【実施例】
【0049】
本開示の様々な実施形態を実証するために以下の実施例を含める。当業者は、次の実施例に開示されている手法が、発明者によって発見された、本発明の実施で十分に機能するための手法を表し、したがってこの手法が本発明を実施するための好ましい様式を構成するものとみなされ得ることを、理解するはずである。ただし、当業者は、本開示に照らして、開示されている特定の実施形態に多くの変更がなされ得て、それでもなお、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、類似のまたは同様の結果が得られ得ることも理解するはずである。
【0050】
実施例に向けての序論
多剤耐性(MDR)病原体は、ヒトの健康に対する増加している脅威となっており、実際上、多くの感染性疾患が抗生物質以前の時代に向かって退行している
1〜3。その典型例として、メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)の市中感染が劇的に増加していることが挙げられる。1940年代、S.aureus感染は、主として第1世代βラクタム(ペニシリン)により処置されたが、これは、細胞壁の合成に重要なトランスペプチダーゼであるペニシリン結合タンパク質(PBP)、標的とするものである
4。S.aureusにおいては、4種のPBP(PBP1〜PBP4)がこれらの機能を果たしている
4。βラクタマーゼ産生株の出現により、βラクタマーゼ耐性第2世代ペニシリンの開発につながった。メチシリンがこれに含まれる。1959年にメチシリンが導入されてから間もなく、最初のMRSA株が報告された
5。これらの株は、βラクタム抗生物質に対する誘導耐性を産生する非S.aureus供与源から、高度に調節された複数の遺伝子を獲得した
4。これらの遺伝子の1つであるmecAは、ペニシリン結合タンパク質2a(PBP2a)をコードする。PBP2aは、細胞壁を架橋するという重要なトランスペプチダーゼ反応を行い、βラクタム抗生物質による攻撃下、他のPBPが阻害されている場合であってもこれを行う
6〜8。この結果をもたらす機構的基盤は複雑であり、活性部位のための閉構造に関連があり、その機能はアロステリック性により調節されている
9、10。MRSAの出現により、S.aureusに対する治療選択肢としてのβラクタムを使用は事実上排除された。最近開発されたβラクタム剤のセフタロリンは、MRSA感染の処置において、PBP2aのアロステリック部位に結合することにより活性を示し、薬剤による不活性化のために活性部位の開放を誘発する
10、11。しかし、セフタロリンに対する耐性
12や、MRSAの処置に使用される他の抗生物質(リネゾリド、バンコマイシン、及びダプトマイシンを含む)に対する耐性が報告されている
13〜15。
【0051】
直交的な細胞プロセスを標的とする多剤併用療法の使用は、Mycobacterium tuberculosis、Helicobacter pylori、及び他の感染の処置で奏効している
16、17。しかし、これらの療法に対しても耐性が増加している
18〜20。発明者らは、MRSAに対し可能性が見込まれる新たな療法を特定した。この療法は、3つの別個の世代及びβラクタム抗生物質サブクラスからの、臨床的に承認された薬剤の併用物からなり、いずれも細胞壁合成を標的とする。これらの薬剤は、すなわち、メロペネム、ピペラシリン、及びタゾバクタム(ME/PI/TZ)である。この療法は、以下の3つの戦略からの構成要素を使用する:1)同じ細胞系の複数のノードを標的とする半合成抗生物質誘導体の使用
12、21、2)薬剤の相乗作用の利用により薬剤の効力を増加させるようなこれらの抗生物質の併用物の使用
22、23、及び3)耐性の進化を抑制するための、当該併用物における構成要素間の付帯感受性の使用
24,25。これらの方法のそれぞれは、主なMDRグラム陰性及びグラム陽性のヒト病原体に対し用いられ、成功している
26、27。しかし、これらの戦略を個別に使用すると、しばしばMDR病原体の新たな耐性進化による妨害を受け、これらの感染の処置に対する選択肢の減少につながった
5、14、21、28、29。
【0052】
発明者らは、ME/PI/TZが以下を通じて機能するものと仮定している:メロペネムによるPBP1阻害、ピペラシリンによるPBP2の標的化、タゾバクタムによるPC1クラスA βラクタマーゼからのピペラシリンの保護
6、30〜34、及び当該併用物における抗生物質の別の分子が阻害を行うための、メロペネムによるPBP2aの活性部位のアロステリックな開放
11。この結果、MRSAにおける細胞壁合成機構の複数の構成要素を同時に攪乱することによる相乗的応答がもたらされる。発明者らは、ME/PI/TZの構成成分をMRSA N315に曝露することにより、この相乗作用の高い3重併用物内で、耐性進化を抑制する相互的付帯感受性が示されることを見いだしている。これは、逆に耐性進化を加速させてしまう一部の相乗的併用療法
23、35とは対照的である。この効果は、付帯感受性がEscherichia coliの非病原性実験室株における耐性進化を遅らせることを示す最近の研究
24、36に合致している。発明者らによる結果は、付帯感受性構成成分の相乗的併用物で使用する場合に、旧型βラクタム抗生物質をMRSAに対し再び臨床的に使用することを支持し、ヒト用に承認済の既存の薬剤を用いた新たな処置パラダイムを開くものである。
【0053】
実施例1 インビトロのMRSA株におけるメロペネム、ピペラシリン、及びタゾバクタム間の相乗作用
23種の様々な抗生物質(表1)に対する高い耐性レベルを有することに基づき、全ゲノムが配列決定されているMRSAのMDR株の群からS.aureus MRSA N315
37を本試験用に選択した。MRSA N315は、ブドウ球菌染色体カセットのmec(SCCmec)II型を含有し、これはmecメチシリン耐性オペロン
38をコードし、さらにbla βラクタマーゼオペロン
39を含有するペニシリナーゼプラスミドpN315をコードする。あらゆる主な薬剤クラスからの代表的薬剤が含まれるこれら23種の抗生物質化合物に対する集中的な組み合わせスクリーニングから(表1)、発明者らは、インビトロでMRSA N315に対し高度に相乗的な殺細菌活性を示すME/PI/TZの組み合わせを特定した。分画阻害濃度指数(fractional inhibitory concentration index)(FICI)の測定基準を使用すると、FICI=0.11だった
