【実施例】
【0053】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも質量基準である。以下、特に規定のない室温放置条件は全て、23℃/55%RHである。
【0054】
<ウレタンアクリレート組成物の調製>
〔合成例1〕ウレタンアクリレート(A−1)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、イソフォロンジイソシアネート(a2−1)(エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI)を34g、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−1)(MT−3548、東亜合成株式会社製、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が30%、ペタンエリスリトールモノアクリレートの含有量が5%、ペンタエリスリトールトリアクリレートの含有量が50%、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの含有量が15%)を66g、溶剤としてメチルエチルケトンを43g、重合禁止剤としてメトキノンを0.05g及び触媒として無機ビスマス(ネオスタンU−600、日東化成株式会社製)0.05gを仕込み、70℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.1%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(A−1)の重量平均分子量は、4800であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は400mPa・Sであった。
【0055】
〔合成例2〕ウレタンアクリレート(A−2)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート(a2−2)(東ソー株式会社製HDI)を28g、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−1)(東MT−3548、亜合成株式会社製)、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が30%)を72g仕込んだ以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(A−2)の重量平均分子量は、5,200であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は450mPa・Sであった。
【0056】
〔合成例3〕ウレタンアクリレート(A−3)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(a2−3)(東京化成工業株式会社製H
12MDI)を37g、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−1)(MT−3548、東亜合成株式会社製、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が30%)を63g仕込んだ以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(A−3)の重量平均分子量は、5,500であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は360mPa・Sであった。
【0057】
〔合成例4〕ウレタンアクリレート(A−4)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、2官能のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系プレポリマー(a2−4)(旭化成株式会社製、デュラネートD201)を55g、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−1)(MT−3548、東亜合成株式会社製、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が30%)を45g仕込んだ以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(A−4)の重量平均分子量は、15,000であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は460mPa・Sであった。
【0058】
〔合成例5〕ウレタンアクリレート(A−5)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、イソフォロンジイソシアネート(a2−1)(エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI)を27g、水酸基価200mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−2)(MT−3533、東亜合成株式会社製、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が20%、ペタンエリスリトールモノアクリレートの含有量が5%、ペンタエリスリトールトリアクリレートの含有量が55%、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの含有量が20%)を73g仕込んだ以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(A−5)の重量平均分子量は、4,000であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は200mPa・Sであった。
【0059】
〔合成例6〕ウレタンアクリレート(A−6)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、2官能のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系プレポリマー(a2−4)(旭化成株式会社製、デュラネートD201)を46g、水酸基価200mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−2)(MT−3533、東亜合成株式会社製、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が20%)を54g仕込んだ以外は、合成例1と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(A−6)の重量平均分子量は、10,000であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は400mPa・Sであった。
【0060】
上記各合成例1〜6の概要を纏めて以下の表に示す。
【表1】
水酸基価280mgKOH/g PEA:東亜合成株式会社製、MT−3548、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が30%
水酸基価200mgKOH/g PEA:東亜合成株式会社製、MT−3533、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が20%
IPDI(NCO%:37.7%):エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI、イソフォロンジイソシアネート(イソシアネート量37.7%)
HDI(NCO%:50%):東ソー株式会社製HDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(イソシアネート量50%)
