特許第6845539号(P6845539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マツダ株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6845539-自動車の後部サスペンション構造 図000002
  • 特許6845539-自動車の後部サスペンション構造 図000003
  • 特許6845539-自動車の後部サスペンション構造 図000004
  • 特許6845539-自動車の後部サスペンション構造 図000005
  • 特許6845539-自動車の後部サスペンション構造 図000006
  • 特許6845539-自動車の後部サスペンション構造 図000007
  • 特許6845539-自動車の後部サスペンション構造 図000008
  • 特許6845539-自動車の後部サスペンション構造 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845539
(24)【登録日】2021年3月2日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】自動車の後部サスペンション構造
(51)【国際特許分類】
   B60G 9/04 20060101AFI20210308BHJP
【FI】
   B60G9/04
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-60618(P2017-60618)
(22)【出願日】2017年3月27日
(65)【公開番号】特開2018-161990(P2018-161990A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2020年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】500213915
【氏名又は名称】株式会社ワイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 浩之
(72)【発明者】
【氏名】川口 秀明
(72)【発明者】
【氏名】上平 雅之
(72)【発明者】
【氏名】山中 悠也
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−153346(JP,A)
【文献】 特開2016−193682(JP,A)
【文献】 特開2018−161989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延び、左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延び、該両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造であって、
上記各トレーリングアームは、断面U字状をなす一対のパネルであって該トレーリングアームの断面形状が閉断面形状をなすようにU字開口が互いに対向した状態で接合された一対のパネルを有し、
上記一対のパネルのうちの一方のパネルが、上記各トレーリングアームの少なくとも後部の断面における周壁部の一部であって少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分を含む部分を構成するとともに、該一方のパネルの厚みが他方のパネルの厚みよりも大きくされ、
上記各トレーリングアームの後部の断面における周壁部の少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分に、上記各後輪を支持する後輪支持ユニットが連結されており、
上記各後輪支持ユニットは、上記各トレーリングアームとの連結部分から車幅方向外側に突出するとともに、軸部が上記各トレーリングアームよりも上側に位置するハブをそれぞれ有し、
上記一対のパネルは、上記トレーリングアームの後部の断面における剛性中心が、該断面における周壁部の上側かつ車幅方向外側の部分に寄るような形状にそれぞれ設定されていることを特徴とする自動車の後部サスペンション構造。
【請求項2】
車両前後方向に延び、左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延び、該両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造であって、
上記各トレーリングアームは、断面U字状をなす一対のパネルであって該トレーリングアームの断面形状が閉断面形状をなすようにU字開口が互いに対向した状態で接合された一対のパネルを有し、
上記一対のパネルのうちの一方のパネルが、上記各トレーリングアームの少なくとも後部の断面における周壁部の一部であって少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分を含む部分を構成するとともに、該一方のパネルの厚みが他方のパネルの厚みよりも大きくされ、
上記各トレーリングアームの後部の断面における周壁部の少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分に、上記各後輪を支持する後輪支持ユニットが連結されており、
上記一対のパネルは、車幅方向に互いに対向する内側パネル及び外側パネルであり、
上記外側パネルの厚みが上記内側パネルの厚みよりも大きくされ、
上記各トレーリングアームの後部において、上記外側パネルの上部の方が該外側パネルの下部よりも車幅方向に幅広であり、
上記各トレーリングアームに連結された上記後輪支持ユニットは、該各トレーリングアームの上記外側パネルに連結されていることを特徴とする自動車の後部サスペンション構造。
【請求項3】
請求項2記載の自動車の後部サスペンション構造において、
上記各トレーリングアームの後部の閉断面形状が略矩形状であり、
上記各トレーリングアームの後部において、上記内側パネルの下部の方が該内側パネルの上部よりも車幅方向に幅広であることを特徴とする自動車の後部サスペンション構造。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の自動車の後部サスペンション構造において、