40、41(表2A)。任意の数の薬剤併用について、1未満のFICIは相乗作用を示し、1に等しいFICIは相加性を示し、1を越えるFICIは無関連または拮抗作用を示す。注目すべきことには、これらの3種の薬剤全てが、βラクタム薬剤の異なるサブクラスに属し、典型的にはMRSA株はほとんどのβラクタムに対し高耐性である
8にもかかわらず、これらの薬剤は細胞壁合成における重要なトランスペプチダーゼ酵素を標的とする。個々のβラクタムに対する全般的な耐性は、これらの薬剤がPBP2aのトランスペプチダーゼ活性部位を阻害できないことに起因し、これによりS.aureusにおける他のトランスペプチダーゼのβラクタム阻害が相殺される
8。
【0054】
ME/PI/TZは、MRSA N315に対し、臨床的に意義のある濃度で、この3種構成要素のうちの2重併用物であるメロペネム/ピペラシリン(ME/PI)、メロペネム/タゾバクタム(ME/TZ)、及びピペラシリン/タゾバクタム(PI/TZ)と比較して、増加した相乗作用を示す(
図1、表2B〜C)。3種全てのβラクタム化合物の最終MIC及びFICIを、3Dチェッカーボードを用いて、各化合物につき128〜2μg/mlの2倍希釈系列及び薬剤なしで試験した。これらの希釈系列により、構成成分の比を最大64倍の差にして最大相乗作用を探ることが可能になり、さらに、それぞれの単一化合物、全構成要素の2重併用物及び3重併用物について単独の結果を得ることができた。発明者らは、3Dチェッカーボードを使用して、MRSA N315に対する最小薬剤投入及び最大相乗作用のためのME/PI/TZの最適比を1:1:1と判定した。併用物における3種の構成成分のMRSA N315に対する最小阻害濃度(MIC)(それぞれ2μg/ml)は、これらの薬剤のそれぞれが単独の場合のメチシリン感受性S.aureusに対する臨床的感受性ブレイクポイント(4〜8μg/ml)
42を下回る。構成要素の2重併用物であるME/PI及びPI/TZも、それぞれFICI=0.44及び0.22でN315に対し相乗的であるが、一方ME/TZは0.67と相乗性が低い。Loeweによる相乗の相加モデルに基づけば、薬剤は自らに対し相乗的になることができない
36。βラクタムは全て細胞壁経路を標的とするが、発明者らによるFICI法(Loewe相加性)の使用は、これらの相互作用の非相加的性質を裏付けるものである。MRSA N315においてME/PI/TZの高い相乗作用が見られるのに対し、当該併用物は、メチシリン感受性S.aureus(MSSA)参照株ATCC29213
42、43では相加活性をわずかに下回り(FICI=1.12)(表2B〜C)、発明者らは、相乗作用が生じるにはPBP2aが必要であると仮定する。
【0055】
発明者らは、ME/PI/TZについて観察される相乗作用の機序が、セフタロリンに関する報告
10、11と同様に、その構成要素によるPBP2aのアロステリックなトリガーに起因することを提唱する。実際に、発明者らは、メロペネムがPBP2aのアロステリック部位に270±80μM(104±31μg/mlに相当)の解離定数(Kd)で結合すると判定した。健康なヒトの場合、メロペネムを1gの推奨用量でボーラス静脈内注入した後の平均ピーク血漿濃度は112μg/mlである
44。臨床的に達成されるメロペネムの濃度はK
dを上回るため、これらの濃度において、PBP2aのアロステリック部位に結合するメロペネムはPBP2aの活性部位を開放するトリガーとなり、それにより、メロペネムの別の分子または当該併用物における他のβラクタムがアシル化/非活性化のためにそのトランスペプチダーゼ活性部位にアクセスすることが可能になると考えられる
8、10、45。
【0056】
ME/PI/TZのMRSA N315に対する高度に相乗的な活性を、複数のSCCmecの型を表す72種の臨床的MRSA分離菌のパネルの全てに対して再現させた(表3A〜B)。臨床的分離菌に対する当該併用物のMICは、各構成要素につき0.4〜33.3μg/mlの範囲であり、平均が9.7μg/ml、MIC
50及びMIC
90がそれぞれ3.7μg/ml及び33.3μg/mlであった(表4A)。
【0057】
実施例2 MRSAに対し代替的カルバペネム、ペニシリン、及びβラクタマーゼ阻害薬を用いた相乗作用における機構的頑健性
発明者らは、MRSA N315及び代表的な臨床的MRSA分離菌を他のカルバペネム/ペニシリン/βラクタマーゼ阻害薬併用物に対し試験することによって、観察された相乗作用がアッセイ対象の抗生物質に限定されるのではなく、これらのそれぞれのβラクタムクラスに対し一般化可能であると判定した。発明者らは、イミペネム/ピペラシリン/クラブラネート(IM/PI/CV)によるMRSA N315の処置が、ME/PI/TZと同じまたはそれより高い相乗作用を示すことを見いだした。メロペネム/アモキシシリン/タゾバクタム(ME/AX/TZ)は、MRSA N315のみにおいて高い相乗作用(FICI=0.04)を維持し、臨床的MRSA分離菌では低い相乗作用(FICI=0.55)が示された(表2B)。これらの代用3剤の構成成分についてのMICは全て、インビボにおけるこれらの平均ピークヒト血漿濃度
46、47を下回っている。ME/PI/TZと同様、IM/PI/CVもMSSA ACTT 29213に対し相加未満の活性(FICI=1.14)を示している(表2B〜C)。これらの結果は、相乗作用のためには、mecA遺伝子産物であるPBP2aがそのアロステリズムと共に存在する必要があることをさらに支持するものである。その理由は、メチシリン感受性S.aureusの場合には、カルバペネム/ペニシリン/βラクタマーゼ阻害薬の併用物の相乗性が欠如するためである。
【0058】
また、当該併用物におけるカルバペネム構成成分を、2種の他の後世代βラクタム誘導体であるモノバクタム系またはセファロスポリン系のいずれかと置き換えた場合の影響についても試験した。ME/PI/TZとは対照的に、アズトレオナム/ピペラシリン/タゾバクタム(AZ/PI/TZ)及びセフェピム/ピペラシリン/タゾバクタム(CP/PI/TZ)の3重併用物における相乗作用レベル(共にFICI=0.33)は、PI/TZのみの場合(FICI=0.22)よりも低かった(表2B)。考えられる理由としては、アズトレオナム(モノバクタム系)がグラム陰性PBP活性を有する
48のに対し、セフェピム(セファロスポリン系)はPBP1よりもPBP2を優先的に標的とすることが挙げられる。
【0059】
MRSA COL株バックグラウンドにおいてキシロース誘導型アンチセンスRNA戦略を用いてPBP1、PBP2、PBP2a、またはPBP3の発現を低減することにより、ME/PI/TZの構成要素の標的を確認した。PBP2aの発現レベルを減弱すると、株は、メチシリン感受性S.aureusとしてふるまい、全ての試験βラクタムに対し感作された(
