(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接着層が、前記ナノファイバーシートの第1の主面の少なくとも一部にも隣接して配置されており、これにより導電性両面感圧接着ナノファイバーテープを形成している請求項1に記載の複合ナノファイバーシート。
弾性基材を更に備え、この弾性基材の上に前記ナノファイバーシートと、前記第1の形状適応金属層と、前記ポリマー層とが配置されている請求項1に記載の複合ナノファイバーシート。
前記弾性基材と、前記ナノファイバーシートと、前記第1の形状適応金属層と、前記ポリマー層とを合わせると、収縮状態では第1の長さとなり、伸長状態では前記第1の長さの最大約7倍である第2の長さとなる請求項3に記載の複合ナノファイバーシート。
前記第2の主面にポリマーを浸透させるステップが、前記ポリマーの少なくとも一部を前記ナノファイバーシートの前記第2の主面から前記第1の主面まで浸透させ、これにより導電性である両面接着ナノファイバーテープを形成することを含む請求項15に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面は、例示の目的のみのために本開示の様々な実施形態を示すものである。以下の詳細な説明により、多くの変形例、構成、及び他の実施形態を明らかにする。
【0009】
[概要]
本明細書に記載の実施形態としては、ポリマーが「浸透」し(すなわち、ポリマーが上記ナノファイバーシートの表面を通過して、上記ナノファイバーによって画定されたシート内の空間の少なくとも一部に流入する)、これにより上記複合ナノファイバーシート内にポリマー層を形成している複合ナノファイバーシートが挙げられる。浸透しているポリマーが接着剤である場合、本明細書に記載のいくつかの実施形態により、片面または両面接着ナノファイバーテープを形成する。このテープは、下層の面または2つの面の間(例えば、ハウジングの2つの部分の間の縫い目)に形状適応するように付着することができるため、電磁干渉遮蔽(EMI)などの様々な用途に使用することができる。本明細書に記載の他の実施形態においては、ナノファイバーシート中のナノファイバーの一部は、少なくとも1種の金属層で形状適応するように被覆され(「金属化」)、その後、ポリマーで処理される。金属化された実施形態に感圧接着剤などの接着ポリマーを浸透させ、片面または両面の高導電性ナノファイバー接着テープを形成することもできる。または、他の非接着剤ポリマーを使用して複合ナノファイバーシートに浸透させてもよい。
【0010】
また、下記の実施形態は、1または複数のナノファイバーシート、少なくとも1つの形状適応金属層、及びポリマーを含む構成要素の物理的特性と、化学的特性と、電気的特性とを併せ持つ複合ナノファイバーシートの製造方法も含む。
【0011】
[カーボンナノファイバー及びカーボンナノファイバーシートの性質]
本明細書において、用語「ナノファイバー」とは、直径が1μm未満の繊維を意味する。本明細書の実施形態では、主にカーボンナノチューブから製造されたものとして記載するが、グラフェン、ミクロンまたはナノスケールグラファイト繊維及び/又はプレートなどの他の炭素同素体、さらに窒化ホウ素のようなナノスケール繊維の他の組成物も、以下に記載の技術を利用してナノファイバーシートを製造するために使用できることが理解されるであろう。本明細書において、用語「ナノファイバー」及び「カーボンナノチューブ」は、炭素原子同士が結合して円筒構造を形成している単層カーボンナノチューブ及び/又は多層カーボンナノチューブの両方を包含する。いくつかの実施形態では、本明細書で参照するカーボンナノチューブは、層数が4〜10である。本明細書で使用する「ナノファイバーシート」または単に「シート」は、引き出しプロセス(国際公開第2007/015710号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)によって、シートのナノファイバーの長手方向軸が、シートの主表面に垂直ではなくシートの主表面に平行となるように整列されたナノファイバーのシート(すなわち、堆積したシート形であり、しばしば「フォレスト」と呼ばれる)を指す。
【0012】
カーボンナノチューブの寸法は、使用する製造方法によって大きく異なっていてもよい。例えば、カーボンナノチューブの直径は0.4nm〜100nmであってもよく、長さは10μm〜55.5cm超であってもよい。また、カーボンナノチューブは非常に高いアスペクト比(直径に対する長さの比)を有することができ、132,000,000:1以上になるものもある。広範な寸法を有し得ることを考えると、カーボンナノチューブの特性は高度に調節可能であるか、または「可変」である。カーボンナノチューブの多くの興味深い特性が確認されている一方、実際の用途でカーボンナノチューブの特性を利用するためには、カーボンナノチューブの特徴を維持または向上することができる、測定可能かつ制御可能な製造方法が必要である。
【0013】
カーボンナノチューブは、その特異な構造のため、特定の機械的、電気的、化学的、熱的、光学的特性を備えており、この特性のため、カーボンナノチューブは特定の用途に好適である。特に、カーボンナノチューブは優れた導電性、高い機械的強度、良好な熱安定性を示し、また疎水性でもある。これらの特性に加えて、カーボンナノチューブは有用な光学特性も示しうる。例えば、カーボンナノチューブを発光ダイオード(LED)及び光検出器に用いて、狭く選択された波長で光を放射または検出することができる。カーボンナノチューブは、光子輸送及び/又はフォノン輸送にも有用なものであることが証明され得る。
【0014】
[ナノファイバーフォレスト]
本開示の様々な実施形態によれば、ナノファイバー(カーボンナノチューブを含むがこれに限定はされない)は、本明細書において「フォレスト」呼ばれる構成を含む様々な構成で配置することができる。本明細書において、ナノファイバーまたはカーボンナノチューブの「フォレスト」とは、基板上に互いに実質的に平行に配置されたほぼ同等の寸法を有するナノファイバーのアレイをいう。
図1は、基材上のナノファイバーの例示的なフォレストを示す。上記基板は、任意の形状であってよいが、いくつかの実施形態において、上記基板はフォレストが組み立てられる平面を有する。
図1から分かるように、上記フォレストのナノファイバーの高さ及び/又は直径がほぼ同じとなりうる。
【0015】
本明細書で開示するナノファイバーフォレストは、比較的密度が高い。具体的には、開示するナノファイバーフォレストは、密度が少なくとも10億ナノファイバー/cm
2になり得る。いくつかの特定の実施形態では、本明細書に記載のナノファイバーフォレストは、密度が100億/cm
2〜300億/cm
2となり得る。他の例では、本明細書に記載のナノファイバーフォレストは、密度が900億ナノファイバー/cm
2の範囲になり得る。上記フォレストは、高密度または低密度の領域を含む場合があり、特定の領域ではナノファイバーが存在しない場合がある。フォレスト内のナノファイバーは、ファイバー間の接続性を示すこともある。例えば、ナノファイバーフォレスト内の隣接するナノファイバーは、ファンデルワールス力によって互いに引き寄せられる場合がある。
【0016】
[ナノファイバーフォレストの製造方法の例]
