特許第6845706号(P6845706)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845706
(24)【登録日】2021年3月2日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】セラミックヒータ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/48 20060101AFI20210315BHJP
【FI】
   H05B3/48
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-24995(P2017-24995)
(22)【出願日】2017年2月14日
(65)【公開番号】特開2018-133167(P2018-133167A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2019年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100110249
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116090
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 和彦
(72)【発明者】
【氏名】牧野 友亮
(72)【発明者】
【氏名】中西 直也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 敦俊
【審査官】 河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/163558(WO,A1)
【文献】 実開平04−115797(JP,U)
【文献】 特開2007−087740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00−3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱抵抗体が内部に埋設された、軸線方向に延びる筒状のセラミック基体と、
接合部材を介して前記セラミック基体の外周に接合され、環状又は有端環状のセラミック製のフランジと、を備えるセラミックヒータであって、
前記接合部材に少なくとも一部が埋設され、前記セラミック基体の外周面と、前記フランジの内周面との間の空間に配置された環状又は有端環状の金属部材を有することを特徴とするセラミックヒータ。
【請求項2】
前記金属部材は径方向外側に広がる複数の突起を有し、該突起が前記フランジの内周面に当接している請求項1に記載のセラミックヒータ。
【請求項3】
前記フランジの一方の面から内周面に向かい、径方向内側に向かって窄まる先細りのテーパ面を有し、前記金属部材が前記テーパ面及び前記セラミック基体の外周に当接している請求項1に記載のセラミックヒータ。
【請求項4】
前記接合部材は、前記テーパ面の反対側にて前記セラミック基体と前記フランジと前記金属部材との間に介在してなる請求項3に記載のセラミックヒータ。
【請求項5】
前記金属部材は、全周の3/4以上の円弧をなす有端環状である請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミックヒータ。
【請求項6】
前記金属部材の線膨張係数が前記フランジの線膨張係数より大きい請求項1〜5のいずれか一項に記載のセラミックヒータ。
【請求項7】
前記接合部材は、ガラス、エポキシ樹脂、又はロウ材からなる請求項1〜6のいずれか一項に記載のセラミックヒータ。
【請求項8】
前記フランジは、アルミナからなる請求項1〜7のいずれか一項に記載のセラミックヒータ。
【請求項9】
前記金属部材は銅、ニッケル若しくはニッケル合金、チタン若しくはチタン合金、又はステンレスのいずれかからなる請求項1〜8のいずれか一項に記載のセラミックヒータ。
【請求項10】
前記接合部材のうち、前記軸線方向の最も先端側に位置する先端向き面上の点であって、前記軸線方向の最も後端側に近づく第1の点を通過する、前記軸線に垂直な仮想線Aと、前記接合部材のうち、前記軸線方向の最も後端側に位置する後端向き面上の点であって、前記軸線方向の最も先端側に近づく第2の点を通過する、前記軸線に垂直な仮想線Bとの最短距離で表される前記接合部材の厚みD1が、前記フランジの最大厚みD2の1/2以上である請求項1〜9のいずれか一項に記載のセラミックヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば温水洗浄便座、ファンヒータ、電気温水器、24時間風呂、半田ごて、ヘアアイロン等に用いられるセラミックヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば温水洗浄便座には、樹脂製の容器(熱交換器)を有する熱交換ユニットが用いられており、この熱交換ユニットには、熱交換器内に収容された洗浄水を暖めるために、長尺のパイプ状のセラミックヒータが配置されている。
