(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第3洗浄部から排出された前記第3洗浄液の一部を前記第1洗浄液に混入させる第2バイパスラインを更に備えた、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
前記第2洗浄部は、前記第2洗浄液を分散させて落下させる第2液分散器と、前記第2液分散器の下方に設けられ、前記第2液分散器から分散されて落下した前記第2洗浄液を貯留する第2洗浄液貯留部と、を有し、
前記第2液分散器から前記第2洗浄液貯留部にわたって、落下する前記第2洗浄液と上昇する前記燃焼排ガスとが気液接触する気液接触空間が形成されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
まず、
図1および
図2を用いて、本発明の第1の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0016】
図1に示すように、二酸化炭素回収システム1は、燃焼排ガス2に含有される二酸化炭素を、アミンを含有する吸収液に吸収させる吸収塔20と、吸収塔20から供給される二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素を放出させて、吸収液を再生する再生塔30と、を備えている。吸収塔20において二酸化炭素を吸収液に吸収させた燃焼排ガス2は、脱炭酸燃焼排ガス3(後述)として吸収塔20から排出される。また、再生塔30から二酸化炭素が蒸気と共に二酸化炭素含有ガス8(二酸化炭素含有蒸気)として排出される。なお、吸収塔20に供給される燃焼排ガス2は、特に限定されるものではないが、例えば火力発電所のボイラー(図示せず)の燃焼排ガスや、プロセス排ガス等であってもよく、必要に応じて冷却処理後に吸収塔20に供給されるようにしてもよい。
【0017】
吸収液は、吸収塔20と再生塔30とを循環し、吸収塔20において二酸化炭素を吸収してリッチ液4となり、再生塔30において二酸化炭素を放出してリーン液5となる。なお、吸収液には、特に限られるものではないが、例えば、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールのようなアルコール性水酸基含有1級アミン類、ジエタノールアミン、2−メチルアミノエタノールのようなアルコール性水酸基含有2級アミン類、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミンのようなアルコール性水酸基含有3級アミン類、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミンのようなポリエチレンポリアミン類、ピペラジン類、ピペリジン類、ピロリジン類のような環状アミン類、キシリレンジアミンのようなポリアミン類、メチルアミノカルボン酸のようなアミノ酸類等及びこれらの混合物を用いることができる。これらのアミン化合物は通常10〜70重量%の水溶液として使用される。また、吸収液には二酸化炭素吸収促進剤或いは腐食防止剤、更には、その他の媒体としてメタノール、ポリエチレングリコール、スルフォラン等を加えることができる。
【0018】
吸収塔20は、二酸化炭素回収部20a(充填層)と、二酸化炭素回収部20aの上方に設けられた液分散器20bと、二酸化炭素回収部20aおよび液分散器20bを収容する吸収塔容器20cと、を有している。このうち二酸化炭素回収部20aは、向流型気液接触装置として構成されており、燃焼排ガス2に含有される二酸化炭素をリーン液5に吸収させるようになっている。液分散器20bは、再生塔30から供給されるリーン液5を二酸化炭素回収部20aに向けて分散させて落下させる。吸収塔容器20cには、二酸化炭素回収部20aおよび液分散器20bとともに、後述する第1洗浄部21、第2洗浄部22、第3洗浄部23、および各デミスター81、82、83、84が収容されている。吸収塔容器20cは、吸収塔容器20cの下部から燃焼排ガス2を受け入れ、燃焼排ガス2を吸収塔容器20cの頂部から、後述する脱炭酸燃焼排ガス3として排出するようになっている。
【0019】
吸収塔20の下部には、上述したボイラーなどの二酸化炭素回収システム1の外部から排出された二酸化炭素を含有する燃焼排ガス2が、送風機(図示せず)によって供給される。供給された燃焼排ガス2は、吸収塔20内を二酸化炭素回収部20aに向かって上昇する。一方、再生塔30からのリーン液5が液分散器20bに供給されて分散落下し、二酸化炭素回収部20aに供給される。二酸化炭素回収部20aにおいて、燃焼排ガス2とリーン液5とが気液接触して、燃焼排ガス2に含有される二酸化炭素がリーン液5に吸収されてリッチ液4が生成される。
【0020】
生成されたリッチ液4は、吸収塔20の下部に一端貯留され、当該下部から排出される。リーン液5と気液接触した燃焼排ガス2は、二酸化炭素が除去されて、脱炭酸燃焼排ガス3として二酸化炭素回収部20aから吸収塔20内を更に上昇する。
【0021】
吸収塔20と再生塔30との間には熱交換器31が設けられている。吸収塔20と熱交換器31との間にはリッチ液用ポンプ32が設けられており、吸収塔20から排出されたリッチ液4は、リッチ液用ポンプ32によって熱交換器31を介して再生塔30に供給される。熱交換器31は、吸収塔20から再生塔30に供給されるリッチ液4を、再生塔30から吸収塔20に供給されるリーン液5と熱交換させる。このことにより、リーン液5が熱源となって、リッチ液4が所望の温度まで加熱される。言い換えると、リッチ液4が冷熱源となって、リーン液5が所望の温度まで冷却される。
【0022】
再生塔30は、アミン再生部30a(充填層)と、アミン再生部30aの上方に設けられた液分散器30bと、アミン再生部30aおよび液分散器30bを収容する再生塔容器30cと、を有している。このうちアミン再生部30aは、向流型気液接触装置として構成され、リッチ液4から二酸化炭素を放出させるようになっている。液分散器30bは、吸収塔20から供給されるリッチ液4をアミン再生部30aに向けて分散させて落下させる。再生塔容器30cには、アミン再生部30aおよび液分散器30bとともに、後述する再生塔洗浄部37、および各デミスター86、87が収容されている。再生塔容器30cは、リッチ液4から放出された二酸化炭素含有ガス8を、再生塔容器30cの頂部から排出するようになっている。
【0023】
再生塔30には、リボイラー33が連結されている。このリボイラー33は、加熱媒体6によって、再生塔30から供給されるリーン液5を加熱して蒸気7を発生させ、発生した蒸気7を再生塔30に供給する。より具体的には、リボイラー33には、再生塔30の下部から排出されるリーン液5の一部が供給されるとともに、例えばタービン(図示せず)などの外部から加熱媒体6としての高温の蒸気が供給される。リボイラー33に供給されたリーン液5は、加熱媒体6と熱交換することによって加熱されて、リーン液5から蒸気7が生成される。生成された蒸気7は再生塔30の下部に供給され、再生塔30内のリーン液5を加熱する。なお、加熱媒体6は、タービンからの高温の蒸気に限られることはない。
【0024】
再生塔30の下部には、リボイラー33から蒸気7が供給され、再生塔30内をアミン再生部30aに向って上昇する。一方、吸収塔20からのリッチ液4は、液分散器30bに供給されて分散落下し、アミン再生部30aに供給される。アミン再生部30aにおいて、リッチ液4と蒸気7とが気液接触して、リッチ液4から二酸化炭素ガスを放出してリーン液5が生成される。このようにして再生塔30において吸収液が再生される。
【0025】
生成されたリーン液5は、再生塔30の下部から排出され、リッチ液4と気液接触した蒸気7は、二酸化炭素を含有して、二酸化炭素含有ガス8として再生塔30の頂部から排出される。排出される二酸化炭素含有ガス8には蒸気も含有される。
【0026】
再生塔30と熱交換器31との間には、リーン液用ポンプ34が設けられている。再生塔30から排出されたリーン液5は、リーン液用ポンプ34によって上述した熱交換器31を介して吸収塔20に供給される。熱交換器31は、上述したように、再生塔30から吸収塔20に供給されるリーン液5を、吸収塔20から再生塔30に供給されるリッチ液4と熱交換させて冷却する。また、熱交換器31と吸収塔20との間には、リーン液用冷却器35が設けられている。リーン液用冷却器35は、外部から冷却水等の冷却媒体が供給され、熱交換器31において冷却されたリーン液5を所望の温度まで更に冷却する。
【0027】
リーン液用冷却器35において冷却されたリーン液5は、吸収塔20の液分散器20bに供給されて分散落下し、二酸化炭素回収部20aに供給される。二酸化炭素回収部20aにおいて、リーン液5は燃焼排ガス2と気液接触して燃焼排ガス2に含有される二酸化炭素がリーン液5に吸収されてリッチ液4となる。このようにして、二酸化炭素回収システム1では、吸収液がリーン液5となる状態とリッチ液4となる状態とを繰り返しながら循環するようになっている。
