特許第6845650号(P6845650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川研ファインケミカル株式会社の特許一覧

特許6845650脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物を含有する油剤組成物及びそれを含有する化粧料。
<>
  • 特許6845650-脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物を含有する油剤組成物及びそれを含有する化粧料。 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845650
(24)【登録日】2021年3月2日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物を含有する油剤組成物及びそれを含有する化粧料。
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20210315BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20210315BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20210315BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20210315BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
   A61K8/42
   A61K8/92
   A61Q5/12
   A61Q1/00
   A61Q19/10
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-190906(P2016-190906)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-52860(P2018-52860A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390003001
【氏名又は名称】川研ファインケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】青木 強
【審査官】 ▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−040199(JP,A)
【文献】 特公昭43−012908(JP,B1)
【文献】 特開2016−199479(JP,A)
【文献】 特開2016−124786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(1)で示される脂肪酸アルカノールアミド誘導体と
【化1】

[但し、式(1)中は炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、
は水素原子、乃至は一般式(2)の置換基を示し、
Aは水素原子、メチル基、又は −CHCHO−R基を示し、
は、水素原子又は一般式(2)の置換基を示し、
及びA、R及びRが同時に水素原子である場合は除く。]
【化2】

[但し、式(2)中、Rは炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、
pは0乃至は1の整数を示す。]
(B)常温で液状の油剤からなり、
成分と成分が重量比で5:5〜9:1の間であることを特徴とする油剤組成物
【請求項2】
前記一般式(1)で示される脂肪酸アルカノールアミド誘導体が、一般式(3)で示される脂肪酸アルカノールアミド誘導体である請求項1記載の油剤組成物。
【化3】

[但し、式(3)中、は炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、
は水素原子、乃至は一般式(2)の置換基を示し、
、水素原子又は一般式(2)の置換基を示し、
及びRが同時に水素原子である場合は除き、式(3)1当量に対してR、Rに導入される式(2)の置換基の導入が1.25当量から1.80当量の間である。]
【請求項3】
前記常温で液状の油剤が、炭化水素油、合成エステル油、シリコーン油、植物油から選択される請求項1乃至2記載の油剤組成物。
【請求項4】
請求項1から3のうちいずれか一つに記載の油剤組成物95〜80重量%、及びノニオン界面活性剤5〜20重量%含有する自己乳化型入浴剤
【請求項5】
請求項1から3のうちいずれか一つに記載の油剤組成物2.0〜10.0重量%、ノニオン界面活性剤1.0〜10.0重量%、及び精製水(残分)を含有する乳液化粧料
【請求項6】
請求項1から3のうちいずれか一つに記載の油剤組成物0.1〜5.0重量%、カチオン性界面活性剤0.5〜10重量%及び精製水(残分)を含有するヘアコンディショナー化粧料
【請求項7】
請求項1から3のうちいずれか一つに記載の油剤組成物0.5〜10.0重量%、ノニオン界面活性剤0.5〜10.0重量%及び精製水(残分)を含有する化粧水化粧料
【請求項8】
請求項1から3のうちいずれか一つに記載の油剤組成物2.0〜5.0重量%、室温で固形状油剤1.0〜15.0重量%、ノニオン界面活性剤0.5〜15重量%及び精製水(残分)を含有するクリーム化粧料
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、しっとりとした感触を与え、使用感が良好であり、安定性に優れる化粧料を得ることに最適化された油剤組成物及びそれを利用した化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年皮膚コンディショニングを目的とする乳液、クリーム等の化粧料には、皮膚からの水分蒸散を抑制して水分を保つ目的で多価アルコールのような湿潤剤とともに水分蒸散の抑制のために炭化水素油、エステル油等が配合されている。また、自己乳型入浴剤には、皮膚に対するエモリエント剤として、風呂湯を乳白濁させる目的で液状油剤が配合されており、毛髪に対して使用するコンディショナー類にはコンディショニング剤として油剤が配合されている。
【0003】
これらの油剤としては、室温で液状であることが製剤安定性の面から要求され、グレープシード油やアーモンド油のような高度不飽和トリグリセライドや炭化水素油、合成エステル油等が幅広く使われてきた。
【0004】
油剤の抱水力を上げる目的で、ラノリン誘導体の油剤への配合や、安全性が高い油性原料として、アミノ酸系誘導体の開発も開示され(特許文献1,2)、脂肪酸ステロールエステルとステロールを特定の割合で混合した皮膚や頭皮・頭髪に用いる化粧料に抱水性を付与する組成物に関する技術が開示されている。(特許文献3)
【0005】
また、脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物に関しては、毛髪や皮膚に対して親和性が高い多鎖型高極性油剤をとして検討されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭54−12908号公報
【特許文献2】特公昭56−12609号公報
【特許文献3】特開2015−040199号公報