本開示に従い、様々な方法を用いてナノファイバーフォレストを作製することができる。例えば、いくつかの実施形態では、ナノファイバーを高温炉内で成長させることができる。いくつかの実施形態では、触媒を基材上に堆積させ、反応器に入れ、次いで反応器に供給される燃料化合物に暴露してもよい。基材は800℃超〜1000℃の温度に耐えることができ、不活性な材料でありえる。上記基板は、下地となるシリコン(Si)ウェハ上に配置したステンレス鋼またはアルミニウムを含むことができるが、Siウェハの代わりに他のセラミック基板(例えば、アルミナ、ジルコニア、SiO2、ガラスセラミック)を使用してもよい。上記フォレストのナノファイバーがカーボンナノチューブである例では、アセチレンなどの炭素系化合物を燃料化合物として使用することができる。反応器に導入された後、上記燃料化合物(複数可)は触媒上に蓄積し始め、基材から上方に成長することによって組み立てられ、ナノファイバーのフォレストを形成することができる。
【0017】
ナノファイバー成長のための例示的な反応器のダイアグラムを
図2に示す。
図2に示すように、上記反応器は、基材を配置して上記ナノファイバーフォレストの成長を促進する加熱ゾーンを備えることができる。また反応器は、燃料化合物(複数可)及びキャリアガスを反応器に供給することができるガス入口と、消費した燃料化合物及びキャリアガスを反応器から放出することができるガス出口と、を備えることができる。キャリアガスの例としては、水素、アルゴン、及びヘリウムが挙げられる。これらのガス、特に水素を反応器に導入して、ナノファイバーフォレストの成長を促進することができる。さらに、ナノファイバーに組み込まれるドーパントをガス流に添加してもよい。ナノファイバーフォレストの堆積中にドーパントを添加する例示的な方法は、国際公開第2007/015710号の段落287に記載されており、これはここに引用することにより本明細書の記載の一部をなすものとする。上記フォレストに添加剤をドープもしくは付与する他の例示的な方法としては、表面コーティング、ドーパント注入、または他の堆積及び/又はin situ反応(例えば、プラズマ誘導反応、気相反応、スパッタリング、化学気相成長法)が挙げられる。例示的な添加剤としては、特にポリマー(例えば、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(フェニレンテトラフタルアミド)型樹脂、ポリ(p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)、ポリアクリロニトリル、ポリ(スチレン)、ポリ(エーテルエーテルケトン)及びポリ(ビニルピロリドン)、またはこれらの誘導体及び組み合わせ)、元素または化合物(例えば、フッ素)のガス、ダイヤモンド、パラジウム及びパラジウム合金が挙げられる。
【0018】
上記ナノファイバー成長中の反応条件を変更して、得られるナノファイバーフォレストの特性を調整することができる。例えば、触媒の粒径、反応温度、ガス流量及び/又は反応時間を必要に応じて調整し、所望の仕様を備えるナノファイバーフォレストを作製することができる。いくつかの実施形態では、基板上の触媒の位置を制御して、所望のパターンを有するナノファイバーフォレストを形成する。例えば、いくつかの実施形態では、触媒をパターン状に基体に堆積させると、上記パターン化された触媒から成長させて得られるフォレストも同様にパターン化される。例示的な触媒として、酸化ケイ素(SiO
2)または酸化アルミニウム(Al
2O
3)の緩衝層を備えた鉄を含む。これらは、特に化学気相成長(CVD)法、圧力化学気相成長(PCVD)法、電子ビーム(eBeam)堆積、スパッタリング、原子層堆積(ALD)、レーザーアシストCVD、プラズマCVD、熱蒸発、種々の電気化学的方法により基板に蒸着させることができる。
【0019】
形成した後、任意に上記ナノファイバーフォレストを改質することができる。例えばいくつかの実施形態において、上記ナノファイバーフォレストを酸化剤や還元剤などの処理剤に曝露してもよい。いくつかの実施形態において、上記フォレストのナノファイバーを処理剤によって任意に化学的に官能化することができる。処理剤は、化学気相成長(CVD)法または他の技術のいずれかを含むがこれに限定されない任意の適切な方法及び上記添加剤/ドーパントによって上記ナノファイバーフォレストに導入することができる。いくつかの実施形態において、上記ナノファイバーフォレストをパターン化されたフォレストを形成するように改質することもできる。上記フォレストのパターニングは、例えば、上記フォレストから選択的にナノファイバーを取り除くことにより実現できる。 除去は、化学的または物理的手段を用いて行うことができる。
【0020】
[ナノファイバーシート]
フォレスト構造の配置に加えて、本出願のナノファイバーは、シート形状に配置してもよい。本明細書において、「ナノファイバーシート」、「ナノチューブシート」、または単に「シート」という用語は、ナノファイバーが平面内で端から端まで配列しているナノファイバーの配置を指す。いくつかの実施形態では、上記シートは、長さ及び/又は幅がシートの厚さの100倍を超える。いくつかの実施形態では、長さ、幅またはその両方が、上記シートの平均厚さの10
3、10
6、または10
9倍を超える。上記ナノファイバーシートは、例えば厚さが約5nm〜30μmであり、対象用途に適した任意の長さ及び幅を有することができる。いくつかの実施形態では、上記ナノファイバーシートは、長さが1cm〜10cm、幅が1cm〜1mとなり得る。なお、これらの長さは単に例示のために示すものである。ナノファイバーシートの長さ及び幅は、上記ナノチューブ、フォレスト、またはナノファイバーシートのいずれかの物理的または化学的特性によってではなく、製造設備の構成によって制約される。例えば、連続プロセスによって、任意の長さのシートを作製することができる。このようなシートは、製造時にロールに巻き取ることができる。
【0021】
例示的なナノファイバーシートの図を
図3に示し、相対的な寸法を示す。
図3から分かるように、上記ナノファイバーが端から端まで配列する軸を、ナノファイバー配列の方向という。いくつかの実施形態では、上記ナノファイバー配列の方向は、ナノファイバーシート全体にわたって連続的であってもよい。ナノファイバーは、必ずしも完全に互いに平行である必要はなく、上記ナノファイバー配列の方向はナノファイバーの配列の方向の平均または一般的な尺度であることが理解できる。
【0022】
ナノファイバーシートを互いに積層させて、多層シート積層体を形成することができる。ナノファイバーシートは、ナノファイバー配列の方向が同一になるようにまたはナノファイバー配向の方向が異なるように、積層させることができる。任意の数のナノファイバーシートを互いに積層させて、多層ナノファイバーシート積層体を形成することができる。例えばいくつかの実施形態において、ナノファイバーシート積層体は2、3、4、5、10、またはそれ以上の個々のナノファイバーシートを含み得る。積層体中の隣接するシートの間では、上記ナノファイバー配列の方向は、1°未満、5°未満または10°未満だけ異なっていてもよい。他の実施形態では、隣接するシートまたは交互配置されたシートの間では、上記ナノファイバー配列の方向は、40°を超えて、45°を超えて、60°を超えて、80°を超えて、または85°を超えて異なっていてもよい。特定の実施形態では、接するシートまたは交互配置されたシートの間では、上記ナノファイバー配列の方向は90°となり得る。多層シート積層体は、個別の非繊維シートの間に、ポリマー、金属及び接着剤などの他の材料を含むものであってもよい。