【0028】
図1に示す二酸化炭素回収システム1は、再生塔30の頂部から排出された二酸化炭素含有ガス8を冷却して蒸気を凝縮して凝縮水9を生成するガス用冷却器40と、ガス用冷却器40により生成された凝縮水9を二酸化炭素含有ガス8から分離する気液分離器41と、を更に備えている。このようにして、二酸化炭素含有ガス8に含有される水分が低減され、二酸化炭素含有ガス8が、二酸化炭素ガス10として気液分離器41から排出されて、図示しない設備に供給されて貯蔵される。一方、気液分離器41において分離された凝縮水9は、凝縮水用ポンプ42によって再生塔30に供給され、吸収液に混入される。なお、ガス用冷却器40には、外部から、二酸化炭素含有ガス8を冷却するための冷却媒体(例えば、クリーングタワーの冷却水や、海水)が供給されるようになっている。
【0029】
ところで、吸収塔20は、第1洗浄部21と、第2洗浄部22と、第3洗浄部23と、を有している、このうち第1洗浄部21は、二酸化炭素回収部20aから排出された脱炭酸燃焼排ガス3を第1洗浄液11(第1洗浄水)で洗浄して、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンを回収する。第2洗浄部22は、第1洗浄部21から排出された脱炭酸燃焼排ガス3を、第2洗浄液12(第2洗浄水)で洗浄して、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンを回収する。第3洗浄部23は、第2洗浄部22から排出された脱炭酸燃焼排ガス3を、第3洗浄液13(第3洗浄水)で洗浄して、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンを回収する。このうち第1洗浄部21は、液分散器20bの上方に設けられ、第2洗浄部22は、第1洗浄部21の上方に設けられ、第3洗浄部23は、第2洗浄部22の上方に設けられている。
【0030】
第1洗浄部21は、第1回収部21a(充填層)と、第1回収部21aの上方に設けられた第1液分散器21bと、第1回収部21aの下方に設けられた第1洗浄液貯留部21cと、を有している、このうち第1回収部21aは、向流型気液接触装置として構成されており、第1洗浄液11と脱炭酸燃焼排ガス3とを気液接触させて脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する吸収液成分であるアミンを回収するようになっている。第1液分散器21bは、第1洗浄液11を第1回収部21aに向けて分散させて落下させる。第1洗浄液貯留部21cは、第1回収部21aから流下する第1洗浄液11を貯留するとともに、二酸化炭素回収部20aから排出されて上昇する脱炭酸燃焼排ガス3が通過可能に構成されている。
【0031】
第1洗浄部21には、第1洗浄液11を循環させる第1循環ライン50が連結されている。すなわち、第1循環ライン50には、第1循環ポンプ51が設けられており、第1洗浄液貯留部21cに貯留されている第1洗浄液11を抜き出して第1液分散器21bに供給し、第1洗浄液11を循環させる。第1液分散器21bに供給された第1洗浄液11は、分散落下して第1回収部21aに供給される。
【0032】
第1循環ライン50に、第1洗浄液11を加熱する第1加熱器52a(第1加熱部)が設けられている。第1加熱器52aは、第1洗浄液11の温度を、二酸化炭素回収部20aの上端部の温度より高く、かつ第2洗浄液12の温度より高くする。本実施の形態においては、第1加熱器52aにより加熱された第1洗浄液11が、第2加熱器52b(第2加熱部)によって更に加熱されるようになっている。なお、
図1に示す形態では、第1加熱器52aおよび第2加熱器52bは、第1循環ライン50において第1循環ポンプ51の下流側(第1液分散器21bの側)に設けられているが、このことに限られることはない。
【0033】
第1加熱器52aにおいて第1洗浄液11を加熱するための熱源は、再生塔30から排出されて熱交換器31を通過したリーン液5になっている。すなわち、本実施の形態においては、熱交換器31を通過したリーン液5は、第1加熱器52aに供給されて第1洗浄液11を加熱するようになっている。
【0034】
第2加熱器52bにおいて第1洗浄液を加熱するための熱源は、第1加熱器52aの熱源とは異なっており、リボイラー33から排出された加熱媒体6になっている。すなわち、本実施の形態においては、リボイラー33から排出された加熱媒体6は、第2加熱器52bに供給されて、第1加熱器52aにおいて加熱された第1洗浄液11を更に加熱するようになっている。
【0035】
第2洗浄部22は、第2回収部22a(充填層)と、第2回収部22aの上方に設けられた第2液分散器22bと、第2回収部22aの下方に設けられた第2洗浄液貯留部22cと、を有している。このうち第2回収部22aは、向流型気液接触装置として構成されており、第2洗浄液12と脱炭酸燃焼排ガス3とを気液接触させて脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する吸収液成分であるアミンを回収する。第2液分散器22bは、第2洗浄液12を第2回収部22aに向けて分散させて落下させる。第2洗浄液貯留部22cは、第2回収部22aから流下する第2洗浄液12を貯留するとともに、第1回収部21aから排出されて上昇する脱炭酸燃焼排ガス3が通過可能に構成されている。
【0036】
第2洗浄部22には、第2洗浄液12を循環させる第2循環ライン54が連結されている。すなわち、第2循環ライン54には、第2循環ポンプ55が設けられており、第2洗浄液貯留部22cに貯留されている第2洗浄液12を抜き出して第2液分散器22bに供給し、第2洗浄液12を循環させる。第2液分散器22bに供給された第2洗浄液12は、分散落下して第2回収部22aに供給される。
【0037】
本実施の形態では、第2循環ライン54に、第2洗浄液12を冷却する第2洗浄用冷却器56が設けられている。第2洗浄用冷却器56には、第2洗浄液12を冷却するための冷却媒体として、二酸化炭素回収システム1の外部から冷却媒体(例えば、クリーングタワーの冷却水や、海水)が供給される。このようにして、第2洗浄用冷却器56は、第2循環ライン54を流れる第2洗浄液12を冷却するようになっている。なお、
図1に示す形態では、第2洗浄用冷却器56は、第2循環ポンプ55の下流側に設けられているが、第2洗浄液12の冷却能力を確保できれば、第2循環ポンプ55より上流側の位置に設けられていてもよい。
【0038】
第3洗浄部23は、第3回収部23a(充填層)と、第3回収部23aの上方に設けられた第3液分散器23bと、第3回収部23aの下方に設けられた第3洗浄液貯留部23cと、を有している。このうち第3回収部23aは、向流型気液接触装置として構成されており、第3洗浄液13と脱炭酸燃焼排ガス3とを気液接触させて脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する吸収液成分であるアミンを回収するようになっている。第3液分散器23bは、第3洗浄液13を第3回収部23aに向けて分散させて落下させる。第3洗浄液貯留部23cは、第3回収部23aから流下する第3洗浄液13を貯留するとともに、第2回収部22aから排出されて上昇する脱炭酸燃焼排ガス3が通過可能に構成されている。
【0039】
第3洗浄部23には、第3洗浄液13を循環させる第3循環ライン57が連結されている。すなわち、第3循環ライン57には、第3循環ポンプ58が設けられており、第3洗浄液貯留部23cに貯留されている第3洗浄液13を抜き出して第3液分散器23bに供給し、第3洗浄液13を循環させる。第3液分散器23bに供給された第3洗浄液13は、分散落下して第3回収部23aに供給される。
【0040】
本実施の形態では、第3循環ライン57に、第3洗浄液13を冷却する第3洗浄用冷却器59が設けられている。第3洗浄用冷却器59には、第3洗浄液13を冷却するための冷却媒体として、二酸化炭素回収システム1の外部から冷却媒体(例えば、クリーングタワーの冷却水や、海水)が供給される。このようにして、第3洗浄用冷却器59は、第3循環ライン57を流れる第3洗浄液13を冷却するようになっている。なお、
図1に示す形態では、第3洗浄用冷却器59は、第3循環ポンプ58の下流側に設けられているが、第3洗浄液13の冷却能力を確保できれば、第3循環ポンプ58より上流側の位置に設けられていてもよい。
【0041】