このセラミックヒータとしては、円筒状のセラミック製碍管にヒータ配線を印刷したセラミックシートを巻き付け、一体焼成したものが用いられている。さらに、セラミックヒータ本体の外周にフランジがガラス等により接合され、フランジを介してセラミックヒータが熱交換器に固定されている(特許文献1参照)。
そして、熱交換器の内壁と、セラミックヒータの外周との隙間に流れる水がセラミックヒータで加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−236617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、セラミックヒータ本体の軸心とフランジの軸心とがずれて(芯ずれして)取り付けられると、熱交換器の内壁とセラミックヒータとのクリアランスが狭くなる。このため、隙間を通る水の流れが滞り、水温が変動したり、局所的に水が一気に蒸発して泡が発生し、ヒータと樹脂製の熱交換器が接触すれば熱交換器が軟化し変形する虞がある。
そこで、本発明は、筒状のセラミック基体とその外周に接合されるフランジとの芯ずれを抑制したセラミックヒータの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明のセラミックヒータは、発熱抵抗体が内部に埋設された、軸線方向に延びる筒状のセラミック基体と、接合部材を介して前記セラミック基体の外周に接合され、環状又は有端環状のセラミック製のフランジと、を備えるセラミックヒータであって、前記接合部材に少なくとも一部が埋設され、前記セラミック基体の外周面と、前記フランジの内周面との間の空間に配置された環状又は有端環状の金属部材を有することを特徴とする。


【0006】
このセラミックヒータによれば、セラミック基体とフランジとの隙間を埋めるように両者の間に金属部材が配置されている。従って、セラミック基体にフランジを接合する際、予めセラミック基体とフランジとの隙間に金属部材を配置することで、当該隙間を埋めて芯ずれ(セラミック基体とフランジの軸心同士のずれ)を抑制することができる。
【0007】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記金属部材は径方向外側に広がる複数の突起を有し、該突起が前記フランジの内周面に当接していてもよい。
このセラミックヒータによれば、フランジの内周面に当接した突起が、セラミック基体とフランジとの軸心が揃う(つまり、隙間が周方向でより均等になる)ように芯出しする力が働き、芯ずれをさらに抑制することができる。
【0008】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記フランジの一方の面から内周面に向かい、径方向内側に向かって窄まる先細りのテーパ面を有し、前記金属部材が前記テーパ面及び前記セラミック基体の外周に当接していてもよい。
このセラミックヒータによれば、セラミック基体にフランジを接合する際、予めセラミック基体とフランジとの隙間に、テーパ面側から金属部材を配置し、テーパ面側に押圧すると、金属部材がテーパ面に沿ってテーパ面側へ移動し、セラミック基体の外周とテーパ面とに共に接したときに金属部材の移動が止まる。このとき、金属部材の軸心がフランジの軸心に丁度合うように芯出しする力が働き、セラミック基体とフランジの芯ずれをほぼ解消することができる。
【0009】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記接合部材は、前記テーパ面の反対側にて前記セラミック基体と前記フランジと前記金属部材との間に介在してなってもよい。
このセラミックヒータによれば、金属部材のテーパ面よりも前記フランジの一方の面側に接合部材が介在せず、接合部材の使用量を削減できる。
【0010】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記金属部材は、全周の3/4以上の円弧をなす有端環状であってもよい。
このセラミックヒータによれば、金属部材が有端環状であるので径方向に撓み、セラミック基体とフランジとの隙間に配置し易い。また、金属部材が全周の3/4以上の円弧をなすことで、セラミック基体とフランジとの隙間のより多くの部位に金属部材が介在し、この隙間を確実に埋めることができる。
【0011】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記金属部材の線膨張係数が前記フランジの線膨張係数より大きくてもよい。
このセラミックヒータによれば、接合部材となる接合材料を加熱した際、金属部材が膨張してセラミック基体とフランジとの隙間をより埋めることができる、特に、金属部材が膨張してフランジの内周面に接触した場合には、セラミック基体とフランジが芯ずれしていても、これを矯正して芯出しする力を作用させることができる。