【0023】
ナノファイバーシートは、シートを製造可能な任意のタイプの適切なプロセスを用いて組み立てることができる。いくつかの例示的な実施形態では、ナノファイバーシートは、ナノファイバーフォレストから引き出すこともできる。ナノファイバーフォレストから引き出されているナノファイバーシートの一例を
図4に示す。
【0024】
図4に示すように、上記ナノファイバーは、上記フォレストから横方向に引き出され、端からはしまで配列してナノファイバーシートを形成することができる。ナノファイバーシートがナノファイバーフォレストから引き出される実施形態では、上記フォレストの寸法を制御して、特定の寸法を有するナノファイバーシートを形成することができる。例えば上記ナノファイバーシートの幅は、シートを引き出した上記ナノファイバーフォレストの幅と略等しくなり得る。また上記シートの長さは、例えば、所望のシート長さが得られたときに引き出しプロセスを終了することによって制御することができる。
【0025】
ナノファイバーシートは、様々な用途に利用することができる多くの特性を有する。例えば、ナノファイバーシートは、調整可能な不透明度、高い機械的強度及び可撓性、熱伝導率及び電気伝導率を有することができ、また、疎水性を示し得る。シート内でナノファイバーの配列が高度であると考えると、ナノファイバーシートは非常に薄いものになり得る。いくつかの例では、ナノファイバーシートの厚みは(通常の測定公差内で測定して)約10nmのオーダーであり、ほぼ2次元の形状を示す。他の例では、ナノファイバーシートの厚みは、200nmまたは300nmほどとすることができる。このように、ナノファイバーシートは、構成要素に最小限の追加の厚さを加えることができる。
【0026】
ナノファイバーフォレスト同様、ナノファイバーシート内の上記ナノファイバーは、処理剤によって上記シートの上記ナノファイバーの表面に化学基または元素を加えることにより官能基化することができ、ナノファイバー単独とは異なる化学活性をもたらす。ナノファイバーシートの官能基化は、前もって官能基化されたナノファイバーで行うことができるか、または、前もって官能基化されていないナノファイバーで行うことができる。官能基化は、限定はされないが、CVD及び種々のドーピング技術を含む本明細書に記載の技術のいずれかを用いて行うことができる。
【0027】
ナノファイバーシートはまた、本明細書に開示する金属化及び/又はポリマー浸透前には高純度であり、いくつかの例では、ナノファイバーシートの90重量%超、95重量%超、または99重量%超がナノファイバーに起因する。同様に、上記ナノファイバーシートは、90重量%超、95重量%超、99重量%超または99.9重量%超の炭素を含むことができる。
【0028】
[形状適応、可撓性、導電性の複合ナノファイバーシートの製造]
このように、フォレストから引き出すかまたは他の方法で作製した上記ナノファイバーシートは、本明細書に記載の実施形態に従って加工することができる。上述のように、また以下でより詳細に説明するように、ナノファイバーシートは、例えば溶媒を用いて「高密度化」し、ポリマーを「浸透」させて上記ナノファイバーシートを適用することができる物理的条件を広げることができる。
【0029】
他の実施形態では、上記浸透ポリマー自体がナノファイバーシートを高密度化する。浸透ポリマーを用いて、個別の溶媒の代わりにナノファイバーシートを高密度化することには、多くの利点がある。これらの利点として、製造方法から別個の製造工程及び追加の材料を省くことができるために、コストが削減できること、製造の利便性が改善されることが挙げられる。
【0030】
一例では、以下でより詳細に説明するように、ナノファイバーシートに浸透させるために用いる上記ポリマーは接着剤である。製造されると、この実施形態は、弾性の片面または両面接着テープとして使用することができ、場合によっては導電性である。非金属化ナノファイバーシートのシート抵抗は650〜1200オーム/スクウェアの範囲になり得る一方で、金属(例えば、金、白金、銅または仕事関数が約3.5eV超である他の仕事関数が高い金属)で金属化されたナノファイバーシートはシート抵抗が100オーム/スクウェア未満と低くなる。さらに、金属化層を含む実施形態は、はんだを受ける能力が向上するため、上記ナノファイバーシートと電気システム(例えば、センサー、検出器、電源)の間の電気的接続を、機械的及び電気的に確実なものとすることができる。
【0031】
図5は、ポリマーを浸透させたナノファイバーシートの例示的な製造法500を示す方法フロー図である。上記方法500は、ナノファイバーシートを提供することにより開始される(504)。上記提供したナノファイバーシートは、上記の実施形態に従って調製することができるが、上記の実施形態に従って調製される必要はない。
【0032】
ナノファイバーシートを用いた導電、形状適応、可撓性かつ伸長可能な構造の製造は、次のような処理工程を用いて行うことができる。(1)1または複数のナノファイバーシートを剥離ライナー上に堆積させ、堆積した1または複数のナノファイバーシートの1つの表面を露出させたままにする、(2)上記ナノファイバーシート中のナノファイバーの一部または全部において、上記露出した表面を介して任意に「金属化」する(すなわち形状適応層を堆積させる)、(3)伸長した(すなわち引張歪状態の)弾性基材を上記シートの積層体の露出した表面に取り付ける、(4)上記剥離ライナーを取り除く、(4)ポリマーを上記シートに浸透させる、(5)任意で上記弾性基材にかかった引張歪を解放する。これらの製造段階それぞれについて、以下により詳細に考察する。いくつかの追加の任意の製造工程についても以下に説明する。
【0033】
製造上の便宜のため、上記ナノファイバーシートを剥離ライナー上に配置する(512)。上記剥離ライナーは、上記シートの一時的なキャリアとして機能し、それによって、上記シートが損傷する危険性を低減しつつ、製造プロセス全体にわたって上記シートを都合よく操作できるようにする。上記剥離ライナーは、加工中にその寸法と形状を維持するために十分な機械的完全性を備えており、このため、上記ナノファイバーシートの損傷の可能性を最小にすることができる。上記剥離ライナーは、上記ナノファイバーシートに対して十分な粘着力を有し、このため上記シートはしっかりと、だが剥離可能に、剥離ライナーに付着する。上記剥離ライナーと上記シートとの間の接着力は、それほど強くないので、上記シートを損傷することなく上記剥離ライナーから剥離することができない。
【0034】
上記剥離ライナーの例としては、ポリプロピレンまたはポリオレフィンポリマーフィルムなどのポリマーフィルムが挙げられ、例えば、Gunze Plastic Films社(Olathe, Kansas)製のポリマーフィルムなどが挙げられる。剥離ライナーの例に使用されるポリマーフィルムの表面張力の範囲としては、25dynes/cm〜35dynes/cm、29dynes/cm〜31dynes/cm、及び20dynes/cm〜40dynes/cmが挙げられる。
【0035】
さらなる処理を実現するため、上記剥離ライナーに上記ナノファイバーシートを配置すること(512)を繰り返し、それによって複数のナノファイバーシートの積層を剥離ライナーに配置することができる。
【0036】