H
12MDI(NCO%:32%):東京化成工業株式会社製、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(イソシアネート量32%)
D−201(NCO%:15.8%):2官能のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系プレポリマー(C−4)(旭化成株式会社製、デュラネートD201)
【0061】
〔合成例7〕ウレタンアクリレート(B−1)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、イソフォロンジイソシアネート(b2−1)(エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI)を17g、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)(アロニックスM−305、東亜合成株式会社製、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が0%、ペタンエリスリトールモノアクリレートの含有量が0%、ペンタエリスリトールトリアクリレートの含有量が60%、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの含有量が40%)を83g、溶剤としてメチルエチルケトンを43g、重合禁止剤としてメトキノンを0.05g、及び触媒として無機ビスマス(ネオスタンU−600、日東化成株式会社製)を0.05g仕込み、70℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.1%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(B−1)の重量平均分子量は、1,200であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は110mPa・Sであった。
【0062】
〔合成例8〕ウレタンアクリレート(B−2)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート(b2−2)(東ソー株式会社製HDI)を14g、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)(アロニックスM−305、東亜合成株式会社製)を86g仕込んだ以外は、合成例7と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(B−2)の重量平均分子量は、1,200であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は108mPa・Sであった。
【0063】
〔合成例9〕ウレタンアクリレート(B−3)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(b2−3)(東京化成工業株式会社製H
12MDI)を20g、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)(アロニックスM−305、東亜合成株式会社製)を80g仕込んだ以外は、合成例7と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(B−3)の重量平均分子量は、1,200であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は110mPa・Sであった。
【0064】
〔合成例10〕ウレタンアクリレート(B−4)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、2官能のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系プレポリマー(b2−4)(旭化成株式会社製、デュラネートD201)を33g、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)(アロニックスM−305、東亜合成株式会社製)を67g仕込んだ以外は、合成例7と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(B−4)の重量平均分子量は、3,800であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は320mPa・Sであった。
【0065】
〔合成例11〕ウレタンアクリレート(B−5)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、イソフォロンジイソシアネート(b2−1)(エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI)を22g、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−2)(アロニックスM−306、東亜合成株式会社製、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が5%、ペタンエリスリトールモノアクリレートの含有量が0%、ペンタエリスリトールトリアクリレートの含有量が70%、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの含有量が25%)を78g仕込んだ以外は、合成例7と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(B−5)の重量平均分子量は、1,400であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は140mPa・S(BM型)であった。
【0066】
〔合成例12〕ウレタンアクリレート(B−6)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート(b2−2)(東ソー株式会社製HDI)を18g、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−2)(アロニックスM−306、東亜合成株式会社製)を82g仕込んだ以外は、合成例7と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(B−6)の重量平均分子量は、1,500であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は130mPa・S(BM型)であった。
【0067】
〔合成例13〕ウレタンアクリレート(B−7)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(b2−3)(東京化成工業株式会社製H
12MDI)を8g、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−2)(アロニックスM−306、東亜合成株式会社製、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が5%)を82g仕込んだ以外は、合成例7と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート系組成物(B−7)の重量平均分子量は、1,500であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は130mPa・Sであった。
【0068】
上記各合成例7〜13の概要を纏めて以下の表に示す。
【表2】
水酸基価115mgKOH/g PEA:東亜合成株式会社製、アロニックスM−305、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が0%
