(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6845849
(24)【登録日】2021年3月2日
(45)【発行日】2021年3月24日
(54)【発明の名称】袋閉じ装置、及び同装置を備えたシュレッダ
(51)【国際特許分類】
B65B 7/02 20060101AFI20210315BHJP
B02C 18/00 20060101ALI20210315BHJP
【FI】
B65B7/02 Z
B02C18/00
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-521018(P2018-521018)
(86)(22)【出願日】2017年6月2日
(86)【国際出願番号】JP2017020633
(87)【国際公開番号】WO2017209285
(87)【国際公開日】20171207
【審査請求日】2020年4月21日
(31)【優先権主張番号】特願2016-110627(P2016-110627)
(32)【優先日】2016年6月2日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2016-196664(P2016-196664)
(32)【優先日】2016年10月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390006921
【氏名又は名称】ナカバヤシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】前田 洋二
(72)【発明者】
【氏名】藤森 茂
(72)【発明者】
【氏名】長尾 渉
【審査官】
日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】
特開平2−109805(JP,A)
【文献】
米国特許第5155975(US,A)
【文献】
米国特許第7360731(US,B2)
【文献】
実開昭62−38674(JP,U)
【文献】
特開2000−70746(JP,A)
【文献】
特開昭64−544(JP,A)
【文献】
実開平5−95962(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 7/02
B65F 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物を投入可能に開口する袋の口縁の対向する二箇所を袋外側から着脱自在に保持する先端部を有した一対の巻取り軸を水平方向に向き合わせて備え、当該一対の巻取り軸を前記袋の口縁の巻取り方向に回転駆動することで、前記先端部に保持した口縁二箇所を両端として、前記収容物が投入された前記袋の前記口縁全体を水平な一本のロール状とする袋閉じ装置であって、前記一対の巻取り軸に駆動源の動力を伝達可能な動力伝達手段と、前記一対の巻取り軸を有して、開口状態の袋を装着可能なフレームと、上面を収容物の投入口として、前記フレームを前記開口状態の袋と共に引き出し可能に収容する筐体とを更に備え、当該筐体から前記フレームを引き出したときは前記動力伝達手段による前記一対の巻取り軸への動力の伝達を解除する一方、前記筐体に前記フレームを収容したときに前記動力伝達手段によって前記一対の巻取り軸が前記駆動源から伝達される動力により回転駆動可能となるように構成したことを特徴とする袋閉じ装置。
【請求項2】
フレームは、互いに平行して、それぞれの中央部に巻取り軸を設けた左右一対のサイドバーと、該サイドバーの一端側同士を連結する連結バーとを有し、全体として前記サイドバーの他端側を開放した平面視略コ字状である請求項1記載の袋閉じ装置。
【請求項3】
一対のサイドバーの他端側が手前となるように、フレームを筐体に引き出し可能に収容した請求項2記載の袋閉じ装置。
【請求項4】
フレームは、一対のサイドバーの他端側それぞれに取っ手を有する請求項3記載の袋閉じ装置。
【請求項5】
フレームは、一対の巻取り軸を回転駆動するまで袋の口縁を着脱自在に仮保持する仮止め具を有する請求項1から4のうち何れか一項記載の袋閉じ装置。
