(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記窪み部及び前記突出部には、前記一面が前記底面に対してすべるのを抑制するために、互いに当接する当接面がそれぞれ形成されている、請求項1に記載のすべり材ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
[すべり支承]
図1は、本発明の第1実施形態に係るすべり材ユニットを備えたすべり支承の側断面図である。
図2は、そのすべり支承(ホルダ23以下の構造)の平面図である。
図1及び
図2において、本実施形態のすべり支承1は、ビルや戸建住宅等の構造物の下部構造体51と上部構造体52との間に配設され、下部構造体51に対して上部構造体52を水平方向に滑動自在に支持する剛すべり支承からなる。
【0013】
すべり支承1は、下部構造体51の上面に設置されたすべり板ユニット10と、上部構造体52の下面に設置されたすべり材ユニット20とによって構成されている。
すべり板ユニット10は、下部構造体51の上面に固定されたソールプレート11と、このソールプレート11の上面に固定されたすべり板(スライドプレート)12とを備えている。
【0014】
ソールプレート11は、例えば一般構造用圧延鋼材等の鋼板によって正方形状の外形に形成されている。すべり板12は、例えばステンレス製の鋼板によって八角形状の外形に形成されている。すべり板12の上面は、後述するすべり材24の摺動面24bが摺動するすべり面12aとされている。すべり面12aには、摩擦抵抗を小さくして前記摺動面24bのすべり性を向上させるために、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)がコーティングされているか、或いは、磨き作業等による平滑処理が施されている。
【0015】
[すべり材ユニット]
すべり材ユニット20は、ベースポット21、弾性ゴム22、ホルダ(ベアリングホルダ)23、及びすべり材(ベアリング)24を備えている。なお、すべり材ユニット20は、少なくともホルダ23及びすべり材24を備えていればよい。また、
図2では、説明の便宜上、ベースポット21及び弾性ゴム22の図示を省略している。
【0016】
ベースポット21は、例えば一般構造用圧延鋼材等の鋼板によって正方形状の外形に形成されている。このベースポット21には、好ましくは、すべり材24よりも高い熱伝導性を有する材料が用いられる。また、ベースポット21は、上部構造体52の下面に固定されている。ベースポット21には、下側に開口する溝部21aが形成されており、この溝部21aは、図示を省略するが、平面視において円形に形成されている。
【0017】
ホルダ23は、すべり材24よりも高い熱伝導性を有する材料(例えばステンレス製の鋼板)によって、円板形状の外形に形成されている。ホルダ23の上端部は、ベースポット21の溝部21aに嵌め込まれている。溝部21aの底面とホルダ23の上面との間には、シート状の弾性ゴム22が介在している。ホルダ23の下面には、平面視において円形の溝部23aが形成されている。なお、ホルダ23は、すべり材24と同じ熱伝導性を有する材料により形成されていてもよい。
【0018】
すべり材24は、例えばPTFE等のフッ素樹脂又はポリアミド等の樹脂によって、円板形状の外形に形成されている。そして、すべり材24は、ホルダ23の溝部23aに嵌め込まれている。具体的には、すべり材24は、その上面24aが溝部23aの底面23bに対向した状態で、当該溝部23aに嵌め込まれている。すべり材24の下面は、上記すべり板12のすべり面12aに対して摺動する摺動面24bとされている。
【0019】
[窪み部及び突出部]
図3Aは、すべり材ユニット20の側断面図である。
図3Bは、
図3AのA−A矢視断面図である。なお、
図3A及び
図3Bでは、ベースポット21及び弾性ゴム22の図示を省略している(後述する
図4A、
図4B、
図5A、
図5B、
図6A及び
図6Bも同様)。
図3A及び
図3Bにおいて、すべり材24の上面24aは、平坦状に形成された平坦面24a1と、この平坦面24a1に対して窪んでいる複数の窪み部25とを有している。
【0020】
本実施形態の複数の窪み部25は、