図6A〜C)。メロペネム、ピペラシリン、及びタゾバクタムをpbpAアンチセンス株に対し試験したところ、メロペネムのみがキシロース誘導下で広い阻害ゾーンを示した。これは、PBP1がメロペネムの標的であることを確認するものである(
図6D〜E)。pbp2アンチセンス株に関しては、メロペネム及びピペラシリンの療法がキシロース誘導下で有効性の増加を示した。これは、メロペネム及びピペラシリンがそれぞれPBP2に対する一定の活性を有することを実証するものである(
図6F〜G)。pbp3アンチセンス株についてはいかなる影響も観察されなかった。これは、ME/PI/TZ活性がPBP1、PBP2、及びPBP2aの攪乱に集中的に向けられているという発明者らの仮説に合致した(
図6H〜I)。pbp3株を除く全ての場合におけるアンチセンス株は、当該3重併用物に対する感作を示し、観察された相乗作用を強調するものだった。
【0060】
実施例3 MRSA N315における10日超にわたるメロペネム/ピペラシリン/タゾバクタムに対する適応欠如
耐性の発達及び伝播は、抗微生物療法の有効性及び寿命を劇的に減じる恐れがある。発明者らは、阻害未満抗生物質濃度の当該3重併用物及びその構成要素のそれぞれにおいて連続継代を行うことで、ME/PI/TZがMRSAにおける耐性進化を抑制することを実証した。インビボ及びインビトロの臨床的処置をより正確にモデル化するため、発明者らは、これらの薬剤を、経時的に用量を増加させて適用するのではなく、臨床的処置で生じるのと同様に、長期間にわたって固定した用量で適用した。11日の実験の間、MRSA N315のME/PI/TZに対する耐性進化は観察されなかった。これに対し、全ての2重併用物及び単一構成要素に対する耐性進化は1〜8日以内に観察され、これは先行研究
23、50に合致する結果であった(
図2)。2重併用物及び単一構成要素については、最初に決定したMICを上回る全条件で生細胞が観察されたが、ME/PI/TZについては、初期MICまたはそれを上回る条件で生細胞が観察されなかった。全ての2重併用物及び単一構成要素において経時的な増殖速度の増加が注目されたが、一方MIC未満のME/PI/TZにおいては、N315の増殖速度は実験全体を通して変化せず、薬剤なし対照と同等であった(
図2)
23。また、ME/PIの2重併用物に曝露したN315は、1日目の後に3倍のMIC増加を示したが、これは1日目の後に生細胞が存在していたが、さらなる継代及び適応が行われるまで増殖しなかったことを示すものである。最小殺細菌濃度(MBC)の決定により、ME/PI/TZの3重併用物がMRSA N315に対し殺細菌性であることが裏付けられた(表4B)。同時に、これらの結果は、MRSA N315のME/PI/TZに対する新たな耐性出現の抑制を実証するものである。
【0061】
実施例4 これらの併用物の構成成分における相互的付帯感受性が適応抑制の基礎となる
付帯感受性がME/PI/TZの適応抑制における因子であるかどうかを判定するため、MRSA N315を様々なβラクタムに事前に曝露することが他の構成成分に対する感受性に及ぼす影響について解析した(
図3及び
図7)。メロペネムとピペラシリンとの間、及びピペラシリンとME/TZとの間には強力な相互的付帯感受性の存在が観察され、一方PI/TZはMRSA N315をメロペネムに対し感作させたが相互的ではなかった。ピペラシリンに対する付帯感受性もタゾバクタムに対する事前曝露により付与されたが、逆のことは生じなかった。興味深いことに、タゾバクタムに対しては、いずれの単一または2重の化合物に曝露した後も付帯感受性は見いだされなかった。アモキシシリン及びピペラシリンの付帯感受性及び耐性プロファイルはほぼ同一であり、メロペネムに対する適応により、MRSA N315はアモキシシリンに対し感作される(
図3及び
図7)。また、ピペラシリンは、MRSA N315に対するなおいっそう強力なカルバペネムであるイミペネムに対する付帯感受性も示した。しかし、カルバペネム/ペニシリン/βラクタマーゼ阻害薬の併用物または構成要素により付帯感受性を試験したいずれのセファロスポリンについても感受性を示す結果は得られず、むしろ耐性の増加または無関連が注目された。これらの結果は、観察された付帯感受性による耐性抑制がME/PI/TZの構成要素薬剤クラスに特有であることを裏付けるものである。
【0062】
実施例5 適応MRSA N315は大規模なゲノム改変を経る
発明者らは、全ゲノム配列決定を使用して、感受性のゲノム基盤ならびに野生型MRSA N315及び適応MRSA N315株の耐性表現型について調べた。いずれの適応MRSA N315分離菌内にもPBPまたはβ−ラクタマーゼ遺伝子の変異は見いだされなかった。しかし、リードカバレッジの不在により、タゾバクタム単独(100μg/ml)及びME/TZ(各11.1μg/ml)に適応させた分離菌において、ペニシリナーゼプラスミドpN315が喪失していることが特定された(
図4A)。このプラスミド喪失は、過去に報告されたMRSAからプラスミドを除去する手法(例えば、高熱及びSDS処置)
51による場合よりもはるかに急速に生じた。PI/TZ適応分離菌においては、約400kbのMRSA N315染色体(GenBank ID:BA000018.3)がリードカバレッジ深度の解析後に、適切なゲノム位置2,100,000から2,550,000bpに複製されることが観察された。興味深いことに、この間隔は、ddlA D−Ala−D−Alaリガーゼを含めた、細胞壁合成に関わるいくつかの推定遺伝子及び確認済遺伝子を含有する(
図8)。
【0063】
MRSA N315におけるpN315の喪失は、ピペラシリン及びアモキシシリンに対する感受性の増加と相関する。これらはいずれも、当該プラスミド上でコードされるblaZ(PC1)クラスA β−ラクタマーゼに感受性であるはずのペニシリンである。しかし、pN315の喪失は、タゾバクタム単独及びME/PI/TZに対する耐性の増加ももたらす(
図3、
図7、表5A)。pN315の存在とME/PI/TZ活性との間に考えられる結びつきの1つは、既知の、MecI及びBlaIリプレッサーとこれらの共有mecオペロン標的との間で行われる調節性クロストークである
52〜54。pN315の喪失が、ME/PI/TZ活性に重要であると知られている遺伝子の発現に及ぼす影響を試験するため、適応MRSA N315株及び野生型MRSA N315株のqRT−PCR解析を実施した(