【請求項6】
仮止め具は、袋の口縁を弾性的に挟み込むクリップである請求項5記載の袋閉じ装置。
【請求項7】
フレームに、袋の受け台部を吊下した請求項1から6のうち何れか一項記載の袋閉じ装置。
【請求項8】
巻取り軸の先端部に袋の口縁を差し込むスリットを設けると共に、該スリット内に前記差し込んだ前記口縁を弾性的に保持するバネを設けた請求項1から7のうち何れか一項記載の袋閉じ装置。
【請求項9】
巻取り軸は、先端部の外周面が先細りのテーパ状である請求項1から8のうち何れか一項記載の袋閉じ装置。
【請求項10】
巻取り軸、または該巻取り軸と駆動源との動力伝達経路中の回転軸に、前記巻取り軸の巻き取り方向の回転を許容し、逆方向の回転を規制するワンウェイクラッチを設けた請求項1から9のうち何れか一項記載の袋閉じ装置。
【請求項11】
細断屑を下方に排出する細断部を備え、前記細断屑を収容物として、前記細断部の下側に請求項1から10のうち何れか一項記載の袋閉じ装置を設けたシュレッダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばシュレッダによる細断屑が入った屑袋を梱包する技術に係り、詳しくは、最終的には屑袋の口を手作業で結び留めるために、その事前準備として袋口をロール状に巻回する袋閉じ装置と、該装置を備えたシュレッダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シュレッダによる細断屑を袋詰めして処分する場合、細断部の下側に適当な大きさの袋を開口してセットしておき、所定量となれば袋を取り出して、開口部の二箇所を中央で結ぶなどして袋口を閉じるのが一般的である。しかし、この方法では、開口部を結び留めする際に袋が圧縮され、その風圧によって袋内の細断屑が袋口から舞い散ることがある。特に、クロスカット式のシュレッダでは細断屑が微塵切りの状態となるため、僅かな風圧でも細断屑が舞い上がりやすい。
【0003】
一方で、細断屑が入った屑袋を自動的に梱包するシュレッダも提案されている(特許文献1・2参照)。このうち特許文献1のシュレッダは、大量の細断屑を圧縮して梱包する機構を有するが、圧縮機構を有する分、構造が大掛かりである。これに鑑み、特許文献2のシュレッダでは、屑袋を水平回転してねじり部(被結束部)を形成する回転機構と、このねじり部を結束する結束装置とを備えることで、全体の小型化と低コストを実現したとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−15192号公報
【特許文献2】特開2014−161753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のシュレッダは、極めて大型で、通常のオフィスに設置できる大きさではなく、コスト高でもある。
【0006】
一方、特許文献2のシュレッダは、用いる袋が上下とも開口した長尺なチューブ状をした専用のものであり、当初より底部が閉じられている汎用的なゴミ袋を使用することができない。
【0007】
また、特許文献2のシュレッダでは、細断屑が入った袋にねじり部を形成するに際して、袋の上下を固定しなければならず手間である。
【0008】
さらに、特許文献2のシュレッダは、細断屑が入った袋の開口部を固定した状態で、底部を回転テーブルにより水平回転させることによってねじり部を形成するが、この場合、ねじり部は開口部よりも下側に形成されることになるため、細断屑の収容量が犠牲となる。この点、袋口が大きい袋は、屑が投入しやすく一度に大量の屑を投入するのに適するが、袋口が大きくなるほどねじり部の位置が下方にずれるため、見かけ通りの収容量が得られなかった。