【特許文献4】特願2015−078779号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の油剤は塗布後のしっとり感が弱い、油っぽさを感じるものが多い。また油剤成分のため水溶性成分との分離を生じやすい問題を持つことがあった。即ち、現在に至るまで、製品の使用感/安定性を共に充分満足できる油剤組成物及び油剤を含有する化粧料組成物は開発されていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を行なったところ、液状油剤に脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物を配合した油剤組成物が、皮膚塗布後に油っぽさを抑制しつつ、しっとりとした感触を与えることが出来、またその油剤組成物を含有する化粧料は安定性が向上することを見出した。
即ち本発明は、
【0009】
(A)一般式(1)の構造で示される脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物及び
【化1】
[但し、式(1)中 Rは炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良い
は水素原子、乃至は一般式(2)の置換基を示し、
Aは水素原子、メチル基、又は −CHCHO−R基を示し、
は、水素原子又は一般式(2)の置換基を示し、
及びA、R及びRが同時に水素原子である場合は除く。]
【化2】
[但し、式(2)中 Rは炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良い
pは0乃至は1の整数を示す。]
(B)常温で液状の油剤からなり
成分Bと成分Aが重量比で5:5〜9:1の間であることを特徴とする油剤組成物に関する
【0010】
脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物が、一般式(3)で示される脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物であることが好ましく、
【化3】
[但し、Rは炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良い
は水素原子、乃至は一般式(2)の置換基を示し、
は、水素原子又は一般式(2)の置換基を示し、
及びRが同時に水素原子である場合は除き、式(3)1当量に対してR、R
に導入される式(2)の置換基の導入が1.25当量から1.80当量の間である。]
【0011】
さらに、常温で液状の油剤が、炭化水素油、シリコーン油、合成エステル油、植物油から選択される一種又は二種以上から選ばれることがより好ましい。
また、前述本発明油剤組成物を含有する自己乳化型入浴剤、乳液化粧料、ヘアコンディショナー化粧料、化粧水化粧料、クリーム化粧料に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、塗布後に油っぽさを抑制しつつ、しっとりとした感触を与えることが出来る油剤組成物、及びその油剤組成物を含有する安定性が向上した化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は表3で試作した乳液のエマルジョンの写真
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の油剤組成物の必須成分(A)の脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物に関して述べる。
本発明の脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物は、一般式(1)の構造で示される化合物混合物からなる
【化4】
[但し、式(1)中 Rは炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良い
は水素原子、乃至は一般式(2)の置換基を示し、
Aは水素原子、メチル基、又は −CHCHO−R基を示し、
は、水素原子又は一般式(2)の置換基を示し、
及びA、R及びRが同時に水素原子である場合は除く。]
【化5】
[但し、式(2)中 Rは炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良い
pは0乃至は1の整数を示す。]
【0015】
一般式(1)の混合物は、脂肪酸アルカノールアミドとアシルアミノ酸を加熱脱水させることで容易に得ることができる。使用する脂肪酸アルカノールアミドとアシルアミノ酸との組み合わせとしては、
脂肪酸ジエタノールアミドとアシルメチルβアラニン、
脂肪酸モノエタノールアミドとアシルメチルβアラニン、
脂肪酸メチルエタノールアミドとアシルメチルβアラニン、
脂肪酸ジエタノールアミドとアシルヒドロキシエチルβアラニン、
脂肪酸モノエタノールアミドとアシルヒドロキシエチルβアラニン、
脂肪酸メチルエタノールアミドとアシルヒドロキシエチルβアラニン、
脂肪酸ジエタノールアミドとアシルメチルグリシン、
脂肪酸モノエタノールアミドとアシルメチルグリシン、
脂肪酸メチルエタノールアミドとアシルメチルグリシンの組み合わせが例示される。
【0016】
脂肪酸アルカノールアミドの当量以上のN−アシルアミノ酸を加熱脱水させることにより一般式(1)で示される脂肪酸アルカノールアミド誘導体を得ることができる。
脂肪酸アルカノールアミドとしては、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、モディファイドヤシ油脂肪ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ステアリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ラウリン酸N−メチルエタノールアミドが挙げられ、より好ましい化合物はジエタノールアミン誘導体でありラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミドが挙げられ、特にラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドが好ましい。
【0017】
一般式(1)の構造で示される脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物の中でも、原料に脂肪酸ジエタノールアミドとアシルメチルグリシン乃至はアシルメチルβアラニンを脂肪酸アルカノールアミド1当量に対して、アシルメチルグリシン乃至はアシルメチルβアラニンを1.25当量から1.80当量反応させて得られる一般式(3)で示される脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物混合物は、より優れた使用感が得られるのでより好ましい。
【化6】
[但し、Rは炭素数7〜21の炭化水素鎖を示し、それらの混合物でも良い
は水素原子、乃至は一般式(2)の置換基を示し、
は、水素原子又は一般式(2)の置換基を示し、
及びRが同時に水素原子である場合は除き、式(3)1当量に対してR、R
に導入される式(2)の置換基の導入が1.25当量から1.80当量の間である。]
【0018】
次に本発明の油剤組成物の必須成分(B)室温で液状の油剤に関して述べる。