図3Bに示すように、すべり材24の中心Xと同心となるように、平面視において環状に形成されており、径方向内側に形成された小径の第1窪み部25Aと、径方向外側に形成された大径の第2窪み部25Bとからなる。以下、本実施形態において、第1及び第2窪み部25A,25Bの共通事項を説明する場合は、窪み部25と総称する。
【0021】
本実施形態の窪み部25は、
図3Aに示すように、断面凹状に形成されており、平坦状に形成された窪み面251と、窪み面251の内周端縁から真っすぐ上方に延びる内周面252と、窪み面251の外周端縁から真っすぐ上方に延びる外周面253とを有している。
【0022】
一方、ホルダ23の溝部23aの底面23bは、平坦状に形成された平坦面23b1と、この平坦面23b1に対して突出し、窪み部25の形状に沿って当該窪み部25に嵌合される複数の突出部26とを有している。
平坦面23b1は、後述する接着層27を介して、すべり材24の上面24aの平坦面24a1に当接している。
【0023】
本実施形態の各突出部26は、
図3Bに示すように、前記中心Xと同心となるように、平面視において環状に形成されている。すなわち、複数の突出部26は、第1窪み部25Aの形状に沿って当該第1窪み部25Aに嵌合されるように径方向内側に形成された小径の第1突出部26Aと、第2窪み部25Bの形状に沿って当該第2窪み部25Bに嵌合されるように径方向外側に形成された大径の第2突出部26Bとからなる。以下、本実施形態において、第1及び第2突出部26A,26Bの共通事項を説明する場合は、突出部26と総称する。
【0024】
本実施形態の突出部26は、
図3Aに示すように、断面凸状に形成されており、平坦状に形成された突出面261と、この突出面261の内周端縁から真っすぐ上側に延びる内周面262と、突出面261の外周端縁から真っすぐ上方に延びる外周面263とを有している。
【0025】
すべり材24は、接着剤によって、溝部23aに嵌め込まれた状態で固定されている。この接着剤には、好ましくは、熱伝導性を有するものが用いられる。接着剤によって、すべり材24の上面24aと溝部23aの底面23bとの間には、前記接着剤からなる接着層27が形成されている。
【0026】
これにより、第1突出部26Aの突出面261は、接着層27を介して第1窪み部25Aの窪み面251に当接し、第1突出部26Aの内周面262及び外周面263は、接着層27を介して第1窪み部25Aの内周面252及び外周面253にそれぞれ当接している。
また、第2突出部26Bの突出面261は、接着層27を介して第2窪み部25Bの窪み面251に当接し、第2突出部26Bの内周面262及び外周面263は、接着層27を介して第2窪み部25Bの内周面252及び外周面253にそれぞれ当接している。
【0027】
このように、窪み部25に突出部26が嵌合されている状態で、水平面に対して垂直な面となる、内周面252,262同士が互いに当接するとともに、外周面253,263同士が互いに当接する。したがって、本実施形態における内周面252,262及び外周面253,263は、互いに当接することで、地震時にすべり材24の上面24aが溝部23aの底面23bに対して水平方向にすべるのを抑制する当接面とされている。
【0028】
[作用効果]
以上、本実施形態のすべり支承1及びすべり材ユニット20によれば、すべり材24の上面24aの窪み部25に、ホルダ23に形成された溝部23aの底面23bの突出部26が窪み部25の形状に沿って嵌合されるため、窪み部25及び突出部26が無い場合と比べて、溝部23aの底面23bとすべり材24の上面24aとの接触面積を増加させることができる。
【0029】
これにより、すべり材24の摺動面24bにおいて、すべり面12aとの摺動により発生する摩擦熱は、窪み部25及び突出部26を介してホルダ23へ効率的に伝熱させることができる。その結果、すべり材24の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0030】