【0012】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記接合部材は、ガラス、エポキシ樹脂、又はロウ材からなってもよい。
これらの材料は、加熱することでセラミック基体とフランジとの隙間に容易に流動し、金属部材を埋設した状態で固化させることができる。
【0013】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記フランジは、アルミナからなってもよい。
この材料は、低コストであると共に、金属部材の線膨張係数よりもフランジの線膨張係数を確実に小さくすることができる。
【0014】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記金属部材は銅、ニッケル若しくはニッケル合金、チタン若しくはチタン合金、又はステンレスのいずれかからなってもよい。
これらの材料は、耐食性に優れると共に、接合部材としてガラスを用いた場合に溶融ガラスとの濡れ性に優れる。
【0015】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記接合部材のうち、前記軸線方向の最も先端側に位置する先端向き面上の点であって、前記軸線方向の最も後端側に近づく第1の点を通過する、前記軸線に垂直な仮想線Aと、前記接合部材のうち、前記軸線方向の最も後端側に位置する後端向き面上の点であって、前記軸線方向の最も先端側に近づく第2の点を通過する、前記軸線に垂直な仮想線Bとの最短距離で表される前記接合部材の厚みD1が、前記フランジの最大厚みD2の1/2以上であってもよい。
このセラミックヒータによれば、接合部材がフランジの軸線方向の両面側を支持する部位のうち、厚みが薄くて強度が弱い厚みD1の部位を、D2の1/2以上に維持するので、セラミック基体にフランジを確実に接合できる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、セラミックヒータにおける筒状のセラミック基体とその外周に接合されるフランジとの芯ずれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係るセラミックヒータを示す正面図である。
図2】セラミックヒータのセラミックシートを示す展開図である。
図3図1の軸線方向に沿う断面図である。
図4図1のA−A線に沿う断面図である。
図5】金属部材の外観を示す斜視図である。
図6】セラミック基体に金属部材を介してフランジを接合する方法を示す部分断面図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係るセラミックヒータの軸線方向に沿う部分断面図である。
図8】本発明の第2の実施形態に係るセラミックヒータにおいて、セラミック基体に金属部材を介してフランジを接合する方法を示す部分断面図である。
図9】金属部材の変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るセラミックヒータ11を示す正面図、図2はセラミックヒータ11のセラミックシート19を示す展開図、図3図1の軸線L方向に沿う断面図、図4図1のA−A線に沿う断面図、図5は金属部材50の外観を示す斜視図である。
本発明の第1の実施形態に係るセラミックヒータ11は、例えば温水洗浄便座の熱交換ユニットの熱交換器において、洗浄水を温めるために用いることができる。
【0019】
図1に示すように、セラミックヒータ11は、発熱抵抗体40が内部に埋設された筒状のセラミック基体13と、接合部材20を介してセラミック基体13の外周に接合され、環状又は有端環状のセラミック製のフランジ30と、環状又は有端環状の金属部材50(図3参照)とを備える。
セラミック基体13は、円筒状のセラミック製の支持体17と、支持体17の外周に巻きつけられたセラミックシート19とを備え、支持体17はその軸線L方向に貫通孔17hを有してなる。そして、熱交換器にて、貫通孔17hの内部に流れる水がセラミックヒータ11で加熱され、さらに熱交換器の内壁と、セラミックヒータの外周との隙間の水もセラミックヒータ11で加熱される。
支持体17及びセラミックシート19は例えばアルミナから形成することができる。なお、セラミックシート19は支持体17の外周を完全に覆わず、セラミックシート19の巻合わせ部19aには、支持体17の軸線L方向に沿って延びるスリット13sが形成されている。
【0020】
一方、図2に示すように、セラミックシート19には、蛇行したパターン形状のヒータ配線からなる発熱抵抗体40が印刷等で形成されている。発熱抵抗体40のヒータ配線は、互いに軸線L方向に沿って延びる複数の配線部40aの両端が幅方向にも延び、隣接する配線部40aの端部に接続される形態をなす。そして、セラミックシート19の幅方向両端の配線部40aが軸線L方向の一端でパッド状の内部端子42に一体に接続されている。