好適には、炭化水素油、シリコーン油、合成エステル油、液状植物油等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、イソパラフィン、セレシン等が使用できる。から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなることが好ましい。
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン等が挙げられる。
合成エステル油の好適例としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等が挙げられる。
液状植物油としては、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、グレープシード油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、大豆油、落花生油が好適例として挙げられる。
【0019】
本発明の油剤組成物における、常温で液状の油剤の成分Bと脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物からなる成分Aは重量比で5:5〜9:1の間であることが好ましい。
成分Bと成分Aの混合比において、9:1を下回って成分Aの配合量が少なかった場合は、成分Aの添加効果(抱水性、油剤の皮膚への親和性、乳化時の液滴の微小化、可溶化時安定性等)が改善されず好ましくなく、成分Aが5:5を上回って配合された場合は、液状油剤に対する成分Aの添加効果は持続するが、経済的でない。
【0020】
本発明の油剤組成物の利用として、自己乳化型入浴剤の剤形である化粧料に関して述べる。
自己乳化型入浴剤とは、液状油剤にHLB8〜11のノニオン界面活性剤を配合する外観が均一液体の油剤組成物である。多量の水(温水)に添加すると、成分中のノニオン界面活性剤により油剤組成物が乳化され、水(温水)を白濁させるタイプの化粧料である。
油剤組成物の要求HLBによりノニオン界面活性剤の混合HLBを対応させる必要がある。
【0021】
本発明油剤組成物の要求HLBは配合組成により異なるが、通常8〜11の間にあり、ノニオン界面活性剤を1種又は2種以上用いてこれに適合させる。自己乳化型入浴剤における各成分の配合量は、本発明油剤組成物95〜80重量%、ノニオン界面活性剤5〜20重量%含有することが好ましい。ノニオン界面活性剤が20重量%を超えて配合された場合は、油剤の一部が可溶化されるなどして水(温水)に投入した場合、白色度が不足するなどの問題があり好ましくない。
【0022】
本発明の油剤組成物を自己乳化型入浴剤に配合することにより、水(温水)投入後の白濁が翌朝になっても分離せず、風呂上がりのしっとり感が上昇するなどの効果を発現する。
使用するノニオン界面活性剤としては、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル類が挙げられる。
【0023】
本発明の油剤組成物の利用として、乳液化粧料の剤形である化粧料に関して述べる。
乳液は油相成分即ち2〜10重量%の本発明油剤に対して、ノニオン界面活性剤1〜10重量%を加え加熱可溶化し、水相成分即ちポリオールを含有して良い精製水(残分)を加熱し、攪拌化水相成分に油相成分を混合することによって製造されるO/W型のエマルジョンからなる化粧料である。
【0024】
本発明の油剤組成物を乳液化粧料に配合することにより、乳液自体の乳化安定性が向上し、肌へのなじみが良く、しっとり感が上昇するなどの効果を発現する。
乳液化粧料に使用されるノニオン界面活性剤の好適例としては、グリセリンエーテル及びそのアルキレンオキシド付加物や高級アルコールのアルキレンオキシド付加物などのエーテル型界面活性剤、グリセリンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエステル型界面活性剤、ソルビタンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエーテルエステル型界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型界面活性剤、アルキルグルコシド類、硬化ヒマシ油ピログルタミン酸ジエステル及びそのエチレンオキシド付加物、ならびに脂肪酸アルカノールアミドなどの含窒素型の非イオン性界面活性剤、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマーなどの高分子乳化剤が挙げられ、特に好ましいノニオン活性剤として、グリセリンエーテル及びそのアルキレンオキシド付加物や高級アルコールのアルキレンオキシド付加物などのエーテル型界面活性剤、グリセリンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエステル型界面活性剤、ソルビタンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエーテルエステル型界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0025】
本発明の油剤組成物の利用として、ヘアコンディショナー化粧料の剤形である化粧料に関して述べる。
ヘアコンディショナー化粧料は、油相成分即ち0.1〜5.0重量%の本発明油剤に対して、必須成分であるカチオン界面活性剤0.5〜10重量%を加え加熱可溶化し、水相成分即ちポリオールを含有して良い精製水(残分)を加熱し、攪拌化水相成分に油相成分を混合することによって製造されるO/W型のエマルジョンからなる液状化粧料である。
【0026】
本発明の油剤組成物をヘアコンディショナー化粧料に配合することにより、ヘアコンディショナー自体の乳化安定性が向上し、毛髪へのなじみが良く、しっとり感が上昇するなどの効果を発現する。
へアコンディショナー化粧料に使用されるカチオン界面活性剤の好適例としては、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、グァーヒドロキシプロピルトリモ二ウムクロリド等が挙げられる。
【0027】
本発明の油剤組成物の利用として、化粧水化粧料の剤形である化粧料に関して述べる。
化粧水化粧料は、油相成分即ち0.5〜10重量%の本発明油剤に対して、ノニオン界面活性剤0.5〜10重量%を加え、ポリオールを含有して良い精製水(残分)を加熱した透明溶液からなる化粧料である。
本発明の油剤組成物を化粧料に配合することにより、化粧水自体の安定性が向上し、肌へのなじみが良く、しっとり感が上昇するなどの効果を発現する。
【0028】