また、断面凹状の窪み部25に断面凸状の突出部26が嵌合することで、窪み部25の窪み面251と突出部26の突出面261とが鉛直方向に当接し、且つ前記底面23bの平坦面23b1と前記上面24aの平坦面24a1とが鉛直方向に当接するため、窪み部25及び突出部26が無い場合と比べて、前記底面23bと前記上面24aとの鉛直方向の接触面積はほとんど変わらない。したがって、すべり材24の上面24aにおける支圧面(上部構造体52等の鉛直荷重が作用する面。以下、同様。)の大きさは、従来のすべり材と変わらないため、すべり材24の外形を変更することなく、すべり材24の温度上昇を抑制することができる。
【0031】
また、地震が発生したときに、すべり材24の摺動面24bは、すべり板12のすべり面12aとの静止摩擦により当該すべり面12a上に留まろうとするが、ホルダ23は上部構造体52とともに水平方向に移動するため、ホルダ23に対してすべり材24が水平方向に相対的にずれようとする。このため、従来のすべり支承では、例えばすべり材がホルダの溝部に対して水平方向にずれようとして接着層の一部が剥がれる場合があった。その状態で、ホルダと共にすべり板から浮き上がると、すべり材の一部(外縁部)が溝部からはみ出す場合があった。この場合、浮き上がったホルダが元の状態へ戻るときに、すべり材の前記一部がホルダの外縁部とすべり板との間に挟まれて千切れることで、すべり材の支圧面積が減少し、すべり支承の免震性能を十分に発揮させることができなくなるおそれがある。
【0032】
しかし、本実施形態では、地震が発生したときに、ホルダ23の溝部23aの底面23bとすべり材24の上面24aとの間において、窪み部25及び突出部26の当接面同士(内周面252,262同士、及び外周面253,263同士)が互いに当接するため、すべり材24の上面24aが溝部23aの底面23bに対して水平方向にすべるのを抑制することができる。したがって、すべり材24がホルダ23に対してずれるのを抑制しつつ、すべり材24の温度上昇を抑制することができる。
【0033】
また、窪み部25及び突出部26は、環状に形成されているため、すべり材24の摺動面24bで発生する摩擦熱を、環状の窪み部25及び突出部26を介して、ホルダ23の水平方向の全方位に向かって効率的に伝熱させることができるため、すべり材24の温度が上昇するのをさらに抑制することができる。
【0034】
また、環状に形成された窪み部25及び突出部26の内周面252,262同士、及び外周面253,263同士が互いに当接するため、すべり材24の上面24aが、溝部23aの底面23bに対して、水平方向の全方位に向かってすべるのを効果的に抑制することができる。これにより、すべり材24がホルダ23に対してずれるのをさらに抑制することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、第1突出部26A及び第2突出部26Bを接着層27を介して第1窪み部25A及び第2窪み部25Bにそれぞれ当接させているが、これに替えて、第1突出部26A及び第2突出部26Bを接着層27を介さずに第1窪み部25A及び第2窪み部25Bにそれぞれ直接当接させてもよい。
また、第1突出部26Aを接着層27を介さずに第1窪み部25Aに直接当接させ、第2突出部26Bを接着層27を介して第2窪み部25Bに当接させてもよい。この場合、接着層27は、平坦面23b1,24a1同士の間、及び第2窪み部25Bと第2突出部26Bとの間にそれぞれ形成されるが、第1窪み部25Aと第1突出部26Aとの間には形成されないようにする。すなわち、第1突出部26Aは、第1窪み部25Aとの間に接着層27が形成されないように、第2突出部26Bよりも径方向(
図3Aの左右方向)に大きく形成され且つ上下方向に大きく形成される。これにより、第1突出部26Aは、第1窪み部25Aに対して、接着層27を介さずに直接当接するため、すべり材24の摺動面24bで発生した摩擦熱を、第1窪み部25A及び第1突出部26Aを介して、ホルダ23へさらに効率的に伝熱させることができる。その結果、すべり材24の温度が上昇するのを効果的に抑制することができる。
また、窪み部25及び突出部26の各個数は、2つに限定されるものではなく、1つだけであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0036】
[第2実施形態]
図4Aは、本発明の第2実施形態に係るすべり材ユニット20の側断面図である。
図4Bは、