水酸基価160mgKOH/g PEA:東亜合成株式会社製、アロニックスM−306、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が5%
IPDI(NCO%:37.7%):エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI、イソフォロンジイソシアネート(イソシアネート量37.7%)
HDI(NCO%:50%):東ソー株式会社製HDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(イソシアネート量50%)
H12MDI(NCO%:32%):東京化成工業株式会社製、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(イソシアネート量32%)
D−201(NCO%:15.8%):2官能のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系プレポリマー(C−4)(旭化成株式会社製、デュラネートD201)
【0069】
〔比較合成例1〕ウレタンアクリレート(D−1)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、イソフォロンジイソシアネート(d2−1)(エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI)を10g、水酸基価63mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−5)(NKエステルA−TMM3、新中村化学工業株式会社製、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が5%以下)を90g、溶剤としてメチルエチルケトン43g、重合禁止剤としてメトキノンを0.05g、及び触媒として無機ビスマス(ネオスタンU−600、日東化成株式会社製)を0.05g仕込み、70℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.1%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(D−1)の重量平均分子量は、1,000であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は110mPa・Sであった。
【0070】
〔比較合成例2〕ウレタンアクリレート(D−2)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート(d2−2)(東ソー株式会社製HDI)を10g、水酸基価63mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−5)(NKエステルA−TMM3、新中村化学工業株式会社製、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が5%以下)を90g仕込んだ以外は、比較合成例1と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(D−2)の重量平均分子量は、1,000であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は105mPa・Sであった。
【0071】
〔比較合成例3〕ウレタンアクリレート(D−3)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、シクロヘキシルメタンジイソシアネート(d2−3)(東京化成工業株式会社製H
12MDI)を12g、水酸基価63mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−5)(NKエステルA−TMM3、新中村化学工業株式会社製、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が5%以下)を88g仕込んだ以外は、比較合成例1と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(D−3)の重量平均分子量は、1,100であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は110mPa・Sであった。
【0072】
〔比較合成例4〕ウレタンアクリレート(D−4)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、イソフォロンジイソシアネート(d2−1)(エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI)を15g、水酸基価95mgKOH/gのジペンタエリスリトールアクリレート(d1−6)(アロニックスM−403、東亜合成株式会社製)を85g仕込んだ以外は、比較合成例1と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(D−4)の重量平均分子量は、1,800であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は160mPa・Sであった。
【0073】
上記各比較合成例1〜4の概要を纏めて以下の表に示す。
【表3】
水酸基価63mgKOH/g PEA:新中村化学工業株式会社製、NKエステルA−TMM3、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が5%以下
水酸基価95mgKOH/g DPEA:東亜合成株式会社製、アロニックスM−403
IPDI(NCO%:37.7%):エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI、イソフォロンジイソシアネート(イソシアネート量37.7%)
HDI(NCO%:50%):東ソー株式会社製HDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(イソシアネート量50%)
H
12MDI(NCO%:32%):東京化成工業株式会社製、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(イソシアネート量32%)
D−201(NCO%:15.8%):2官能のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系プレポリマー(C−4)(旭化成株式会社製、デュラネートD201)
【0074】
〔比較合成例5〕ウレタンアクリレート(D−5)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、イソフォロンジイソシアネート(d2−1)(エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI)を26g、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−1)(アロニックスMT−3548、東亜合成株式会社製)を37g、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−4)(アロニックスM−305、東亜合成株式会社製)を37g、溶剤としてメチルエチルケトンを43g、重合禁止剤としてメトキノンを0.05g、及び触媒として無機ビスマス(ネオスタンU−600、日東化成株式会社製)を0.05g仕込み、70℃で反応させ、残存イソシアネート基が0.1%となった時点で反応を終了し、ウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(D−5)の重量平均分子量は、2,400であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は180mPa・Sであった。
【0075】