化粧水化粧料に使用されるノニオン界面活性剤の好適例としては、グリセリンエーテル及びそのアルキレンオキシド付加物や高級アルコールのアルキレンオキシド付加物などのエーテル型界面活性剤、グリセリンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエステル型界面活性剤、ソルビタンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエーテルエステル型界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型界面活性剤、アルキルグルコシド類、硬化ヒマシ油ピログルタミン酸ジエステル及びそのエチレンオキシド付加物、ならびに脂肪酸アルカノールアミドなどの含窒素型の非イオン性界面活性剤が挙げられ、特に好ましいノニオン活性剤として、グリセリンエーテル及びそのアルキレンオキシド付加物や高級アルコールのアルキレンオキシド付加物などのエーテル型界面活性剤、グリセリンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエステル型界面活性剤、ソルビタンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエーテルエステル型界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油等のヒマシ油誘導体等が挙げられる。
【0029】
本発明の油剤組成物の利用として、クリーム化粧料の剤形である化粧料に関して述べる。
クリーム化粧料は油相成分即ち0.1〜10.0重量%の本発明油剤に対して、必須成分として室温で固形状油剤1〜15重量%、ノニオン界面活性剤0.5〜15重量%加え加熱可溶化し、水相成分即ちポリオールを含有して良い精製水(残分)を加熱し、攪拌下水相成分に油相成分を混合することによって製造される。乳化の形式は、ノニオン界面活性剤の選択によりO/WからW/Oまで調整できるが、室温でゲル・ペースト状の外観を持つ特徴がある。
本発明油剤組成物を使用したクリーム化粧料を作成するのに必須成分となる室温で固形状油剤としては、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸等が好適例として挙げられる。
【0030】
本発明の油剤組成物をクリーム化粧料に配合することにより、クリーム自体の乳化安定性が向上し、肌へのなじみが良く、しっとり感が上昇するなどの効果を発現する。
クリーム化粧料に使用されるノニオン界面活性剤の好適例としては、グリセリンエーテル及びそのアルキレンオキシド付加物や高級アルコールのアルキレンオキシド付加物などのエーテル型界面活性剤、グリセリンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエステル型界面活性剤、ソルビタンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエーテルエステル型界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリンエステル、脂肪酸ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル型界面活性剤、アルキルグルコシド類、硬化ヒマシ油ピログルタミン酸ジエステル及びそのエチレンオキシド付加物、ならびに脂肪酸アルカノールアミドなどの含窒素型の非イオン性界面活性剤、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマーなどの高分子乳化剤が挙げられ特に好ましいノニオン活性剤として、グリセリンエーテル及びそのアルキレンオキシド付加物や高級アルコールのアルキレンオキシド付加物などのエーテル型界面活性剤、グリセリンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエステル型界面活性剤、ソルビタンエステル及びそのアルキレンオキシド付加物などのエーテルエステル型界面活性剤、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステルが挙げられる。
【実施例】
【0031】
本発明の効果に関して以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
合成例1〜15に従って、各種本発明の必須成分である脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物を製造し、それらをサンプルとして評価試験を実施した。
【0032】
合成例1
フラスコ中でヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 28.65g(95.3mmol)とN-ヤシ油脂肪酸−N−メチル−β−アラニン 42.69g(143mmol, 1.5equiv.)とを130℃に加熱し、減圧下で7時間脱水反応させることでエステル化反応を行なった。理論量の水が留出し、このエステル化物であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドのO,O‘−ビス(N−ヤシ油脂肪酸―N−メチル-β-アラニン)エステル体とO−(N−ヤシ油脂肪酸―N−メチル-β-アラニン)エステル体の混合物61.64gを得た。
1H NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト:0.9ppm (7.5H m), 1.3ppm (42H m), 1.6ppm (5H m) , 2.28〜2.30ppm (5H t), 2.7ppm (2.5H t), 3.05ppm (4.5H t), 3.6ppm (7.5H m), 3.8ppm (1H m) , 4.2ppm (4H t)
【0033】
合成例2
フラスコ中でヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 90.00g(300mmol)とN-ヤシ油脂肪酸−N−メチル−β−アラニン 93.90g(315mmol, 1.05equiv.)を130℃に加熱し、減圧下で7時間脱水反応させることでエステル化反応を行なった。理論量の水が留出し、モノエステル化物であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドのO−(N−ヤシ油脂肪酸―N−メチル-β-アラニン)エステル体165.65gを得た。
1H NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト:0.9ppm (6H m), 1.3ppm (33H m), 1.6ppm (4H m) , 2.28〜2.30ppm (4H t), 2.6-2.7ppm (2H t), 3.05ppm (2H t), 3.6ppm (6H m), 3.8ppm (2H m), 4.2ppm (2H t)
【0034】
合成例3
フラスコ中でヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 90.00g(300mmol)とN-ヤシ油脂肪酸−N−メチル−β−アラニン 183.36g(615mmol, 2.05equiv.)を130℃に加熱し、減圧下で12時間脱水反応させることでエステル化反応を行なった。理論量の水が留出し、このジエステル化物であるヤシ油脂肪酸時エタノールアミドのO,O‘−ビス(N−ヤシ油脂肪酸―N−メチル-β-アラニン)エステル体256.70gを得た。
1H NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト:0.9ppm (9H m), 1.3ppm (55H m), 1.6ppm (6H m) , 2.25〜2.35ppm (6H t), 2.6-2.7ppm (4H t), 3.05ppm (8H t), 3.6ppm (8H m), 4.2ppm (4H t).