図4AのB−B矢視断面図である。本実施形態のすべり材ユニット20は、第1実施形態の変形例であり、窪み部25及び突出部26の各断面形状が、第1実施形態と相違する。
【0037】
本実施形態の第1及び第2窪み部25A,25Bは、断面凹円弧状に形成されている。また、第1及び第2突出部26A,26Bは、対応する第1及び第2窪み部25A,25Bの形状に沿って、当該第1及び第2窪み部25A,25Bにそれぞれ嵌合されるように、断面凸円弧状に形成されている。
なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
以上、第2実施形態のすべり材ユニット20においても、窪み部25及び突出部26により、溝部23aの底面23bとすべり材24の上面24aとの接触面積を増加させることができる。これにより、すべり材24の摺動面24bで発生する摩擦熱を、窪み部25及び突出部26を介してホルダ23へ効率的に伝熱させることができるため、すべり材24の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0039】
[第3実施形態]
図5Aは、本発明の第3実施形態に係るすべり材ユニット20の側断面図である。
図5Bは、
図5AのC−C矢視断面図である。本実施形態のすべり材ユニット20は、窪み部25及び突出部26の平面視における形状が、第1及び第2実施形態と相違する。
【0040】
本実施形態における複数の窪み部25は、
図5Bに示すように、平面視において短冊状に形成された、第1窪み部25Cと、一対の第2窪み部25Dとからなる。
第1窪み部25Cは、その長手方向がすべり材24の中心線に沿って延びるように形成されている。一対の第2窪み部25Dは、第1窪み部25Cよりも長手方向に短く形成されており、第1窪み部25Cに対して、
図5Bの左右両側にそれぞれ所定間隔をあけて形成されている。以下、本実施形態において、第1及び第2窪み部25C,25Dの共通事項を説明する場合は、窪み部25と総称する。
【0041】
窪み部25は、
図5Aに示すように、断面凹状に形成されており、平坦状に形成された窪み面254と、窪み面254の各長辺側の端縁から真っすぐ上方に延びる一対の第1垂直面255と、窪み面254の各短辺側の端縁から真っすぐ上方に延びる一対の第2垂直面256(
図5B参照)とを有している。
【0042】
複数の突出部26は、対応する第1及び第2窪み部25C,25Dの形状に沿って、当該第1及び第2窪み部25C,25Dにそれぞれ嵌合されるように形成されている。すなわち、複数の突出部26は、
図5Bに示すように、平面視において短冊状に形成された、第1突出部26Cと、一対の第2突出部26Dとからなる。第1突出部26Cは、その長手方向がすべり材24の中心線に沿って延びるように形成されている。
【0043】
一対の第2突出部26Dは、第1突出部26Cよりも長手方向に短く形成されており、第1突出部26Cに対して、
図5Bの左右両側にそれぞれ所定間隔をあけて形成されている。以下、本実施形態において、第1及び第2突出部26C,26Dの共通事項を説明する場合は、突出部26と総称する。
【0044】
突出部26は、
図5Aに示すように、断面凸状に形成されており、平坦状に形成された突出面264と、突出面264の各長辺側の端縁から真っすぐ上方に延びる一対の第1垂直面265と、突出面264の各短辺側の端縁から真っすぐ上方に延びる第2垂直面266(
図5B参照)とを有している。
【0045】
本実施形態では、第1窪み部25Cと第1突出部26Cとの間、及び第2窪み部25Dと第2突出部26Dとの間に、接着層27が形成されている(
図5A参照)。これにより、突出部26の突出面264は、接着層27を介して窪み部25の窪み面254に当接している。同様に、突出部26の一対の第1垂直面265は、接着層27を介して、窪み部25の対応する第1垂直面255にそれぞれ当接しており、突出部26の一対の第2垂直面266は、接着層27を介して、窪み部25の対応する第2垂直面256にそれぞれ当接している。
【0046】
このように、窪み部25に突出部26が嵌合されている状態で、水平面に対して垂直な面となる、第1垂直面255,265同士が互いに当接するとともに、第2垂直面256,266同士が互いに当接する。したがって、本実施形態では、第1垂直面255,265及び第2垂直面256,266は、互いに当接することで、地震時にすべり材24の上面24aが溝部23aの底面23bに対して水平方向にすべるのを抑制する当接面とされている。
