。
【0052】
<実施例4−1〜4−4、比較例3−1〜3−3>
実施例1−1、1−3〜1−5、比較例1−1、1−2、1−4のバッター液を使用し製造した油ちょう済み冷凍食品について、自然解凍と電子レンジ調理での官能評価を比較した。
【0053】
【表8】
【0054】
本発明のバッター液を使用した実施例4−1〜4−4は、自然解凍と電子レンジ調理において、合計点の差は小さく、ほぼ同様の評価であるのに対し、本発明の範囲外であるバッター液を使用した比較例3−1〜3−3は、電子レンジ調理と比較し、明らかに自然解凍時の評価が悪かった。以上の結果から、本発明を適用した油ちょう済み冷凍食品は、自然解凍した際に、電子レンジ調理の品質と比較し同等の品質を達成することが分かった。