そして、この内部端子42は、図示しないビア導体等を介して、セラミックシート19の外周面(図2の裏面)に形成された外部端子43に電気的に接続されている。
発熱抵抗体40及び内部端子42は、例えばタングステンを主成分として形成することができる。
【0021】
次に、図3図5を参照し、金属部材50について説明する。
図5に示すように、金属部材50は上面視C字状の有端環状をなし、周方向の一部が開口50cを形成している。また、金属部材50は、自身の外周面から径方向外側に広がる複数の突起50pを、周方向に等間隔で4個有している。
なお、本実施形態では、金属部材50はステンレス(SUS304)板を環状に曲げて形成されると共に、軸方向の一端(図5では下端)をコ字状に切り欠いて切り欠き部50dを設け、切り欠き部50dの片を径方向外側に切り起こして突起50pとしている。
そして、図3に示すように、金属部材50は、自身の突起50pがフランジ30の内周面30dに当接しつつ、接合部材20に埋設されている。なお、フランジ30の内周面30dから軸線L方向の一端(図3では下端)に向かって段状に縮径するとともに、内周面30dから軸線L方向の他端(図3では上端)に向かってテーパ状に拡径してテーパ部30aが形成されている。そして、接合部材20となる接合材料20x(図6)を、セラミック基体13とフランジ30との隙間が広がったテーパ部30a側から入れやすくなっている。
【0022】
ここで、図4に示すように、金属部材50は、セラミック基体13とフランジ30との隙間を埋めるように両者の間に配置されている。従って、セラミック基体13にフランジ30を接合する際、図6に示すように、予めセラミック基体13とフランジ30との隙間に金属部材50を配置することで、当該隙間を埋めて芯ずれ(セラミック基体13とフランジ30の軸心同士のずれ)を抑制することができる。
そして、金属部材50を配置した後、接合部材20となる固形の接合材料20xをセラミック基体13とフランジ30との隙間に(金属部材50を覆って)挿入し、全体を加熱して接合材料20xを溶融固化させる。これにより、金属部材50が接合部材20に埋設され、セラミック基体13の外周にフランジ30が接合される。
【0023】
特に、本実施形態では、金属部材50に複数の突起50pを設け、この突起50pをフランジ30の内周面30dに当接させるので、セラミック基体13とフランジ30との軸心が揃う(つまり、隙間G(図6参照)が周方向でより均等になる)ように芯出しする力が働き、芯ずれをさらに抑制することができる。
【0024】
なお、図5に示すように、金属部材50は、その周長50Lが全周の3/4以上の円弧をなす有端環状であるとよい。有端環状であると、金属部材50が径方向に撓むので、セラミック基体13とフランジ30との隙間に配置し易い。また、金属部材50が全周の3/4以上の円弧をなすことで、セラミック基体13とフランジ30との隙間のより多くの部位に金属部材50が介在し、この隙間を確実に埋めることができる。
また、金属部材50の線膨張係数が、フランジ30の線膨張係数より大きいとよい。これにより、接合部材20となる接合材料20xを加熱した際、金属部材50が膨張してセラミック基体13とフランジ30との隙間をより埋めることができる、特に、金属部材50が膨張してフランジ30の内周面30dに接触した場合には、セラミック基体13とフランジ30が芯ずれしていても、これを矯正して芯出しする力を作用させることができる。
【0025】
このような観点から、金属部材50を、銅、ニッケル若しくはニッケル合金、チタン若しくはチタン合金、又はステンレスのいずれかから形成するとよい。また、これらの材料は、耐食性に優れると共に、接合部材20としてガラスを用いた場合に溶融ガラスとの濡れ性に優れる。
また、フランジ30は、アルミナから形成するとよい。
また、接合部材20は、ガラス、エポキシ樹脂、又はロウ材からなるとよい。
さらに、図3に示すように、接合部材20のうち、軸線L方向の最も先端側に位置する先端向き面上の点であって、軸線L方向の最も後端側に近づく第1の点P1を通過する、軸線Lに垂直な仮想線Aと、接合部材20のうち、軸線L方向の最も後端側に位置する後端向き面上の点であって、軸線L方向の最も先端側に近づく第2の点P2を通過する、軸線Lに垂直な仮想線Bとの最短距離で表される厚みD1が、フランジ30の最大厚みD2の1/2以上であると、セラミック基体13にフランジ30を確実に接合できる。
これは、D1は、接合部材20がフランジ30の軸線方向の両面側を支持する部位のうち、厚みが薄い箇所を表し、このD1がD2の1/2以上でないと接合強度を確保することが困難な場合があるからである。
又、第1の点P1をフランジ30の両面を基準にしたときのD1をそれぞれ求め、そのうち最小の値をD1として採用する。図3の例では、フランジ30の他の面(図3の上面)に臨む側から見ると第1の点はP2となるが、これを基準して求めたD1は、フランジ30の一方の面(図3の下面)を基準した上述のD1と等しいから、いずれの値を採用してもよい。