上記各トレーリングアームの後部の方が、該各トレーリングアームの前部よりも車幅方向に幅広であることを特徴とする自動車の後部サスペンション構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対のトレーリングアームと、該両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の後部サスペンション構造として、車両前後方向に延びかつ左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延び、該両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両前後方向に延びかつパイプで構成された左右一対のトレーリングアームと、該両トレーリングアームを連結するトーションビームとを備え、各トレーリングアームの車両後側端部に各後輪がそれぞれ支持される、自動車の後部サスペンション構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−224016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記トーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造では、後輪を支持する後輪支持ユニットがトレーリングアームの後部に設けられ、該後輪支持ユニットを介して後輪がトレーリングアームの後部に支持される場合がある。後輪は、トレーリングアームよりも車幅方向外側に配置されるとともに、後輪の回転軸が、通常、トレーリングアームの上側に位置するので、上記のようにトレーリングアームの後部に後輪が支持されるような構成の場合、トレーリングアームの後輪に対する支持剛性を高めるためには、トレーリングアームの後部の断面における周壁部のうち、特に上側かつ車幅方向外側の部分の強度及び剛性を高くする必要がある。
【0006】
上記周壁部の上側かつ車幅方向外側の部分の強度及び剛性を高くする方法として、該部分の厚みを厚くすることが考えられる。しかしながら、特許文献1のように、トレーリングアームがパイプで構成されている場合、トレーリングアームの断面における周壁部全体の厚みを厚くしなければならないため、自動車の後部の重量が増加してしまう。
【0007】
また、トレーリングアームを太くして後輪に対する支持剛性を高くすることも考えられるが、特許文献1のように、トレーリングアームがパイプで構成されている場合、トレーリングアームを部分的に太くすることが容易ではないため、トレーリングアーム全体を太くせざるを得ず、この場合でも、自動車の後部の重量増加の問題が生じる。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動車の後部の重量増加を抑えつつ、トレーリングアームの後輪に対する支持剛性を出来る限り高くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明では、車両前後方向に延び、左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延び、該両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造を対象として、上記各トレーリングアームは、断面U字状をなす一対のパネルであって該トレーリングアームの断面形状が閉断面形状をなすようにU字開口が互いに対向した状態で接合された一対のパネルを有し、上記一対のパネルのうちの一方のパネルが、上記各トレーリングアームの少なくとも後部の断面における周壁部の一部であって少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分を含む部分を構成するとともに、該一方のパネルの厚みが他方のパネルの厚みよりも大きくされ、上記各トレーリングアームの後部の断面における周壁部の少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分に、上記各後輪を支持する後輪支持ユニットが連結されており、上記各後輪支持ユニットは、上記各トレーリングアームとの連結部分から車幅方向外側に突出するとともに、軸部が上記各トレーリングアームよりも上側に位置するハブをそれぞれ有し、上記一対のパネルは、上記トレーリングアームの後部の断面における剛性中心が、該断面における周壁部の上側かつ車幅方向外側の部分に寄るような形状にそれぞれ設定されているという構成とした。
【0010】
上記の構成により、厚みが大きいパネルが、トレーリングアームの後部の断面における周壁部の一部であって少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分を含む部分を構成し、該周壁部の少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分に後輪支持ユニットが連結されているので、トレーリングアームの後輪に対する支持剛性を高くすることができる。また、厚みが小さいパネルが、上記周壁部の残りの部分を構成するので、トレーリングアームの重量増加を抑制することができる。したがって、自動車の後部の重量増加を抑えつつ、トレーリングアームの後輪に対する支持剛性を高くすることができる。
【0011】
上記自動車の後部サスペンション構造の他の態様では、車両前後方向に延び、左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延び、該両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造を対象として、上記各トレーリングアームは、断面U字状をなす一対のパネルであって該トレーリングアームの断面形状が閉断面形状をなすようにU字開口が互いに対向した状態で接合された一対のパネルを有し、上記一対のパネルのうちの一方のパネルが、上記各トレーリングアームの少なくとも後部の断面における周壁部の一部であって少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分を含む部分を構成するとともに、該一方のパネルの厚みが他方のパネルの厚みよりも大きくされ、上記各トレーリングアームの後部の断面における周壁部の少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分に、上記各後輪を支持する後輪支持ユニットが連結されており、上記一対のパネルは、車幅方向に互いに対向する内側パネル及び外側パネルであり、上記外側パネルの厚みが上記内側パネルの厚みよりも大きくされ、上記各トレーリングアームの後部において、上記外側パネルの上部の方が該外側パネルの下部よりも車幅方向に幅広であり、上記各トレーリングアームに連結された上記後輪支持ユニットは、該各トレーリングアームの上記外側パネルに連結されている。
【0012】
このことにより、トレーリングアームの後部の断面における剛性中心を、トレーリングアームの上側かつ車幅方向外側に位置する後輪支持ユニット(後輪アクスル)に近づけることができる。よって、簡単な構成で、トレーリングアームの後輪に対する支持剛性をより一層高くすることができる。
