特許第6845542号(P6845542)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6845542ガス栓の誤操作防止具及びそれを装着させたガス栓
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845542
(24)【登録日】2021年3月2日
(45)【発行日】2021年3月17日
(54)【発明の名称】ガス栓の誤操作防止具及びそれを装着させたガス栓
(51)【国際特許分類】
   F16K 35/10 20060101AFI20210308BHJP
   F16K 35/00 20060101ALI20210308BHJP
【FI】
   F16K35/10
   F16K35/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-160019(P2017-160019)
(22)【出願日】2017年8月23日
(65)【公開番号】特開2019-39458(P2019-39458A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2020年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151977
【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】谷 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤木 顕士
(72)【発明者】
【氏名】上林 誠
(72)【発明者】
【氏名】越智 毅
(72)【発明者】
【氏名】小川 拓哉
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第6718804(US,B1)
【文献】 特開平11−270200(JP,A)
【文献】 特開2008−232382(JP,A)
【文献】 特開2005−188551(JP,A)
【文献】 韓国特許第2010−1507047(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 35/00−35/16
F16K 5/00− 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス栓本体の両側方に突設された配管接続筒部と、ガス流路を開閉する操作ハンドルとを備え、
前記操作ハンドルは、前記ガス栓本体の開放端側の筒部に回動自在に取り付けられる円筒部と、前記円筒部の周壁から一側方に突設するレバー部とからなり、
ガス流路が開状態にあるときのレバー部は、一方の配管接続筒部に沿って突出すると共に、ガス栓本体の外表面に、突起部または本体凹部が形成されているガス栓に装着させる誤操作防止具において、
操作ハンドルの円筒部の少なくとも周壁とそれに続くガス栓本体の筒部とを覆う略円筒状のカバー本体と、前記カバー本体に連設され且つレバー部を収容させるレバー収容部とからなるガス栓カバーとし、
前記ガス栓カバーを操作ハンドルに装着させたとき、前記突起部または本体凹部に周方向に係合可能な係合部が、前記カバー本体の内周面に設けられていることを特徴とするガス栓の誤操作防止具。
【請求項2】
請求項1に記載のガス栓の誤操作防止具において、前記カバー本体の内周面の所定位置に、前記操作ハンドルの円筒部の底部周縁に係合可能な係合突起が設けられていることを特徴とするガス栓の誤操作防止具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のガス栓の誤操作防止具において、
前記レバー収容部の先端にネジ孔が設けられ、
前記ネジ孔へ螺合可能なネジ部材が設けられ、
前記ネジ部材の締め付けに伴って、前記ネジ部材の端面が、前記レバー収容部内に進出し、前記レバー収容部内に収容された前記レバー部の先端を押圧するように設定されていることを特徴とするガス栓の誤操作防止具。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のガス栓の誤操作防止具において、
前記カバー本体は、操作ハンドルの円筒部を両側から挟持可能で且つ一端相互が連結部によって連結された一対の円弧状筒部からなり、
