(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明のハニカム触媒の製造方法により製造されるハニカム触媒の一例を模式的に示す斜視図である。
【0018】
(発明の詳細な説明)
[ハニカム触媒]
まず、本発明のハニカム触媒の製造方法により製造する対象物であるハニカム触媒について説明する。
【0019】
図1は、本発明のハニカム触媒の製造方法により製造されるハニカム触媒の一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示すハニカム触媒10は、複数の貫通孔12が隔壁13を隔てて長手方向に並設された単一のハニカム構造体11を備えている。ハニカム構造体11は、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子(以下、CZ粒子ともいう)とアルミナとを含み、押出成形体の形状を有し、さらに貴金属(図示しない)が担持されている。
図1に示すように、ハニカム触媒10が単一のハニカム構造体11からなる場合、ハニカム構造体11はハニカム焼成体そのものでもある。
【0020】
ハニカム構造体は、CZ粒子、アルミナ粒子及び無機バインダを含む押出成形体からなる。ハニカム構造体は、CZ粒子、アルミナ粒子及び無機バインダを含む原料ペーストを押出成形して得られたハニカム成形体を焼成することにより作製されたハニカム焼成体により構成される。
ハニカム触媒が上記した成分を有していることは、X線回折(XRD)にて確認することができる。
【0021】
ハニカム触媒は、単一のハニカム焼成体を備えていてもよいし、複数個のハニカム焼成体を備えていてもよく、複数個のハニカム焼成体が接着剤層により結合されていてもよい。
【0022】
ハニカム触媒に含まれるアルミナとしては、原料ペーストに含まれるアルミナ粒子由来のアルミナと、無機バインダ由来のアルミナがある。また、アルミナ繊維を含む場合にはアルミナ繊維に含まれるアルミナもある。
無機バインダがベーマイトであり、ハニカム触媒にはベーマイト由来のアルミナが含まれることが好ましい。また、θ相のアルミナ粒子(以下、θ−アルミナ粒子ともいう)に由来するアルミナが含まれることが好ましい。
また、ハニカム触媒に含まれるアルミナ中の、θ相のアルミナの割合が15重量%以上であることが好ましい。
【0023】
ハニカム触媒におけるセリア−ジルコニア複合酸化物の含有割合は、25〜75重量%であることが望ましい。
ハニカム触媒におけるセリア−ジルコニア複合酸化物の占める割合が25〜75重量%であると、セリウムの酸素吸蔵能(OSC)を高めることができる。
【0024】
ハニカム触媒におけるアルミナの含有割合は、15〜35重量%であることが望ましい。
【0025】
ハニカム触媒の直径に対する長さの比(長さ/直径)は、0.5〜1.1であることが望ましく、0.6〜0.8であることがより望ましい。
【0026】
ハニカム触媒の直径は、130mm以下であることが望ましく、125mm以下であることがより望ましい。また、ハニカム触媒の直径は、85mm以上であることが望ましい。
ハニカム触媒の直径を130mm以下にすることにより、ハニカム触媒内の温度分布を小さくすることができるため、使用中に熱衝撃による破損をおさえることができる。
【0027】
ハニカム触媒の長さは、65〜120mmであることが望ましく、70〜110mmであることがより望ましい。
【0028】
ハニカム触媒の形状としては、円柱状に限定されず、角柱状、楕円柱状、長円柱状、丸面取りされている角柱状(例えば、丸面取りされている三角柱状)等が挙げられる。
【0029】
ハニカム触媒において、隔壁の厚さは、均一であることが望ましい。具体的には、ハニカム触媒の隔壁の厚さは、0.05〜0.50mmであることが望ましく、0.05〜0.30mmであることがより望ましい。
【0030】
ハニカム触媒において、貫通孔の形状としては、四角柱状に限定されず、三角柱状、六角柱状等が挙げられる。
【0031】
