(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の移載装置1は、
図1の様にパレット(他の部材)2等に積み重ねられた物品3を取り出す装置であり、パレタイジング用の荷役装置である。
本実施形態の移載装置1は、
図1の様にパレット載置台5と付属コンベヤ6の間に配置されており、パレット2に積み重ねられた物品群から物品3を積み下ろしたり、積み込んだりものである。
【0025】
本実施形態の移載装置1は、
図3の様に本体部10と、移動台11を有している。また図示しない昇降手段を有している。
本体部10は、フレーム部材20を有し、当該フレーム部材20に間隔を開けて一対の走行レール12が平行に配置されている。本実施形態では、走行レール12は、溝形鋼であり、凹部を向き合わせて配置されている。溝形鋼は、公知の通り、二つのフランジ部をウェブが繋ぐ形状であり、本実施形態ではフランジ部の内側が走行路として機能する。
【0026】
本体部10は、
図3の様に、待機部領域15と、張出部領域16に区分される。なお説明の便宜上、本体部10の張出部領域16側に向かう方向を前方と称し、待機部領域15に向かう方向を後方側と称する場合がある。
図3の様に、走行レール12は、待機部領域15側(後方側)の端部がピン21によってフレーム部材20に軸止されている。走行レール12の他端側(前方側)はフレーム部材20に固定されておらず自由端となっている。
そのため走行レール12は、
図7(b)、(c)の様に、後方側のピン21を中心として上下に揺動可能である。
走行レール12の自由端側は押さえバー18で接続されている。
【0027】
走行レール12内であって待機部領域15の部分にはラック形成部材17が設けられている。
本実施形態では、ラック形成部材17は、直線状の歯付きベルトである。
フレーム部材20の張出部領域16は2本の走行レール12に挟まれた領域であり、上下に貫通する大きな空間となっている。
【0028】
フレーム部材20の張出部領域16側の先端には、走行レール12を揺動させる揺動手段22が設けられている。
本実施形態では、揺動手段22は、
図7の様にギャードモータ23と、当該ギャードモータ23によって回転するカム25によって構成されている。
ギャードモータ23は、フレーム部材20に一体的に固定されており、カム25は、走行レール12と当接している。
【0029】
次に移動台11について説明する。
移動台11は、全体として面積が大きく、厚さの薄い部材であり、
図4の様に多数の搬送コロ(搬送手段)26と、多数の走行コロ(抵抗軽減手段)27及び駆動ローラ28を備えている。
そして無端ベルト30が、搬送コロ26、走行コロ27及び駆動ローラ28と係合し、駆動ローラ28の回転力を搬送コロ26、走行コロ27に伝導してこれらを回転させる。また移動台11は、先頭ローラ(先頭回転体)42を有している。
即ち移動台11は、
図3の様に枠状部材37を有し、当該枠状部材37で囲まれる枠内に、短冊状のコロ支持部材32が多数支持されている。そして当該コロ支持部材32に、多数の搬送コロ(搬送手段)26と、多数の走行コロ(抵抗軽減手段)27が回転可能に支持されている。
【0030】
搬送コロ26は、
図4(b)の様に、複数の搬送コロ片31が共通軸50に挿通されたものである。搬送コロ26の各搬送コロ片31は共通軸50に相対回転不能に取り付けられている。そのため各搬送コロ片31は、同期的に回転する。
搬送コロ26の各搬送コロ片31は、いずれも円柱形である。
【0031】
走行コロ(抵抗軽減手段)27についても、
図4(c)の様に、複数の走行コロ片33が共通軸35に挿通されたものである。走行コロ27の各走行コロ片33は共通軸35に相対回転不能に取り付けられている。そのため各走行コロ片33は、同期的に回転する。 また各搬送コロ片31と各走行コロ片33の回転は同期的であり、両者の角速度は等しい。また本実施形態では、各搬送コロ片31と各走行コロ片33の外径が同一であり、各搬送コロ片31と各走行コロ片33の周速は等しい。