【0009】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、汎用的な袋が使用でき、その収容量の損失を必要最小限にとどめる袋閉じ装置を開示し、加えて、収容物が細断屑である場合にも、袋閉じの際に当該細断屑の舞い散りがないシュレッダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために本発明では、収容物を投入可能に開口する袋の口縁の対向する二箇所を袋外側から着脱自在に保持する先端部を有した一対の巻取り軸を水平方向に向き合わせて備え、当該一対の巻取り軸を回転駆動することで、前記先端部に保持した口縁二箇所を両端として、前記収容物が投入された前記袋の前記口縁全体を水平な一本のロール状とするという手段を用いた。
【0011】
上記手段によれば、一対の巻取り軸を同時に回転駆動することによって、袋の口縁が横一線にほぼ同時に巻き取り開始されるため、収容物が細断屑などの極めて軽量物であっても、一本のロール状となる間に袋口から収容物が舞い散ることがない。なお、巻取り軸の回転方向、回転駆動源、並びに回転速度は限定しないが、回転方向については、一対の巻取り軸が互いに反対方向に回転して、口縁全体にねじりを加えるようにすれば、同方向に回転する場合よりも袋口の密封性が高まるうえ、当該袋口のねじりがほどけにくくなるため好ましく、また、駆動源については、電気モータであれば本装置を自動梱包装置とすることができ、さらに、回転速度については、口縁をゆっくりと巻き取るようにすれば、袋内の空気が袋口から脱気するとしても、前記細断屑が舞い上がるような風圧は発生せず、細断屑の飛散をより確実に回避することができる。
【0012】
また、上記手段では、僅かな巻取りで袋の口縁全体を水平な一本のロール状として袋口を閉じることができるため、収容量の損失を最小限にとどめた状態で収容物を収容することができる。なお、袋口を閉じるために、巻取り軸を何回転させるかも任意であって、巻取り数が多ければ袋の密封性は高くなるが、後述するように、最終的にロール状の袋口両端を結び留めるのであれば、必ずしも一回転以上、回転させることはない。
【0013】
そして、このように口縁全体をロール状とした後は、その両端を一対の巻取り軸から軸方向に引き抜くなどして取り外す。さらに、巻取り軸から取り外した後は、テープ止めなどによって開口しないようにする他、その両端を手作業で中央で結び留めるのが簡易である。
【0014】
一方、具体的構造としては、上面を収容物の投入口として、袋を開口状態で設置可能な筐体を更に備え、該筐体の内部に一対の巻取り軸をそれぞれ対向して設けることができる。なお、筐体に収容した袋は、収容物の投入後、一対の巻取り軸が回転駆動することによって、開口状態からロール状の袋閉じ状態となることはもちろんである。
【0015】
これとは別に、袋を開口状態で装着可能なフレームを更に備え、該フレームに装着された前記袋の口縁の対向する二箇所に一対の巻取り軸を設けることもできる。この場合も、収容物の投入後、一対の巻取り軸を回転駆動することによって、フレームに装着していた袋口が徐々に巻き取られ、開口状態からロール状の袋閉じ状態となる。
【0016】
さらに、これら筐体とフレームを組み合わせた装置とすることもできる。即ち、一対の巻取り軸を有して、開口状態の袋を装着可能なフレームと、上面を収容物の投入口として、前記フレームを前記開口状態の袋と共に引き出し可能に収容する筐体とを更に備えた構造とすることも可能である。そして、この構造特有の手段として、筐体から前記フレームを引き出したときは前記一対の巻取り軸の回転を規制する一方、前記筐体に前記フレームを収容したときに前記一対の巻取り軸が回転可能となるように構成する。より具体的には、一対の巻取り軸と、その駆動源との間に連結ギアを設けて、フレームを筐体に収容したときに連結ギアが噛み合って、駆動源からの回転力が一対の巻取り軸に伝達される一方、フレームを引き出したときは連結ギアの連結が解除されるように構成する。
【0017】
フレームの構造については、袋を装着して、一対の巻取り軸を回転駆動するまで、収容物を投入可能な開口状態を保持できるものであればよい。より具体的には、フレームを平面視で無端ループ状とする他、収容物の投入中に、その重さに抗して、袋を開口状態に保持できるものであれば、互いに平行して、それぞれの中央部に巻取り軸を設けた左右一対のサイドバーと、該サイドバーの一端側同士を連結する連結バーとを有し、前記サイドバーの他端側を開放した全体として平面視略コ字状のフレームを採用することもできる。