【0013】
上記他の態様の場合、上記一対のパネルは、車幅方向に互いに対向する内側パネル及び外側パネルであり、上記外側パネルの厚みが上記内側パネルの厚みよりも大きくされ、上記各トレーリングアームの後部において、上記外側パネルの上部の方が該外側パネルの下部よりも車幅方向に幅広であり、上記各トレーリングアームに連結された上記後輪支持ユニットは、該各トレーリングアームの上記外側パネルに連結されている、ことが好ましい。
【0014】
このことで、トレーリングアームを上下方向及び車幅方向に高剛性化しつつ、トレーリングアームの後部の断面における剛性中心を、後輪支持ユニットにより一層効果的に近づけることができる。
【0015】
上記他の態様において、上記各トレーリングアームの後部の方が、該各トレーリングアームの前部よりも車幅方向に幅広である、ことが好ましい。
【0016】
この構成により、後輪支持ユニットが連結された、トレーリングアームの後部の方が、該トレーリングアームの前部よりも車幅方向に幅広であるので、トレーリングアームの後輪に対する支持剛性をより一層向上させることができる。また、トレーリングアームの前部を、その幅が小さい分だけ後輪に近づけることができ、この結果、トレーリングアームを、出来る限り前後方向に真っ直ぐに延びる形状にすることができる。これにより、トレーリングアームの後部の幅広と相俟って、トレーリングアーム全体としての後輪に対する支持剛性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の自動車の後部サスペンション構造によると、各トレーリングアームの一対のパネルのうちの一方のパネルが、上記各トレーリングアームの少なくとも後部の断面における周壁部の一部であって少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分を含む部分を構成するとともに、該一方のパネルの厚みが他方のパネルの厚みよりも大きくされ、上記各トレーリングアームの後部の断面における周壁部の上側かつ車幅方向外側の部分に、各後輪を支持する後輪支持ユニットが連結されていることにより、トレーリングアームの重量増加、延いては自動車の後部の重量増加を抑えながら、トレーリングアームの後部の断面における剛性中心を後輪支持ユニットに近づけて、トレーリングアームの後輪に対する支持剛性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る後部サスペンション構造が適用された自動車の車体後部に配設されるトーションビーム式サスペンションを示す平面図である。
図2】上記自動車の車体後部の右側部分を示す断面図である。
図3】上記トーションビーム式サスペンションの右側部分を後斜め上側から見た斜視図である。
図4】上記トーションビーム式サスペンションの右側部分を左側から見た左側側面図である。
図5図4のV−V線断面図である。
図6図4のVI−VI線断面図である。
図7図4のVII−VII線断面図である。
図8】変形例に係る右側のトレーリングアームの後部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る後部サスペンション構造が適用された自動車(以下、車両という)の車体後部に配設されるトーションビーム式サスペンション10(以下、単にサスペンション10という)を示し、図2は、上記車両の車体後部の右側部分を示す。上記車両は、フロントエンジンフロントドライブ式(FF式)の車両であって、前輪が駆動輪であり、後輪50(図2参照)が従動輪となっている。尚、上記車両は、4輪駆動車であってもよい。尚、以下の説明では、上記車両についての前、後、左、右、上及び下を、それぞれ単に前、後、左、右、上及び下という。
【0021】
上記車両の車体後部に配設されたサスペンション10は、前後方向に延びる左右一対のトレーリングアーム12と、車幅方向に延びかつ両トレーリングアーム12を連結するトーションビーム13とを有している。
【0022】
各トレーリングアーム12の前側端部には、トレーリングアーム12を車体に対して上下方向に揺動可能に連結するためのサスペンションブッシュ14が固定されている。
【0023】
トーションビーム13よりも後側でかつ該トーションビーム13の長手方向両側の端部と左右一対のトレーリングアーム12との間の各コーナー部には、角部補強部材17を介してスプリングシート16がそれぞれ設けられている。この各スプリングシート16には、懸架用のコイルスプリング(図示省略)の下端が取り付けられる。このコイルスプリングの上端は車体に取り付けられる。
【0024】
各トレーリングアーム12におけるスプリングシート16よりも後側の部分には、後輪50を介して路面から伝達される上下方向の荷重を吸収するためのダンパ80が、ダンパブラケット70を介して取り付けられている。
【0025】
また、各トレーリングアーム12の前後方向中間の部分におけるスプリングシート16と略同じ前後位置には、後輪50を支持するための後輪支持ユニットを構成するアクスルブラケット15及びアクスルユニット51が、車幅方向外側に向かって突出するように設けられている。
【0026】
以下、トレーリングアーム12及びトレーリングアーム12に取り付けられる部品(ダンパブラケット70など)の詳細な構成について説明する。尚、本実施形態に係る後部サスペンション構造は左右対称に構成されているため、以下の説明では、右側のトレーリングアーム12及び右側のトレーリングアーム12に取り付けられる部品の構成について主に説明し、左側のトレーリングアーム12等については詳細な説明を省略する。
【0027】
先ず、トレーリングアーム12(右側のトレーリングアーム12のことである)について説明する。
【0028】
図2に示すように、トレーリングアーム12の前部12aは、後輪50を避けるように、平面視で左側(つまり、車幅方向内側)に向けて凸となる湾曲形状をしている。具体的には、トレーリングアーム12の前部12aは、その前後方向中間の部分が最も左側に位置し、そこから当該前部12aの前側端及び当該前部12aの後側端に近づくほど右側に位置するように湾曲している。また、上記前部12aは、図2に示すように、前部12aの後側端部が前部12aの前側端部よりも右側に位置している。トレーリングアーム12の後部12bは、図2に示すように、後側に向かって右側に傾斜した形状をしている。
【0029】