【0035】
合成例4(LDE-ALA 1/1.5)
フラスコ中でラウリン酸ジエタノールアミド(川研ファインケミカル株式会社アミゾールLDE−G)30.05g(100mmol)とN−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン(川研ファインケミカル株式会社アラノンALA)42.81g(150mmol, 1.50equiv.)とを2kPaに減圧し、125〜130℃で9時間加熱した。理論量の水が留出し、この縮合物であるラウリン酸ジエタノールアミドのO,O’−ビス(N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン)エステル体とO−(N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン)エステル体の混合物63.41gを取り上げた。放冷後、生成物の構造を1H-NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト: 0.9ppm (7.5H, m), 1.3ppm (41H, m), 1.6ppm (5H, m), 2.3-2.4ppm (5H, m), 2.6-2.7ppm (2.5H, m), 2.9-3.1ppm (3H, m), 3.6ppm (7.5H, m), 4.2ppm(2H m)
【0036】
合成例5(LME+ALA)
フラスコ中でラウリン酸モノエタノールアミド(川研ファインケミカル株式会社アミゾールLME)24.35g(100mmol)とN−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン29.97g(105mmol, 1.05equiv.)とを2kPaに減圧し、130℃で6時間加熱した。理論量の水が留出し、この縮合物であるラウリン酸モノエタノールアミドのO−(N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン)エステル体51.5gを取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト: 0.9ppm (6H, m), 1.3ppm (32H, m), 1.5ppm (4H. m),2.1ppm (2H, t), 2.3ppm (2H, t), 2.7ppm (2H, t), 3.3ppm (2H, t), 3.5ppm (3H, s),3.6ppm (2H, t), 4.1ppm (2H, t).
【0037】
合成例6(ラウリン酸−N-メチルエタノールアミド + ALA)
フラスコ中でラウリン酸クロライドとメチルエタノールアミンから誘導したラウリン酸メチルエタノールアミド25.74g(100mmol)とN−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン28.55g(100mmol, 1.0equiv.)とを2kPaに減圧し、130℃で7時間加熱した。理論量の水が留出し、この縮合物であるラウリン酸メチルエタノールアミドのO−(N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン)エステル体48.31gを取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト: 0.9ppm (6H, m), 1.3ppm (32H, m), 1.5ppm (4H, m),2.3ppm (4H, m), 2.7ppm (2H, t), 3.5ppm (8H, m), 3.6ppm (2H, t), 4.5ppm (2H, t).
【0038】
合成例7 (LDE+SLA=1:2)
フラスコ中でラウリン酸ジエタノールアミド28.74g(100mmol)とN−ラウロイル−N−メチル−グリシン(川研ファインケミカル株式会社ソイポンSLA)54.22g(200mmol, 2.0equiv.)とを2kPaに減圧し、130℃で10時間加熱した。理論量の水が留出し、この縮合物であるラウリン酸ジエタノールアミドのO,O’−ビス(N−ラウロイル−N−メチル−グリシン)エステル体68.54gを取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト: 0.9ppm (9H, m), 1.3ppm (48H, m), 1.5ppm (6H, m),2.3ppm (6H, m), 3.5ppm (8H, m), 4.5ppm (4H, m), 4.9ppm (4H, s).