【0018】
特に、この平面視略コ字状のフレームは、筐体に引き出し式に収容するものとして好ましい構成である。即ち、フレームがループ状であると手前側のフレームが邪魔となって、巻取り軸からロール状の袋口両端を取り外したり、当該両端を筐体内で結び留めにくいことが考えられる。しかし、上記コ字状フレームを一対のサイドバーの他端側(フレーム開放端側)が引き出し手前となるように筐体に収容すれば、作業正面となる手前が開放されているため、一々フレームを引き出さなくても、筐体内に収容したままロール状の袋口を巻取り軸から取り外しやすく、また、その両端を結び留めることもできる。このようにコ字状フレームを開放端が手前となるように筐体に収容することで、筐体内で袋を完全な密封状態とすることができるため、仮に、収容物である細断屑が飛び散ったとしても、筐体の外側を汚すことがなく、筐体内を掃除するだけで済む。
【0019】
なお、手前を開放した引き出し式フレームでは、一対のサイドバーの他端側それぞれに取っ手を設けることによって、その引き出しが容易となる。
【0020】
さらに、フレームに開口した袋を脱着自在に装着する具体的手段としては、フレームに巻取り軸を回転駆動するまで袋の口縁を着脱自在に仮保持する仮止め具を設けることが好ましい。仮止め具としては、袋の口縁を弾性的に挟み込むクリップが該当する。このクリップは、それ単独で袋口を挟み込むことができる既存のダブルクリップや洗濯ばさみの他、髪をとめるピン留めも利用可能で、また、フレームとの間で袋口を挟み込む板ばねなども含む概念である。さらに、フレームが磁性を有する場合は、磁石を仮止め具として利用することができる。この手段では、例えば、袋口が平面視矩形状に開口するようにフレームの四箇所に仮止め具を装備することで、収容物を所定量投入するまで開口状態を保持でき、投入完了後、巻取り動作時には、一対の巻取り軸に引き付けられる力によって仮止め具から袋口が容易に取り外される。さらに、フレームに袋の受け台部を吊下状態で一体に設けることで、袋が床から浮いた状態となって底を引きずらずに筐体に出し入れでき、また、袋の収容物の重みも受け台部で支持するため、収容物の投下中に袋口の開口状態も確実に保持することができる。
【0021】
一方、巻取り軸の具体的構成手段としては、その先端部に袋の口縁を差し込むスリットを軸方向に設けると共に、該スリット内に前記差し込んだ前記口縁を弾性的に保持するバネを設けることが好ましい。手作業で開口状態の袋の口縁を巻取り軸に容易に取り付けられ、しかも、巻取り中に不用意に巻取り軸から抜け落ちてしまうことが回避できるからである。
【0022】
さらに、巻取り軸の先端部には袋に投入した収容物の重量に見合って、袋口縁がきつく巻き取られた状態となることがあるが、前記先端部の外周面を先細りのテーパ状とすることで、巻き取った口縁を巻取り軸から引き抜く際の力を軽減することができる。
【0023】
一方、袋素材や巻き数等によっては、巻取り軸で巻き取ったロール状の袋口が、巻き取り停止後に、捻り戻しによって開口状態に復元する恐れがある。これを阻止するために、巻取り軸、または該巻取り軸と駆動源との動力伝達経路中の回転軸に、前記巻取り軸の巻き取り方向の回転を許容し、逆方向の回転を規制するワンウェイクラッチを設けることが好ましい。
【0024】
なお、収容物は特に限定せず、袋詰めすることができるものであれば、食品や小物の他、ゴミであってもよい。また、袋についても、当初から底が閉じられている必要はあるが、収容物に適したものであれば、その素材は問わない。
【0025】
他方、本発明では、特に収容物が飛散しやすい場合の適例として、細断屑を下方に排出する細断部を備え、前記細断屑を収容物として、該細断部の下側に上述した手段の袋閉じ装置を設けたシュレッダを提供する。この場合、細断屑を入れる袋は従来より汎用されているポリ袋等をそのまま使用することができることはもちろんである。また、一対の巻取り軸をモータによって回転駆動するようにすれば、細断スイッチとは別に梱包スイッチを設けることによって、自動梱包機能付きのシュレッダとすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の袋閉じ装置は、収容物を投入後の開口状態にある袋の口を水平な一本のロール状に巻き取るため、収容物を容易に袋詰めすることができる。