トレーリングアーム12の前部12aは、図2に示すように、車幅方向の幅が、前部12aの前側端から前部12aの後側端に向かうに連れて徐々に大きくなるような形状を有している。一方で、トレーリングアーム12の後部12bは、該後部12bの前側端から後部12bの後側に向かって車幅方向の幅が略均一な状態で延びた後、後部12bの後側端の近傍部分(ダンパブラケット70が連結される部分)において、当該後部12bの他の部分よりも車幅方向の幅が大きくなるような形状を有している。したがって、トレーリングアーム12の後部12bの方が、該トレーリングアーム12の前部12aよりも車幅方向に幅広である。
【0030】
トレーリングアーム12の後端には、図1図4に示すように、他の部材が設けられていない。
【0031】
本実施形態では、トレーリングアーム12は、図5図7に示すように、車幅方向中間の部分において左右に2分割されており、左右に分割された部材同士が接合されることで、前後方向全体に亘って、略矩形状の閉断面形状をなすように構成されている。詳しくは、トレーリングアーム12は、車幅方向の内側及び外側にそれぞれ位置して車幅方向に互いに対向する断面U字状の内側パネル20及び外側パネル30(一対のパネル)を有している。これら内側パネル20及び外側パネル30同士は、該両パネル20,30のU字開口が車幅方向に互いに対向した状態で接合されている。内側パネル20及び外側パネル30は、それぞれ、例えば鋼板をプレス成形してなる一体成形品である。尚、内側パネル20と外側パネル30との溶接による電食を防止する観点から、内側パネル20と外側パネル30とは互いに同じ材質のもので構成されていることが望ましい。
【0032】
内側パネル20は、図3及び図5図7に示すように、前後方向に延びる上壁部(以下、内側上壁部21という)と、該内側上壁部21と上下方向に対向して前後方向に延びる下壁部(以下、内側下壁部22という)と、内側上壁部21の左側端部と内側下壁部22の左側端部とを連結する側壁部(以下、内側側壁部23という)とを有している。内側側壁部23は、トレーリングアーム12の湾曲形状及び傾斜形状に対応するように左右方向に湾曲及び傾斜している。
【0033】
図2図4に示すように、内側上壁部21及び内側下壁部22も、内側側壁部23と同様に、トレーリングアーム12の湾曲形状及び傾斜形状に対応するように左右方向に湾曲及び傾斜している。内側上壁部21の車幅方向の幅は、図2図3及び図5図7に示すように、トレーリングアーム12の前部12aでは、該前部12aの前側端から後側端に向かうに連れて大きくなっている。また、内側上壁部21の車幅方向の幅は、トレーリングアーム12の後部12bでは、該後部12bの前端から前後方向中間の部分までの範囲において、上記前部12aの後端における内側上壁部21の車幅方向の幅と略同じ大きさであり、上記後部12bの後側端の近傍部分において、内側上壁部21の右側端部が左側に向かって凹むことで、上記後部12bにおける内側上壁部21の他の部分よりも小さくなっている。内側下壁部22の車幅方向の幅は、トレーリングアーム12の前部12aでは、該前部12aの前側端から後側端に向かうに連れて大きくなっている。また、内側下壁部22の車幅方向の幅は、トレーリングアーム12の後部12bでは、図6及び図7に示すように、後部12bの前側端から後側端まで、上記前部12aの後側端における内側下壁部22の車幅方向の幅と略同じ幅となっている。
【0034】
図5に示すように、トレーリングアーム12の前部12aにおいては、内側上壁部21の車幅方向の幅(内側パネル20の上部の幅)は、内側下壁部22の車幅方向の幅(内側パネル20の下部の幅)と略同じである。
【0035】
一方、図6及び図7に示すように、トレーリングアーム12の後部12bにおいては、内側パネル20の内側下壁部22(内側パネル20の下部)の方が内側上壁部21(内側パネル20の上部)よりも車幅方向に幅広である。
【0036】
外側パネル30は、図3及び図5図7に示すように、前後方向に延びる上壁部(外側パネル30の上部。以下、外側上壁部31という)と、該外側上壁部31と上下方向に対向して前後方向に延びる下壁部(以下、外側下壁部32という)と、外側上壁部31の右側端部と外側下壁部32の右側端部とを連結する側壁部(以下、外側側壁部33という)とを有している。外側側壁部33は、トレーリングアーム12の湾曲形状及び傾斜形状に対応するように左右方向に湾曲及び傾斜している。
【0037】
図2及び図3に示すように、外側上壁部31及び外側下壁部32も、外側側壁部33と同様にトレーリングアーム12の湾曲形状及び傾斜形状に対応するように左右方向に湾曲及び傾斜している。外側上壁部31の車幅方向の幅は、図2及び図5図7に示すように、トレーリングアーム12の前部12aでは、該前部12aの前側端から後側端に向かうに連れて大きくなっている。また、外側上壁部31の車幅方向の幅は、トレーリングアーム12の後部12bでは、該後部12bの前端から前後方向中間の部分までの範囲において、上記前部12aの後端における外側上壁部31の車幅方向の幅と略同じ大きさであり、上記後部12bの後側端の近傍部分において、外側上壁部31の左側端部が左側に向かって膨出することで、上記後部12bにおける外側上壁部31の他の部分よりも大きくなっている。外側下壁部32の車幅方向の幅は、外側上壁部31と同様に、トレーリングアーム12の前部12aでは、該前部12aの前側端から後側端に向かうに連れて大きくなっている。また、外側下壁部32の車幅方向の幅は、トレーリングアーム12の後部12bでは、図6及び図7に示すように、後部12bの前側端から後側端まで、上記前部12aの後側端における外側下壁部32の車幅方向の幅と略同じ幅となっている。
【0038】
図5に示すように、トレーリングアーム12の前部12aにおいては、外側上壁部31の車幅方向の幅(外側パネル30の上部の幅)は、外側下壁部32の車幅方向の幅(外側パネル30の下部の幅)と略同じである。
【0039】
一方、図6及び図7に示すように、トレーリングアーム12の後部12bにおいては、外側パネル30の外側上壁部31(外側パネル30の上部)の方が外側下壁部32(外側パネル30の下部)よりも車幅方向に幅広である。
【0040】
図5図7に示すように、外側パネル30の厚みは、トレーリングアーム12全体に亘って、内側パネル20の厚みよりも大きい。
【0041】
内側上壁部21の車幅方向の幅と内側下壁部22の車幅方向の幅との平均値と、外側上壁部31の車幅方向の幅と外側下壁部32の車幅方向の幅との平均値とを比較すると、各上壁部21,31と各下壁部22,32とで幅の変化に違いがあるものの、トレーリングアーム12全体で、内側パネル20の車幅方向の幅と外側パネル30の車幅方向の幅とは同程度の大きさとなっている。
【0042】