【0032】
各走行コロ片33についても円柱形であるが、幾つかの走行コロ片33には、周面に環状の溝36が形成されている。
【0033】
移動台11の搬送コロ26は、いずれも枠状部材37の上部側に平行に並べられている。搬送コロ26の共通軸50は、前記した走行レール12に対して交差する方向に配されている。
搬送コロ26の一部は、コロ支持部材32よりも上部側に露出している。
【0034】
一方、走行コロ27は、いずれも枠状部材37の下部側に平行に並べられている。走行コロ27の共通軸35についても、前記した走行レール12に対して交差する方向に配されている。
走行コロ27の一部は、コロ支持部材32よりも下部側に露出している。
【0035】
駆動ローラ28は、ローラ本体38内にモータ及び減速機(いずれ図示せず)が内蔵されたモータ内蔵ローラである。駆動ローラ28のローラ本体38の周面には、環状の溝40が複数形成されている。
駆動ローラ28は、枠状部材37の一端側に支持されており、内蔵されたモータを駆動することにより、ローラ本体38が回転する。
【0036】
搬送コロ26と、走行コロ27と、駆動ローラ28に無端ベルト30が懸架されている。
ここで無端ベルト30の懸架経路は特殊であり、走行コロ27に対しては無端ベルト30の内側が係合し、搬送コロ26に対しては無端ベルト30の外側が係合している。
即ち搬送コロ26及び走行コロ27は、
図4、
図5の様に高さ方向が入り組んでいる。そして無端ベルト30の内側面が走行コロ27と係合している。ここで走行コロ27には、周面に環状の溝36があり、無端ベルト30は当該溝36に収容されている。
搬送コロ26の下面側は、走行コロ27の上面よりも下にあり、搬送コロ26の表面が無端ベルト30の外面を下側に押し込んでいる。
本実施形態では、搬送コロ26と走行コロ27が、無端ベルト30の異なる面と係合しているので、搬送コロ26と走行コロ27は互いに逆方向に回転する。
【0037】
先頭ローラ42は、他のローラよりも小径のローラであり、枠状部材37に回転可能に支持されている。
先頭ローラ42の位置は、前記した駆動ローラ28と反対側の位置である。先頭ローラ42は、張出部領域16に向かう位置(前方)にあり、駆動ローラ28は、待機部領域15側に向かう位置(後方)にある。
また先頭ローラ42の高さは、
図5の様に搬送コロ26よりも低い。
先頭ローラ42は、無端ベルト30とは係合せず、走行コロ27の一つと係合して回転する。先頭ローラ42の回転方向は、走行コロ27に対して逆方向であり、搬送コロ26と同一方向である。
【0038】
移動台11は、さらに
図3、
図7の様に走行輪43と、駆動体45を有している。
走行輪43は、枠状部材37の長手方向の一端側(先頭ローラ42側)であって、枠状部材37の両側面に設けられている。走行輪43は、空転するコロである。
駆動体45は、枠状部材37の長手方向の他端側(後方側)であって、枠状部材37の下部側の両側にある。駆動体45は、歯付きプーリである。
左右の駆動体45は
、連通シャフト46で繋がれている。また連通シャフト46には、図示しないギャードモータが係合しており、ギャードモータを駆動することによって左右の駆動体45が回転する。
【0039】
移動台11は、
図2の様に本体部10の走行レール12に囲まれる空間に配される。移動台11の前後姿勢は、走行輪43が張出部領域16に向き、駆動体45が待機部領域15側に向く。従って移動台11の先頭ローラ42が張出部領域16に向く。即ち先頭ローラ42は前方に向いている。
移動台11の左右の走行輪43は、それぞれ走行レール12の凹部内にあり、溝形鋼の下部側のフランジ部に載置されている。
移動台11の後方側の駆動体45は、走行レール12内の待機部領域15に設けられたラック形成部材17と係合している。