図4B)。発明者らは、野生型MRSA N315内のpN315プラスミドにおけるblaZ β−ラクタマーゼの発現が常在的であると判定したが、タゾバクタムに適合させたクローンではblaZの発現が観測されず、これらのクローンにおけるpN315の喪失に合致した。また、発明者らは、100μg/mlのタゾバクタムに適合させたblaZ欠損MRSA N315分離菌におけるmecAの発現が常在的であることも見いだした。これはpN315及びblaオペロンの喪失を介してのmecオペロンの調節不全に合致した。最終的に、発明者らは、タゾバクタムが、blaz欠損条件下で見られたmecAの常在的発現と同様のレベルで、野生型MRSA N315におけるmecAの強力な誘導物質であることを見いだした。
【0064】
実施例6 MRSA N315が構成要素に対する耐性を進化させた場合におけるME/PI/TZの相乗作用
次に、発明者らは、ME/PI/TZの構成成分に対する耐性がMRSAに対する有効性について有する役割について調べた(表5A)。MRSA N315を事前に33.3μg/mlまたは100μg/mlいずれかのピペラシリンに曝露することにより、次にME/PI/TZに対する株の感作が示され、各構成成分につき3.7μg/mlから1.2μg/mlに減少した。しかし、MRSA N315を事前にME/TZ(各11.1μg/ml)またはメロペネム単独(33.3μg/ml)に曝露することでは、ME/PI/TZに対する耐性レベルにおいて9倍の増加が示された(各構成部分につき3.7μg/mlから33.3μg/mlに増加)。タゾバクタム単独に曝露すると、ME/PI/TZに対する耐性は、7日目までは中程度の耐性がもたらされ(各11.1μg/ml)、11日目にはより高い耐性がもたらされた(各33.3μg/ml)。ME/PIまたはPI/TZに対する事前曝露は、11日にわたりMICの3倍の増加(3.7μg/ml〜11.1μg/ml)をもたらすにとどまった。
【0065】
構成成分薬剤に適応させた分離菌においてME/PI/TZに対するMICの上昇があったものの、この3剤併用物は依然として、全ての適応分離菌において相乗作用を維持した(表5B)。このことは、単剤MICとの比較で、72種の臨床的MRSA分離菌において観察されたME/PI/TZのMICの範囲内における相乗的薬剤活性(表4)に合致する。これらの結果は、サブ構成成分耐性を有効にするゲノム的変化が選択され得る場合であっても、3剤併用物による全体的な相乗的活性は維持されるということを示している。発明者らは、非病原性E.coli株についての最近の研究
36とは対照的に、任意の構成成分薬剤に対する耐性の増加を伴っても、相乗作用に関するME/PI/TZの全体的な薬剤相互作用プロファイルにおける変化を観察しなかった。
【0066】
実施例7 ME/PI/TZはリネゾリドと同程度にインビボでMRSAに対し有効である
次に発明者らは、腹膜炎の好中球減少マウスモデルを用いて、ME/PI/TZまたはその構成要素が、インビボのMRSA感染の処置において有効であり得るかについての試験を行った。ME/PI/TZ、ME/PI(各67mg/kg)、またはリネゾリド(30mg/kg)で処置したマウスから感染11時間後に血液を採取したところ、蒔かれたコロニーが0で液体培養中の増殖はないという、感染の排除を示す結果となった(
図5、表7)。これらの処置のそれぞれを受けた全マウス(n=6/群)が感染後6日間(マウス研究の総期間)生存した。ME/PI/TZ及びME/PIの有効性は、ビヒクルと比較しての全ての処置マウスにおけるMRSA感染の排除及び生存(p=0.02、フィッシャーの正確確率検定)に基づいて、リネゾリド単剤療法に類似するものであった。
【0067】
ME/PI/TZ、ME/PI、またはリネゾリドにより感染マウスが完全に救助されたこととは対照的に、ME/TZ、PI/TZ、またはメロペネム単体で処置した一部のマウス、及びピペラシリンまたはタゾバクタムのみで処置した全てのマウスは、(ほとんどが48時間以内に)感染によって死んだ(
図5、表7)。これらの他の薬剤レジメンによる処置は、ビヒクルによる処置と有意差はなく(p>0.05、フィッシャーの正確確率検定)(表6A)、ビヒクル処置の全てのマウスも48時間以内に感染で死んだ。
【0068】
発明者らは、メロペネム、ピペラシリン、またはビヒクルで処置したマウスから採取した血液からのMRSA N315培養物を、ME/PI/TZ及びその構成要素単剤に対するインビトロMICについて試験し、インビボの継代中に適応が生じるかどうかを判定した。全ての4つの試験対象MRSA N315分離菌は、3重ME/PI/TZ及び全ての構成成分薬剤に対して同一のMICを有し、そのため同一の相乗作用を有した(表6B)。これらのデータは、インビボ継代11時間以内では、これらの株内で試験対象の3重ME/PI/TZを克服するための適応が生じなかったことを示唆する。
【0069】
実施例に対する考察
カルバペネム、ペニシリン、及びβラクタマーゼ阻害薬を含有する抗細菌性3剤併用物が、同じ細胞系における複数のノード(細胞壁合成)を標的とし、また、インビトロの様々なMRSA株に対し、臨床的に達成可能な濃度で高度に相乗的かつ殺細菌性であることを示した。これは、付帯感受性及び相乗作用が、非病原性の実験室株のみで、直交的な細胞標的に対し機能する薬剤クラスの併用物から生じると示している細菌の研究
25、36とは対照的である。高濃度のカルバペネム及び他の薬剤は毒性効果を有する可能性が考えられるため、相乗作用を介して薬剤当たりの用量を低減することによって、潜在的な毒性が緩和される
55。発明者らによる3Dチェッカーボード試験は、MRSA N315に対するME/PI/TZの最適投入濃度が1:1:1の比(各2μg/ml)で与えられることを裏付けたが、この濃度は、これら化合物のメチシリン感受性S.aureusに対する感受性ブレイクポイントを下回り、この高耐性MRSA株に対し以前は不活性だったこれらの薬剤の投入濃度は、8〜64倍の低減となる。発明者らの機構的解析は、発明者らの仮説、すなわちメロペネムによるPBP1の標的化、ピペラシリンによるPBP2の標的化、タゾバクタムによるβ−ラクタマーゼ切断からのピペラシリン保護、及び併用物中の抗生物質の別の分子が阻害するようにするための、メロペネムによるPBP2aの活性部位のアロステリックな開放が、MRSAの細胞壁合成システムの複数の構成成分を同時に攪乱することにより相乗効果をもたらす、という仮説を支持するものである(
図9)。
【0070】
また発明者らは、予備的に、この併用物がインビボモデルで、高致死性の好中球減少性MRSAにおける活性を有することも示した。これは、この臨床的に承認されたβラクタムの3重併用物が、リネゾリドのような大幅に高額の単剤療法と同様に感染を排除する可能性があることを実証するものである。マウスで観察されたメロペネムの血漿レベルは、健康なヒトにおける薬剤の血漿レベルと十分な相関があり