前記レバー収容部は、前記円弧状筒部の他端にそれぞれ延設され且つレバー部の基端部の両側を挟持可能な一対の側壁部とからなり、
前記一対の円弧状筒部で形成される略筒状体の一方の開放端に雄ネジ部が形成されると共に、前記雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部を有するネジキャップが設けられ、
前記係合部は、前記円弧状筒部の内周面に設けられていることを特徴とするガス栓の誤操作防止具。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のガス栓の誤操作防止具において、
前記カバー本体の内周面にて、前記係合部の両側に、周方向に90度の間隔をおいてそれぞれ第2の係合部が設けられていることを特徴とするガス栓の誤操作防止具。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のガス栓の誤操作防止具において、
前記突起部は、前記筒部から他方の配管接続筒部の頂部に至るガス栓本体の外表面に、突設されている封印用突起部としたことを特徴とするガス栓の誤操作防止具。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のガス栓の誤操作防止具を装着させたことを特徴とするガス栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス栓の誤操作防止具、特に、操作ハンドルを回動阻止状態に固定するガス栓の誤操作防止具及びそれを装着させたガス栓に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、屋外に設置されているガスメータ(M)は、図8に示すように、地中から立ち上げられている引き込み管(3)と、ガスメータ(M)内を通過した後のガスを屋内配管(41)へ送り込むための送り管(4)との間に、ガス流入管(30)及びガス流出管(40)を介して接続されているもので、ガス栓(2)は、引き込み管(3)とガス流入管(30)との間に配管接続されている。
この種のガス栓(2)は、図9に示すように、ガス栓本体(24)と、ガス栓本体(24)内に回動自在に収容されるせん(26)と、ガス栓本体(24)の開放端側の筒部(25)に回動自在に取り付けられて、せん(26)を回動操作する操作ハンドル(20)とから構成されている。
ガス栓本体(24)の上流側(引き込み管(3)に接続される側)及び下流側(ガス流入管(30)に接続される側)には、それぞれ、引き込み管(3)及びガス流入管(30)に螺合接続可能な配管接続筒部(21)(22)が連設されている。
操作ハンドル(20)は、筒部(25)に取り付けられる浅い円筒部(20a)と、その周壁から一側方に突設するレバー部(20b)とからなり、レバー部(20b)を90度回動させることにより、せん(26)も90度回動し、ガス栓(2)は開閉可能となる。
【0003】
なお、ガス栓(2)には、下流側の配管接続筒部(22)の外周部の頂部から筒部(25)にかけて、孔部(23a)を有する封印用突起部(23)が突設されている。ガス栓を閉栓させた状態で、封印用突起部(23)の孔部(23a)とレバー部(20b)に貫通させた挿通孔(27)とに封印用線材(図示せず)を抜け止め状態に係止させることにより、操作ハンドル(20)の回動は阻止され、ガス栓は閉状態で封印することが出来る。
また、ガス栓(2)には封印用突起部(23)の外にも操作ハンドル(20)の回動規制用の突起部がガス栓本体(24)の外表面に形成されたものや、デザイン上の本体凹部が形成されたものがある。
【0004】
図8図9に示すように、開状態にあるガス栓(2)のレバー部(20b)がいたずら等により閉栓方向に回動させられてしまうと、屋内でのガス機器が使用できなくなる。この種のガスメータでは、一旦、閉状態となると、レバー部(20b)を元の開状態の位置に戻してもガスメータ(M)を復帰させることは出来ず、屋内の全てのガス機器を閉栓した後に、ガスメータ(M)の復帰作業を行わなければならないため、ガス使用者にとっては煩雑で且つ面倒である。
【0005】