実施形態では、1または複数のナノファイバーシートを上記剥離ライナー上に配置した(512)後に、上記ナノファイバーシートを任意に「金属化」する(516)。「金属化」とは、上記ナノファイバーシート内に整列されたナノファイバーの外側表面に、1または複数の金属層を形状適応するように堆積するか又は他の方法で配置するプロセスをいう。上記形状適応金属層(複数可)は、全体として上記シートの上記外側表面のみに配置されるわけではなく、上記ナノファイバーシートの外側表面に露出している個々のカーボンナノファイバーの外側表面のみに配置されるわけでもない。むしろ、適切な金属及び堆積プロセスを選択することにより、上記形状適応金属層は、少なくとも部分的にシート表面を越えて浸透し、上記ナノファイバーシートの露出表面のナノファイバーだけでなく、上記シート自体の内部に配置されたナノファイバーの外側表面にも適合する。この堆積は、必要に応じて後で積層する個別のシート(複数可)に対して行ってもよく、またはナノファイバーシートの積層体全体に対して行ってもよい。上記ナノファイバーシートを高密度する前にナノファイバーシートを金属化すること(以下に詳述する任意の工程)は、いくつかの実施形態において有益である。これは、高密度化されていないナノファイバーシートはファイバー間により大きな空間を画定するので、上記ナノファイバーシートの表面及び上記ナノファイバーシートの本体内の両方において、上記ファイバー表面に金属をより均一に分布させるためである。
【0037】
金属層を堆積するために使用される方法の例としては、特に化学気相成長(CVD)法、圧力化学気相成長(PCVD)、電子ビーム(eBeam)堆積、スパッタリング、原子層堆積(ALD)、電気めっき、レーザーアシストCVD、プラズマCVD、熱蒸発、(電気めっきなどの)電気化学的方法が挙げられる。いくつかの例では、(形状適応層ではなく)金属ナノ粒子が堆積される。
【0038】
他の例では、金属化(516)との関連で上述した方法を用いて、非金属材料を堆積させることができる。例えば、特に二ホウ化マグネシウム、半導体(例えばシリコン、ゲルマニウム、II−VI族半導体、III−V族半導体)、他の炭素同素体(例えばグラファイト、ダイヤモンド、フラーレン)、ポリマー、セラミックス(例えば酸化アルミニウム、炭化タングステン、二酸化ケイ素)、二酸化チタン、リチウムイオンリン酸塩、ナノ粒子、ナノフレーク、ナノワイヤが挙げられる。
【0039】
多くの場合、カーボンナノチューブシートを含む炭素複合体の表面は、金属、特に反応性の低い金属(例えば、金、銀、銅のような貴金属)の付着性が乏しく、これらを付着させるのが困難である。この課題を克服するため、ナノチューブシート上にまず、タングステン、モリブデン、チタン、ニオブなどの炭化物形成金属の第1の形状適応層を堆積させる。チタンの代わりに、特に鉄及び亜鉛、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、クロムなどの他の炭化物形成金属及び/又は合金を使用することができる。実施形態において、この第1の形状適応層の厚みは以下のいずれかである。1nm〜10nm、1nm〜5nm、5nm〜10nm、2nm〜8nm、3nm〜7nm、3nm〜6nm、6nm〜9nm、及び30nm未満〜である。
【0040】
上記炭化物形成金属の第1の形状適応層を堆積する際、いくつかの例では、上記第1の形状適応層の上に第2の形状適応層を堆積する。上記第2の形状適応層は上記第1の形状適応層に付着するため、例えば金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウム、鉄、スズ、及びこれらの合金などを含むがこれらに限定されない様々な金属及び金属合金のいずれかを使用することができる。実施形態において、上記第2の形状適応層の厚みは以下のいずれかである。特に10nm〜300nm、10nm〜100nm、10nm〜200nm、100nm〜200nm、200nm〜300nm、150nm〜250nm。
【0041】
上記ナノファイバーシート内部のナノファイバー表面に配置された形状適応金属層の利点の1つとして、多くの個別のナノファイバー表面が金属で被覆されることが挙げられる。このため、シートの抵抗率が低下するが、これは、シートの外側表面に隣接した少数の導電経路のみならず、シート全体に多数の導電経路が存在することができるためである。
【0042】
形状適応金属層の別の利点は、上記シートのいずれかの側から絶縁性ポリマーによってシートを浸透させたとしても、上記シートの導電性が保存されることである(後述)。上記シートの金属化の際に生成される電気接点の多くは、表面の上にあるか、下にあるか、または表面に非平面状にあるため、ナノファイバー間の電気接点のうちいくつかは、上記シートの金属化層の部分に電気絶縁性ポリマーを浸透させた場合であっても残ることができる。しかしながら、例えば、ナノファイバーと金属との間には表面エネルギーの差があるため、一般にポリマー、特に接着剤は、金属よりもカーボンナノチューブとの接触が容易である。その結果、ナノチューブシートの金属化部分は、ポリマーの浸透に対して抵抗性があり、よって、ポリマーが一方の主面からシートの反対側の主面の複数の部分に浸透した場合でも、シート中の導電経路を保つことができる。この場合、上記ポリマー層は、上記ナノチューブシートの金属化部分に隣接する主面とは反対側の面である、上記ナノファイバー複合シートの第2の主面に隣接している。
【0043】
図6A〜
図6Dは、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてキャプチャした画像であり、チタンの第1の形状適応金属層を配置したカーボンナノチューブを示す。上記の例においては、チタンの第1の形状適応金属層は、厚さが約3nm(通常の測定公差に起因して変動する)であり、eBeam堆積を使用してナノチューブ上に堆積したものである。他の例では、第1の形状適応金属層の厚さは1nm〜10nmとすることができる。
【0044】
例えば、Fremont,CaliforniaのCHA Industriesの電子ビーム蒸着システム(「CHA Mark 50」モデル)を使用してナノファイバーシート上に金属を堆積させた。上記堆積は、動作電圧約10kW(測定の識別、的確性、及び精度による通常の測定公差で近似した)、約10
―6〜約10
−7torr(測定の識別、的確性、及び精度による通常の測定公差で近似した)の真空中で行った。上記eBeam蒸着システムは、蒸着金属を自動的に交換できるタレットを備えていた。ドーム型サンプルホルダーに、ドームの曲率に従ってサンプルを取り付け、確実にサンプル全体に均一な金属層を付与した。堆積制御装置により、チタン及び銀金属の堆積速度をそれぞれ約0.5Å/s及び約10Å/sのレベルで一定に保った。堆積したチタン薄膜の厚さは3〜20nmであり、銀金属の厚さは400〜500nmであった。
【0045】
上述の実験例とは別の例において、
図7A〜
図7Dは、銅の第2の形状適応層のTEM画像を示す。この第2の形状適応層は、eBeam堆積を用いて堆積したチタンの第1の形状適応金属層の上に配置されており、厚さが約60nm(通常のプロセス変更及び測定誤差による近似値)である。これらの図に示す例において具体化されているように、上記チタンの第1の形状適応層と銅の第2の形状適応層とを併せ持つことにより、抵抗が約5オーム/スクウェア(通常の測定許容誤差内)であるナノファイバーシートを作製した。
【0046】
上記
図7A〜
図7Dの例の形態は、炭化物形成金属の第1の形状適応金属層が存在しない他の例の形態とは対照的である。