【0040】
次に、本実施形態の移載装置1の基本的動作について説明する。
本実施形態の移載装置1では、移動台11が走行レール12に沿って前後方向に移動する。即ち移動台11は、
図7(a)(b)に示す様に待機部領域15と張出部領域16の間を行き来する。
また走行レール12が後方のピン21を中心として揺動する。そして移動台11は走行レール12と共に揺動する。そして揺動手段22のカム25が回転すると、
図7の様に移動台11は、全体が略水平状態となる標準姿勢(
図7(b))と、移動方向の前側が上に向く傾斜姿勢をとる(
図7(c))。
【0041】
以下、説明する。
前記した様に移動台11の前端側に設けられた走行輪43が走行レール12に載置されている。また移動台11の後方側の設けられた駆動体45も走行レール12に載置され、ラック形成部材17と係合している。
この様に移動台11の枠状部材37は、前方側の左右に設けられた走行輪43と後方側の左右に設けられた駆動体45によって中空に支持されている。
そのためギャードモータを駆動し、駆動体45を回転すると、移動台11が走行レール12に沿って前後方向に移動し、待機部領域15と張出部領域16の間を往復移動する。
【0042】
また前記した様に走行レール12は、後端側がピン21によって軸止されており、前端側は自由端状態となっている。そして走行レール12の前端側の下部には、揺動手段22のカム25がある。
そのため揺動手段22のギャードモータ23を駆動してカム25が回転すると、カム25が走行レール12の自由端側を上下に移動させる。その結果、走行レール12はピン21を中心として揺動する。
【0043】
前記した様に移動台11の前側に設けられた走行輪43及び後方に設けられた駆動体45は、走行レール12に乗っているから、走行レール12が昇降し、走行レール12の走行輪43と接している部分が昇降すると、移動台11はこれに連れて昇降する。
本実施形態では、走行レール12の自由端側を降下させると、移動台11は概ね水平姿勢となる。逆に走行レール12の自由端側を上げると、移動台11は前側が上に上がった傾斜姿勢となる。
【0044】
次に、本実施形態の移載装置1を使用して、パレット2に積み重ねられた物品3を取り出し、付属コンベヤ6に払い出す際の動作について説明する。
移載装置1は、
図1の様に、走行レール12の張出部領域16にパレット載置台5が入り、走行レール12の間でパレット載置台5が囲まれる様に配置される。
パレット2には例えば
図1の様に物品3が2段に積まれている。また各段には複数の物品3がある。本実施形態では、各物品3はいずれも箱である。説明の便宜上、上に積まれた物品を3aと表示し、下側の物品を3bと表示する。
なお説明を容易にするため、
図1には各段に一個ずつ物品3が積まれた状態を図示している。また移載装置1の動きと物品の挙動を理解し易い様に、
図7乃至11では、各段に一個ずつ物品3が積まれているものとして説明する。
準備段階においては、
図1の様に移動台11は待機部領域15にある。
【0045】
パレット2に積み重ねられた物品3を取り出す際には、図示しない昇降手段によって移載装置1の高さを変える。上段の物品3aを取り出す場合であれば、移動台11の先端に設けられた先頭ローラ42が、上段の物品3aと下段の物品3bの間の高さになる様に移載装置1の高さが調節される。
そして揺動手段22のカム25を回転し、
図7(a)の様に走行レール12の前端側を降下して移動台11の姿勢を水平姿勢とする。
【0046】
この状態で、駆動体45を回転し、移動台11を張出部領域16に向かって移動させる。また同時に駆動ローラ28を駆動し、搬送コロ26と走行コロ27及び先頭ローラ42を回転する。
この時の搬送コロ26等の回転方向は
図5(b)の通りであり、走行コロ27は、図面の反時計回りであって、移動台11の進行方向に対して順方向である。即ち走行コロ27が着地しているならば、移動台11を張出部領域16に向かって移動させる方向に走行コロ27が回転する。