〔比較合成例6〕ウレタンアクリレート(D−6)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、イソフォロンジイソシアネート(d2−1)(エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI)を28g、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−1)(アロニックスMT−3548、東亜合成株式会社製)を36g、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−3)(アロニックスM−306、東亜合成株式会社製)を36g仕込んだ以外は、比較合成例5と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(D−6)の重量平均分子量は、2,500であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は180mPa・Sであった。
【0076】
〔比較合成例7〕ウレタンアクリレート(D−7)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、イソフォロンジイソシアネート(d2−1)(エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI)を22g、水酸基価200mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−2)(アロニックスMT−3533、東亜合成株式会社製)を39g、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−4)(アロニックスM−305、東亜合成株式会社製)を39g仕込んだ以外は、比較合成例5と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(D−7)の重量平均分子量は、2,000であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は150mPa・Sであった。
【0077】
〔比較合成例8〕ウレタンアクリレート(D−8)
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹込み口を備えた5つ口フラスコに、イソフォロンジイソシアネート(d2−1)(エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI)を25g、水酸基価200mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−2)(アロニックスMT−3533、東亜合成株式会社製)を37.5g、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−3)(アロニックスM−306、東亜合成株式会社製)を37.5g仕込んだ以外は、比較合成例5と同様にしてウレタンアクリレート組成物を得た(固形分70%)。得られたウレタンアクリレート(D−8)の重量平均分子量は、2,200であった。ウレタンアクリレート組成物の25℃での粘度は150mPa・Sであった。
【0078】
上記各比較合成例5〜8の概要を纏めて以下の表に示す。
【表4】
水酸基価280mgKOH/g PEA:東亜合成株式会社製、MT−3548、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が30%
水酸基価200mgKOH/g PEA:東亜合成株式会社製、MT−3533、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が20%
水酸基価160mgKOH/g PEA:東亜合成株式会社製、アロニックスM−306、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が5%
水酸基価115mgKOH/g PEA:東亜合成株式会社製、アロニックスM−305、ペンタエリスリトールジアクリレートの含有量が0%
IPDI(NCO%:37.7%):エボニック社製VESTANAT(登録商標)、IPDI、イソフォロンジイソシアネート(イソシアネート量37.7%)
HDI(NCO%:50%):東ソー株式会社製HDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(イソシアネート量50%)
H
12MDI(NCO%:32%):東京化成工業株式会社製、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(イソシアネート量32%)
D−201(NCO%:15.8%):2官能のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系プレポリマー(C−4)(旭化成株式会社製、デュラネートD201)
【0079】
<活性エネルギー線硬化型コーティング剤の調製>
(実施例1)
ウレタンアクリレート(A−1)/ウレタンアクリレート(B−1)の質量比が70/30になるように、[合成例1]で得られたウレタンアクリレート組成物100gと[合成例7]で得られたウレタンアクリレート組成物43.0gをビーカーに入れ攪拌しながら、メタクリロイル基を有するシランカップリング剤で表面処理した反応性シリカ微粒子(粒子径10〜20nm、日産化学株式会社製MEK−AC−2140Z、有効成分45%)を222g加えて混合し、10分後、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(IGM社製Omnirad 184)を10.0g、レベリング剤としてフッ素系界面活性剤(ネオス株式会社製、フタージェント602A、有効成分50%)を2.0g添加してさらに攪拌を続けた。均一溶解したのを確認した後、希釈剤として1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)を150.5g添加して固形分40.0%のコーティング剤を調製した。
塗工の際には、更に289.5gのPGMを添加して固形分25.8%のコーティング剤として粘度を調整した。コーティング剤をPETフィルム(東洋紡株式会社製A4300)にバーコーターで塗工し80℃で1分間の予備乾燥を行った。次に、空気下で紫外線照射装置(へレウス株式会社製ライトハンマー10)を用いて500mJ/cm
2(照度1,500mW/cm
2)の照射量となるよう紫外線照射を行い、PETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0080】
(実施例2〜7)
表5に示すウレタンアクリレート(A−1)/ウレタンアクリレート(B−1)の質量比になるように、[合成例1]で得られたウレタンアクリレート組成物と[合成例7]で得られたウレタンアクリレート組成物を混合した以外は実施例1と同様にして、コーティング剤をそれぞれ調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【表5】
合成例1(A−1)組成物:イソフォロンジイソシアネート(a2−1)を、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例7(B−1):イソフォロンジイソシアネート(b2−1)を、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
反応性シリカ微粒子(C−1):MEK−AC−2140Z(日産化学株式会社製、粒子径10〜20nm、有効成分45%)
光重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(IGM社製Omnirad 184、固形分100質量部に対して5質量部添加)
レベリング剤:フッ素系界面活性剤(ネオス株式会社製、フタージェント602A、有効成分50%)