また、本実施の形態では、第3循環ライン57には、第3洗浄液13に洗浄補給液14を供給する補給液供給源60が連結されている。この洗浄補給液14は、第3洗浄液13のアミン濃度を低減して第3洗浄液13をメークアップするためのものである。洗浄補給液14としては、第3洗浄液13よりもアミン濃度が低い液体(例えば、純水)が用いられる。第3循環ライン57と補給液供給源60とは、補給ライン61によって連結されている。補給ライン61は、第3循環ライン57のうち第3洗浄用冷却器59より上流側の部分に連結されていることが好適であり、この場合には、洗浄補給液14は、第3洗浄用冷却器59で冷却される前の第3洗浄液13に混入されるように構成されている。なお、補給液供給源60は、洗浄補給液14を第3循環ライン57に供給するためのポンプを内蔵していてもよく、あるいは、そのようなポンプを補給ライン61に設けるようにしてもよい。
【0042】
ところで、二酸化炭素回収部20aの上方には、第1デミスター81が設けられている。より詳細には、第1デミスター81は、液分散器20bと、第1洗浄部21の第1洗浄液貯留部21cとの間に設けられている。このことにより、二酸化炭素回収部20aから排出された脱炭酸燃焼排ガス3は、第1デミスター81を通過して上昇する。この際、第1デミスター81は、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する吸収液のミストを捕捉する。
【0043】
第1洗浄部21の上方には、第2デミスター82が設けられている。より詳細には、第2デミスター82は、第1洗浄部21の第1液分散器21bと、第2洗浄部22の第2洗浄液貯留部22cとの間に設けられている。このことにより、第1洗浄部21から排出された脱炭酸燃焼排ガス3は、第2デミスター82を通過して上昇する。この際、第2デミスター82は、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する吸収液のミストや第1洗浄液11のミストを捕捉する。
【0044】
第2洗浄部22の上方には、第3デミスター83が設けられている。より詳細には、第3デミスター83は、第2洗浄部22の第2液分散器22bと、第3洗浄部23の第3洗浄液貯留部23cとの間に設けられている。このことにより、第2洗浄部22から排出された脱炭酸燃焼排ガス3は、第3デミスター83を通過して上昇する。この際、第3デミスター83は、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する吸収液のミストや、第1洗浄液11のミスト、第2洗浄液12のミストを捕捉する。
【0045】
第3洗浄部23の上方には、第4デミスター84が設けられている。より詳細には、第4デミスター84は、第3洗浄部23の第3液分散器23bの上方(第3液分散器23bと吸収塔容器20cの頂部との間)に設けられている。このことにより、第3洗浄部23から排出された脱炭酸燃焼排ガス3は、第4デミスター84を通過して上昇する。この際、第4デミスター84は、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する吸収液のミストや、第1洗浄液11のミスト、第2洗浄液12のミスト、第3洗浄液13のミストを捕捉する。
【0046】
図1に示すように、第2循環ライン54と第3循環ライン57とは、第1バイパスライン62によって連結されている。この第1バイパスライン62は、第2洗浄部22から排出された第2洗浄液12の少なくとも一部を第3洗浄液13に混入させる。
【0047】
第1バイパスライン62の上流端部(第2循環ライン54の側の端部)は、第2循環ライン54のうち第2循環ポンプ55より上流側の部分に連結されていることが好適である。このことにより、第2洗浄液貯留部22cから排出された第2洗浄液12の一部が抜き出されるようになっている。
【0048】
一方、第1バイパスライン62の下流端部(第3循環ライン57の側の端部)は、第3循環ライン57のうち第3洗浄用冷却器59より上流側の部分であって、第3循環ポンプ58の下流側の部分に連結されていることが好適である。このことにより、当該部分において、第2洗浄液12が第3洗浄液13に合流するようになっている。
【0049】
なお、
図1に示す形態では、第1バイパスライン62に、第2洗浄液12を第3循環ライン57に送るための図示しないポンプが設けられていてもよい。しかしながら、第1バイパスライン62の上流端部を、第2循環ライン54のうち第2循環ポンプ55の下流側の部分に連結する場合には、第1バイパスライン62には、このようなポンプを設けていなくてもよい。
【0050】
第1バイパスライン62には、第1流量調整弁63が設けられている。この第1流量調整弁63は、第1バイパスライン62を流れる第2洗浄液12の流量を調整するためのものであり、種々の方法で開度を調整することができる。
【0051】
例えば、第1流量調整弁63は、第2洗浄液貯留部22cに貯留されている第2洗浄液12の液面レベルに基づいて制御されるようにしてもよい。この場合、第2洗浄液貯留部22cに液面レベル計(図示せず)が設けられ、第2洗浄液貯留部22cに貯留されている第2洗浄液12の液面レベルが、所定の基準レベルより高い場合には第1流量調整弁63の開度を大きくし、所定の基準レベルより低い場合には第1流量調整弁63の開度を小さくすればよい。
【0052】
別の方法として、第1流量調整弁63は、第3洗浄液貯留部23cに貯留されている第3洗浄液13の液面レベルに基づいて制御されるようにしてもよい。この場合、第3洗浄液貯留部23cに液面レベル計(図示せず)が設けられ、第3洗浄液貯留部23cに貯留されている第3洗浄液13の液面レベルが、所定の基準レベルより低い場合には第1流量調整弁63の開度を大きくし、所定の基準レベルより高い場合には第1流量調整弁63の開度を小さくしてもよい。
【0053】
更に別の方法として、第1流量調整弁63は、第3洗浄液13のアミン濃度に基づいて制御されるようにしてもよい。この場合、例えば、第3循環ライン57にアミン濃度計(図示せず)が設けられ、第3洗浄液13のアミン濃度が所定の基準濃度より高い場合には、第1流量調整弁63の開度を大きくし、所定の基準濃度より低い場合には、第1流量調整弁63の開度を小さくすればよい。
【0054】
また、本実施の形態では、第3循環ライン57と第1循環ライン50とは、第2バイパスライン64によって連結されている。この第2バイパスライン64は、第3洗浄部23から排出された第3洗浄液13の一部を第1洗浄液11に混入させる。
【0055】
第2バイパスライン64の上流端部(第3循環ライン57の側の端部)は、第3循環ライン57のうち第3循環ポンプ58より上流側の部分に連結されていることが好適である。このことにより、第3洗浄液貯留部23cから排出された第3洗浄液13の一部が抜き出されるようになっている。
【0056】
一方、第2バイパスライン64の下流側端部(第1循環ライン50の側の端部)は、第1循環ライン50のうち第1加熱器52aより上流側の部分であって、第1循環ポンプ51の下流側の部分に連結されていることが好適である。このことにより、当該部分において、第3洗浄液13が第1洗浄液11に合流するようになっている。
【0057】
なお、
図1に示す形態では、第2バイパスライン64に、第3洗浄液13を第1循環ライン50に送るための図示しないポンプが設けられていてもよい。しかしながら、第2バイパスライン64の上流端部を、第3循環ライン57のうち第3循環ポンプ58の下流側の部分に連結する場合には、第2バイパスライン64には、このようなポンプを設けていなくてもよい。
【0058】
第2バイパスライン64には、第2流量調整弁65が設けられている。この第2流量調整弁65は、第2バイパスライン64を流れる第3洗浄液13の流量を調整するためのものであり、種々の方法で開度を調整することができる。
【0059】
例えば、第2流量調整弁65は、第3洗浄液貯留部23cに貯留されている第3洗浄液13の液面レベルに基づいて制御されるようにしてもよい。この場合、第2洗浄液貯留部22cに液面レベル計(図示せず)が設けられ、第3洗浄液貯留部23cに貯留されている第3洗浄液13の液面レベルが、所定の基準レベルより高い場合には第2流量調整弁65の開度を大きくし、所定の基準レベルより低い場合には第2流量調整弁65の開度を小さくすればよい。
【0060】
別の方法として、第2流量調整弁65は、第1洗浄液貯留部21cに貯留されている第1洗浄液11の液面レベルに基づいて制御されるようにしてもよい。この場合、第1洗浄液貯留部21cに液面レベル計(図示せず)が設けられ、第1洗浄液貯留部21cに貯留されている第1洗浄液11の液面レベルが、所定の基準レベルより低い場合には第2流量調整弁65の開度を大きくし、所定の基準レベルより高い場合には第2流量調整弁65の開度を小さくしてもよい。
【0061】
更に別の方法として、第2流量調整弁65は、第3洗浄液13のアミン濃度に基づいて制御されるようにしてもよい。この場合、例えば、第1循環ライン50にアミン濃度計(図示せず)が設けられ、第1洗浄液11のアミン濃度が所定の基準濃度より高い場合には、第2流量調整弁65の開度を大きくし、所定の基準濃度より低い場合には、第2流量調整弁65の開度を小さくすればよい。