図8のTEM画像に示すように、下地となる第1の炭化物形成形状適応層を備えることなく、eBeam堆積法を用いて厚さ約60nmの銅層がナノファイバーに形状適応するように堆積されている。図に示す通り、炭化物形成なしの銅形状適応金属層では、不連続な部分が多くなる。この形態は、電気的性質にも影響を与える。
図8に示す実施形態の抵抗の測定値は1790オームであり、
図7A〜
図7Dの実施形態の抵抗よりも600倍近く大きい値であった。
【0047】
上記第1の形状適応層及び第2の形状適応層はそれぞれ、特に電子ビーム堆積(EBM)、スパッタリング、蒸発蒸着を含むがこれらに限定されない任意の薄膜堆積技術によって堆積することができる。いずれにせよ、(炭化物形成金属の)第1の形状適応金属層が堆積し、次いで第2の形状適応金属層が堆積する。上記第1及び第2の形状適応層が堆積すると、上記ナノファイバーシートのシート抵抗は約100オーム/スクウェア(通常の測定許容誤差内)と低くすることができる。これらの形状適応金属層が存在しない場合、ナノファイバーシートのシート抵抗は、650オーム/スクウェア〜1200オーム/スクウェアの範囲となる。
【0048】
他の実施形態では、上述したように金属層を堆積させず、上記ナノファイバーシートを金属化していない状態のままにすることができる。
【0049】
上記シートが金属化されているかどうかにかかわらず、上記シートを上記剥離ライナーから弾性基材に移す(520)。弾性基材はシートの製造に特に有用であり、このシートは後に歪ませたり伸ばしたりすることができ、場合によっては上記基材の歪みのない、元の長さの7倍(700%)まで伸ばすことができる。上記金属化ナノファイバーシートを上記剥離ライナーから上記弾性基材へ移すこと(520)は、単に、上記弾性基材を上記金属化ナノファイバーシートの露出表面(すなわち、剥離ライナーと接触する表面の反対側の表面)に接触させることによって行う。上記ナノファイバーシートと上記弾性基材との間の接着力が上記ナノファイバーシートと上記剥離ライナーとの間の接着力より大きくなるように剥離ライナー及び弾性基材を選択すれば、上記剥離ライナーは、単に上記ナノファイバーシートから剥離するだけで取り除くことができる(524)。ナノファイバーシートは弾性基材に付着したままとなる。
【0050】
これらの特徴を有する弾性基材の例としては、白金触媒シリコーンポリマーフィルムなどのシリコーンゴムフィルムが挙げられる。白金触媒シリコーンポリマーフィルムの一実施形態としては、Smooth−On(登録商標)(Macungie,Pennsylvania)が販売するEco−Flex(登録商標)が挙げられる。剥離ライナーの例に用いるポリマーフィルムの表面張力の範囲として、例えば、15dynes/cm〜25dynes/cm、20dynes/cm〜24dynes/cm、及び23dynes/cm〜25dynes/cmが挙げられる。
【0051】
いくつかの例においては、上記弾性基材は、上記ナノファイバーシートを取り付ける前に、引っ張り歪み状態とする(すなわち、「伸張」または「伸長」する)。上記弾性基材を歪ませることにより、以下に説明する追加の処理の後で上記弾性基材上の歪みを解放する(すなわち、基材がその弾性的にひずんだ状態または「伸長した」状態から「収縮した」状態に「緩和する」または収縮するとき)ときに、上記ナノファイバーシートを「座屈」させることができる。座屈したナノファイバーシートを
図9に概略的に示す。ナノファイバーシートを座屈させることにより、上記シートのさらなる表面積を「蓄積」し、上記ナノファイバーシートに損傷を与えることなく、上記弾性基材と上記弾性基材上に配置された上記ナノファイバーシートの両方の弾性伸長を後に繰り返しやすくする。よって、上記ナノファイバーシートは、上記ファイバー自体の弾性によってではなく、上記シートの構造によって伸張が可能となる。
【0052】
下層の弾性基材上の座屈ナノファイバーシートの画像を
図10A〜10Cに示す。
図10A及び
図10Bは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてキャプチャした断面図である。図の通り、上記ナノファイバーシートとその下層の上記弾性基材との間の接着力は、座屈構造でも上記ナノファイバーシートと上記弾性基材との間の接触を維持するほど十分なものである。
図10Cは、下層の緩和した弾性基材に付着した座屈ナノファイバーシートの上面図である。図示されていないが、上記弾性基材及びその上に配置された上記座屈ナノファイバーシートは、上記ナノファイバーシートを損傷することなく再度弾性歪み状態にすることができることは理解されるであろう。これは、上記ナノファイバーシートのさらなる長さが座屈に蓄積され、座屈の長手方向軸(
図9に示す)に対して横方向に加えられる歪みを調整するためである。
【0053】
いくつかの実施形態においては、1または複数のナノファイバーシートを、同時に複数の方向に(例えば、拡張球面上のように等方的に)歪ませた1または複数の弾性基材上に配置することができる。これらの例では、複数の異なる方向の歪みは、長手方向だけでなく多軸歪みを反映する構造の座屈によって、調整することができる。いくつかの実施形態では、上記ナノファイバーシートは、
図9との関連で上述した通り、個別に引っ張り歪み状態にした基材上に配置する。次いで、これらの個々のナノファイバーシートを隣接するシートの長手方向軸の間にオフセットを設けて累進的に積層させ、これにより、異なる方向の歪みを調整するように構成する。例えば、1または複数の長手方向に歪んだナノファイバーシートを、隣接する層に対してそれぞれ1°、2°、5°、10°、90°または他の角度の方向差で積層してもよい。層間で方向をこのように系統的に変化させることは、「ナノファイバー配列の方向」の変化として上述したものである。いずれにせよ、上記積層体は全体として、2つ以上の方向成分を有するひずみを調整することができるか、または、湾曲した表面(例えば、ボールの表面または電子デバイスのコーナー)に付着させることができる。後述の通り、この歪み及び積層のプロセスは、浸透の前に行ってもよい。または、この歪み及び積層のプロセスは、個々のナノファイバーシートの浸透を行った後に行ってもよい。
【0054】
座屈の程度は、
図9に概略的に示す範囲を超えて変更することができる。
図11に示すように、上記ナノファイバーシートを弾性基材に移す(520)間に下層の弾性基材を十分に伸張すると、上記弾性基材の緩和時にナノファイバーシートの「過剰座屈」を引き起こす可能性がある。過剰に座屈した場合、ナノファイバーシートが十分に座屈して、個々の座屈部のいくつかまたはすべてが互いに接触する。この「過剰座屈」によって、上記ナノファイバーシート内に電気的短絡が生じ、上記シートの電気抵抗が座屈構造(
図9に示す)または座屈が生じていないシートと比較して低くなる。金属化された主面を、上記座屈した主面に対応するよう構成することによって、電気抵抗の変化をより大きくすることができる。このようにして、過剰に座屈したシートでは、過剰に座屈していないシートに比べて抵抗が低くなる。いくつかの例では、過剰に座屈したシートは700%を超えて(1000%まで)伸長することができる。さらに、
図12A及び
図12Bに概略的に示すように、絶縁フィルムまたは絶縁ポリマーを使用して上記座屈した表面に浸透させる、または代替としてナノファイバーシートの金属化表面(少なくとも第1の主面及び第2の主面の少なくとも一方に隣接する)に個別に塗布することができる。これにより、導電性を低下させ、また、過剰座屈したシートの隣接し接触している部分間の短絡を防止することができる。したがって、通常の座屈(すなわち過剰座屈していない)シートまたは座屈していないシートの電気的特性と、非常に大きな伸長性とを併せ持つことができる。