ハニカム触媒において、ハニカム触媒の長手方向に垂直な断面の貫通孔の密度は、31〜155個/cm
2であることが望ましい。
【0032】
ハニカム触媒における気孔率は、40〜70%であることが望ましい。ハニカム触媒の気孔率を上記範囲とすることにより、ハニカム触媒の強度を維持しつつ、高い排ガス浄化性能を発揮することができる。
【0033】
ハニカム触媒の気孔率は、以下に説明する重量法にて測定することができる。
(1)ハニカム触媒を10セル×10セル×10mmの大きさに切断して、測定試料とする。この試料をイオン交換水中およびアセトンを用いて超音波洗浄した後、オーブンにて100℃で乾燥する。
(2)測定顕微鏡(Nikon製 Measuring Microscope MM−40 倍率100倍)を用いて、試料の断面形状の寸法を計測し、幾何学的な計算から体積を求める(なお、幾何学的な計算から体積を求めることができない場合は、飽水重量と水中重量を実測して、体積を計測する)。
(3)計算上求められた体積およびピクノメーターで測定した試料の真密度から、試料が完全な緻密体であったと仮定した場合の重量を計算する。なお、ピクノメーターでの測定手順は以下の通りである。
(4)ピクノメーターによる真密度の測定方法
ハニカム触媒を粉砕し、23.6ccの粉末を調製し、得られた粉末を200℃で8時間乾燥させる。その後、Auto Pycnometer 1320(Micromeritics社製)を用いて、JIS−R−1620(1995)に準拠し真密度を測定する。なお、この時の排気時間は40分とする。
(5)次に、試料の実際の重量を電子天秤(A&D製 HR202i)にて測定する。
(6)気孔率は、以下の計算式(1)にて計算する。
100−(実際の重量/緻密体としての重量)×100(%)・・・(1)
【0034】
本発明のハニカム触媒の製造方法で得られるハニカム触媒の比表面積は、10〜50m
2/gであることが好ましい。
ハニカム触媒の比表面積はN
2を使用したBET比表面積測定により測定することができる。
【0035】
ハニカム触媒には、貴金属が担持されている。
貴金属の担持量は、0.1〜15g/Lであることが望ましく、0.5〜10g/Lであることがより望ましい。
本明細書において、貴金属の担持量とは、ハニカム触媒の見掛けの体積当たりの貴金属の重量をいう。なお、ハニカム触媒の見掛けの体積は、空隙の体積を含む体積であり、接着層を含む場合は接着層の体積を含むこととする。
【0036】
[ハニカム触媒の製造方法]
次に、本発明のハニカム触媒の製造方法について説明する。
【0037】
[混合工程]
本発明のハニカム触媒の製造方法を構成する混合工程について説明する。
混合工程では、セリア−ジルコニア複合酸化物粒子、アルミナ粒子及び無機バインダを混合して原料ペーストを調製する。
原料ペーストには、さらに無機繊維、有機バインダ、造孔剤、成形助剤、分散媒等が含まれていてもよい。
【0038】
原料ペーストを構成するセリア−ジルコニア複合酸化物粒子のD
CZ50は1.5〜5.0μmであり、かつ、粒度分布の標準偏差σ
CZは2以下である。
また原料ペーストを構成するアルミナ粒子のD
AO50は1.5〜5.0μmであり、かつ、粒度分布の標準偏差σ
AOは2以下である。
CZ粒子及びアルミナ粒子のD50及び粒度分布の標準偏差σがいずれも上記範囲であると、CZ粒子とアルミナ粒子とが、原料ペースト中において均一に混合されやすくなり、アルミナ粒子の分散度が高まってアルミナ粒子同士の接触確率が低くなる。その結果、アルミナ粒子同士の焼結が進行しにくくなって高い比表面積が維持され、アルミナ粒子に担持される貴金属が凝集しにくく、高い排ガス浄化性能の低下を抑制できる。
なお、CZ粒子のD
CZ50及び粒度分布の標準偏差σ
CZ並びにアルミナ粒子のD
AO50及び粒度分布の標準偏差σ
AOは、いずれもレーザー回折式粒度分布測定装置(MALVERN社製 MASTERSIZER2000)を用いて測定することができる。
【0039】
セリア−ジルコニア複合酸化物粒子の粒度分布の標準偏差σ