これに対して先頭ローラ42と搬送コロ26は、走行コロ27とは逆方向であり、図面の時計回りに回転する。先頭ローラ42と搬送コロ26の回転方向は、物品3を移動台11の上に引き込む方向である。
【0047】
移動台11を張出部領域16に向かって進めると、
図8(a)、
図10(a)の様に、移動台11が上段の物品3aと下段の物品3bの間に衝突する。より詳細には、移動台11の先頭ローラ42が上段の物品3aと下段の物品3bの境界近傍に当たる。
そして
図10(a)の様に先頭ローラ42が上段の物品3aと下段の物品3bの境界の近傍を押す。より詳細には
図10(a)の様に先頭ローラ42が上段の物品3aの下端近傍に当たる。ここで先頭ローラ42は回転しているので、上段の物品3aの下端近傍を上向きに押し上げる。
また上段の物品3aの前端には走行レール12の押さえバー18が当接し、物品3aが前方に移動することが阻止されている。
【0048】
この様に前方に逃げない状態に物品3a,3bが保持された状態で、上段の物品3aに回転する先頭ローラ42が圧接され、上段の物品3aの端部であってその下部が上方向に付勢される。その結果、上段の物品3aの端部が僅かに持ち上げられ、
図10(b)の様に物品3aと下段の物品3bの間が開いて隙間ができる。
【0049】
ここで先頭ローラ42の径は小さいので、移動台11が前進することにより、
図10(b)の様に上段の物品3aと下段の物品3bの間の僅かな隙間に割り組む。言い換えると、先頭ローラ42が進行することにより、上段の物品3aと下段の物品3bの間が押し広げられる。
【0050】
また先頭ローラ42は物品3aを移動台11の上に引き込む方向に回転している。そのため先頭ローラ42は、上段の物品3aを掻き上げ、
図10(c)の様に上段の物品3aと下段の物品3bの間にもぐり込んでゆく。
その結果、上段の物品3aがやや傾斜姿勢となる。
ここで、搬送コロ26の位置は、先頭ローラ42よりも後方であって高さの高い位置に設置されている。従って先頭ローラ42と搬送コロ26の共通接線は、傾斜したものとなる。
そのため上段の物品3aの傾斜姿勢が、先頭ローラ42と搬送コロ26の共通接線と近似したものとなり、
図10(c)の様に上段の物品3aの後端が先頭の搬送コロ26に当たる。
従って上段の物品3aは先頭の搬送コロ26によって移動台11に引き込まれる。
【0051】
一方、走行コロ27は、下側の物品3bの上面と当接して回転し、移動台11の進行を補佐する。なお無端ベルト30は、走行コロ片33の環状の溝36内にあるので、無端ベルト30は、下側の物品3bとは接しない。
移動台11は、後端にある駆動体45を回転することによって発生する推進力によって進行するが、走行コロ27は駆動体45の進行方向に対して順方向に回転するので、移動台11が上段の物品3aと下段の物品3bの間にもぐり込んでゆくのを補佐する。また走行コロ27が下側の物品3bの上面と当接して回転するので、移動台11と、下側の物品3bとの間の摩擦抵抗が低減される。
こうして
図8(b)
図10(c)の様に移動台11は上段の物品3aと下段の物品3bの間にもぐり込んで進行を続け、上側の物品3aは、搬送コロ26によって移動台11の上に引き込まれてゆく。
そして遂には
図8(c)、
図11(d)の様に、上側の物品3aが移動台11の上に完全に乗り上げられる。
【0052】
その後は、揺動手段22のカム25を回転し、走行レール12の前端側を上昇させる。その結果、移動台11は傾斜姿勢になり、
図9(d)、
図11(e)の様に移動台11の下面は下段の物品3bを離れる。
そして
図9(e)の様に移動台11を待機部領域15側に戻す。
その後、図示しない昇降装置によって移載装置1の高さを付属コンベヤ6の高さに合わせ、さらに駆動ローラ28を駆動して移動台11の上部側の搬送コロ26を回転し、