【0055】
また、上記絶縁フィルムまたは浸透ポリマーを選択することにより、例えば、湿気(例えば、雨、湿度、汗)、汚染物質(例えば、汚れまたは他の粒子)、浸透ポリマーのUV分解、または他の環境劣化からの環境保護をもたらすことができる。例えば絶縁膜は、疎水性、低表面エネルギーを有するように、かつ/または屑、埃、及び他の異物の蓄積に抵抗する添加剤を有するように選択することができる。
【0056】
上記弾性基材に適用される歪みの性質(または歪みが全く適用されないかどうか)にかかわらず、上記剥離ライナーを除去した(524)後、上記ナノファイバーシートの露出表面にポリマーを浸透させる(528)。ポリマーの浸透(528)は、露出した表面に単にポリマーまたはポリマー溶液を塗布することによって行うことができる。上記ポリマーは、上記シートのナノファイバー間の、そしてこれにより画定される空間の一部またはすべてを充填する。上記ポリマーは概ね、上記ナノファイバーシートの対向する表面から、上記シート内に堆積した金属化された層までほぼ浸透し、これにより上記ナノファイバーシート内にポリマー層を形成する。いくつかの例では、ポリマーの一部は、上述したように上記金属化層の内部に浸透し、上記の金属化層に関連する主面に達し得る。
【0057】
上記ナノファイバーシートに浸透させるために用いるポリマーとしては、限定はされないが、例えば、ブチルゴム、天然ゴム、共重合体(スチレン共重合体を含む)、ポリエステル、シリコーン、ポリビニルエーテル、ポリマー混合物、UV硬化接着剤及び感圧接着剤などが挙げられる。いくつかの例では、上記ポリマーは、アクリル系接着剤または医療用接着剤などの接着剤である。
【0058】
上記弾性基材が歪んでいる例では、上記歪みをポリマーの浸透後に解放する。これにより、上記のように、上記弾性基材及び上記ナノファイバーシートが座屈する。
【0059】
上記ナノファイバーシートを、任意に「高密度化」する(530)。「高密度化」とは、上記処理したままのシートに液体または流体を塗布することによって、ナノファイバーシートをより高密度の構造に形成するプロセスである(
図4に示す例など)。上記塗布した液体または流体を(例えば蒸発、真空アシスト除去、または他のプロセスによって)除去すると、上記ナノファイバーシートのファイバーが互いに引き寄せられ、これにより、単位体積当たりのナノファイバーの数及び上記シート全体の単位体積当たりの質量が増加する。上記液体は、様々な方法のいずれかで上記ナノファイバーシートに導入することができ、この方法として、限定はされないが例えば、上記シートの露出した表面に液体を塗布すること、上記液体を吸収すること、上記シートを液体のエアロゾルに暴露すること、蒸気凝縮、またはこれらの組み合わせにより、上記液体または流体によって部分的または全体的に満たすことが挙げられる。ナノファイバーシートを高密度化するために用いることのできる具体的な液体としては特に限定はされないが、例えば、トルエン、スチレン、エタノール、エチレングリコール、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコール、クロロホルム、クロロベンゼン、及びn−メチルピロリドンが挙げられる。2種、3種またはそれ以上の液体の混合物も使用することができる。
【0060】
高密度化はシートの厚みに影響を及ぼし得る。いくつかの具体的な例では、ナノファイバーシートは、高密度化前は10μm〜20μmの厚さを有し得るが、高密度化後は10nm〜300nmの厚さを有し得る。密度の観点からは、ナノファイバーシートは、高密度化前に厚みが約18μmである実験例用シートでは、密度が0.0015g/cm
3〜の範囲になりうる。高密度化後には、容積密度が360倍も増加する場合がある。いくつかの例では、上記ナノファイバーシートに浸透した接着剤ポリマーなどのポリマーの溶媒を除去すると、ナノファイバーシート(及び/又はナノファイバーシートの積層体)が高密度化される。
【0061】
次いで、弾性基材を除去する(532)。金属化を行った実施形態では、上記金属化表面を露出する。この金属化表面は、電気接点(例えば、はんだ接点)を取り付けることのできる低接触抵抗表面として使用することができる。また、上記金属化により、上記ナノファイバーシートが従来のはんだに適合する。これは、通常ナノファイバー材料、特にカーボンナノファイバー材料では見られないことである。場合によっては、上記露出した表面のいずれか1つに別の基材を取り付けても良い。いずれにせよ、取り除くと、上記ポリマー浸透シートの厚さは1μm未満であり、20nmほどの薄さになる場合もある。
【0062】
他の実施形態
いくつかの例では、上記の例に従って製造された実施形態の寸法及び厚さは、上記ナノファイバーシートを引き出す基材の幅、上記ナノファイバーシートを引き出すために用いるナノファイバーシートの厚さ、及び/又は上記剥離層上に積層した上記ナノファイバーシートの数を変化させることにより、変えることができる。物理的寸法及び/又は層の数を変化させることは、上記ナノファイバーテープの物理的特性だけでなく、電気的特性、機械的特性、及び光学的特性にも影響する。例えば、断面積のより大きいナノファイバーテープは、電気抵抗がより低くなりやすい(ナノファイバーシートの組成、接着剤の組成など、他のすべての因子は等しい)。
【0063】
上記プロセスの別の変形例では、浸透させた接着剤の上記シートの一方の主面への接着強度の方が、反対側の主面への接着力よりも強い。1つの面への接着力が弱いので、より強固に接着している面からより弱く接着している面を剥離することができ、このため、取り外し可能な剥離ライナーを介在させる必要なく、上記浸透ナノファイバーシートをロールに巻回することができる。
【0064】
上記プロセスにおける他の変形例では、1または複数のナノファイバーシートにおける領域を選択的にパターン化することができる。上記パターンはフォレストの合成に適用され、それによってパターン化されたフォレストから引き出したナノファイバーシートの密度が変動する。上記パターンを上記任意の金属化層及び/又は浸透ポリマーに適用して、上記シートの全体にわたって、特性(接着性、電気的特性または他の特性のいずれか)の変動を制御することもできる。ナノファイバーシートを選択的にパターニングするための代替の技術としては、1または複数の基材(剥離ライナー及び/又は弾性基材など)に複数のナノファイバーシートを配置することが挙げられる。この実施形態では、上記1または複数の基材の表面積は、上記ナノファイバーシートの任意の1つよりも大きく、よって上記1または複数の基材に複数のナノファイバーシートを所望のパターンで配置することができる。
【0065】
上記実施形態及び下記の応用例は、単一のナノファイバーシート複合体、または多層ナノファイバーシート積層体のいずれを使用して具体化できることは理解されるであろう。
【0066】
[実施形態の応用例]