希釈剤:1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)
シリカ微粒子(質量%):組成物の全固形成分の総量(質量)に対するシリカ微粒子の含有率
【0081】
(実施例8〜14)
表6に示す質量比で[合成例1]で得られたウレタンアクリレート組成物と[合成例8]〜[合成例13]の何れかで得られたウレタンアクリレート組成物を混合した以外は実施例1と同様にして、コーティング剤をそれぞれ調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの塗膜を作製した。
【表6】
合成例1(A−1)組成物:イソフォロンジイソシアネート(a2−1)を、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例8(B−2)組成物:ヘキサメチレンジイソシアネート(b2−2)を、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例9(B−3)組成物:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(b2−3)を、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例10(B−4)組成物:2官能のヘキサメチレンジイソシアネート(b2−4)(HDI)系プレポリマーを、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例11(B−5)組成物:イソフォロンジイソシアネート(b2−1)を、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−2)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例12(B−6)組成物:ヘキサメチレンジイソシアネート(b2−2)を、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−2)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例13(B−7)組成物:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(b2−3)を、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−2)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
反応性シリカ微粒子(C−1):MEK−AC−2140Z(日産化学株式会社製、粒子径10〜20nm、有効成分45%)
光重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(IGM社製Omnirad 184、固形分100質量部に対して5質量部添加)
レベリング剤:フッ素系界面活性剤(ネオス株式会社製、フタージェント602A、有効成分50%)
希釈剤:1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)
シリカ微粒子(質量%):組成物の全固形成分の総量(質量)に対するシリカ微粒子の含有率
【0082】
(実施例15〜18)
ウレタンアクリレート(A−2)/ウレタンアクリレート(B−1)、(B−3)、(B−6)又は(B−7)の質量比が50/50になるように、[合成例2]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gと、[合成例7]、[合成例9]、[合成例12]又は[合成例13]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gを混合した以外は実施例1と同様にして、コーティング剤を調製した。得られた各コーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0083】
(実施例19)
ウレタンアクリレート(A−3)/ウレタンアクリレート(B−1)の質量比が50/50になるように、[合成例3]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gと[合成例7]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gを混合した以外は実施例1と同様にしてコーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0084】
(実施例20)
ウレタンアクリレート(A−4)/ウレタンアクリレート(B−2)の質量比が50/50になるように、[合成例4]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gと[合成例8]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gを混合した以外は実施例1と同様にしてコーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0085】
(実施例21)
ウレタンアクリレート(A−5)/ウレタンアクリレート(B−3)の質量比が50/50になるように、[合成例5]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gと[合成例9]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gを混合した以外は実施例1と同様にしてコーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0086】
(実施例22)
ウレタンアクリレート(A−6)/ウレタンアクリレート(B−4)の質量比が50/50になるように、[合成例6]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gと[合成例10]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gを混合した以外は実施例1と同様にしてコーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
以下に、実施例15〜22の概要を纏めて示す。
【0087】
【表7】
合成例2(A−2)組成物:ヘキサメチレンジイソシアネート(a2−2)を、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例3(A−3)組成物:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(a2−3)を、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例4(A−4)組成物:2官能のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系プレポリマー(a2−4)を、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例5(A−5)組成物:イソフォロンジイソシアネート(a2−1)を、水酸基価200mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−2)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例6(A−6)組成物:2官能のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)系プレポリマー(a2−4)を、水酸基価200mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−2)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例7(B−1)組成物:イソフォロンジイソシアネート(b2−1)を、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例8(B−2)組成物:ヘキサメチレンジイソシアネート(b2−2)を、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例9(B−3)組成物:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(b2−3)を、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例10(B−4)組成物:2官能のヘキサメチレンジイソシアネート(b2−4)(HDI)系プレポリマーを、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例11(B−5)組成物:イソフォロンジイソシアネート(b2−1)を、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−2)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例12(B−6)組成物:ヘキサメチレンジイソシアネート(b2−2)を、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−2)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例13(B−7)組成物:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(b2−3)を、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−2)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
反応性シリカ微粒子(C−1):MEK−AC−2140Z(日産化学株式会社製、粒子径10〜20nm、有効成分45%)
光重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(IGM社製Omnirad 184、固形分100質量部に対して5質量部添加)
レベリング剤:フッ素系界面活性剤(ネオス株式会社製、フタージェント602A、有効成分50%)
希釈剤:1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)
シリカ微粒子(質量%):組成物の全固形成分の総量(質量)に対するシリカ微粒子の含有率
【0088】
(実施例23)
メタクリロイル基を有するシランカップリング剤で表面処理した反応性シリカ微粒子(C−1)(粒子径10〜20nm、メチルエチルケトンに分散、日産化学株式会社製MEK−AC−2140Z、有効成分45%)を411g加え、1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)を174g添加して固形分40.0%のコーティング剤を調製し、塗工の際に、更に407gのPGMを添加して固形分25.8%のコーティング剤として粘度を調整した以外は、実施例3と同様にしてコーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、PETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0089】
(実施例24)
メタクリロイル基を有するシランカップリング剤で表面処理した反応性シリカ微粒子(C−1)(MEK−AC−2140Z、日産化学株式会社製、粒子径10〜20nm、メチルエチルケトンに分散)を667g加え、1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)を206g展開して固形分40.0%のコーティング剤を調製し、塗工の際に、更に565gのPGMを添加して固形分25.8%のコーティング剤として粘度を調整した以外は実施例3と同様にしてコーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0090】
(実施例25)
メタクリロイル基を有するシランカップリング剤で表面処理した反応性シリカ微粒子(C−2)(PGM−AC−2140Y、日産化学株式会社製、粒子径10〜20nm、1−メトキシ−2−プロパノールに分散)を、222g加えた以外は実施例3と同様にしてコーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0091】
(実施例26)
メタクリロイル基を有するシランカップリング剤で表面処理した反応性シリカ微粒子(C−1)(MEK−AC−2140Z、日産化学株式会社製、粒子径10〜20nm、メチルエチルケトンに分散)111gと共に、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)と3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランの縮合物(大成ファインケミカル株式会社製TSUV−011A)111gを加えた以外は実施例3と同様にしてコーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0092】
(実施例27)
[合成例1]のウレタンアクリレート組成物71.4gと[合成例7]のウレタンアクリレート組成物71.4gと共に、2ヒドロキシエチルアクリレートとイソフォロンジイソシアネートのアダクト体(大成ファインケミカル株式会社製、8UX−145A)50gをビーカーに入れ、1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)を225g添加して固形分40.0%のコーティング剤を調製し、塗工の際に、更に359gのPGMを添加して固形分25.8%のコーティング剤として粘度を調整した以外は、実施例3と同様にしてコーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0093】
(実施例28)
[合成例1]のウレタンアクリレート組成物71.4gと[合成例7]のウレタンアクリレート組成物71.4gと共に、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学株式会社製、ライトアクリレートDCP−A)50gをビーカーに入れ、1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)を225g添加して固形分40.0%のコーティング剤を調製し、塗工の際に、更に359gのPGMを添加して固形分25.8%のコーティング剤として粘度を調整した以外は実施例3と同様にしてコーティング剤を調整した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
上記実施例23〜28の概要を纏めて以下の表に示す。
【表8】
合成例1(A−1)組成物:イソフォロンジイソシアネート(a2−1)を、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例7(B−1)組成物:イソフォロンジイソシアネート(b2−1)を、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
2官能ウレタンアクリレート:8UX-145A、大成ファインケミカル株式会社製
ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート:ライトアクリレートDCP−A、共栄社化学株式会社製)
反応性シリカ微粒子(C−1):MEK−AC−2140Z(粒子径10−20nm、日産化学株式会社製、有効成分45%)
反応性シリカ微粒子(C−2):PGM−AC−2140Y(粒子径10−20nm、日産化学株式会社製、有効成分45%)