CZは1以上であることが望ましい。
またアルミナ粒子の粒度分布の標準偏差σ
AOは1以上であることが望ましい。
【0040】
セリア−ジルコニア複合酸化物は、セリウム以外の希土類元素をさらに含んでいてもよい。希土類元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、イッテルビウム(Yb)、ルテニウム(Lu)等が挙げられる。
【0041】
アルミナ粒子の種類は特に限定されないが、θ相のアルミナ粒子(以下、θ−アルミナ粒子ともいう)であることが望ましい。
θ相のアルミナ粒子をセリア−ジルコニア複合酸化物の仕切り材として用いることにより、アルミナ粒子が使用中に熱によって互いに焼結することを抑制できるため、触媒機能を維持することが可能となる。さらに、アルミナ粒子をθ相とすることにより、耐熱性を高くすることができる。
【0042】
無機バインダとしては、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト、アタパルジャイト、ベーマイト等に含まれる固形分が挙げられる。これらの無機バインダは、二種以上併用してもよい。
【0043】
無機バインダの中では、ベーマイトが望ましい。ベーマイトは、AlOOHの組成で示されるアルミナ1水和物であり、水等の媒体に良好に分散するので、ベーマイトを無機バインダとして用いることが望ましい。
【0044】
無機繊維を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、シリカアルミナ、ガラス、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等が挙げられ、二種以上併用してもよい。これらの中では、アルミナ繊維が望ましい。
【0045】
無機繊維のアスペクト比は、5〜300であることが望ましく、10〜200であることがより望ましく、10〜100であることがさらに望ましい。
なお、無機繊維とは、アスペクト比が5以上のものをいう。
【0046】
有機バインダとしては、特に限定されないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0047】
造孔剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、コークス、デンプン等が挙げられる、本発明では、アクリル樹脂、コークス及びデンプンのうち2種類以上を用いることが望ましい。
造孔剤とは、焼成体を製造する際、焼成体の内部に気孔を導入するために用いられるものをいう。
【0048】
成形助剤としては、特に限定されないが、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0049】
分散媒としては、特に限定されないが、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0050】
原料ペーストを構成する原料としてCZ粒子、アルミナ粒子及び無機バインダを使用した場合、これらの配合割合は、原料中の焼成工程後に残存する固形分に対し、CZ粒子:25〜75重量%、アルミナ粒子:15〜35重量%、無機バインダ:5〜20重量%が望ましい。
【0051】
原料ペーストを調製する際には、混合混練することが望ましく、ミキサー、アトライタ等を用いて混合してもよく、ニーダー等を用いて混練してもよい。
【0052】
[押出成形工程]
続いて、本発明のハニカム触媒の製造方法を構成する押出成形工程について説明する。
押出成形工程では、混合工程で得られた原料ペーストを押出成形することにより、複数の貫通孔が隔壁を隔てて長手方向に並設された押出成形体を得る。
【0053】
ハニカム成形体の形状は特に限定されるものではないが、円柱形状が好ましい。また、円柱形状の場合の直径が130mm以下であることが好ましい。
また、ハニカム成形体の形状は角柱形状であってもよく、角柱形状である場合は、四角柱形状であることが好ましい。
【0054】