【0062】
図1に示す二酸化炭素回収システム1は、洗浄塔70(第4洗浄部)を更に備えている。この洗浄塔70は、吸収塔20の第3洗浄部23から排出された脱炭酸燃焼排ガス3を第4洗浄液15(第4洗浄水)で洗浄して、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンを回収する。洗浄塔70は、吸収塔20とは独立して別体に構成されている。
【0063】
洗浄塔70は、第4回収部70a(充填層)と、第4回収部70aの上方に設けられた第4液分散器70bと、第4回収部70aおよび第4液分散器70bを収容する洗浄塔容器70cと、を有している。このうち第4回収部70aは、向流型気液接触装置として構成されており、第4洗浄液15と脱炭酸燃焼排ガス3とを気液接触させて脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する吸収液成分であるアミンを回収するようになっている。第4液分散器70bは、第4洗浄液15を第4回収部70aに向けて分散させて落下させる。洗浄塔容器70cは、第4回収部70aから流下する第4洗浄液15を貯留する。また、洗浄塔容器70cは、吸収塔20から排出された脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄塔容器70cの下部から受け入れ、脱炭酸燃焼排ガス3を、洗浄塔容器70cの頂部から排出するように構成されている。
【0064】
洗浄塔70には、第4洗浄液15を循環させる第4循環ライン71が連結されている。すなわち、第4循環ライン71には、第4循環ポンプ72が設けられており、洗浄塔容器70cに貯留されている第4洗浄液15を抜き出して第4液分散器70bに供給し、第4洗浄液15を循環させる。第4液分散器70bに供給された第4洗浄液15は、分散落下して第4回収部70aに供給される。
【0065】
第4循環ライン71に、第4洗浄液15を冷却する第4洗浄用冷却器73が設けられている。第4洗浄用冷却器75には、第4洗浄液15を冷却するための冷却媒体として、二酸化炭素回収システム1の外部から冷却媒体(例えば、クリーングタワーの冷却水や、海水)が供給される。このようにして、第4洗浄用冷却器73は、第4循環ライン71を流れる第4洗浄液15を冷却するようになっている。なお、
図1に示す形態では、第4洗浄用冷却器73は、第4循環ポンプ72の下流側に設けられているが、第4洗浄液15の冷却能力を確保できれば、第4循環ポンプ72より上流側の位置に設けられていてもよい。
【0066】
第4洗浄液15は、酸を含んでおり、酸性を有していることが好適である。第4洗浄液15に添加する酸の例としては、例えば、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、ホウ酸などを挙げることができる。酸は、所望の濃度で第4洗浄液15に添加することが好適である。酸が添加された第4洗浄液15は、pH計測器、超音波計測器、赤外吸光計測器、密度計測器などによって、管理することが好ましく、この中でもpH計測器による管理が好適である。すなわち、第4洗浄液15に酸を添加することによりpH値は低下していくが、アミンはアルカリ性を有しているため、第4洗浄液15のアミン濃度が増加するに従い、pH値は増加する傾向にある。このため、pH値を管理することにより、第4洗浄液15のアミン濃度を容易に管理することができる。例えば、pH値を8以下、より好ましくは、7以下にするようにアミン濃度を管理することにより、アミン吸収速度の低下を効果的に抑制することができる。
【0067】
ところで、第4回収部70aの上方には、第5デミスター85が設けられている。より詳細には、第5デミスター85は、液分散器70bの上方(第4液分散器70bと洗浄塔容器70cの頂部との間)に設けられている。このことにより、第4回収部70aから排出された脱炭酸燃焼排ガス3は、第5デミスター85を通過して上昇する。この際、第5デミスター85は、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する吸収液のミストや、第1洗浄液11のミスト、第2洗浄液12のミスト、第3洗浄液13のミスト、第4洗浄液15のミストを捕捉する。
【0068】
また、
図1に示すように、再生塔30は、上述したアミン再生部30aから排出された二酸化炭素含有ガス8を、凝縮水9で洗浄して、二酸化炭素含有ガス8に同伴するアミンを回収する再生塔洗浄部37を有している。再生塔洗浄部37は、アミン再生部30aの上方に設けられている。
【0069】
再生塔洗浄部37は、再生塔回収部37a(充填層)と、再生塔回収部37aの上方に設けられた液分散器37bと、を有している。このうち再生塔回収部37aは、向流型気液接触装置として構成されており、二酸化炭素含有ガス8と凝縮水9とを気液接触させて二酸化炭素含有ガス8からアミンを回収するようになっている。液分散器37bは、凝縮水9を再生塔回収部37aに向けて分散させて落下させる。
【0070】
ところで、再生塔30のアミン再生部30aの上方には、第6デミスター86が設けられている。より詳細には、第6デミスター86は、液分散器30bと、再生塔洗浄部37の再生塔回収部37aとの間に設けられている。このことにより、アミン再生部30aから排出された二酸化炭素含有ガス8は、第6デミスター86を通過して上昇する。この際、第6デミスター86は、二酸化炭素含有ガス8に同伴する吸収液のミストを捕捉する。
【0071】
再生塔洗浄部37の上方には、第7デミスター87が設けられている。より詳細には、第7デミスター87は、液分散器37bの上方(液分散器37bと再生塔容器30cの頂部との間)に設けられている。このことにより、再生塔洗浄部37から排出された二酸化炭素含有ガス8は、第7デミスター87を通過して上昇する。この際、第7デミスター87は、二酸化炭素含有ガス8に同伴する吸収液のミストや凝縮水9のミストを捕捉する。
【0072】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0073】
まず、第1洗浄部21、第2洗浄部22を用いたガス洗浄法での一般的な課題について説明する。
【0074】
一般に、脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄して脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンを回収するために、第1洗浄部21および第2洗浄部22が設けられる。この際、脱炭酸燃焼排ガス3と洗浄液との接触面積を増加させるために、第1回収部21aおよび第2回収部22aは、棚段によって構成されることもあるが、充填層によって構成されることが多い。この場合、主に以下のような3つの課題が挙げられる。
【0075】
[1]充填層表面を流下する洗浄液は偏流しやすい。このことにより、充填層表面の全体が濡れなくなるため(ショートパス発生)、脱炭酸燃焼排ガス3が洗浄液と接触せずに、洗浄されることなく充填層をすり抜けるという課題がある。
【0076】
[2]脱炭酸燃焼排ガス3に同伴して大気中に放出されるアミンの形態には、ガス状の形態と、ミスト状の形態とがある。このうちミスト状の形態のアミンは、充填層に回収されにくい。このため、ミストを捕捉するものとしてデミスターが設けられる。しかしながら、デミスターであっても、径10μm以下のミストが捕捉されにくいという課題がある。
【0077】
[3]充填層表面を流下する洗浄液は、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴されるアミンを吸収するが、その吸収速度は、気液接触界面における洗浄液のアミン濃度と、脱炭酸燃焼排ガス3のアミン濃度とに依存する。すなわち、気液接触界面における洗浄液のアミン濃度を常に低濃度に維持できれば、洗浄液がアミンを吸収する速度を高く維持することができる。しかしながら、気液接触界面における洗浄液のアミン濃度は、脱炭酸燃焼排ガス3中のアミンを吸収することによってすぐに上昇する。そして、洗浄液中のアミンの拡散速度が遅いため、気液接触界面で洗浄液に吸収されたアミンが洗浄液内へ拡散しにくい。このため、気液接触界面における洗浄液のアミン濃度は高濃度で維持され、アミン吸収速度の低下を招くという課題がある。
【0078】
これらの課題を解決するために、本実施の形態では、凝縮現象を活用する手法を採用している。すなわち、本実施の形態では、第1洗浄部21の温度よりも第2洗浄部22の温度を低くして、第1洗浄部21から排出された脱炭酸燃焼排ガス3が第2洗浄部22を通過する際に冷却されて、脱炭酸燃焼排ガス3が含有する水蒸気を凝縮させている。凝縮された水分を活用して、上記課題の解決を図っている。
【0079】