ガス栓(2)の操作ハンドル(20)がいたずら等によって誤操作される不都合を防止するための誤操作防止具として、例えば、特許文献1に開示のバルブ固定用治具がある。これは、リング状の固定具の配管への装着及び取外しが容易であることから、緊急時に即時取り外して閉栓させることが出来、ガスメータ用のガス栓用としても応用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−213368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の固定用治具を、ガスメータ用ガス栓(2)に応用すると、固定具は、引き込み管(3)やガス流入管(30)に係合させ、保持具は操作ハンドル(20)に係合させる構造となるため、全体に大型化してしまう。また、2つの固定具や保持具、これらを連結する針金等、多くの部品から構成される上に、組み立てが煩雑である。また、配管周りの障害物となると共に、屋外に設置されるものであるから、通行人が引っ掛けて破損したり、場合によっては怪我をする問題もある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みて発明されたもので、『ガス栓本体の両側方に突設された配管接続筒部と、ガス流路を開閉する操作ハンドルとを備え、
前記操作ハンドルは、前記ガス栓本体の開放端側の筒部に回動自在に取り付けられる円筒部と、前記円筒部の周壁から一側方に突設するレバー部とからなり、
ガス流路が開状態にあるときのレバー部は、一方の配管接続筒部に沿って突出すると共に、ガス栓本体の外表面に、突起部または本体凹部が形成されているガス栓に装着させる誤操作防止具』において、
開状態にあるガス栓がいたずら等により閉栓される不都合を防止すると共に、構成部品を少なくし、小型で且つ配管周りの障害や邪魔にならないように装着できるようにするガス栓の誤操作防止具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するために講じた本発明の技術的手段は、『操作ハンドルの円筒部の少なくとも周壁とそれに続くガス栓本体の筒部とを覆う略円筒状のカバー本体と、前記カバー本体に連設され且つレバー部を収容させるレバー収容部とからなるガス栓カバーとし、
前記ガス栓カバーを操作ハンドルに装着させたとき、前記突起部または本体凹部に周方向に係合可能な係合部が、前記カバー本体の内周面に設けられている』ことである。
【0010】
上記手段は次のように作用する。
ガス栓のガス流路が開状態にあるとき、前記レバー部は、一方の配管接続筒部に沿って突出し、この姿勢の操作ハンドルの円筒部にカバー本体を被覆させ、レバー部をレバー収容部に収容すると、カバー本体の内周面に設けた係合部が、ガス栓本体の外表面に形成されている突起部または本体凹部に回り止め状態に係合する。このように、操作ハンドルにガス栓カバーを装着させた状態では、レバー部の回動は阻止され、一方の配管接続筒部に沿って位置する姿勢に固定されるから、ガス栓は開状態に維持され、レバー部が不用意に回動し、閉栓させられる不都合を防止出来る。
【0011】
上記ガス栓の誤操作防止具において、好ましくは、『前記カバー本体の内周面の所定位置に、前記操作ハンドルの円筒部の底部周縁に係合可能な係合突起が設けられている』ことである。
カバー本体の内周面の係合部を突起部または本体凹部に係合させると同時に、係合突起を操作ハンドルの円筒部の底部周縁に係合させる。これにより、ガス栓カバーは、操作ハンドルに対して、回り止め且つ抜け止め状態に取り付けられる。
【0012】
上記ガス栓の誤操作防止具において、好ましくは、『前記レバー収容部の先端にネジ孔が設けられ、
前記ネジ孔へ螺合可能なネジ部材が設けられ、
前記ネジ部材の締め付けに伴って、前記ネジ部材の端面が、前記レバー収容部内に進出し、前記レバー収容部内に収容された前記レバー部の先端を押圧するように設定されている』ことである。
レバー部を一方の配管接続筒部に沿って位置させて、ガス流路を開状態とし、突起部または本体凹部に係合部を係合させながら、カバー本体を操作ハンドルの円筒部に装着させると共に、レバー部をレバー収容部に収容させた後、ネジ孔にネジ部材を螺合させて締め付ける。ネジ部材の締め付けに伴って、ネジ部材の端面が、レバー収容部内に進出し、レバー部の先端を押圧する。これにより、ガス栓カバーは、レバー収容部の先端がレバー部の先端から離反する方向に移動し、それに伴い、カバー本体とガス栓カバーの結合は強固なものとなる。よって、ガス栓カバーが不用意にずれたり、外れたりすることなく、一層確実にガス栓に取付けることが出来る。また、ネジ部材を緩めて意図的に取り外さない限り外れることがないから、構造を知っている関係者でないと防止具本体を取り外すことは出来ない。よって、いたずら等により、開状態にある操作ハンドルが不用意に閉状態となる誤操作を一層確実に防止することが出来る。