【0027】
特に、この袋閉じ装置を備えたシュレッダは、細断屑が周囲に舞い散ることなく袋口をロール状に閉じることができるうえ、最終的な廃棄に際しても、その両端を中央で容易に結び留めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の袋閉じ装置の第一実施形態を示した概要図(袋開口状態)
【
図4】同、袋閉じ完了後の袋をさらに結び留めた状態を示した説明図
【
図8】同、袋閉じ装置を既存シュレッダのキャビネットに収容した状態の側面視詳細図
【
図9】本発明の第二実施形態としてシュレッダを示した概要図(フレーム引き出し状態)
【
図12】同、改良フレームを適用したシュレッダにおいて袋口の巻取り前の側面視詳細図(フレーム引き出し状態)
【
図13】同、改良フレームを適用したシュレッダにおいてフレームを収容した状態を示した(a)正面視詳細図、(b)側面視詳細図(巻取り前)
【
図14】同、改良フレームを適用したシュレッダにおいてフレームを収容した状態を示した(a)正面視詳細図、(b)側面視詳細図(巻取り後)
【
図15】同、改良フレームを適用したシュレッダにおいて袋口の巻取り後の側面視詳細図(フレーム引き出し状態)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。
図1・2は、本発明に係る袋閉じ装置の第一の実施形態を示したものである。同図において、1・1は袋Bを開口して掛ける前後一対のフレーム、2・2はフレーム1を支持する左右一対の支柱、3は土台であって、支柱2・2の各上端部には、一対の巻取り軸4・4を先端部4a・4a同士がフレーム1・1内で向き合うように水平向きに設けている。
【0030】
この実施形態においてフレーム1・1は、袋Bの口縁Eを外側にめくった状態で装着するもので、これによって袋Bを所定量の屑Tが投入可能な開口状態に保持する。ただし、この装着態様は一例であって、より好ましくは、後述するように、クリップなどの仮止め具を用いて、フレーム1・1に対し、袋Bの口縁Eを着脱自在に仮保持することもある。
【0031】
一対の巻取り軸4・4は、フレーム1・1に開口状態に装着した袋Bの口縁Eの対向する二箇所を保持して巻き取るもので、その先端部4a・4aの端面には口縁Eを差し込む軸方向のスリット4b・4bを形成すると共に、基端部は支柱2・2に回転可能に軸支している。
【0032】
当該第一実施形態の袋閉じ装置の使用方法並びに作用効果について説明すると、まず、適当な袋Bを上述のように口縁Eを外側にめくってフレーム1・1に装着する。その際、口縁Eの対向二箇所は、巻取り軸4・4の先端スリット4b・4bに差し込んでおく。次に、袋Bに所定の屑Tが投入されたならば、巻取り軸4・4を回転駆動する。巻取り軸4・4を回転駆動すれば、スリット4b・4bに差し込んだ口縁Eそれぞれが先端部4a・4aそれぞれの外周に巻き取られる。これを継続する間、フレーム1・1に装着した他の口縁Eは徐々に巻取り軸4・4の軸線上に引き寄せられ、最終的には、
図2に示したように、巻取り軸4・4に保持した部分を両端として、口縁Eが全体にわたって水平な一本のロール状の閉口部Sを形成することになる。
【0033】
そして、この閉口部Sの両端S1・S1を巻取り軸4・4から引き抜くことで、
図3に示したように、閉口部Sにより口が閉じた状態で袋Bを装置から取り出すことができる。その後、袋Bを廃棄する際に、閉口部Sをどのように処理するかは任意であるが、
図4に示したように、ロール状の閉口部Sの両端を中央に引き寄せ、真結び等により結び留めることが簡便である。
【0034】
なお、上記実施形態では、口縁Eを巻き取る際、巻取り軸4・4を互いに反対方向に回転することとした(