【0047】
以上、第3実施形態のすべり材ユニット20においても、窪み部25及び突出部26により、溝部23aの底面23bとすべり材24の上面24aとの接触面積を増加させることができる。これにより、すべり材24の摺動面24bで発生する摩擦熱を、窪み部25及び突出部26を介してホルダ23へ効率的に伝熱させることができるため、すべり材24の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0048】
また、断面凹状の窪み部25に断面凸状の突出部26が嵌合することで、窪み部25の窪み面254と突出部26の突出面264とが鉛直方向に当接し、且つ前記底面23bの平坦面23b1と前記上面24aの平坦面24a1とが鉛直方向に当接するため、窪み部25及び突出部26が無い場合と比べて、前記底面23bと前記上面24aとの鉛直方向の接触面積はほとんど変わらない。したがって、すべり材24の上面24aにおける支圧面の大きさは、従来のすべり材と変わらないため、すべり材24の外形を変更することなく、すべり材24の温度上昇を抑制することができる。
【0049】
また、窪み部25及び突出部26の当接面同士(第1垂直面255,265同士、及び第2垂直面256,266同士)が互いに当接することで、すべり材24の上面24aが溝部23aの底面23bに対して水平方向(
図5Bの上下方向及び左右方向)にすべるのを抑制することができる。これにより、すべり材24がホルダ23に対してずれるのを抑制しつつ、すべり材24の温度上昇を抑制することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、第2窪み部25D(第2突出部26D)を、第1窪み部25C(第1突出部26C)よりも長手方向に短く形成しているが、第1窪み部25C(第1突出部26C)と長手方向に同じ長さに形成してもよいし、第1窪み部25C(第1突出部26C)を長手方向に短く形成することで当該第1窪み部25C(第1突出部26C)よりも長く形成してもよい。
【0051】
また、本実施形態では、3つの突出部26(第1突出部26C及び一対の第2突出部26D)を、いずれも接着層27を介して、対応する窪み部25(第1窪み部25C及び一対の第2窪み部25D)にそれぞれ当接させているが、1つまたは2つの突出部26を、接着層27を介さずに対応する窪み部25に当接させてもよい。
また、窪み部25及び突出部26の各個数は、3つに限定されるものではなく、1つだけ又は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0052】
[第4実施形態]
図6Aは、本発明の第4実施形態に係るすべり材ユニット20の側断面図である。
図6Bは、
図6AのD−D矢視断面図である。本実施形態のすべり材ユニット20は、窪み部25及び突出部26の平面視における形状が、第1〜第3実施形態と相違する。
【0053】
本実施形態において、すべり材24の上面24aは、単一の窪み部25を有している。この窪み部25は、
図6Bに示すように、平面視において十字形状に形成されている。また、窪み部25は、
図6Aに示すように、断面凹状に形成されており、平坦状に形成された窪み面257を有している。窪み面257は、
図6Bに示すように、平面視において十字状に形成されている。
【0054】
また、窪み部25は、
図6Bに示すように、窪み面257の中心部から四方に向かってそれぞれ延びる部分の幅方向両端縁から真っすぐ上方に延びる複数(8つ)の第1垂直面258と、窪み面257の四方の各先端縁から真っすぐ上方に延びる複数(4つ)の第2垂直面259とを有している。
【0055】
本実施形態において、溝部23aの底面23bは、単一の突出部26を有している。この突出部26は、窪み部25の形状に沿って当該窪み部25にそれぞれ嵌合されるように形成されている。すなわち、突出部26は、
図6Bに示すように、平面視において十字形状に形成されている。
【0056】
突出部26は、