[焼成工程]
続いて、本発明のハニカム触媒の製造方法を構成する焼成工程について説明する。
焼成工程の前に、必要により、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等の乾燥機を用いて、ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製する。
本明細書においては、焼成工程を行う前のハニカム成形体及びハニカム乾燥体をまとめてハニカム成形体とも呼ぶ。
【0055】
焼成工程では、押出成形工程で得られた押出成形体を焼成することにより、ハニカム焼成体を作製する。
なお、この工程は、ハニカム成形体の脱脂及び焼成が行われるため、「脱脂・焼成工程」ということもできるが、便宜上「焼成工程」という。
【0056】
焼成工程における焼成温度は特に限定されないが、900〜1200℃であることが望ましい。
焼成工程における焼成温度が900〜1200℃であると、無機バインダが充分な結合力を発揮し、かつ、アルミナ粒子の焼結が進行しにくい。
【0057】
以上の工程により、ハニカム焼成体からなるハニカム構造体を製造することができる。
続いて、ハニカム構造体に貴金属を担持させる方法について説明する。
ハニカム構造体に貴金属を担持させる方法としては、ハニカム焼成体を作製するための原料ペーストに貴金属を含む化合物を添加する方法や、ハニカム焼成体(又はハニカム構造体)を、貴金属もしくは該貴金属の錯体を含む溶液に浸漬した後、引き上げて加熱する方法などが挙げられる。
ハニカム構造体に貴金属を担持させることによりハニカム触媒とすることができる。
上記担持工程では、貴金属の担持量が0.1〜15g/Lであることが望ましく、0.5〜10g/Lであることがより望ましい。
【0058】
[その他の工程]
本発明のハニカム触媒の製造方法において、ハニカム焼成体の外周面に外周コート層を形成する場合、外周コート層は、ハニカム焼成体の両端面を除く外周面に外周コート層用ペーストを塗布した後、乾燥固化することにより形成することができる。外周コート層用ペーストとしては、原料ペーストと同じ組成のものが挙げられる。
【0059】
複数個のハニカム焼成体が接着層を介して接着されてなるハニカム構造体は、複数個のハニカム焼成体の両端面を除く外周面に接着層用ペーストを塗布して、接着させた後、乾燥固化することにより作製することができる。接着層用ペーストとしては、原料ペーストと同じ組成のものが挙げられる。
【0060】
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0061】
(実施例1)
(混合工程)
CZ粒子(D
CZ50:1.9μm、粒度分布の標準偏差σ
CZ:1.60)を26.4重量%、θ−アルミナ粒子(D
AO50:2.1μm、粒度分布の標準偏差σ
AO:1.48)を13.2重量%、アルミナ繊維(平均繊維径:3μm、平均繊維長:60μm)を5.3重量%、無機バインダとしてベーマイトを11.3重量%、有機バインダとしてメチルセルロースを5.3重量%、造孔材としてアクリル樹脂を2.1重量%、同じく造孔材としてカーボン(コークス)を2.6重量%、成形助剤として界面活性剤であるポリオキシエチレンオレイルエーテルを4.2重量%、及び、イオン交換水を29.6重量%混合混練して、原料ペーストを調製した。
【0062】
(押出成形工程及び焼成工程)
押出成形機を用いて、原料ペーストを押出成形して、円柱状のハニカム成形体を作製した。そして、減圧マイクロ波乾燥機を用いて、ハニカム成形体を出力1.74kW、減圧6.7kPaで12分間乾燥させた後、1100℃で10時間脱脂・焼成することにより、ハニカム焼成体(ハニカム構造体)を作製した。ハニカム焼成体は直径が103mm、長さが105mmの円柱状であり、貫通孔の密度が77.5個/cm
2(500cpsi)、隔壁の厚さが0.127mm(5mil)であった。
【0063】
(担持工程)
ジニトロジアンミンパラジウム硝酸溶液([Pd(NH
3)
2(NO
2)