【0026】
セラミックヒータ11は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、アルミナ等のセラミック粉末のスラリーから、支持体17となる部材を押出成形し、仮焼成する。また、上記同様のスラリーから、セラミックシート19となるグリーンシートを形成し、その表面に図2に示すような発熱抵抗体40及び内部端子42となる導電性ペーストを印刷して乾燥させる。そして、このグリーンシートの印刷面に他のグリーンシートを積層して押圧し、発熱抵抗体40及び内部端子42を両グリーンシートの間に埋設させる。さらに、両グリーンシートの積層体の片面に外部端子43となる導電性ペーストを印刷して乾燥させる。
そして、両グリーンシートの積層体の反対面にセラミックペーストを塗布し、支持体17に巻き付けて接着し、全体を焼成する。
また、アルミナ等のセラミック粉末を金型にて加圧成形し、焼成することによりフランジ30を得る。
【0027】
このようにして製造したセラミック基体13及びフランジ30を、図6に示すように金属部材50を介して配置した後、接合部材20となる固形の接合材料20x(ガラス)をセラミック基体13とフランジ30との隙間に配置してガラスの溶融温度以上に加熱し、セラミック基体13の外周にフランジ30を接合する。
【0028】
次に、図7図8を参照し、本発明の第2の実施形態に係るセラミックヒータについて説明する。なお、第2の実施形態に係るセラミックヒータは、フランジ32及び金属部材52の構成が異なること以外は、第1の実施形態に係るセラミックヒータと同一であるので、同一構成部分の説明を省略する。また、第2の実施形態に係るセラミックヒータの全体構成は図1と略同一であるので、図7図8はセラミックヒータの部分断面図として簡略にしている。
【0029】
図7に示すように、フランジ32の一方の面(図7の下面)から内周面に向かい、径方向内側に向かって窄まる先細りのテーパ面32bが形成されている。また、フランジ32の他の面(図7の上面)から内周面に向かい、径方向内側に向かって窄まる先細りのテーパ面32aが形成されている。
一方、金属部材52は無端に繋がる断面円形のリングとなっている。
そして、金属部材52がテーパ面32b及びセラミック基体13の外周に当接している。また、接合部材20は、テーパ面32bの反対側にてセラミック基体13とフランジ2と金属部材52の間に介在してなる。つまり、金属部材52の下面には接合部材20が介在せず、金属部材52の一部が接合部材20に埋設されていることになる。
なお、金属部材52をC字状の有端環状とした場合には、金属部材52の切り欠き部から接合部材20の溶融体が金属部材52の下方まで流れ、金属部材52の下部も接合部材20に埋設されてもよい。
【0030】
ここで、図8に示すように、セラミック基体13にフランジ32を接合する際、予めセラミック基体13とフランジ32との隙間に、テーパ面32b側から金属部材52を配置し、治具100等によりテーパ面32b側(上側)に所定の押圧力Fで押圧すると、金属部材52がテーパ面32bに沿って上方へ移動し、セラミック基体13の外周とテーパ面32bとに共に接したときに金属部材52の移動が止まる。このとき、金属部材52の軸心がフランジ32の軸心に丁度合うように芯出しする力が働き、セラミック基体13とフランジ32の芯ずれをほぼ解消することができる。
そして、金属部材52を配置した後、接合部材20となる固形の接合材料20xをセラミック基体13とフランジ32との隙間に(金属部材52の上から)挿入し、全体を加熱して接合材料20xを溶融固化させる。これにより、金属部材52の上部が接合部材20に埋設され、セラミック基体13の外周にフランジ32が接合される。
このように、第2の実施形態では、テーパ面32bの作用により、セラミック基体13とフランジ32との隙間G(図8参照)が周方向でほぼ均等になる芯出し効果が働き、芯ずれをほぼ解消する。
【0031】
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
金属部材の形状は限定されず、例えば図9に示すように、断面がC字状の金属板を環状に形成して径方向に撓む金属部材54とし、セラミック基体13とフランジ34との隙間に密着するようにしてもよい。
フランジの形状も限定されない。
【符号の説明】
【0032】
11 セラミックヒータ
13 セラミック基体
20 接合部材
30、32、34 フランジ
30d フランジの内周面
32b テーパ面
40 発熱抵抗体
50、52、54 金属部材
50p 突起
D1 接合部材の厚み
D2 フランジの最大厚み
L 軸線
P1 第1の点
P2 第2の点
A,B 仮想線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9