56、メロペネムはこれらの臨床的に達成可能な濃度で、PBP2aの活性部位を開放するアロステリック性のトリガーとなるKdを獲得し、当該併用物におけるメロペネム及び他のβラクタムが阻害のためにアクセスできるようになる。
【0071】
注目すべきことに、ME/PIの2重併用物は、ME/PI/TZ及びリネゾリドと同様に、インビボのMRSA N315感染を11時間以内に排除した。インビトロでは、この併用物について、ME/PI/TZで見られたのと同様に、高い相乗性スコア及び相互的付帯感受性が観察された。ただし、ME/PIは、ME/PI/TZと同じ程度には耐性進化を抑制しなかった。この特性は、今回の攻撃的感染モデルには関連性がなかった可能性があるが、ヒトのMRSA感染で見られる、より長い処置時間にとっては重要であり得る。また、ME/PI/TZは、その高い相乗作用のため、ME/PIより低い総濃度でも有効である可能性がある。N315株をインビボでME/PI/TZのタゾバクタム構成成分に対し長く曝露させても、付帯感受性及び適応の抑制についてのインビトロの結果と一致して、ペニシリン構成成分に対する同時感作によるpN315プラスミドの放出が促進される可能性がある。実際、より適切にこの問題に対処するには、潜在的な長期間のインビボ耐性進化の試験を、薬剤の致死未満濃度下で重要なマウスの追跡実験において行う必要があるであろう。
【0072】
発明者らによる、ME/PI/TZ活性についてのロバスト機構のインビトロ結果及び予備的なインビボ結果から、この併用物が臨床で即時に使用可能であり得ることが示唆される。それは、この併用物には、MRSAに対する単剤療法としては数十年前に陳腐化したものの現時点でFDA承認されている薬剤が含まれているためである。しかし、インビトロで示された当該併用物のさらなる機構的特徴(相乗作用、長期間の投与にわたる耐性抑制、付帯感受性など)は、発明者らによる高度に攻撃的な好中球減少マウスモデルで観察された、有望ではあるが予備的な活性を支持するためには、相当に多くのインビボ試験を必要とするであろう。
【0073】
発明者らは、メロペネムまたはタゾバクタムに対する高耐性により、ME/PI/TZの有効性が相乗作用を維持しながらもわずかに低減することに注目する。発明者らによる耐性進化の解析では、メロペネム、ピペラシリン、及びタゾバクタムの間の関係を破壊する可能性が考えられる、水平方向に獲得された耐性遺伝子を説明することができない。このような注意点があるものの、発明者らは、ME/PI/TZ併用物が即時に実行可能な抗MRSA治療法であり、かつ、この併用物により、相乗的であると同時に付帯感受性を有する構成要素によってコードされる高次の抗生物質併用物について想定される優れた有効性をさらに機構的に探ることが保証されるものと考えている。MRSAに対しリネゾリドと同様の活性を有するME/PI/TZの潜在的有効性により、staphylococciに対するβラクタムの臨床使用の広範な見通しが再び開かれる。また、この系統の、慎重に設計された相乗的併用物で既存の抗生物質を別の目的に再利用するという研究は、このような薬剤が既にヒト用に承認されていることから、即時的な臨床需要に対処するであろうことも示唆される。いずれかの抗生物質またはいずれかの抗生物質併用物に対し耐性が出現することは避けられない。それでも、発明者らの研究で証明されたように、主要な薬物間相互作用の特徴から構成される併用物は、薬理学設備内で使用可能な既存薬剤の有用さを保つことにより、抗生物質耐性の出現を軽減する上でのツールとなり得る。
【0074】
実施例のための方法
微生物学的試験:MRSA N315は、Dr.Steven Gill,University of Rochester,Rochester,NY,USAから寄贈された。S.aureus ATCC29213は、American Type Culture Collectionから取得した。Barnes−Jewish Hospital,St.Louis,MO,USAの臨床的分離菌株バンクから、匿名化された臨床的MRSA分離菌をランダムに選択した。Clinical and Laboratory Standards Institute(CSLI)の勧告
43に基づき、増殖阻害のための最小阻害濃度(MIC)アッセイを実施した。簡潔に述べると、23種の抗細菌性化合物(補足表1)を、全ての主な薬剤クラスの範囲に基づき選択した。この中には、ヒト用の抗生物質としては分類されないが既知の抗細菌特性を有する3種の化合物が含まれる。化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、50mg/mlのストック濃度にした。例外:スルホメツロンはDMSO中20mg/ml、トブラマイシン、D−シクロセリン、及びコリスチンはH2O中50mg/ml、2μmにて濾過。23種の化合物を、固定の比でかつ溶媒中100倍濃度で、考えられる253種の固有の対での併用物になるよう製剤化した。考えられる相乗的または拮抗的薬剤相互作用を検査する濃度範囲を広げるため(2,000倍超)、薬剤ストックを3倍希釈系列にし、BioMek Fx自動分注機(Beckman Coulter,Inc.)を用いて、96ウェルのCostarマスター薬剤プレートに8列で配列した。次に、薬剤を1:100で混合し、200μl/ウェルのカチオン調整Mueller−Hintonブロス(CAMHB)を含有する96ウェルプレートに入れた。全ての薬剤感受性アッセイウェルに、約1μlの中間対数期の細菌培養物を0.5マクファーランド標準(約2x10
8CFU/ml)で接種し、37℃で24時間増殖させた。37℃で24時間後のエンドポイント増殖を、Synergy H1リーダー(BioTek,Inc.)を用いて600nm≧0.1の光学濃度により決定した。
【0075】
抗生物質併用物の相乗作用を分画阻害濃度指数(FICI)法
57、58を用いて決定した。この方法により、併用での抗生化合物のMICを化合物単体のMICで除算し、この併用物における各薬剤構成成分の分画寄与を得た。併用物における商を全て加算し、薬剤相互作用を以下の式を用いてスコア化する:FICI=(MIC A
A、B、C併用物)/MIC
薬剤A+(MIC B
A、B、C併用物)/MIC
薬剤B+(MIC C
A B C併用物)/MIC