2]HNO
3、パラジウム濃度100g/L)と硝酸ロジウム溶液([Rh(NO
3)
3]、ロジウム濃度50g/L)を3:1の体積割合で混合し、混合溶液を調製した。この混合溶液中に、上記工程により製造されたハニカム焼成体を浸漬し、24時間保持した。その後、ハニカム焼成体を110℃で2時間乾燥し、窒素雰囲気中500℃で1時間焼成することによって、ハニカム焼成体にパラジウムとロジウム触媒を担持させたハニカム触媒を得た。
触媒の担持量は、パラジウムとロジウムの合計でハニカム焼成体の見掛けの体積当たり0.5/Lとした。
【0064】
(実施例2)
CZ粒子のD
CZ50及びσ
CZ並びにアルミナ粒子のD
AO50及びσ
AOをそれぞれ、D
CZ50=3.8μm、σ
CZ=1.82
、D
AO50=2.9μm、σ
AO=1.54に変更したほかは、実施例1と同様の手順で実施例2に係るハニカム触媒を製造した。
【0065】
(実施例3)
CZ粒子のD
CZ50及びσ
CZ並びにアルミナ粒子のD
AO50及びσ
AOをそれぞれD
CZ50=4.8μm、σ
CZ=1.89、D
AO50=4.5μm、σ
AO=1.79に変更したほかは、実施例1と同様の手順で実施例3に係るハニカム触媒を製造した。
【0066】
(比較例1)
CZ粒子のD
CZ50及びσ
CZ並びにアルミナ粒子のD
AO50及びσ
AOをそれぞれ、D
CZ50=5.9μm、σ
CZ=2.21
、D
AO50=19.9μm、σ
AO=2.29に変更したほかは、実施例1と同様の手順で比較例1に係るハニカム触媒を製造した。
【0067】
(貴金属の分散度の測定)
V型8気筒の4.3Lガソリンエンジンを用いて、実施例1〜3及び比較例1に係るハニカム触媒の熱耐久処理を行った。スタートアップコンバータ(S/C)及び車体下部搭載コンバータ(UF/C)からなる排気ガス浄化用触媒システムにおいて、実施例1〜3及び比較例1に係るハニカム触媒のいずれかをS/C触媒に使用した。S/C床温を1000℃に設定した。1分間に、ストイキフィードバック、フューエルカット、リッチ及びリーンを含むサイクルを50時間実施した。その後、ハニカム触媒を取り出し、下記の方法により貴金属の分散度を測定した。
全自動触媒ガス吸着量測定装置[ヘンミ計算尺(株)製 R−6015]を用いて、以下の手順により実施例1〜3及び比較例1に係るハニカム触媒における貴金属の分散度を測定した。
まず、実施例1〜3及び比較例1に係るハニカム触媒の隔壁をアルミナ乳鉢で粉砕して測定用サンプルを準備し、測定用サンプル約0.2gをガラス製計量管に収めた。
その後、前処理として以下の条件で測定用サンプルを高温の水素ガスに晒し、その後パージガスで処理することにより、貴金属の清浄表面を露出させる。
(前処理条件)
還元ガス:H
2
還元温度:400℃
還元昇温速度:15℃/min
還元時間:15min
パージガス:He
パージ時間:15min
(本測定)
前処理の終了後、測定用サンプルを50℃まで冷却し、COガスをパルス導入し、吸着されたガス量を測定する。
COガスの吸着量Vと、測定用サンプルの重量Wから、担持金属1molあたりに吸着したCOの原子数を求め、下記(2)〜(4)式よりパラジウムの分散度を計算し、貴金属の分散度を評価する。
結果を表1に示す。
【0068】
【数1】
[式(2)中、Bはパラジウムの分散度であり、eはパラジウム原子1個あたりに吸着するCO分子の数[パラジウム固有の値であり、既知]であり、Kは式(3)で示される測定用サンプル1gあたりのCOガスの吸着量のモル数であり、Rは式(4)で示される測定用サンプル1g中に担持されるパラジウムのモル数である。式(3)中、V
1は測定用サンプル1gあたりの吸着ガス量(V/W)である。式(4)中、Cは担持された貴金属の濃度(貴金属の重量/測定用サンプルの総重量)であり、Mはパラジウムの原子量である。]
【0069】
【表1】
【0070】
表1の結果より、実施例1〜3に係るハニカム触媒は貴金属の分散性に優れ、アルミナの焼結による凝集が進行していないことが推察される。