図1中の矢印方向)。これによって、ロール状の閉口部Sはねじり状態に形成されることになり、袋Bの密閉性が高まる。ただし、巻取り軸4・4を同方向に回転させても、ロール状の閉口部Sを形成することができることから、巻取り軸4・4の回転方向は何れであってもよい。
【0035】
図5〜7は、上記第一実施形態に係る袋閉じ装置をより詳細に図示した図面である。符号は、
図1〜2と対応する部分については同じものを付している。これらの詳細図に示すように、上記第一実施形態では、巻取り軸4・4の駆動源としてモータ5・5を採用している。このモータ5・5は、土台3に内蔵している。また、動力伝達手段として、支柱2・2にチェーン6・6を内蔵しており、モータ軸と巻取り軸4・4の基端部には前記チェーン6・6を巻掛けるチェーンスプロケット7・7をそれぞれ設けている。この構成によって、別途スイッチ等のモータ制御手段(図示せず)を備えれば、本装置を自動梱包機とすることができる。ただし、巻取り軸4・4の回転駆動源はモータ5・5でなくてもよく、手動ハンドルによって巻取り軸4・4を回転させることも可能である。
【0036】
また、上記第一実施形態に係る袋閉じ装置は、土台3の下面にコロ(車輪)8・8を取り付けることによって、
図8に示したように、既存のシュレッダ9においても、屑袋をセットするキャビネットC(特許請求の範囲の記載における筐体に相当)に引き出し自在に収容することができる。
【0037】
図9・10は、本発明に係るシュレッダの一の実施形態(第二実施形態)を示したものであり、細断機構の収容部10(特許請求の範囲の記載における細断部に相当)の下側に袋閉じ装置11を組み付けた構成例である。この実施形態において、細断機構収容部10の下側には所定の屑袋が収容可能なキャビネット12(特許請求の範囲の記載における筐体に相当)が構成され、このキャビネット12に屑袋を開口状態で口縁を装着するフレーム13を引き出し自在に設けている。即ち、キャビネット12の左右側板には固定レール14を一対設けると共に、該固定レール14にスライドレール15をスライド自在に挿通して設けた二段式レールを構成すると共に、そのスライドレール15それぞれにフレーム13の左右一対のサイドバー13a・13aそれぞれをスライド自在に挿通している。そして、サイドバー13a・13aの間で、引き出し手前となる前側と、その反対側の後側それぞれに、連結バー13b・13cを架設してなり、前方の連結バー13bをハンドルとして、一対のサイドバー13a・13aが一体的にスライドするようにすると共に、前後の連結バー13b・13cそれぞれの両端にクリップ16を設けて、屑袋の口縁四箇所を保持することで、屑袋を開口状態でフレーム13に装着できるようにしている。
【0038】
上記引き出し式のフレーム13において、左右のサイドバー13a・13aには、その中央部に、第一実施形態と同じスリット付きの巻取り軸17・17を設けている。そして、この巻取り軸17・17の回転駆動構成として、キャビネット12の左右側板の内側手前の固定レール14の上に位置して、駆動源となるモータ18を一対設け、その出力軸にはドライブギア19を設けている。これに対して、巻取り軸17・17側では、サイドバー13aの引き出し手前側にドライブギア19と噛合可能な伝達ギア20を設けている。この伝達ギア20は、
図9に示したように、フレーム13をキャビネット12から引き出した状態ではドライブギア19と噛合しない一方、
図10に示したように、フレーム13をキャビネット12に完全に仕舞ったときには、ドライブギア19と噛合するようになっている。また、該伝達ギア20の同軸上と巻取り軸17の回転軸上とにチェーンスプロケット21・22を設けて、両チェーンスプロケット21・22間にチェーン23を架け渡している。
【0039】
上記構成の第二実施形態では、
図9の状態で、空の屑袋をクリップ16によってフレーム13に装着すると共に、その際、袋の口縁の対向する二箇所を巻取り軸17に差し込んで、袋のセットが完了したならば、袋と共にフレーム13をキャビネット12にスライド収容して、
図10の状態とする。この