【0039】
合成例8(LME+SLA=1/1)
フラスコ中でラウリン酸モノエタノールアミド24.34g(100mmol)とN−ラウロイル−N−メチル−グリシン27.15g(100mmol, 1.0equiv.)とを2kPaに減圧し、120℃で5時間加熱した。理論量の水が留出し、この縮合物であるラウリン酸モノエタノールアミドのO−(N−ラウロイル−N−メチル−グリシン)エステル体46.68gを取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト:0.9ppm (6H, m), 1.3ppm (32H, m), 1.5ppm (4H, m),2.1ppm (2H, t), 2.3ppm (2H, t), 3.3ppm (2H, t), 3.5ppm (3H, s), 4.1ppm (2H, t),4.9ppm (2H, s).
【0040】
合成例9(CDE+ALA=1/1.5)
フラスコ中でヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド30.05g(100mmol)とN−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン42.80g(150mmol, 1.5equiv.)とを2kPaに減圧し、135℃で7時間加熱した。理論量の水が留出し、エステル化物であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドのO,O’−ビス(N−ラウロイル−N−メチルβアラニン)エステル体とO−(N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン)エステル体の混合物64.53gを取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト: 0.9ppm (7.5H, m), 1.3ppm (42H, m), 1.6ppm (5H, m),2.3ppm (5H, m), 3.5ppm (10H, m), 4.5ppm (5H, m), 4.9ppm (5H, s).
【0041】
合成例10(CDE+SLA=1/1.5)
フラスコ中でヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド30.05g(100mmol)とN−ラウロイル−N−メチル−グリシン40.70g(150mmol, 1.5equiv.)とを2kPaに減圧し、130℃で9時間加熱した。理論量の水が留出し、この縮合物であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドのO,O’−ビス(N−ラウロイル−N−メチル−グリシン)エステル体とO −(N−ラウロイル−N−メチル−グリシン)エステル体の混合物65.15gを取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト: 0.9ppm (7.5H, m), 1.3ppm (41H, m), 1.6ppm (5H, m),2.3ppm (5H, m), 3.5ppm (10H, m), 4.5ppm (5H, m), 4.9ppm (5H, s).
【0042】
合成例11(CDE+SCA=1/1.5)
フラスコ中でヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド30.05g(100mmol)とN−ヤシ油脂肪酸−N−メチル−グリシン42.62g(150mmol, 1.5equiv.)とを2kPaに減圧し、130℃で9時間加熱した。理論量の水が留出し、この縮合物であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドのO,O’−ビス(N−ヤシ油脂肪酸−N−メチル−グリシン)エステル体とO−(N−ヤシ油脂肪酸−N−メチル−グリシン)エステル体の混合物63.70gを取り上げた。
1H-NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト: 0.9ppm (7.5H, m), 1.3ppm (43H, m), 1.6ppm (5H, m),2.3ppm (5H, m), 3.5ppm (10H, m), 4.5ppm (5H, m), 4.9ppm (5H, s).
【0043】
合成例12(2.25鎖ACA1.25当量)
フラスコ中でヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 30.50g(100mmol)とN-ヤシ油脂肪酸−N−メチル−β−アラニン 37.29g(125mmol, 1.25equiv.)とを130℃に加熱し、減圧下で5時間脱水反応させることでエステル化反応を行なった。理論量の水が留出し、このエステル化物であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドのO,O‘−ビス(N−ヤシ油脂肪酸―N−メチル-β-アラニン)エステル体とO−(N−ヤシ油脂肪酸―N−メチル-β-アラニン)エステル体の混合物60.25gを得た。
1H NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト:0.9ppm (6.7H m), 1.3ppm (40H m), 1.6ppm (4.5H m), 2.28〜2.30ppm (4.5H t), 2.7ppm (2H t), 3.05ppm (3.7H t),3.6ppm (6.5H m), 3.8ppm (6.5H m), 4.2ppm (4H t).