第1洗浄部21の温度よりも第2洗浄部22の温度を低くする方法としては、2つ考えられる。一つ目は、第1洗浄部21を加熱する方法、二つ目は、第2洗浄部22を冷却する方法である。
【0080】
洗浄液中のアミン蒸気圧を低減することを目的として、洗浄液を冷却することがある。しかしながら、一般的な洗浄液の運用温度が30℃〜40℃程度であるのに対し、冷却された洗浄液の温度は20℃〜30℃程度に留まり、冷却によって得られる温度差は小さくなる。このことから、第2洗浄液12を冷却することによって第1洗浄部21と第2洗浄部22との温度差を大きくすることは困難となる。また、温度差を拡大するために第2洗浄液12を冷却能力の高いチラーなどを用いて冷却した場合には、洗浄液の温度をより一層下げることができるものの、冷却に要するエネルギーが急増してしまう。二酸化炭素回収システム1の大きな課題の一つが、二酸化炭素を回収するために要するエネルギーをいかに低減するかである。このため、脱炭酸燃焼排ガス3を冷却するためのエネルギーが増大することは好ましくない。
【0081】
そこで、本実施の形態では、二酸化炭素回収システム1の外部(周辺設備)での廃熱を活用する。すなわち、通常では常温でまたは冷却されて使用される第1洗浄液11を廃熱で加熱することで、第1洗浄部21の温度を上昇させている。これにより第1洗浄部21と第2洗浄部22との温度差を拡大させて、第2洗浄部22における凝縮水分量を増大させている。第1洗浄部21の温度は、二酸化炭素回収部20aの上端部での温度よりも5℃〜50℃高いことが好ましく、10℃〜30℃高いことがより一層好ましい。
【0082】
凝縮現象を活用することにより上述した3つの課題が解決される理由を以下に述べる。
【0083】
[1]凝縮は、充填層の空隙を流れる脱炭酸燃焼排ガス3から発生する。脱炭酸燃焼排ガス3は、充填層を均一に流れる。このため、凝縮された水分によって充填層の表面を均一に濡らすことができ、脱炭酸燃焼排ガス3が洗浄されることなく充填層をすり抜けることを抑制できる。
【0084】
[2]凝縮は、小粒径ミストを核として発生する。このため、凝縮水分量を増大させることにより、ミスト径を増大させる効果が見込める。ミスト径が増大すると、ミストが充填層またはデミスターによって捕捉されやすくなる。
【0085】
[3]凝縮水分量を増大させることにより、凝縮された水分が洗浄液に取り込まれる。このことにより、凝縮が発生している間、洗浄液の気液接触界面が、凝縮された水分によって置き換わる。このため、気液接触界面における洗浄液のアミン濃度を低濃度に維持することができ、アミン吸収速度の低下を抑制することができる。
【0086】
このようにして、上述した3つの課題を解決することができ、脱炭酸燃焼排ガス3からのアミンの吸収速度を高めてアミンを効果的に捕捉し、アミンの回収量が低下することを抑制できる。
【0087】
図1に示す二酸化炭素回収システムの運転中、吸収塔20の二酸化炭素回収部20aにおいて、燃焼排ガス2は、リーン液用冷却器35から供給されたリーン液5と気液接触して、二酸化炭素をリーン液5に吸収させ、脱炭酸燃焼排ガス3として二酸化炭素回収部20aから排出される。排出された脱炭酸燃焼排ガス3は、吸収塔容器20c内を上昇し、第1デミスター81および第1洗浄部21の第1洗浄液貯留部21cを通過して第1回収部21aに達する。
【0088】
一方、第1洗浄液貯留部21cに貯留された第1洗浄液11は、第1循環ポンプ51によって第1洗浄液貯留部21cから抜き出され、第1循環ライン50を通って第1液分散器21bに供給される。この間、第1洗浄液11は、第1加熱器52aおよび第2加熱器52bによって加熱される。
【0089】
すなわち、第1洗浄液11は、まず、第1加熱器52aによって加熱される。第1加熱器52aにおいては、再生塔30から排出されて熱交換器31を通過したリーン液5を熱源として、第1洗浄液11は加熱される。熱交換器31を通過したリーン液5は、二酸化炭素回収部20aの上端部の温度より高い温度を有しているため、このリーン液5によって加熱された第1洗浄液11の温度を、二酸化炭素回収部20aの上端部の温度より高く、かつ第2洗浄液12の温度より高くすることができる。第1加熱器52aから排出されたリーン液5は、第1洗浄液11を加熱する代わりに冷却されているため、リーン液用冷却器35においてリーン液5を冷却するために必要となるエネルギーを低減することができる。
【0090】
第1加熱器52aによって加熱された第1洗浄液11は、続いて、第2加熱器52bによって更に加熱される。第2加熱器52bにおいては、リボイラー33から排出された加熱媒体6を熱源として、第1洗浄液11は加熱される。リボイラー33を通過した加熱媒体6の温度は、熱交換器31から排出されたリーン液5の温度よりも高いため、この加熱媒体6によって、第1加熱器52aで加熱された第1洗浄液11を更に加熱することができ、第1洗浄液11の温度を、より一層高くすることができる。
【0091】
このようにして、第1洗浄液11の温度を、二酸化炭素回収部20aの上端部の温度より高くすることができる。
【0092】
第1回収部21aにおいて、脱炭酸燃焼排ガス3と、加熱された第1洗浄液11とが気液接触し、脱炭酸燃焼排ガス3が洗浄される。このことにより、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するが第1洗浄液11に吸収されて回収される。第1回収部21aにおいて脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄した第1洗浄液11は、第1回収部21aから流下して第1洗浄液貯留部21cに貯留される。
【0093】
また、第1回収部21aには、加熱された第1洗浄液11が供給されるため、第1回収部21aの温度が高くなる。このため、脱炭酸燃焼排ガス3は第1洗浄液11によって加熱され、脱炭酸燃焼排ガス3の温度は上昇する。この脱炭酸燃焼排ガス3は、第1回収部21aから排出されて、吸収塔容器20c内を更に上昇し、第2デミスター82および第2洗浄部22の第2洗浄液貯留部22cを通過して、第2回収部22aに達する。
【0094】
一方、第2洗浄液貯留部22cに貯留された第2洗浄液12は、第2循環ポンプ55によって第2洗浄液貯留部22cから抜き出され、第2循環ライン54を通って第2液分散器22bに供給される。この間、第2洗浄液12は、第2洗浄用冷却器56によって冷却される。
【0095】
第2回収部22aにおいて、加熱された脱炭酸燃焼排ガス3と、冷却された第2洗浄液12とが気液接触し、脱炭酸燃焼排ガス3が洗浄される。このことにより、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンが第2洗浄液12に吸収されて回収される。第2回収部22aにおいて脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄した第2洗浄液12は、第2回収部22aから流下して第2洗浄液貯留部22cに貯留される。
【0096】
また、第2回収部22aには、冷却された第2洗浄液12が供給されるため、第2回収部22aの温度は低くなる。このため、脱炭酸燃焼排ガス3は第2洗浄液12によって冷却され、脱炭酸燃焼排ガス3の温度は低下する。脱炭酸燃焼排ガス3の温度低下により、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴していた水蒸気が凝縮して、凝縮した水分が、第2洗浄液12に取り込まれる。すなわち、第1洗浄部21と第2洗浄部22との温度差が拡大しているため、第2洗浄液12によって冷却される脱炭酸燃焼排ガス3の温度低下幅が大きくなる。このため、脱炭酸燃焼排ガス3から第2洗浄液12に取り込まれる凝縮水分量を増大させることができる。この場合、第2洗浄液12のアミン濃度が低下し得る。
【0097】
第2洗浄液12により洗浄された脱炭酸燃焼排ガス3は、第2回収部22aから排出されて、吸収塔容器20c内を更に上昇し、第3デミスター83および第3洗浄部23の第3洗浄液貯留部23cを通過して、第3回収部23aに達する。
【0098】
一方、第3洗浄液貯留部23cに貯留された第3洗浄液13は、第3循環ポンプ58によって第3洗浄液貯留部23cから抜き出され、第3循環ライン57を通って第3液分散器23bに供給される。この間、第3洗浄液13は、第3洗浄用冷却器59によって冷却される。
【0099】
第3回収部23aにおいて、脱炭酸燃焼排ガス3と、冷却された第3洗浄液13とが気液接触し、脱炭酸燃焼排ガス3が洗浄される。このことにより、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンが第3洗浄液13に吸収されて回収される。第3回収部23aにおいて脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄した第3洗浄液13は、第3回収部23aから流下して第3洗浄液貯留部23cに貯留される。