【0013】
上記ガス栓の誤操作防止具において、好ましくは、『前記カバー本体は、操作ハンドルの円筒部を両側から挟持可能で且つ一端相互が連結部によって連結された一対の円弧状筒部からなり、
前記レバー収容部は、前記円弧状筒部の他端にそれぞれ延設され且つレバー部の基端部の両側を挟持可能な一対の側壁部とからなり、
前記一対の円弧状筒部で形成される略筒状体の一方の開放端に雄ネジ部が形成されると共に、前記雄ネジ部に螺合可能な雌ネジ部を有するネジキャップが設けられ、
前記係合部は、前記円弧状筒部の内周面に設けられている』ことである。
ガス栓を開状態にセットし、円弧状筒部の内周面に設けられている係合部を突起部または本体凹部に係合させると同時に、一対の円弧状筒部で操作ハンドルの円筒部を、側壁部でレバー部の基端部をそれぞれ両側から挟み込み、両円弧状筒部で形成される略筒状体の開放端側の雄ネジ部にネジキャップの雌ネジ部を螺合させる。ネジキャップの締め付けにより、前記筒部が縮径するから、カバー本体の操作ハンドルの円筒部への取付けが強固なものとなり、意図的にネジキャップを取り外さない限り、ガス栓カバーを取り外すことが出来ないから、いたずら等の誤操作も防止でき、ガス栓を開状態に維持することが出来る。
【0014】
上記ガス栓の誤操作防止具において、好ましくは、『前記カバー本体の内周面にて、前記係合部の両側に、周方向に90度の間隔をおいてそれぞれ第2の係合部が設けられている』ことである。
レバー部を一方の配管接続筒部に沿って位置させたガス栓の開状態のとき、上記要領で操作ハンドルにガス栓カバーを装着させると、係合部が、突起部または本体凹部に係合して、操作ハンドルを回動阻止状態に維持することが出来る。
この開状態からガス栓カバーを取り外し、レバー部を90度回動させて、ガス栓を閉状態としたときにも、上記要領で操作ハンドルにガス栓カバーを装着させると、カバー本体の内周面にて、レバー収容部から90度離反して位置する第2の係合部に、突起部または本体凹部が係合し、操作ハンドルを回動阻止状態に維持することが出来る。これにより、従来のような封印用線材を利用しなくても、ガス栓を閉状態に維持することが出来るから、封印作業が容易となる。このように、ガス流路の開閉どちらの状態でも使用できるから、使い勝手が良い誤操作防止具を提供することが出来る。
【0015】
上記ガス栓の誤操作防止具において、好ましくは、『前記突起部は、前記筒部から他方の配管接続筒部の頂部に至るガス栓本体の外表面に、突設されている封印用突起部とした』ことである。
ガス栓のガス流路が開状態にあるとき、前記レバー部は、一方の配管接続筒部に沿って突出し、この姿勢の操作ハンドルの円筒部にカバー本体を被覆させ、レバー部をレバー収容部に収容すると、レバー収容部に対して点対称な位置にある係合部が、ガス栓本体の筒部から他方の配管接続筒部の頂部に至る外表面に突設されている封印用突起部に回り止め状態に係合する。これにより、操作ハンドルにガス栓カバーを装着させた状態では、レバー部の回動は阻止され、一方の配管接続筒部に沿って位置する姿勢に固定される。このように、ガス栓は開状態に維持され、レバー部が不用意に回動し、閉栓させられる不都合を防止出来る。
【0016】
上記いずれかに記載のガス栓の誤操作防止具を装着させたことを特徴とするガス栓では、その外観から操作ハンドルを回動することが出来ないことが容易にわかるので、いたずらされ難くなり、確実に誤操作開状態にて不用意に閉栓されることのない、ガスメータ用のガス栓を提供することが出来る。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明に係るガス栓の誤操作防止具は、操作ハンドルの円筒部に被覆させるカバー本体と、レバー部を収容するレバー収容部とを有する一つのガス栓カバーから構成されているから、少ない構成部品で且つ簡単な構造で小型化することが出来、装着も容易である。また、それをガス栓に装着させても、配管周りの障害や邪魔になることはない。
ガス栓に対するガス栓カバーの回り止めは、ガス栓本体の外表面に設けられている突起部または凹部を利用しているから、回り止め用の特別な部品が不要である。