内側パネル20と外側パネル30とは、トレーリングアーム12の断面形状が閉断面形状となるように、内側上壁部21と外側上壁部31とが溶接されるとともに、内側下壁部22と外側下壁部32とが溶接されることによって接合されている。具体的には、図5図7に示すように、内側上壁部21の右側端部が外側上壁部31の左側端部の上側に重ね合わされた状態で、内側上壁部21の右側端部と外側上壁部31の左側端部とが溶接によって接合されている一方、内側下壁部22の右側端部が外側下壁部32の左側端部の下側に重ね合わされた状態で、内側下壁部22の右側端部と外側下壁部32の左側端部とが溶接によって接合されている。これにより、内側及び外側上壁部21,31、内側及び外側下壁部22,32、並びに、内側及び外側側壁部23,33によって、トレーリングアーム12の閉断面形状が形成されている。また、上述のように内側パネル20と外側パネル30とが接合されることにより、内側パネル20と外側パネル30との接合部分には、段差が形成される。尚、内側パネル20と外側パネル30とは、内側上壁部21の右側端部と外側上壁部31の左側端部、及び、内側下壁部22の右側端部と外側下壁部32の左側端部とが突き合わせ接合されることで、接合されていてもよい。
【0043】
また、図3に示すように、外側パネル30の外側上壁部31及び外側側壁部33の後端部には、内側パネル20の後側端よりも後側に延設された延設部34が形成されている。詳しくは後述するが、延設部34には、ダンパブラケット70の外側ダンパブラケット72が接合される。
【0044】
次に、トレーリングアーム12に取り付けられる部材について説明する。
【0045】
上記トーションビーム13は、中空楕円状のパイプの前側の部分における長手方向中間の部分を前側から後側へ押圧することにより、横断面形状が、閉断面かつ異形断面形状をなすように成形されている。本実施形態では、トーションビーム13は、長手方向両側の端部が、それぞれ、パイプの元々の形状である断面楕円形となっており、長手方向中間の部分の異形断面形状が、図4に示すように開口が前側に位置するU字状をなしている。また、上記異形断面形状は、長手方向両側の端部から長手方向中央に向かうに連れてU字開口が大きくなるような形状をなしている。
【0046】
トーションビーム13の長手方向両側の端部は、左右のトレーリングアーム12の前部12aにそれぞれ溶接されている。詳しくは、トーションビーム13の長手方向右側の端部は、右側のトレーリングアーム12の前部12aにおいて、右側のトレーリングアーム12の内側パネル20に溶接されており(図1図3参照)、トーションビーム13の長手方向左側の端部は、左側のトレーリングアーム12の前部12aにおいて、左側のトレーリングアーム12の内側パネル20に溶接されている(図1参照)。
【0047】
上記サスペンションブッシュ14は、上述したように、トレーリングアーム12の前側端部に固定されている。
【0048】
サスペンションブッシュ14は、図3及び図4に示すように、トレーリングアーム12の前側端部に固定される外筒14aと、該外筒14aの内側に該外筒14aと同軸に配置される内筒14bと、外筒14aと内筒14bとの間に配置される弾性部材40とを有している。
【0049】
図3及び図4に示すように、内側側壁部23の前側端部及び外側側壁部33の前側端部は、外筒14aの形状に対応するように、前側に向かって開放されたU字状に切り欠かれた切欠部12c(内側側壁部23の切欠部12cについては図4参照、外側側壁部33の切欠部12cについては図3参照)となっており、この切欠部12cに外筒14aが嵌め込まれて、外筒14aと内側及び外側側壁部23,33とがそれぞれ溶接されることで、サスペンションブッシュ14がトレーリングアーム12の前側端部に固定される。サスペンションブッシュ14は、図2に示すように、その筒軸(外筒14a及び内筒14bの筒軸)が車幅方向に対して前後方向に若干傾斜するように配設されている。詳しくは、サスペンションブッシュ14は、その筒軸が左側から右側に向かって若干後側に傾斜するように配設されている。
【0050】
サスペンションブッシュ14の内筒14b内には、図2に示すように、軸部材41が挿通されている。この軸部材41は、右側の端部がサイドシル2から延びるサイドシル延設部6とホイールハウスパネル7とに取り付けられ、該軸部材41の左側の端部がサイドシル2に設けられたブラケット3と該ブラケット3に接合された補強部材5とに取り付けられている。詳しくは、ブラケット3の左側(つまり、車幅方向内側)の面には、ウェルドナット42が固定されており、軸部材41の先端(図2では左側の端部)と該ウェルドナット42とが締結されることで軸部材41が上記車両の車体と連結されている。これにより、トレーリングアーム12は、軸部材41を介して上記車両の車体と連結されて、その前側端部を支点にして上下方向に揺動可能になっている。
【0051】
上記スプリングシート16は、角部補強部材17を介してトレーリングアーム12及びトーションビーム13と連結されている。
【0052】
角部補強部材17は、トレーリングアーム12及びトーションビーム13に沿って車幅方向及び前後方向に広がりかつ平面視略三角形状をなした上面部17a(図1図3参照)と、該上面部17aと対向して広がる下面部17b(図4参照)と、上面部17aの左前側から右後側にかけての端部と下面部17bの左前側から右後側にかけて端部とを連結する連結部17cとを有している。
【0053】
角部補強部材17の上面部17aの前側端部は、図2に示すように、トーションビーム13の後側の部分に沿って車幅方向に延びており、トーションビーム13の後側の部分に溶接されている。一方、上記上面部17aの右側端部は、内側パネル20の内側上壁部21に沿って前後方向に延びており、該内側上壁部21に溶接されている。
【0054】
角部補強部材17の下面部17bの前側端部は、図4に示すように、トーションビーム13の下側に位置しており、トーションビーム13の下側の部分に溶接されている。一方、上記下面部17bの右側端部は、内側パネル20の下側に位置しており、内側下壁部22に溶接されている。
【0055】
角部補強部材17の連結部17cは、図3及び図4に示すように、その右後側端部が上記上面部17aの右後側端部及び下面部17bの右後側端部よりも後側に延設されており、この延設された部分は、内側側壁部23に溶接されている。
【0056】
スプリングシート16は、図2及び図3に示すように、平面視略扇状をなした底壁部16aと、底壁部16aの略円弧状の外周端部に沿って形成されたフランジ部16bと、底壁部16aの略中央に設けられ、コイルスプリング(図示省略)が取り付けられるスプリング取付部16cとを有している。
【0057】
スプリングシート16は、例えば鋼板をプレス成形することによって形成された一体成形品である。フランジ部16bは、底壁部16aの外周端部から上側に向かって立ち上がっている。
【0058】