図9(f)の様に物品3aを付属コンベヤ6に送りだす。
【0053】
ここで駆動ローラ28を駆動することによって搬送コロ26だけでなく、下部の走行コロ27も回転するが、移動台11は傾斜姿勢であって上昇位置にあり、下部の走行コロ27は着地していない。そのため走行コロ27は空転し、搬送コロ26の回転を妨げることはない。
【0054】
以上、パレット2に積み重ねられた物品3を取り出す際の移載装置1の動作について説明したが、移載装置1を使用してパレット2に物品3を積み込むこともできる。
例えば付属コンベヤ6によって移載装置1に搬送し、さらに物品3を移載装置1を使用してパレット2に積み込むことができる。移載装置1によってパレット2に物品3を積み込む際には、先に説明した物品3を取り出す際の動作を逆に行うこととなる。
【0055】
この場合は、図示しない昇降装置によって移載装置1の高さを付属コンベヤ6の高さに合わせ、さらに駆動ローラ28を駆動して移動台11の上部側の搬送コロ26を回転し、付属コンベヤ6上の物品を移動台11の上に引き入れる。
そして図示しない昇降装置によって移載装置1の高さをパレット2上の最も高い位置の物品3の高さに合わせる。
そして移動台11を張出部領域16に向かって移動させる。
【0056】
続いて揺動手段22のカム25を回転し、走行レール12の前端側を降下させる。その結果、移動台11は水平姿勢になり、移動台11の下面が下段の物品3bに着地する。
そして駆動ローラ28を駆動し、搬送コロ26と走行コロ27及び先頭ローラ42を回転する。この場合、搬送コロ26は、物品3aを前方に移動させる様に回転し、走行コロ27は、移動台11が後退するように回転させることとなる。
またこの状態で、駆動体45を回転し、移動台11を待機部領域15に戻る方向に移動させる。
その結果、移動台11の載置された物品3aは、移動台11から先に積まれていた物品3bの上に移動する。また移動台11は先に積まれていた物品3bを離れ、待機部領域15に復帰する。
【0057】
以上の説明は、移載装置1の動きと物品の挙動を理解し易い様に、パレット2に各段、一個ずつ物品3が積まれているものとして説明したが、現実にパレット2に複数段に物品3が積み込まれる場合、
図12の荷姿の様に、各段に複数個の物品3が配置される場合が多い。
例えば
図12では、各段に8個の物品3が平置きされ、それが2段に積み重ねられている。
ここで本実施形態の移載装置1を使用すると、各段に平置きされた8個の物品3をその相対位置を変更することなく、積み込んだり、積み下ろすことができる。
【0058】
図13、
図14は、パレット2に
図12の荷姿に積まれた物品を一段づつ相対位置を変更することなく積み下ろす場合の様子を図示している。
即ち準備段階においては、
図13(a)の様に移動台11は待機部領域15にある。パレット2は、張出部領域16にあり、パレット2には、各段に8個の物品3が平置きされている。
図13(a)は、平置きされた8個の物品3を側面から観察しているので、3個の物品53,55,56だけが図に現れている。
【0059】
パレット2に積み重ねられた一段分(8個の)の物品3を相対位置を変更することなく取り出す場合、先の例と同様に移動台11を張出部領域16に向かって移動させ、移動台11の先端に設けられた先頭ローラ42を、上段の8個の物品群51と、下段の8個の物品群52の間に衝突させる。
そして前記した場合と同様に、先頭ローラ42は回転させつつ、先頭ローラ42によって上段の物品群51と下段の物品群52の境界の近傍を押す。
その結果、上段の物品群51に属する物品3の内、後端側に並べられた複数の物品の端部が一斉に僅かに持ち上げられ、上段の物品群51と下段の物品群52の間が開いて隙間ができる。
移動台11が前進することにより、
図13(b)の様に後端側に並べられた物品53が搬送コロ26によって移動台11に引き込まれ、物品53が移動台11の上に完全に乗り上げられる。
【0060】