薬剤C。次に、選択したMRSAに対する対の併用物を残りの21種の単一薬剤のそれぞれと組み合わせて3重併用物を作製し、製剤化し、2重併用物と同一の方法で試験した。MICでの薬物条件の3重反復測定を介して、併用物の相乗作用を確認した。スパースなスクリーニングでのMRSA N315に対する高い相乗作用に基づき、ME/PI/TZ及びその構成要素をさらなる特性解析のために選択した。ME/PI/TZ及びその構成要素に対する最終的な感受性試験を、各構成成分につき128〜2μg/mlの2倍希釈を用いて実施した。
【0076】
重複ウェルのCAMHB媒体中指示濃度のME/PI/TZを約5X10
5CFU/mlの中間対数期にあるMRSA N315に接種し、37℃で24時間インキュベートすることにより、MRSA N315におけるME/PI/TZの最小殺細菌濃度(MBC)を決定した。重複ME/PI/TZウェルから採取した50μlを1:100希釈したものの100μlを、ミューラー・ヒントン寒天培地(MHA)プレートに播種し、終夜24時間インキュベートした。CLSIにより定義されるように
59、MIC、またはMICを2段階上回る希釈においてコロニー増殖のないことが殺細菌活性を確認した。メロペネム(CAS 96036−03−2)及びクラブラネート(CAS 61177−45−5)はAK Scientific,Inc.(Union City,CA,USA)から入手した。ピペラシリン(CAS 59703−84−3)、タゾバクタム(CAS 89786−04−9)、イミペネム(CAS 74431−23−5)、及びアモキシシリン(CAS 26787−78−0)はSigma−Aldrich Co.(St.Louis,MO,USA)から入手した。
【0077】
適応及び交差耐性アッセイ:414MRSA N315を150μl/ウェルのCAMHB中、37℃で絶え間なく振とうして増殖させ、継代を11日にわたりME/PI/TZ、ME/PI、ME/TZ、PI/TZ、ME、PI、及びTZの反復3倍希釈液を含有する同一の96ウェルプレート中で行った。薬剤併用物の最高濃度は各構成成分につき33.3μg/mlであり、単一薬剤の最高濃度は100μg/mlであった。細胞生存能を試験するため、11日目のアッセイ終了時、プレートの全ウェルを滅菌済96ピンレプリケーターでピン差しし、CAMHB単独に移した。継代後、プレートに1:1の30%CAMHB/グリセロールを満たし、後の解析のために−80℃で冷凍した。
【0078】
各条件下の継代にわたる分離菌の増殖速度を、対数変換した指数増殖期の線形適合により決定した。Hegreness et al
23に従い、薬物条件下で1日目と最後の6日間の増殖の平均との間で増殖速度が0.2h
−1超であった細胞を含有するウェルを、顕著に条件に適応しているとみなし、適応速度αを生成した。MICまたは増殖速度の増加を示すウェル中の各併用物または単一化合物から、適応分離菌を遡及的に選択し、冷凍した分離菌を寒天プレート上に縞状に並べて単一のコロニーを取得し、当初の増殖時と同一のブロス条件下で分離菌を再増殖させ、次に、11日間実施した当初の431プレートと同一の滅菌済96ウェルプレートに再接種した。
【0079】
qRT−PCRによる発現プロファイリング:野生型及び適応MRSA N315分離菌を、100mlのフラスコにおいて3重反復で、CAMHB+/−11.1μg/mlのピペラシリンまたは33.3μg/mlのタゾバクタム中で中間対数期まで増殖させた。中間対数期で細胞を採取するため、各培養フラスコを2x50mlのスクリューキャップ管に分割し、4℃で、10分間3500rpmで遠心沈降させ、上清を除去し、沈渣を2mlの血清学的ピペットで慎重に合わせた。1mlのRNAprotect Bacteria Reagent(Qiagen,Valencia,CA,USA)を沈渣に添加してRNAを安定化させ、軽くボルテックスし、室温で5分間インキュベートした。インキュベート後、管を再び4℃で、10分間3500rpmで遠心沈降させ、上清を除去し、沈渣を−80℃で保管した。以下のプロトコールにより全RNAを抽出した。
(1)細胞沈渣を500μlの緩衝液B(200mM NaCl、20mM EDTA)に再懸濁させる。
(2)210μlの20%SDSを添加する。
(3)約250μlの体積の酸洗浄滅菌済ガラスビーズ(Sigma,Inc.)を添加する。
(4)500μlのフェノール:クロロホルム:IAAを添加する。
(5)ビーズビーティングを「高(high)」で5分間行う。
(6)4℃で、3分間8000rpmで遠心する(相分離させるため)。
(7)上面の水相を除去し、新たな管に移す。
(8)700μlのイソプロパノールを添加する。
(9)70μlの3M NaOAcを添加し、反転により十分に混合する。
(10)4℃、最大rpmで10分間遠心する。
(11)上清を吸引する。
(12)750μlの氷冷70%EtOHを添加し、最大rpm、4℃で5分間遠心する。
(13)上清を吸引し、EtOHを乾燥させ、RNアーゼのない場所で管を開けたままにする。
(14)100μlの無ヌクレアーゼ水を各管に添加し、再懸濁させる(50℃ヒートブロックに管を入れ、定期的にボルテックスする)。
(15)12μlのTURBO−DNアーゼ懸濁液(Ambion,Inc.)及び10μlの無RNアーゼTURBO−DNアーゼを各試料に添加し、37℃で30分間インキュベートする。
(16)製造業者のプロトコールによりMEGAClearカラム及びキットを用いて試料を精製する。
(17)製造業者のプロトコールに従って、Baseline−ZERO DNアーゼ懸濁液(Epicentre,Inc.)及び10μlのBaseline−ZERO DNアーゼを用いて試料を再精製する。
(18)最終RNA試料を30μlのTE懸濁液、pH7.0で溶出させる。
【0080】
SuperScript First−Strand Synthesis System for RT−PCR (Life Technologies,Carlsbad,CA,USA)を用いて第1ストランドcDNAを合成した。CFX96 Real−Time PCR Detection System(Bio−Rad Laboratories,Inc,Hercules,CA,USA)上のSYBR Select Master Mix for CFX(Life Technologies,Carlsbad,CA,USA)を用いて、MRSA N315におけるpbp2、mecA、及びblaZのqRT−PCRをgyrBに対して実施した。使用したプライマー配列(各0.3μM):
pbp2_F: CGTGCCGAAATCAATGAAAGACGC、配列番号1
pbp2_R: GGCACCTTCAGAACCAAATCCACC、配列番号2
mecA_F: TGGAACGATGCCTATCTCATATGC、配列番号3