反応性シリカ微粒子(C−3):TSUV−011A(大成ファインケミカル(株)製TEOSとKBM−5103(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)の縮合物、有効成分45%)
シリカ微粒子(質量%):組成物の全固形成分の総量(質量)に対するシリカ微粒子の含有率
【0094】
(比較例1)
ウレタンアクリレート(A−1)/ウレタンアクリレート(B−1)の質量比が、90/10になるように、[合成例1]で得られたウレタンアクリレート組成物と[合成例7]で得られたウレタンアクリレート組成物を混合した以外は実施例1と同様にして、コーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様にしてそれぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0095】
(比較例2)
ウレタンアクリレート(A−1)/ウレタンアクリレート(B−1)の質量比が80/20になるように、[合成例1]で得られたウレタンアクリレート組成物と[合成例7]で得られたウレタンアクリレート組成物を混合した以外は実施例1と同様にして、コーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0096】
(比較例3〜6)
[合成例1]で得られたウレタンアクリレート組成物と[比較合成例1]乃至[比較合成例4]の何れかで得られたウレタンアクリレート組成物を混合した以外は実施例1と同様にして、コーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0097】
(比較例7)
[合成例1]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gと[合成例7]で得られたウレタンアクリレート組成物71.4gと共に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業株式会社製A−DPH)50gを混合し、1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)を225g添加して固形分40.0%のコーティング剤を調製し、塗工の際に、更に359gのPGMを添加して固形分25.8%のコーティング剤として粘度を調整した以外は、実施例1と同様にしてコーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0098】
(比較例8)
メタクリロイル基を有するシランカップリング剤で表面処理した反応性シリカ微粒子(C−1)(MEK−AC−2140Z、日産化学株式会社製、粒子径10〜20nm)を44g(有効成分45%)混合し、1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)を128g添加して固形分40.0%のコーティング剤を調製し、塗工の際に、更に379gのPGMを添加して固形分25.8%のコーティング剤として粘度を調整した以外は、実施例3と同様にしてコーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0099】
(比較例9)
メタクリロイル基を有するシランカップリング剤で表面処理した反応性シリカ微粒子(C−1)(MEK−AC−2140Z、日産化学株式会社製、粒子径10〜20nm)を加えずに調製し、1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)を123g添加して固形分40.0%のコーティング剤を調製し、塗工の際に、更に153gのPGMを添加して固形分25.8%のコーティング剤として粘度を調整した以外は実施例3と同様にして、コーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様にしてPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0100】
(比較例10)
[合成例1]で得られたウレタンアクリレート組成物及び[合成例7]で得られたウレタンアクリレート組成物に代え、[合成例5]で得られたウレタンアクリレート組成物142.8gを使用した以外は実施例1と同様にして、コーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0101】
(比較例11)
[合成例1]で得られたウレタンアクリレート組成物及び[合成例7]で得られたウレタンアクリレート組成物に代え、[合成例11]で得られたウレタンアクリレート組成物142.8gを使用した以外は実施例1と同様にして、コーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
以下に比較例1〜11の概要を纏めて示す。
【表9】
合成例1(A−1)組成物:イソフォロンジイソシアネート(a2−1)を、水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例5(A−5)組成物:イソフォロンジイソシアネート(a2−1)を、水酸基価200mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(a1−2)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例7(B−1):イソフォロンジイソシアネート(b2−1)を、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
合成例11(B−5):イソフォロンジイソシアネート(b2−1)を、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(b1−2)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
比較合成例1(D−1):イソフォロンジイソシアネート(d2−1)を、水酸基価63mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
比較合成例2(D−2):へキサメチレンジイソシアネート(d2−2)を、水酸基価63mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
比較合成例3(D−3):シクロヘキシルメタンジイソシアネート(d2−3)を、水酸基価63mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
比較合成例4(D−4):イソフォロンジイソシアネート(d2−1)を、水酸基価95mgKOH/gのジペンタエリスリトールアクリレート(d1−2)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:NKエステルDPH(新中村化学工業(株)製)
反応性シリカ微粒子(C−1):MEK−AC−2140Z(日産化学株式会社製、粒子径10〜20nm、有効成分45%)
光重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(IGM社製Omnirad 184、固形分100質量部に対して5質量部添加)
レベリング剤:フッ素系界面活性剤(ネオス株式会社製、フタージェント602A、有効成分50%)
希釈剤:1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)
シリカ微粒子(質量%):組成物の全固形成分の総量(質量)に対するシリカ微粒子の含有率
【0102】
(比較例12〜15)
[合成例1]で得られたウレタンアクリレート組成物及び[合成例7]で得られたウレタンアクリレート組成物に代え、[比較合成例5]〜[比較合成例8]の何れかで得られたウレタンアクリレート組成物142.8gを使用した以外は実施例1と同様にして、コーティング剤を調製した。得られたコーティング剤を用いて、実施例1と同様に、それぞれPETフィルム上に膜厚5μmの被覆層を作製した。