本明細書で開示される実施形態の1つの応用例として電磁干渉(EMI)遮蔽が挙げられる。上記のいくつかの例では、上記ナノファイバーシート(金属化及び/又は浸透シートを含む)の厚さはマイクロまたはサブミクロンスケール(例えば20nmの薄さ)である。さらに、上記のいくつかの例は、上記シート中のナノファイバー間の自由体積及び、上記ナノファイバーシートに浸透させるために使用したポリマーの粘弾性のため、圧縮することができる。これらの特性によって、本開示のいくつかの実施形態は、きつく嵌合している部品及び/又は剛性の部品であっても、部品の間に配置してその間隙に適合させることができる。上記シートに浸透できる接着剤の圧縮性及び多様性により、これらのいくつかの実施形態は、2つの材料間の応力散逸層として使用することができ、よって、異なる速度で膨張または収縮する2つの材料の物理的な接続及び/又は電気的な接続を維持することができる。
【0067】
金属化されており2つの接着主面を有する実施形態は、電磁放射線(特に無線周波数)遮蔽に特に有用であり、そのため電磁干渉(EMI)によるデバイスの動作妨害を防止する。例えば、いくつかの実施形態(例えば、片面接着テープまたは両面接着テープ)を、相互に締り嵌めを形成するように構成されたプラスチック成形部品(モバイルコンピューティングデバイスの外部シェルの構造部品など)の間に配置することができる。剛性の金属部品またはプラスチックの成形された部品でも、本明細書に記載の実施形態は、部品の外形の一部またはすべてに適合し、その間隙を充填し、これにより電磁放射線がシェルによって画定されたチャンバに入り込み、その中に配置された演算素子に干渉するのを防止することができる。さらに、本明細書に記載の実施形態は薄く、かつ形状適合性があるため、例えば部品間の境界面のカバーまたは介在部品として任意の構造の内部に裏当てをするために使用することができる。これにより、部品間の間隙での遮蔽、及び電磁放射の少なくとも一部の波長に対して透過性である材料から製造された構造体全体の遮蔽をもたらす。また、いくつかの実施形態は可撓性であるか、圧縮可能であるか、さもなければ(ナノファイバーシートに浸透するために使用されるポリマーに応じて)弾性変形可能であるため、これらの実施形態は、可撓性の電子デバイスにも(接合部もしくは継ぎ目にて、または内部チャンバに裏当てをするためいずれにしても)使用することができ、依然として十分な完全性を保ち、電磁放射線誘導干渉に対する効果的な遮蔽として作用することができる。さらに、両面接着材の実施形態は導電性ワイヤを包むために使用することができ、これにより、摩擦電気効果によって発生した静電気を(例えば、取り付けられた接地線によって)導通させつつ、電磁放射から保護することができる(例えばセンサーワイヤの場合)。
【0068】
他の実施形態では、ミクロンまたはサブミクロンの厚さと下層の面への形状適合性とを併せ持つことにより、いくつかの実施形態を微細な(例えば、ミクロンスケールまたはミリメートルスケールの)テクスチャまたは表面を有する表面に適合させることができる。これは、実施形態の電気的特性、機械的特性、及び光学的特性を依然として提供しながら、同時にテクスチャまたはパターンの特徴部の間隙を充填すること、または実施形態によってパターンを呈することに役立つ。
【0069】
また、本開示の実施形態は、熱伝導材料として使用することもできる。実施形態を熱伝導体として使用することは、上述の多くの理由、例えば、上記実施形態の小さな表面特徴部への形状適合性により有益であり、このため従来のテープでは形状適合できずに従来のテープの熱伝導率を低下させることになる、小さな絶縁ポケットを排除することができる。例えば、上述した様々な実施形態が伸張させる能力を使用することにより、一般的に非伸張性の接着テープとその下層の剛性表面との間に形成される気泡のサイズ及び/又は頻度を低減することができる。すなわち、上述した実施形態を様々な方向及び様々な程度に伸張させて、上記実施形態と、上記実施形態を取り付ける基板との間の気泡を減少させることができる。
【0070】
また実施形態は、熱源と熱伝導体との間で低熱伝導率バリアとして作用することなく、グラファイトまたは金属ヒートシンクなどの熱伝導体を熱源に取り付けるための接着剤として使用することもできる。これらの材料の薄い構造は、熱伝導率の向上にも寄与する。
【0071】
実施形態はまた、本明細書に記載の材料の実施形態に電圧を印加することによってヒーターとして使用することができる。例えば、本明細書に記載の実施形態は従来のはんだと適合するため、導電体を接続することができる本明細書に記載のナノファイバーシートに、電気はんだ接点をはんだ付けすることができる。供給された電流を用いて、ナノファイバーシート内でジュール熱を生成することができる。いくつかの例では、効率的なジュール熱を得るために金属層の組成及び/又は厚さを調整することができる。さらに、浸透ポリマーが接着剤である上記の実施形態では、上記ナノファイバーテープヒータを表面、またはきつく嵌合している表面の間に形状適応するように取り付けることができる。他の実施形態では、ナノファイバーシートを誘導加熱器として構成することができる。
【0072】
本明細書に記載の実施形態はまた、様々なセンサーとして使用してもよく、または様々なセンサーに組み込んでもよい。例えば、本明細書に記載の実施形態は、薄く、導電性で、下層の表面に形状適合でき、可撓性であり、また、生体適合性のポリマー及び/又は接着剤を浸透させることができるため、実施形態を生体センサーに組み込んでもよく、または生体センサーとして使用してもよい。生体センサーの例としては、運動中のパフォーマンス指標(例えば、心拍数、カロリー消費率、呼吸数など)をモニターするために使用するものや、医療データ(例えば、心拍数、血圧、血液酸素含有量、体温、脳活動など)をモニターするためのものなどが挙げられる。実施形態を適用することができるセンサーの他の例としては、機械(例えば「モノのインターネット」など)の性能、家庭内操作(例えば、室温、器具の機能、セキュリティシステムなど)、人、動物、または無生物に取り付け可能な無線周波数識別(RFID)タグなどをモニターするために使用する非生体センサーが挙げられる。実施形態は、ウェアラブル電子機器にも適用することができる。例えば、導電性の実施形態は、ユーザーの身体の位置や形に適合するウェアラブル電子機器(例えば懐中電灯、センサーなど)の部品として使用することができる。従来のウェアラブル電子機器とは異なり、本明細書に記載の実施形態は、ウェアラブル電子機器に適用する場合、可撓性及び形状適合性を有するため、ユーザーの皮膚と回路の導体との間に弾性フィルムを備えなくてよい。センサーをユーザーの身体に直接配置する場合には、上記回路を外部の磁場と受動的に相互作用させ、それにより電力(EMF)を生成し、これを用いてユーザーの動きをモニターすることができる。身体の屈曲部分のヒトの皮膚に直接貼り付ける一例(例えば、生体センサー用途またはウェアラブル電子機器に有用である)を
図13に示す。
【0073】
また本開示の実施形態は、コンピューティングデバイスの工業的製造または個々のカスタム製造のいずれにおいても、電子デバイスアセンブリ(例えば、FR4ボードレベルアセンブリまたは半導体モジュールレベルアセンブリ)の作製または製造に適用することができる。本明細書に記載の実施形態は、導電経路、はんだ付け可能な導電接点パッドまたは接点、銅テープ回路を完成させるための導電性接着剤のいずれかとして用いた場合でも、コンピューティングデバイス及び電気回路の製造に対して様々な利用可能性がある。
【0074】