mecA_R: CAGGAATGCAGAAAGACCAAAGC、配列番号4
blaZ_F: TTTATCAGCAACCTTATAGTCTTTTGGAAC、配列番号5
blaZ_R: CCTGCTGCTTTCGGCAAGAC、配列番号6
gyrB_F: CGATGTGGATGGAGCGCATATTAG、配列番号7
gyrB_R: ACAACGGTGGCTGTGCAATATAC、配列番号8
CFXプロトコール:50℃で2分、95℃で2分、(95℃で15秒、60℃で1分)x40サイクル。正規化定量60のΔΔCt法を用いて遺伝子発現を決定した。ここで、Ctは指数増殖期が閾値の蛍光シグナルを上回って増加したときのサイクル数を示す。
【0081】
配列決定ライブラリーの調製:下記のようにして、リソスタフィン消化及びフェノール:クロロホルム:IAA抽出を用いて、野生型及び適応MRSA N315からゲノムDNA(gDNA)を抽出した。
(1)終夜振とうした5mlのS.aureus株培養物から1mlのアリコートを採取し、13,000rpmで3分間遠心沈降させ、培地を捨て、追加の1mlの培養物を添加し、これを繰り返す。
(2)500μlの2X緩衝液A(NaCl 200mM、トリス200mM、EDTA20mM)を4℃でペレット状の細胞に添加し、軽くボルテックスして細胞を再懸濁させる。
(3)2.5μlの10mg/ml(200x)リソスタフィン(Sigma−Aldrich,Inc.)を管に添加する。
(4)管を叩いて混合し遠心沈降させ、37℃のドライバスに1時間入れる。
(5)高速冷却マイクロ遠心処理で4℃にする。
(6)約250μlの0.1mmジルコニウムビーズ(BioSpec Products、カタログ番号1107910)を添加する。
(7)210μlの20%SDSを添加する。
(8)500μlのフェノール:クロロホルム:IAA(25:24:1、pH7.9)を添加し、試料を氷上で冷やす。
(9)ビードビーティングを「均質化(homogenize)」設定で4分間行う(ビーティング2分、氷冷2分、ビーティング2分)。
(10)6800rcf(4℃)で3分間遠心する。
(11)待機の間、PLGカラム(5Prime,cat#2302820)を最大速度(20,800rcf)、室温で30秒間、遠心沈降させる。
(12)水相(約500μl)を、事前遠心したフェーズロックゲル管に移す。
(13)等量(500μl)のフェノール:クロロホルム:IAA(25:24:1、pH7.9)を管に添加し、反転により(ボルテックスはしないこと)混合する。
(14)管を最大速度(20,800rcf)(室温)で5分間遠心する。
(15)水相(約500μl)を、新しいEppendorf管に移す。
(16)500μlの−20℃イソプロパノールを添加する。
(17)50μl(1/10の体積)の3M NaOAc、pH5.5(Ambion,AM9740)を添加し、反転により十分に混合する。
(18)−20℃で少なくとも1時間(終夜が好ましいが必須ではない)保管する。
(19)最大速度、4℃で20分間遠心する。
(20)沈渣を500μlの100% EtOH(室温)で洗浄し、4℃で3分間遠心沈降させる。
(21)EtOHからピペットで慎重に取り、15分超風乾する。
(22)30μlのTE(Ambion,AM9861)を添加し、50℃で5分間インキュベートする。
(23)QIAGEN QIAQuick PCR精製カラムを通じて以下の変更を伴ってDNAを実行する:カラムクリーンアップ開始時のRNアーゼ処理。使用する全てのPB緩衝液300μlごとに4μlのQuiagenRNアーゼ(100mg/ml)と合わせ、PB緩衝液/NRアーゼ中室温で15分間インキュベートする。
(24)PE洗浄緩衝液を室温で2分間カラム内に静置させ、55℃に事前加熱した35μlのEB緩衝液でgDNAを溶出させ、最終スピンの前に1分間静置させる。
【0082】
発明者らは、各ゲノムからの500ngの全長DNAを、10分での切断を9ラウンドそれぞれBioRuptor XLで行い、約300bpの断片に切断した。各ラウンドにおいてパワー設定は「H」であり、試料を30秒処理し30秒休ませた。各試料をQiagen MinElute PCR精製キットを用いて製造業者のプロトコールにより濃縮した。2.5μlのT4 DNAリガーゼ緩衝液を10mM ATP(NEB,B0202S)、1μlの1mM dNTP(NEB)、0.5μlのT4ポリメラーゼ(NEB,M0203S)、0.5μlのT4 PNK(NEB M0201S)、及び0.5μlのTaqポリメラーゼ(NEB,M0267S)と共に添加することで、切断DNA断片の末端修復を開始した。この混合物を25℃で30分間、次に75℃で20分間インキュベートした。次にこの溶液に、バーコード付きアダプターを0.8μlのT4 DNAリガーゼ(NEB,M0202M)と共に添加した。これはアダプターをDNA断片に連結させることが目的である。次に、この溶液を16℃で40分間、次に65℃で10分間インキュベートした。次に、このアダプター連結DNAを、Qiagen MinElute PCR精製キットを用いて製造業者のプロトコールにより精製した。
【0083】
次に、Biotium GelGreen色素(Biotium)で染色した1X TBE緩衝液中2%アガロースゲル上でDNA断片をサイズ選択した。ゲルにロードする前に、DNA断片を2.5μlの6xOrange loading色素と合わせた。QIAGEN MinEluteゲル抽出キットを用いて製造業者のプロトコールにより、アダプター連結DNAを250〜300bpのDNAに相当するゲルスライスから抽出した。精製したDNAの濃縮を、PCRにより25μl反応液中12.5μlの2x Phusion HF Master Mix及び1μlの10μM Illumina PCR Primer Mixを用いて、1μlの精製したDNAをテンプレートとして用いて行った。DNAの増幅を、98℃で30秒、次に98℃で10秒を18サイクル、65℃で30秒、72℃で30秒、そして最後の伸長を72℃で5分行った。次に、Qubitフルオロメーターを用いてDNA濃度を測定し、10nmolの各試料(シークエンシングのレーン当たり最大106試料)をプールした。次に、試料をGTAC(Genome Technology Access Center,Washington University in St.Louis)にあるIllumina HiSeq−2500 Paired−End(PE)の101bp配列決定のために提出した。
【0084】