また、ガス栓カバーは、操作ハンドルの形状に添うように、円筒部に被覆させるカバー本体から、レバー部を収容するレバー収容部を突出させた形状であるから、操作ハンドルの開状態が維持されていることが容易に理解でき、ガス栓カバーを意図的に取り外さない限り、操作ハンドルは回動出来ないから、開状態にあるガス栓に対するいたずらや誤作動の抑止効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1番目の実施の形態のガス栓の誤操作防止具をガス栓に装着した状態を示す説明図である。
図2】本発明の第1番目の実施の形態のガス栓の誤操作防止具の斜視図である。
図3】本発明の第2番目の実施の形態のガス栓の誤操作防止具をガス栓に装着した状態を示す説明図である。
図4】本発明の第2番目の実施の形態のガス栓の誤操作防止具の斜視図である。
図5】本発明の第3番目の実施の形態のガス栓の誤操作防止具をガス栓に装着した状態を示す分解斜視図である。
図6】本発明の第3番目の実施の形態のガス栓の誤操作防止具の分解斜視図である。
図7】本発明の実施の形態のガス栓の誤操作防止具の他の使用例を示す説明図である。
図8】従来のガスメータとガスメータ用ガス栓の説明図である。
図9】従来のガスメータ用ガス栓が配管に接続された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、第1番目の実施の形態の誤操作防止具としてのガス栓カバー(1)を、開状態にあるガス栓(2)に装着した状態を示す説明図であり、図2は、ガス栓カバー(1)の裏面を示す斜視図である。
【0020】
この実施の形態で採用したガス栓(2)は、図9に示した従来のものと同様な構成であり、ガス栓本体(24)の両側に、略六角筒状の配管接続筒部(21)(22)が設けられていると共に、上流側の配管接続筒部(21)から下流側の配管接続筒部(22)に至るガス流路を開閉するせんを操作可能な操作ハンドル(20)が、ガス栓本体(24)の開放端側の筒部(25)に回動自在に取り付けられている。
また、下流側の配管接続筒部(22)の頂部から筒部(25)にかけての外表面に、封印用突起部(23)が突設されている。
【0021】
操作ハンドル(20)は、筒部(25)に回動可能に装着される円筒部(20a)と、その周壁から一側方に突出するレバー部(20b)とを備えた構成とし、レバー部(20b)を支持して操作ハンドル(20)を回動させることが出来る。また、前記ガス流路が連通状態にあるガス栓(2)の開状態においては、レバー部(20b)は上流側の配管接続筒部(21)に沿って位置するように設定されている。
【0022】
本発明の第1番目の実施の形態の誤操作防止具は、操作ハンドル(20)の円筒部(20a)の上面及び周壁と、前記周壁に続くガス栓本体(24)の筒部(25)を覆う略円筒状のカバー本体(1a)と、レバー部(20b)が収容可能なレバー収容部(1b)とから、図面において下方に開放する断面略コ字状に形成されたガス栓カバー(1)とするもので、カバー本体(1a)の中心に対して、レバー収容部(1b)の突設位置と対称な位置に、封印用突起部(23)が収容可能な凹部(10)が設けられている。この凹部(10)が、発明特定事項としての係合部に対応する。
なお、凹部(10)の形成位置から周方向に90度の間隔をおいてそれぞれ第2の凹部(10a)(10b)が設けられている。
また、凹部(10)の両側のやや上部域には、操作ハンドル(20)の円筒部円筒部(20a)の底部周縁に係合可能な係合突起(11)が突設されている。
【0023】
この第1番目の実施の形態のガス栓カバー(1)を、図1に示すように、レバー部(20b)が一方の配管接続筒部(21)側に沿って位置する開状態のガス栓(2)に取り付けるには、操作ハンドル(20)の円筒部(20a)にガス栓カバー(1)のカバー本体(1a)を、レバー部(20b)にレバー収容部(1b)をそれぞれ対応させて、ガス栓カバー(1)を操作ハンドル(20)に被せれば良い。すると、操作ハンドル(20)の上面及び周面の略全域とガス栓本体(24)の筒部(25)がガス栓カバー(1)で覆われる態様となり、他方の配管接続筒部(22)側に突設する封印用突起部(23)がカバー本体(1a)内の凹部(10)に嵌まり込むと同時に、係合突起(11)が円筒部(20a)の底部周縁に、図面において下方から係合する。