【0100】
また、第3回収部23aには、冷却された第3洗浄液13が供給されるため、第3回収部23aの温度は低くなる。このため、脱炭酸燃焼排ガス3は第3洗浄液13によって冷却され、脱炭酸燃焼排ガス3の温度は低下する。脱炭酸燃焼排ガス3の温度低下により、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴していた水蒸気が凝縮して、凝縮した水分が、第3洗浄液13に取り込まれる。
【0101】
第3洗浄液13により洗浄された脱炭酸燃焼排ガス3は、第3回収部23aから排出されて、吸収塔容器20c内を更に上昇し、第4デミスター84を通過して、吸収塔容器20cの頂部から排出される。吸収塔20から排出された脱炭酸燃焼排ガス3は、洗浄塔70の第4回収部70aに達する。
【0102】
一方、洗浄塔容器70cに貯留された第4洗浄液15は、第4循環ポンプ72によって洗浄塔容器70cから抜き出され、第4循環ライン71を通って第4液分散器70bに供給される。この間、第4洗浄液15は、第4洗浄用冷却器73によって冷却される。
【0103】
第4回収部70aにおいて、脱炭酸燃焼排ガス3と、冷却された第4洗浄液15とが気液接触し、脱炭酸燃焼排ガス3が洗浄される。このことにより、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンが第4洗浄液15に吸収されて回収される。とりわけ、第4洗浄液15が酸を含んでいることにより、脱炭酸燃焼排ガス3に残存するアミンを更に回収することができる。第4回収部70aにおいて脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄した第4洗浄液15は、第4回収部70aから流下して洗浄塔容器70cに貯留される。
【0104】
また、第4回収部70aに供給された脱炭酸燃焼排ガス3の温度が第4洗浄液15よりも高い場合には脱炭酸燃焼排ガス3は第4洗浄液15によって冷却され、脱炭酸燃焼排ガス3の温度は低下する。脱炭酸燃焼排ガス3の温度低下により、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴していた水蒸気が凝縮して、凝縮した水分が、第4洗浄液15に取り込まれる。
【0105】
第4洗浄液15により洗浄された脱炭酸燃焼排ガス3は、洗浄塔容器70cの頂部から排出され、大気に放出される。
【0106】
ところで、二酸化炭素回収システム1の運転中、第2洗浄部22の第2洗浄液貯留部22cから排出された第2洗浄液12の一部は、第1バイパスライン62を通って第3循環ライン57に供給されて、第3洗浄液13に混入される。ここで、第2洗浄液12の一部を第3洗浄液13に混入させることの利点について以下に説明する。
【0107】
一般に、洗浄対象である脱炭酸燃焼排ガス3のアミン濃度が低くなればなるほど、気液平衡の観点から、洗浄液のアミン濃度は低い方が好ましい。このため、
図1に示す形態のように、第1洗浄部21、第2洗浄部22、および第3洗浄部23によって脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンを回収する場合には、下流段の洗浄部の方が、脱炭酸燃焼排ガス3のアミン濃度が低くなるため、下流段の洗浄液のアミン濃度は低い方がよい。
【0108】
これに対して第1の実施の形態では、上述したように、第1洗浄部21の温度と、第2洗浄部22の温度との温度差を拡大させている。このことにより、第2回収部22aにおいて、脱炭酸燃焼排ガス3から第2洗浄液12に取り込まれ凝縮水分量を増大させている。このような凝縮して得られた水分を第2洗浄液12に取り込むことは、メークアップとして洗浄補給液14が補給されることと同様の効果を奏し、第2洗浄液12のアミン濃度を低くすることに寄与する。すなわち、第2洗浄液12のアミン濃度を、下流段となる第3洗浄部23における第3洗浄液13のアミン濃度よりも低くすることができる。このため、アミン濃度が低い第2洗浄液12の一部を、第1バイパスライン62を介して第3洗浄液13に混入させることにより、第3洗浄液13のアミン濃度を低くすることができる。この場合には、第2洗浄液12が第3洗浄液13として再利用されるため、第2洗浄液12を廃棄することが不要になり、洗浄液の廃棄量を低減することにも貢献し得る。更に言えば、洗浄補給液14の補給量を低減することもでき、洗浄補給液14の調達コストを低減することができる。
【0109】
また、二酸化炭素回収システム1の運転中、第3循環ライン57に連結された補給液供給源60から、洗浄補給液14が第3洗浄液13に補給される。このことにより、第3洗浄液13が、メークアップされてアミン濃度がより一層低減され、第3洗浄部23の第3回収部23aにおけるアミン回収性能の低下をより一層防止できる。
【0110】
また、第3洗浄部23の第3洗浄液貯留部23cから排出された第3洗浄液13の一部は、第2バイパスライン64を通って第1循環ライン50に供給され、第1洗浄液11に混入される。すなわち、第3洗浄部23における脱炭酸燃焼排ガス3のアミン濃度は比較的低いため、第3洗浄液13のアミン濃度が高くなった場合には、第3洗浄部23の第3回収部23aにおけるアミン回収性能が低下し得る。この場合には、第3洗浄液13は、アミン濃度が比較的高い脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄する第1洗浄液11若しくは第2洗浄液12に混入させて再利用することが好適である。
【0111】
しかしながら、第2洗浄液12のアミン濃度は、上述したように低くなっている。このため、第3洗浄液13は、第2洗浄液12よりも第1洗浄液11に混入させることが効果的である。
【0112】
このため、本実施の形態では、第3循環ライン57と第1循環ライン50とが、第2バイパスライン64によって連結されている。このことにより、第3洗浄液13の一部が、第1洗浄液11に混入される。第1回収部21aにおける脱炭酸燃焼排ガス3のアミン濃度は比較的高いため、第1洗浄液11は、第3洗浄液13のアミン濃度より高くても、アミンを効果的に回収することができる。このため、第3洗浄液13が第1洗浄液11として再利用されるため、第3洗浄液13を廃棄することが不要になり、洗浄液の廃棄量を低減することにも貢献し得る。
【0113】
なお、図示しないが、第1洗浄部21の第1洗浄液貯留部21cまたは第1循環ライン50に、廃棄ラインが連結されていることが好ましい。例えば、第1洗浄液11のアミン濃度が高くなった場合や、第1洗浄液貯留部21cに貯留された第1洗浄液11の液面レベルが高くなった場合には、この廃棄ラインを介して第1洗浄液11の一部を廃棄してもよい。この場合であっても、上述したように第2洗浄液12を第3洗浄液13として再利用し、第3洗浄液13を第1洗浄液11として再利用しているため、全体として洗浄液の廃棄量を低減することができる。
【0114】
このように本実施の形態によれば、第1洗浄部21と第2洗浄部22との温度差の拡大によって、脱炭酸燃焼排ガス3から第2洗浄液12に取り込まれる凝縮水分量が増大するため、第2洗浄液12のアミン濃度を低減することができる。そして、アミン濃度が低い第2洗浄液12の一部が、第1バイパスライン62によって第3洗浄液13に混入される。このことにより、第3洗浄液13のアミン濃度を低減することができ、第3洗浄部23において、アミン濃度が比較的低い脱炭酸燃焼排ガス3に対するアミン回収性能が低下することを防止できる。また、第2洗浄液12は、第3洗浄液13として再利用されるため、第2洗浄液12を廃棄することが不要になり、洗浄液の廃棄量を低減することができる。この結果、脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄液で洗浄してアミンの大気中への放出量を低減することができるとともに洗浄液の廃棄量を低減することができる。
【0115】
また、本実施の形態によれば、第2洗浄液12は、第2洗浄用冷却器56によって冷却される。このことにより、第1洗浄部21の温度と第2洗浄部22の温度との温度差をより一層拡大させることができる。このため、脱炭酸燃焼排ガス3から第2洗浄液12に取り込まれる凝縮水分量を増大させて、第2洗浄液12のアミン濃度をより一層低減することができる。
【0116】
また、本実施の形態によれば、第1バイパスライン62は、第3循環ライン57のうち第3洗浄用冷却器59より上流側の部分に連結されている。このことにより、第3洗浄液13に混入された第2洗浄液12を、第3洗浄部23に供給する前に第3洗浄用冷却器59によって冷却することができる。このため、第3洗浄部23におけるアミン回収性能が低下することを防止できる。
【0117】