さらに、下層の面への形状適合性、様々な種類のうち任意のポリマー(例えば、接着剤、導電性ポリマー、脂肪族ポリマー、芳香族ポリマー)との親和性、及び上述した弾性によって、本明細書に記載の実施形態は、プラスチック成形プロセス(例えば、射出成形、ブロー成形)に組み込むことができ、よって、これらの成形プロセスを使用して製造される製品に簡便に組み込むことができる。また、実施形態は、セラミック、ガラス、またはポリマー構造体を製造するために使用される他のプロセスに組み込むことができ、これにより従来の製品に導電性かつ熱伝導性の要素を追加することができる。例えば、本開示の実施形態を用いてポリマーフィルムを作製することにより、導電性で伸張可能なステッカーまたはパッチを作製することができる。また、本明細書に記載の実施形態を織物またはファブリックの製品に組み込んで、衣服と共に伸張できる電気経路、センサー、加熱素子が組み込まれた織物またはファブリックを作製することができる。
【0075】
また、本明細書に記載の実施形態は、製造すると円形または楕円形の断面を有するチューブ状もしくは細長い形状に形成される、ナノファイバーシート複合材及びナノファイバーシート積層複合材を含む場合がある。上述したように、これらにポリマーを浸透させて、伝送ケーブルまたは他の導電性部材のための接着剤(及び任意にRF放射線遮蔽性)クラッディングを形成することができる。
【実施例】
【0076】
一つの例では、直径45mmの石英管内で、5モル%のC
2H
2のヘリウム(He)を680℃、全流量580標準立方センチメートル(sccm)で10分間用いて化学蒸着(CVD)を利用してナノファイバーフォレストを調製する。Siウェハ基板またはガラス基板上に電子ビーム蒸着によって堆積させた厚さ5nmの鉄の膜を触媒とした。次いで、その内容全体が参考により本明細書に組み込まれるPCT公開公報第WO2007/015710号に記載された方法を使用して、ナノファイバーシートを上記フォレストから引き出すことができる。
【0077】
次いで、上記ナノファイバーシートをシリコーンゴムの弾性基材上に配置することができる。一例では、同量のEco−Flex(登録商標)00−20(Smooth−On(登録商標)製、Macungie,Pennsylvania)のA部とB部とを均一になるまで混合することにより、シリコーンゴムシートを調製した。上記混合物を真空チャンバに入れて気泡を除去した。次いで、これを平らな面に注いでシートを作製し、室温で2日間硬化させた。CNTフォレストから直接ナノファイバーシートを引き出すことにより、ナノファイバーシートを、ポリオレフィンフィルム(Funcrare(登録商標)、Gunze Plastic Films(Olathe,Kansas)製)の剥離ライナー上に配置した。電子線物理蒸着(CHA Mark 50、CHA Industries(Fremont,California)製)を用いて、チタン(15nm)及び銀(300nm)をナノファイバーシート上に堆積した。次に、上記金属化したCNTシートを上記弾性基材に積層した。積層の前に、上記弾性基材を元の(すなわち、緩和状態または収縮状態の)弾性基材の5倍の長さに伸張した。上記弾性基材の作製に用いた材料が粘着性を有するため、上記金属化ナノファイバーシートは上記弾性基材に付着した。拡張した弾性基材上の上記ナノファイバーシートの露出した主面に、接着剤溶液(P−162N、TOYO INK America,LLC)を塗布した。上記ナノファイバーシート上の接着剤溶液を100℃で2分間乾燥させて、上記ナノファイバーシート上に厚さ15μmの接着層を作製した。上記弾性基材の張力を取り除いた。上記弾性基材は、その伸長状態から収縮状態に緩和した。最後に、上記接着層が塗布された上記ナノファイバーシートの主面に剥離フィルム(SP−PET381130、LINTEC CORPORATION)を積層し、上記複合シートをそれ自身に接着させることなく巻き取れるようにした。次いで、上記剥離ライナーを剥離した。
【0078】
上記プロセスにより製造した実験例の最終的なシート抵抗は0.5オーム/スクウェアであった。
【0079】
最終的なシート抵抗は、例えば、第2の形状適応金属層(例えばAg)の厚さを選択することによって調整することができる。一例では、Agの第2の形状適応層を厚さ150nmで堆積させた。これにより、最終のシート抵抗が1.98オーム/スクウェアとなった。別の例では、Agの第2の形状適応層を厚さ200nmで堆積させた。これにより、最終のシート抵抗が0.7オーム/スクウェアとなった。別の例では、Agの第2の形状適応層を厚さ300nmで堆積させた。これにより、最終のシート抵抗が0.5オーム/スクウェアとなった。
【0080】
電気的特性は、第1の形状適応金属層または第2の形状適応層いずれかに使用する金属を選択することによっても変化する。いくつかの実験例では、第2の形状適応層にニッケル(Ni)を用いた。一例では、4つの高密度化されていないナノファイバーシートの積層体をまず、Tiの厚さ15nmの第1の形状適応層で被覆し、次にNiの200nmの第2の形状適応層で被覆した。次いで、上記金属化したナノファイバーシートを溶媒を用いて高密度化した。この例における上記高密度化され金属化されたナノファイバーシートは、抵抗が8オーム/スクウェアであった。
【0081】
別の実験例では、4つのナノファイバーシートの高密度化されていない積層体を、まずTiの厚さ13nmの第1の形状適応層で金属化し、次いでアルミニウムの厚さ180nmの第2の形状適応層で金属化した。この例ではシート抵抗は5オーム/スクウェアであった。
【0082】
前述の例に基づいて、複合ナノファイバーシートの導電率は、適用する1または複数の形状適応金属層の組成、及び1または複数の形状適応金属層の厚さに基づいて選択できることが理解されるであろう。また、導電率、引張強さ、モジュラス、ならびに他の機械的特性及び物理的特性も、シートに使用する上記ナノファイバーの性質(例えば単層のナノファイバーか多層のナノファイバーかなど)、ナノファイバーシートの単位体積当たりの上記ナノファイバーの密度、上記ナノファイバーシートの寸法(特に厚さ)、及び上記シートを引き出した上記ナノファイバーフォレストの特性(例えば、上記フォレストの高さ(個々のナノファイバーの長さに対応する)、上記フォレストの密度など)に基づき選択することができる。複合ナノファイバーシートの特性はまた、ナノファイバーシートに浸透させるために用いるポリマーの種類及び量に応じて選択してもよい。
【0083】
上記複合ナノファイバーシートの厚さは25μmであった。上記ナノファイバーシートが薄いため、この厚みの大部分は接着剤に起因する。元々塗布した接着剤層を測定すると約15μmであったが、上記複合シートの追加の厚みの一部は、収縮した上記複合シートの座屈による表面変化に起因すると思われる。
【0084】
[要約]
前述した本開示の実施形態の説明は例示を目的とした説明であり、網羅的であることを意図するものではなく、また、特許請求の範囲を開示した正確な形態に限定することを意図するものではない。当業者であれば、上記の開示に照らして多くの変更及び変形が実行可能であることを理解することができる。
【0085】
本明細書で使用する文言は、主に読みやすさ及び教示の目的のために選択したものであり、本発明の主題を詳述するかまたは制限するために選択したものではない。したがって、本発明の範囲は、発明を実施するための形態によってではなく、本明細書に基づいて発行される特許請求の範囲によって限定される。したがって、上記実施形態の開示は、特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を例示するものであり、限定するものではない。