移動台11は、さらに前進し、隣接する物品55と衝突する。そして前記した場合と同様に、先頭ローラ42は回転させつつ、先頭ローラ42によって隣接する物品55とその下段の物品群52の境界の近傍を押し、隣接する物品55の端部が僅かに持ち上げられる。そしてさらに移動台11が前進し、隣接する物品55は、移動台11の上に完全に乗り上げられる。
こうして
図13(c)の様に、上段の物品群51が全て移動台11の上に移動する。このときの上段の物品群51の各物品3の相対位置は、パレット2に積み重ねられていた状態のときと同一である。
【0061】
その後は、前記した場合と同様、揺動手段22のカム25を回転し、走行レール12の前端側を上昇させ、下面は下段の物品3bを離れる。
そして
図14(d)の様に移動台11を移動し、
図14(e)の様に待機部領域15側に戻す。
その後、先の説明と同様に駆動ローラ28を駆動して移動台11の上部側の搬送コロ26を回転し、物品3aを付属コンベヤ6に送りだす。
【0062】
次に、本実施形態の移載装置1を使用して、複数の物品をパレット2の同一平面に並べる場合の動作について説明する。
図15は、複数の物品をパレット2の同一平面に並べた場合の準備段階を示し、
図16、
図17は、パレット2に複数の物品3を
図12の荷姿の状態に積み込む場合の様子を図示している。
本実施形態の移載装置1を使用して、パレット2の各段に複数の物品3を積み込む場合、予め図示しない整列コンベヤで、複数の物品3を集めて整列させ、
図15に示す様に、一段分の荷姿の形にまとめて付属コンベヤ6に載置する。
【0063】
そして
図16(a)の様に移載装置1の高さを付属コンベヤ6の高さに合わせ、さらに駆動ローラ28を駆動して移動台11の上部側の搬送コロ26を回転し、付属コンベヤ6上の物品群51を移動台11の上に引き入れる。
そして移載装置1の高さをパレット2上の最も高い位置の物品3の高さに合わせて移動台11を張出部領域16に向かって移動させ、
図16(b)の様にパレット2の真上の位置で移動台11を停止する。
【0064】
続いて走行レール12の前端側を降下させる。その結果、移動台11は水平姿勢になり、移動台11の下面が下段の物品3bに着地する。
そして搬送コロ26を、物品群51が前方に移動する様に回転させる。走行コロ27は、移動台11が後退するように回転することとなる。
またこの状態で、移動台11を待機部領域15に戻る方向にゆっくりと移動させる。即ち走行コロ27による移動台11の移動速度と同一の速度で移動台11が移動する様に駆動体45を駆動する。
その結果、
図17(c)の様に、物品群51の内の先頭の物品56が、先に積まれていた物品群52の上に移動する。
【0065】
さらに引き続いて搬送コロ26を物品群51が前方に移動する様に回転し、同時に移動台11を待機部領域15に戻る方向に移動させる。移動台11の移動速度は、物品群51の移動速度と同一速度とする。
その結果、
図17(c)の様に中程の物品53が移動台11から先に積まれていた物品群52の上に移動する。また中程の物品53が移動台11から排出される際の速度(搬送コロ26の周速)と移動台11が後退する際の速度が一致するため、中程の物品53と先に排出した物品56の相対位置は変化しない。
こうして全ての物品55,53,52が、移動台11から先に積まれていた物品群51の上に移動する。
移動台11からパレット2に移された物品群51は、付属コンベヤ6に載置されていた際の配列を維持しており、物品3は、所望の荷姿でパレット2に載置されることとなる。
【0066】
次に、本実施形態の移載装置1を使用して、パレット2に多段に複数の物品3を積み込む場合の動作について、単純なモデル図を参照しつつ説明する。
多段に複数の物品3を積み込む場合についても、図示しない整列コンベヤで、複数の物品3を集めて物品群51を構成し、
図18(a)の様に、一段分の荷姿の形にまとめて付属コンベヤ6に載置する。