ガス栓カバー(1)はガス栓(2)に、封印用突起部(23)が凹部(10)に嵌まり込むことにより回り止め状態に、また、係合突起(11)が円筒部(20a)の底部周縁に係合することにより抜け止め状態に取り付けられる。
【0024】
なお、レバー部(20b)の基端部近傍には、一対の切欠部(12)が下方に開放するように形成されており、上記要領で、ガス栓カバー(1)をガス栓(2)に装着した状態にて、切欠部(12)に、図示しない結束バンドやワイヤー等を掛けて巻回しておけば、レバー収容部(1b)からレバー部(20b)の脱落を防止することが出来る。
このように、操作ハンドル(20)はガス栓カバー(1)に対して抜け止め状態に、ガス栓本体(24)に対して回り止め状態に取り付けられるから、ガス栓カバー(1)を取り付けた開状態にあるガス栓(2)の操作ハンドル(20)の回動は阻止され、図1に示す開状態に維持され、いたずら等によって不用意に閉栓させられることはない。
【0025】
図3は、第2番目の実施の形態の誤操作防止具としてのガス栓カバー(1)を、開状態にあるガス栓(2)に装着した状態を示す説明図であり、図4は、ガス栓カバー(1)の裏面を示す斜視図である。
第2番目の実施の形態のガス栓カバー(1)も、操作ハンドル(20)の円筒部(20a)に装着させるカバー本体(1a)と、レバー部(20b)に装着させるレバー収容部(1b)とから、図面において下方に開放する断面略コ字状体とし、カバー本体(1a)の内周面のうち、カバー本体(1a)の中心に対してレバー収容部(1b)と対称な位置に、ガス栓(2)の封印用突起部(23)を収容させる凹部(10)が形成されていると共に、凹部(10)から周方向に90度の間隔をおいてそれぞれ第2の凹部(10a)(10b)が設けられている。また、凹部(10)の両側上部域に係合突起(11)が突設されている。
【0026】
そして、この実施の形態のガス栓カバー(1)には、レバー収容部(1b)の先端(1c)に、ネジ孔(13)が形成されていると共に、ネジ孔(13)に螺合可能な雄ネジ部材(14)が設けられている。
図3に示すように、ガス栓カバー(1)を開状態にあるガス栓(2)の操作ハンドル(20)に被せると、上記した第1番目の実施の形態のガス栓カバー(1)と同様、封印用突起部(23)がカバー本体(1a)内の凹部(10)に嵌まり込むと同時に、係合突起(11)が円筒部(20a)の底部周縁に図面において下方から係合する態様で、円筒部(20a)とガス栓本体(24)の筒部(25)がカバー本体(1a)内に収容され、レバー部(20b)がレバー収容部(1b)に収容される。そして、レバー収容部(1b)の先端(1c)に設けたネジ孔(13)に雄ネジ部材(14)を螺合させる。雄ネジ部材(14)は、締め付けに伴って、その端面(14a)がレバー収容部(1b)内に進出し、レバー部(20b)の先端面(20c)を押圧する態様となる。
【0027】
雄ネジ部材(14)の端面(14a)が、レバー部(20b)の先端面(20c)を押圧するに従って、ガス栓カバー(1)は、レバー部(20b)の先端面(20c)からレバー収容部(1b)の先端(1c)が離反する方向に移動し、それに伴って、封印用突起部(23)が凹部(10)内に深く嵌合すると共に、係合突起(11)が円筒部(20a)の底部周縁へ深く係合する。このように、雄ネジ部材(14)の締付けに伴って、封印用突起部(23)の凹部(10)への係合度合い及び係合突起(11)の円筒部(20a)の底部周縁への係合度合いが、より一層強固となり、ガス栓(2)に対するガス栓カバー(1)のズレや脱落を確実に防止でき、操作ハンドル(20)を確実に開状態に維持することが出来る。
また、雄ネジ部材(14)を意図的に緩めない限り、ガス栓カバー(1)をガス栓(2)から取り外すことが出来ないから、いたずら等による操作ハンドル(20)の誤操作を一層防止することが出来る。
【0028】
図5は、第3番目の実施の形態の誤操作防止具としてのガス栓カバー(1)を、開状態にあるガス栓(2)に装着した状態を示す分解斜視図であり、図6は、ガス栓カバー(1)のみの分解斜視図である。