また、本実施の形態によれば、第3洗浄液13の一部が、第2バイパスライン64によって第1洗浄液11に混入される。このことにより、第1洗浄液11のアミン濃度を低減することができ、第1洗浄部21において、第1洗浄部21におけるアミン回収性能が低下することを防止できる。また、第3洗浄液13は、第1洗浄液11として再利用されるため、第3洗浄液13を廃棄することが不要になり、洗浄液の廃棄量を低減することができる。
【0118】
また、本実施の形態によれば、第2バイパスライン64は、第1循環ライン50のうち第1加熱器52aより上流側の部分に連結されている。このことにより、第1洗浄液11に混入された第3洗浄液13を、第1洗浄部21に供給する前に第1加熱器52aによって加熱することができる。このため、第1洗浄部21における脱炭酸燃焼排ガス3の温度低下を防止し、第1洗浄部21と第2洗浄部22との温度差を確保することができる。
【0119】
また、本実施の形態によれば、補給液供給源60によって第3洗浄液13に洗浄補給液14が補給される。このことにより、第3洗浄液13のアミン濃度を低減することができ、第3洗浄部23におけるアミン回収性能が低下することを防止できる。
【0120】
また、本実施の形態によれば、第3洗浄部23から排出された脱炭酸燃焼排ガス3を、洗浄塔70において洗浄する第4洗浄液15が酸を含んでいる。このことにより、第3洗浄部23を通過したことによりアミン濃度が低くなった脱炭酸燃焼排ガス3であっても、アミン吸収速度が低下することを抑制できる。このため、アミンを効果的に回収し、洗浄塔70から排出される脱炭酸燃焼排ガス3のアミン濃度をより一層低減することができる。
【0121】
また、本実施の形態によれば、洗浄塔70が、吸収塔20とは別体に構成されている。このことにより、酸を含む第4洗浄液15が、吸収液4、5に混入することを防止できる。このため、アルカリ性である吸収液4、5の劣化が促進されることを防止できる。また、第4洗浄液15が第1洗浄液11、第2洗浄液12、第3洗浄液13に混入すると、これらの洗浄液11、12、13を吸収液として再利用することが困難になる。しかしながら、本実施の形態によれば、洗浄塔70を吸収塔20とは別体に構成することにより、洗浄液11、12、13を吸収液として再利用することが可能になる。更には、洗浄液11、12、13に酸を含む第4洗浄液15が混入すると、洗浄液11、12、13の廃棄が困難になるという問題もあるが、本実施の形態ではこのような問題も回避することができる。
【0122】
また、本実施の形態によれば、第2加熱器52bが、第1加熱器52aにより加熱された第1洗浄液11を加熱する。このことにより、第1加熱器52aにより加熱された第1洗浄液11を、更に加熱することができ、第1洗浄液11の温度をより一層高くすることができる。とりわけ、本実施の形態では、第1加熱器52aの熱源は、再生塔30から排出されて熱交換器31を通過したリーン液5になっているため、第1洗浄液11の温度を、二酸化炭素回収部20aの上端部の温度より高く、かつ第2洗浄液12の温度より高くすることができる。また、第2加熱器52bの熱源は、リボイラー33から排出された加熱媒体6になっており、この加熱媒体6はリーン液5の温度よりも高くなっているため、第1洗浄液11の温度をより一層高くすることができる。この場合、第1洗浄部21と第2洗浄部22との温度差をより一層拡大させることができる。このため、脱炭酸燃焼排ガス3から第2洗浄液12に取り込まれる凝縮水分量を増大させて、第2洗浄液12のアミン濃度をより一層低減することができる。
【0123】
また、本実施の形態によれば、第1洗浄部21の上方に、第2デミスター82が設けられている。このことにより、脱炭酸燃焼排ガス3が、第1洗浄部21の第1回収部21aから排出されてからデミスターに至るまでの時間を短縮することができ、第1回収部21aを通過することによって成長したミストを効率良く捕捉することができる。すなわち、第1回収部21aにおいて、脱炭酸燃焼排ガス3が第1洗浄液11と気液接触することにより、脱炭酸燃焼排ガス3に含有されるミストが成長し肥大化する。このことにより、第2デミスター82によって捕捉可能な程度に肥大化したミストが縮小化する前に、第1回収部21aから排出された脱炭酸燃焼排ガス3を、第2デミスター82を通過させることで、ミストを効果的に捕捉することができる。
【0124】
さらに、本実施の形態によれば、第2洗浄部22の上方に、第3デミスター83が設けられている。このことにより、脱炭酸燃焼排ガス3が、第2洗浄部22の第2回収部22aから排出されてからデミスターに至るまでの時間を短縮することができ、第2回収部22aを通過することによって成長したミストを効率良く捕捉することができる。すなわち、第2回収部22aにおいて、脱炭酸燃焼排ガス3が第2洗浄液12と気液接触するとともに第2洗浄液12によって冷却されて、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する水蒸気が凝縮することにより、脱炭酸燃焼排ガス3に含有されるミストが成長し肥大化する。このことにより、第3デミスター83によって捕捉可能な程度に肥大化したミストが縮小化する前に、第2回収部22aから排出された脱炭酸燃焼排ガス3を、第3デミスター83を通過させることで、ミストを効果的に捕捉することができる。
【0125】
なお、上述した本実施の形態においては、第3循環ライン57に、第3洗浄液13に洗浄補給液14を供給する補給液供給源60が設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第3循環ライン57には、このような補給液供給源60は設けられていなくてもよい。この場合であっても、第1バイパスライン62によって供給される第2洗浄液12によって、第3洗浄液13をメークアップすることができる。また、補給液供給源60は、第2循環ライン54に設けるようにしてもよい。この場合には、第2洗浄液12に洗浄補給液14を供給することができ、第2洗浄液12のアミン濃度を低減して、第2洗浄部22におけるアミン回収性能が低下することを防止できる。
【0126】
また、上述した本実施の形態においては、吸収塔20の第3洗浄部23から排出された脱炭酸燃焼排ガス3が、洗浄塔70によって洗浄される例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第3洗浄部23から排出された脱炭酸燃焼排ガス3のアミン濃度が十分に低減されているとみなすことができれば、洗浄塔70を省略することができる。
【0127】
また、上述した本実施の形態においては、第2加熱器52bが、第1加熱器52aにより加熱された第1洗浄液11を加熱する例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第1加熱器52aから排出された第1洗浄液11の温度が十分に高まっているとみなすことができれば、第2加熱器52bを省略することができる。
【0128】
また、上述した本実施の形態においては、第1加熱器52aの熱源が、再生塔30から排出されて熱交換器31を通過したリーン液5である例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、
図2に示すように、第1加熱器52aの熱源は、吸収塔20に供給される前の燃焼排ガス2であってもよい。
【0129】
図2に示す変形例では、吸収塔20に供給される前の燃焼排ガス2が、第1加熱器52aに供給されて第1洗浄液11を加熱し、その後、吸収塔20に供給される。この場合においても、第1洗浄液11の温度を燃焼排ガス2によって上昇させることができるとともに、第1洗浄液11を加熱するために要するエネルギーに、廃熱を有効利用することができる。一般に、ボイラーから排出される燃焼排ガス2は、二酸化炭素回収部20aの上端部の温度より高い温度を有している。このことにより、ボイラーから排出された燃焼排ガス2によって、第1洗浄液11を加熱して、第1洗浄液11の温度を、二酸化炭素回収部20aの上端部の温度より高く、かつ第2洗浄液12の温度より高くすることができる。
【0130】
より具体的には、火力発電所のボイラーから排出される燃焼排ガスは、脱硝装置、脱塵装置、脱硫装置などを通過して二酸化炭素回収システム1に供給されるが、二酸化炭素回収システム1に供給される前の燃焼排ガス2の温度は、50℃〜90℃程度となっている。このことにより、燃焼排ガス2は、二酸化炭素回収システム1に供給される前に排ガス用冷却器(図示せず)によって冷却されることが多い。このため、
図2に示す形態によれば、燃焼排ガス2は、第1加熱器52aによって第1洗浄液11を加熱することにより冷却されるため、排ガス用冷却器において燃焼排ガス2を冷却するために要するエネルギーを低減することができ、場合によっては、排ガス用冷却器を省略することも可能となる。なお、
図2においては、熱交換器31から排出されたリーン液5は、第1加熱器52aに供給されることなく、リーン液用冷却器35に供給されるようになっている。