図10の状態において、通常どおり、細断機構収容部10内の細断部にて文書等の細断を行い、屑袋に所定量の細断屑が収容されたなら、別途スイッチ(図示せず)を操作するか、細断屑が満杯になったことをセンサによって検知してモータ18を駆動する。すると、モータ18の動力は、ドライブギア19、伝達ギア20、チェーンスプロケット21、チェーン23、チェーンスプロケット22、巻取り軸17の順に伝達され、巻取り軸17を回転駆動させることができる。これ以降、回転駆動する巻取り軸17の外周に口縁が巻き付けられ、最終的に、口縁全体にわたって水平な一本のロール状の閉口部が形成されることは第一実施形態と同じである。
【0040】
そして、閉口部を形成して袋を閉じた後も、第一実施形態と同様、巻取り軸17から閉口部の両端を引き抜き、屑袋をキャビネット12から取り出し、所望に応じて、閉口部を
図4に示したように、結び留める。
【0041】
ところで、閉口部を形成後の屑袋をフレームの直下で結び留めようとした場合、フレームの外側から閉口部まで手を伸ばす必要がある。しかし、上述した第一と第二の実施形態は何れも、フレームがループ状であるため、フレームが邪魔となって、当該結び留めの作業を行いにくいことが考えられる。特に、第二実施形態のように、フレーム13を引き出し式とした場合、結び留め作業はキャビネット12の手前から行うものに限られ、より細断屑の飛び散りを防ぐために、屑袋をキャビネット12に収容した状態で結び留め作業を行うとすれば、狭小な空間での作業が強いられることになる。
【0042】
このような問題に対応するため、
図11に示すように、引き出し手前側を開放した平面視コ字型のフレーム24を採用することもある。即ち、この改良フレーム24では、第二実施形態からの変更点として、互いに平行するサイドバー25・25の引き出し手前側に、第二実施形態の連結バー13bのような両者を架橋する部材を設けず、そのまま突き出しの状態として開放している。なお、フレームの手前を開放した以外の部分については、基本的に第二実施形態と変わるところがないため、共通する構成は第二実施形態と同じ符号を付している。
【0043】
このように引き出し手前を開放したフレーム24を採用することによって、屑袋を結び留める際に、当該フレーム24の懐深くに入り込めるようになって、当該作業が行い易くなる。
【0044】
一方、フレーム手前側から連結バー13bをなくしたことにより、キャビネット12に出し入れする際のとっかかりまでを失わないように、この改良フレーム24では、サイドバー25それぞれの手前側先端に短尺な取っ手26を設けている。
【0045】
また、この改良フレーム24では、サイドバー25の後方側を連結する部材として、第二実施形態において連結バー13cが棒材であったものを、角材27に変更して強度の確保を図っている。
【0046】
さらに、この改良フレーム24では、装着した袋の口縁を開口状態に保持する手段として、第二実施形態においてクリップ16が洗濯ばさみ形式であったものを、板ばね28に変更し、この板ばね28を各取っ手26と角材27の左右二箇所に設けて、袋の口縁四箇所を仮保持するようにしている。
【0047】
図12〜15は、第二実施形態のシュレッダを基本構成として上記改良フレーム24を採用した本発明の第三実施形態に係るシュレッダであり、当該改良フレーム24や第二実施形態と共通する部分については、これと同じ符号を付している。なお、この第三実施形態では、改良フレーム24からの変更点として、サイドバー25に垂直バー29aを介して袋の受け台部29bを追加している。これによって、フレーム24には受け台部29bが吊下状態で一体化され、このフレーム24に板ばね28によって屑袋をセットした際、袋が浮いた状態となって、その底を床に引きずることなく、屑袋をスムーズにキャビネット12に出し入れすることができる。また、受け台部29bは細断屑の重みも支持するため、当該重みによって袋口がフレーム24(板ばね28)から不用意に外れることも防止できる。これ以外、改良フレーム24において、その手前を開放したこと、符号26〜29bまでの部材を追加・変更したことは、巻取り軸17の動作を変更するものではなく、全般的な動作は第二実施形態と同じである。