底壁部16aの扇形状は、角部補強部材17の連結部17cと内側側壁部23との角部を中心とする扇形状である。底壁部16aの前側端部は、図3に示すように、角部補強部材17の連結部17cと下面部17bとの角部に沿って、右側に向かって後側に傾斜して延びており、該下面部17bに溶接されている。一方、底壁部16aの右側端部は、図3及び図6に示すように、内側下壁部22に沿って前後方向に延びており、該内側下壁部22に溶接されている。
【0059】
フランジ部16bの左前側の部分は、図3及び図4に示すように、前側に向かうに連れて上下方向の長さが大きくなるように、車両側面視で三角形状に広がっている。フランジ部16bの左前側端部は、角部補強部材17の連結部17cにおける左前側端部に当接しており、該連結部17cおける左前側端部に溶接されている。一方、フランジ部16bの右後側の部分は、図3に示すように、右側に向かうに連れて上下方向の長さが大きくなるように、後側から見て三角形状に広がっている。フランジ部16bの右後側端部は、内側側壁部23に当接しており、該内側側壁部23に溶接されている。
【0060】
また、図4に示すように、スプリングシート16と角部補強部材とは、補強部材16dによっても連結されている。補強部材16dは前後方向に延びており、該補強部材16dの上端部がフランジ部16bの左前側の面に溶接され、該補強部材16dの左前側端部が角部補強部材17の連結部17cに溶接されている。
【0061】
これらにより、トーションビーム13の長手方向右側の端部と右側のトレーリングアーム12との間のコーナー部において、スプリングシート16が、角部補強部材17を介してトレーリングアーム12及びトーションビーム13と連結されている。
【0062】
上記アクスルユニット51は、トレーリングアーム12の後部12bにおいて、外側パネル30に取り付けられたアクスルブラケット15を介してトレーリングアーム12に支持されている。
【0063】
アクスルブラケット15は、例えば、金属板を平面視略U字状になるように折り曲げたものであり、図3及び図4に示すように、外側下壁部32よりも下側の高さ位置から外側上壁部31よりも高い位置まで上下方向に延びる前側面部15aと、該前側面部15aに対して後側に対向して該前側面部15aと同程度の上下範囲で延びる後側面部15bと、前側面部15の右側端部と後側面部15bの右側端部とを連結する外側側面部15cとを有している。アクスルブラケット15の前側面部15a及び後側面部15bにおける外側パネル30と同じ高さ範囲の部分には、図2及び図3に示すように、外側パネル30の外側上壁部31、外側側壁部33及び外側下壁部32に沿うように、U字状に切り欠かれた切欠部15fがそれぞれ形成されている。アクスルブラケット15は、該切欠部15fを外側上壁部31、外側側壁部33及び外側下壁部32に沿うように配置した後、前側面部15a及び後側面部15bを、外側上壁部31の車幅方向外側の部分、外側側壁部33、及び、外側下壁部32の車幅方向外側の部分にそれぞれ溶接することによって、外側パネル30に固定される。尚、アクスルブラケット15の前側面部15b及び後側面部15bの切欠部15fは、外側パネル30の外側上壁部31及び外側側壁部33に沿うようなL字状の切り欠きであってもよい。切欠部15fがL字状である場合、前側面部15a及び後側面部15bは、外側上壁部31の車幅方向外側の部分及び外側側壁部33にそれぞれ溶接される。
【0064】
また、図2及び図3に示すように、アクスルブラケット15の前側面部15a、後側面部15b、外側側面部15c及び外側パネル30によって囲まれた部分には、アクスルブラケット15が前後方向の荷重によって変形してしまうのを防止するための第1補助部材15dが設けられている。第1補助部材15dは、その周縁の各部分がアクスルブラケット15の前側面部15a、後側面部15b、外側側面部15c、及び、外側パネル30における外側上壁部31の車幅方向外側の部分にそれぞれ溶接されている。尚、アクスルブラケット15の強度及び剛性が、第1補助部材15dがなくても確保できるのであれば、第1補助部材15dをなくすことも可能である。
【0065】
さらに、アクスルブラケット15の前側面部15aには、アクスルブラケット15のトレーリングアーム12に対する取付剛性を向上させるための第2補助部材15eが接合されている。第2補助部材15eは、内側上壁部21と外側上壁部31とに跨がるように車幅方向に延びている。第2補助部材15eの左側の部分における下端部は内側上壁部21に溶接されている一方、第2補助部材15eの右側の部分における上端部はアクスルブラケット15の前側面部15aにおける後側の面に溶接されている。尚、第2補助部材15eも必ずしも必要なものではない。
【0066】
アクスルユニット51は、図2図3及び図6に示すように、後輪50のホイール50a(図2参照)が取り付けられるハブ52と、該ハブ52の軸部52bを収容するハウジング53とを有している。図6に示すように、バブ52の軸部52bとハウジング53とボール54とによりボールベアリング55が形成されており、これにより、バブ52(延いては、後輪50)が回転可能にハウジング53に支持される。ハウジング53の左側の部分にはフランジ部53aが設けられており、該フランジ部53aは、アクスルブラケット15の外側側面部15cにおける外側パネル30よりも上側の部分に、締結部材100(図1図4参照)によって取付固定されている。これにより、アクスルユニット51が、トレーリングアーム12の後部12bに連結固定されたアクスルブラケット15に取り付けられる。アクスルユニット51がアクスルブラケット15に取り付けられた状態で、アクスルユニット51は右側に向かって突出するとともに、アクスルユニット51のハブ52の軸心が、トレーリングアーム12よりも上側の高さ位置で、車幅方向に延びるようになっている。
【0067】
ハブ52の右側の部分は、図2図3及び図6に示すように、ハブ52の径方向外側に向かって広がるハブフランジ52aが形成されており、後輪50のホイール50aは、ハブ52のハブフランジ52aに締結部材101によって締結される(特に図2参照)。これにより、後輪50が、アクスルユニット51及びアクスルブラケット15を介して、外側パネル30の後部に支持される。
【0068】
アクスルユニット51は、アクスルブラケット15の外側側面部15cにおける外側パネル30よりも上側かつ車幅方向外側に配設されているので、アクスルユニット51からの荷重は、主として、アクスルブラケット15(特に、前側面部15a及び後側面部15bの上側部分並びに第1補助部材15d)を介して、トレーリングアーム12の後部12bの断面(閉断面)における周壁部の上側かつ車幅方向外側の部分(外側上壁部31の車幅方向外側の部分から外側側壁部33の上側部分にかけての部分)にかかる。アクスルユニット51は、第1補助部材15dを含むアクスルブラケット15を介して、基本的に、トレーリングアーム12の後部12bの断面における周壁部の上側かつ車幅方向外側の部分に連結されていると言える。