【0131】
また、第1加熱器52aの熱源は、リボイラー33から排出された加熱媒体6であってもよい。上述したように、この加熱媒体6は、リーン液5の温度よりも高くなっているため、第1洗浄液11の温度を、二酸化炭素回収部20aの上端部の温度より高く、かつ第2洗浄液12の温度より高くすることができる。この場合には、第2加熱器52bは省略してもよい。更に言えば、第1加熱器52aは、所望の温度まで第1洗浄液11を加熱することができれば任意であり、電気ヒータによって構成されていてもよい。
【0132】
さらに、上述した本実施の形態においては、第1洗浄部21の上方に第2デミスター82が設けられ、第2洗浄部22の上方に第3デミスター83が設けられている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、第2デミスター82および第3デミスター83のうちの少なくとも一方は設けられていなくてもよい。
【0133】
(第2の実施の形態)
次に、
図3を用いて、本発明の第2の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0134】
図3に示す第2の実施の形態においては、洗浄液供給源から第2洗浄部に第2洗浄液が供給され、第2洗浄部から排出された第2洗浄液が、第2洗浄部に供給されることなく、第1バイパスラインを介して第3洗浄液に混入される点が主に異なり、他の構成は、
図1に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図3において、
図1および
図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0135】
本実施の形態においては、
図3に示すように、第2洗浄部22には、洗浄液供給源90が連結されている。この洗浄液供給源90は、アミン濃度が低い液体(例えば、純水)を第2洗浄液として、第2洗浄部22に供給するように構成されている。第2洗浄部22の第2液分散器22bと洗浄液供給源90とは、洗浄液ライン91によって連結されている。この洗浄液ライン91には、上述した第2洗浄用冷却器56が設けられている。このことにより、洗浄液供給源90から供給された第2洗浄液12は、第2洗浄用冷却器56で冷却されて、その後、第2液分散器22bを介して第2回収部22aに供給される。なお、洗浄液供給源90は、第2洗浄液12を洗浄液ライン91に供給するためのポンプを内蔵していてもよく、あるいは、そのようなポンプを洗浄液ライン91に設けるようにしてもよい。
【0136】
図3に示すように、第1バイパスライン62の上流端は、第2洗浄液貯留部22cに連結されている。そして、第1バイパスライン62には、バイパスポンプ92が設けられており、第2洗浄液貯留部22cに貯留された第2洗浄液12を抜き出して第3循環ライン57に供給する。このことにより、第2洗浄液12が第3洗浄液13に混入する。
【0137】
このような構成により、洗浄液供給源90から第2洗浄部22の第2回収部22aに第2洗浄液12が供給され、脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄し、第2洗浄液貯留部22cに貯留される。第2洗浄液貯留部22cに貯留された第2洗浄液12は、バイパスポンプ92によって第2洗浄液貯留部22cから抜き出され、第1バイパスライン62を介して第3循環ライン57に供給される。すなわち、本実施の形態では、
図1等に示す第2循環ライン54は設けられていない。このことにより、第2洗浄液貯留部22cから排出された第2洗浄液12が、再び第2回収部22aに供給されることなく、第3洗浄液13に混入される。このため、第2洗浄液12は、循環することなく、第2回収部22aを1度通過すると第3洗浄液13に混入される。この場合、第2洗浄液貯留部22cから排出された全ての第2洗浄液12が第3洗浄液13に混入されることが好適である。
【0138】
このように本実施の形態によれば、洗浄液供給源90から第2洗浄部22に供給された第2洗浄液12は、再び第2洗浄部22に供給されることなく、第1バイパスライン62によって第3循環ライン57に供給される。このため、第2洗浄部22に供給される第2洗浄液12のアミン濃度が高まることを防止でき、第2洗浄部22におけるアミン回収性能を向上させることができる。また、第2洗浄液12は、第3洗浄液13として再利用されるため、第2洗浄液12を廃棄することが不要になり、洗浄液の廃棄量を低減することができる。
【0139】
(第3の実施の形態)
次に、
図4を用いて、本発明の第3の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0140】
図4に示す第3の実施の形態においては、第2液分散器から洗浄液貯留部にわたって、落下する第2洗浄液と上昇する脱炭酸燃焼排ガスとが気液接触する気液接触空間が形成されている点が主に異なり、他の構成は、
図1に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図4において、
図1および
図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0141】
本実施の形態においては、
図4に示すように、第2洗浄部22の第2液分散器22bと第2洗浄液貯留部22cとの間に、気液接触空間100が形成されている。この気液接触空間100は、第2液分散器22bから分散されて落下する第2洗浄液12と、第2洗浄液貯留部22cを通過して上昇する脱炭酸燃焼排ガス3とが気液接触する空間である。気液接触空間100は、第2液分散器22bから第2洗浄液貯留部22cにわたって形成されている。
【0142】
すなわち、本実施の形態では、第2液分散器22bと第2洗浄液貯留部22cとの間には、第2洗浄液12を付着させて第2洗浄液12と脱炭酸燃焼排ガス3との接触面積を増大させるための充填層や棚段は設けられていない。より好適には、第2液分散器22bと第2洗浄液貯留部22cとの間には、第2洗浄液12を付着させるための部材は設けられておらず、第2液分散器22bから分散落下した第2洗浄液12の液滴は、吸収塔容器20cの内壁以外に触れることなく、第2洗浄液貯留部22cに達するようになっている。なお、第2洗浄液貯留部22cは、第2洗浄液を貯留する貯留部本体と、貯留部本体の間に設けられた、脱炭酸燃焼排ガス3が通過する開口部と、開口部を上方から覆い、第2洗浄液12が開口部に落下することを防止するためのカバーと、によって構成されている。
【0143】
ここで、
図1等に示す形態のように第2回収部22aとして充填層を用いて脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄する場合について説明すると、充填層に供給された第2洗浄液12は、充填層を構成する部材の表面に付着する。この場合、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する水蒸気からの凝縮は、主として、充填層に付着した第2洗浄液12の表面で行われ、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミストに対してはあまり行われない傾向にある。このため、デミスターで捕捉可能な程度までミスト径を増大させることが困難になっている。
【0144】
これに対して本実施の形態によれば、第2液分散器22bから第2洗浄液貯留部22cにわたって気液接触空間100が形成されているため、上昇する脱炭酸燃焼排ガス3に対して均等に第2洗浄液12を分散落下させることができる。このため、第2洗浄液12による脱炭酸燃焼排ガス3の冷却を均等化させることができ、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミストへの凝縮を促進させて、ミストを成長させることができる。また、第2洗浄液12の液滴が、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミストに接触して取り込まれるため、この点においてもミストを成長させることができる。この結果、成長したミストを第3デミスター83で捕捉することができ、アミンの大気中への放出量をより一層低減することができる。なお、脱炭酸燃焼排ガス3の冷却を均等化させるためには、第2洗浄液12を第2液分散器22bからスプレー噴射することにより、気液接触空間100内で分散落下することが可能な範囲で第2洗浄液12の液滴を細かくすることが好適である。
【0145】
以上述べた実施の形態によれば、燃焼排ガスを洗浄液で洗浄してアミンの大気中への放出量を低減することができるとともに洗浄液の廃棄量を低減することができる。
【0146】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。