【0103】
【表10】
比較合成例5(D−5)組成物:水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−1)と、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−4)を一緒に、イソフォロンジイソシアネート(a2−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
比較合成例6(D−6)組成物:水酸基価280mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−1)と、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−3)を一緒に、イソフォロンジイソシアネート(a2−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
比較合成例7(D−7):水酸基価200mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−2)と、水酸基価115mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−4)を一緒に、イソフォロンジイソシアネート(a2−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
比較合成例8(D−8):水酸基価200mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−2)と、水酸基価160mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−3)を一緒に、イソフォロンジイソシアネート(a2−1)と反応させて得られたウレタンアクリレート組成物
反応性シリカ微粒子(C−1):MEK−AC−2140Z(日産化学株式会社製、粒子径10〜20nm、有効成分45%)
光重合開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(IGM社製Omnirad 184、固形分100質量部に対して5質量部添加)
レベリング剤:フッ素系界面活性剤(ネオス株式会社製、フタージェント602A、有効成分50%)
希釈剤:1−メトキシ−2−プロパノール(PGM)
シリカ微粒子(質量%):組成物の全固形成分の総量(質量)に対するシリカ微粒子の含有率
【0104】
<硬化塗膜の物性評価>
各実施例及び比較例で作製した被覆層について、以下の物性評価を行った。
【0105】
[1.硬化塗膜の鉛筆硬度]
JIS K 5600−5−4(1999)に準拠し、上記被覆層を形成した基材の塗工面について、荷重750gで鉛筆引っかき試験を実施し、以下に示す基準で評価した。
4H以上 ◎
3H 〇
2H △
H以下 ×
【0106】
[2.硬化塗膜の屈曲性]
JIS K 5600−5−1に準じて、円筒形マンドレル屈曲試験機を用いて屈曲性の評価を行った。
評価用硬化塗膜を、塗膜面が外側になるように試験棒に巻きつけた際に、割れまたは剥がれが生じる最大の径(整数値、mm)を測定した。値が小さいほど屈曲性の高い塗膜であることを意味する。
6以上-10mm以下 ◎
10以上-14mm以下 〇
15以上-20mm以下 △
20mm以上 ×
【0107】
[3.硬化塗膜の耐SW性]
スチールウール(日本スチールウール社製、ボンスター♯0000)を用い、500gの荷重をかけながら硬化塗膜の表面を10往復させた後、表面の傷つき度合いを目視により観察した。
◎ 外観変化なし
〇 傷数本
△ 傷数10本
× 白化
【0108】
[4.硬化塗膜の透明性]
JIS K 7136(2000)に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH−5000)を用いて、塗膜付基材のヘイズ値を測定した。
◎ 0.1%未満
〇 0.1%以上0.5%未満
△ 0.5%以上1%未満
【0109】
[5.硬化塗膜の耐カール性]
被覆層を形成したフィルムを10cm角にカットし4隅の浮いた合計で評価した。
◎ 0〜10mm未満
〇 10〜20mm未満
△ 20〜30mm未満
× 30mm以上
【0110】
評価結果を以下に纏めて示す。
【表11】
【0111】
表11に示す結果から理解できる通り、高水酸基価(200mgKOH/g又は280mgKOH/g)のペンタエリスリトールトリアクリレートから合成した分子量が比較的高いウレタンアクリレートの組成物(A−1〜A−6)と、水酸基価が115又は160mgKOH/gのペンタエリスリトールトリアクリレートから合成した比較的分子量が低いウレタンアクリレートの組成物(B−1〜B−7)と、反応性シリカ微粒子とを混合した実施例1〜28のコーティング剤で形成した被覆層は、硬化収縮が少なくカールが発生せず、高屈曲性と高硬度を両立し、耐擦傷性も優れる透明な硬化塗膜を形成した。
一方で、高水酸基価(200mgKOH/g又は280mgKOH/g)のペンタエリスリトールトリアクリレートから合成したウレタンアクリレートの質量比が高い比較例1及び2のコーティング剤で形成した被覆層は、硬度が劣る結果となった。また、水酸基価63mgKOH/gのペンタエリスリトールアクリレート(d1−5)から得られたウレタンアクリレートを含む比較例3〜5のコーティング剤で形成した被覆層は、架橋密度が高くなり屈曲性が悪化した。水酸基価が95mgKOH/gのジペンタエリスリトールペンタアクリレート(d1−6)から得られたウレタンアクリレートを含む比較例6のコーティング剤で形成した被覆層、並びにジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含む比較例7のコーティング剤で形成した被覆層は、どちらも架橋密度が高くなり屈曲性が悪化した。反応性シリカ微粒子の量を大幅に減らした比較例8のコーティング剤で形成した被覆層は、透明性が悪化した。反応性シリカ微粒子とウレタンアクリレート系組成物との相溶性が悪化したと推測される。また、反応性シリカ微粒子を含めなかった比較例9のコーティング剤で形成した被覆層では、十分な硬度が得られなかった。高水酸基価(200mgKOH/g)のペンタエリスリトールトリアクリレートから合成したウレタンアクリレート(A−5)のみを有機塗膜成分として含む比較例10のコーティング剤は分子量が比較的高いウレタンアクリレートのみのため架橋密度が低く硬度と耐SW性が劣る結果となった。水酸基価(160mgKOH/g)のペンタエリスリトールトリアクリレートから合成したウレタンアクリレート(B−5)のみを有機塗膜成分として含む比較例11のコーティング剤は分子量が低いウレタンアクリレートのみのため硬化収縮が大きくなり屈曲性及び耐カール性が劣る結果となった。
異なる2つの水酸基価(280mgKOH/g、115mgKOH/g、200mgKOH/g、及び160mgKOH/gの何れか2つ)を有するペンタエリスリトールアクリレートを一緒に、イソフォロンジイソシアネート(a2−1)と反応させて得られたウレタンアクリレートを含む比較例12〜15のコーティング剤で形成した被覆層は、鉛筆硬度、マンドレル屈曲性、耐SW性、耐カール性において満足する結果が得られなかった。理論に拘泥するものではないが、これらのコーティング剤では、異なる水酸基価のペタンエリスリトールを一緒に反応させてウレタンアクリレートを合成しているため、得られるウレタンアクリレートは相対的にペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートから得られるウレタンアクリレートの含有量が低く、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートと多価イソシアネートの繰り返し反応が十分ではないため、分子量が低いウレタンアクリレートのみができてしまい、硬度と屈曲性の両立が困難になったものと推定される。