そして
図18(b)の様に移載装置1の高さを付属コンベヤ6の高さに合わせ、さらに駆動ローラ28を駆動して移動台11の上部側の搬送コロ26を回転し、付属コンベヤ6上の物品群51を移動台11の上に引き入れる(
図18(c))。
そして
図18(d)の様に移載装置1を図示しない昇降手段で上昇させ、移動台11の高さをパレット2上の最も高い位置の物品群60の高さに合わせる。
【0067】
続いて移動台11を張出部領域16に向かって移動させ、
図19(e)の様に最も高い位置の物品群60の真上の位置で移動台11を停止する。
そして移動台11を降下させ、搬送コロ26を、物品群51が前方に移動する様に回転させ、走行コロ27は、移動台11が後退するように回転させる。
その結果、
図19(f)の様に、物品群51の内の先頭の物品56が、先に積まれていた物品群60の上に移動する。
【0068】
さらに引き続いて搬送コロ26を物品群51が前方に移動する様に回転し、同時に移動台11を待機部領域15に戻る方向に移動させる。その結果、物品群51に属する全ての物品53,55,56が、
図19(g)の様に最も高い位置の物品群60上に移動し、移動台11は待機部領域15に復帰する。
移動台11からパレット2に移載された物品群51は、付属コンベヤ6に載置されていた際の配列を維持しており、物品53,55,56は、所望の荷姿でパレット2に載置されることとなる。
そして
図19(h)の様に移載装置1を図示しない昇降手段で降下し、移動台11の高さを付属コンベヤ6の高さに合わせ、次の段の物品群57を待つ。
【0069】
この様に本実施形態の移載装置1によると、きれいに整列された物品3を移動台11に載置し、物品3の移動速度に合わせて移動台11を移動してパレット2等に移載することにより、各物品3の姿勢や隊列を乱さずにパレット2等に物品を置くことができる。
【0070】
本実施形態の移載装置1は、ロボットとは基本構成が異なるものであり、ロボットに比べて構造が簡単である。そのため制御や組み立て、調整が容易である。
【0071】
以上説明した実施形態では、パレット2の上に、二つの物品3a,3bを積み重ねた例について説明したが、パレット2に平置きした物品を搬出する場合にも本発明の移載装置1を使用することができる。
また各段に複数の物品3が並べられている場合にも同様に本発明の移載装置1を使用することができる。
【0072】
以上説明した実施形態では、搬送手段はコロを利用したものであるが、ベルトコンベア状のものであってもよい。
抵抗軽減手段についても無限軌道状のものであってもよい。
以上説明した実施形態では、揺動手段22としてカム25を利用したが、例えばクランクやネジ、パンタグラフ機構等を応用することもできる。
以上説明した実施形態では、移動台11を走行させる機構として、ラックを応用したが、タイヤ等を利用して、摩擦によって移動台11を走行させてもよく、シリンダー等の直線運動を行うアクチェータを利用してもよい。
以上説明した実施形態では、搬送コロ26と、走行コロ27を無端ベルト30を利用して回転したが、歯車や摩擦によって動力伝導を行い、搬送コロ26と、走行コロ27は空転するものであってもよい。
先頭部回転体たる先頭ローラ42は、空転するものであってもよい。
【0073】
以上説明した実施形態では、各搬送コロ片31と各走行コロ片33の外径が等しく、且つ両者は同期的に回転する(回転方向は逆)。そのため上記した実施形態では、各搬送コロ片31と各走行コロ片33の周速が等しい。
この構成によると、パレット2等に配列された物品3の相対位置関係を変えることなく、一つの物品群51として移動台11に物品を載せ代えることができる。また移動台11に載置された複数の物品を隊列を変えることなく、一つの物品群51としてパレット2等に載せることができる。
この様に各搬送コロ片31と各走行コロ片33の周速は等しいことが望ましいが、必ずしも一致する必要はない。
【0074】