DNA配列解析:アライメント及びバリアント呼び出し。野生型及び適応MRSA N315について、各ゲノムの全ての配列決定リードをバーコードにより逆多重化して別々のゲノムビンにした。リードをクオリティトリミングして、品質スコアが19を下回るいずれの末端のアダプター配列及び塩基も除去した。クオリティトリミング後に31bpより短いリードは、いずれもさらなる解析に使用しなかった。全てのリードをStaphylococcus aureus subsp. aureus N315染色体(GenBank ID:BA000018.3)及びpN315プラスミド(GenBank ID:AP003139)にマッピングした(コマンド:owtie2 −x <reference_genome_index_name> −1 <forward_read_file> −2 <reverse_read_file> −q −−phred33 −−very−sensitive−local −I 200 −X 1000 −S <sam_output>)。参照からのバリアントをsamtools
61を用いて呼び出した(コマンド:samtools view −buS <sam_file> | samtools sort −m 4000000000 − <sample_prefix> ### samtools index <bam_file> ### samtools mpileup −uD −f reference_genome> <bam_file> | bcftools view −bcv − > <bcf_file> ### bcftools view <bcf_file>)。次にバリアントコールフォーマット(VCF)ファイルをフィルタリングして、品質スコアが70より低い、またはカバレッジが塩基当たり予想される平均カバレッジの2倍より大きいSNPを除去した。リードカバレッジの不在または過剰なリードカバレッジは、それぞれプラスミドの喪失または大きな重複を示した。野生型のアライメントから見いだされた任意のバリアント位置は、アライメントエラーの結果であるか、またはN315におけるラボ固有のドリフトに由来するものと判定し、全ての他のVCFファイルから除去した。次に各バリアント位置を既知のN315のORFロケーションと比較して原因バリアントを探索した。
【0085】
MRSA感染のインビボマウスモデル:動物。非近交系のICR雌マウス(6〜8週齢、体重17〜25g;Harlan Laboratories,Inc.,Indianapolis,IN,USA)を使用した。マウスにTeklad 2019 Extruded Rodent Diet(Harlan Laboratories,Inc.,Indianapolis,IN,USA)及び水を自由に与えた。マウスを、コーンコブ(The Andersons, Inc.,Maumee,OH,USA)及びアルファドライ(Shepherd Specialty Papers,Inc.,Richland,MI,USA)の床敷を収容するポリカーボネート製の靴箱サイズのケージ内で、明周期12時間/暗周期12時間、22±1℃で維持した。動物に関わる全ての手順は、University of Notre Dame Institutional Animal Care and Use Committeeによる承認を受けた。
【0086】
MRSA感染の好中球減少マウス腹膜炎モデル。シクロホスファミド(200mg/kgに相当する0.9%食塩液中100μlの50mg/ml;Alfa Aesar,Ward Hill,MA,USA)の用量を感染の4日及び1日前に腹腔内(IP)投与した。S.株N315をブレイン−ハートインフュージョン(BHI;Becton Dickson and Company,Sparks,MD,USA)寒天培地に縞状に並べ、36℃で終夜増殖させた。MRSA N315細菌接種物を約1x10
8CFU/ml(OD
540=0.5に相当)に調整し、次に希釈して2x10
7CFU/mlを得た。10%ブタムチン(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO,USA)懸濁液を調製し、pH7に調整した。感染直前に、細菌接種物を10%ムチンと1:1希釈して、最終濃度を5%ムチン中1x10
7CFU/mlにした。次に、0.5mlのこの接種物を用いてマウスにIP感染させた。マウスにおけるインビボ化合物投与を、研究されているβラクタムの平均または範囲ピークヒト血漿濃度
44、46、47、62、63と比較した。
【0087】
抗生物質の調製。メロペネムはAK Scientific, Inc. (Union City,CA,USA)から入手し、ピペラシリン及びタゾバクタムはSigma−Aldrich Co.(St.Louis,MO,USA)から入手した。リネゾリド(CAS 165800−03−3)はAmplaChem(Carmel,IN,USA)から入手した。抗生物質を16.67mg/mlの濃度で30%DMSO/30%プロピレングリコール/40%水に溶解した。リネゾリドを陽性対照として使用し、7.5mg/mlで調製した。ビヒクル(30%DMSO/30%プロピレングリコール/40%水)を陰性対照として含めた。投与製剤を注入前に0.2μmフィルターに通すことにより滅菌した。
【0088】
血液からの細菌分離。血液試料の細菌増殖を播種及び液体培養により調べた。全血(100μl、群当たり3試料)をブレイン−ハートインフュージョン(BHI)寒天培地プレートに広げ、36℃で終夜インキュベートした。コロニーを計数し、3つのコロニーを選択し、液体BHI中で36℃で終夜増殖させ、次に30%のLB−グリコールと1:1混合し、−80℃で保管した。残りの各群の3つの血液試料(50μl)を5mlのBHIブロスに添加し、36℃で終夜インキュベートした。増殖が認められたら、培養物を30%のLB−グリコールと1:1混合し、−80℃で保管した。
【0089】
統計的解析:最小阻害濃度(MIC)のデータは3重反復による測定値から得る。適応データは、各薬剤併用条件について2回の反復実験から得る。qRT−PCR発現プロファイリングのデータは、それぞれ3回の生物学的反復から得られた3回の反復実験から得、測定値の標準誤差が算出される。マウスを6匹からなる群で処置し、細菌の増殖判定は、3回反復においてプレート及びブロスを介し決定した。ボンフェローニ補正を伴うフィッシャーの正確確率検定を8回の独立した試験に使用した(各処置を610ビヒクルと比較)。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0090】
実施例の参考文献
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