【0044】
合成例13(2.8鎖 ACA1.8当量)
フラスコ中でヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 45.81g(152mmol)とN-ヤシ油脂肪酸−N−メチル−β−アラニン 81.68g(274mmol, 1.8equiv.)を130℃に加熱し、減圧下で10時間脱水反応させることでエステル化反応を行なった。理論量の水が留出し、エステル化物であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドのO,O’−ビス(N−ヤシ油脂肪酸−N−メチル-β-アラニン)エステル体とO−(N−ヤシ油脂肪酸−N−メチル-β-アラニン)エステル体の混合物115.13gを得た。
1H NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト:0.9ppm (8.1H m), 1.3ppm (50H m), 1.6ppm (5.5H m), 2.28〜2.30ppm (5.5H t), 2.6-2.7ppm (3.5H t), 3.05ppm (5H t), 3.6ppm (7.5H m), 3.8ppm (6.5H m), 4.2ppm (4H t)
【0045】
合成例14(1.9鎖ACA0.9当量)
フラスコ中でヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 30.50g(100mmol)とN-ヤシ油脂肪酸−N−メチル−β−アラニン26.82g(90mmol, 0.9equiv.)とを130℃に加熱し、減圧下で5時間脱水反応させることでエステル化反応を行なった。理論量の水が留出し、このエステル化物であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドのO,O‘−ビス(N−ヤシ油脂肪酸―N−メチル-β-アラニン)エステル体とO−(N−ヤシ油脂肪酸―N−メチル-β-アラニン)エステル体の混合物52.98gを得た。
1H NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト:0.9ppm (5.8H m), 1.3ppm (33H m), 1.6ppm (3.5H m), 2.28〜2.30ppm (3.8H t), 2.7ppm (1.8H t), 3.05ppm (2.7H t), 3.6ppm (5.5H m), 3.8ppm (5.8H m), 4.2ppm (4H t)
【0046】
合成例15(3鎖 ACA2.1当量)
フラスコ中でヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 30.51g(100mmol)とN-ヤシ油脂肪酸−N−メチル−β−アラニン 62.63g(210mmol,2.1equiv.)を130℃に加熱し、減圧下で10時間脱水反応させることでエステル化反応を行なった。理論量の水が留出し、エステル化物であるヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドのO,O’−ビス(N−ヤシ油脂肪酸-N−メチル-β-アラニン)エステル体とN−ヤシ油脂肪酸−N−メチル−β−アラニンの混合物91gを得た。この生成物には、白色の不溶物が析出していた。
1H NMRより構造を決定した。
1H NMR ケミカルシフト:0.9ppm (9H m), 1.3ppm (56H m), 1.6ppm (6H m), 2.25〜2.35ppm (6H t), 2.6-2.7ppm (4H t), 3.05ppm (8H t), 3.6ppm (8H m), 4.2ppm (4H t)
【0047】
1.油剤の抱水量(抱水性%)測定
本発明必須成分である脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物である合成例1〜15で作成した各々の性能を比較するため、抱水量の測定を行った。
比較試験例としてラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルサルコシンイソプロピル、トリエチルヘキサノイン、エチルヘキサン酸セチル、流動パラフィンを使用した。
表1に従い油剤と水とをバイアル瓶に量り取った。表1の各油剤の項目に示した値は各油剤のg数を示している。マグネチックスターラーを用いて室温条件で10分撹拌した。撹拌を止めて静置し、24時間経過後に下層の水をピペットで除去した。残った油剤の重量の増加分を抱水量として表1に記載した。
抱水量は、各油剤の水との馴染みやすさを示す指標となる。抱水量(抱水性%)の大きな油剤は、乳化されやすい性質を有し、乳化安定性の向上や可溶化時の安定性向上が期待できる。
結果を表1に示した。この結果、本発明必須成分である脂肪酸アルカノールアミド誘導体混合物を含有する油剤組成物は通常使用される比較試験例で用いた油剤よりも高い抱水量(抱水性%)を示すことが分かった。
【0048】
【表1】
【0049】
表2に記載の実施例14〜28及び比較例8、9の処方に従い乳液を作成した。表記の数値は重量%である。
すなわち、水相成分を80℃の温浴上で溶解させ、撹拌させながら油相成分を添加した。
2相をよく混和した後に室温まで冷却して乳液を得た。
得られた乳液を50℃にて10日間保存して分離の有無の確認を行なった。表2の50℃保存安定性の項目には分離が確認された日数を示している。
【0050】
【表2】

この結果、実施例14〜28に示した乳液は、比較例8及び比較例9の乳液と比較して長い日数分離が見られず乳化安定性が高いことを示された。合成例1〜15の脂肪酸アルカノールアミド誘導体が乳化安定性を向上させる効果を持つことが判明した。
【0051】
表3に記載の実施例29〜31及び比較例10〜12の処方に従い乳液を作成した。表3中の表記は重量%である。