【0069】
本実施形態では、トレーリングアーム12の後部12bの断面における周壁部の一部(周方向の一部)であって上側かつ車幅方向外側の部分を含む部分が、厚みの大きい外側パネル30で構成されている。したがって、トレーリングアーム12の後輪50に対する支持剛性が高くなる。また、上記周壁部における残りの部分(アクスルユニット51からの荷重が基本的にかからない部分)が、厚みの小さい内側パネル20で構成されている。したがって、トレーリングアーム12の重量増加を抑制することができる。
【0070】
上記ダンパ80は、トレーリングアーム12におけるスプリングシート16の後端よりも後側の部分に設けられたダンパブラケット70に取付支持されている。
【0071】
ダンパ80は、図4に示すように、上下方向に延びるシリンダ81と、該シリンダ81と同軸で上下方向に延びるピストンロッド82と、該ピストンロッド82の上端部に設けられ、ダンパ80を上記車両の車体に取り付けるための車体取付部83と、該車体取付部83に保持されたバンプストッパ84と、シリンダ81の上側の部分、ピストンロッド82及びバンプストッパ84を覆う筒状のカバー85と、を有している。また、シリンダ81の下端部には、ダンパブラケット70に取り付けられるブラケット取付部87(図7参照)が設けられている。
【0072】
バンプストッパ84は、例えばゴムやウレタンなどの弾性材料からなり、ビストンロッド82の上端部側の外周に配置されている。バンプストッパ84は、上記車両のバンプ時に、シリンダ81の上端に当接して、衝撃を緩和するとともに、ダンパ80の過度な収縮(変位)を抑制するためのものである。
【0073】
ブラケット取付部87は、図7に示すように、外筒87aと、該外筒87aの内側に該外筒87aと同軸に配置される内筒87bと、外筒87aと内筒87bとの間に配設されたブッシュ87cとを有している。内筒87bには、ダンパ80をダンパブラケット70に取り付けるための軸部材88が挿通される。
【0074】
ダンパブラケット70は、図3に示すように、相対的に内側に位置する内側ダンパブラケット71と、該内側ダンパブラケット71と車幅方向に対向して配設されかつ相対的に外側に位置する外側ダンパブラケット72とを有している。
【0075】
内側ダンパブラケット71は、平面視で左側が開放されたU字状をなし、内側側壁部23に連結されている。詳しくは、内側ダンパブラケット71は、上下方向に延びる前側面部71aと、該前側面部71aから後側に離間して設けられかつ上記前側面部71aと対向して上下方向に延びる後側面部71bとを有している。前側面部71a及び後側面部71bは、図3及び図4に示すように、内側側壁部23に沿って上下に延びており、前側面部71a及び後側面部71bの上側部分は、内側上壁部21よりも上側に位置している。前側面部71a及び後側面部71bの上側部分の右側端部同士は、前後方向に延びる右側側面部71cによって連結されている。
【0076】
内側ダンパブラケット71の前側面部71a及び後側面部71bの下側部分における右側端部は、それぞれ内側側壁部23に溶接されている。
【0077】
内側ダンパブラケット71の右側側面部71cには、図3図4及び図7に示すように、ダンパ80をダンパブラケット70に取り付けるための軸部材88が挿通される孔71dが設けられている。
【0078】
外側ダンパブラケット72は、平面視で右側が開放されたU字状をなし、外側上壁部31に連結されている。詳しくは、外側ダンパブラケット72は、車幅方向に延びる前側面部72aと、該前側面部72aから後側に離間して設けられかつ上記前側面部71aと対向して車幅方向に延びる後側面部72bとを有している。前側面部71a及び後側面部71bの左側端部同士は、図3に示すように、前後方向に延びる左側側面部72cによって連結されている。
【0079】
外側ダンパブラケット72の前側面部72aは、図3に示すように、外側上壁部31とは当接せずに、外側上壁部31よりも上側に位置している。上記前側面部72aは、アクスルブラケット15の後側面部15bに後側から重ね合わされており、当該前側面部72aの右側端部はアクスルブラケット15の後側面部15bにおける後側の面に溶接されている。これにより、外側ダンパブラケット72が、後輪支持ユニットを構成する部材であるアクスルブラケット15に連結される。
【0080】
外側ダンパブラケット72の後側面部72bは、図2に示すように、外側パネル30の延設部34に位置している。上記後側面部72bの下側端部は延設部34に溶接されている。これにより、外側ダンパブラケット72が延設部34に連結される。
【0081】
外側ダンパブラケット72の左側側面部72cには、図7に示すように、内側ダンパブラケット71の右側側面部71cと同様に、上記軸部材88が挿通される孔72dが設けられている。
【0082】
また、外側ダンパブラケット72の左側側面部72cの右側の部分には、図3及び図7に示すように、ウェルドナット73が固定されている。ウェルドナット73は、そのねじ孔73a(特に図7参照)が、外側ダンパブラケット72の左側側面部72cに設けられた孔72dと同軸となるような位置に固定されている。
【0083】
内側及び外側ダンパブラケット71,72は、図7に示すように、内側ダンパブラケット71の右側側面部71cの右側の面と、外側ダンパブラケット72の左側側面部72cの左側の面とが車幅方向に対向するように、トレーリングアーム12に連結されている。内側及び外側ダンパブラケット71,72がトレーリングアーム12に連結された状態で、内側ダンパブラケット71の右側側面部71cの孔71dと、ウェルドナット73のねじ孔73aとは、図7に示すように車幅方向に一直線に並んでいる。
【0084】
ダンパ80をダンパブラケット70に取り付ける際には、ダンパ80のブラケット取付部87を、該ブラケット取付部87の内筒87bの孔が、内側ダンパブラケット71の側壁部の孔71d及びウェルドナット73のねじ孔73aと一直線に並ぶように、内側ダンパブラケット71と外側ダンパブラケット72との間に配置して、その後、内側ダンパブラケット71の左側側壁部71cの孔71d、上記内筒87bの孔及びウェルドナット73のねじ孔73aに軸部材88を挿通させて、軸部材88の先端部(図7では右側の端部)をウェルドナット73と締結させる。これにより、ダンパ80がダンパブラケット70に取付支持されるようになる。
【0085】
また、ダンパブラケット70が上述のように構成されていることにより、ダンパ80は、図3及び図7に示すように、車幅方向において、トレーリングアーム12の後側端部における上側の位置でダンパブラケット70に支持されるようになる。
