【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、顕著な効率性および比較的低価格の、拡張可能なフレキシブルホースを提供することにより、上記欠点の少なくとも一部を克服することである。
【0017】
本発明の別の目的は、単純かつ迅速な方法で製造可能な、拡張可能なフレキシブルホースを提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、インライン方式で自動的に製造可能な、拡張可能なフレキシブルホースを提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、扱いやすい拡張可能なフレキシブルホースを提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、比較的高い破裂圧力を有する拡張可能なフレキシブルホースを提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、かさばりを最小限にする拡張可能なフレキシブルホースを提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、保管が単純かつ実用的な、拡張可能なフレキシブルホースを提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、破損した場合に修理できる拡張可能なフレキシブルホースを提供することである。
【0024】
本発明の別の目的は、長さをカスタマイズできる拡張可能なフレキシブルホースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
この目的、および他の目的は、本明細書で説明、表示および/または特許請求の範囲に記載の、液体を輸送するフレキシブルホース、特に、水を輸送する拡張可能な灌漑用ホースおよび水撒き用ホース、並びに、ホースを含むホースの組立体によって達成される実現される。
【0026】
本ホースは灌漑用ホースまたは水撒き用ホースとして典型的な、波形ではなく(非波形)、コイル型ではない(非コイル型)、管状構造を有する。ポリマー層が管状に形成されてもよい。
【0027】
波形ホースの例は米国特許第3028290号によって公知であり、一方でコイル型ホースは米国特許第4009734号によって公知である。
【0028】
フレキシブルホースは、第1のポリマー弾性材料の少なくとも1つの内側層と、第2のポリマー弾性材料の少なくとも1つの外側層と、それらの間に介在する少なくとも1つの繊維素材補強層を備えてもよい。
【0029】
少なくとも1つの内側層および少なくとも1つの外側層が結合されて、少なくとも1つの一体的管状部材を形成することができる。一体的管状部材は、少なくとも1つの繊維素材層と一体化し、少なくとも1つの繊維素材層を組み込むことができる。
【0030】
上記を実現するために、少なくとも1つの外側層と少なくとも1つの内側層が、少なくとも1つの繊維素材補強層によって被覆されていない少なくとも1つの内側層の外側面の領域に対応して、相互に(reciprocally)結合されてもよい。換言すると、少なくとも1つの外側層と少なくとも1つの内側層は、少なくとも1つの繊維素材層の繊維素材糸で占められている範囲以外で相互に結合されてもよい。
【0031】
一体的管状部材は、管状部材を通って流れる作動流体によって付加される圧力下で自動的に拡張し、および場合によっては伸張し、その元の直径および場合によってはその元の長さを増加させ、ならびに、作動圧力が停止すると、元の直径および場合によっては元の長さに戻すために、自動的に収縮するように、弾性を適切に有することができる。
【0032】
拡張は外観上明らかで識別可能であるが、伸張はそれほど明らかではなく、最終的に外観で感知することはできない。言い換えると、伸張は発生する場合としない場合とがあり、伸張は拡張よりも顕著に識別が困難である。
【0033】
上記を実現するために、一体的管状部材を形成する第1のポリマー弾性材料および第2のポリマー弾性材料が適切に選択される。
【0034】
第1のポリマー弾性材料および第2のポリマー弾性材料は、エラストマーまたは熱可塑性エラストマーとすることができる。
【0035】
適切なTPEは、PP/SEBSまたはPP/EPDMのようなTPE−S、あるいはエチレン−オクテンコポリマーのようなTPE−Oであってもよい。
【0036】
適切なエラストマーは天然ゴムまたはラテックスであってもよい。
【0037】
一体的管状部材は、ASTM D2240(3”)に従って測定された、30ショアAから50ショアAのショアA硬度を有することができる。
【0038】
少なくとも1つの繊維素材層の繊維素材糸はポリエステル、ナイロン6,6、ポリビニル・アルコール、パラ系アラミドファイバ、メタ系アラミドファイバ、レーヨンであってもよい。
【0039】
有利なことに、少なくとも1つの繊維素材層の繊維素材糸は、BISFA(7章)に従って測定された、30%未満、好適には25%未満の破断点伸び率を有することができる。
【0040】
有利なことに、少なくとも1つの繊維素材層の繊維素材糸は、BISFA(7章)に従って測定された、少なくとも50cN/texの靱性を有することができる。
【0041】
適切な参考文献として参照される欧州特許第2520840号および/または欧州特許第2778491号によって教示されるように、それ自体が公知の方法で、ホースに挿入されるか、またはホースと連結される1または複数の規制部(restrictions)すなわち流量制限器(flow restrictor)によって、自動的拡張、および場合によっては自動的伸張が促進される。ホースの片方の端部は、例えば蛇口のような、輸送対象の液体を供給する手段に適切に連結することができる。
【0042】
知られているように、応力が発生した(stressed)場合のフレキシブルホース内の繊維素材補強層は、種類に応じて軸方向(長手軸方向、長軸方向)に伸張するか、および/または半径方向に拡張する傾向にある。