この実施の形態のガス栓カバー(1)は、操作ハンドル(20)の円筒部(20a)とガス栓本体(24)の筒部(25)を両側方から挟持可能で且つ一端相互が連結部(15c)によって連結された一対の円弧状筒部(15a)と、円弧状筒部(15a)の他端にそれぞれ延設されて、レバー部(20b)の基端部を両側方から挟持可能な一対の側壁部(15b)と、円弧状筒部(15a)各々の、図面における上方に連設される雄ネジ部(16)と、雄ネジ部(16)に螺合可能な雌ネジ部を有するネジキャップ(17)とから構成されるもので、連結部(15c)に、図5には表れないが、封印用突起部(23)が収容可能な凹部(10)が、それから周方向に90度離反する所定個所に第2の凹部(10a)(10b)が、それぞれ下方に開放するように形成されている。また、これらの一側方上方域には、係合突起(11)を突設させている。
【0029】
この実施の形態のガス栓カバー(1)を、開状態にセットしたガス栓(2)に装着させるには、封印用突起部(23)に連結部(15c)側の凹部(10)を係合させると同時に、一対の円弧状筒部(15a)で操作ハンドル(20)の円筒部(20a)とガス栓本体(24)の筒部(25)を、側壁部(15b)でレバー部(20b)の基端部をそれぞれ両側から挟み込み、円弧状筒部(15a)の上方に形成されている雄ネジ部(16)に、ネジキャップ(17)を螺合させる。ネジキャップ(17)を雄ネジ部(16)に締め付けると、円弧状筒部(15a)で形成される筒部が縮径すると共に、側壁部(15b)間の距離も小さくなり、ガス栓カバー(1)は、ガス栓(2)の操作ハンドル(20)とガス栓本体(24)の筒部(25)に強固に固定され、開状態にあるガス栓(2)のレバー部(20b)が、いたずら等により回動させられて閉栓される不都合を防止することが出来る。
【0030】
上記各実施の形態のものでは、開状態のガス栓(2)にガス栓カバー(1)を装着させて、いたずら等によって閉栓させないようにしたものであるが、図7に示すように、レバー部(20b)を90度回動させて、閉状態としたガス栓(2)にも、上記各実施の形態で採用されたガス栓カバー(1)を装着させることが出来る。この場合、封印用突起部(23)は、凹部(10)から90度の間隔を介して設けた第2の凹部(10a)に係合すると共に、係合突起(11)が円筒部(20a)の底部周縁に係合ことにより、ガス栓カバー(1)は、閉状態にあるガス栓(2)にも、回り止め状態で且つ抜け止め状態に取り付けることが出来、操作ハンドル(20)の姿勢を閉状態で維持することが出来る。これにより、従来のように、封印用突起部(23)の孔部(23a)と、レバー部(20b)の挿通孔(27)に挿通させる封印用線材を用いることなく、ガス栓(2)を閉栓状態で封印することが出来る。
【0031】
上記各実施の形態における誤操作防止具は、一つ又は二つの部品から構成されたガス栓カバー(1)としたから、構造が簡単である上に、ガス栓(2)への装着も容易である。また、回り止め手段として、封印用突起部(23)を利用しているから、特別な部材が不要となる。
また、装着後も、配管周りの障害や邪魔になることはなく、屋外に設置されるガスメータ用のガス栓(2)に装着させても、通行人が引っ掛けることにより、破損したり、逆に、人が怪我をしたりする不都合もない。
さらに、各実施の形態のガス栓カバー(1)は、操作ハンドル(20)の形状と略同一形状の外観を呈することにより、ガス栓(2)が開状態にあるか閉状態にあるかを目で確認することが出来ると共に、操作ハンドル(20)からガス栓本体(24)の上部域まで被覆させているから、その外観からレバー部(20b)を回動することが出来ないと理解させることが出来る。よって、安易にいたずらされ難くなり、開状態にあるガス栓が不用意に閉栓される不都合を防止でき、使い勝手の良いガスメータ用のガス栓を提供することが出来る。
【0032】
なお、上記各実施の形態では、封印用突起部(23)に係合させる係合部として、凹部(13)を設ける構成としたが、図示しないが、ガス栓本体(24)に本体凹部が設けられたものでは、前記係合部として、凸部を、カバー本体(1a)の内周面に設ける構成としても良い。
【符号の説明】
【0033】
(1) ・・・・・・・・・・・ガス栓カバー
(10)・・・・・・・・・・・凹部(係合部)
(11)・・・・・・・・・・・係合突起
(2) ・・・・・・・・・・・ガス栓
(20)・・・・・・・・・・・操作ハンドル
(21)(22)・・・・・・・・・配管接続筒部
(24)・・・・・・・・・・・ガス栓本体
(25)・・・・・・・・・・・筒部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9