【0048】
なお、屑袋の閉口部Sは、巻取り軸を駆動停止して巻き取り力が除去されると、袋素材が有する弾性によって、捻り戻りが生じて開口状態に復元しようとする。特に、フレームを引き出し式とした第二・第三実施形態では、フレームを引き出したとき、伝達ギア20が回転フリーとなって、これとチェーン23を介して連結した巻取り軸17も回転フリーとなるため、袋閉口部Sの捻り戻しに追従してそれぞれが巻き取り方向とは逆方向に回転して、袋閉口部Sの開口復元を許してしまう可能性がある。これは巻取り軸17や伝達ギア20の軸受にベアリングを仕組んでいる場合は顕著である。
【0049】
このような巻取り軸17の逆回転を規制するためのより好ましい構成として、
図16に示したように、伝達ギア20の回転軸40に巻き取り方向の回転のみを許容するワンウェイクラッチ41を設けて、フレームを引き出したときに、伝達ギア20が巻き取り方向と逆向きに回転することを規制している。これによって、巻取り軸17についても、巻き取り方向とは逆向きの回転が規制されるから、捻り戻りによる袋閉口部Sの開口復元が阻止され、巻き取り完了後から袋を取り外すまでの間、巻取り軸17上でロール状の閉口状態を保持することができる。
【0050】
ワンウェイクラッチ41はサイドバー25に固定した専用ハウジング42に圧入し、伝達ギア20の回転を制御しているが、当該ワンウェイクラッチ41を設ける対象部材は伝達ギア20に限らず、モータ軸など、駆動源(モータ)から巻取り軸までの動力伝達経路を構成する回転軸の何れかに設けることができ、さらには、巻取り軸17に設けてもよい。この場合、第一実施形態のように、伝達ギアがなく、巻取り軸4をチェーン6を介してモータ5と直結した袋閉じ装置についても逆転防止機能を付与することができる。
【0051】
最後に、
図17は、巻取り軸について、より好ましい構成を示したものである。即ち、図示した当該巻取り軸30については、その先端部において袋の口縁を巻き取る外周面31の形状を先細りのテーパ状としている。これによって、巻取り軸30の先端部における巻取り面が勾配を有することになり、巻取り完了後のロール状袋口を巻取り軸30から引き抜くときに必要な力を軽減することができる。
【0052】
また、この巻取り軸30では、袋口縁を着脱自在に保持する手段として、スリット32の内部に板ばね33を設けている。これによって、これまで説明した実施形態のように、スリット単独では、細断屑の投下等によって、口縁が巻取り前にスリット32から不用意に外れるおそれがあったが、板ばね33の採用によって、より確実に袋口縁を保持できるようになった。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、その実施形態では、主としてシュレッダによる細断屑を袋詰めするものを説明したが、袋の収容物や、袋の素材・大きさはこれに限定されず、食品や小物など、従来から袋詰めされているものに適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 フレーム
2 支柱
3 土台
4 巻取り軸
4a 先端部
4b スリット
5 モータ
6 チェーン
7 チェーンスプロケット
8 コロ
9 シュレッダ
10 細断機構収容部
11 袋閉じ装置
12 キャビネット
13 フレーム
13a サイドバー
13b 連結バー(前側)
13c 連結バー(後ろ側)
14 固定レール
15 スライドレール
16 クリップ(洗濯ばさみ式)
17 巻取り軸
18 モータ
19 ドライブギア
20 伝達ギア
21・22 チェーンスプロケット
23 チェーン
24 改良フレーム
25 サイドバー
26 取っ手
27 角材
28 板ばね
29a 垂直バー
29b 袋受け台
30 巻取り軸
31 先端部外周面
32 スリット
33 板ばね
40 伝達ギアの回転軸
41 ワンウェイクラッチ
42 ワンウェイクラッチ用ハウジング
B 袋
E 口縁
T 屑
S 閉口部
C キャビネット