【0086】
本実施形態において、右側のトレーリングアーム12及び右側のトレーリングアーム12に取り付けられる部品は、上述のように構成されている。左側のトレーリングアーム12及び左側のトレーリングアーム12に取り付けられる部品は、上述した、右側のトレーリングアーム12等の構成と左右対称になるように構成されている。
【0087】
したがって、本実施形態では、トレーリングアーム12の後部12bの断面における周壁部の一部であって上側かつ車幅方向外側の部分(外側上壁部31の車幅方向外側の部分から外側側壁部33の上側部分にかけての部分)を含む部分が、厚みの大きい外側パネル30で構成され、アクスルユニット51が、第1補助部材15dを含むアクスルブラケット15を介して、基本的に、トレーリングアーム12の後部12bの断面における周壁部の上側かつ車幅方向外側の部分に連結されているので、トレーリングアーム12の後輪50に対する支持剛性を高くすることができる。また、上記周壁部における残りの部分(アクスルユニット51からの荷重が基本的にかからない部分)が、厚みの小さい内側パネル20で構成されているので、トレーリングアーム12の重量増加、延いては、車両の後部の重量増加を抑えることができる。
【0088】
特に本実施形態では、閉断面形状が略矩形状であるトレーリングアーム12の後部12bにおいて、外側パネル30の外側上壁部31の方が外側下壁部32よりも車幅方向に幅広であり、内側パネル20の内側下壁部22の方が内側上壁部21よりも車幅方向に幅広であるので、トレーリングアーム12の重量増加を抑制しながら、トレーリングアーム12の後部12bの断面における剛性中心を、上記周壁部の上側かつ車幅方向外側の部分(つまりアクスルユニット51)に近づけて、トレーリングアーム12の後輪50に対する支持剛性を高くすることができる。
【0089】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0090】
例えば、上記実施形態では、各トレーリングアーム12が、断面U字状をなしかつU字開口が車幅方向に互いに対向した状態で接合された内側パネル20及び外側パネル30で構成されているが、厚みが互いに異なる一対のパネルのU字開口同士を、例えば上下方向や、上側ほど車幅方向外側に向かう方向などのような、どのような方向に対向させてもよく、各トレーリングアーム12の後部12bの断面における周壁部の一部であって少なくとも上側かつ車幅方向外側の部分を含む部分が、厚みが大きいパネルで構成されていればよい。
【0091】
図8は、変形例に係る右側のトレーリングアーム12の後部12bの断面図(図6と前後方向で同じ位置での断面図)である。この変形例では、各トレーリングアーム12が、断面U字状をなしかつU字開口が上下方向に互いに対向した状態で接合された上側パネル91及び下側パネル92で構成される。上側パネル91及び下側パネル92は、トレーリングアーム12の断面形状が閉断面形状をなすようにU字開口が互いに対向した状態で接合された一対のパネルに相当する。この場合、各トレーリングアーム12の上側パネル91の厚みが下側パネル92の厚みよりも大きくされる。各トレーリングアーム12の上側パネル91は、車幅方向に対向する内側側壁部91a及び外側側壁部91bと、内側側壁部91aの上側端部と外側側壁部91bの上側端部とを連結する上壁部91cとを有する。下側パネル92は、車幅方向に対向する内側側壁部92a及び外側側壁部92bと、内側側壁部92aの下側端部と外側側壁部92bの下側端部とを連結する下壁部92cとを有する。上側パネル91の内側側壁部91aと下側パネル92の内側側壁部92aとが溶接により互いに接合され、上側パネル91の外側側壁部91bと下側パネル92の外側側壁部92bとが溶接により互いに接合されている。各トレーリングアーム12の後部12bの断面における剛性中心を、該断面における周壁部の上側かつ車幅方向外側の部分に近づけるために、上側パネル91の外側側壁部91bの上下方向の長さが、上側パネル91の内側側壁部91aの上下方向の長さよりも長くされ、下側パネル92の内側側壁部92aの上下方向の長さが、下側パネル92の外側側壁部92bの上下方向の長さよりも長くされている。そして、上記実施形態と同様に、アクスルユニット51が、アクスルブラケット15を介して、基本的に、トレーリングアーム12の後部12bの断面における周壁部の上側かつ車幅方向外側の部分(上側パネル91の上壁部91cの車幅方向外側の部分から外側側壁部91bの上側部分にかけての部分)に連結される。尚、上記変形例では、トレーリングアーム12の前部12aも、後部12bと同様に、互いに上下方向に対向する上側パネル91及び下側パネル92で構成される。
【0092】
アクスルユニット51(アクスルブラケット15)の、トレーリングアーム12の後部12bへの連結箇所は、後部12bの断面における周壁部の上側かつ車幅方向外側の部分のみであってもよく、該周壁部において該部分を含む部分であれば、どのような部分であってもよい(上記周壁部の一部であってもよく、全周であってもよい)。
【0093】
また、各トレーリングアーム12の前部12a及び後部12bの閉断面形状は、矩形状には限られず、どのような形状であってもよい。さらに、前部12aと後部12bとで、閉断面形状が互いに異なっていてもよい。さらにまた、前部12aと後部12bとで、一対のパネルが対向する方向が互いに異なっていてもよい。
【0094】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、車両前後方向に延びかつ左右の後輪をそれぞれ支持する左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に延び、該両トレーリングアームを連結するトーションビームとを有するトーションビーム式サスペンションを備えた、自動車の後部サスペンション構造に有用である。
【符号の説明】
【0096】
10 トーションビーム式サスペンション
12 トレーリングアーム
12a トレーリングアームの前部
12b トレーリングアームの後部
13 トーションビーム
15 アクスルブラケット(後輪支持ユニット)
20 内側パネル(一対のパネル)
21 内側パネルの上壁部(内側パネルの上部)
22 内側パネルの下壁部(内側パネルの下部)
30 外側パネル(一対のパネル)
31 外側パネルの上壁部(外側パネルの上部)
32 外側パネルの下壁部(外側パネルの下部)
50 後輪
51 アクスルユニット(後輪支持ユニット)
91 上側パネル(一対のパネル)
92 下側パネル(一対のパネル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8