すなわち、水相成分を80℃の温浴上で溶解させ、撹拌させながら油相成分を添加した。
2相をよく混和した後に室温まで冷却して乳液を得た。
得られた乳液の光学顕微鏡写真を図1に示す。写真の下のスケールバーは、あらかじめ撮影したBurker-Turk血球盤の目盛を利用して計測したもので50μmを示す。
比較例10〜12では油相の液滴が確認されたが実施例30と実施例31では光学顕微鏡では液滴を確認できず、実施例29は微細な液滴が光学顕微鏡で確認できた。
更に実施例29〜31及び比較例10〜11の液滴サイズを測定して表3の液滴サイズに示した。
比較例10〜11の液滴サイズは、顕微鏡画像の液滴から5点のサイズを計測した平均値を、実施例29〜31は、動的光散乱法(HORIBA社製 LB-550)により測定した中央値を液滴サイズとして示した。
この結果、合成例1の化合物を添加した実施例29〜31の液滴サイズが数分の1から1000分の1にまで微小化されていることが分かった。
【0052】
実施例29〜31及び比較例10〜12の乳液を用いて塗布時の使用感の評価を実施した。乳液の使用感の評価方法について述べる。
[伸びの良さ]
専門パネル12名により、各試料について、適量を手の甲に塗布した際の伸びの良さについて使用テストを行ない、アンケートの結果から下記の基準に従って判定した。
(評価基準)
◎:12名中、10名以上が良好と回答した
○:12名中、7〜9名が良好と回答した
△:12名中、4〜6名が良好と回答した
×:12名中、3名以下が良好と回答した
【0053】
[馴染みやすさ]
専門パネル12名により、各試料について、適量を手の甲に塗布した際の馴染みやすさについて使用テストを行ない、アンケートの結果から下記の基準に従って判定した。
(評価基準)
◎:12名中、10名以上が良好と回答した
○:12名中、7〜9名が良好と回答した
△:12名中、4〜6名が良好と回答した
×:12名中、3名以下が良好と回答した
【0054】
[ベタツキ]
専門パネル12名により、各試料について、適量を手の甲に塗布した後のベタツキについて使用テストを行ない、アンケートの結果から下記の基準に従って判定した。
(評価基準)
◎:12名中、10名以上がベタツキが無く良好と回答した
○:12名中、7〜9名がベタツキが無く良好と回答した
△:12名中、4〜6名がベタツキが無く良好と回答した
×:12名中、3名以下がベタツキが無く良好と回答した
【0055】
[しっとり感]
専門パネル12名により、各試料について、適量を手の甲に塗布した後のしっとり感について使用テストを行ない、アンケートの結果から下記の基準に従って判定した。
(評価基準)
◎:12名中、10名以上がしっとり感があると回答した
○:12名中、7〜9名がしっとり感があると回答した
△:12名中、4〜6名がしっとり感があると回答した
×:12名中、3名以下がしっとり感があると回答した
【0056】
【表3】
本発明油剤組成物を含む乳液化粧料である実施例29〜31の使用感は、比較例10〜11と比較して全ての測定項目で優れた評価を得た。
【0057】
本発明油剤組成物を配合した自己乳化型入浴剤を表4に従って配合した。表4の表記は重量%である。
専門パネル12名により、40度に保温された風呂湯浴槽中の180Lの湯に60mLの各入浴剤を添加、分散させ、その後入浴させた。入浴後の肌のしっとり感について、以下の基準で採点した。
また、乳化安定性に関しては、翌朝の風呂湯(室温)の状態を観察してもらった。実施例32の入浴剤は芳町も安定な白濁状態であったが、比較例13の入浴剤は7例/12例で墨流しのような油浮きが観察された。
【0058】
(評価基準)
◎:12名中、10名以上がしっとり感があると回答した
○:12名中、7〜9名がしっとり感があると回答した
△:12名中、4〜6名がしっとり感があると回答した
×:12名中、3名以下がしっとり感があると回答した
【0059】
【表4】
本発明の油剤組成物を配合した入浴剤の方が優れた使用感を有し、乳化状態が安定であることが示された。
【0060】
本発明油剤組成物を配合したヘアコンディショナー化粧料を表5に従って配合した。表5の表記は重量%である。
各組成物について、パネラー12名により使用試験を行い、ヘアリンスのすすぎ時の指どおり、乾燥後の髪のしっとり感、乾燥後の髪の光沢について官能評価を行った。
【0061】
すすぎ時の指通り
(評価基準)
◎:12名中、10名以上が、すすぎ時の指通りが良好と回答した。
○:12名中、7〜9名が、すすぎ時の指通りが良好と回答した。
△:12名中、4〜6名が、すすぎ時の指通りが良好と回答した。
×:12名中、3名以下が、すすぎ時の指通りが良好と回答した。
【0062】
乾燥後の髪のしっとり感
(評価基準)
◎:12名中、10名以上が、乾燥後しっとり感があると回答した。
○:12名中、7〜9名が、乾燥後しっとり感があると回答した。
△:12名中、4〜6名が、乾燥後しっとり感があると回答した。
×:12名中、3名以下が、乾燥後しっとり感があると回答した。
【0063】
乾燥後の髪の光沢
(評価基準)
◎:12名中、10名以上が、光沢が良いと回答した。
○:12名中、7〜9名が、光沢が良いと回答した。
△:12名中、4〜6名が、光沢が良いと回答した。
×:12名中、3名以下が光沢が、良いと回答した。
【0064】
【表5】
【0065】
本発明油剤組成物を配合したクリーム化粧料を表6に従って配合した。表6の表記は重量%である。
各組成物について、パネラー12名により使用試験を行い、乳液の評価と同等の方法で性能を評価した。
【表6】
本発明の油剤組成物を含有する実施例34は、優れた伸び性をもった。使用しやすいクリームを得ることができ、使用後のしっとり感に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明により、皮膚にしっとりとした感触を与え、使用感が良好であり、安定性に優れる化粧料を得ることに最適化された油剤組成物及びそれを利用した化粧料を提供することができる。

図1