図6Aに示すように、断面凸状に形成されており、平坦状に形成された突出面267を有している。突出面267は、
図6Bに示すように、平面視において十字状に形成されている。
また、突出部26は、
図6Bに示すように、突出面267の中心部から四方に向かってそれぞれ延びる部分の幅方向両端縁から真っすぐ上方に延びる複数(8つ)の第1垂直面268と、突出面267の四方の各先端縁から真っすぐ上方に延びる複数(4つ)の第2垂直面269とを有している。
【0057】
本実施形態では、窪み部25と突出部26の間に接着層27が形成されている(
図6A参照)。これにより、突出部26の突出面267は、接着層27を介して窪み部25の窪み面257に当接している。同様に、突出部26の各第1垂直面268は、接着層27を介して、窪み部25の対応する第1垂直面258にそれぞれ当接しており、突出部26の各第2垂直面269は、接着層27を介して、窪み部25の対応する第2垂直面259にそれぞれ当接している。
【0058】
このように、窪み部25に突出部26が嵌合されている状態で、水平面に対して垂直な面となる、第1垂直面258,268同士が互いに当接するとともに、第2垂直面259,269同士が互いに当接する。したがって、本実施形態では、第1垂直面258,268及び第2垂直面259,269は、互いに当接することで、地震時にすべり材24の上面24aが溝部23aの底面23bに対して水平方向にすべるのを抑制する当接面とされている。
【0059】
以上、第4実施形態のすべり材ユニット20においても、窪み部25及び突出部26により、溝部23aの底面23bとすべり材24の上面24aとの接触面積を増加させることができる。これにより、すべり材24の摺動面24bで発生する摩擦熱を、窪み部25及び突出部26を介してホルダ23へ効率良く逃がすことができるため、すべり材24の温度が上昇するのを抑制することができる。
【0060】
また、断面凹状の窪み部25に断面凸状の突出部26が嵌合することで、窪み部25の窪み面257と突出部26の突出面267とが鉛直方向に当接し、且つ前記底面23bの平坦面23b1と前記上面24aの平坦面24a1とが鉛直方向に当接するため、窪み部25及び突出部26が無い場合と比べて、前記底面23bと前記上面24aとの鉛直方向の接触面積はほとんど変わらない。したがって、すべり材24の上面24aにおける支圧面の大きさは従来のすべり材と変わらないため、すべり材24の外形を変更することなく、すべり材24の温度上昇を抑制することができる。
【0061】
また、窪み部25及び突出部26の当接面同士(第1垂直面258,268同士、及び第2垂直面259,269同士)が互いに当接することで、すべり材24の上面24aが溝部23aの底面23bに対して水平方向(
図6Bの上下方向及び左右方向)にすべるのを抑制することができる。これにより、すべり材24がホルダ23に対してずれるのを抑制しつつ、すべり材24の温度上昇を抑制することができる。
なお、本実施形態では、突出部26を、接着層27を介して窪み部25にそれぞれ当接させているが、接着層27を介さずに窪み部25に当接させてもよい。
【0062】
[その他]
上記各実施形態におけるすべり支承1及びすべり材ユニット20は、剛すべり支承に適用する場合について説明したが、他の種類のすべり支承にも適用することができる。
また、上記各実施形態におけるすべり支承1では、下部構造体51にすべり板ユニット10を設け、上部構造体52にすべり材ユニット20を設けているが、下部構造体51にすべり材ユニット20を設け、上部構造体52にすべり板ユニット10を設けてもよい。
【0063】
上記各実施形態におけるすべり材ユニット20では、すべり材24の上面24aが窪み部25を有し、溝部23aの底面23bが突出部26を有しているが、すべり材24の上面24aが突出部26を有し、溝部23aの底面23bが窪み部25を有していてもよい。また、上記各実施形態におけるホルダ23及びすべり材24は、それぞれ円板形状の外形に形成されているが、四角形や角丸長方形等、他の形状の外形に形成されていてもよい。また、ベースポット21の外形は、正方形状に限らず、矩形状や丸形状等の他の形状であってもよい。
【0064】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。