【0043】
一体的管状部材および少なくとも1つの繊維素材補強層は、2バール(2bar、2×10
5Pa)の作動圧力下で、ホースは元の外径(original outer diameter)の少なくとも1.3倍の外径に拡張し、好適には元の直径の1.4倍に拡張し、より好適には元の直径の1.45倍に拡張し、さらに好適には元の外径の1.5倍に拡張するように、適切に互いに協働することができる。
【0044】
一方で、一体的管状部材および前記少なくとも1つの繊維素材補強層は、5バール(5bar、5×10
5Pa)の作動圧力下で、一体的管状部材の長さの伸張が、一体的管状部材に液体が流れていない場合の元の長さに対して20%未満であり、好適には、一体的管状部材に液体が流れていない場合の元の長さに対して15%未満であるように、互いに協働することができる。
【0045】
有利なことに、本発明の拡張可能ホースの少なくとも1つの繊維素材補強層は、液体が一体的管状部材を通って流れていない休止状態における休止形態と、一体的管状部材がその中を流れる液体の作動圧力によって作用をうけるときの作動形態の間を移動することを許容する。
【0046】
作動形態において、少なくとも1つの繊維素材補強層は半径方向に膨張し、場合によっては軸方向に延伸し、一体的管状部材の拡張および場合によっては伸張を伴う。
【0047】
繊維素材補強層の糸が弾性かもしくは剛性か、ならびに繊維素材補強層の種類に依存して、このような拡張、および場合による伸張は、程度の差はあるが、識別可能である。
【0048】
しかしながら、繊維素材補強層の糸は、その拡張の際に一体的管状部材で効果的に動作するために、好適には剛性であってもよい。
【0049】
好適には、少なくとも1つの繊維素材補強層および一体的管状部材が、拡張および場合によっては伸張する時に、最大径および場合によっては最大長さを決定するために、繊維素材補強層が一体的管状部材を捕捉する(intercept、遮る)ように相互に構成することができる。
【0050】
言い換えると、所定のホース内部圧力に対して、少なくとも1つの繊維素材補強層の半径方向の最大拡張および場合によっては軸方向の最大伸張が、ホース全体の半径方向の最大拡張および場合によっては軸方向の最大長さを決定するように、少なくとも1つの繊維素材補強層の半径方向の最大拡張(maximum enlargement)および場合によっては軸方向の最大伸張(maximum enlongation)は、一体的管状部材の半径方向の最大拡張および場合によっては軸方向の最大伸張よりも小さい。
【0051】
一体的管状部材の自動的収縮は、ホース内部の圧力が停止すると、少なくとも1つの繊維素材補強層を休止形態に戻すことを適切に可能とする。
【0052】
一体的管状部材のこの自動収縮は、その弾性のみにより実現可能であり、他の助力は不要である。特に、本発明のホースはコイルばねや同様の自動収縮手段を必要としない。
【0053】
上記の一または複数の特徴の結果、使い勝手がよく実用的な拡張可能なフレキシブルホースを取得することが可能である。
【0054】
本発明に従ったフレキシブルホースは、先行技術の拡張可能ホースの欠点を取り除きつつ、「古典的な」フレキシブルホースの有利な点に、拡張可能ホースのすべての有利な点を組み合わせることを可能にする。
【0055】
実際、本発明に従ったフレキシブルホースは比較的高い破裂圧力を有し、「古典的な」フレキシブルホースの破裂圧力と比較しても遜色ない。
【0056】
実際、少なくとも1つの繊維素材補強層は高破裂圧力、および、それに伴うホースのより高い耐久性を確保している。
【0057】
さらに、少なくとも1つの外側層がポリマー材料で構成されているという事実の結果、フレキシブルホースは単純であり、湿った土の上でひきずることで付着した残留土および/または泥を迅速に掃除することができる。
【0058】
さらに、本発明に従ったフレキシブルホースの全体的な嵩高さ(bulkiness)は最小限に抑えられている。これにより、例えば、極めて小さな空間にも保管することが可能である。さらに、古典的なホースリールにも容易に保管することができる。
【0059】
さらに、本発明に従ったフレキシブルホースは、故障または破損の場合に、「古典的な」ホースのように修復可能である。また、例えば、ホースが断裂した場合に、元の付属品を、もしあるならば市場のフレキシブルホース用の古典的付属品と交換することも可能である。
【0060】
ただし、本発明のホースにおいて、複数の層を互いに連結するための、端部を連結する付属品または要素は不要であることは理解されるであろう。実際、本発明のホースにおいて、すべての要素が一体化しており、具体的には、少なくとも1つの繊維素材補強層は一体的管状部材に渡って一体化している。
【0061】
本発明のホースを、全構成の特徴を維持しながら、任意のサイズに切断することも可能である。上記は本ホースのメートル単位でのカスタマイズによる商品化をも可能にする。
【0062】
好適には、本発明に従った拡張可能ホースの繊維素材補強層は、繊維素材結節層または繊維素材編物層であってもよい。好適には、繊維素材編物層の編目はトリコットタイプ、放射状タイプ、ダイヤモンドタイプ、あるいは両面編または編み込み式であってもよい。
【0063】
第1の繊維素材層が、拡張時に最大径を決定するために一体的管状部材を捕捉するように、少なくとも1つの第1の繊維素材層および一体的管状部材は、相互に(mutually)構成(configure)されている。
【0064】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項にて説明される。
【0065】
本発明の更なる特徴および有利な点が、拡張可能なフレキシブルホース1の好適で包括的な実施形態の詳細な説明を読むことで、明らかとなるであろう。当該特徴および有利な点は、添付の図面を参照して、限定的ではない例として説明されている。