以上説明した実施形態では、走行レール12を傾斜して移動台11を持ち上げ、移動台11の下面を下部の物に対して浮き上がらせたが、他の方法によって移動台11を持ち上げてもよい。
例えば、走行レール12を上下に昇降させたり、移動台11だけを単独で昇降させてもよい。
さらに前記した移載装置1は、図示しない昇降手段を有し、当該昇降手段によって移載装置1の高さを変えることができる。そこで前記した移載装置1の全体を昇降させる昇降手段を利用して移動台11を持ち上げ、移動台11の下面を下部の物から引き離してもよい。
【0075】
以上説明した実施形態では、図示しない昇降手段によって移載装置1を昇降させ、移載装置1の高さをパレット2上の物品3の高さに合致させた。しかしながら本発明はこの構成に限定されるものではなく、パレット2や付属コンベヤ6を昇降させてもよい。
図20は、本発明の他の本実施形態の移載装置70であってパレット2に図示しない昇降手段があり、パレット2の高さを変えることができる。
移載装置70を使用して、パレット2に多段に複数の物品群51を積み込む場合の動作について、単純なモデル図を参照しつつ説明する。
【0076】
本実施形態においては、
図20(a)の様に移載装置70と付属コンベヤ6は比較的高い位置に設置されており、当初のパレット2の高さは相対的に低い。
そして
図20(b)(c)の様に移動台11の上部側の搬送コロ26を回転し、付属コンベヤ6上の物品群51を移動台11の上に引き入れる。
これと並行して図示しない昇降手段によってパレット2を上昇させ、パレット2の高さを移動台11の高さに合わせる。
【0077】
続いて
図20(d)移動台11を張出部領域16に向かって移動させ、
図21(e)の様にパレット2の真上の位置で移動台11を停止する。
そして移動台11を降下させ、搬送コロ26を、物品群51が前方に移動する様に回転させ、走行コロ27は、移動台11が後退するように回転させる。
その結果、
図21(f)の様に、物品群51の内の先頭の物品56が、パレット2の上に移動する。
【0078】
さらに引き続いて搬送コロ26を物品群51が前方に移動する様に回転し、同時に移動台11を待機部領域15に戻る方向に移動させる。その結果、物品群51に属する全ての物品55,53,52が、
図21(g)の様にパレット2に移動し、移動台11を待機部領域15に復帰する。
移動台11からパレット2に移載された物品群51は、付属コンベヤ6に載置されていた際の配列を維持しており、物品3は、所望の荷姿でパレット2に載置されることとなる。
そして
図21(h)の様にパレット2を図示しない昇降手段で物品群51の高さ分だけ降下させ、物品群51の高さを移動台11の高さに合わせ、次の段の物品群57を待つ。
【0079】
以上説明した実施形態の移載装置1,70では、駆動体45をラック形成部材17と係合させることによって、移動台11を走行させることができる。また以上説明した実施形態の移載装置1,70は、移動台11の下面に走行コロ片33があり、走行コロ33によっても移動台11に推進力が与えられる。
移載装置1,70では、移動台11上の物品3をパレット2等に下ろす際には、走行コロ片33をパレット2や先に載置された物品群52に着地させている。そして走行コロ27による移動台11の移動速度と駆動体45による移動速度を同調させている。
しかしながら本発明はこの構成に限定されるものではなく、移動台11上の物品3をバレット2等に下ろす際、走行コロ27の回転、又は駆動体45とラック形成部材17との係合のいずれかだけで移動台11を移動させてもよい。
例えば、駆動体45の動力だけで移動台11を待機部領域15に戻る方向に移動させる場合であれば、走行コロ片33をパレット2や先に載置された物品群52から浮かせた状態であってもよい。
また以上説明した実施形態の移載装置1,70では、走行コロ片33は動力によって回転するものであるが、空転するものであってもよい。